JP6930027B2 - 密封装置 - Google Patents

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Description

本発明は、密封装置に関し、特に、回転する軸に用いられる密封装置に関する。
従来から、回転する軸と、この軸が挿入される貫通孔との間の隙間を密封するために密封装置が使用されている。このような密封装置の中には、車両のディファレンシャル機構やハブベアリングのように、泥水や雨水、ダスト等の異物に晒される機構に用いられるものがある。このような密封装置には、異物の侵入を防止するために、外気側に延びるように形成されたサイドリップを有するものがある。サイドリップは、デフレクタ等の軸から径方向に延びる部材に接触して、外気側から内部に異物が侵入することを防ぐ。
図9は、例えばディファレンシャル機構に用いられる従来の密封装置100の概略構成を示すための断面図であり、図10は、例えばトランスアクスルが備えるディファレンシャル機構に取り付けられた状態における図9に示す従来の密封装置の断面図である。図9に示すように、従来の密封装置100は、環状の補強環101と、補強環101に一体的に形成されている弾性体から成る環状の弾性体部102とを備え、弾性体部102は、シールリップ103と、ダストリップ104と、サイドリップ105とを備えている。図10に示すように、使用状態において、シールリップ103は、ディファレンシャル機構110の車軸111に当接しており、ディファレンシャル機構110が収容されているハウジング112内の潤滑油の漏洩を防止する。ダストリップ104は、シールリップ103よりも外側(外気側)に形成されており、車軸111に当接又は近接して、ハウジング112内に外部から異物が侵入することを防止する。図9に示すように、サイドリップ105は、ダストリップ104よりも外周側において外側に向かって延びており、外側に向かうに連れて拡径する円錐筒状の形状を有している。サイドリップ105は、先端部分が内側に屈折するように曲がった形状を有している。サイドリップ105は、使用状態において、図10に示すように、先端縁において、車軸111に固定された環状のデフレクタ113の摺動面113aに当接し、外部からの異物の侵入を防止する。サイドリップ105は、デフレクタ113に当接する状態において弾性変形して湾曲し、先端縁の内周面がデフレクタ113の摺動面113aに当接するように形成されている。
密封装置100は、ディファレンシャル機構110が収容されるハウジング112の貫通孔114と貫通孔114に挿通された車軸111との間に取り付けられて、貫通孔114の密封を図り、ハウジング112内に貯留されている潤滑油の外部への漏洩の防止を図ると共に、異物の内部への侵入の防止を図っている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2017/051920号
従来の密封装置100においては、上述のようにサイドリップ105の先端部分が屈曲している。これにより、サイドリップ105の先端のデフレクタ113に対する接触圧力が使用状態において低下することを防止して、サイドリップ105の先端がデフレクタ113の摺動面113aから浮き上がることを防止している。これにより、内部への異物の侵入が防止されている。このように従来の密封装置100は、高い異物侵入防止性能を有しているが、近年の更なる低燃費化等の要求から、また、サイドリップ105の耐久性向上の更なる要求から、サイドリップ105の摺動によって生じる摺動トルクの低減が求められるようになっている。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、サイドリップによる摺動トルクを低減することができる密封装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、貫通孔と該貫通孔に挿通される軸との間の密封を図るための密封装置であって、軸線周りに環状の補強環と、前記補強環に取り付けられている前記軸線周りに環状の弾性体から形成された弾性体部とを備え、前記弾性体部は、前記軸に該軸が摺動可能に当接する環状のシールリップと、該シールリップよりも外側に設けられており前記軸線に向かって延びる環状のダストリップと、前記ダストリップよりも外周側において前記外側に向かって延びる環状のサイドリップとを有しており、前記サイドリップは、前記軸線方向において外側に向かうに連れて拡径する環状の中間部と、該中間部に接続する前記中間部よりも外側の部分であって前記軸線方向において外側に向かうに連れて拡径する環状の先端部とを有しており、前記サイドリップにおいて、前記先端部は、前記中間部から内周側に屈曲しており、前記中間部には、少なくとも1つの前記軸線周りに環状の溝が形成されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記サイドリップの先端部は、厚さが前記中間部側に向かうに連れて薄くなるように形成されている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記溝は、前記中間部の内周面に形成されている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記溝の前記軸線に沿う断面における輪郭は、一定の曲率を有する円弧である。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記溝は、前記先端部と前記中間部との接続部分には形成されていない。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記溝が複数形成されており、互いに隣接する前記溝の間の間隔は一定である。
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、貫通孔と該貫通孔に挿通される軸との間の密封を図るための密封装置であって、軸線周りに環状の補強環と、前記補強環に取り付けられている前記軸線周りに環状の弾性体から形成された弾性体部とを備え、前記弾性体部は、前記軸に該軸が摺動可能に当接する環状のシールリップと、該シールリップよりも外側に設けられており前記軸線に向かって延びる環状のダストリップと、前記ダストリップよりも外周側において前記外側に向かって延びる環状のサイドリップとを有しており、前記サイドリップは、前記軸線方向において外側に向かうに連れて拡径する環状の中間部と、該中間部に接続する前記中間部よりも外側の部分であって前記軸線方向において外側に向かうに連れて拡径する環状の先端部とを有しており、前記サイドリップにおいて、前記先端部は、前記中間部から内周側に屈曲しており、前記サイドリップの先端部は、厚さが前記中間部側に向かうに連れて薄くなるように形成されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記中間部は、厚さが一定となるように形成されている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記先端部は、前記軸線を中心とする円錐筒状の形状を呈しており、前記中間部は、前記軸線を中心とする円錐筒状の形状を呈している。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記サイドリップは、前記軸線周りに環状の根元部を有しており、前記中間部は、前記根元部に接続する前記根元部よりも外側の部分である。
本発明に係る密封装置によれば、サイドリップによる摺動トルクを低減することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面における断面図である。 図1に示す密封装置の部分拡大断面図である。 使用状態における図1に示す密封装置を示すための図であり、密封装置及びその近傍を拡大して示す軸線xに沿う部分拡大断面図である。 適用対象の所望の位置に密封装置が取り付けられた状態におけるサイドリップの様子を示すためのサイドリップの拡大断面図である。 適用対象の軸部が変位した状態におけるサイドリップの様子を示すためのサイドリップの拡大断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面における部分拡大断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面における部分拡大断面図である。 本発明の実施の形態に係る密封装置の変形例の概略構成を示すための、軸線に沿う断面における部分拡大断面図である。 ディファレンシャル機構に用いられる従来の密封装置の概略構成を示すための断面図である。 トランスアクスルが備えるディファレンシャル機構に取り付けられた状態における図9に示す従来の密封装置の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1の概略構成を示すための、軸線xに沿う断面における断面図であり、図2は、図1に示す密封装置1の部分拡大断面図である。本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1は、互いに相対回転する、貫通孔とこの貫通孔に挿通された軸との間の隙間を密封するために用いられる。密封装置1は、例えば、車両や汎用機械等において旋回時における左右の駆動輪の回転速度の差を吸収するためのディファレンシャル機構を備える装置に用いられる。ディファレンシャル機構を備える装置としては、例えば、トランスアクスルやディファレンシャル装置がある。本実施の形態においては、密封装置1はトランスアクスルに用いられるものとする。具体的には、密封装置1は、後述するように、トランスアクスルにおいて、ハウジングに形成された貫通孔と、この貫通孔に回動自在に挿通されたディファレンシャル機構の出力軸としての車軸との間の密封を図るために用いられる。密封装置1の適用対象はこの具体例に限られず、種々の機械において回転する部材の密封装置として適用することができる。
以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(図1参照)方向を外側とし、軸線x方向において矢印b(図1参照)方向を内側とする。外側とは適用対象の外部に面する側であり、内側とは適用対象の内部に面する側である。より具体的には、外側とは、ディファレンシャル機構を備えるトランスアクスルにおいてハウジングの外部に面する側であり、大気側であり、内側とは、トランスアクスルにおいてハウジングの内部に面する側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1の矢印c方向)を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1の矢印d方向)を内周側とする。
密封装置1は、軸線x周りに環状の補強環10と、補強環10に取り付けられている軸線x周りに環状の弾性体から形成された弾性体部20とを備えている。弾性体部20は、後述する適用対象の軸にこの軸が摺動可能に当接する環状のシールリップ21と、シールリップ21よりも外側(矢印a方向側)に設けられており軸線xに向かって延びる環状のダストリップ22と、ダストリップ22よりも外周側(矢印方向c方向側)において外側に向かって延びる環状のサイドリップ23とを有している。サイドリップ23は、軸線x方向において外側に向かうに連れて拡径する環状の中間部32と、中間部32に接続する中間部32よりも外側の部分であって軸線x方向において外側に向かうに連れて拡径する環状の先端部31とを有している。サイドリップ23において、先端部31は、中間部32から内周側(矢印d方向側)に屈曲しており、中間部32には、少なくとも1つの軸線x周りに環状の溝34が形成されている。以下、密封装置1の構造を具体的に説明する。
補強環10は、図1,2に示すように、軸線xを中心又は略中心とする環状の金属製の部材であり、軸線xに沿う断面(以下、単に「断面」という。)の形状がL字状又は略L字状の形状を呈している。補強環10は、例えば、軸線x方向に延びる円筒状又は略円筒状の部分である円筒部11と、円筒部11の外側の端部から内周側に向かって延びる中空円盤状の部分である円盤部12とを有している。円筒部11は、後述するように、トランスアクスルのハウジングに形成された貫通孔の内周面に密封装置1が嵌合可能となるように形成されており、直接貫通孔の内周面に接触して嵌合可能となっていてもよく、また、弾性体部20の部分を介して貫通孔の内周面に接触して嵌合可能となっていてもよい。
弾性体部20は、図1,2に示すように、補強環10に取り付けられており、本実施の形態においては補強環10全体を覆うように補強環10と一体的に形成されている。弾性体部20は、上述のように、シールリップ21と、ダストリップ22と、サイドリップ23とを有しており、また、環状のリップ腰部24を有している。シールリップ21は、後述するように、ディファレンシャル機構の車軸にこの車軸が摺動可能に当接するように形成されており、ダストリップ22は、シールリップ21よりも外側に設けられており車軸に該車軸が摺動可能に当接するように形成されている。サイドリップ23は、後述するように、車軸に固定された環状のデフレクタにこのデフレクタが摺動可能に当接するように形成されており、ダストリップ22よりも外周側において外側に向かって延びている。リップ腰部24は、弾性体部20において、補強環10の円盤部12の内周側の端部近傍に位置する部分である。
シールリップ21は、具体的には、図1,2に示すように、リップ腰部24から内側に向かって延びる部分であり、軸線xを中心又は略中心とする環状の部分であり、補強環10の円筒部11に対向して形成されている。シールリップ21は、内側の端部に、断面形状が内周側に向かって凸の楔形状の環状のリップ先端部25を有している。また、シールリップ21の外周側には、リップ先端部25に背向する位置に、ガータスプリング26が嵌着されている。ガータスプリング26は、リップ先端部25を軸線xに向かう方向に押して、リップ先端部25が車軸の変位に対して追随するようにリップ先端部25に車軸に対する所定の大きさの緊迫力を与える。リップ先端部25は、後述するように車軸の外周面に当接して、密封装置1と車軸との間の密封を図る。また、図1に示すように、リップ先端部25の外側の円錐面状のテーパ面25aには、リップ先端部25の先端に対して斜めに延びる内周側に突き出した突起であるネジ突起25bが複数、周方向に等角度間隔で形成されている。ネジ突起25bは、車軸が摺動する際に、外側から内側に向かう気流を発生させ、内側からの潤滑油の漏洩の防止を図る。弾性体部20には、ネジ突起25bが設けられていなくてもよい。
ダストリップ22は、リップ腰部24から外側に軸線xに向かって延びており、具体的には、図1,2に示すように、リップ腰部24から外側且つ内周側の方向に延出している。ダストリップ22により、外側からリップ先端部25方向への、泥水や砂、ダスト等の異物の侵入の防止が図られている。また、ダストリップ22には、使用状態において、ダストリップ22とシールリップ21との空間に負圧が発生しないように、ダストリップ22と車軸との当接を部分的に解除して隙間を形成し、負圧の発生の抑制又は負圧を解消するための内周方向に突き出た複数の突起22aが周方向に等角度間隔で形成されている。ダストリップ22は、車軸に当接せずに近接するようになっていてもよく、また、突起22aを有していなくてもよい。
また、弾性体部20は、ガスケット部27と、後方カバー部28と、ライニング部29とを有している。ガスケット部27は、弾性体部20において、補強環10の円筒部11を外周側から覆っている部分であり、後述するように、トランスアクスルにおいて車軸が挿通される貫通孔に密封装置1が圧入された際に、この貫通孔と補強環10の円筒部11との間において径方向に圧縮されて、径方向に向かう力である嵌合力を所定の大きさ発生するように、径方向の厚さが設定されている。後方カバー部28は、補強環10の円盤部12を外側から覆っている部分であり、ライニング部29は、補強環10を内側及び内周側から覆っている部分である。
サイドリップ23は、図1,2に示すように、先端部31、中間部32、及び根元部33を有している。根元部33は、軸線x方向に延びる環状の部分である。中間部32は、根元部33に接続している根元部33よりも外側の部分であり、先端部31は、中間部32に接続している中間部32よりも外側の部分である。具体的には、サイドリップ23は、弾性体部20においてリップ腰部24の外側の側部から外側に向かって延設されており、根元部33がリップ腰部24から外側に向かって延びている。中間部32は、根元部33の外側の端部から外側に延びており、先端部31は、中間部32の外側の端部から外側に延びている。なお、サイドリップ23は、根元部33を有していなくてもよく、中間部32がリップ腰部24から延びていてもよい。
先端部31の内周側の面である内周面31aと、中間部32の内周側の面である内周面32aとは、環状の線を描く内周接続部c1において接続しており、先端部31の外周側の面である外周面31bと、中間部32の外周側の面である外周面32bとは、環状の線を描く外周接続部c2において接続している。先端部31の内周面31aと中間部32の内周面32aとは、滑らかに接続していてもよく、同様に、先端部31の外周面31bと中間部32の外周面32bとは、滑らかに接続していてもよい。
具体的には、先端部31は、軸線xを中心又は略中心とする円錐筒状又は略円錐筒状の形状を呈しており、中間部32は、軸線xを中心又は略中心とする円錐筒状又は略円錐筒状の形状を呈しており、根元部33は、軸線xを中心又は略中心とする円筒状又は略円筒状の形状を呈している。根本部33は、円錐筒状又は略円錐筒状の形状を呈していてもよい。上述のように、先端部31は中間部32から内周側に屈曲しており、先端部31の内周面31a又は外周面31bの母線の軸線xとの間の角度(角度α)は、中間部32の内周面32a又は外周面32bの母線の軸線xとの間の角度(角度β)よりも小さくなっている(図1参照)。
図2に示すように、先端部31の厚さw1は、つまり、先端部31の内周面31aと外周面31bとの間の幅は、一定の厚さ又は略一定の厚さとなっており、また、中間部32の厚さw2は、つまり、中間部32の内周面32aと外周面32bとの間の幅は、一定の厚さ又は略一定の厚さとなっている。また、図2に示すように、根元部33の厚さw3は、つまり、根元部33の内周面33aと外周面33bとの間の幅は、一定の厚さ又は略一定の厚さとなっている。
図2に示すように、先端部31と中間部32とが接続する部分である接続部分Cは、内周面31a,32aの内周接続部c1が、外周面31b,32bの外周接続部c2よりも、軸線x方向において内側に位置するようになっている。つまり、先端部31は、軸線x方向において、内周面31aの方が外周面31bよりも長くなっている。なお、接続部分Cの形態はこれに限られない。例えば、接続部分Cは、内周接続部c1と外周接続部c2とが軸線x方向において同じ又は略同じ位置に位置するようになっていてもよい。
上述のように、サイドリップ23の中間部32には、少なくとも1つの軸線x周りに環状の溝34が形成されている。溝34は、中間部32の内周面32aに形成されており、内周面32aから凹んでいる。本実施の形態においては複数の溝34が形成されており、例えば図1,2に示すように、5つの溝34が形成されている。溝34は、具体的には、軸線xを中心又は略中心とする円状又は略円状に延びており、溝34は互いに同心円又は略同心円になっている。図2に示すように、溝34の軸線xに沿う断面における輪郭は、一定の曲率を有する円弧である。溝34のこの断面における輪郭は、例えば、半円である。溝34のこの断面における輪郭は、半円でなくてもよく、例えば、半円よりも小さい円弧であってもよい。溝34の断面における輪郭は、一定の曲率を有する円弧に限らず、曲線や直線の組み合わせ等であってよい。溝34の断面における輪郭は、後述するように、サイドリップ23が外周側に向かって反り易くなる形状であることが好ましい。
互いに隣接する溝34の間の間隔は一定又は略一定であり、具体的には、サイドリップ23の中間部32において、溝34は、中間部32の内周面32aに沿って等間隔又は略等間隔に並んでいる。溝34は、先端部31と中間部32との接続部分Cには形成されていない。つまり、溝34は、先端部31と中間部32との間の内周接続部c1には形成されておらず、中間部32において外側に位置する溝34は、内周接続部c1から内側に間隔を空けて形成されている。
サイドリップ23は、上述のように、先端部31が中間部32から内周側に屈曲している。このため、サイドリップ23は、後述するように密封装置1の使用状態において、サイドリップ23の先端35とデフレクタとの間の当接が解除されないような、中間部32のデフレクタに対する接触圧力に対した先端部31のデフレクタに対する接触圧力を発生している。つまり、サイドリップ23のデフレクタに対する接触位置が先端部31を越えて中間部32まで達した場合において、サイドリップ23の先端部31におけるデフレクタとの接触圧力が、サイドリップ23の先端35がデフレクタから浮き上がらないように、中間部32におけるデフレクタとの接触圧力よりも大きくなる。
また、サイドリップ23の中間部32には、上述のように溝34が形成されており、中間部32の外周側への反り(曲げ)に対する剛性(抵抗)を低下させることができる。このため、溝34が形成されていないサイドリップに比べて、サイドリップ23は、先端部31のデフレクタとの接触部がデフレクタを押す力(押圧力)又はデフレクタの接触部におけるデフレクタからの反力を小さくすることができる。このため、サイドリップ23の摺動トルクを低減することができる。一方、上述のように、サイドリップ23において、先端部31は中間部32から内周側に屈曲しているため、サイドリップ23の先端部31におけるデフレクタとの接触圧力を中間部32におけるデフレクタとの接触圧力よりも大きく維持することができ、サイドリップ23の先端35がデフレクタから浮き上がらないようにでき、異物の内部への侵入を防ぐことができる。中間部32に溝34が設けられているため、溝34を有していないサイドリップに対して、中間部32のデフレクタとの接触面積は小さくなり、中間部32の接触圧力は大きくなるが、先端部31の中間部32に対する屈曲により、サイドリップ23の先端部31の接触圧力は、中間部32のこの接触圧力よりも大きくなる。このため、サイドリップ23の先端部31は、デフレクタから浮き上がることなく、安定して接触する。
このように、サイドリップ23は、先端部31がデフレクタから浮き上がることなく、安定した接触状態を維持させつつ、サイドリップ23による摺動トルクを低減させることができる。
なお、弾性体部20は弾性材から一体に形成されており、シールリップ21、ダストリップ22、サイドリップ23、リップ腰部24、ガスケット部27、後方カバー部28、及びライニング部29は、弾性材から一体に形成された弾性体部20の各部分である。
補強環10の金属材としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。また、弾性体部20の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。補強環10は、例えばプレス加工や鍛造によって製造され、弾性体部20は成形型を用いて架橋(加硫)成型によって成形される。この架橋成型の際に、補強環10は成形型の中に配置されており、弾性体部20が架橋接着により補強環10に接着され、弾性体部20が補強環10と一体的に成形される。
次いで、上述の構成を有する密封装置1の作用について説明する。図3は、適用対象の一例であるトランスアクスル50に取り付けられた状態における密封装置1を示すための図であり、トランスアクスル50の密封装置1近傍を拡大して示す軸線xに沿う部分拡大断面図である。なお、図3においては、トランスアクスル50の所望の位置に密封装置1が取り付けられた状態(以下、「初期状態」という。)を示している。つまり、トランスアクスル50の図示しないディファレンシャル機構の出力軸としての車軸51に固定された環状のデフレクタ52の摺動面53に所望の接触幅δを持ってサイドリップ23の先端部31が当接するように、密封装置1がトランスアクスル50に取り付けられている。トランスアクスル50は公知のトランスアクスル(図9参照)であり、その構成の詳細な説明は省略する。なお、デフレクタ52は、車軸51とは別体の部材によって形成されていてもよく、車軸51の一部が外周側に向かって環状に突出して形成されていてもよい。
密封装置1は、図3に示すように、トランスアクスル50のハウジング54に形成された貫通孔55に嵌着されている。貫通孔55には車軸51が回動自在に挿通されている。なお、トランスアクスル50には、左右の車輪に対応して、2つの貫通孔及び車軸が設けられているが、各車輪に対応する貫通孔及び車軸は互いに同様の構成を有しており、貫通孔55及び車軸51は、左右の車輪に対応する。
ハウジング54の貫通孔55において、車軸51の外周面51aと貫通孔55の内周面55aとの間は、密封装置1によって密封が図られている。具体的には、密封装置1は貫通孔55に嵌合されて、補強10の円筒部11と貫通孔55の内周面55aとの間で弾性体部20のガスケット部27が圧縮されてガスケット部27が貫通孔55の内周面55aに密着し、外周側において密封装置1と貫通孔55との間の密封が図られている。また、弾性体部20のシールリップ21のリップ先端部25が、車軸51の外周面51aに車軸51が摺動可能に当接し、内周側において密封装置1と車軸51との間の密封が図られている。これにより、ハウジング54の内部に貯留された潤滑油が外部に漏れ出ることの防止が図られている。
また、ダストリップ22は、その先端縁が車軸51の外周面51aに車軸51が摺動可能に当接しており、ハウジング54の外部から異物が内部に侵入することを抑制している。ダストリップ22は、車軸51に当接していなくてもよい。サイドリップ23は、先端部31の接触幅δの範囲の先端縁が内周面31aにおいて、デフレクタ52の摺動面53に当接しており、ハウジング54の外部から異物が内部に侵入することを抑制している。
図4は、初期状態におけるサイドリップ23の様子を示すためのサイドリップ23の拡大断面図である。図4に示すように、サイドリップ23は、初期状態において、先端部31が部分的に湾曲して又は弾性変形して、先端部31の内周面31aが、先端35から接触幅δ0の範囲においてデフレクタ52の摺動面53に当接している。
トランスアクスル50においては、その各構成の寸法公差や組付け誤差により、車軸51が軸線x方向において内側に変位してデフレクタ52の摺動面53が軸線x方向に変位する場合や、車軸51が軸線xに対して傾斜してデフレクタ52の摺動面53が傾斜する場合がある。また、トランスアクスル50の作動時に、各構成間の隙間に基づいて、車軸51が軸線x方向に又は軸線xに対して斜めに変位する場合がある。このような変位(ガタ)が発生すると、図5に示すようにサイドリップ23のデフレクタ52に対する接触幅δが大きくなる。密封装置1のサイドリップ23は、上述のように、先端部31が中間部32から内周側に屈曲しており、このため、接触幅δが大きくなっても、先端35のデフレクタ52に対する接触圧力が低下して、先端35における接触圧力と根本側における接触圧力との差が、サイドリップ23の先端35がデフレクタ52の摺動面53から浮き上がる程小さくなることはない。
具体的には、図5に示すように、車軸51に大きなガタが発生し、接触幅δが大きくなり、サイドリップ23が先端部31の内周面31aを根元側に越えて中間部32の内周面32aにおいてもデフレクタ52の摺動面53に当接する接触幅δ1となっても、先端35がデフレクタ52の摺動面53から浮き上がることを抑制することができる。この図5に示すような大きな接触幅δ1の状態でも、サイドリップ23の先端部31の接触圧力は、サイドリップ23の中間部32の接触圧力よりも大きくなっている。
また、サイドリップ23の中間部32には溝34が形成されており、サイドリップ23は、中間部32において外周側に曲がり易くなっている。このため、図5に示すようなサイドリップ23の接触幅が大きくなっている状態において、中間部32の湾曲によって発生する反力は小さくなっており、サイドリップ23をデフレクタ52に押し付ける力は、溝34を有さないサイドリップに比べて小さくなっている。このため、サイドリップ23の押圧力を従来よりも低減でき、サイドリップ23のデフレクタ52との接触によって発生する摺動抵抗を低減することができ、サイドリップ23が車軸51に与える摺動トルクを低減させることができる。一方、上述のように、サイドリップ23の先端部31の接触圧力をサイドリップ23の中間部32の接触圧力よりも大きく維持することができ、サイドリップ23の先端35がデフレクタ52の摺動面53から浮き上がることを防止することができる。
このように、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1によれば、サイドリップ23による摺動トルクを低減することができる。
次いで、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置2について説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置2の概略構成を示すための、軸線xに沿う断面における部分拡大断面図である。本発明の第2の実施の形態に係る密封装置2は、上述の本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1に対して、サイドリップの構造が異なる。以下、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置2について、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1と同一又は同様の機能を有する構成については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
図6に示すように、密封装置2において、サイドリップ40は、密封装置1のサイドリップ23とは異なり、溝34を有しておらず、また、先端部31とは異なる形状の先端部41を有している。先端部41は、厚さが中間部32側に向かうに連れて薄くなるように形成されている。具体的には、先端部41において、内周面41aと外周面41bとは平行になっておらず、内周面41aと外周面41bとの間の間隔が先端35から中間部32側に向かうに連れて狭まるように、内周面41aと外周面41bとは互いに傾いている。このため、先端部41の接続部分Cにおける厚さは、先端部41の先端35における厚さはw1´よりも小さくなっている。厚さw1´は例えば、密封装置1のサイドリップ23の先端部31の厚さw1と同じであり、密封装置2において、中間部32の厚さw2´及び根本部33の厚さw3´は、密封装置1における中間部32の厚さw2及び根本部33の厚さw3よりも夫々薄くなっている。また、先端部41の先端35の角度(先端角度θ)は鋭角となっている。先端角度θは、図6に示すように、軸線xに沿う断面における、先端部41の外側の面である外側面41cと内周面41aとの間の角度である。
具体的には、図6に示すように、先端部41の内周面41aと中間部32の内周面32aとの間の角度(屈曲角度γ1)は、先端部41の外周面41bと中間部32の外周面32bとの間(背面側)の角度(屈曲角度γ2)よりも小さくなっている。つまり、密封装置2においては、サイドリップ40の先端部41の内周面41aは、上述の密封装置1のサイドリップ23の先端部31の内周面31aよりも内周側に傾いている。密封装置2において、先端部41の内周面41aは、密封装置1の先端部31の内周面31aよりも内周側に傾いていなくてもよい。この場合、密封装置2において、先端部41の外周面41bが、密封装置1の先端部31の外周面31bよりも外周側に傾いている。図6においては、先端部41の厚さは、内周面41aに直交する方向における幅となっているが、先端部41の厚さは、外周面41bに直交する方向における幅となっていてもよく、また、他の方法で規定された厚さであってもよい。
先端部41の内周面41aは、軸線xを中心又は略中心とする円錐面又は略円錐面である。内周面41aは他の曲面であってもよく、例えば、断面における輪郭が外周側に凹む曲線となる曲面や、断面における輪郭が内周側に凸の曲線となる曲面、それらの組み合わせであってもよい。同様に、先端部41の外周面41bは、軸線xを中心又は略中心とする円錐面又は略円錐面である。外周面41bは他の曲面であってもよく、例えば、断面における輪郭が内周側に凹む曲線となる曲面や、断面における輪郭が外周側に凸の曲線となる曲面、それらの組み合わせであってもよい。
密封装置2においては、サイドリップ40の先端部41と中間部32との間の屈曲により、上述の密封装置1のサイドリップ23の先端部31と中間部32との間の屈曲により得られる効果を同様に奏することができる。また、サイドリップ40においては、先端部41の厚さが、根本側に(外側から内側に)向かうに連れて薄くなっており、中間部32及び根本部33が薄くなっており、中間部32及び根本部33の剛性が低下させられている。このため、使用状態において、サイドリップ40は、先端部41のデフレクタ52との接触部のデフレクタ52への押圧力又はデフレクタ52からの反力を小さくすることができる。これにより、サイドリップ40のデフレクタ52との接触によって発生する摺動抵抗を低減することができ、サイドリップ40が車軸51に与える摺動トルクを低減させることができる。一方、サイドリップ40の先端部41の先端35の先端角度θは鋭角となっており、先端部41のデフレクタ52に対する接触幅を小さくすることができ、デフレクタ52への押圧力又はデフレクタ52からの反力の低下により先端35における接触圧力の低下を抑制又は防止することができる。これにより、サイドリップ40の先端35における密封性を高めることができ、異物の侵入防止性能を向上させることができる。または、サイドリップ40の先端35における密封性の低下を抑制又は防止することができ、異物の侵入防止性能の低下を抑制又は防止することができる。
このように、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置2によれば、サイドリップ40による摺動トルクを低減させることができる。
次いで、本発明の第3の実施の形態に係る密封装置3について説明する。図7は、本発明の第3の実施の形態に係る密封装置3の概略構成を示すための、軸線xに沿う断面における部分拡大断面図である。本発明の第3の実施の形態に係る密封装置3は、上述の本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1に対して、サイドリップの構造が異なる。以下、本発明の第3の実施の形態に係る密封装置3について、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1と同一又は同様の機能を有する構成については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
図7に示すように、密封装置3において、サイドリップ45は、密封装置1のサイドリップ23とは異なり、先端部31とは異なる上述の密封装置2の先端部41を有している。先端部41は、上述のように、厚さが中間部32側に向かうに連れて薄くなるように形成されている。
密封装置3においては、上述の密封装置1及び密封装置2と同様の効果を奏することができる。具体的には、密封装置3のサイドリップ45は、中間部32に溝34を有しており、また、先端部41が中間部32に対して内周側に屈曲しており、中間部32に向かうに連れて肉薄となる形状になっている。このため、サイドリップ45を中間部32において曲がりやすくしつつ、先端部41における接触圧力を高めることができる。または、サイドリップ45を中間部32において曲がりやすくしつつ、先端部41における接触圧力の低下を抑制又は防止することができる。これにより、サイドリップ45が中間部32においてもデフレクタ52の摺動面53に当接するようになっても、サイドリップ45の先端35がデフレクタ52の摺動面53から浮き上がることを抑制することができると共に、サイドリップ45が車軸51に与える摺動トルクを低減させることができる。
このように、本発明の第3の実施の形態に係る密封装置3によれば、サイドリップ45による摺動トルクを低減させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る密封装置1〜3に限定されるものではなく、本発明の概念及び請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
上述の本発明の第1,3の実施の形態に係る密封装置1,3においては、溝34は、サイドリップ23,45の中間部32のみに設けられるとしたが、溝34は、先端部31,41にも1つ又は複数設けられていてもよい。例えば、図8に示すように、密封装置3において、先端部41の内周面41aに溝34が形成されていてもよい。同様に、密封装置1において、先端部31の内周面31aに溝34が形成されていてもよい。先端部31,41に形成される溝34の断面形状は、中間部32に形成される溝34の断面形状と同一でなくてもよい。溝34が先端部31,41に形成されている場合、先端部31,41においても中間部32と同様に、サイドリップ23,45が生じる摺動トルクを低減させる作用を得ることができる。また、先端部31,41の溝34は、塗布されるグリースを保持することができ、塗布されたグリースによる潤滑作用をより長く持続させることができる。
1,2,3,100…密封装置、10,101…補強環、11…円筒部、12…円盤部、20,102…弾性体部、21,103…シールリップ、22,104…ダストリップ、22a…突起、23,40,45,105…サイドリップ、24…リップ腰部、25…リップ先端部、25a…テーパ面、25b…ネジ突起、26…ガータスプリング、27…ガスケット部、28…後方カバー部、29…ライニング部、31,41…先端部、31a,41a…内周面、31b,41b…外周面、32…中間部、32a…内周面、32b…外周面、33…根本部、33a…内周面、33b…外周面、34…溝、35…先端、41c…外側面、50…トランスアクスル、51,111…車軸、51a…外周面、52,113…デフレクタ、53,113a…摺動面、54,112…ハウジング、55,114…貫通孔、55a…内周面、110…ディファレンシャル機構、C…接続部分、c1…内周接続部、c2…外周接続部、w1,w1´,w2,w3…厚さ、θ…先端角度、δ,δ1,δ2…接触幅、γ1,γ2…屈曲角度

Claims (9)

  1. 貫通孔と該貫通孔に挿通される軸との間の密封を図るための密封装置であって、
    軸線周りに環状の補強環と、
    前記補強環に取り付けられている前記軸線周りに環状の弾性体から形成された弾性体部とを備え、
    前記弾性体部は、前記軸に該軸が摺動可能に当接する環状のシールリップと、該シールリップよりも外側に設けられており前記軸線に向かって延びる環状のダストリップと、前記ダストリップよりも外周側において前記外側に向かって延びる環状のサイドリップとを有しており、
    前記サイドリップは、前記軸線方向において外側に向かうに連れて拡径する環状の中間部と、該中間部に接続する前記中間部よりも外側の部分であって前記軸線方向において外側に向かうに連れて拡径する環状の先端部とを有しており、
    前記サイドリップにおいて、前記先端部は、前記中間部から内周側に屈曲しており、
    前記中間部には、少なくとも1つの前記軸線周りに環状の溝が形成されていて、
    前記サイドリップの先端部は、厚さが前記中間部側に向かうに連れて薄くなるように形成されていることを特徴とする密封装置。
  2. 前記溝は、前記中間部の内周面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の密封装置。
  3. 前記溝の前記軸線に沿う断面における輪郭は、一定の曲率を有する円弧であることを特徴とする請求項1または2記載の密封装置。
  4. 前記溝は、前記先端部と前記中間部との接続部分には形成されていないことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の密封装置。
  5. 前記溝が複数形成されており、
    互いに隣接する前記溝の間の間隔は一定であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の密封装置。
  6. 貫通孔と該貫通孔に挿通される軸との間の密封を図るための密封装置であって、
    軸線周りに環状の補強環と、
    前記補強環に取り付けられている前記軸線周りに環状の弾性体から形成された弾性体部とを備え、
    前記弾性体部は、前記軸に該軸が摺動可能に当接する環状のシールリップと、該シールリップよりも外側に設けられており前記軸線に向かって延びる環状のダストリップと、前記ダストリップよりも外周側において前記外側に向かって延びる環状のサイドリップとを有しており、
    前記サイドリップは、前記軸線方向において外側に向かうに連れて拡径する環状の中間部と、該中間部に接続する前記中間部よりも外側の部分であって前記軸線方向において外側に向かうに連れて拡径する環状の先端部とを有しており、
    前記サイドリップにおいて、前記先端部は、前記中間部から内周側に屈曲しており、
    前記サイドリップの先端部は、厚さが前記中間部側に向かうに連れて薄くなるように形成されていることを特徴とする密封装置。
  7. 前記中間部は、厚さが一定となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の密封装置。
  8. 前記先端部は、前記軸線を中心とする円錐筒状の形状を呈しており、前記中間部は、前記軸線を中心とする円錐筒状の形状を呈していることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の密封装置。
  9. 前記サイドリップは、前記軸線周りに環状の根元部を有しており、前記中間部は、前記根元部に接続する前記根元部よりも外側の部分であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の密封装置。
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