本発明の一実施の形態に係るコンベヤについて図1ないし図11を参照して説明する。
図1及び図2において、1は搬送装置であるコンベヤで、このコンベヤ1は、物品W同士の衝突を回避しながら物品Wの搬送(ゼロプレッシャ蓄積搬送)を行うアキュームコンベヤである。
また、コンベヤ1の上流には、コンベヤ1へ物品Wを供給する上流コンベヤ2が配置されている。コンベヤ1の下流には、コンベヤ1からの物品Wを受け入れて搬送する下流コンベヤ3が配置されている。なお、コンベヤ1の上下流に、コンベヤ以外の他の上流機器や下流機器が配置されていてもよいし、下流コンベヤ3を設置しない場合もある。
そして、コンベヤ1は、図1及び図2に示すように、搬送方向に並んだ複数のゾーン(図示した例では、4つのゾーン1〜4)によって構成され、物品Wを搬送方向に向けて搬送する搬送ライン6と、複数のゾーンのそれぞれに対応して1つずつ設けられ、対応する自己ゾーン上の物品Wの存在(有無)を検知する検知センサ(物品有無検知センサ)である光電センサ7と、物品Wのゼロプレッシャ蓄積搬送を行うべく搬送ライン6を制御する制御装置8とを備えている。
搬送ライン6の搬送方向に並んだ各ゾーン(ゾーン1〜4)は、いずれも、複数、例えば2本の駆動ローラであるモータローラ11と、複数、例えば4本のフリーローラ12と、これら複数のローラ11,12が同期回転するように互いに隣り合うローラ11,12間に掛け渡された動力伝達用の無端体13とを有している。
各ローラ11,12は、互いに離間対向する搬送方向長手状の両フレーム15間に架設されている。モータローラ11は、内部に駆動源であるモータ16を有している。なお、モータローラ11が内蔵するモータ16としては、例えばブラシレスDCモータが用いられる。
なお、図2に図示された複数(例えば24本)の搬送ローラのうち、斜線が施された搬送ローラが、モータ16を有したモータローラ11であり、この例では4つの各ゾーンがそれぞれ2本のモータローラ11を有している。つまり、4つの各ゾーンは、物品Wを搬送するための駆動源であるモータ16を2つずつ有している。
光電センサ7は、検知光を利用して自己ゾーン上の物品Wの存在を検知(検出)するもので、自己ゾーンの搬送終端部付近に位置している。なお、光電センサ7は、検知光を上方へ投光するものには限定されず、例えば検知光を斜め上方へ投光するものでもよいし、搬送面上方を搬送方向と交差する方向に横切るように投光するものでも良い。
制御装置8は、複数のモータ16のそれぞれに対応して1つずつ設けられ、主モード(マスタモード)及び従モード(スレーブモード)のいずれかに予め設定され、この予め設定されたモードに応じて、対応するモータ16を制御する複数の制御手段であるコントローラ21と、これら複数のコントローラ21を設定されたモードに関係なく搬送方向に沿って数珠繋ぎ状に直列に接続する信号伝達手段である複数の通信ケーブル(通信配線)22とを有している。
なお、これら複数のコントローラ21(21a,21b)は、両フレーム15のうちのいずれか一方に取り付けられており、そのフレーム15の長手方向である搬送方向に並んで配置されて位置している。そして、通信ケーブル22は互いに隣り合うコントローラ21間に配置されてコントローラ21同士を接続している。
ここで、モータ16の数と同数の複数のコントローラ21が、通信ケーブル22によってマスタ/スレーブのモード(設定モード)に関係なく搬送方向に沿って数珠繋ぎ状に直列に接続されている。これにより、これらの直列接続された複数のコントローラ21が参加するネットワークが形成されており、各コントローラ21は物理的な配置に関係なくネットワーク上の任意のコントローラ21と通信可能となっている。
そして、複数のコントローラ21のうちの一部、例えば光電センサ7が接続されたコントローラ21は、主モード(マスタモード)に設定された主コントローラ21aであって、自己ゾーンの光電センサ7からの信号と、自己ゾーンに隣接する隣接ゾーンの主コントローラ21aからの信号とに基づいて、自己ゾーンの対応するモータ16を制御する。
また、複数のコントローラ21のうちの他部、例えば光電センサ7が接続されていないコントローラ21は、従モード(スレーブモード)に設定された従コントローラ21bであって、自己ゾーンの主コントローラ21aからの信号に基づいて、自己ゾーンの主コントローラ21aによって制御されるモータ16と同期するように自己ゾーンの対応するモータ16を制御する。
すなわちこの例では、主コントローラ21aは、モータローラ11の駆動の要否の判別を伴う主動制御を行うものであり、他方、従コントローラ21bは、主コントローラ21aの制御に従うものであって、モータローラ11の駆動の要否の判別を伴わない従動制御を行うものである。
ここで、図3に示すように、例えばゾーン2の主コントローラ21aは、自己ゾーンであるゾーン2の光電センサ7からの信号(検知信号)と、隣接する上流ゾーンであるゾーン3の主コントローラ21aからの信号(上流側信号)と、隣接する下流ゾーンであるゾーン1の主コントローラ21aからの信号(下流側信号)とに基づいて、ゾーン2のモータローラ11(上流側のモータローラ11a)のモータ16を制御する。
また、ゾーン2の従コントローラ21bは、同じゾーン2の主コントローラ21aからの信号(下流側信号)に基づいて、その主コントローラ21aによって制御されるモータローラ11aのモータ16と同期するように、ゾーン2のモータローラ11(下流側のモータローラ11b)のモータ16を制御する。
この図3から明かなとおり、2つの主コントローラ21a間に、従コントローラ21bが存在する場合には、両主コントローラ21a間での通信は、従コントローラ21bを介して(通じて)行われる。
そして、図4(a)ないし(c)に示すように、例えば作業者がゾーン2上の物品Wを搬送ライン6外へ取り出した場合には、ゾーン2の光電センサ7が物品Wを検知せず、ゾーン3の光電センサ7が物品Wを検知した状態になる。この状態では、ゾーン3から空きが生じたゾーン2へ物品Wが搬送可能であるため、ゾーン2及びゾーン3のローラ11,12の回転により、ゾーン3上にあった物品Wが搬送方向に搬送されてゾーン2上に供給される。ゾーン4からゾーン3への物品の搬送も同様であり、ゾーン3およびゾーン4のローラ11,12の回転により、ゾーン4上にあった物品Wが搬送方向に搬送されて空きが生じたゾーン3上に供給される。なお、この場合は隣接ゾーンの主コントローラ21a同士で物品Wの有無による搬入可/不可、および駆動要否に関する情報等が通信される。
このように、制御装置8の各コントローラ21(21a,21b)によるモータ16の制御に基づいて、搬送方向に隣接する物品W同士が衝突することなく、搬送ライン6によって複数個の物品Wが蓄積搬送される。
また、図5に示すように、各コントローラ21(21a,21b)は、いずれも、同一構成のドライバ基板によって構成されている。そして、ドライバ基板は、後述するモード設定手段から入力されたモード情報によってマスタ基板またはスレーブ基板として機能する。
すなわち、各コントローラ21は、略矩形板状に形成されたコントローラ本体31を有し、このコントローラ本体31には、通信ケーブル22を通って他のコントローラ21から送られてくる所定の信号に基づいてモータ16を制御する制御部32が設けられている。また、コントローラ本体31には、モード設定手段としての複数のディップスイッチ及びロータリースイッチ等によって構成されたスイッチ部33が設けられている。
スイッチ部33は、作業者が手動で主モード(マスタモード)か従モード(スレーブモード)かを切替設定するためのモード設定用操作部である切替スイッチ(マスタ/スレーブの切替スイッチ)34を有している。また、スイッチ部33は、モード設定用の切替スイッチ34のほか、例えば図示しないが、モータ速度設定用のスイッチ、モータ回転方向設定用のスイッチ、連結運転か単独運転かを設定するためのスイッチ等を有している。
また、コントローラ本体31の長手方向一端部には、隣接する上流のコントローラ21からの通信ケーブル22を接続可能な上流側接続部(上流側通信コネクタ)36が設けられている。つまり、この上流側接続部36には、隣接する上流のコントローラ21が通信ケーブル22を介して接続されている。
同様に、コントローラ本体31の長手方向他端部には、隣接する下流のコントローラ21からの通信ケーブル22を接続可能な下流側接続部(下流側通信コネクタ)37が設けられている。つまり、この下流側接続部37には、隣接する下流のコントローラ21が通信ケーブル22を介して接続されている。
さらに、コントローラ本体31には、所定の情報を記憶する記憶部(メモリ)、モータ16を接続可能な駆動源接続部としてのモータ接続コネクタ、光電センサ7を接続可能なセンサ接続部としてのセンサ接続コネクタ、外部I/Oコネクタ、設定器コネクタおよび電源コネクタ等が設けられている。
そして、制御部32は、モード設定手段(例えば切替スイッチ34)によって設定されたモード情報または記憶部に記憶されたモード情報を認識するモード認識機能(モード認識手段)を有している。
なお、モード設定は、作業者が手動操作する物理的な切替スイッチ34によるものには限定されず、例えば、モード設定手段に外部の設定器(例えばコンピュータ)を使用し、設定器コネクタに一時的に接続した設定器からの信号によってマスタ/スレーブのモードが設定されるものでもよい。
また、センサ接続コネクタへの光電センサ7の接続の有無に応じてマスタ/スレーブのモードが自動設定されるものでもよく、後述する親コントローラ(最下流基板)からの信号によってマスタ/スレーブのモードが自動設定されるものでもよい。
また、コンベヤ1の搬送ライン6は、図1に示すものには限定されず、例えば図6に示すものでもよい。
この図6に示す搬送ライン6は、搬送方向に並んだ2つのゾーン(ゾーン1、2)からなるもので、この各ゾーンは、搬送方向に分割した2台のベルトコンベヤ部41,42によって構成されている。
各ベルトコンベヤ部41,42は、駆動源であるモータ16からの動力で回転する駆動ローラ43と、これと離間対向する従動ローラ44とを有し、これら駆動ローラ43及び従動ローラ44には、物品Wを搬送方向に向けて搬送する無端状の搬送ベルト45が掛け渡されている。
そして、下流側のベルトコンベヤ部41のモータ16には、このモータ16を制御(主動制御)するマスタモードの主コントローラ21aが接続されている。また、上流側のベルトコンベヤ部42のモータ16には、このモータ16を制御(従動制御)するスレーブモードの従コントローラ21bが接続されている。
さらに、コンベヤ1の搬送ライン6は、搬送方向長さが等しい複数のゾーンからなるものには限定されず、例えば図7に示すものでもよい。
この図7に示す搬送ライン6では、各ゾーンの搬送方向長さが一定ではなく、例えばゾーン1はモータローラ11を1本有し、ゾーン2、4はモータローラ11を2本有し、ゾーン3はモータローラ11を3本有している。
つまり、ゾーン2に含まれる駆動源の数に応じてコントローラ21は同数だけ配置され、主コントローラ21aは各ゾーン2に配置され、従コントローラ21bは、各ゾーン2に1又は2以上配置されても良いし、配置されない場合もある。つまり、各ゾーンは、主コントローラ21aのみを含む場合、または、主コントローラ21aと1又は2以上の従コントローラ21とを含む場合のいずれかの場合がある。
そして、上述した図1や図6に示すものと同様、マスタモードの主コントローラ21aがモータ16を制御(主動制御)し、かつ、スレーブモードの従コントローラ21bがモータ16を制御(従動制御)する。
ここで、これらの各コントローラ21(21a,21b)には、例えば図8に示すように、設定されたマスタ/スレーブのモードに関するモード情報に加えて、搬送方向に規則性を有するアドレス(固有識別情報)及び各コントローラ21が属するゾーンに関するゾーン情報であるゾーン番号のうちの少なくともいずれか一方、例えば両方が識別情報として記憶(登録)され、この記憶された情報に基づいてコントローラ21間で通信が自動的に行われる。なお、このことは図1や図6に示す各コントローラ21でも同様である(後述する図12に示す各コントローラ21でも同様)。
この図8に示す例では、コントローラ21を識別するための固有識別情報であるアドレス(固有のアドレス番号)は、最下流から最上流に向かって「1」から昇順する番号であるが、これには限定されず、例えば最下流から最上流に向かって「8」から降順する番号でもよく、例えば使用枚数や接続可能枚数が20枚の場合は最上流から最下流に向かって「20」から降順する番号でもよく、最上流から最下流に向かって「1」から昇順する番号等でもよい。つまり、アドレスは、搬送方向に規則性を有するように各コントローラ21に付与され、各コントローラ21の搬送方向における配置がアドレスによって認識可能となる。また、ゾーン番号も同様に規則性を持って付与されることが好ましい。なお、この規則性は、搬送方向の順番が認識可能であればよい。
なお、アドレス及びゾーン番号の両方が各コントローラ21ごとに記憶部に記憶されることは、必ずしも必要なことではなく、アドレス及びゾーン番号のうちのいずれか一方(例えば固有識別情報であるアドレス)のみが記憶されるようにしてもよい。
次に、図9ないし図11を参照して、コントローラ21(以下、単に「基板」という場合がある)の検索(基板検索)のフローについて説明する。
図9はアドレスで検索する場合のフローチャートであり、図10はゾーン番号で検索する場合のフローチャートであり、図11はアドレスとゾーン番号を組み合わせて検索する場合のフローチャートであり、各基板はいずれかの方法で基板検索を行う。
まず、アドレスで検索する場合は、図9に示すように、各基板は、自機(自己)のモードがマスタモードかスレーブモードかを判断し(ステップ1)、マスタモードであると判断した場合には、自機よりも下流のアドレスでかつマスタモードの基板を検索して検出し(ステップ2)、この検出した基板を下流ゾーンのマスタ基板(下流側の通信相手の基板)として当該基板との間で通信を行う(ステップ3)。
また、各基板は、自機よりも上流のアドレスでかつマスタモードの基板を検索して検出し(ステップ4)、この検出した基板を上流ゾーンのマスタ基板(上流側の通信相手の基板)として当該基板との間で通信を行う(ステップ5)。
さらに、各基板は、上記ステップ1で、スレーブモードであると判断した場合には、自機よりも下流のアドレスでかつマスタモードの基板を検索して検出し(ステップ6)、この検出した同期元の基板の動作に同期する(ステップ7)。
次いで、ゾーン番号で検索する場合は、図10に示すように、各基板は、自機(自己)のモードがマスタモードかスレーブモードかを判断し(ステップ1)、マスタモードであると判断した場合には、自機よりも下流のゾーン番号でかつマスタモードの基板を検索して検出し(ステップ2)、この検出した基板を下流ゾーンのマスタ基板(下流側の通信相手の基板)として当該基板との間で通信を行う(ステップ3)。
また、各基板は、自機よりも上流のゾーン番号でかつマスタモードの基板を検索して検出し(ステップ4)、この検出した基板を上流ゾーンのマスタ基板(上流側の通信相手の基板)として当該基板との間で通信を行う(ステップ5)。
さらに、各基板は、上記ステップ1で、スレーブモードであると判断した場合には、自機と同じゾーン番号(自己ゾーン)のマスタモードの基板を検索して検出し(ステップ6)、この検出した同期元の基板の動作に同期する(ステップ7)。
次いで、アドレス及びゾーン番号の両方を使用して検索する場合は、図11に示すように、各基板は、自機(自己)のモードがマスタモードかスレーブモードかを判断し(ステップ1)、マスタモードであると判断した場合には、自機よりも下流のアドレスでかつマスタモードの基板を検索して検出し(ステップ2)、この検出した基板を下流ゾーンのマスタ基板(下流側の通信相手の基板)として当該基板との間で通信を行う(ステップ3)。
また、各基板は、自機よりも上流のアドレスでかつマスタモードの基板を検索して検出し(ステップ4)、この検出した基板を上流ゾーンのマスタ基板(上流側の通信相手の基板)として当該基板との間で通信を行う(ステップ5)。
さらに、各基板は、上記ステップ1で、スレーブモードであると判断した場合には、自機と同じゾーン番号(自己ゾーン)のマスタモードの基板を検索して検出し(ステップ6)、この検出した同期元の基板の動作に同期する(ステップ7)。
上述の処理によって、例えば図8のテーブルのゾーン3の場合だと、マスタ基板であるBD4は、自己のゾーンに隣接するゾーンに属する他のマスタ基板であるBD7およびBD2と通信し、スレーブ基板であるBD5およびBD6は自己のゾーンのマスタ基板であるBD4と通信することになる。
なお、上述したいずれの場合においても、自機よりも下流のマスタ基板がなければ自機が最下流のマスタ基板となり、自機よりも上流のマスタ基板がなければ自機が最上流のマスタ基板となる。
また、例えば自機が最下流基板か最上流基板かはそれぞれ個別に設定してもよく、また、例えば自機が最下流基板か最上流基板かを自ら判断できる機能を備えてもよい。さらに、例えば最下流基板(親基板)に上流基板(複数の子基板)へ向かって自動でアドレスを振っていく機能等を持たせてもよく、例えば、昇順の場合は1番が最下流基板になる。
また、マスタ基板が上下流の通信対象のマスタ基板を検索するステップが、下流側についで上流側となっているが、これは反対に処理されても同時に処理されても良いし、上流側または下流側の一方の処理のみでコントローラ21同士が関連付くようにしても良い。
次に、本発明の他の実施の形態に係るコンベヤについて図12ないし図14を参照して説明する。
この他の実施の形態に係るコンベヤ1の制御装置8は、上記一実施の形態のものとは異なり、複数のコントローラ21のうちの一のコントローラ21である親コントローラ(例えば最下流基板である親基板)21が、残りの他の複数のコントローラ21である子コントローラ(最下流基板を除く残りの他の子基板)21の制御を集中管理するものである。ただし、上記一実施の形態と同様、この各コントローラ21も主モード及び従モードのいずれかに設定されている。
図12に示すように、複数のコントローラ21のうちの一部、例えば光電センサ7が接続されたコントローラ(統括基板である親コントローラは除く)21は、主モード(マスタモード)に設定された主コントローラ21aである。
親コントローラ21は、上述のフローに従って主コントローラ21a同士の関係および従コントローラ21aと主コントローラ21bとの関係を認識する。
親コントローラ21は、自己ゾーンの光電センサ7からの信号(検知信号)と、隣接ゾーンの主コントローラ21aからの信号(動作指令信号)とに基づいて、自機に接続されたモータ16を制御する。
さらに、親コントローラ21aは、主コントローラ21aと通信を行って、各主コントローラ21aから物品Wの有無に関する情報、出入が可/不可かに関する情報等を受信し、その情報に従って各主コントローラ21aに対応する駆動・停止を指示する信号を生成する。なおこの各主コントローラ21aから受信される信号は、各主コントローラ21aの光電センサ7の検知情報でもよいし、各主コントローラ21aが光電センサ7の検知情報に基づいて処理(加工)した情報でもよい。
主コントローラ21aは、親コントローラ21からの信号(動作指令信号)に基づいて、自己ゾーンの対応するモータ16を制御する。
また、複数のコントローラ21のうちの他部、例えば光電センサ7が接続されていないコントローラ21は、従モード(スレーブモード)に設定された従コントローラ21bであって、親コントローラ21からの信号(動作指令信号)に基づいて、自己ゾーンの主コントローラ21aによって制御されるモータ16と同期するように自己ゾーンの対応するモータ16を制御する。なお、これらの各コントローラ21(21a,21b)は、上記一実施の形態のものと同様、同一構成のドライバ基板によって構成されている(図5参照)。
そして、これらの各コントローラ21(21a,21b)には、例えば図13に示すように、上述した図8と同様、モード情報(マスタ/スレーブ)に加えて、アドレス及びゾーン番号のうちの少なくともいずれか一方、例えば両方(例えばアドレスのみでもよい)が記憶され、この記憶された情報に基づいてコントローラ21間で通信が自動的に行われる。なお、この図13に示す例には限定されず、例えばアドレスは搬送方向に規則性を有するものであれば任意である。
次に、このコンベヤ1の制御内容について図14を参照して説明する。
図14に示すように、電源がONされると各コントローラ21に電力が供給され(ステップ1)、次いで運転ON信号が入力されると(ステップ2)、搬送方向最下流に位置する一のコントローラ21が親コントローラ(以下、単に「親基板」という場合がある)となり、この場合、最下流に位置するコントローラ21の制御部32のモード認識機能が自機が親モードの親コントローラであると自動で認識する。その他のコントローラ21のモード認識機能は、自機が子モードの子コントローラとして認識する。
この親基板は、上流側の複数の子コントローラ21(以下、単に「子基板」という場合がある)にアドレスを振っていき、かつ、親基板の記憶部に記憶された設定情報(図13に示す子基板のモード情報等)と、子基板の現在の情報とを照合する(ステップ3)。
そして、親基板は、照合結果が一致するか否かを判断し(ステップ4)、照合結果が一致すると判断した場合には、子基板の現在の情報及び振り当てられたアドレスが子基板の記憶部(メモリ)に登録(書き込み)される(ステップ5)。
このように、搬送ラインの動作開始前において、親基板と子基板の通信および、この通信にともなう複数の子基板すべてに対しての情報(アドレス等)の一斉書き込みが自動的に行われる。なお、例えば運転ONの際や、電源ONなどによってこの動作開始前の通信が行なわれるようにしてもよい。
続いて、親基板は、上流側に位置する複数の子基板(BD2以降の基板)からの信号(例えば在荷情報や運転情報等)を受信して情報処理を行い、この処理結果に応じた動作指令信号が各子基板に送信され、その結果、搬送動作が行われる(ステップ6)。つまり、各基板によるモータ16の制御に基づいて、隣接する物品W同士が衝突することなく、物品Wが蓄積搬送される。
その後、運転OFF信号が入力されると(ステップ7)、各子基板の記憶部に登録された情報が消去され、その後、電源がOFFされて電力供給が停止する(ステップ8)。
このように、運転終了の際(例えば運転OFFの際や、電源OFFの際等)において、複数の子基板に記憶された情報(アドレス等)の一斉消去が自動的に行われる。なお、消去タイミングは、搬送ラインの動作開始前の通信である基板間通信が開始される前の時点でもよい。また、親基板の記憶部に記憶された設定情報は、記憶されたままである。なお、情報消去の方法は、メモリの性質を利用するものでもよいし、各子基板の制御部によって消去処理が行なわれるものでもよい。
また、親基板は、上記ステップ4で、照合結果が一致しないと判断した場合には、エラーと判定して(ステップ9)、運転OFF信号の入力により運転OFFとなり、その後、エラーの原因が「設定」か「故障」かを判断する(ステップ10)。なお、エラーの原因が「設定」か「故障」かを判断するための情報を親基板が出力するようにしてもよい。
そして、エラーの原因が「設定」である場合には、照合結果が一致するように設定変更が行われて(ステップ11)、運転ON信号の入力により再び運転ONに戻る(ステップ2)。
なお、設定変更が初期設定によるものであれば、親基板の記憶部に照合結果が正として書き込まれる。また、設定変更の後は、ステップ4の照合またはステップ5のメモリ登録に進んでよいし、ステップ7の運転オフからステップ2の運転オンに戻ってもよい。
また一方、エラーの原因が「故障」である場合には、前記設定変更と同様にしても良いが、安全性確保の観点等から、上記ステップ8により電源OFFされた後、作業者は、故障した子基板を新しい基板と交換する。そして、再起動が行なわれると、照合結果が一致し動作が開始する。
なお、子基板に記憶された子基板が親基板から受信した情報は、搬送ラインの動作停止から、次の動作開始前の通信までの間に消去されればよい。
そして、上述した各実施の形態に係るコンベヤ1の制御装置8によれば、設定モードに応じてゾーンのモータ16を制御する複数のコントローラ21と、これら複数のコントローラ21を設定モードに関係なく搬送方向に沿って数珠繋ぎ状に直列に接続する通信ケーブル22とを備えた構成であるから、図15に示す従来の構成に比べて、配線作業が容易で、配線作業ミスの発生もなく、作業者の負担を軽減できる。
また、複数のコントローラ21のうちの一の親コントローラ(例えば最下流基板)21には親コントローラおよび子コントローラの情報が記憶され、子コントローラ21の情報は、例えば運転または電源のON/OFF等の所定の操作によって情報の書き込み及び消去が行われるため、例えば複数の子コントローラ21のうちのいずれかが故障しても、その故障した子コントローラ21の記憶部に記憶されたアドレス等の情報を新しい予備のコントローラ21にコピーする必要がなく、新しい予備のコントローラ21を故障したものと単に入れ替えるだけで、復旧作業が完了となり、よって作業者の負担を軽減できる。
さらに、搬送ラインの動作開始前に行なわれる通信で、親コントローラが子コントローラと通信を行い、親コントローラに管理された子コントローラの情報と新たに取得した子コントローラの情報を照合することで、搬送ラインが動作を開始する前に子コントローラの故障等を検出することができ、搬送ラインの動作途中の不具合を予防することができる。なお、運転ON/OFFでデータの書き込みと消去が行われるようにすれば、電源を一々ON/OFFする手間が省け、さらに効率が良い。
さらに、複数の各コントローラ21の記憶部には、搬送方向に規則性を有するアドレスを含む情報が記憶され、この記憶された情報に基づいてコントローラ21間で通信が行われるため、搬送ライン6を適切に制御できる。
また、コントローラ21は、各コントローラ21に設定されたモード情報および識別情報により、コントローラ21間の通信関係を自動で判断するため、通信設定が効率よく行なわれる。
なお、いずれの実施の形態においても、親コントローラ(親制御手段)は、搬送方向最下流に位置するものには限定されず、例えば搬送方向最上流に位置するものでもよく、搬送方向中間に位置するものでもよい。
また、上記一実施の形態の如く各コントローラがアドレスから自力で通信相手のコントローラを探し、通信もコントローラ間で行う構成や、上記他の実施の形態の如く各コントローラが親コントローラからの動作指令によってモータ16を動作させる構成には限定されず、例えば通信相手のコントローラは親コントローラから指示されるが、通信はコントローラ間で行う構成等を採用してもよい。
さらに、複数のゾーンで構成される長手状の搬送ラインは、真っ直ぐな直線状の構成には限定されず、例えば搬送方向の途中で円弧状の部分を有した構成等でもよい。そして、搬送動作が同期する範囲を一のゾーンとし、搬送動作が非同期(独立)の複数のゾーンによって搬送ライン6が形成され、ゾーンの幅、長さ、形状は適宜変更でき、異なる種類のコンベヤを組み合わせることも可能である。
また、主モードと従モードおよび親モードと子モードは、夫々のモードが明示的に入力されることによって設定されてもよいし、デフォルトのモードに変更を加えることで区別されてもよいし、主モード以外は従モード、親モード以外は子モード、あるいはその逆にしてもよく、制御部32がモードを認識可能になるように種々の設定・変更方法を採用することができる。
なお、本発明のいくつかの実施の形態およびその変形例等について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、上記各実施の形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。