JP6937451B1 - モータコア製造方法及びモータコア製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、以下の説明で、マグネット穴が設けられている1枚の薄鋼板を「コア」と言い、このコアを所定枚数積層したものを「積層コア」と言い、この積層コアに磁石が接着固定されているものを「モータコア」と言う。
図13は従来の二液型接着剤塗布装置の斜視図であり、二液型接着剤塗布装置100は、主剤101を吐出する主剤ノズル102と、硬化剤103を吐出する硬化剤ノズル104を備えている。
二液型接着剤は、主剤と硬化剤を反応させることで接着強度が得られる。
対して、一液型接着剤は、一般に、塗布後に加熱することで、硬化し所定の接着強度が得られる。
この点、二液型接着剤は、一般に、常温で硬化し所定の接着強度が得られる。すなわち、主剤101に硬化剤103を混ぜると、硬化剤103による硬化反応(化学反応)が進行する。よって、奥まった部位で溶剤や水分が抜けにくい構造のときに二液型接着剤が適している。
図14(b)に示すように、マグネット穴109に硬化剤ノズル104を挿入し、硬化剤103を塗布する。主剤101に硬化剤103が混じると、この瞬間から硬化反応が進行する。
溢れ部分113は、不要物であるため除去する。
第1に、磁石111の挿入タイミングが遅れると、混合剤112が硬くなり、磁石111の挿入が困難になる。硬化剤103の塗布から所定時間内に磁石111の挿入を完了する必要がある。時間的な余裕がないため、モータコアの製造作業は難しくなる。
第3に、接着剤のはみ出し部分(溢れ部分113など)は、拭き取りや切除により除去する。この除去作業が煩雑である。
接着剤塗布機構により、前記コアの所定箇所に点の形態で一液型接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
加圧機構により、前記接着剤が塗布された前記積層コアに軸力を加えて広げ、前記接着剤の一部を前記磁石と前記マグネット穴との隙間に介在させつつ残部を隣り合う前記コア間に介在させる加圧工程と、
加熱機構により、前記積層コアを加熱して前記接着剤を硬化させる加熱工程とからなることを特徴とする。
接着剤塗布機構により、前記コアの所定箇所に点の形態で一液型接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
加圧機構により、前記接着剤が塗布された前記積層コアに軸力を加えて広げ、前記接着剤の一部を前記磁石と前記マグネット穴との隙間に介在させつつ残部を隣り合う前記コア間に介在させると共に加圧により前記接着剤を硬化させる加圧工程とからなることを特徴とする。
このモータコア製造装置は、
前記コアの所定箇所に点の形態で一液型接着剤を塗布する接着剤塗布機構と、
前記接着剤が塗布された前記積層コアに軸力を加えて広げ、前記接着剤の一部を前記磁石と前記マグネット穴との隙間に介在させつつ残部を隣り合う前記コア間に介在させる加圧機構と、
前記積層コアを加熱して前記接着剤を硬化させる加熱機構とを備えていることを特徴とする。
このモータコア製造装置は、
前記コアの所定箇所に点の形態で一液型接着剤を塗布する接着剤塗布機構と、
前記接着剤が塗布された前記積層コアに軸力を加えて広げ、前記接着剤の一部を前記磁石と前記マグネット穴との隙間に介在させつつ残部を隣り合う前記コア間に介在させると共に加圧により前記接着剤を硬化させる加圧機構とを備えていることを特徴とする。
前記接着剤塗布機構は、帯状薄鋼板から打ち抜きによって前記コアを得る打ち抜き装置に設置され、塗布工程が打ち抜き工程と同期していることを特徴とする。
また、接着剤は点の形態で塗布するため、押し広げてもはみ出しは起こらない。はみ出しが無ければ接着剤の全てを接合に使用できる。
また、広げた接着剤で、コア同士の接合と磁石の接着固定とが同時に行える。
よって、本発明によれば、モータコアの製造作業において、時間的な余裕があり、接着剤の無駄使いがなく、磁石の接着固定に加えてコア同士の接合が可能であるモータコア製造方法が提供される。
加えて、請求項1は加熱工程が必須であったが、請求項2は加熱工程は不要である。
結果、請求項2は、請求項1に比べて製造工程が少なくて済む。
また、接着剤は点の形態で塗布するため、押し広げてもはみ出しは起こらない。はみ出しが無ければ接着剤の全てを接合に使用できる。
また、広げた接着剤で、コア同士の接合と磁石の接着固定とが同時に行える。
よって、本発明によれば、モータコアの製造作業において、時間的な余裕があり、接着剤の無駄使いがなく、磁石の接着固定に加えてコア同士の接合が可能であるモータコア製造装置が提供される。
加えて、請求項3は加熱機構が必須であったが、請求項4は加熱機構は不要である。
結果、請求項4は、請求項3に比べてモータコア製造装置が小型になる。
打ち抜き装置20は、ベース21と、このベース21に載せられている下金型22と、この下金型22の上方に配置される上金型23と、この上金型23を支えるプレス板24と、このプレス板24を昇降すると共に下金型22に載った帯状薄鋼板41に上金型23を押圧するプレスシリンダ25とを基本要素とする。
なお、理解を容易にするために、図示を省略したが、帯状薄鋼板41は、材料を移動させる際には下金型22の上面に接触しない様に点状の接着剤を避けて配置されたピンで支持して押し上げる。更に確実に押し上げる為プレート状の部材で支持してもよい。この場合は、プレート状の部材の上面に、点状の接着剤との接触を避けるために筋状の凹溝を設ける。
スクラップ排出穴31、32の下に、スクラップコンベア33が配置され、打ち抜き工程で発生するスクラップ34、35は、スクラップ排出穴31、32を通って落下し、スクラップコンベア33で装置外へ排出される。
下降する外周パンチ28で打ち抜かれたコア42は、落下してパイリング板36に載る。複数枚のコア42が載るときに、最上位のコア42の高さが一定になるように、パイリング板36は徐々に下げられる。
2枚目以降のコア42については、塗布ガン12を実線の位置に戻し、下面に塗装を施す。
塗布ガン12の中心と内周パンチ26の中心との距離をD1とし、内周パンチ26の中心と外周パンチ28との中心の距離をD2としたときに、距離D1と距離D2は同じにする。
図3(a)に示すように、帯状薄鋼板41はコイル材のままであるが、後に想像線で示すマグネット穴44が打ち抜き形成される。
塗布ガン12に、一液型接着剤15が供給され、途中の流路は省略したが、吐出穴14から所定量吐出される。
図4に示すように、帯状薄鋼板41に、点状の接着剤15A(一液型接着剤15であるが、形状の差異を明らかにするために英文字を添えた。以下同じ)が塗布されており、加えて、マグネット穴44と中心穴45とが、打ち抜き形成されている。
セット台53に載せられた積層コア43のマグネット穴44に、ロボットハンド52で磁石51が挿入される。なお、磁石挿入機50は、ロボットハンド52に限定されない。
この挿入時点では、磁石51は積層コア43に接着されない。
本実施例では、マグネット穴44に接着剤が存在しないため、磁石51の挿入は容易になる。磁石51の挿入し直しも可能である。よって、磁石51の挿入作業には時間的な余裕が十分にある。
図7に示すように、加圧機構55は、プレス台56と、プレス盤57とからなる。
積層コア43は、プレス台56に載せられ、上からプレス盤57で軸力が加えられる。
このときの軸力による加圧作用を詳しく説明する。
図8(a)に示すように、コア42の下面に、点状の接着剤15Aが塗布されている。点状の接着剤15Aは、ほぼ半球であり、外径はd0である。
図8(b)に示すように、図7のプレス盤57で加圧される途中では、上下2枚のコア42で挟まれることで、接着剤15Bは横(コア42の平面に平行)に広がる。更に加圧力を増やす。
図8(c)に示すように、所定の加圧力Fに達すると、接着剤15Cはごく薄いフィルムになる。広がった後の径をdfとする。
外径d0が一定であれば、加圧力Fを増やすと、面圧Pは増加する。面圧Pが増加するほど接着剤は広がって、広がった後の径dfは大きくなる。ただし、接着剤が薄くなるほど加圧しにくくなるため、曲線は寝た形態となる。
図10(a)に示すように、マグネット穴44の近傍に且つマグネット穴44の幅中心(ほぼ幅中心を含む。)に、点状の接着剤15Aが塗布されている。なお、分かり易くするために、下面に塗布した点状の接着剤15Aを、おもて側に示した。この状態から点状の接着剤15Aは、押し広げられる。
図10(b)に示すように、広がった接着剤15Bの縁がマグネット穴44の縁に到達した。
図11(a)でコア42に下向き力が付与されると、接着剤15Bは更に広がる。
ここで、重要なことは、接着剤が、常温で塗布されただけでは硬化せず加熱により硬化する一液型接着剤であることである。図1に示す接着剤塗布機構11で塗布した後、打ち抜き装置20で打ち抜き、磁石挿入機50で磁石を挿入し、加圧機構55で加圧する間は、接着剤が硬化しないため、作業は急ぐ必要がなく、作業を厳密に管理する必要もない。結果、モータコアの製造作業において、時間的な余裕があるモータコア製造装置(図1、符号10)が提供される。
加熱することにより一液型接着剤15が硬化され、所望のモータコア63が得られる。
この場合、加熱機構60は必要なくなり、加圧機構55のみで接着剤を硬化させることができる。すなわち、図1において、モータコア製造装置10は、接着剤塗布機構11と、打ち抜き装置20と、磁石挿入機50と、加圧機構55とで構成される。
図12(a)に示すように、接着剤15Cの中心点である塗布点65をマグネット穴44に近づけると、一部の接着剤15C1の比率を大きくすることができる。
または、図12(c)に示すように、マグネット穴44の1個当たり、複数(この例では2個)の塗布点65を設定してもよい。塗布点65を複数にすることで、マグネット穴44と磁石51との隙間に、より十分な量の接着剤15C1を充当することができる。
すなわち、本発明では、接着剤15を面ではなく点で塗布したため、塗布点65の位置や数を制御することで、磁石51の接着固定とコア42同士の接着固定とを制御することができる。
しかし、図7に示すように、加圧機構55に加熱機構60を付設すると、装置の集約が図れてより好ましい。
また、図2に示すように、打ち抜き装置20に接着剤塗布機構11を内蔵すると、装置の集約が図れてより好ましい。
接着剤塗布機構11、磁石挿入機50、加圧機構55、加熱機構60も一例を示しただけであり、構成などは適宜変更して差し支えない。
すなわち、図5に示すように、接着剤塗布機構11により、コア42の所定箇所に点の形態で一液型接着剤15Aを塗布する(接着剤塗布工程)。次に、図7に示すように、加圧機構55により、接着剤が塗布された積層コア43に軸力を加えて広げ、図11(c)に示すように、接着剤の一部15C1を磁石51とマグネット穴44との隙間に介在させつつ残部15C2を隣り合うコア42間に介在させる(加圧工程)。続いて、図7に示す加熱機構60により、積層コア43を加熱して接着剤を硬化させる(加熱工程)。
また、広げた接着剤で、コア同士の接合と磁石の接着固定とが同時に行える。
よって、本発明によれば、モータコアの製造作業において、時間的な余裕があり、接着剤の無駄使いがなく、磁石の接着固定に加えてコア同士の接合が可能であるモータコア製造方法が提供される。
すなわち、図5に示すように、接着剤塗布機構11により、コア42の所定箇所に点の形態で一液型接着剤15Aを塗布する(接着剤塗布工程)。次に、図7に示すように、加圧機構55により、接着剤が塗布された積層コア43に軸力を加えて広げ、図11(c)に示すように、接着剤の一部15C1を磁石51とマグネット穴44との隙間に介在させつつ残部15C2を隣り合うコア42間に介在させると共に加圧により接着剤を硬化させる(加圧工程)。
また、広げた接着剤で、コア同士の接合と磁石の接着固定とが同時に行える。
よって、本発明によれば、モータコアの製造作業において、時間的な余裕があり、接着剤の無駄使いがなく、磁石の接着固定に加えてコア同士の接合が可能であるモータコア製造方法が提供される。
Claims (5)
- 薄鋼板からなり磁石を挿入するマグネット穴が設けられているコアを、所定枚数積層し、得られた積層コアへ前記磁石を挿入し、この磁石が接着剤で前記積層コアに固定されているモータコアを得るモータコア製造方法であって、
接着剤塗布機構により、前記コアの所定箇所に点の形態で一液型接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
加圧機構により、前記接着剤が塗布された前記積層コアに軸力を加えて広げ、前記接着剤の一部を前記磁石と前記マグネット穴との隙間に介在させつつ残部を隣り合う前記コア間に介在させる加圧工程と、
加熱機構により、前記積層コアを加熱して前記接着剤を硬化させる加熱工程とからなることを特徴とするモータコア製造方法。 - 薄鋼板からなり磁石を挿入するマグネット穴が設けられているコアを、所定枚数積層し、得られた積層コアへ前記磁石を挿入し、この磁石が接着剤で前記積層コアに固定されているモータコアを得るモータコア製造方法であって、
接着剤塗布機構により、前記コアの所定箇所に点の形態で一液型接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
加圧機構により、前記接着剤が塗布された前記積層コアに軸力を加えて広げ、前記接着剤の一部を前記磁石と前記マグネット穴との隙間に介在させつつ残部を隣り合う前記コア間に介在させると共に加圧により前記接着剤を硬化させる加圧工程とからなることを特徴とするモータコア製造方法。 - 薄鋼板からなり磁石を挿入するマグネット穴が設けられているコアを、所定枚数積層し、得られた積層コアへ前記磁石を挿入し、この磁石が接着剤で前記積層コアに固定されているモータコアを得るモータコア製造装置であって、
このモータコア製造装置は、
前記コアの所定箇所に点の形態で一液型接着剤を塗布する接着剤塗布機構と、
前記接着剤が塗布された前記積層コアに軸力を加えて広げ、前記接着剤の一部を前記磁石と前記マグネット穴との隙間に介在させつつ残部を隣り合う前記コア間に介在させる加圧機構と、
前記積層コアを加熱して前記接着剤を硬化させる加熱機構とを備えていることを特徴とするモータコア製造装置。 - 薄鋼板からなり磁石を挿入するマグネット穴が設けられているコアを、所定枚数積層し、得られた積層コアへ前記磁石を挿入し、この磁石が接着剤で前記積層コアに固定されているモータコアを得るモータコア製造装置であって、
このモータコア製造装置は、
前記コアの所定箇所に点の形態で一液型接着剤を塗布する接着剤塗布機構と、
前記接着剤が塗布された前記積層コアに軸力を加えて広げ、前記接着剤の一部を前記磁石と前記マグネット穴との隙間に介在させつつ残部を隣り合う前記コア間に介在させると共に加圧により前記接着剤を硬化させる加圧機構とを備えていることを特徴とするモータコア製造装置。 - 請求項3又は請求項4記載のモータコア製造装置であって、
前記接着剤塗布機構は、帯状薄鋼板から打ち抜きによって前記コアを得る打ち抜き装置に設置され、塗布工程が打ち抜き工程と同期していることを特徴とするモータコア製造装置。
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