JP6938192B2 - 記録媒体 - Google Patents
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Description
<記録媒体>
本発明の記録媒体は、基材と、少なくとも1層のインク受容層とを有する。本発明において、記録媒体は、インクジェット記録方法に用いるインクジェット用記録媒体であることが好ましく、水性インクのインクジェット用記録媒体であることがより好ましい。
記録媒体の表面粗さは、記録媒体に求める光沢の度合いによって、適宜調整すればよい。なお、記録媒体の表面粗さを調整する方法としては、例えば、記録媒体の基材等の表面を特定の凹凸を有するロールで押し付けて凹凸を設け、該凹凸面上にインク受容層用塗工液を塗工する方法や、インク受容層用塗工液を塗工してインク受容層を形成した後、該インク受容層表面を特定の凹凸を有するロールで押し付け、凹凸を設ける方法などが挙げられる。また、インク受容層に含有させる無機粒子の粒径によって表面粗さを制御したり、インク受容層の表面にさらに無機粒子を含む層を設け、その層中の無機粒子の粒径や層の被覆率によって表面粗さを制御したりしてもよい。以下、代表的な記録媒体について、好ましい表面粗さを記載する。
記録媒体を光沢紙とする場合、記録媒体の表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaは、0.13μm以下であることが好ましい。Raは、0.05μm以上0.13μm以下であることがより好ましく、0.10μm以上0.13μm以下であることが特に好ましい。
記録媒体を半光沢紙とする場合、記録媒体の表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaは、5.0μm以下であることが好ましい。Raは、0.10μm以上5.0μm以下であることがより好ましく、0.50μm以上5.0μm以下であることが特に好ましい。
記録媒体をマット紙とする場合、記録媒体の表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaは、1.0μm以上10.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以上5.0μm以下であることがより好ましい。また、記録媒体をマット紙とする場合、記録媒体の表面のJIS B 0601:2001で規定される粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqが、0.3μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。
[基材]
基材としては、記録媒体用として既に利用されているもの、あるいは記録媒体用として利用可能であり、インク受容層の支持体として機能できるものであれば制限なく利用することができる。基材としては、基紙のみから構成されるもの、プラスチックフィルムのみから構成されるもの、クロスのみから構成されるものが挙げられる。また、基材として、複数の層を設けたものを用いてもよい。具体的には、基紙と樹脂層を有するもの、すなわち、樹脂被覆基材が挙げられる。本発明においては、記録媒体を屋外掲示用として使用する観点から、樹脂被覆基材、プラスチックフィルム、クロスを基材として用いることが好ましい。
(基紙)
基紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロン及びポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹溶解パルプ(LDP)、針葉樹溶解パルプ(NDP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記木材パルプの中でも、短繊維成分の多いLBKP、LBSP、NBSP、LDP、NDPを用いることが好ましい。パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましい。また、漂白処理を行うことにより白色度を向上させたパルプも好ましい。なお、基紙中には、サイズ剤、白色顔料、紙力増強剤、蛍光増白剤、水分保持剤、分散剤、柔軟化剤などを適宜添加してもよい。
樹脂層は、基紙の片面のみに設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。本発明においては、樹脂層は、基紙の両面に設けられていることが好ましい。また、基紙が樹脂で被覆されている場合は、樹脂層は基紙の表面の一部を被覆するように設けられていればよい。樹脂層の被覆率(樹脂層で被覆された基紙の表面の面積/基紙の表面の全面積)は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%であること、すなわち、基紙の表面の全面が樹脂層で被覆されていることが特に好ましい。
本発明において、プラスチックは、重量平均分子量10,000以上の高分子を50質量%以上成分として含むものを意味し、プラスチックフィルムとは、プラスチックをフィルム状に加工したものを意味する。プラスチックフィルムに用いられるプラスチックは、熱可塑性プラスチックである。熱可塑性プラスチックとしては、具体的には、ビニル系プラスチック、ポリエステル系プラスチック、セルロースエステル系プラスチック、ポリアミド系プラスチック、耐熱エンジニアリングプラスチックが挙げられる。
本発明において、クロスは、多数の繊維を薄く広い板状に加工したものを意味する。繊維の種類としては、天然繊維、天然繊維の性質を持つ材質又はプラスチックから再生される再生繊維、及び石油などの高分子を原料とする合成繊維が挙げられる。天然繊維としては、木綿、絹、麻、モヘヤ、ウール、カシミヤが挙げられる。また、再生繊維としては、アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステルが挙げられる。さらに、合成繊維としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタンが挙げられる。
本発明において、インク受容層は単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。また、インク受容層は、前記基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。基材の片面におけるインク受容層の厚さは、15μm以上60μm以下であることが好ましく、25μm以上50μm以下であることがより好ましく、30μm以上45μm以下であることが特に好ましい。
本発明において、インク受容層が含有する無機粒子は、1次粒子同士が集合することで、多数の1次粒子からなる2次粒子となる。さらに、2次粒子同士をバインダーによって結着させることにより、インク受容層が形成される。しかし、バインダーの一部が、無機粒子の1次粒子間の細孔に吸収されてしまう現象がある。無機粒子の1次粒子間の細孔に吸収されるバインダーの量が多い場合には、バインダーとしての結着力が低下するだけでなく、無機粒子の1次粒子間の細孔がバインダーによって埋まってしまうため、インク受容層のインク吸収性が低下する。特に、本発明では、アクリル樹脂、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のバインダーを用いることから、1次粒子間の細孔に吸収されるバインダーの量が多い場合には、インク吸収性の低下が顕著である。また、前記バインダーのもたらすべき撥水効果も低下してしまう。そこで、バインダーの、無機粒子の1次粒子間への吸収を抑えるために、インク受容層に用いる無機粒子は、以下の構成を有することが好ましい。
次いで、上記工程により得られたシリカヒドロゲルを水洗して、シリカヒドロゲルに含まれる無機酸塩を除去する。その後、得られたシリカヒドロゲルに対して水熱処理を行う。このとき、水熱処理に用いる水のpH、温度及び時間の設定に応じて、シリカゲルの平均細孔径及び吸油量を調整することができる。例えば、上記シリカヒドロゲルに対し、pH2〜10、温度20〜100℃の水を用いて水熱処理を行うと、平均細孔径及び吸油量が増大する。なお、シリカゲルの物性のバランスを考慮すれば、pH2〜8、温度40〜90℃で水熱処理することが好ましい。
次に、このシリカヒドロゲルを、数μmの平均二次粒子径を持つシリカ粒子となるようにボールミルなどで粉砕して粒状とし、温度100〜1000℃で、1〜100秒間乾燥することにより、ゲル法シリカが得られる。
本発明において、バインダーとは、無機粒子を結着し、被膜を形成することができる材料を意味する。そして、本発明において、バインダーは、カチオン性またはノニオン性のアクリル樹脂、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。本発明において、アクリル樹脂、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂は、インク受容層用の塗工液において樹脂粒子の状態(エマルションの状態)で用いられることが好ましい。
(1)アクリル樹脂
本発明において、アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステルの重合体を意味する。(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとして用いるのであれば、単重合体でも、その他のモノマーとの共重合体であってもよい。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
本発明において、ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を有する樹脂を意味する。本発明において、バインダーがウレタン樹脂を少なくとも1種含む場合、該ウレタン樹脂は、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である。以下、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂をまとめて、単に「ウレタン樹脂」ともいう。
具体的に、ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネートなどの脂環式イソシアネートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、インク受容層は、少なくとも1種の界面活性剤を含有する。また、該界面活性剤の少なくとも1種は、アセチレン系界面活性剤である。なお、本発明において、アセチレン系界面活性剤とは、分子中にアセチレン構造を有する界面活性剤をいう。アセチレン系界面活性剤としては、アセチレングリコール、アセチレンモノオール類、アセチレンジオール類、エトキシレートアセチレンジオール等のアセチレンアルコール類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
HLB値=(親水基の分子量/界面活性剤全体の分子量)×20
記録媒体を屋外に展示した場合の雨水等の影響によるかびの発生を抑制するために、本発明の記録媒体のインク受容層は、防かび剤を含むことが好ましい。また、防かび剤の水への溶解度は、1質量%以下であることが好ましい。防かび剤の水への溶解度が1質量%以下であることにより、インク受容層に浸透した水に防かび剤が溶解することによる、防かび剤のインク受容層からの流出を抑制し、防かび性の低下を抑制することができる。なお、防かび剤の水への溶解度は、25℃で測定された値である。
また、インク受容層中における防かび剤の含有量は、インク受容層の全質量に対して0.05質量%以上3質量%以下であることが好ましい。
ピリジン系化合物として、例えば、ナトリウムオマジン化合物、2,2’−ジチオビス(ピリジン−1−オキサイド)等が挙げられる。
ベンゾイミダゾール系化合物としては、具体的には、メチル−2−ベンゾイミダゾールカルバメート(慣用名:カルベンダジム)、エチル−2−ベンゾイミダゾールカルバメート、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール等が挙げられる。
本発明において、インク受容層は、上記以外のその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、具体的には、架橋剤、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、耐水化剤、インク定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
架橋剤としては、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、チタン系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、ホウ酸塩、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物などが挙げられる。
また、インク定着剤として、上記アクリル樹脂やウレタン樹脂以外のカチオン性樹脂や、多価金属塩を含有することが好ましい。カチオン性樹脂としては、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリアミン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリジアリルアミン系樹脂、ジシアンジアミド縮合物などが挙げられる。多価金属塩としては、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物などが挙げられる。これらの中でも、カルシウム化合物が好ましく、硝酸カルシウム四水和物がより好ましい。
本発明において、インク受容層は、該インク受容層の表面に水を接触させてから60秒後におけるインク受容層の表面に対する水の接触角が40度以上80度以下であることを特徴とする。接触角の測定は、DAT(自動吸収特性試験機、製品名:1100DAT機、FIBRO社製)などを用いて行うことができる。具体的には、インク受容層の表面に4μlの純水を滴下し、滴下後の状態をビデオ撮影する。そして、必要な時間が経過した後に、ビデオ画像から、インク受容層の表面に対する液滴(水)の接触角を測定する。
本発明において、記録媒体の製造方法は、特に限定されないが、インク受容層用の塗工液を調製する工程、及び、該塗工液を基材に塗工する工程を有する方法が好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
基材として、ポリプロピレン合成紙であるニューユポ(登録商標)FGS110(製品名、ユポコーポレション製、厚さ:110μm)を用意した。
純水中に、それぞれ、表1に記載の無機粒子(いずれも湿式法シリカ)を添加した後、ミキサーで30分間撹拌し、固形分の含有量が15.0質量%である無機粒子分散液I〜IIIを調製した。
表2のとおり、無機粒子分散液I〜IIIと、バインダーと、界面活性剤とを、それぞれの乾燥固形分の質量比が、無機粒子/バインダー/界面活性剤=60/35/1.2となるように配合し、固形分20質量%の塗工液A〜Sを調製した。
なお、塗工液Iに使用したバインダーは、ポリビニルアルコールとアクリルの乾燥固形分の質量比が、PVA235/モビニール7720=18/82となるように調整した。また、塗工液Jに使用したバインダーは、ポリビニルアルコールとアクリルの乾燥固形分の質量比が、PVA235/モビニール7720=24/76となるように調整した。また、塗工液Kは、界面活性剤として、アセチレン系界面活性剤1.2(乾燥固形分の質量比)に、さらにポリエーテル変性シリコーン界面活性剤0.4(乾燥固形分の質量比)を添加して調製した。
また、塗工液Qに使用したバインダーは、ポリビニルアルコールとアクリルの乾燥固形分質量比が、PVA235/モビニール7720=34/66となるように調整した。
なお、表2中のバインダーB1〜B7、及び界面活性剤C1〜C6として用いた製品の製品名及び製造元は以下のとおりである。
B1;ポリカーボネート変性ウレタン(製品名:ハイドランWLS210、DIC株式会社、Tg:−15℃)
B2;ポリエーテル変性ウレタン(製品名:ハイドランWLS201、DIC株式会社、Tg:−50℃)
B3;カチオン性アクリル(製品名:モビニール7820、日本合成化学株式会社、Tg:4℃)
B4;ノニオン性アクリル(製品名:モビニール7720、日本合成化学株式会社、Tg:4℃)
B5;アニオン性アクリル(製品名:ボンロンT−733、三井化学株式会社、Tg:23℃)
B6;ポリビニルアルコール(製品名:PVA235、株式会社クラレ)
B7;ポリエステル(製品名:エリーテルKT−9204、ユニチカ株式会社、Tg:19℃)
C1;アセチレングリコール(製品名:オルフィンE1004、HLB:9、日信化学工業株式会社)
C2;アセチレングリコール(製品名:サーフィノール420、HLB:4、日信化学工業株式会社)
C3;アセチレングリコール(製品名:サーフィノール440、HLB:8、日信化学工業株式会社)
C4;アセチレングリコール(製品名:サーフィノール465、HLB:13、日信化学工業株式会社)
C5;ポリエーテル変性シリコーン(製品名:FZ2104、HLB:9、東レ・ダウコーニング株式会社)
C6;アセチレンアルコール(製品名:サーフィノール61、HLB:6、日信化学工業株式会社)
なお、これらの界面活性剤は、いずれも乾燥固形分が100質量%、すなわち、有効成分含有量が100質量%の界面活性剤であるため、「界面活性剤の質量=乾燥固形分の質量」として計算した。
[実施例1]
上記塗工液Aを、上記基材上に、乾燥塗工量が25g/m2となるように塗工し、115℃の熱風で乾燥して、インク受容層を形成した。これにより、実施例1に係る記録媒体を得た。得られた記録媒体について、FIBRO社製の1100DAT機を用いて、インク受容層の表面に水を接触させてから60秒後におけるインク受容層表面に対する水の接触角を測定した。結果を表2に示す。
塗工液を、表2に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様に、実施例2〜14及び比較例1〜5に係る記録媒体を作製し、実施例1と同様にインク受容層の表面に水を接触させてから60秒後におけるインク受容層表面に対する水の接触角の測定を行った。結果を表2に示す。なお、実施例8は参考例を示す。
実施例1〜14及び比較例1〜5で得られた記録媒体について、インク吸収性及びインク受容層の耐久性を、以下の方法により評価した。評価結果を表2に示す。なお、本発明においては、下記の各評価の評価基準のうち、A〜B−を好ましいレベルとし、Cを許容できないレベルとした。
各記録媒体に、インクジェット記録装置を用いて、120%デューティのシアンインクのベタ画像を記録し、記録直後のインクの吸収具合を目視で観察した。インクジェット記録装置としては、imagePROGRAF iPF6400(製品名、キヤノン製)を使用し、インクタンクPFI−106(製品名、キヤノン製)を装着して記録した。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:50%とした。なお、上記インクジェット記録装置は、解像度1200dpi×1200dpiで1/1200インチ×1/1200インチの単位領域に、約4.5ngのインクを1滴付与する条件で記録された画像を、記録デューティが100%であると定義するものである。評価基準は以下のとおりである。
A:印字後2秒以内にインクが吸収された。
B:印字後2秒超え、5秒以内にインクが吸収された。
B−:印字後5秒超え、8秒以内にインクが吸収された。
C:印字後8秒を超えてもインクが吸収されなかった。
各記録媒体を、ISO18930に準じた屋外耐候加速試験方法を用いて200時間暴露し、耐久試験を行った。そして、この耐久試験後のインク受容層の膜強度を測定することにより、インク受容層の耐久性を評価した。インク受容層の膜強度の測定は、次のように行った。耐久試験後の記録媒体のインク受容層の表面に、黒紙(製品名:ニューカラーR、リンテック製)を75g/cm2の荷重をかけて押し付け、学振型摩擦堅牢度試験機(製品名:AB−301 COLOR FASTNESS RUBBING TESTER、テスター産業製)にて20回往復させた。そして、インク受容層表面と接触しない黒紙の部分とインク受容層表面と接触した黒紙の部分の光学濃度(OD)を、光学反射濃度計500分光濃度計(X−Rite製)を用いて測定した。インク受容層の膜強度は、下式により算出される。
膜強度(%)=(インク受容層表面と接触した黒紙のOD/インク受容層表面と接触しない黒紙のOD)×100
A:膜強度が80%以上であった。
B:膜強度が65%以上80%未満であった。
B−:膜強度が55%以上65%未満であった。
C:膜強度が55%未満であった。
実施例3で調製した塗工液Cに、さらに、表3に記載の各防かび剤を添加して調製した塗工液a〜jを用いたこと以外は実施例1と同様に、実施例15〜24に係る記録媒体を作製した。得られた記録媒体について、実施例1と同様にインク受容層の表面に水を接触させてから60秒後におけるインク受容層表面に対する水の接触角の測定を行ったところ、いずれの記録媒体も、防かび剤を添加せずに作製した記録媒体と同様の結果であった。なお、防かび剤の平均粒子径は、ベックマン・コールター社製のレーザー回折散乱法粒度分布測定装置(型式:LS 13 320)によって測定した。
実施例15〜24で得られた記録媒体について、屋外掲示前のかび抵抗性、及び、屋外掲示後のかび抵抗性を、以下の方法により評価した。評価結果を表3に示す。なお、本発明においては、下記の各評価の評価基準のうち、0〜3を好ましいレベルとし、4〜5を許容できないレベルとした。
上記実施例15〜24に係る記録媒体の屋外掲示前のかび抵抗性は、それぞれ、JIS Z2911(2010)付属書Aプラスチック製品の試験方法Aに準拠したかび抵抗性試験方法(Methods of test for fungus resistance)によって評価した。なお、該かび抵抗性試験方法は、国際規格ISO 846:1997に準拠した日本工業規格である。評価基準は以下のとおりである。
0:肉眼及び顕微鏡下でかびの発育は認められない。
1:肉眼ではかびの発育が認められないが、顕微鏡下では明らかに確認できる。
2:肉眼でかびの発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%未満である。
3:肉眼でかびの発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%以上50%未満である。
4:菌糸はよく発育し、発育部分の面積は試料の全面積の50%以上である。
5:菌糸の発育は激しく、試料全面を覆っている。
上記実施例15〜24に係る記録媒体を、ISO 18930に準じた屋外耐候加速試験方法を用いて200時間暴露し、耐久試験を行った。そして、この耐久試験後の記録媒体を測定試料として用いたこと以外は、前記の屋外掲示前のかび抵抗性と同様の評価を行った。また、評価基準も屋外掲示前のかび抵抗性と同様である。
Claims (20)
- 基材とインク受容層とを有する、水性インクのインクジェット用の記録媒体であって、
前記インク受容層が、無機粒子とバインダーと少なくとも1種の界面活性剤とを含有し、かつ、
前記バインダーが、カチオン性またはノニオン性のアクリル樹脂、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、
前記界面活性剤の少なくとも1種が、アセチレン系界面活性剤であり、
前記インク受容層の表面に水を接触させてから60秒後における前記インク受容層の表面に対する水の接触角が、40度以上80度以下であることを特徴とする記録媒体。 - 前記アセチレン系界面活性剤のHLB値が10以下である請求項1に記載の記録媒体。
- 前記アセチレン系界面活性剤のHLB値が9以下である請求項1に記載の記録媒体。
- 前記アセチレン系界面活性剤のHLB値が8以下である請求項1に記載の記録媒体。
- 前記アクリル樹脂、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂のガラス転移点が20℃以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記無機粒子が湿式法シリカである請求項1〜6のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記無機粒子における細孔半径20nm以下の全細孔の細孔容積の合計に対して、細孔半径7nm以上20nm以下の細孔の細孔容積の合計が、25体積%以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記無機粒子の吸油量が、150ml/100g以上240ml/100g以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記無機粒子のBET比表面積が、380m2/g以上である請求項1〜8のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記インク受容層は、さらに防かび剤を含有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記防かび剤の水への溶解度が1質量%以下である請求項10に記載の記録媒体。
- 前記防かび剤の平均粒子径が0.1μm以上20μm以下である請求項10または11に記載の記録媒体。
- 前記防かび剤が、トリアゾール系化合物、ピリチオン系化合物、ピリジン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、シアノ臭素系化合物、カルバミン酸系化合物、イミダゾール系化合物、及びチアベンダゾール系化合物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項10〜12のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記インク受容層中における防かび剤の含有量が、インク受容層の全質量に対して0.05質量%以上3質量%以下である請求項10〜13のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記インク受容層中の前記バインダーの含有量が、前記無機粒子100質量部に対して、30質量部以上100質量部以下である請求項1〜14のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記インク受容層中の前記バインダーの含有量が、前記無機粒子100質量部に対して、50質量部以上70質量部以下である請求項1〜14のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記インク受容層中の水溶性樹脂の含有量が、前記バインダーの含有量を基準として0質量%以上24質量%以下である請求項1〜16のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記インク受容層中の水溶性樹脂の含有量が、前記バインダーの含有量を基準として0質量%以上20質量%以下である請求項1〜16のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記インク受容層中の水溶性樹脂の含有量が、前記バインダーの含有量を基準として0質量%以上15質量%以下である請求項1〜16のいずれか一項に記載の記録媒体。
- 前記基材が、樹脂被覆基材、プラスチックフィルム、またはクロスである請求項1〜19のいずれか一項に記載の記録媒体。
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