JP6931627B2 - 燃料電池システム及び熱交換器 - Google Patents
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Description
<1> 燃料電池と、前記燃料電池の下流に設けられ、前記燃料電池から排出されたオフガス中の水蒸気及び二酸化炭素の少なくとも一方を少なくとも一部除去するオフガス再生手段と、前記オフガス再生手段の下流に設けられ、前記オフガス再生手段から排出された再生オフガスを流通させる流通経路と、を備え、前記再生オフガスが流通する前記流通経路内の表面の少なくとも一部が炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、前記表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たす燃料電池システム。
<2> 前記炭素と固溶体を形成しにくい材料は、酸化物及び窒化物の少なくとも一方を含む<1>に記載の燃料電池システム。
<3> 前記酸化物は、Al2O3、SiO2、MgO、ZrO2及び3Al2O3・2SiO2からなる群より選択される少なくとも一つである<2>に記載の燃料電池システム。
<4> 前記炭素と固溶体を形成しにくい材料は、W、Nb、Mo、Ti及びSiからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
<5> 前記流通経路はFe、Ni及びCoを含まないか、又は前記流通経路におけるFe、Ni及びCoの合計含有率は、50質量%以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
<6> 前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む前記表面の算術平均粗さ、又は、前記層の表面の算術平均粗さは、100μm以下である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
<7> 前記燃料電池は第1の燃料電池であり、前記流通経路内を流通する前記再生オフガスが供給される第2の燃料電池を更に備える<1>〜<6>のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
<8> 前記流通経路内を流通する前記再生オフガスが前記燃料電池に供給される<1>〜<6>のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
<9> 原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質器を更に備える、あるいは、前記燃料電池内にて前記原料ガスを改質して燃料ガスを生成する、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
<10> 前記オフガスと前記再生オフガスとの間で熱交換を行う熱交換器を更に備え、前記熱交換器よりも下流側の前記流通経路内の表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、前記熱交換器よりも下流側の前記流通経路内の前記表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たす<1>〜<9>のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
<11> 前記熱交換器は、前記再生オフガスが流通する流路を備え、前記熱交換器内の前記再生オフガスが流通する流路の表面は前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、前記熱交換器内の前記再生オフガスが流通する流路の表面は前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たす<10>に記載の燃料電池システム。
<12> ガスが流通する流路を備え、前記流路の表面の少なくとも一部が炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、前記表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たす熱交換器。
<13> 前記炭素と固溶体を形成しにくい材料は、酸化物及び窒化物の少なくとも一方を含む<12>に記載の熱交換器。
<14> 前記炭素と固溶体を形成しにくい材料は、W、Nb、Mo、Ti及びSiからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む<12>又は<13>に記載の熱交換器。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
本開示において、「炭素と固溶体を形成しにくい材料」とは、流通経路を流通する再生オフガスの温度範囲(例えば、700℃以下)にてFe、Ni及びCoよりも炭素と固溶体を形成しにくい材料を指す。なお、「炭素と固溶体を形成しにくい材料」は、「炭素と固溶体を形成しない材料」を包含する。
[第1実施形態]
以下、本発明の燃料電池システムの一実施形態について図1を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る燃料電池システムを示す概略構成図である。第1実施形態に係る燃料電池システム10は、燃料ガスを用いて発電を行う第1燃料電池11と、第1燃料電池11から排出された未反応の燃料ガスを含むアノードオフガスから、二酸化炭素及び水蒸気の少なくとも一方を少なくとも一部除去するアノードオフガス再生手段16(オフガス再生手段)と、アノードオフガス再生手段16の下流に設けられ、アノードオフガス再生手段から排出された再生オフガスを流通させる再生オフガス経路54(流通経路)と、を備える。
さらに、本実施形態に係る燃料電池システム10は、再生オフガス経路54内の表面の少なくとも一部が炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、当該表面の少なくとも一部が炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たす。
本実施形態に係る燃料電池システム10は、原料ガスを改質器14の改質部19に供給する原料ガス供給経路24を備えており、原料ガス供給経路24は、原料ガスを流通させるためのブロワ25が設置されている。
本実施形態に係る燃料電池システム10は、水蒸気を改質器14の改質部19に供給する水蒸気供給経路26を備えている。水蒸気供給経路26内を流通する水蒸気は、後述のアノードオフガス再生手段16にて除去された水蒸気由来であってもよく、後述の排ガスに含まれる水蒸気由来であってもよい。
本実施形態に係る燃料電池システム10は、原料ガスを水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器14を備えている。改質器14は、例えば、バーナ又は燃焼触媒、あるいはその両方を配置した燃焼部18と、改質用触媒を備える改質部19とにより構成される。
CnHm+nH2O→nCO+[(m/2)+n]H2・・・・(a)
CH4+H2O→CO+3H2・・・・(b)
本実施形態に係る燃料電池システム10は、燃料ガス供給経路42を通じて改質器14から供給された燃料ガスを用いて発電を行う第1燃料電池11を備えている。第1燃料電池11としては、例えば、空気極(カソード)、電解質及び燃料極(アノード)を備える燃料電池セルであってもよく、燃料電池セルを複数積層した燃料電池スタックであってもよい。また、第1燃料電池としては、600℃〜1000℃程度で作動する高温型の燃料電池、例えば、650℃〜1000℃程度で作動する固体酸化物形燃料電池、600℃〜700℃程度で作動する溶融炭酸塩形燃料電池が挙げられる。
O2+4e−→2O2−・・・・(c)
H2+O2−→H2O+2e−・・・・(d)
CO+O2−→CO2+2e−・・・・(e)
O2+2CO2+4e−→2CO3 2−・・・・(f)
H2+CO3 2−→H2O+CO2+2e−・・・・(g)
CO+H2O→H2+CO2・・・・(h)
本実施形態に係る燃料電池システム10は、第1燃料電池11から排出された未反応の燃料ガスを含むアノードオフガスから、二酸化炭素及び水蒸気の少なくとも一方の少なくとも一部を分離するアノードオフガス再生手段16を備えている。アノードオフガスがアノードオフガス再生手段16に供給され、二酸化炭素及び水蒸気の少なくとも一方の少なくとも一部が分離されることにより、再生オフガスが生成される。
分離膜を用いる場合、分離効率を向上させるため、透過側にスイープガスを供給してもよい。
本実施形態に係る燃料電池システム10は、アノードオフガス再生手段16の下流に設けられ、アノードオフガス再生手段16から排出された再生オフガスを流通させる再生オフガス経路54を備える。再生オフガス経路54内の表面の少なくとも一部は炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、前記表面の少なくとも一部は炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層(コーティング層)で覆われていることの少なくとも一方を満たす。
流通経路の表面の少なくとも一部が炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層で覆われている場合、流通経路におけるFe、Ni及びCoの合計含有率は、前記層を含む流通経路の合計質量に対する前記層を含む流通経路におけるFe、Ni及びCoの合計質量の比([前記層のFe、Ni及びCoの合計質量+前記層を除いた流通経路のFe、Ni及びCoの合計質量]/前記層を含む流通経路の合計質量)に100を掛けた数値を意味する。
算術平均粗さRaは、接触式表面粗さ計(例えば、株式会社ミツトヨ製サーフテストSJ−301)を用いて測定することができる。
熱交換器21よりも下流側の再生オフガス経路54内の表面が炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、熱交換器21よりも下流側の再生オフガス経路54内の表面がコーティング層で覆われていることの少なくとも一方を満たすことがより好ましい。また、熱交換器21内の再生オフガスが流通する流路の表面は炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、熱交換器21内の再生オフガスが流通する流路の表面は炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たすことが好ましい。
本実施形態に係る燃料電池システム10は、アノードオフガス再生手段16及び再生オフガス経路54の下流に配置され、再生オフガスを用いて発電を行う第2燃料電池12を備えている。第2燃料電池12としては、例えば、空気極(カソード)、電解質及び燃料極(アノード)を備える燃料電池セルであってもよく、燃料電池セルを複数積層した燃料電池スタックであってもよい。なお、第2燃料電池12は、上述の第1燃料電池11と同様の構成であるため、共通する事項に関する説明は省略する。
本実施形態では、空気供給経路44が直列となっているため、第1燃料電池11に空気を供給した後、第2燃料電池12に第1燃料電池11から排出されたカソードオフガスが供給されるが、空気供給経路44は並列であってもよい。つまり、空気が流通する空気供給経路44が分岐し、第1燃料電池11及び第2燃料電池12のカソードに空気をそれぞれ供給する構成であってもよい。
前述した第1実施形態は、多段式の燃料電池システムであるが、本発明はこれに限定されず、循環式の燃料電池システムであってもよい。以下、本発明の一実施形態に係る循環式の燃料電池システム20について、図2を用いて説明する。図2は、第2実施形態に係る燃料電池システムを示す概略構成図である。
前述の第1実施形態及び第2実施形態に係る燃料電池システムでは、再生オフガスが燃料電池に供給されて発電に利用される構成であるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、本発明の燃料電池システムは、流通経路内を流通する再生オフガスが燃料電池システムの燃焼部に供給される構成であってもよく、あるいは、別の燃焼装置に供給される構成であってもよい。これにより、水蒸気及び二酸化炭素を分離せずにオフガスを燃焼部又は燃焼装置に供給した場合と比較して、ガスの燃焼効率を高めることができる。
本発明の燃料電池システムは、再生オフガスに含まれる水素、一酸化炭素等を原料とする合成装置、合成プラント等に流通経路内を流通する再生オフガスが供給される構成であってもよい。これにより、水蒸気及び二酸化炭素を分離せずにオフガスを合成装置、合成プラント等に供給した場合と比較して、合成効率を高めることができる場合がある。
本実施形態の熱交換器は、ガスが流通する流路を備え、前記流路の表面の少なくとも一部が炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、前記表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たす。これにより、ガスが流通する流路内での炭素析出を抑制することができる。
なお、本実施形態における熱交換器の流路の材質等の好ましい条件は、前述の流通経路の材質等の好ましい条件と同様である。また、本実施形態における熱交換器にて用いる炭素と固溶体を形成しにくい材料の好ましい条件としては、前述の燃料電池システムにて用いる炭素と固溶体を形成しにくい材料の好ましい条件と同様である。
Claims (11)
- 水素及び一酸化炭素を含む燃料ガスを用いて発電を行う固体酸化物形燃料電池又は溶融炭酸塩形燃料電池である燃料電池と、
前記燃料電池の下流に設けられ、前記燃料電池から排出されたオフガス中の水蒸気及び二酸化炭素の少なくとも一方を少なくとも一部除去するオフガス再生手段と、
前記オフガス再生手段の下流に設けられ、前記オフガス再生手段から排出され、一酸化炭素を含む再生オフガスを流通させる流通経路と、
を備え、
前記再生オフガスが流通する前記流通経路内の表面の少なくとも一部が炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、前記表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たし、
前記炭素と固溶体を形成しにくい材料は、AlN、Si3N4、TiN、c−W2N、h−WN及びCrNからなる群より選択される少なくとも一つの窒化物を含む燃料電池システム。 - 前記再生オフガスが流通する前記流通経路内の表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料としてW、Nb、Mo、Ti及びSiからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含むこと、及び、前記表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料としてAl2O3、SiO2、MgO、ZrO2及び3Al2O3・2SiO2からなる群より選択される少なくとも一つを含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たす請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記流通経路はFe、Ni及びCoを含まないか、又は前記流通経路におけるFe、Ni及びCoの合計含有率は、50質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む前記表面の算術平均粗さ、又は、前記層の表面の算術平均粗さは、100μm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池は第1の燃料電池であり、
前記流通経路内を流通する前記再生オフガスが供給され、水素及び一酸化炭素を含む燃料ガスを用いて発電を行う固体酸化物形燃料電池又は溶融炭酸塩形燃料電池である第2の燃料電池を更に備える請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記流通経路内を流通する前記再生オフガスが前記燃料電池に供給される請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
- 原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質器を更に備える、あるいは、前記燃料電池内にて前記原料ガスを改質して燃料ガスを生成する、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記オフガスと前記再生オフガスとの間で熱交換を行う熱交換器を更に備え、
前記熱交換器よりも下流側の前記流通経路内の表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、前記熱交換器よりも下流側の前記流通経路内の前記表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たす請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記熱交換器は、前記再生オフガスが流通する流路を備え、
前記熱交換器内の前記再生オフガスが流通する流路の表面は前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、前記熱交換器内の前記再生オフガスが流通する流路の表面は前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たす請求項8に記載の燃料電池システム。 - ガスが流通する流路を備え、
前記流路の表面の少なくとも一部が炭素と固溶体を形成しにくい材料を含むこと、及び、前記表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料を含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たし、
前記炭素と固溶体を形成しにくい材料は、AlN、Si3N4、TiN、c−W2N、h−WN及びCrNからなる群より選択される少なくとも一つの窒化物を含み、水素及び一酸化炭素を含む燃料ガスを用いて発電を行う固体酸化物形燃料電池又は溶融炭酸塩形燃料電池である燃料電池から排出された一酸化炭素を含むオフガスが前記オフガス中の水蒸気及び二酸化炭素の少なくとも一方を少なくとも一部除去するオフガス再生手段を経ることで得られた、一酸化炭素を含む再生オフガスを処理するために用いられる熱交換器。 - 前記流路内の表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料としてW、Nb、Mo、Ti及びSiからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含むこと、及び、前記表面の少なくとも一部が前記炭素と固溶体を形成しにくい材料としてAl2O3、SiO2、MgO、ZrO2及び3Al2O3・2SiO2からなる群より選択される少なくとも一つを含む層で覆われていることの少なくとも一方を満たす請求項10に記載の熱交換器。
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