JP6896485B2 - 記録媒体 - Google Patents
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Description
従来、インク受容層の耐傷性や耐水性を改善する技術として、アクリル樹脂やウレタン樹脂などの水不溶性の樹脂をインク受容層に含有させた記録媒体が知られている(特許文献1〜5)。特許文献1には、アクリル系樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール、シリカ及びメラミン系架橋剤を特定の比率で含有するインク受容層を有する記録媒体によって、耐水性が改善することが記載されている。特許文献2には、シリカ、アクリル樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一方、及び水溶性アルミニウム塩を含有するインク受容層を有する記録媒体によって、耐水性及び耐傷性が改善することが記載されている。特許文献3には、シリカと水不溶性分散型カチオン性アクリル樹脂とを含有するインク受容層を有する記録媒体によって、耐水性が改善することが記載されている。特許文献4には、水不溶性樹脂と顔料と水溶性カチオン樹脂と界面活性剤とを含有するインク受容層を有する記録媒体によって、インク吸収性、耐水性、表面強度が改善することが記載されている。特許文献5には、樹脂フィルム上に、非晶質シリカと水不溶性樹脂と水溶性樹脂とを含有するインク受容層を有する記録媒体によって、耐水性、強度が改善することが記載されている。
したがって、本発明の目的は、インク吸収性、膜強度及び耐水性に優れるインク受容層を有する記録媒体を提供することにある。
前記インク受容層は、シリカ粒子と水不溶性樹脂を含み、
前記シリカ粒子は、
BJH法で求めた平均細孔半径をr(nm)とし、かつあまに油滴下法で測定した吸油量はV(ml/100g)とする時に、下記の式1及び2を満足し、
式1: r≦5.0(nm)
式2: 83≦V/r≦118((ml/100g)/nm)
前記水不溶性樹脂は、アクリル樹脂、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂から選択される少なくとも1種を、前記シリカ粒子の含有量に対し、30質量%〜80質量%から選択される量で含有し、
前記シリカ粒子の平均粒子径が3μm以上10μm以下であり、
前記水不溶性樹脂のガラス転移点は−50℃以上20℃以下であることを特徴とする。
インク受容層は、シリカ粒子と水不溶性樹脂を含む。
シリカ粒子は、BJH法で求めた平均細孔半径をr(nm)とし、かつあまに油滴下法で測定した吸油量はV(ml/100g)とする時に、下記の式1及び2を満足する。
式1: r≦5.0(nm)
式2: V/r≧80((ml/100g)/nm)
インク受容層が水不溶性樹脂を含むことによって、屋外掲示用途でも用いることができるような耐水性が得られる。
しかしながら、水不溶性樹脂を用いた場合、シリカ粒子を結着する能力が低く、インク受容層の膜強度が弱くなってしまう場合がある。本発明者らが検討したところ、これはシリカ粒子自体が水不溶性樹脂を吸収してしまい、本来必要とされる十分な量の樹脂がシリカ粒子の結着に利用されなくなることが原因であることが分かった。
シリカ粒子は粒子同士が集合し、樹脂により結着されることで、インク受容層が形成されている。上述の水不溶性樹脂の吸収現象とは、水不溶性樹脂がシリカ粒子の細孔に吸収される現象である。その結果、粒子間同士を結着させる水不溶性樹脂を含むバインダーの量が減り、インク受容層の膜強度が弱くなり、外力がかかった際に粒子同士が乖離しやすくなる。
シリカ粒子の平均細孔半径が大きければ大きい程、水不溶性樹脂を吸収しやすい。本発明者らが検討したところ、シリカ粒子による水不溶性樹脂の吸収を抑制するために、シリカ粒子の平均細孔半径が5.0nm以下であることが必要であることが分かった。シリカ粒子の平均細孔半径が5.0nmより大きければ、水不溶性樹脂がよりシリカ粒子の細孔に入り込みやすくなり、水不溶性樹脂の吸収される量が多くなってしまう。その結果、粒子間に残った樹脂の量が少なくなり、インク受容層の膜強度が低下してしまうこととなる。
従って、インク受容層に十分な膜強度を得るためにシリカ粒子の平均細孔半径を5.0nm以下とする場合においても、シリカ粒子にインク吸収性に寄与できる十分な細孔容積が確保されていることが重要となる。先に述べた通り、シリカ粒子の平均細孔半径を5.0nm以下とすると水不溶性樹脂の細孔内への侵入量を抑制することができるが、水不溶性樹脂のシリカ粒子の細孔への侵入による細孔の閉塞を完全に抑えることはできない。つまり、優れたインク吸収性を維持するためには、水不溶性樹脂の吸収で埋まってしまう細孔の分よりも、インク吸収性に十分な細孔容量が残っていることが必要である。
シリカ粒子の液体吸収能力は吸油量と高い相関を示す。つまりシリカ粒子の吸油量が高ければ、水不溶性樹脂を吸収しても、インクを吸収する能力が十分に維持できる。そこで、平均細孔半径が5.0nm以下であることで水不溶性樹脂の吸収を抑制し、かつ、シリカ粒子の細孔が水不溶性樹脂の一部を吸収したとしても、十分な吸油量、すなわちインク吸収性を確保できるシリカ粒子を用いることが必要となる。本発明者らは、このようなシリカ粒子を選択する条件、すなわち、平均細孔半径が5.0nm以下と小さくても、目的とするインク吸収性を得るために十分な吸油量を確保できる、式1及び式2を満たす条件を見出し、本発明を完成した。
例えば、式1及び式2で規定される条件以外の製造条件を同じとした場合、式1及び式2を満たす場合と、満たさない場合とでは以下のような特性の差が生じる。
まず、r≦5.0(nm)、V/r<80((ml/100g)/nm)のシリカ粒子の場合には、シリカ粒子の平均細孔半径が5.0nm以下であり、優れた膜強度が得られたもののV/rは80((ml/100g)/nm)より低いため、十分なインク吸収性を得られない。次に、本発明にかかるr≦5.0(nm)及びV/r≧80((ml/100g)/nm)のシリカ粒子の場合には、優れた膜強度やインク吸収性を得る事が出来る。また、r>5.0(nm)及びV/r≧80((ml/100g)/nm)のシリカ粒子の場合には、平均細孔半径が5.0nm以上より大きいため、水不溶性樹脂が多くシリカ粒子に吸収されてしまい、膜強度が低下してしまう。
以上のメカニズムを用いて説明したように、各構成が相乗的に効果を及ぼし合うことによって、本発明の効果、即ち、インク吸収性、膜強度及び耐水性の全てを高いレベルで達成することが可能となる。
<基材>
基材としては、記録媒体用として既に利用されているもの、あるいは記録媒体用として利用可能であり、インク受容層の支持体として機能できるものであれば制限なく利用することができる。基材としては、基紙のみから構成されるもの、プラスチックフィルムのみから構成されるもの、クロスのみから構成されるものが挙げられる。また、基材として、複数の層を設けたものを用いてもよい。具体的には、基紙と樹脂層を有するもの、すなわち、樹脂被覆基材が挙げられる。本発明においては、記録媒体を屋外掲示用として使用する観点から、樹脂被覆基材、プラスチックフィルム、クロスを基材として用いることが好ましい。
本発明において、基材の厚さは、50μm以上400μm以下であることが好ましく、70μm以上200μm以下であることがより好ましい。なお、本発明において、基材の厚さは、以下の方法で算出する。まず、記録媒体の断面をマイクロトームで切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察する。そして、基材の任意の100点以上の厚さを測定し、その平均値を基材の厚さとする。なお、本発明におけるその他の層や膜の厚さも、同様の方法で算出するものとする。
(基紙)
基紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロン及びポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹溶解パルプ(LDP)、針葉樹溶解パルプ(NDP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記木材パルプの中でも、短繊維成分の多いLBKP、LBSP、NBSP、LDP、NDPを用いることが好ましい。パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましい。また、漂白処理を行うことにより白色度を向上させたパルプも好ましい。なお、基紙中には、サイズ剤、白色顔料、紙力増強剤、蛍光増白剤、水分保持剤、分散剤、柔軟化剤などを適宜添加してもよい。
本発明において、基紙の厚さは、50μm以上130μm以下であることが好ましく、90μm以上120μm以下であることがより好ましい。なお、本発明において、基紙の厚さは、前記基材の厚さと同様の方法で算出するものとする。
本発明において、基紙のJIS P 8118で規定される紙密度は、0.6g/cm3以上1.2g/cm3以下であることが好ましく、0.7g/cm3以上1.2g/cm3以下であることがより好ましい。
樹脂層は、基紙の片面のみに設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。本発明においては、樹脂層は、基紙の両面に設けられていることが好ましい。また、基紙が樹脂で被覆されている場合は、樹脂層は基紙の表面の一部を被覆するように設けられていればよい。樹脂層の被覆率(樹脂層で被覆された基紙の表面の面積/基紙の表面の全面積)は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%であること、すなわち、基紙の表面の全面が樹脂層で被覆されていることが特に好ましい。
また、本発明において、樹脂層の厚さは、20μm以上60μm以下であることが好ましく、35μm以上50μm以下であることがより好ましい。樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、両面の樹脂層の厚さが、それぞれ上記範囲を満足することが好ましい。
樹脂層に用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。なお、本発明において、ポリオレフィン樹脂とは、モノマーとしてオレフィンを用いた重合体を意味する。ポリオレフィン樹脂としては、具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの単重合体や共重合体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることが好ましい。
本発明において、樹脂層は、不透明度や白色度、色相を調整するために、白色顔料や蛍光増白剤、群青等のブルーイング剤などを含有してもよい。これらの中でも、不透明度を向上することができるため、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが挙げられる。白色顔料を用いる場合、樹脂層中の白色顔料の含有量は、3g/m2以上30g/m2以下であることが好ましい。なお、樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、両面の樹脂層中の白色顔料の合計の含有量が、上記範囲を満足することが好ましい。また、樹脂層中の白色顔料の含有量は、樹脂の含有量に対して、25質量%以下であることが好ましい。白色顔料の含有量が25質量%よりも多いと、白色顔料の分散安定性が十分に得られない場合がある。
本発明において、樹脂層のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaは、0.12μm以上0.18μm以下であることが好ましく、0.13μm以上0.15μm以下であることがより好ましい。また、本発明において、樹脂層のJIS B0601:2001で規定される粗さ曲線要素の平均長さRSmは、0.01mm以上0.20mm以下であることが好ましく、0.04mm以上0.15mm以下であることがより好ましい。
本発明において、プラスチックは、重量平均分子量10,000以上の高分子を50質量%以上成分として含むものを意味し、プラスチックフィルムとは、プラスチックをフィルム状に加工したものを意味する。プラスチックフィルムに用いられるプラスチックは、熱可塑性プラスチックである。熱可塑性プラスチックとしては、具体的には、ビニル系プラスチック、ポリエステル系プラスチック、セルロースエステル系プラスチック、ポリアミド系プラスチック、耐熱エンジニアリングプラスチックが挙げられる。
ビニル系プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニデリン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂が挙げられる。ポリエステル系プラスチックとしては、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。セルロースエステル系プラスチックとしては、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレートが挙げられる。ポリアミド系プラスチックとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12が挙げられる。耐熱エンジニアリングプラスチックとしては、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、本発明においては、耐久性及びコストの観点から、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
また、本発明においては、前記プラスチックに薬品処理や表面コート、内添などの処理を施すことによって不透明度を高めた合成紙も、プラスチックフィルムとして使用することができる。薬品処理としては、プラスチックフィルムの表面を、アセトン、メチルイソブチルケトンなどの有機溶剤に浸漬させることにより膨潤層を発生させて、メタノールなどの別の有機溶剤によって膨潤層を乾燥凝固させる方法が挙げられる。表面コートとしては、炭酸カルシウムや酸化チタンなどの白色顔料及び結合剤からなる層をプラスチックの表面に形成させる方法が挙げられる。また、内添としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料を、充てん剤としてプラスチック内に混入する方法がある。さらに、ポリブチレンテレフタレート微粒子やポリカーボネート微粒子、ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂などを添加することにより、プラスチック内に空隙を形成することによって、不透明度を高めた発泡プラスチックフィルムも使用することができる。
本発明において、プラスチックフィルムの厚さは、50μm以上300μm以下であることが好ましく、75μm以上135μm以下であることがより好ましい。
本発明において、プラスチックフィルムに用いるプラスチックのガラス転移点(Tg)は、−20℃以上150℃以下であることが好ましく、−20℃以上80℃以下であることがより好ましい。なお、本発明において、ガラス転移点は、例えば、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定することができる。
本発明において、プラスチックフィルムのJIS K 7112:1999で規定されるプラスチック密度は、0.6g/cm3以上1.5g/cm3以下であることが好ましく、0.7g/cm3以上1.4g/cm3以下であることがより好ましい。本発明において、プラスチックフィルムのJIS K 7209:2000で規定される吸水率は5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
また、プラスチックフィルムを用いる場合、表面酸化処理による表面処理を行うことにより、インク受容層とプラスチックフィルムとの密着性を向上することができる。表面酸化処理としては、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて行うことができる。これらの中でも、オゾン処理が好ましい。オゾン処理による処理量は、10〜200W・分/m2が好ましく、50〜150W・分/m2がより好ましい。
(3)クロス
本発明において、クロスは、多数の繊維を薄く広い板状に加工したものを意味する。繊維の種類としては、天然繊維、天然繊維の性質を持つ材質又はプラスチックから再生される再生繊維、及び石油などの高分子を原料とする合成繊維が挙げられる。天然繊維としては、木綿、絹、麻、モヘヤ、ウール、カシミヤが挙げられる。また、再生繊維としては、アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステルが挙げられる。さらに、合成繊維としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタンが挙げられる。
<インク受容層>
インク受容層は、シート状またはフィルム状の基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。また、インク受容層は単層でもよいし、2層以上の複層でもよい。ただし、2層以上の複層のインク受容層からなる場合は、少なくとも最表層を、先に挙げた式1及び式2を満たすシリカ粒子を含むインク受容層により形成する。
基材上へのインク受容層の塗工量は、必要なインク吸収容量等によって異なり、目的とするインク受容層の特性に応じて適宜選択することができる。シリカ粒子のインク吸収性をより有効に利用し、かつ、より効果的にひび割れを防止するという観点からは、インク受容層の塗工量は、乾燥塗工量で、5g/m2以上40g/m2以下が好ましく、15g/m2以上40g/m2以下がより好ましい。
シリカは、その製法により湿式法により得られるシリカと乾式法(気相法)により得られるシリカに大別される。湿式法としては、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が知られている。一方、乾式法(気相法)としては、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)や、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が知られている。本発明においては、湿式法により得られるシリカ(以下、「湿式法シリカ」ともいう)を用いることが好ましい。湿式法シリカとしては、沈降法シリカやゲル法シリカが挙げられる。
ゲル法シリカの製造方法としては、一例として以下の方法を挙げることができる。
まず、SiO2濃度が10〜20質量%となるように珪酸塩と無機酸とを反応させて生成したシリカヒドロゾルをゲル化する。なお、珪酸塩としては、珪酸ナトリウム,珪酸カリウム,珪酸アンモニウム等が挙げられるが、工業的には珪酸ナトリウムが多く使われている。また、無機酸としては、硫酸、硝酸、塩酸等が挙げられるが、一般的には硫酸が用いられる。ここで、SiO2濃度をこの範囲にすることで均一かつ微細なシリカヒドロゲルが得られる。微細なシリカヒドロゲルを用いると、細孔半径が小さく、吸油量が高いシリカ粒子が得られやすくなる。
次いで、上記工程により得られたシリカヒドロゲルを水洗すると、シリカヒドロゲルに含まれる無機酸塩が除去される。
上記シリカヒドロゲルに対して水熱処理を行う。水熱処理には、シリカヒドロゲルの一次粒子の溶解析出が起こり、平均細孔半径及び吸油量の増大が図られる。水熱処理の好ましい温度は20〜100℃であり、40〜60℃の方が更に好ましい。水熱処理の温度が高すぎると、得られるシリカゲルの平均細孔半径が大きくなりすぎる場合がある。逆に、水熱処理の温度が低過ぎると、生成するシリカゲルは、架橋度が低く、熱安定性に乏しくなり、細孔分布にピークが発現しなくなる傾向がある。水熱処理の好ましいpHは5〜7.5である。水熱処理のpHが高い程、細孔半径が大きくなりすぎる場合があり、またpHが低いほど、処理時間が増大する傾向がある。
更にその後、pH2〜5の無機酸または有機酸で酸処理する。酸処理を行うことで、一次粒子の溶解析出が抑制され、平均細孔半径の増大が抑制されながら、吸油量の増大が図られる。
水熱処理及び酸処理はシリカ粒子の物性を決める重要な段階であり、また用いたシリカ原料及び水により、得られたシリカ物性が変わってくるため、製造の際シリカ物性を測定しながら、処理温度、pH、及び時間を最適化し、目的のシリカ物性に調整する。
次に、このシリカヒドロゲルを、数μmの平均粒子径を持つシリカ粒子となるようにボールミルなどで粉砕して粒状とし、温度100〜1000℃で、1〜100秒間乾燥することにより、シリカ粒子を製造することが出来る。
以上の製造方法における製造条件を選択することによって、先に挙げた式1及び式2を満たすシリカ粒子を得ることができる。
なお、シリカ粒子の平均細孔半径rは、記録媒体自体を測定試料として窒素吸着脱離法によって測定された窒素ガスの吸着脱離等温線より、BJH(Barrett−Joyner−Halenda)法を用いて求めることができる。具体的には、平均細孔半径とは、窒素ガス脱離時に測定される全細孔容積と比表面積から計算によって求まる値である。
膜強度の観点で、シリカ粒子の平均細孔半径が5.0nm以下であることが必要であると前に述べたが、膜強度とインク吸収性のより良好なバランスをとるという観点からは、シリカ粒子の平均細孔半径が1.5nm以上であることが好ましい。また、シリカ粒子の吸油量Vは、JIS K 5101-13に規定されるあまに油滴下法により測定することができる。
シリカ粒子(二次粒子)の平均粒子径は、目的とするインク受容層の特性に応じて適宜選択することができる。シリカ粒子のインク吸収性をより有効に利用し、かつ、より効果的に膜強度を得るという観点からは、シリカ粒子の平均粒子径(直径)は、3μm以上10μm以下であることが好ましい。
分散状態のシリカ粒子の平均粒子径は、レーザー回折法によって測定できる。記録媒体の有するインク受容層に含まれるシリカ粒子の平均細孔半径及び吸油量は、以下の方法により検証することができる。
まず、記録媒体からインク受容層を掻き取り、600℃温度で2時間加熱した後の残存物がシリカ粒子である。次に、その残存物を測定用試料として用いて、先に説明したBJH法により平均細孔半径r(nm)を、JIS K 5101-13に規定されるあまに油滴下法により吸油量V(ml/100g)を、それぞれ求めることができる。得られたr及びVの値が、先に挙げた式1及び式2を満たす場合に、インク受容層に本発明にかかるシリカ粒子が含まれていることが分かる。
尚、記録媒体を測定用試料として用いて、シリカ粒子の平均粒子径を求めることもできる。具体的には、記録媒体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した際に、粒子として認識される最小単位の粒子の直径の平均値を平均粒子径として算出する。平均値の算出は、記録媒体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、任意の100個の粒子の直径を測定し、その数平均を算出することより行う。
上記のように、作製された記録媒体からシリカ粒子の平均細孔半径、吸油量、及び平均粒子径を測定すること以外に、記録媒体の原料であるシリカ粒子を直接用いて、シリカ粒子の平均細孔半径、吸油量、及び平均粒子径を測定してもよい。
バインダーは、シリカ粒子を結着し、被膜を形成することができる材料を意味する。本発明においては、バインダーは、少なくとも水不溶性樹脂を含む。ここで、「水不溶性樹脂」とは、樹脂を80℃の温水に2時間浸漬した場合に、該樹脂の95質量%以上が残存するものを示す。
水不溶性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂から選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。水不溶性樹脂は、シリカ粒子のインク吸収性をより有効に利用し、かつ、より効果的に膜強度を得るという観点からは、シリカ粒子に対し30質量%〜80質量%の量でインク受容層に含有させることが好ましい。
より良好な膜強度を得るという観点からは、ガラス転移点が20℃以下である水不溶性樹脂から本発明の目的効果を得ることができる水不溶性樹脂を選択することが好ましい。尚、樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定することができる。
バインダーは、水不溶性樹脂のみから形成することができるが、必要に応じて、水不溶性樹脂に加えて水溶性樹脂を含んでいてもよい。水溶性樹脂としては、例えばポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、水溶性セルロースなどが挙げられる。
なお、水溶性樹脂の含有量は、耐水性の観点から、インク受容層中において、水不溶性樹脂に対し25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
(1)アクリル樹脂
本発明において、アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステルの重合体を意味する。(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとして用いるのであれば、単重合体でも、その他のモノマーとの共重合体であってもよい。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。また、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、などが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルと共重合することができるその他のモノマーとしては、ビニル系モノマーが挙げられる。具体的に、ビニル系モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、ビニル安息香酸、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、スチレンスルホン酸などのスチレン類及びその誘導体;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾン、ビニルスルホン酸などのビニルエーテル類及びその誘導体が挙げられる。
本発明においては、アクリル樹脂が、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、又は、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの共重合体であることが好ましい。中でも、ガラス転移点が比較的高いメタクリル酸エステルと、ガラス転移点が比較的低いアクリル酸エステルとの共重合体は、最終的に得られるアクリル樹脂のガラス転移点を、その共重合比率によって制御できるためより好ましい。
(2)ウレタン樹脂(ポリカーボネート変性ウレタン樹脂、ポリエーテル変性ウレタン樹脂)
本発明において、ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を有する樹脂を意味する。本発明において、バインダーがウレタン樹脂を少なくとも1種含む場合、該ウレタン樹脂は、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である。以下、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂をまとめて、単に「ウレタン樹脂」ともいう。
ウレタン樹脂は、ポリイソシアネートとポリオールと鎖延長剤とを反応させることによって得られる化合物であることが好ましい。
具体的に、ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネートなどの脂環式イソシアネートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオールとして、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル系ポリオールを使用することで、ポリエーテル変性ウレタン樹脂が得られる。また、ポリオールとして、ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネート系ポリオールを使用することで、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂が得られる。これらのポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
鎖延長剤としては、エチレングリコールなどの低分子グリコール、低分子ジアミン、低分子アミノアルコールなどの活性水素原子を含有する化合物を使用することができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(その他の添加剤)
本発明において、インク受容層は、上記以外のその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、具体的には、架橋剤、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、インク定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
架橋剤としては、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、チタン系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、ホウ酸塩、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物などが挙げられる。
また、インク定着剤として、上記アクリル樹脂やウレタン樹脂以外のカチオン性樹脂や、多価金属塩を含有することが好ましい。カチオン性樹脂としては、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリアミン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリジアリルアミン系樹脂、ジシアンジアミド縮合物などが挙げられる。多価金属塩としては、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物などが挙げられる。これらの中でも、カルシウム化合物が好ましく、硝酸カルシウム四水和物がより好ましい。
本発明において、記録媒体の製造方法は、特に限定されないが、インク受容層用の塗工液を調製する工程、及び、該塗工液を基材に塗工する工程を有する方法が好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
本発明において、基材にインク受容層を形成する方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。まず、インク受容層用の塗工液を調製する。そして、基材に該塗工液を塗工して、乾燥することにより、本発明の記録媒体を得ることができる。該塗工液の塗工量は、5g/m2以上40g/m2以下が好ましく、15g/m2以上40g/m2以下であることがより好ましい。該塗工液の塗工量が上記範囲内であることにより、インク吸収性の向上と、塗工液の塗工安定性の向上とを両立することができる。
前記塗工液の塗工方法としては、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、リバースコーター、トランスファーコーター、ダイコーター、キスコーター、ロッドコーター、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーターや、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。なお、塗工時に、前記塗工液を加温してもよい。
また、インク受容層用の塗工液の塗工に先立ち、基材の該塗工液を塗工する面に、表面処理剤を含有する表面処理液を付与してもよい。そうすることにより、該塗工液の基材への濡れ性が高まり、インク受容層と基材との密着性を向上させることができる。この場合、表面処理剤としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などの熱可塑性樹脂や、シランカップリング剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、表面処理液中には、本発明の効果を損なわない範囲で、無機粒子を含有させてもよい。無機粒子としては、酸化チタン、炭化カルシウム、シリカ、アルミナなどを用いることができる。
また、塗工後の乾燥方法としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機を使用する方法や、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機を使用する方法などが挙げられる。塗工液を乾燥する際の加熱温度は、例えば80〜130℃とすることができる。
[画像形成方法]
本発明にかかる記録媒体のインク受容層にインクを付与することで画像を形成することができる。耐候性が求められる屋外掲示用等の用途に用いる場合には、色材として少なくとも顔料を分散状態で含む顔料インクを用いることが好ましい。画像形成方法は特に限定されないが、水性顔料インクを用いるインクジェット法を用いることができ、本発明にかかる記録媒体は、インクジェット用として好適に利用可能である。
[記録媒体の作製]
<基材の用意>
基材として、ポリプロピレン合成紙であるニューユポ(登録商標)FGS110(製品名、ユポコーポレション製、厚さ:110μm)を用意した。
<シリカ粒子の準備>
シリカ粒子としては、市販品のシリカ粒子の他に、先に<シリカ粒子>の項で説明した製造方法に従って合成した合成シリカ粒子を用いた。合成シリカの製造の際、水熱処理に用いる水のpH、温度及び時間を適切にコントロールし、また適切な平均粒子径となるようにボールミルで粉砕し、表1に示す合成シリカ1〜7を製造した。
尚、使用したシリカ粒子の平均粒子径は島津製作所社製のLaser Diffraction Particle Size Analyzer SALD-2300で測定した。平均細孔半径rは島津製作所社製のMicromeritics Tristar-3000で測定された窒素ガスの吸着脱離等温線よりBJH(Barrett−Joyner−Halenda)法を用いて算出した。また、シリカ粒子の吸油量VはJIS K 5101-13に規定されるあまに油滴下法で測定した。結果は表1にまとめた。
サイリシア660(富士シリシア化学(株)社製)
サイリシア440(富士シリシア化学(株)社製)
ミズカシルP78F(水澤化学工業(株)社製)
NIPGEL BY−400(東ソー・シリカ(株)社製)
NIPGEL BY−800(東ソー・シリカ(株)社製)
シリカ粒子として、表1に示すシリカ粒子1〜12を用いて、それぞれ固形分の含有量が18.0質量%となるように、純水中に添加し、ミキサーで30分間撹拌してそれぞれシリカ分散液1〜12を調製した。
<塗工液A〜Wの調製>
下記表2の通り、シリカ分散液1〜12と水不溶性樹脂をそれぞれの固形分質量となるように調整し、水で固形分18質量%の塗工液A〜Wになるように調整した。なお、表2のシリカ分散液のカラム内の番号は表1に示すシリカ粒子の番号に相当する。また、塗工液Nでは、水不溶性樹脂を使用しない代わりに、水溶性樹脂であるPVA235(株式会社クラレ製のポリビニルアルコール)を用いた。
モビニール7820(日本合成化学工業(株)社製のアクリル樹脂)
モビニール7720(日本合成化学工業(株)社製のアクリル樹脂)
モビニール7540(日本合成製化学工業(株)社のアクリル樹脂)
ホンロンT−733(三井化学(株)社製のアクリル樹脂)
ハイドランWLS210(DIC(株)社製のポリカーボネート変性ウレタン樹脂)
ハイドランWLS201(DIC(株)社製のポリエーテル変性ウレタン樹脂)
スーパーフレックス620(第一工業製薬(株)社のポリエステル系ウレタン樹脂)
基材上に、塗工液A〜Wをバーコーターで塗工し、115℃の熱風で乾燥し、厚みが30μmのインク受容層をそれぞれ形成した。これにより、実施例1〜17、比較例1〜6の記録媒体を得た。
得られた記録媒体の耐水性、インク吸収性及び膜強度を以下の方法で評価し、評価結果を表3に示した。評価ランク3以上が実用範囲内とした。
(インク吸収性の評価方法)
記録媒体に、インクジェット記録装置imagePROGRAF iPF6400(キヤノン製)を用いて、印字モード合成紙(糊なし)標準モードでこの装置に搭載されたシアンインクを用いてベタ画像を記録した。印字直後のインクの吸収具合を目視で観察し、以下の評価基準で評価した。記録条件は、23℃/50%とした。
5:印字後3秒以内にインクが吸収された。
4:印字後3秒超え、5秒以内にインクが吸収された。
3:印字後5秒超え、8秒以内にインクが吸収された。
2:印字後8秒超え、10秒以内にインクが吸収された。
1:印字後10秒超えてもインクが吸収されなかった。
(膜強度の評価方法)
得られた記録媒体のインク受容層表面に、黒紙ニューカラーR(リンテック製)を500g/cm2の荷重をかけて押し付け、試験機を用いて同一領域内を20回往復させた。試験機としては、学辰型摩擦堅牢度試験機AB−301 COLOR FASTNESSRUBBING TESTER(テスター産業製)を用いた。上記の往復すり合わせ処理終了後、インク受容層表面と接触しない黒紙の部分とインク受容層表面と接触した黒紙の部分のOD(光学濃度)を、光学反射濃度計500分光濃度計(X−Rite製)を用いて測定した。得られた測定値から、インク受容層の膜強度を以下の計算式により求めた。
膜強度(%)=(インク受容層表面と接触した黒紙のOD/インク受容層表面と接触しない黒紙のOD)×100
膜強度は以下の基準で評価した。
5:膜強度が90%以上である。
4:膜強度が80%以上90%未満である。
3:膜強度が70%以上80%未満である。
2:膜強度が60%以上70%未満である。
1:膜強度が60%未満である
(耐水性の評価方法)
得られた記録媒体の表面に50℃の流水を48時間流して、一晩乾燥させた。耐水性は流水試験前の膜強度Saと流水試験後の膜強度Sbの差D(D=Sa−Sb)で評価した。膜強度は上記の評価方法で評価した。
耐水性は以下の基準で評価した。
5:Dが10%以下である
4:Dが10%より大きく20%以下である
3:Dが20%より大きく25%以下である
2:Dが25%より大きく30%以下である
1:Dが30%より大きい
Claims (5)
- 基材と該基材上に設けられたインク受容層を有する記録媒体であって、
前記インク受容層は、シリカ粒子と水不溶性樹脂を含み、前記シリカ粒子は、
BJH法で求めた平均細孔半径をr(nm)とし、かつあまに油滴下法で測定した吸油量はV(ml/100g)とする時に、下記の式1及び2を満足し、
式1: r≦5.0(nm)
式2: 83((ml/100g)/nm)≦V/r≦118((ml/100g)/nm)
前記水不溶性樹脂は、アクリル樹脂、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂から選択される少なくとも1種を、前記シリカ粒子の含有量に対し、30質量%〜80質量%から選択される量で含有し、
前記シリカ粒子の平均粒子径が3μm以上10μm以下であり、
前記水不溶性樹脂のガラス転移点は−50℃以上20℃以下であることを特徴とする記録媒体。 - 前記記録媒体は、インクジェット用である請求項1に記載の記録媒体。
- 前記式1が、2.2(nm)≦r≦5.0(nm)である請求項1又は2に記載の記録媒体。
- 前記インク受容層中における水溶性樹脂の含有量は、前記水不溶性樹脂に対して0質量%以上10質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録媒体。
- 前記水溶性樹脂は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及び水溶性セルロースから選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録媒体。
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