以下、図面を参照し、本発明の車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラムの実施形態について説明する。実施形態では、車両制御システムは、自動運転(自律運転)可能な自動運転車両に適用される。自動運転は、原則として乗員による操作を必要としない状態で車両を走行させることをいい、運転支援の一種であると考えられる。なお、自動運転車両は手動運転により走行させることもできる。手動運転は、乗員の運転操作子に対する操作に応じて車両を走行させることをいう。以下の説明において、「乗員」とは、運転席すなわち運転操作子が設けられたシートに着座した乗員を指すものとする。
本実施形態において、運転支援の度合には、例えば、第1の度合と、第1の度合よりも制御度合(自動化率)が高い第2の度合と、第2の度合よりも制御度合が高い第3の度合とがあるものとする。第1の度合の運転支援では、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control System)やLKAS(Lane Keeping Assistance System)等の運転支援装置が作動することで運転支援制御が実行される。第2の度合および第3の度合の運転支援では、例えば、原則として乗員による運転操作子の操作を必要とせずに、車両の加減速および操舵の双方を自動的に制御する自動運転が実行される。これらの運転支援の実行に伴って、乗員にはその運転支援の度合に応じたタスク(責務)が課される。例えば、第1の度合および第2の度合の運転支援では、乗員に周辺監視義務が課されるのに対し、第3の度合の運転支援では、乗員に周辺監視義務が課されない(或いは周辺監視義務の程度が低い)。乗員が周辺監視義務を果たさない場合、例えば、運転支援の度合が低下する。第2の度合の運転支援が実行されている状態は、「第1自動運転モード」の一例であり、第3の度合の運転支援が実行されている状態は、「第2自動運転モード」の一例である。
[全体構成]
図1は、実施形態の車両制御システムを含む車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、ファインダ14と、物体認識装置16と、通信装置20と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、車両センサ70と、運転操作子80と、車室内カメラ90と、マスター制御部100と、運転支援制御部200と、自動運転制御ユニット300と、HMI(Human Machine Interface)400と、走行駆動力出力装置500と、ブレーキ装置510と、ステアリング装置520とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
例えば、車両システム1が備える車室内カメラ90と、マスター制御部100と、自動運転制御ユニット300とを合わせたものは、「車両制御システム」の一例である。
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。後方を撮像する場合、カメラ10は、リアウインドシールド上部やバックドア等に取り付けられる。側方を撮像する場合、カメラ10は、ドアミラー等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波等の電波を放射するとともに、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。レーダ装置12は、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
ファインダ14は、照射光に対する散乱光を測定し、対象までの距離を検出するLIDAR(Light Detection and Ranging、或いはLaser Imaging Detection and Ranging)である。ファインダ14は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度等を認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御ユニット300に出力する。
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi−Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。また、通信装置20は、車外の人物が所持する端末装置と通信する。通信装置20は、「取得部」の一例である。
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備え、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ70の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キー等を含む。ナビHMI52は、後述するHMI400と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(例えば、目的地まで走行するときの経由地に関する情報を含む)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報等を含んでもよい。経路決定部53により決定された経路は、MPU60に出力される。また、ナビゲーション装置50は、経路決定部53により決定された経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。なお、ナビゲーション装置50は、例えば、ユーザの保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。また、ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから返信された経路を取得してもよい。
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61として機能し、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、経路において分岐箇所や合流箇所等が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な走行経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報等が含まれてよい。道路情報には、高速道路、有料道路、国道、都道府県道といった道路の種別を表す情報や、道路の車線数、非常駐車帯の領域、各車線の幅員、道路の勾配、道路の位置(経度、緯度、高さを含む3次元座標)、車線のカーブの曲率、車線の合流および分岐ポイントの位置、道路に設けられた標識等の情報が含まれる。第2地図情報62は、通信装置20を用いて他装置にアクセスすることにより、随時、アップデートされてよい。
車両センサ70は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイールその他の操作子を含んでよい。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出する操作検出センサが取り付けられており、その検出結果は、マスター制御部100、運転支援制御部200、自動運転制御ユニット300、もしくは、走行駆動力出力装置500、ブレーキ装置510、およびステアリング装置520のうち、何れか一つまたは複数に出力される。
車室内カメラ90は、例えば、車室内に設置されたシートに着座する乗員(特に、運転席に着座する乗員)の顔を中心に撮像する。車室内カメラ90は、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。車室内カメラ90は、例えば、周期的に乗員を撮像する。車室内カメラ90の撮像画像は、マスター制御部100に出力される。
[各種制御装置]
車両システム1は、制御系の構成として、例えば、マスター制御部100と、運転支援制御部200と、自動運転制御ユニット300とを備える。なお、マスター制御部100は、運転支援制御部200または自動運転制御ユニット300のどちらかに統合されてもよい。
[マスター制御部]
マスター制御部100は、運転支援の度合の切り替えと、それに関連するHMI400の制御等を行う。マスター制御部100は、例えば、切替制御部110と、HMI制御部120と、操作子状態判定部130と、乗員状態監視部140とを備える。
切替制御部110、HMI制御部120、操作子状態判定部130、および乗員状態監視部140は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
切替制御部110は、例えば、HMI400に含まれる所定のスイッチ(例えば後述するメインスイッチおよびオートスイッチ)から入力される操作信号に基づいて、運転支援の度合を手動運転の状態から第1以上の度合に、或いは第1以上の度合から手動運転の状態に切り替える。また、切替制御部110は、例えば、アクセスペダルやブレーキペダル、ステアリングホイール等の運転操作子80に対する加速、減速または操舵を指示する操作に基づいて、運転支援の度合を第1以上の度合から手動運転の状態に切り替えてもよい。
例えば、第1の度合の運転支援(運転支援制御)では、自車両Mの設定車速(下限速度および上限速度)が所定の速度範囲(例えば50〜100[km/h]程度)に設定される。この設定車速は、乗員操作により適宜変更されてよい。
例えば、第2の度合の運転支援(自動運転制御)では、自車両Mの設定車速(下限速度および上限速度)が法定速度などの基準速度に設定される。例えば、自車両Mが高速道路を走行する場合、その高速道路の法定速度に合わせて、上限速度は、80[km/h]や100[km/h]程度に設定され、下限速度は、50[km/h]程度に設定される。
また、第3の度合の運転支援(自動運転制御)では、第2の度合の運転支援と同様の設定車速が設定される。第3の度合の運転支援は、例えば、第2の度合の運転支援下において、前走車両の速度が所定速度以下である場合に開始される。前走車両とは、自車両Mが走行する走行車線(自車線)において、自車両Mの前方の所定距離(例えば50[m]程度)以内に存在する車両である。また、所定速度とは、例えば、60[km/h]である。
また、切替制御部110は、行動計画生成部323により生成された行動計画に基づいて、運転支援の度合を切り替えてもよい。例えば、切替制御部110は、行動計画によって規定される自動運転の終了予定地点で、運転支援を終了させるようにしてもよい。
また、切替制御部110は、ナビゲーション装置50により特定された自車両Mの位置が、自車位置認識部322によって自車両の走行車線が認識されるエリアに存在する場合に、運転支援の度合を第3の度合に切り替えてもよい。言い換えれば、切替制御部110は、地図情報において車線数や各車線の幅員などの情報を含む区間を自車両Mが走行する場合に、運転支援の度合を第3の度合に切り替えてよい。
HMI制御部120は、運転支援の度合の切り替えに関連する通知等を、HMI400に出力させる。また、HMI制御部120は、操作子状態判定部130または乗員状態監視部140の一方または双方による判定結果に関する情報を、HMI400に出力させてもよい。また、HMI制御部120は、HMI400により受け付けられた情報を運転支援制御部200または自動運転制御ユニット300の一方または双方に出力してもよい。HMI制御部120の機能の詳細については後述する。HMI400は、「情報出力部」と「受付部」の一例であり、HMI制御部120は、「出力制御部」の一例である。
操作子状態判定部130は、例えば、運転操作子80に含まれるステアリングホイールが操作されている状態(具体的には、現に意図的な操作を行っている場合、直ちに操作可能な状態、または把持状態を指すものとする)であるか否かを判定する。以下、ステアリングホイールが乗員によって操作(把持)されている状態を「ハンズオン」と称し、そうでない状態を「ハンズオフ」と称して説明する。操作子状態判定部130の機能の詳細については後述する。
乗員状態監視部140は、例えば、画像処理部140Aと、監視判定部140Bとを備える。画像処理部140Aは、乗員状態監視部140の代わりに車室内カメラ90が備えていてもよい。画像処理部140Aは、例えば、車室内カメラ90の撮像画像を解析して、運転席の乗員の視線の向きや顔の向きを検出する。監視判定部140Bは、画像処理部140Aにより検出された視線または顔の向きに基づいて、運転席の乗員が自車両Mの周囲を監視しているか否かを判定する。以下、乗員が自車両Mの周囲を監視している状態を「アイズオン」と称し、そうでない状態を「アイズオフ」と称して説明する。乗員状態監視部140の機能の詳細については後述する。
[運転支援制御部]
運転支援制御部200は、例えば、自車両Mの運転支援の度合が第1の度合である場合に、ACCやLKASその他の運転支援制御を実行する。例えば、運転支援制御部200は、ACCを実行する際には、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力される情報に基づいて、自車両Mと、前走車両との車間距離を一定に保った状態で走行するように走行駆動力出力装置500およびブレーキ装置510を制御する。言い換えれば、運転支援制御部200は、前走車両との車間距離に基づく加減速制御(速度制御)を行う。また、運転支援制御部200は、LKASを実行する際には、自車両Mが、現在走行中の走行車線を維持(レーンキープ)しながら走行するようにステアリング装置520を制御する。すなわち、運転支援制御部200は、車線維持のための操舵制御を行う。運転支援制御部200による操舵制御(運転支援制御)は、自動運転制御ユニット300による操舵制御(自動運転制御)時にステアリングホイール82のシャフトに与える最大操舵トルクよりも小さいものとする。すなわち、運転支援制御下では、乗員のステアリングホイール82の操作の自由度が比較的高くなり、自動運転制御下では、運転支援制御下と比べて乗員のステアリングホイール82の操作の自由度が低くなる。第1の度合の運転支援の種類に関しては、運転操作子80への操作を要求しない自動運転(第2の度合および第3の度合の運転支援)以外の種々の制御を含んでよい。
[自動運転制御ユニット]
自動運転制御ユニット300は、自車両Mの運転支援の度合が第2の度合または第3の度合である場合に、自動運転制御を実行する。自動運転制御ユニット300は、例えば、第1制御部320と、第2制御部340とを備える。第1制御部320と、第2制御部340とは、それぞれ、CPUやGPU等のプロセッサがプログラムを実行することで実現される。また、これらの各機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。自動運転制御ユニット300は、「自動運転制御部」の一例である。
第1制御部320は、例えば、外界認識部321と、自車位置認識部322と、行動計画生成部323とを備える。外界認識部321は、特許請求の範囲における「認識部」の一例である。
外界認識部321は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力される情報に基づいて、周辺車両の位置および速度、加速度等の状態を認識する。周辺車両の位置は、その周辺車両の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、周辺車両の輪郭で表現された領域で表されてもよい。周辺車両の「状態」とは、周辺車両の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
また、外界認識部321は、上述した周辺車両、障害物(例えば、ガードレールや電柱、駐車車両、歩行者等の人物)、道路形状、その他の物体のうち、少なくとも一つの位置を認識してもよい。
自車位置認識部322は、例えば、自車両Mが走行している車線(走行車線)、並びに走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢を認識する。自車位置認識部322は、例えば、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。
そして、自車位置認識部322は、例えば、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。図2は、自車位置認識部322により走行車線L1に対する自車両Mの相対位置および姿勢が認識される様子を示す図である。自車位置認識部322は、例えば、自車両Mの基準点(例えば重心)の走行車線中央CLからの乖離OS、および自車両Mの進行方向の走行車線中央CLを連ねた線に対してなす角度θを、走行車線L1に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識する。なお、これに代えて、自車位置認識部322は、走行車線L1の何れかの側端部に対する自車両Mの基準点の位置等を、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。自車位置認識部322により認識される自車両Mの相対位置は、推奨車線決定部61および行動計画生成部323に提供される。
行動計画生成部323は、自車両Mが目的地等に対して自動運転を実行するための行動計画を生成する。例えば、行動計画生成部323は、推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行するように、且つ、自車両Mの周辺状況に対応できるように、自動運転制御において順次実行されるイベントを決定する。実施形態の自動運転におけるイベントには、例えば、一定速度で同じ走行車線を走行する定速走行イベント、低速度(例えば60[km/h]以下)を条件に、前走車両に追従する低速追従イベント、自車両Mの走行車線を変更する車線変更イベント、前走車両を追い越す追い越しイベント、合流地点で車両を合流させる合流イベント、道路の分岐地点で自車両Mを目的の方向に走行させる分岐イベント、自車両Mを緊急停車させる緊急停車イベント等がある。また、これらのイベントの実行中に、自車両Mの周辺状況(周辺車両や歩行者の存在、道路工事による車線狭窄等)に基づいて、回避のための行動が計画される場合もある。
行動計画生成部323は、自車両Mが将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、所定の走行距離ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度(目標加速度を含む)が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
例えば、行動計画生成部323は、運転支援の度合に対応した設定車速の範囲内で、自車両Mの目標速度を決定する。例えば、運転支援の度合が第1の度合である場合、行動計画生成部323は、50〜100[km/h]の範囲内で目標速度を決定する。また、運転支援の度合が第2の度合である場合、行動計画生成部323は、50〜80[km/h]または50〜100[km/h]の範囲内で目標速度を決定する。また、運転支援の度合が第3の度合であり、且つ前走車両が存在しない場合、行動計画生成部323は、運転支援の度合が第2の度合であるときと同様に、50〜80[km/h]または50〜100[km/h]の範囲内で目標速度を決定し、前走車両が存在する場合、少なくとも前走車両の速度以下に目標速度を決定する。
図3は、推奨車線に基づいて目標軌道が生成される様子を示す図である。図示するように、推奨車線は、目的地までの経路に沿って走行するのに都合が良いように設定される。行動計画生成部323は、推奨車線の切り替わり地点の所定距離手前(イベントの種類に応じて決定されてよい)に差し掛かると、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベント等を起動する。各イベントの実行中に、障害物を回避する必要が生じた場合には、図示するように障害物を回避するための目標軌道が生成される。
また、行動計画生成部323は、車線変更イベントを起動すると、車線変更のための目標軌道を生成する。図4および図5は、車線変更の際の処理について説明するための図である。まず、行動計画生成部323は、自車両Mが走行する自車線L1に対して隣接する隣接車線であって、車線変更先の隣接車線L2を走行する周辺車両から2台の周辺車両を選択し、これらの周辺車両の間に車線変更ターゲット位置TAsを設定する。以下、隣接車線において車線変更ターゲット位置TAsの直前を走行する周辺車両を前方基準車両mBと称し、隣接車線において車線変更ターゲット位置TAsの直後を走行する周辺車両を後方基準車両mCと称して説明する。車線変更ターゲット位置TAsは、自車両Mと前方基準車両mBおよび後方基準車両mCとの位置関係に基づく相対的な位置である。
図4の例では、行動計画生成部323が車線変更ターゲット位置TAsを設定した様子を示している。図中、mAは前走車両を表し、mBは前方基準車両を表し、mCは後方基準車両を表している。また、矢印dは自車両Mの進行(走行)方向を表している。図4の例の場合、行動計画生成部323は、隣接車線L2上において、前方基準車両mBと後方基準車両mCとの間に車線変更ターゲット位置TAsを設定する。
次に、行動計画生成部323は、車線変更ターゲット位置TAsに(すなわち前方基準車両mBと後方基準車両mCとの間に)車線変更が可能か否かを判定するための一次条件を満たすか否かを判定する。
一次条件は、例えば、隣接車線に設けた禁止領域RAに周辺車両が一部でも存在せず、且つ、自車両Mと、前方基準車両mBおよび後方基準車両mCとのTTCがそれぞれ閾値よりも大きいことである。なお、この判定条件は、自車両Mの側方に車線変更ターゲット位置TAsを設定した場合の一例である。一次条件を満たさない場合、行動計画生成部323は、車線変更ターゲット位置TAsを再設定する。この際に、一次条件を満たすような車線変更ターゲット位置TAsが設定できるタイミングまで待機したり、或いは車線変更ターゲット位置TAsを変更し、車線変更ターゲット位置TAsの側方に移動するための速度制御が行われてもよい。
図4に示すように、行動計画生成部323は、例えば、自車両Mを車線変更先の車線L2に射影し、前後に若干の余裕距離を持たせた禁止領域RAを設定する。禁止領域RAは、車線L2の横方向の一端から他端まで延在する領域として設定される。
禁止領域RA内に周辺車両が存在しない場合、行動計画生成部323は、例えば、自車両Mの前端および後端を車線変更先の車線L2側に仮想的に延出させた延出線FMおよび延出線RMを想定する。行動計画生成部323は、延出線FMと前方基準車両mBの衝突余裕時間TTC(B)、および延出線RMと後方基準車両mCの衝突余裕時間TTC(C)を算出する。衝突余裕時間TTC(B)は、延出線FMと前方基準車両mBとの距離を、自車両Mおよび前方基準車両mBの相対速度で除算することで導出される時間である。衝突余裕時間TTC(C)は、延出線RMと後方基準車両mCとの距離を、自車両Mおよび後方基準車両mCの相対速度で除算することで導出される時間である。行動計画生成部323は、衝突余裕時間TTC(B)が閾値Th(B)よりも大きく、且つ衝突余裕時間TTC(C)が閾値Th(C)よりも大きい場合に、一次条件を満たすと判定する。閾値Th(B)とTh(C)は同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
一次条件を満たす場合、行動計画生成部323は、車線変更のための軌道の候補を生成する。図5の例では、行動計画生成部323は、前走車両mA、前方基準車両mBおよび後方基準車両mCが所定の速度モデルで走行するものと仮定し、これら3台の車両の速度モデルと自車両Mの速度とに基づいて、自車両Mが前走車両mAと干渉せずに、将来のある時刻において前方基準車両mBと後方基準車両mCとの間に位置するように軌道の候補を生成する。例えば、行動計画生成部323は、現在の自車両Mの位置から、将来のある時刻における前方基準車両mBの位置や、車線変更先の車線の中央、且つ車線変更の終了地点までをスプライン曲線等の多項式曲線を用いて滑らかに繋ぎ、この曲線上に等間隔あるいは不等間隔で軌道点Kを所定個数配置する。この際、行動計画生成部323は、軌道点Kの少なくとも1つが車線変更ターゲット位置TAs内に配置されるように軌道を生成する。
各種場面において、行動計画生成部323は、複数の目標軌道の候補を生成し、その時点で目的地までの経路に適合する最適な目標軌道を選択する。
第2制御部340は、例えば、走行制御部342を備える。走行制御部342は、行動計画生成部323によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置500、ブレーキ装置510、およびステアリング装置520を制御する。
走行制御部342は、例えば、目標軌道に含まれる目標速度に応じて、走行駆動力出力装置500およびブレーキ装置510の制御量を決定し、この制御量で走行駆動力出力装置500およびブレーキ装置510を制御することで、自車両Mの速度制御を行う。
また、走行制御部342は、例えば、目標軌道に含まれる、ある任意の軌道点kiとその前に到達すべき軌道点ki−1とを結ぶ線と、軌道点kiの次に到達すべき軌道点ki+1とを結ぶ線とのなす角度に基づいて、軌道点kiにおける自車両Mの目標舵角を決定し、この目標舵角分の変位を車輪に与えるようにステアリング装置520における電動モータの制御量を決定する。そして、走行制御部342は、決定した制御量でステアリング装置520を制御することで自車両Mの操舵制御を行う。
HMI400は、車内の乗員に対して各種情報を提示するとともに、乗員による入力操作を受け付ける。HMI400は、例えば、各種表示装置、発光部、スピーカ、ブザー、タッチパネル、各種操作スイッチ、キー等のうち一部または全部を含む。また、HMI400は、シートに着座した乗員をシートベルトによって保持するシートベルト装置の一部が含まれてよい。HMI400の機能の詳細については後述する。
走行駆動力出力装置500は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置500は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するパワーECU(Electronic Control Unit)とを備える。パワーECUは、走行制御部342から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
ブレーキ装置510は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、走行制御部342から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置510は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置510は、上記説明した構成に限らず、走行制御部342から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。また、ブレーキ装置510は、油圧や電動などの複数系統のブレーキ装置を備えていてもよい。
ステアリング装置520は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、走行制御部342から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
なお、手動運転時には、運転操作子80からの入力情報が、直接的に走行駆動力出力装置500、ブレーキ装置510、およびステアリング装置520に出力される。また、運転操作子80からの入力情報は、自動運転制御ユニット300を介して走行駆動力出力装置500、ブレーキ装置510、およびステアリング装置520に出力されてもよい。走行駆動力出力装置500、ブレーキ装置510、およびステアリング装置520の各ECUは、運転操作子80等からの入力情報に基づいて、それぞれの動作を行う。
[HMI400の構成]
以下、実施形態のHMI400の構成例について説明する。図6は、自車両MにおけるHMI400の一例を示す図である。HMI400は、例えば、第1の操作部410と、第2の操作部420と、発光部430R、430Lと、第3の操作部440と、第1の表示部450と、HUD(Head Up Display)460と、第3の表示部470とを備える。
第1の操作部410、第2の操作部420、および発光部430R、430Lは、運転操作子80の一つであるステアリングホイール82に設けられている。また、ステアリングホイール82には、把持センサ82Aが設けられている。把持センサ82Aは、例えば、ステアリングホイール82の周方向に沿うように設けられた静電容量センサである。把持センサ82Aは、検出対象の領域に物体が近接または接触したことを、静電容量の変化として検出する。把持センサ82Aは、検出した静電容量が閾値以上である場合、所定の検出信号をマスター制御部100の操作子状態判定部130に出力する。この閾値は、例えば、乗員がステアリングホイール82を把持している場合に生じる静電容量よりも低い値に設定されている。また、把持センサ82Aは、閾値以上であるか否かに関わらずに、静電容量を示す検出信号を操作子状態判定部130に出力してもよい。
また、ステアリングホイール82には、把持センサ82Aに代えて、或いは加えて、操舵トルクセンサ82Bが設けられてもよい。操舵トルクセンサ82Bは、例えば、ステアリングホイール82のシャフトに与えられた操舵トルクを検出し、検出した操舵トルクが閾値以上である場合、所定の検出信号を操作子状態判定部130に出力する。この閾値は、例えば、乗員がステアリングホイール82を把持している場合にシャフトに与えられる操舵トルクよりも低い値に設定されている。また、操舵トルクセンサ82Bは、閾値以上であるか否かに関わらずに、操舵トルクを示す検出信号を操作子状態判定部130に出力してもよい。
第1の操作部410は、例えば、メインスイッチ312と、オートスイッチ314とを備える。メインスイッチ312は、運転支援を開始可能な状態(待機状態)にするためのスイッチである。換言すれば、メインスイッチ312は、後述する、運転支援を実行する前の準備段階における処理(内部処理)を開始するためのスイッチ、或いは運転支援を開始可能な状態か否かを判定することを可能にするためのスイッチである。
メインスイッチ312が操作された場合、運転支援がすぐさま開始されるのではなく、手動運転下において運転支援を実行するための事前処理が行われる。事前処理とは、例えば、物体認識装置16に物体認識の処理(具体的にはカルマンフィルタを用いた物標の逐次認識処理等)を予め所定時間継続させる処理である。メインスイッチ312が操作されて待機状態となった後に(すなわち操作されてから、ある程度の時間が経過した後)、更にオートスイッチ314が操作されると、最も度合の小さい第1の度合の運転支援が開始される。すなわち、オートスイッチ314は、手動運転から運転支援制御へと切り替えるためのスイッチである。
第2の操作部420は、画像付き通話機能(以下、テレビ電話とも称する)の提供を開始させるための操作スイッチ422を備える。発光部430R、430Lは、例えば、ステアリングホイール82の中央のボス部から環状のリム部に向かって延びるスポーク部に配置される。発光部330Rは、HMI制御部120の制御により点灯状態が制御される。
第3の操作部440は、例えば、乗員から見て手前側に突出する回動操作部442と、スイッチ操作部444とを備える。回動操作部442は、略円筒状に形成され、軸線回りに回転操作可能である。スイッチ操作部444は、回動操作部442の周辺や、回動操作部442の天面に設けられる。第3の操作部440は、回動操作部442の回転角度と回転速度を検出するエンコーダ等の図示しない回転センサと、スイッチ操作部444の変位を検出する図示しない変位センサとを備え、それぞれのセンサから出力される検出値をマスター制御部100に出力する。マスター制御部100に出力される検出値は、第3の表示部470の画面に出力される矢印や選択ボタン、確定ボタン等の操作や、入力文字の選択や確定等に用いられる。
また、第3の操作部440は、表示画面を指先でタッチすることによって選択や確定操作等を行う、いわゆるタッチパネル式の操作部でもよい。第3の操作部440の近傍には、所定の色で発光可能な発光部446が設けられている。
第1の表示部450は、例えば、インストルメントパネルにおける運転席の正面付近に設けられ、乗員がステアリングホイール82の間隙から、或いはステアリングホイール82越しに視認可能な表示装置である。第1の表示部450は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)表示装置等である。第1の表示部450には、自車両Mの手動運転時または自動運転時の走行に必要な情報、あるいは乗員への指示に関する情報が表示される。手動運転時の自車両Mの走行に必要な情報とは、例えば、自車両Mの速度、エンジン回転数、燃料残量、ラジエータ水温、走行距離、その他の情報である。一方、自動運転時における自車両Mの走行に必要な情報とは、例えば、自車両Mの将来の軌道、運転支援の度合、乗員に対する指示等の情報である。
HUD460は、例えば、第1の表示部450よりも高い位置に配置される。HUD460は、所定の結像部に映像を投影する。例えば、HUD460は、運転席前方のフロントウインドシールドの一部に画像を投影することで、運転席に着座した乗員の眼に虚像を視認させる。HUD460により投影される画像の表示領域は、第1の表示部450における画像の表示領域に比して小さい。これは、HUD460により投影された画像によって、その先にある現実の物体を乗員が見逃すことを抑制するためである。なお、実施形態では、HUD460の代わりに、自車両Mのフロントウインドシールドを第3の表示部470としてもよい。この場合、例えば、インストルメントパネルに組み込まれたLED(Light Emitting Diode)を発光させ、フロントウインドシールドでLEDの発光を反射させてもよい。
第3の表示部470は、インストルメントパネルの中央部に設けられる。第3の表示部470は、例えば、LCDや有機EL表示装置等である。第3の表示部470は、例えば、ナビゲーション装置50により実行されるナビゲーション処理に対応する画像またはテレビ電話における通話相手を映した映像等を表示する。また、第3の表示部470は、テレビ番組を表示したり、DVDを再生したり、ダウンロードされた映画等のコンテンツを表示してもよい。
また、第3の表示部470には、発光部472が設けられてもよい。図7は、第3の表示部470と発光部472の位置関係の一つの側面(aspect)を例示した図である。例えば、発光部472は、第3の表示部470の一部または近傍に設けられる。「近傍」とは、発光部472と、第3の表示部470との最短距離が例えば数[cm](より具体的には3[cm]程度)以下の近い範囲である。図7の例では、例えば、第3の表示部の画面形状を形成する少なくとも一つの辺に沿って延在する発光部472が取り付けられている。
図8は、第3の表示部470と発光部472の位置関係の他の側面を例示した図である。図8の例では、第3の表示部470は、その前方の上部にあるインストルメントパネル部のバイザー部374の下部に設けられる。また、発光部472の発光は、374に遮られずに、乗員により視認可能である。この形態を採用することで、バイザー部374が、発光部472に差し込む日光等の外光を遮蔽するため、乗員による発光の視認性を向上させることができる。
発光部472は、第3の表示部470が使用可能である場合に発光するようにHMI制御部120によって制御される。使用可能とは、例えば、第2の操作部420が操作されることで画像付通話機能に関する画面が第3の表示部470に表示されたり、第3の操作部440の操作によって、映画やテレビ番組に関する画像が第3の表示部470に表示されたりすることができることである。
図9は、第3の表示部470の画面の一部の領域を用いて、第3の表示部470が使用可能であること通知することについて説明するための図である。HMI制御部120は、第3の表示部470の全画面領域に対して、第1の表示領域466と、第2の表示領域468とを割り当てる。第1の表示領域466は、第3の表示部470の画面全体のうち、何れかの辺に沿って延在する領域の画素領域である。HMI制御部120は、第3の表示部470が使用可能となった場合に、第1の表示領域466を所定の色または模様で点灯または点滅させる。これにより、発光部472を設けずに第3の表示部470が使用可能な状態であることを乗員に通知することができる。
また、HMI制御部120は、第2の表示領域468に、第2の操作部420または第3の操作部440で操作された内容、或いは操作により実行される内容を表示する。
[自動運転に関連するHMI400の表示制御]
次に、自動運転に関連するHMI400の表示制御について説明する。なお、以下に示す表示画面におけるレイアウトについては、あくまで一例であり、任意に変更可能である。レイアウトとは、配置、色彩、縮尺、その他をいう。
図10は、手動運転から運転支援に切り替えられた後、運転支援による車線変更が実行されるまでの各種場面を示す図である。図10の例において、場面(1)は、自車両Mが手動運転により一般道路から高速道路に進入する場面である。場面(2)は、手動運転から第1の度合の運転支援に切り替わる場面である。場面(3)は、自車両Mが自動運転制御により車線変更を実行する場面である。以下場面(1)〜(3)のそれぞれの場面に対応する表示制御について説明する。
<場面(1)>
場面(1)は、例えば、高速道路に進入する前の場面である。この場面では、第1の操作部410のメインスイッチ312およびオートスイッチ314が操作されていないため、運転支援が実行されず、手動運転が行われる。手動運転が行われる場合、HMI制御部120は、運転席の乗員が運転操作子80を用いて、自車両Mを手動運転するために必要な情報を第1の表示部450に画像として表示させる。また、HMI制御部120は、第1の表示部450に表示されている情報のうち一部の情報をHUD460に画像として表示させる。この場合の画面を図11に示す。
図11は、手動運転時に表示される第1画面IM1−1および第2画面IM2−1の一例を示す図である。第1画面IM1−1は、第1の表示部450により表示される画面であり、第2画面IM2−1は、HUD460により投影されることで乗員の眼に映る画面である。HMI制御部120は、第1画面IM1−1に、手動運転時の自車両Mの走行に必要な情報として、例えば、自車両Mのバッテリ残量、回転速度、シフトポジション、室内気温、走行距離、走行速度、燃料残量等の情報を表示させる。また、HMI制御部120は、第2画面IM2−1に、第1画面IM1−1に表示された画像のうち、速度の情報を、第1画面IM1−1よりも小さく表示させる。前述したように、HUD460により投影されることで乗員の眼に映る画像の認識領域は、第1の表示部450による画像の表示領域に比して小さい。このため、HMI制御部120は、第1の表示部450に、自車両Mの運転支援に関する比較的詳細な詳細情報(第1の情報)を表示させ、HUD460には、運転支援に関する簡易情報(第2の情報)を表示させる。簡易情報とは、例えば、詳細情報に対して情報量が少ない情報である。また、簡易情報とは、表示する項目の種類や数が、詳細情報として表示する項目の種類や数に比して少ない情報であってもよい。また、簡易情報とは、詳細情報として表示する画像に対し、解像度を低下させたり、単純化あるいはデフォルメさせた画像であってもよい。また、簡易情報は、詳細情報のうち、重要度の高い情報や緊急性の高い情報であってもよい。
例えば、HMI制御部120は、詳細情報の一部を抜粋した情報を簡易情報としてHUD460に表示させる。例えば、図11において、HMI制御部120は、第1画面IM1−1に表示された詳細の情報のうち、自車両Mの速度を示す情報を抜粋し、抜粋した情報を第2画面IM2−1に表示させる。このように、第1の表示部450に詳細情報を表示させ、HUD460に簡易情報を表示させることで、運転支援に関する情報を適切に提供すると共に、乗員の眼を疲れさせないようにすることができる。
<場面(2)>
場面(2)では、自車両Mが高速道路に進入している。HMI制御部120は、乗員によりメインスイッチ312が操作されたことを受け付けると、第1の表示部450およびHUD460に表示される画面を変更する。変更後の画面を、図12に示す。
図12は、メインスイッチ312が操作されたことで表示される第3画面IM3−1および第4画面IM4−1の一例を示す図である。第3画面IM3−1は、第1の表示部450により表示される画面であり、第4画面IM4−1は、HUD460により投影される画面である。以下の図面に示す第3画面IM3−X(Xは任意の自然数)および第4画面IM4−Xについても同様とする。第3画面IM3−Xおよび第4画面IM4−Xは、運転支援が実行可能な状態および運転支援が実行中の状態において継続的に表示される。
第3画面IM3−1には、運転支援を開始可能な状態(待機状態)であることを表示する領域として、周辺検知情報表示領域600−1、運転支援状態表示領域620−1、および運転支援開始操作ガイド領域640−1が含まれている。以下、第3画面IM3−Xにおけるそれぞれの領域を周辺検知情報表示領域600−X、運転支援状態表示領域620−X、および運転支援開始操作ガイド領域640−Xと称する。
HMI制御部120は、周辺検知情報表示領域600−1に、例えば、第2地図情報62から取得した自車両Mが走行している道路形状を示す画像と、自車位置認識部322により認識された自車両Mを示す画像と、外界認識部321により認識された周辺車両mを示す画像とを表示させる。なお、HMI制御部120は、外界認識部321により認識された全ての周辺車両mを示す画像を第1の表示部450に表示させる。また、HMI制御部120は、外界認識部321により認識された全ての周辺車両mのうち、自車両Mの将来の軌道に影響を与える周辺車両mのみを第1の表示部450に表示させてもよい。これにより、乗員が監視する対象の車両を減らすことができ、監視負担を軽減することができる。
また、HMI制御部120は、運転支援状態表示領域620−1に、自車両Mが実行可能な運転支援(自動運転を含む)の度合を示す情報を表示させる。図12の例では、運転支援の度合を示す情報として、「Assist」、「Hands Off(ハンズオフ)」、「Eyes Off(アイズオフ)」の3つのインジケータを示す画像621が示されている。それぞれのインジケータ単体で、または複数のインジケータの組み合わせによって、運転支援の度合が表される。
インジケータ「Assist」は、第1の度合の運転支援が実行されている状態(オン状態)、或いは、第1の度合の運転支援に遷移可能な状態(オフ状態)であることを示すインジケータである。
インジケータ「Hands Off」とは、第2の度合の運転支援が実行されている状態(オン状態)、或いは、第2の度合の運転支援に遷移可能な状態(オフ状態)であることを示すインジケータである。
インジケータ「Eyes Off」は、第3の度合の運転支援が実行されている状態(オン状態)、或いは、第3の度合の運転支援に遷移可能な状態(オフ状態)であることを示すインジケータである。
これらのインジケータは、運転支援が実行されている状態と運転支援に遷移可能な状態とのそれぞれに対応するインジケータが用意されてもよい。各度合の運転支援が実行されているのか、或いは、各度合の運転支援に遷移可能な状態であるかについては、後述する要求動作通知画像622によって把握することができる。各インジケータは、例えば、対応する度合の運転支援が実行されている場合、ハイライト表示され、対応する度合の運転支援に遷移可能な場合、グレーアウト表示される。図12の例では、全てのインジケータがグレーアウト表示されていることから、いずれの度合の運転支援が実行されていない、すなわち手動運転であることを示している。
また、HMI制御部120は、運転支援状態表示領域620−1に、「Assist」、「Hands Off」、「Eyes Off」の3つのインジケータを示す画像621に対応する表示位置で、要求動作通知画像622を表示させる。「対応する」とは、横並び、縦並び、対応付けを示すガイドラインがある等、人によって対応関係が認識可能な様をいう。一例として「インジケータの画像621に対応する表示位置」とは、画像621に隣接する表示位置であり、画像621の表示位置を基準として上下左右の少なくとも一方に数[cm]以下(例えば、3[cm]以下)の表示位置を示す。要求動作通知画像622は、例えば、乗員が運転操作子80に対して行う所定の動作を示す画像である。要求動作通知画像622は、例えば、運転操作子80を示す画像と、乗員の所定の部位を示す画像とを含む。要求動作通知画像622は、例えば、ステアリングホイール82と乗員の手との位置関係を模式的に示す画像である。
HMI制御部120は、運転支援開始操作ガイド領域640−1に、運転支援を開始させるための乗員の操作について案内する情報を表示させる。図12の例では、運転支援開始操作ガイド領域640−1において、乗員がオートスイッチ414を操作することで運転支援が開始されることが案内される。
HMI制御部120は、乗員がオートスイッチ414を操作することで運転支援が開始されることを運転支援開始操作ガイド領域640−1に表示することに加えて、或いは代えて、乗員がオートスイッチ414を操作することで運転支援が開始される旨を示す音声をHMI400に含まれるスピーカから出力させてもよい。
周辺検知情報表示領域600−1、運転支援状態表示領域620−1、および運転支援開始操作ガイド領域640−1のそれぞれに表示される情報の少なくとも一部は、他の表示領域に表示されてもよい。また、第3画面IM3−1には、自車両Mの走行距離、車内温度、燃料、速度、シフトポジションに関する情報が示されていてもよい。
HMI制御部120は、第3画面IM3−1に表示された詳細情報に対して、HUD460の第4画面IM4−1に、詳細情報の一部を抜粋した簡易情報を表示させる。HUD460の第4画面IM4−1には、第1の表示部450の第3画面IM3−1に表示される運転支援に関する情報のうち、自車両Mの前方の道路形状に関する情報および自車両Mの速度を示す情報が表示される。
図12に示す状態において、乗員によりオートスイッチ314が操作されたことを検知すると、マスター制御部100は、運転支援制御部200に第1の度合の運転支援を実行させる。また、HMI制御部120は、第1の表示部450およびHUD460に表示する画面を、例えば図13に示す画面に変更する。
図13は、オートスイッチ314が操作されたときに表示される第3画面IM3−2および第4画面IM4−2の一例を示す図である。HMI制御部120は、実行されている運転支援の度合を示す画像を、他の運転支援の度合を示す画像と識別可能に表示させる(例えばハイライト表示とグレーアウト表示)。例えば、HMI制御部120は、第3画面IM3−2の運転支援状態表示領域620−2に、第1の度合の運転支援に対応した「Assist」のインジケータがハイライト表示させる。これにより、乗員は、第1の度合の運転支援が行われていることを把握することができる。
ここで、HMI制御部120は、要求動作通知画像622として、「Hands Off」に対応する運転支援の度合(自動運転)に移行するために必要な動作を乗員に要求する動画像を要求動作通知画像622として表示させる。動画像とは、例えば、所定の物体が時間経過に伴って動的に移動する動的オブジェクトを含む画像である。また、動画像には、アニメーションが含まれてよい。
例えば、HMI制御部120は、第1の度合の運転支援が実行中であって、且つ、第2の度合の運転支援が実行可能である場合に、第2の度合の運転支援に切り替えさせるための乗員の操作方法に関する情報として、乗員の手をステアリングホイール82から離した状態にするための乗員の操作内容を模式的に示した要求動作通知画像622を、第3画面IM3−2の運転支援状態表示領域620−2に表示させる。
例えば、HMI制御部120は、第1の度合の運転支援が実行中であって、且つ、第2の度合の運転支援が実行可能である場合に、第2の度合の運転支援に切り替えさせるための乗員の操作方法に関する情報として、乗員の手をステアリングホイール82から離した状態にするための乗員の操作内容を模式的に示した要求動作通知画像622を、第3画面IM3−2の運転支援状態表示領域620−2に表示させる。
また、HMI制御部120は、アクセルペダルと乗員の足との位置関係を模式的に示す画像、或いは、ブレーキペダルと乗員の足との位置関係を模式的に示す画像を要求動作通知画像623として、第3画面IM3−2の運転支援状態表示領域620−2に表示させてもよい。
また、HMI制御部120は、要求動作通知画像622に対応する動作を乗員が実行することで、運転支援が開始される旨を示す情報を、周辺検知情報表示領域600−2に表示させてもよい。図13の例では、周辺検知情報表示領域600−2に、ステアリングホイール82(図では「ハンドル」)から手を離すことで運転支援(図では「自動走行」)が開始される旨の情報が表示される。
また、HMI制御部120は、ステアリングホイール82から手を離す動作を乗員に要求する場合に、ステアリングホイール82に設けられた発光部430R、430Lを点灯または点滅させてもよい。
また、HMI制御部120は、ステアリングホイール82から手を離す動作を乗員に要求する場合に、その旨を示す音声をHMI400に含まれるスピーカから出力させてもよい。HMI制御部120は、ステアリングホイール82から手を離す動作に対応する要求動作通知画像622の表示、発光部430R、430Lの点灯または点滅、音声出力の複数を組み合わせて各種機器より出力させてもよい。
HMI制御部120は、HUD460の第4画面IM4−2に、第4画面IM4−1と同様の情報を表示させる。
ここで、操作子状態判定部130は、把持センサ82Aから入力される検出信号の有無に基づいて、乗員がハンズオン状態であるのかまたはハンズオフ状態であるのか否かを判定する。例えば、操作子状態判定部130は、把持センサ82Aから検出信号が入力されると、乗員がハンズオン状態であると判定し、検出信号が入力されないと、乗員がハンズオフ状態であると判定する。また、操作子状態判定部130は、例えば、把持センサ82Aから入力される検出信号の信号強度などに基づいて、静電容量が閾値以上変化したか否かを判定し、静電容量が閾値以上変化した場合に、乗員がハンズオン状態であると判定してもよい。
また、操作子状態判定部130は、操舵トルクセンサ82Bから検出信号が入力された場合、乗員がハンズオン状態であると判定し、検出信号が入力されない場合、ハンズオフ状態であると判定してもよい。また、操作子状態判定部130は、操舵トルクセンサ82Bから入力された検出信号の信号強度などに基づいて、操舵トルクが閾値以上であるか否かを判定し、操舵トルクが閾値以上である場合に、乗員がハンズオン状態であると判定してもよい。
また、操作子状態判定部130は、静電容量や操舵トルクに代えて、或いは加えて、ステアリングホイール82が把持されたときの乗員の握力(ホイールに加えられた圧力)、ステアリング装置520における電動モータの制御量(操舵量)に基づいて、乗員がハンズオン状態であるのかまたはハンズオフ状態であるのか否かを判定してもよい。
マスター制御部100の切替制御部110は、オートスイッチ414が操作されたことを受けて、運転支援の度合を第1の度合に切り替えた後、操作子状態判定部130により乗員がハンズオフ状態であると判定されるまで、運転支援の度合として第1の度合を維持する。一方、切替制御部110は、第2の度合の運転支援に移行するための諸条件を満たし、且つ、操作子状態判定部130により乗員がハンズオフ状態であると判定された場合、運転支援の度合を第1の度合から第2の度合に切り替える。このような制御によって、乗員がハンズオフ状態になるまでは運転支援制御部200が運転支援制御を行い、乗員がハンズオフ状態になると運転支援制御部200から自動運転制御ユニット300に制御権が移行し、自動運転制御ユニット300が自動運転制御を開始する。
運転支援の度合が第2の度合であるときに自動運転制御ユニット300が自動運転制御を実行する場合、HMI制御部120は、第1の表示部450およびHUD460に表示する画面を、例えば図14に示す画面に変更する。
図14は、第2の度合の運転支援において、第1の表示部450およびHUD460に表示される画面の一例を示す図である。HMI制御部120は、第3画面IM3−3の運転支援状態表示領域620−3に、第2の度合の運転支援に対応した「Hands Off」のインジケータをハイライト表示させる。これにより、乗員は、第2の度合の運転支援が行われていることを把握することができる。
また、HMI制御部120は、周辺検知情報表示領域600−3に、例えば、第2地図情報62から取得した自車両Mの前方の道路形状を示す画像と、自車位置認識部322により認識された自車両Mを示す画像と、外界認識部321により取得した周辺車両mを示す画像と、行動計画生成部323により生成された自車両Mの将来の軌道を示す将来軌道画像602とを表示させる。また、HMI制御部120は、周辺検知情報表示領域600−3に、第2の度合における運転支援(図では「自動走行」)を開始するが、乗員に周辺の交通状況を継続して監視させる旨の情報を表示させる。
マスター制御部100の乗員状態監視部140は、運転支援の度合が第2の度合である場合、乗員が周辺監視義務を果たしているかどうかを確認するために、車室内カメラ90の撮像画像に基づいて、乗員がアイズオン状態であるのかアイズオフ状態であるのかを判定する。例えば、乗員状態監視部140の画像処理部140Aは、車室内カメラ90の撮像画像から顔の特徴(例えば目や鼻、口といった顔のパーツの特徴)が含まれる画像領域を抽出し、抽出した画像領域において乗員の瞳孔や虹彩、目頭といった特徴点の位置を基に乗員の視線の向き、或いは顔の向きを検出する。このとき、画像処理部140Aは、人の顔画像から視線や顔の向きを検出するように予め学習されたニューラルネットワークなどを利用して、自車両Mの乗員の視線の向きや顔の向きを検出してよい。
例えば、乗員状態監視部140の監視判定部140Bは、運転支援の度合が第2の度合である場合、画像処理部140Aにより検出された顔または視線の向きが、ある向きを基準とした第1角度範囲Δθ1内であるか否かを判定し、乗員の顔や視線の向きが第1角度範囲Δθ1内であれば、乗員がアイズオン状態であると判定し、そうでなければ乗員がアイズオフ状態であると判定する。第1角度範囲Δθ1の基準となる「ある向き」とは、例えば、運転席のシートに乗員が着座したとき、その乗員が正面(フロントウィンドウシールド側)を向いたときの顔または視線の向きである。例えば、第1角度範囲Δθ1は、その向きを基準に、車幅方向(乗員から見て左右方向)に関して所定角度をとったときの角度範囲として定められる。
監視判定部140Bにより乗員がアイズオン状態であると判定された場合、すなわち、乗員が周辺監視義務を果たしている場合、切替制御部110は、運転支援の度合として第2の度合を維持する。このとき、図14に示すように、第1の表示部450の第3画面IM3−1の運転支援開始操作ガイド領域640−3には何も表示されず、HUD460の第4画面IM4−3には、図13の第4画面IM4−2と同様の情報に加えて、新たに自車両Mの将来の軌道602に関する情報が表示される。
一方、監視判定部140Bにより乗員がアイズオフ状態であると判定された場合、すなわち、乗員が周辺監視義務を果たしていない場合、HMI制御部120は、HMI400の第1の表示部450や第3の表示部470に画像を表示させたり、スピーカに音声を出力させたりすることで、乗員に周辺監視をするよう警告する。アイズオフ状態が所定時間以上継続した場合、切替制御部110は、運転支援の度合を第2の度合から第1の度合に切り替えることで、運転支援制御部200に運転支援制御を行わせてよい。
また、切替制御部110は、監視判定部140Bにより乗員がアイズオフ状態であると判定されてからアイズオフ状態が所定時間以上継続した場合、自動運転制御ユニット300に第2の度合に応じた自動運転制御を行わせるのではなく、代替制御を行わせてよい。代替制御とは、例えば、自車両Mを徐々に減速させながら路肩などの停止可能なエリアに停車させる自動運転制御である。これによって、例えば、乗員が意識を失っていて周辺監視を行えないような場合に、乗員の操作なしで自車両Mを停止させることができる。
また、監視判定部140Bは、運転支援の度合が第3の度合である場合、乗員に周辺監視義務が課されないものの、第3の度合の運転支援から周辺監視義務が課される運転支援に切り替わった場合、乗員が速やかに周辺監視を行う必要があるため、乗員がどの程度覚醒しているのかといった監視を継続する。例えば、運転支援の度合が第3の度合の場合、周辺環境の変化に応じて第2の度合の運転支援などのより度合の小さい運転支援へと移行する可能性があることから、システム側から周辺監視の要請があった場合に備えて、乗員は速やかに周辺監視へと移れる態勢でいることが求められる。従って、監視判定部140Bは、乗員に周辺監視義務が課されない間も、乗員の監視を継続して、乗員が速やかに周辺監視を行える状態か否かを判定する。
例えば、監視判定部140Bは、画像処理部140Aにより検出された顔または視線の向きが、第1角度範囲Δθ1よりも広い第2角度範囲Δθ2内であるか否かを判定し、乗員の顔や視線の向きが第2角度範囲Δθ2内であれば、乗員が速やかに周辺監視を行える状態であると判定する。
図15は、自車両Mを上から見た時の車室内の構造を模式的に示す図である。図中STDは、運転席のシートを表し、矢印Vは、第1角度範囲Δθ1の基準となる向き(方向)を表している。例えば、第1角度範囲Δθ1は、自車両Mを上から見た時に、その角度範囲に第1の表示部450が含まれるように決定される。また、第2角度範囲Δθ2は、自車両Mを上から見た時に、その角度範囲に第1の表示部450と第3の表示部470の双方が少なくとも含まれるように決定される。なお、図示のように、第1角度範囲Δθ1および第2角度範囲Δθ2は、方向Vを基準に左右対称である必要はなく、いずれか一方に角度範囲が偏していてもよい。
監視判定部140Bにより乗員が速やかに周辺監視を行える状態であると判定された場合、切替制御部110は、運転支援の度合として第3の度合を維持する。一方、監視判定部140Bにより乗員が速やかに周辺監視を行えない状態であると判定された場合、HMI制御部120は、HMI400の第1の表示部450や第3の表示部470に画像を表示させたり、スピーカに音声を出力させたりすることで、少なくとも第1の表示部450や第3の表示部470が視界に入るような態勢をとるよう乗員に警告する。周辺監視を行えない状態が所定時間以上継続した場合、切替制御部110は、運転支援の度合を第3の度合から第2の度合に切り替えてよい。
また、乗員状態監視部140は、運転支援の度合が第2の度合である場合、乗員がどの程度覚醒しているのかを判定してもよい。例えば、監視判定部140Bは、画像処理部140Aが車室内カメラ90の撮像画像から乗員の瞳孔や虹彩を検出できなかった時間、すなわち乗員が目を閉じている時間を計時し、その時間が長いほど乗員の覚醒度が低いと判定する。また、監視判定部140Bは、運転席のシートSTDに設けられた圧力センサ(不図示)による検出結果に基づいて、乗員の覚醒の有無を判定してもよい。例えば、圧力センサにより検出された圧力の変化(所定時間あたりの圧力変化)が閾値以下である場合、監視判定部140Bは、乗員が覚醒していないと判定する。
切替制御部110は、乗員状態監視部140の判定処理の過程で求められた乗員の覚醒度に応じて、第2の度合の運転支援を継続するのか、または他の度合の運転支援や手動運転に切り替えるのかを決定する。例えば、乗員が覚醒しているときの覚醒度を1とし、覚醒していないときの覚醒度を0とした場合、切替制御部110は、覚醒度の数値がある閾値(例えば0.5程度)以上であれば、その乗員が覚醒しているものと判断し、運転支援の度合を第2の度合として継続する。
<場面(3)>
場面(3)では、第2の度合の運転支援時に自動運転制御ユニット300が自動運転制御により自車両Mを車線変更させる様子を示している。この場合、HMI制御部120は、第1の表示部450およびHUD460に、車線変更の自動運転制御に対応した画面を表示させる。
例えば、HMI制御部120は、自動運転制御ユニット300により実行される自車両Mの車線変更イベントの発生を示す画像を自車両Mの挙動が変化する前の第1のタイミング(例えば、挙動が変化する5秒前)において第1の態様で表示させる。
図16は、自車両Mの挙動が変化する前の第1のタイミングにおいて表示される第3画面IM3−4および第4画面IM4−4の一例を示す図である。HMI制御部120は、第3画面IM3−4の周辺検知情報表示領域600−4に、周辺検知情報表示領域600−3で表示された内容に加えて、例えば、自車両Mが車線変更する方向を示す旨を示す画像604を表示させる。図16の例では、自車両Mが走行車線に隣接する右車線に車線変更する画像604が表示される。
画像604は、例えば、テキストを含まない画像である。図16の例において、画像604は道路幅方向に沿って自車両Mの進路変更方向を示す図形である。HMI制御部120は、例えば、自車両Mの進路変更方向を示す図形に外枠を付与し、付与した外枠画像を第1の表示部450に表示させる。また、HMI制御部120は、画像604を複数の領域に区分し、区分された複数の領域のそれぞれに外枠を付与して表示させる。また、HMI制御部120は、複数の区分されたそれぞれの領域の外枠を、自車両Mの進路変更方向に沿って順番に表示させたアニメーションで表示させてもよい。
また、HMI制御部120は、運転支援状態表示領域620−4に、自車両Mの進路変更を示すウインカインジケータ624を表示させる。ウインカインジケータ624は、例えば、進路変更方向を示す矢印等の図形である。HMI制御部120は、ウインカインジケータ624を、画像604を表示させる第1のタイミングに同期したタイミングで第1の表示部450に表示させる。
HMI制御部120は、HUD460の第4画面IM4−4に、第4画面IM4−3と同様の情報を表示させる。
また、HMI制御部120は、第1のタイミングよりも後のタイミングであって自車両Mの挙動が変化する前の第2のタイミング(例えば、挙動が変化する2秒前)において画像604を強調表示した画像を周辺検知情報表示領域600−4に表示させる。
図17は、自車両Mの挙動が変化する前の第2のタイミングにおいて表示される第3画面IM3−5および第4画面IM4−5の一例を示す図である。HMI制御部120は、第3画面IM3−5の周辺検知情報表示領域600−5に、画像604を強調表示した画像606を表示させる。HMI制御部120は、例えば、画像604の外枠の中を発色させた表示態様を周辺検知情報表示領域600−5に表示させる。また、HMI制御部120は、画像604において区分された複数の領域のそれぞれの外枠に対して、自車両Mの進路変更方向に沿って順番に強調表示されるようにアニメーションで表示させてもよい。また、HMI制御部120は、第1のタイミングで画像606を表示させ、第2のタイミングで画像606を点滅表示させてもよい。また、HMI制御部120は、第1のタイミングで画像606を表示させ、第2のタイミングで画像606を、第1のタイミングで表示させた色より目立つ色で表示させてもよい。これにより、乗員に進路変更方向を直感的に把握させることができる。
また、HMI制御部120は、周辺検知情報表示領域600−5に表示させた将来軌道画像602を、第2のタイミングに同期したタイミングで進路変更方向に対応する方向に変化させる。これにより、乗員は、自車両Mの車線変更における挙動の変化が開始されることを直感的に把握することができる。
HMI制御部120は、HUD460の第4画面IM4−5に、第4画面IM4−4と同様の情報を表示させる。また、HMI制御部120は、HUD460の第4画面IM4−5に表示させる将来軌道画像602を、第2のタイミングに同期したタイミングで進路変更に対応する方向に変化して表示させる。
上述したように、第2の度合の運転支援時に自動運転制御によって車線変更が開始される場合、すなわち自車両Mの進路方向が変更される場合、乗員状態監視部140は、自車両Mの将来の進行方向に応じて、第1角度範囲Δθ1の基準とする向き(方向)と、第1角度範囲Δθ1とのうち一方または双方を変更してよい。
図18は、車線変更開始時に第1角度範囲Δθ1の基準とする向きが変更される様子を模式的に示した図である。例えば、図示のように、右側の隣接車線に車線変更することが予定されている場合、図18に示すように、第1の表示部450には自車両Mの進路方向を示す軌道が表示されるため、乗員が正面監視を止めて進路方向先を監視することが想定される。従って、乗員状態監視部140は、自車両Mの進路方向側(右手側)に第1角度範囲Δθ1の基準とする方向Vを傾けることで、乗員が監視することが想定される方向に第1角度範囲Δθ1を移動させる。これによって、乗員が正面から視線を外した場合であっても、周辺監視が継続していると判定される。なお、乗員状態監視部140は、第1角度範囲Δθ1を自車両Mの進路方向側に広げることで、車線変更時に乗員が正面から視線を外すことに対応してもよい。
<場面(1)〜(3)に対応する処理フロー>
図19は、場面(1)〜(3)において、マスター制御部100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、手動運転時に実行される。
まず、HMI制御部120は、メインスイッチ412が操作されたか否かを判定する(ステップS100)メインスイッチ412が操作されていないと判定した場合、HMI制御部120は、第1の表示部450に第1画面IM1−1を表示させ(ステップS102)、HUD460に第2画面IM2−1を表示させる(ステップS104)。
一方、メインスイッチ412が操作されたと判定した場合、HMI制御部120は、第1の表示部450に第3画面IM3−1を表示させ(ステップS106)、HUD460に第4画面IM4−1を表示させる(ステップS108)。
次に、切替制御部110は、オートスイッチ414が操作されたか否かを判定する(ステップS110)。オートスイッチ414が操作されたと判定した場合、切替制御部110は、手動運転から第1の度合に切り替えることで、運転支援制御部200に運転支援制御を開始させる(ステップS112)。
次に、HMI制御部120は、第3画面IM3−1および第4画面IM4−1に第1の度合の運転支援が実行されていることを示す画像を表示する(ステップS114)。次に、HMI制御部120は、第3画面IM3−2に第2の度合の運転支援を移行するための情報を表示する(ステップS116)。
次に、操作子状態判定部130は、乗員がハンズオフ状態であるか否かを判定する(ステップS118)。操作子状態判定部130により乗員がハンズオン状態であると判定された場合、切替制御部110は、S112の処理に戻り、運転支援の度合として第1の度合を維持する。
一方、操作子状態判定部130により乗員がハンズオフ状態であると判定された場合、監視判定部140Bは、乗員の顔または視線の向きが、第1角度範囲Δθ1内であるか否かを判定する(ステップS120)。
監視判定部140Bにより乗員の顔または視線の向きが第1角度範囲Δθ1内でないと判定された場合、すなわち、乗員がアイズオフ状態である場合、切替制御部110は、S112の処理に戻り、運転支援の度合として第1の度合を維持する。
また、監視判定部140Bは、画像処理部140Aにより乗員の顔や視線の向きが所定時間以上検出されない場合、乗員がアイズオフ状態であると判定してもよい。
一方、監視判定部140Bにより乗員の顔または視線の向きが第1角度範囲Δθ1内であると判定された場合、すなわち、乗員がアイズオン状態である場合、切替制御部110は、運転支援の度合を第1の度合から第2の度合に切り替える(ステップS122)。
次に、HMI制御部120は、第1の表示部450の第3画面IM3−3に、第2の度合の運転支援が実行されていることを示す画像を表示させる(ステップS124)。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
次に、第2の度合の運転支援に移行した後の場面(4)〜(6)について説明する。図20は、第2の度合の運転支援から第3の度合の運転支援に切り替わり、その後、第3の度合の運転支援から第2の度合の運転支援に切り替わるまでの各種場面を示す図である。図20の例において、場面(4)は、自車両Mが渋滞中の周辺車両mに追従することで、第2の度合の運転支援から第3の度合の運転支援に切り替わる場面である。
場面(5)は、第3の度合の運転支援の一例である低速追従走行(TJP;Traffic Jam Pilot)が実行されている場面である。低速追従走行とは、所定速度以下で前走車両に追従する制御態様である。低速追従走行は、前走車両mの速度が所定速度以下であり、且つ前走車両mとの車間距離が所定距離(例えば、50[m]程度)以内であるときを条件に実行される。低速追従走行では、混雑した道路で前走車両に追従するという、比較的容易な自動運転制御を継続することで、乗員に周辺監視義務を課さない自動運転、或いは乗員に義務として課す周辺監視の度合を低下させた自動運転を実現することができる。「周辺監視の度合を低下させた」とは、上述したように第1角度範囲Δθ1を第2角度範囲Δθ2まで拡大し、乗員の顔や視線の向きとして許容する空間を大きくすることで、周辺監視義務がより継続され易くすることである。また、例えば、低速追従走行では、制御開始から所定時間(例えば5秒間)経過するまでは周辺監視を不要とすることで、周辺監視義務の度合を低下させてもよい。なお、低速追従走行は、所定速度以下、または前走車両に追従していることのいずれか一方を発動条件としてもよい。
場面(6)は、第3の度合の運転支援から第2の度合の運転支援に切り替わる場面である。以下、場面(4)〜(6)のそれぞれの場面に対応する表示制御について説明する。
<場面(4)>
場面(4)では、自動運転制御ユニット300は、まだ低速追従走行に至らず、自車両Mの加速制御を行っている。この場合、HMI制御部120は、第1の表示部450またはHUD460の一方または双方に、運転支援に対応する画面を表示させる。
図21は、自車両Mの加速制御時に表示される第3画面IM3−6および第4画面IM4−6の一例を示す図である。この図に示す場面では、まだ低速追従走行の発動条件を満たしていない。HMI制御部120は、第3画面IM3−6の周辺検知情報表示領域600−6に、加速制御が実行されていることを示す画像608を表示させる。画像608は、自車両Mの加速を示す図形である。画像608は、自車両Mを示す画像の前方に表示される。この場合、HMI制御部120は、自車両Mが加速する前の第1のタイミングにおいて、画像608の外枠を付与した第1の表示態様で表示させ、自車両Mが加速する前の第2のタイミングにおいて、画像の外枠の中を着色する第2の表示態様で表示させてもよい。また、HMI制御部120は、加速時には、画像608が自車両の進行方向に向かって移動するようなアニメーションを表示させてもよい。この逆に、HMI制御部120は、減速時には、画像608が自車両に向かって移動するようなアニメーションを表示させてもよい。これにより、乗員は、自車両Mの加速制御が実行されていることを直観的に把握することができる。
<場面(5)>
場面(5)では、切替制御部110が運転支援の度合を第2の度合から第3の度合に切り替えおり、更に自動運転制御ユニット300によって低速追従走行が実行されている。この場合、HMI制御部120は、第1の表示部450およびHUD460に、第3の度合の運転支援(低速追従走行)に対応する画面を表示させる。
図22は、低速追従走行時に表示される第3画面IM3−7および第4画面IM4−7の一例を示す図である。HMI制御部120は、周辺検知情報表示領域600−7に、第3の度合の運転支援が実行されていることを示す周辺検知画像610Aを表示させる。周辺検知画像610は、カメラ10、レーダ装置12、ファインダ14、物体認識装置16、および外界認識部321により、自車両Mの周囲の監視が行われていることを示す画像である。周辺検知画像610は、例えば、自車両Mの中心から外側に向かって波紋が広がっていくようなアニメーション(動画)である。
また、HMI制御部120は、第3画面IM3−7の運転支援状態表示領域620−7に、例えば、乗員に周辺監視義務が課されていないことを示すインジケータ「Eyes Off」と、運転操作子80の操作を必要としないことを示すインジケータ「Hands OFF」とをハイライト表示させる。また、HMI制御部120は、運転支援状態表示領域620−7に、カメラ10、レーダ装置12、ファインダ14、物体認識装置16、および外界認識部321により、自車両Mの周囲の監視が行われていることを示す画像626を表示させる。
HMI制御部120は、HUD460の第4画面IM4−7に、第4画面IM4−6と同様の情報に加えて、第3の度合の運転支援が実行されていることを示す画像610を表示させる。
第3の度合の運転支援が行われる場合、乗員に周辺監視義務が課されないことから、乗員は自動運転中に第3の表示部470などの第1角度範囲Δθ1外に設置された機器を新たに使用することができる。そのため、HMI制御部120は、運転支援の度合が大きくなったことで新たに使用可能になった機器を乗員に通知するための制御を行う。
例えば、HMI制御部120は、切替制御部110により運転支援の度合が第2の度合から第3の度合に切り替えられた場合、第3の表示部470に設けられた発光部472を所定の色で発光するように制御することで、第3の表示部470が新たに使用可能となったことを乗員に通知する。これによって、乗員は、第3の表示部470を利用してテレビ電話やテレビ番組などのコンテンツを楽しむことができる。
また、第3の表示部470に表示される内容の選択等を行うために第3の操作部440を操作する必要がある場合、HMI制御部120は、第3の操作部440に設けられた発光部446を所定の色で発光させる。例えば、HMI制御部120は、発光部472おおび発光部446を同一の色で発光させる。これにより、乗員は、使用可能な機器と、その機器の操作部とを直感的に把握することができる。
例えば、HMI制御部120は、第3の表示部470が使用可能な状態で第3の操作部440が操作された場合に、操作内容に対応する画面を第3の表示部470に表示する。また、HMI制御部120は、第3の表示部470が使用可能な状態で、第2の操作部420の操作スイッチ422が操作された場合に、第3の表示部470に通話する相手の画像を表示する。これにより、乗員は、第3の表示部470に表示される相手を見ながら通話を楽しむことができる。
<場面(6)>
場面(6)では、低速追従する対象の前走車両が存在しないため、切替制御部110は、運転支援の度合を第3の度合から第2の度合に切り替える。この場合、HMI制御部120は、図23に示すように、運転支援の度合の変化に基づいて、乗員に要求する乗員の監視対象または操作対象を示唆する情報を画像として、第1の表示部450またはHUD460の一方または双方に表示させる。
図23は、乗員に周辺監視を行わせるために表示される第3画面IM3−8、第4画面IM4−8の一例を示す図である。HMI制御部120は、周辺検知情報表示領域600−8に、低速追従走行(図中「渋滞追従自動運転」)が終了する旨の情報と、乗員に周辺の交通状況を確認させる旨を示す情報とを表示させる。
また、HMI制御部120は、第4画面IM4−8に、乗員に自車両Mの前方を注視させることを要求する前方注視要求画像650を表示させる。HMI制御部120は、例えば、前方注視要求画像650は、車両Mの前方の所定の領域を示す楕円状の領域である。また、前方注視要求画像650は、円状や矩形状等の所定の形状でもよく、乗員に注意を促すマークや記号文字等の情報でもよい。また、HMI制御部120は、前方注視要求画像650を所定の色で点灯または点滅させる。また、HMI制御部120は、インストルメントパネルに組み込まれたLEDを発光させ、フロントウインドシールドでLEDの発光を反射させることで、乗員に前方への注視を促してもよい。
HMI制御部120は、切替制御部110により運転支援の度合が第3の度合から第2の度合に切り替えられると、第1の表示部450およびHUD460に、第2の度合の運転支援に対応する画面を表示させる。
図24は、第3の度合の運転支援から第2の度合の運転支援に切り替わった場合の第3画面IM3−9、第4画面IM4−9の一例を示す図である。図24の例では、第2の度合の運転支援により、行動計画生成部323により定められた目標速度(例えば80[km/h])まで加速する例を示している。例えば、HMI制御部120は、第3画面IM3−9の周辺検知情報表示領域600Hに、加速制御が実行されていることを示す画像608を表示させる。
また、HMI制御部120は、第3画面IM3−9の運転支援状態表示領域620−9に、第2の度合の運転支援に対応する「Hands OFF」のインジケータをハイライト表示させる。また、HMI制御部120は、運転支援状態表示領域620−9に、第2の度合の運転支援に対応する乗員の操作内容を示す要求動作通知画像622を表示させる。これにより、乗員は、第3の度合から第2の度合の運転支援に切り替わったことを直感的に把握することができる。
<場面(4)〜(6)に対応する処理フロー>
図25および図26は、場面(4)〜(6)において、マスター制御部100および自動運転制御ユニット300により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、運転支援の度合が第2の度合に切り替えられたときに実行される。
まず、マスター制御部100の乗員状態監視部140は、周辺監視義務が課されていない乗員の覚醒度が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS200)。乗員の覚醒度が閾値未満であると判定した場合、乗員状態監視部140は、後述するステップS220に処理を進める。
一方、乗員の覚醒度が閾値以上であると判定した場合、乗員状態監視部140は、更に、乗員の顔または視線の向きが、第2角度範囲Δθ2内であるか否かを判定する(ステップS202)。
監視判定部140Bは、乗員の顔または視線の向きが第2角度範囲Δθ2内でないと判定した場合、すなわち、乗員がアイズオフ状態であると判定した場合、後述するステップS220に処理を進める。
一方、監視判定部140Bにより乗員の顔または視線の向きが第2角度範囲Δθ2内であると判定された場合、すなわち、乗員がアイズオン状態であると判定された場合、切替制御部110は、第3の度合の運転支援の一つである低速追従走行が可能か否かを判定する(ステップS204)。
例えば、切替制御部110は、追従対象の前走車両が存在すること、前走車両との車間距離が所定距離以下であること、前走車両の速度が所定速度以下であることを全て満たす場合に、低速追従走行が可能であると判定し、運転支援の度合を第3の度合に設定する(ステップS206)。
次に、HMI制御部120は、第3画面IM3および第4画面IM4に、第3の度合の運転支援が実行されていることを示す画像を表示する(ステップS208)。次に、HMI制御部120は、運転支援の度合が第3の度合になったことで新たに使用可能となった機器(例えば、第3の表示部470)に対応した発光部(例えば、発光部472)を発光させる(ステップS210)。そして、HMI制御部120は、上述したステップS200に処理を戻す。
一方、切替制御部110により低速追従走行が可能でないと判定された場合、自動運転制御ユニット300の行動計画生成部323は、自車両Mが走行する自車線に対して隣接する隣接車線に、新たな追従対象車両の候補が存在しているか否かを判定する(ステップS212)。追従対象車両の候補とは、例えば、隣接車線上において、所定速度(例えば60[km/h])以下で走行する車両である。
図27は、前走車両を追従対象とした低速追従走行が可能でなくなったときの場面例を模式的に示す図である。図中L1は自車線を表し、L2は隣接車線を表している。例えば、場面(A)では、前走車両m1の速度が所定速度以下(図示の例では60[km/h])であり、且つ自車両Mと前走車両m1との車間距離ΔDが所定距離Dth以下であるため、自車両Mが、低速追従走行として前走車両m1に追従している様子を表している。このような場面において、例えば、前走車両m1の前方の渋滞が解消された場合、場面(B)に示すように、前走車両m1が加速することが想定される。例えば、この加速に伴って前走車両m1の速度が80[km/h]となり、自車両Mと前走車両m1との車間距離ΔDが所定距離Dthを超えた場合、低速追従走行の実行条件が満たされなくなることから、切替制御部110は、第3の度合の運転支援を中止させる必要がある。このとき、隣接車線L2に車線変更した上で、低速追従走行の実行条件を満たすことが可能となる車両が存在している場合、すなわち、隣接車線L2に新たな追従対象車両の候補(図示の例では車両m2)が存在している場合、この追従対象車両の候補の後方へと車線変更することで、周辺監視義務が課されない、またはその程度が他の度合の運転支援に比して小さい第3の度合の運転支援を継続することができる。
従って、HMI制御部120は、上記のように、第3の度合の運転支援の実行条件が満たされなくなったときに、隣接車線上に新たな追従対象車両の候補が存在する場合、自車両Mの乗員に第3の度合の運転支援を継続する意思があるのかどうかを確認するための画面をHMI400のいずれかの表示部に表示させる(ステップS214)。
図28は、第3の度合の運転支援の継続意思を確認するための画面例を示す図である。図示のように、HMI400の表示部には、例えば、「第3の度合の運転支援を継続します」という文字と共に、継続意思を表明するためのボタン(タッチ領域)B1、B2が表示される。HMI制御部120は、第3の度合の運転支援の継続意思の確認画面の表示後に、第3の度合の運転支援の継続を指示する操作があったか否かを判定する(ステップS216)。例えば、HMI制御部120は、図28に示す画面の「YES」のボタンB1が操作された場合、第3の度合の運転支援の継続を指示する操作があったと判定し、「NO」のボタンB2が操作された場合、第3の度合の運転支援の継続を指示する操作がないと判定する。
また、HMI制御部120は、乗員が操作している(利用している)機器の種類に応じて、第3の度合の運転支援を継続する意思の有無を判定してもよい。例えば、HMI制御部120は、ステップS210の処理によって利用制限から解放された第3の表示部470を利用して乗員がテレビ番組を視聴していたり、DVDを再生していたりした場合、第3の度合の運転支援を継続する意思がある(継続を指示している)ものと判定し、第3の度合の運転支援への移行以前から利用可能なスピーカを利用して乗員がラジオ音声を聞いている場合、第3の度合の運転支援を継続する意思がない(継続を指示していない)ものと判定してよい。
また、HMI制御部120は、監視判定部140Bにより乗員の顔または視線の向きが第2角度範囲Δθ2内であると判定された場合、すなわち、乗員が速やかに周辺監視を行うことができる状態になる場合、第3の度合の運転支援を継続する意思がある(継続を指示している)ものと判定し、そうでない場合に、第3の度合の運転支援を継続する意思がない(継続を指示していない)ものと判定してよい。
なお、第3の度合の運転支援の継続意思を確認する処理(画面表示と操作有無の判定の処理)は、第3の度合の運転支援の実行条件が満たされなくなったタイミングで行われなくてもよい。例えば、この処理は、自車両Mの動力源(例えばエンジン)を始動させたタイミングで行われてもよいし、第2の度合の運転支援から第3の度合の運転支援へと切り替わったタイミングで行われてもよく、処理のタイミングに特段の制約はない。
HMI制御部120によって、乗員が第3の度合の運転支援を継続する意思がある(継続を指示している)と判定された場合、自動運転制御ユニット300の行動計画生成部323は、追従対象車両の候補の後方に車線変更ターゲット位置TAsを設定し、この車線変更ターゲット位置TAsに至る目標軌道を生成する。これを受けて、走行制御部342は、行動計画生成部323により生成された目標軌道に従って、走行駆動力出力装置500、ブレーキ装置510、およびステアリング装置520を制御することで、自車両Mを追従対象車両の候補の後方へと車線変更させる(ステップS218)。自動運転制御ユニット300は、自車両Mの車線変更完了後、上述したステップS200に処理を戻す。
一方、乗員の覚醒度が閾値以上でない場合、乗員の顔または視線の向きが第2角度範囲Δθ2内でない場合、第3の度合の運転支援の実行条件が満たされないときに隣接車線に追従対象車両の候補が存在しない場合、或いは隣接車線に追従対象車両の候補が存在するものの、第3の度合の運転支援の継続指示がない場合、HMI制御部120は、HMI400を用いて乗員に周辺監視(アイズオン)を要求する(ステップS220)。
乗員状態監視部140は、周辺監視の要求の結果、乗員の顔または視線の向きが第1角度範囲Δθ1内となったか否かを判定する(ステップS222)。乗員状態監視部140は、乗員の顔または視線の向きが第1角度範囲Δθ1内でない場合、所定時間経過したか否かを判定する(ステップS224)。
所定時間経過するまでに乗員の顔または視線の向きが第1角度範囲Δθ1内とならなかった場合、切替制御部110は、自動運転制御ユニット300に代替制御を行わせる(ステップS226)。このとき、HMI制御部120は、第3画面IM3および第4画面IM4に、代替制御が実行されていることを示す画像を表示する(ステップS228)。
なお、自動運転制御ユニット300は、所定時間経過するまでに乗員の顔または視線の向きが第1角度範囲Δθ1内とならなかった場合、代替制御を行わずに、第3の度合の運転支援を継続してもよい。この場合、自動運転制御ユニット300の行動計画生成部323は、第3の度合の運転支援を継続する際の目標速度を、基準速度以下の速度(すなわち80[km/h]または100[km/h]以下の速度)や、現在の自車両Mの速度以下の速度(すなわち60[km/h]以下の速度)に決定する。これによって、乗員がアイズオン状態でない場合には、第3の度合の運転支援の上限速度として決められた本来の速度まで自車両Mを加速させずに、比較的緩やかに自車両Mを加速させたり、現在の車速を維持するように走行させたりすることができる。
所定時間経過するまでに乗員の顔または視線の向きが第1角度範囲Δθ1内となった場合、切替制御部110は、運転支援の度合を第3の度合から第2の度合に切り替える(ステップS230)。これを受けて、HMI制御部120は、第3画面IM3および第4画面IM4に、第2の度合の運転支援が実行されていることを示す画像を表示する(ステップS232)。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
なお、上述したフローチャートでは、第3の度合の運転支援の継続有無について判定する際に、追従対象車両の候補が一台であるかのように説明したがこれに限られず、追従対象車両の候補は複数台存在してもよい。
例えば、自動運転制御ユニット300の行動計画生成部323は、複数の追従対象車両の候補が存在する場合、これらの車両の中から、各候補の車両との車間距離に基づいて、車線変更先後に追従対象とする車両を決定する。なお、複数の候補車両の中から追従対象車両を決定する処理は、行動計画生成部323の代わりにマスター制御部100が行ってもよい。
また、上述したフローチャートでは、ステップS200の処理として、乗員の覚醒度が閾値以上であるか否かを判定したが、この判定処理は省略されてもよい。S200の処理が省略される場合、HMI制御部120は、乗員の覚醒度に応じて、第3の度合の運転支援を継続する意思がある(継続を指示している)のか、または第3の度合の運転支援を継続する意思がない(継続を指示していない)のかを判定してよい。例えば、乗員の覚醒度が閾値以下の状態で追従走行が可能でないと判定された場合、HMI制御部120は、第3の度合の運転支援を継続する意思がない(継続を指示していない)ものと判定してよい。
図29は、複数の追従対象車両の候補が存在する場面例を模式的に示す図である。例えば、場面(A)では、前走車両m1の速度が所定速度以下(図示の例では60[km/h])であり、且つ自車両Mと前走車両m1との車間距離ΔDが所定距離Dth以下であるため、自車両Mが、低速追従走行として前走車両m1に追従している。このような場面において、例えば、前走車両m1の前方の渋滞が解消された場合、場面(B)に示すように、前走車両m1が加速すると、低速追従走行の実行条件が満たされなくなる。これを受けて、行動計画生成部323は、外界認識部321により認識された周辺車両の中から、隣接車線上に存在する追従対象車両の候補を特定する。図示の例では、左側隣接車線L2に存在する車両m2と、右側隣接車線L3に存在する車両m3とが共に所定速度以下で走行しているため、行動計画生成部323は、これらの車両m2、m3を新たな追従対象車両の候補として特定する。行動計画生成部323は、追従対象車両の候補として特定した各車両と自車両Mとの相対距離を求め、より相対距離が短い車両を、新たな追従対象車両に決定する。図示の例では、車両m2および車両m3は同程度の速度であり、車両m2に比して車両m3の方が自車両Mに近いため、車両m3が新たな追従対象車両に決定される。すなわち、行動計画生成部323は、車両m3の後方に車線変更ターゲット位置TAsを設定し、自車両Mを自車線L1から右側隣接車線L3へと車線変更させる目標軌道を生成する。
また、行動計画生成部323は、複数の追従対象車両の候補が存在する場合、その候補の車両が存在する車線に応じて、車線変更先後に追従対象とする車両を決定してもよい。上記同様に、当該処理についても、行動計画生成部323の代わりにマスター制御部100が行ってもよい。
図30は、複数の追従対象車両の候補が存在する場面例を模式的に示す図である。図中L1およびL2は本線を表し、L3は本線から分岐する分岐車線を表している。例えば、自車両Mの目的地が本線の延長線上に存在する場合、分岐車線L3に沿って走行した場合目的地に到達しない。この場合、行動計画生成部323は、分岐車線L3に所定速度以下で走行する車両を追従対象車両の候補から除外する。そして、行動計画生成部323は、残りの追従対象車両の候補の中から車線変更先後に追従対象とする車両を決定する。図示の例では、追従対象車両の候補である車両m2および車両m3のうち、分岐車線L3に存在する車両m3が除外される。従って、車両m2が新たな追従対象車両に決定される。このような処理によって、第3の度合の運転支援を継続するために車線変更した場合であっても、目的地と異なる地点に進行してしまうのを防ぐことができる。
また、行動計画生成部323は、複数の追従対象車両の候補が存在する場合、その候補の車両が走行する予定の経路と、自車両Mが目的地に到達するまでの経路とを比較し、比較対象である互いの経路の共通度に基づいて、車線変更先後に追従対象を決定してもよい。上記同様に、当該処理についても、行動計画生成部323の代わりにマスター制御部100が行ってもよい。
図31は、複数の追従対象車両の候補が存在する場面例を模式的に示す図である。例えば、通信装置20は、DSRC等を利用した車車間通信によって直接各周辺車両から走行予定の経路を示す経路情報を取得したり、外部サーバを介して間接的に各周辺車両から経路情報を取得したりする。行動計画生成部323は、通信装置20によって取得された各経路情報が示す経路のうち、追従対象車両の候補として選ばれた車両の走行予定の経路と、ナビゲーション装置50の経路決定部53により決定された自車両Mの目的地までの経路とを比較する。図示の例では、自車両Mは目的地Aに、左隣接車線L2に存在する追従対象車両の候補の車両m2は目的地Bに、右隣接車線L3に存在する追従対象車両の候補の車両m3は目的地Cに向けて走行していることを示している。車両m2の走行予定経路と、自車両Mの走行予定経路とを比較した場合、現在地点Oから地点Bまでは経路が共通している。また、車両m3の走行予定経路と、自車両Mの走行予定経路とを比較した場合、現在地点Oから地点Aまでは経路が共通している。そのため、車両m3の走行予定経路に比して車両m2の走行予定経路の方が自車両Mの走行予定経路と共通度が高くなる。このような場合、行動計画生成部323は、より共通度の高い車両(図示の例ではm2)を新たな追従対象車両に決定する。これによって、より長い間、第3の度合の運転支援を継続することができる。
次に、場面(7)〜(9)について説明する。図32は、第2の度合の運転支援から手動運転による走行に切り替わるまでの各種場面を示す図である。図32の例において、場面(7)は、自車両Mが行動計画に基づき高速道路を抜けるための車線変更を行う場面である。場面(8)は、自車両Mが手動運転に切り替わる場面である。場面(9)は、自車両Mが手動運転により高速道路から一般道路へ移動する場面である。以下場面(7)〜(9)のそれぞれの場面に対応する表示制御について説明する。
<場面(7)>
場面(7)では、自動運転制御ユニット300は、自車両Mが左側に車線変更するための運転支援を実行する。この場合、HMI制御部120は、第1の表示部450またはHUD460の一方または双方に、運転支援に対応する画面を表示する。なお、車線変更の開始時および実行時における表示例については、図16および図17に示す自車両Mの右車線への車線変更の内容を、左車線への車線変更に置き換えて同様の表示を行うため、ここでの具体的な説明は省略する。
<場面(8)>
場面(8)では、自動運転制御ユニット300は、自車両Mが手動運転に切り替わるための制御を行う。この場合、HMI制御部120は、第1の表示部450またはHUD460の一方または双方に、乗員に手動運転を実行させるための画像を表示する。
図33は、手動運転時への切り替え要求時に表示される第3画面IM3−10、第4画面IM4−10の一例を示す図である。HMI制御部120は、高速道路の出口が近づいているため、第3画面IM3−10の周辺検知情報表示領域600−10に、乗員にハンズオン(ステアリングホイール82を操作させること)を要求する旨の要求動作通知画像628を表示させる。また、HMI制御部120は、要求動作通知画像628として、ステアリングホイール82を示す画像から乗員の手を示す画像が近づいていくようなアニメーションを表示させてもよい。
また、HMI制御部120は、第3画面IM3−10の運転支援状態表示領域620−10に、第2の度合の運転支援に対応する「Hands OFF」の画像、および第1の度合の運転支援に対応する「Assist」の画像をハイライト表示させる。
ここで、操作子状態判定部130は、乗員がハンズオン状態であるか否かを判定する。HMI制御部120は、所定時間経過しても操作子状態判定部130により乗員がハンズオン状態であると判定されない場合に、第1の表示部450またはHUD460の一方または双方に、例えば図34に示すような段階的に警告を強めて乗員に手動運転を実行させるための画像を表示させる。
図34は、乗員に手動運転を実行させるための警告を強めた第3画面IM3−11および第4画面IM4−11の一例を示す図である。HMI制御部120は、例えば、第3画面IM3−11の運転支援状態表示領域600−11に、自車両Mの周辺状況の表示よりも強調して、乗員に監視させる監視対象や操作対象を示唆する情報を表示させる。具体的には、HMI制御部120は、第3画面IM−11の運転支援状態表示領域600−11に、自車両Mの前方の道路形状を示す画像や自車両Mを示す画像、自車両Mの将来の軌道を示す画像に代えて、乗員のステアリングホイール82を操作させることを示す情報を重畳して表示させる。
また、HMI制御部120は、第4画面IM4−11に、ステアリングホイール82と乗員の手との位置関係を模式的に示す要求動作通知画像660を表示させる。HMI制御部120は、要求動作通知画像660として、乗員の手を示す画像がステアリングホイール82を示す画像に近づいて操作するようなアニメーションを表示させてもよい。また、HMI制御部120は、乗員にステアリングホイール82を操作させるために、音声等による警告を行ってもよい。
また、HMI制御部120は、乗員にステアリングホイール82を操作させるために、ステアリングホイール82に設けられた発光部430R、430Lを発光させたり、点滅させたり、発光を停止させたりする。これにより、運転支援の度合の変化に伴って乗員に要求する内容を、乗員に認識し易くすることができる。
また、HMI制御部120は、例えば、自車両Mの運転支援の度合に応じて発光部430R、430Lを発光、点滅させている状態で、乗員にハンズオンを要求する場合には、発光部430R、430Lの発光状態を、現在の発光状態とは異ならせる。例えば、HMI制御部120は、現在の発光状態に対して、発光部430R、430Lの発光、点滅、発光色、発光輝度のうち、少なくとも一つを異ならせる。
また、HMI制御部120は、運転支援の度合が現在の運転支援の度合よりも低い度合に変化する場合に、発光部430R、430Lを発光、点滅、または発光を停止させる。これにより、ステアリングホイール82を操作させる必要性が高い運転支援であることを乗員に伝えることができる。
また、HMI制御部120は、乗員にハンズオンを要求した後、所定時間を経過するまでに操作子状態判定部130によりハンズオン状態であると判定されない場合、段階的に警告を強めてスピーカに音声を出力させてもよい。HMI制御部120は、乗員が着座するシートまたはシートベルトを振動させるアクチュエータを作動させて、シートまたはシートベルトを段階的な強さで振動させることで、乗員に警告してもよい。
また、図34に示す画像を表示してから所定時間を経過するまでに操作子状態判定部130によりハンズオン状態であると判定されない場合、HMI制御部120は、図35に示すように、運転支援(自動運転制御)を終了する旨の画面を表示する。
図35は、自動運転を終了する旨の情報を表示する第3画面IM3−12および第4画面IM4−12の一例を示す図である。HMI制御部120は、第3画面IM−12の運転支援状態表示領域600−12に、自車両Mの前方の道路形状を示す画像や自車両Mを示す画像、自車両Mの将来の軌道を示す画像に重畳して、テイクオーバーを要求する情報を表示させる。テイクオーバーの要求とは、運転支援を終了させて手動運転を開始させるために、乗員に運転操作子80の操作(ハンズオンを含む)を要求することをいう。また、HMI制御部120は、第3画面IM3−12の運転支援状態表示領域620−12に、「Hands Off」の画像がハイライト表示されるが、図34に示すハイライト表示とは異なる色等でハイライト表示させてもよい。
また、第4画面IM4−12には、ステアリングホイール82と乗員の手との位置関係を模式的に示す要求動作通知画像660が表示される。また、HMI制御部120は、乗員にステアリングホイール82を操作させるために、図35に示す第3画面IM3−11および第4画面IM4−12を表示させることで警告したのに比べてより強めに警告を行ってもよい。
また、HMI制御部120は、例えば、第1の表示部450に第3画面IM3−12を表示し、HUD460に第4画面IM4−12を表示するタイミングでシートやシートベルトを振動させるアクチュエータを作動させることで、シートまたはシートベルトの少なくとも一方を振動させてよい。この場合、HMI制御部120は、第3画面IM3−11および第4画面IM4−11を表示させたときの振動に比して強い振動になるように、アクチュエータを作動させてもよい。これにより、乗員は、自動運転が終了することを直感的に把握することができる。
また、図35に示す画面を表示してから所定時間を経過するまでに操作子状態判定部130によりハンズオン状態であると判定されない場合、マスター制御部100は、自動運転制御ユニット300に代替制御を実行させる。この場合、HMI制御部120は、図36に示すように、代替制御を実行するための自動運転を実行する旨を示す画面を表示する。
図36は、代替制御時における第3画面IM3−13および第4画面IM4−13の一例を示す図である。第3画面IM−12の運転支援状態表示領域600−13には、代替制御として自車両Mを停車させる旨の情報(図中では「緊急停止、運転操作を交代してください」)が表示される。
<場面(9)>
場面(9)では、乗員がステアリングホイール82を操作する旨の指示を受けて、運転支援が終了するまでにステアリングホイール82を操作し、手動運転を開始して、高速道路から一般道路に進入する場面である。切替制御部110は、自車両Mの走行状態を、乗員の手動運転によって行う状態に切り替える。HMI制御部120は、第1の表示部450に第1画面IM1−1を表示し、HUD460に第2画面IM2−1を表示するように制御する。
<場面(7)〜(9)に対応する処理フロー>
図37は、場面(7)〜(9)において、マスター制御部100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、HMI制御部120は、運転支援が終了したか否かを判定する(ステップS300)。例えば、オートスイッチ314が操作されて切替制御部110が運転支援から手動運転に切り替えた場合、HMI制御部120は、運転支援が終了したと判定する。
HMI制御部120は、運転支援が終了したと判定した場合、乗員をハンズオンさせる(ステアリングホイール82を把持させる)ように要求する画面を表示する(ステップS302)。次に、操作子状態判定部130は、第1の所定時間以内に乗員がハンズオン状態となったか否かを判定する(ステップS304)。
操作子状態判定部130により第1の所定時間以内に乗員がハンズオン状態となったと判定された場合、HMI制御部120は、第1の表示部450に第1画面IM1を表示させ(ステップS306)、HUD460に第2画面IM2を表示させる(ステップS308)。
一方、ステップS304の処理において、操作子状態判定部130により第1の所定時間以内に乗員がハンズオン状態となったと判定されなかった場合、HMI制御部120は、第1の表示部450に運転支援が終了することを示す画像を表示する(ステップS310)。
次に、操作子状態判定部130は、第2の所定時間以内に乗員がハンズオン状態となったか否かを判定する(ステップS312)。
操作子状態判定部130により第2の所定時間以内に乗員がハンズオン状態となったと判定された場合、HMI制御部120は、上述したステップS306に処理を移す。
一方、操作子状態判定部130により第2の所定時間以内に乗員がハンズオン状態となったと判定されなかった場合、HMI制御部120は、HMI制御部120は、第1の表示部450に代替制御が実行される旨の画像を表示する(ステップS314)これにより、本フローチャートの処理は終了する。
<運転支援に関連する各種機器または制御の切り替えタイミング>
以下、自車両Mの運転支援に関連する各種機器または制御の切り替えタイミングについて図を用いて説明する。図38は、運転支援に関連する各種機器または制御の切り替えタイミングについて説明するための図である。
図38では、運転支援に関連する切り替えとして、(A)メインスイッチ412のオン/オフ、(B)オートスイッチ414のオン/オフ、(C)手動運転表示のオン/オフ、(D)運転支援モード表示のオン/オフ、(E)第1の度合の運転支援のオン/オフ、(F)ステアリングホイール82を把持している/把持していない、(G)第2の度合の運転支援のオン/オフ、(H)第3の度合の運転支援のオン/オフ、(I)乗員の運転監視の要/不要の時刻の経過に対する切り替えタイミングを示している。
時刻T0では、乗員の手動運転により自車両Mが走行している。この場合、メインスイッチ412およびオートスイッチ414は操作されておらず、第1の表示部450およびHUD460には、手動運転での画面(第1画面IM1、第2画面IM2)が表示される。また、時刻T0では、いずれの度合の運転支援も実施されていないことから、必然的に乗員はステアリングホイール82を操作するとともに周辺監視を行う。
時刻T1では、乗員によりメインスイッチ412をオンにする操作が実行されている。この場合、第1の表示部450およびHUD460には、運転支援モードでの画面(第3画面IM3、第4画面IM4)が表示される。時刻T1〜T2までは、運転支援による走行制御は行われておらず、手動運転が継続されている。
時刻T2では、乗員によりオートスイッチ414をオンにする操作が実行されている。この場合、マスター制御部100の切替制御部110は、運転支援の度合を第1の度合に切り替える。これにより、運転支援制御部200は、第1の度合の運転支援を実行する。HMI制御部120は、運転支援モード表示において、乗員がステアリングホイール82から手を離すことで、第2の度合の運転支援が実行されることを示す画像を表示する。
時刻T3では、自車両Mが第2の度合の運転支援が可能な状態で、乗員がステアリングホイール82から手を離している。この場合、切替制御部110は、運転支援の度合を第1の度合から第2の度合に切り替える。これを受けて、運転支援制御部200が運転支援制御を停止し、新たに自動運転制御ユニット300が第2の度合の運転支援(すなわち自動運転制御)を開始する。
時刻T4では、例えば、低速追従走行の開始条件が成立し、切替制御部110が運転支援の度合を第3の度合に切り替える。これによって、自動運転制御ユニット300が第3の度合の運転支援として低速追従走行を開始する。これに伴って、乗員の周辺監視は不要となる。
時刻T5では、第3の度合の運転支援が終了し、第2の度合の運転支援に切り替わる。従って、乗員に周辺監視義務が課される。また、時刻T5では、第2の度合の運転支援から手動運転に切り替えるための表示が行われる。この場合、HMI制御部120は、運転支援モード表示において、乗員にステアリングホイール82を操作させるための情報を表示する。
時刻T6では、乗員がステアリングホイール82を操作しハンズオン状態となる。この場合、切替制御部110は、運転支援の度合を第2の度合から第1の度合に切り替える。これによって、自動運転制御ユニット300が第2の度合の運転支援を停止し、運転支援制御部200が第1の度合の運転支援を開始する。このとき、切替制御部110は、第1の度合の運転支援が所定時間経過された後、手動運転に切り替えてよい。
時刻T7では、自車両Mが手動運転に切り替わっている。この場合、メインスイッチ412およびオートスイッチ414は、例えば、自車両Mが手動運転に切り替わるタイミングでオフ状態に切り替わる。
以上説明した実施形態によれば、自車両Mの周囲に存在する周辺車両を認識する外界認識部321と、外界認識部321による認識結果に基づいて、自動運転制御を実行する自動運転制御ユニット300と、自動運転制御ユニット300に自動運転制御を実行させる運転支援を、第2の度合の運転支援と第3の度合の運転支援とを含む複数の運転支援のいずれかに切り替える切替制御部110と、を備え、切替制御部110が、外界認識部321により認識された周辺車両の中で、自車線において自車両Mの前方の所定距離以内に存在し、且つ所定速度以下である条件を満たす追従対象車両が存在する場合、運転支援の度合を第3の度合に切り替え、自動運転制御ユニット300が、第3の度合の運転支援を行う際に、追従対象車両が条件を満たさなくなった場合に、隣接車線上において、新たな追従対象車両の候補となる所定速度以下の周辺車両が存在する場合、自車両Mを、その周辺車両の後方へと自車両Mを車線変更させることにより、より乗員の意思に忠実な制御態様の自動運転を実行することができる。
また、上述した実施形態によれば、隣接車線に所定速度以下の複数の周辺車両が存在する場合、各周辺車両と自車両Mとの相対距離や経路の共通度に基づいて追従対象車両を決定するため、より効率良く自動運転制御を実施することができる。
また、上述した実施形態によれば、追従対象車両の候補の中から自車両Mの目的地に至らない車線に存在する候補車両を除外して、残りの車両の中から新たな追従対象車両とする車両を決定するため、処理負荷を軽減させながら、より乗員の意思に忠実な制御態様の自動運転を実行することができる。
以下、上述した実施形態の変形例について説明する。図39は、実施形態の変形例における車両システム2の構成図である。変形例の車両システム2のマスター制御部100Aは、例えば、上述した切替制御部110、HMI制御部120、操作子状態判定部130、および乗員状態監視部140に加えて、更に予測部150を備える。なお、予測部150は、運転支援制御部200や自動運転制御ユニット300が備える構成であってもよい。
予測部150は、第3の度合の運転支援を継続するために、行動計画生成部323によって隣接車線の車両が新たな追従対象車両として決定された場合、その追従対象車両の将来の速度や位置といった状態を予測する。行動計画生成部323は、この予測部150の予測結果に基づいて、新たな追従対象車両として決定した隣接車線の車両の後方への車線変更を実施するか否かを決定する。
図40は、複数の追従対象車両の候補が存在する場面例を模式的に示す図である。図示の例では、各追従対象車両の候補である車両m2および車両m3のそれぞれと、自車両Mとの相対距離から、自車両Mに近い方の車両m3が新たな追従対象車両に決定されている。このような場合、予測部150は、車両m3の過去の状態に基づいて、将来の状態を予測する。
図41は、状態予測の方法を説明するための図である。図中縦軸は車両の速度を表し、横軸は時刻を表している。例えば、現時刻t0までに、外界認識部321が車両m3の過去の速度を所定周期で認識していたとする。この場合、予測部150は、最小二乗法などの数値解析手法を用いて、車両m3の過去の速度を実測値とした近似曲線を導出し、この導出した近似曲線によって将来のある時刻t1の速度を外挿により導出する。例えば、行動計画生成部323は、現時刻t0において所定速度以下である車両m3が、将来のある時刻t1において所定速度を超えている場合、自車両Mを車両m3の後方へと車線変更させる目標軌道の生成を中止し、自車線L1を維持するための目標軌道を生成する。これによって、車線変更した後に追従対象車両が加速し、第3の度合の運転支援が直ぐさま中断されてしまうといった状況を回避することができる。
なお、予測部150は、行動計画生成部323によって新たな追従対象車両として決定されなかった他の追従対象車両の候補についても将来の状態を予測してもよい。例えば、予測部150は、図41に示すように、将来のある時刻t1における車両m2の速度を導出する。図示の例では、予測部150が、将来のある時刻t1における車両m2の速度が所定速度以下であることを予測している。すなわち、予測部150が、将来のある時刻t1において、追従対象車両とした車両m2が追従対象車両となり得るための条件を満たさなくなることを予測している。このような場合、行動計画生成部323は、自車両Mを車両m3の後方へと車線変更させる目標軌道の生成を中止し、将来のある時点t1でも所定速度を上回らない車両m3の後方へと車線変更させる目標軌道を生成する。これによって、第3の度合の運転支援をより長く継続させることができる。
また、上述した例では、予測部150が、将来の状態として速度を予測したがこれに限られず、走行車線に対する車両の位置を予測してもよい。例えば、予測部150によって、走行車線に対する車両の位置の変化から、追従対象車両の候補である車両が現在の車線を逸脱して他車線へと移動することが予測された場合、行動計画生成部323は、この車両の後方へと車線変更させる目標軌道の生成を中止し、自車線L1を維持するための目標軌道を生成してよい。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。