JP6933565B2 - トラフおよびトラフ蓋 - Google Patents
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Description
なお、鉄道用のトラフ蓋には、重量やコストの観点から一般にコンクリート製のものが使用されていることが多い。しかし、トラフ蓋が浮き上がりを防止するためにトラフ蓋の重量をさらに重くすると、人手による移動や設置の作業が困難になる。
このうち、特許文献1には、トラフ蓋がトラフ本体から外れることを防止するため、トラフ蓋の前端に他のトラフ蓋の後端の下側に入り込んで浮き上がるのを防止するための突起を設けるようにした技術が記載されている。
また、特許文献3には、湾曲したトラフを構成するため、トラフの側壁を湾曲させるとともに、側辺が湾曲したトラフ蓋を被せるようにした技術が記載されている。なお、特許文献3に記載されているトラフ蓋は、前端と後端がそれぞれ直線状をなしている。
本発明の他の目的は、重量を増加させることなく列車が通過することに伴って生じる風圧による浮き上がりを抑制することができるトラフおよびトラフ蓋を提供することにある。
上面視ほぼ矩形状をなす板状のトラフ蓋であって、
設置されるトラフの長手方向に対して一方の端の辺と他方の端の辺が、それぞれ外側と内側に膨らむように同一の曲率で幅方向に沿って湾曲しているように構成したものである。
上記のように構成されたトラフ蓋によれば、カーブ箇所に対応して湾曲して配設されているトラフに設置した際に、隣り合うトラフ蓋の端部間に隙間が生じないようにすることができ、それによってトラフ内部に雨水が侵入するのを防止することができる。
また、直線区間のトラフに対してもカーブ区間のトラフに対しても同一のトラフ蓋を使用することができるため、コストを低減することができる。
かかる構成によれば、複数のトラフ蓋をトラフに沿って並べて設置した際に、一方のトラフ蓋の前端の段差と他方のトラフ蓋の後端の段差とが噛み合うことで、トラフ蓋の前端が浮き上がらないようにすることができ、それによって列車の走行に伴って発生する風によりトラフ蓋が浮き上がって外れるのを防止することができる。
上記のような構成によれば、トラフ蓋の両側に把手部が設けられているため、トラフ蓋を容易に持ち上げて移動したり所望の位置に設置したりすることができる。
前後方向の長さと左右方向の幅とがほぼ同一寸法であり、
湾曲している前記一方の端の辺と前記他方の端の辺の曲率半径が、鉄道軌道において規定されているカーブの曲率半径の最小値とほぼ同一となるように設定されているようにする。
かかる構成によれば、隣り合うトラフ蓋の端部間に隙間が生じないようにすることができる上、曲率半径の異なるカーブ区間に設置されているトラフに対して同一のトラフ蓋を使用することができ、それによってコストを低減することができる。
前記トラフ蓋は、外側に膨らむように湾曲されている前記一方の端の辺が列車の進行方向に対向するように設置されているように構成する。
かかる構成によれば、湾曲しているトラフ蓋の前端が列車の走行に伴って発生する風を左右に逃がすように作用するとともに、トラフ蓋の前端の段差が隣のトラフ蓋の後端の段差の下側に入り込むので、列車風がトラフ蓋の上面に沿って流れ、トラフ蓋の下方へ入りにくくなるため、トラフ蓋の浮き上がりを防止することができる。
図1は本発明に係るトラフ蓋の一実施形態を示す平面図、図2(A)は図1に示すトラフ蓋を矢印A方向から見た側面図、図2(B)は図1におけるB−B線に沿った断面図、図2(C)はトラフ蓋を図1の矢印C方向から見た正面図である。また、図3は図1のトラフ蓋の底面(裏面)の構成例を示す底面図である。
また、トラフ蓋10の両側辺(図1においては上辺と下辺)は、互いに平行な直線をなすように形成されている。なお、トラフ蓋10の長さと幅の比は任意に設定することができる。トラフ蓋10の角部は、鋭利にならないように、面取りのテーパもしくは丸みが設けられている。
前端と後端に上記のような段差11A,11Bが形成されることで、複数のトラフ蓋10を図の左右方向に沿って並べて設置した際に、段差11Aと段差11Bとが噛み合うことで、トラフ蓋10の前端が浮き上がらないようにすることができる。
上記のような構成を有するトラフ蓋10は、例えば図2(D)に示すように、断面がU字状をなすトラフ本体20の上に、上部開口を塞ぐように設置される。
トラフ蓋10の幅をW、長さをLとすると、前記実施形態のトラフ蓋10は、幅Wと長さLの関係が、W≒Lである。これに対し、前端の湾曲および後端の湾曲の曲率を同じにしたまま、長さLが幅Wに比べて充分に大きく(L>W)なるように設定したトラフ蓋の場合には、図5(A)に示すように、前後のトラフ蓋の前端の湾曲と後端の湾曲が対応しきれずに、前後のトラフ蓋の接合部に隙間が生じてしまい、トラフ内に雨水が侵入し易くなる。そこで、トラフ蓋10の前端の湾曲および後端の湾曲の曲率について検討する。
一方、トラフ蓋10の前端と後端の湾曲の曲率の中心O1とトラフ蓋10の前端の角部とを結ぶ直線U1,U2と、トラフ蓋10の中心線C0とがなす角度は、R1=R2であればそれぞれθとなることが、幾何学的に証明される。
鉄道の軌道では、カーブの曲率半径の最小値(Rc)が規定されており、在来線の場合で200m、新幹線(登録商標)のような高速鉄道の場合で4000mである。従って、適用する軌道の種類に応じて、トラフ蓋10の前端と後端の湾曲の曲率半径を200mまたは4000mに設定すればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、上記実施形態では、トラフ蓋の上面に滑り止め用の突起14を形成しているが、この突起は省略しても良い。また、トラフ蓋の上面を平坦にしているが、上に凸となるように幅方向に湾曲した面を有するようにしても良い。
また、上記実施形態では、本発明を鉄道軌道に設置されるトラフおよびトラフ蓋に適用することを想定して説明したが、本発明は鉄道軌道用のトラフおよびトラフ蓋に限定されず、高速道路などに設置されるトラフおよびトラフ蓋にも利用することができる。
11A、11B 段差
12A,12B 把手部
13 工具差込み穴
14 滑り止め用の突起
15 軽量化のための凹み
Claims (5)
- 上面視ほぼ矩形状をなす板状のトラフ蓋であって、
設置されるトラフの長手方向に対して一方の端の辺と他方の端の辺が、それぞれ外側と内側に膨らむように同一の曲率で幅方向に沿って湾曲していることを特徴とするトラフ蓋。 - 前記一方の端の辺と前記他方の端の辺にそれぞれ段差が形成され、前記一方の端の辺の段差と前記他方の端の辺の段差は、上下が逆の段差であることを特徴とする請求項1に記載のトラフ蓋。
- 両側部に、外側方向から差し込み可能な凹部を有する把手部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトラフ蓋。
- 鉄道軌道に配設されたトラフの上部開口を塞ぐように設置されるトラフ蓋であって、
前後方向の長さと左右方向の幅とがほぼ同一寸法であり、
湾曲している前記一方の端の辺と前記他方の端の辺の曲率半径が、鉄道軌道において規定されているカーブの曲率半径の最小値とほぼ同一となるように設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトラフ蓋。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のトラフ蓋が、鉄道軌道に配設されたトラフ本体の上部開口を塞ぐように設置されたトラフであって、
前記トラフ蓋は、外側に膨らむように湾曲されている前記一方の端の辺が列車の進行方向に対向するように設置されていることを特徴とするトラフ。
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