以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.現金自動預払機及び紙幣入出金機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融機関等の顧客)との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うようになっている。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになっている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の筐体内側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客により入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、前側に対峙した顧客から見て上下左右を、それぞれ上側、下側、左側及び右側と定義して説明する。
筐体2の内部には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等に関する種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、後側が開放された直方体形状の筐体11の内部に、紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。尚、現金自動預払機1は、筐体2の後側が開閉可能な扉となっており、この扉を開くことで、外部から紙幣入出金機10へのアクセスが可能となっている。
紙幣入出金機10は、大きく分けて、筐体11における上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット10Uと、その下側部分を占める下部ユニット10Lとにより構成されている。
上部ユニット10Uには、全体を統括制御する紙幣制御部12、顧客との間で紙幣を授受する入出金部13、図中太線で示す搬送路14に沿って紙幣を各部へ搬送する搬送部15、紙幣を鑑別する鑑別部16及び紙幣を一時的に収納する一時保留部17が設けられている。上部ユニット10Uは、例えば、前後方向にスライド可能となっていて、筐体11の内部に収納された状態から、筐体11の後側に引き出すことができるようになっている。
一方、下部ユニット10Lは、直方体形状の金庫筐体20により覆われていて、この金庫筐体20の内部に、5個の紙幣カセット21(21A〜21E)及びリジェクトカセット22が、後側から順に並ぶようにして設けられている。尚、金庫筐体20の内部には、紙幣カセット21(21A〜21E)及びリジェクトカセット22を上方から装填するための複数のスロットを有する装填部(図示せず)が前後方向にスライド可能に設けられており、紙幣カセット21(21A〜21E)及びリジェクトカセット22が、それぞれ装填部の各スロットに装填されている。
さらに、下部ユニット10Lは、金庫筐体20の後部を開放して装填部を後方へスライドさせることで、装填部を金庫筐体20の外部に引き出すことができ、外部に引き出した装填部の各スロットに対して紙幣カセット21(21A〜21E)及びリジェクトカセット22を着脱できるようになっている。
さらに、金庫筐体20の上面には、金庫筐体20内部に設けられた5個の紙幣カセット21(21A〜21E)及びリジェクトカセット22のそれぞれの上面と対向する位置に受渡搬送部23(23A〜23F)が配置されている。また、上部ユニット10Uの搬送部15には、複数の受渡搬送部23(23A〜23F)のそれぞれに向かって延びる搬送路14が形成されている。現金自動預払機1は、この受渡搬送部23(23A〜23F)を介して、上部ユニット10Uの搬送部15と、下部ユニット10Lの紙幣カセット21(21A〜21F)及びリジェクトカセット22との間で紙幣を受け渡すようになっている。
ここで、上部ユニット10Uについてさらに詳しく説明する。上部ユニット10Uの紙幣制御部12は、図示しないCPUと、ROM、RAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部とにより構成され、CPUが記憶部から各種プログラムを読み出して実行することにより、取引に関する種々の処理を行う。
入出金部13は、上部ユニット10U内部の前側上部に位置している。この入出金部13は、紙幣を収容する収容器13Aと、収容器13A内に収容された紙幣を1枚ずつ分離して搬送部15へ繰り出すとともに、搬送部15から送られてくる紙幣を収容器13A内に集積して収容する紙幣集積繰出装置13Bが設けられている。また、上部ユニット10Uは、収容器13Aの上方をシャッタ13Cにより開放又は閉塞する。シャッタ13Cは、筐体2に設けられた入出金口5(図1)のシャッタと連動して開放又は閉塞する。
搬送部15は、上部ユニット10U内部の下端部分に位置している。この搬送部15は、図示しないローラやベルト等により、搬送路14に沿って紙幣を搬送する。搬送部15は、例えば、紙幣の短手方向を搬送方向とする向きで紙幣を搬送するようになっている。以下では、紙幣の搬送方向と直行する長手方向の長さを、紙幣の幅方向の長さ(つまり幅)とする。搬送路14は、図3に示すように、上部ユニット10Uの前側に位置していて前後方向に延びる直線状の前側搬送路14Aと、後側に位置していて前後方向に延びる直線状の後側搬送路14Bと、これらの間に位置する3ウェイ切替部24と、前側搬送路14A及び後側搬送路14Bから分岐して各部へと延びる複数の搬送路14C〜14Jとで構成されている。3ウェイ切替部24は、前側搬送路14Aと、後側搬送路14Bと、一時保留部17へと延びる搬送路14Dとの間で、紙幣の搬送経路を3通りに切り替えることができるようになっている。また、前側搬送路14A及び後側搬送路14Bの分岐箇所には、切替部(図中三角形で示す部分)が設けられていて、紙幣制御部12は、各切替部と3ウェイ切替部24の動作を制御することで、紙幣の搬送先を切り替えるようになっている。また、搬送部15は、前側搬送路14A及び後側搬送路14B上に数枚程度の紙幣を貯留できるようにもなっている。
鑑別部16(図2及び図3)は、前側搬送路14A上に設けられている。この鑑別部16は、内部に厚みセンサ、イメージセンサ及び磁気センサといった複数種類のセンサが組み込まれており、各センサにより各紙幣から種々の情報を読み取り、得られた情報(以下これを読取情報と呼ぶ)を紙幣制御部12(図2)へ供給する。
これに応じて紙幣制御部12は、各紙幣の状態を判定し、当該紙幣が正常であり受入可能であるか、或いは異常であり利用者に返却すべきであるかを決定する。具体的に紙幣制御部12は、得られた読取情報を基に、各紙幣における搬送状態並びに金種や損傷の程度、或いは真偽等を判定し、このときの判定結果を基に各紙幣の搬送先を決定して、搬送部15における搬送動作を制御する。
一時保留部17(図2)は、上部ユニット10U内部の中央に設けられていて、例えばテープエスクロ方式を採用している。すなわち、一時保留部17は、円筒状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで当該紙幣を一時的に貯留し、またこの周側面から当該テープを引き剥がすことで紙幣を繰り出す。
つづいて、下部ユニット10Lについてさらに詳しく説明する。下部ユニット10Lの紙幣カセット21(21A〜21E)は、何れも同様の構成となっており、上下方向に長い直方体状に形成されるとともに内部に紙幣を集積して収納する収納空間を有している。また、紙幣カセット21(21A〜21E)の内部には、搬送されてくる紙幣を収納空間に集積して収納し、収納空間に集積された紙幣を1枚毎に分離して外部へ繰り出す分離集積ユニット25(25A〜25E)が設けられている。各紙幣カセット21(21A〜21E)は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。紙幣カセット21(21A〜21E)は、鑑別部16及び紙幣制御部12により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判定された紙幣が、その金種に応じて搬送部15から受渡搬送部23A〜23Eを介して搬送されてくると、当該紙幣を収納空間に集積して収納する。また紙幣カセット21(21A〜21E)は、紙幣制御部12から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、収納空間に集積している紙幣を1枚毎に分離して繰り出し、受渡搬送部23A〜23Eを介して搬送部15へ引き渡す。
リジェクトカセット22は、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する収納空間を有している。このリジェクトカセット22は、鑑別部16及び紙幣制御部12により損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと判定された紙幣が搬送部15から受渡搬送部23Fを介して搬送されてくると、当該紙幣を収納空間に収納する。
[2.入金処理及び出金処理]
次に、現金自動預払機1により利用者(金融機関の顧客)との間で入金取引及び出金取引が行われる場合における、紙幣入出金機10内での入金処理及び出金処理について説明する。
[2−1.入金処理]
紙幣入出金機10は、入金処理において、紙幣制御部12の制御に基づき、入金された紙幣の金種等を鑑別して、紙幣を適切な収納箇所へ収納するようになっている。具体的に紙幣制御部12は、例えば顧客により操作表示部6(図1)を介して入金処理を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金処理を開始し、顧客により入出金部13に投入された紙幣を1枚ずつに分離して、鑑別部16へと搬送する。
ここで、紙幣制御部12は、鑑別部16による鑑別結果に基づき、各紙幣における損傷の程度や金種、或いは真偽を判断する。次に紙幣制御部12は、各紙幣について、正常な紙幣として認識できた場合は以降の処理を継続できる入金受入紙幣であると判断し、正常な紙幣として認識できない場合は、一度顧客に返却すべき入金リジェクト紙幣であると判断する。さらに紙幣制御部12は、入金受入紙幣のうち、再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣カセット21(21A〜21E)を、損傷などにより再利用不可能な紙幣についてはリジェクトカセット22を、それぞれ最終的な搬送先として決定し、記憶しておく。
続いて紙幣制御部12は、入金受入紙幣については一時保留部17へ搬送して収納させ、入金リジェクト紙幣については後側搬送路14Bへ搬送して後側搬送路14B上に貯留させる。その後、紙幣制御部12は、入出金部13から全ての紙幣を取り込み終えると、後側搬送路14B上に入金リジェクト紙幣が貯留されていれば、これを入出金部13に搬送して顧客に返却した後、必要に応じて再投入させる。
一方、後側搬送路14B上に入金リジェクト紙幣が貯留されていなければ、紙幣制御部12は、入出金部13から取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果を基に入金額を算出すると共に、所定の操作指示画面を操作表示部6に表示し、この入金額を顧客に提示すると共に入金処理を継続するか否かを顧客に選択させる。ここで、顧客により入金処理の中止が指示された場合、紙幣制御部12は、一時保留部17に保留している全ての紙幣を入出金部13へ搬送して顧客に返却する。
一方で、顧客により入金処理の継続が指示された場合、紙幣制御部12は、一時保留部17に収納している紙幣(入金受入紙幣)を順次繰り出して、先に記憶した紙幣毎の搬送先に搬送する。すなわち、紙幣制御部12は、一時保留部17に収納している入金受入紙幣のうち、再利用可能な紙幣については、金種ごとに分類して各紙幣カセット21(21A〜21E)に収納させ、また再利用不可能な紙幣についてはリジェクトカセット22に収納させる。
[2−2.出金処理]
紙幣入出金機10は、出金処理において、紙幣制御部12の制御に基づき、指定された金額に応じた金種及び枚数の紙幣を出金するようになっている。以下では、搬送部15の後側搬送路14Bと接続される紙幣カセット21A〜21Dに収納されている紙幣を出金する場合を例に説明する。
具体的に紙幣制御部12は、例えば顧客により操作表示部6(図1)を介して出金額を含む所定の操作入力を受け付けると、出金額に応じた紙幣の金種及び枚数を決定する。続いて紙幣制御部12は、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣カセット21内に収納されている紙幣を順次繰り出して、鑑別部16へと搬送する。紙幣制御部12は、鑑別部16による鑑別結果に基づき、走行状態に問題の無い紙幣については入出金部13へと搬送する一方で、例えば重送のように搬送状態に問題の有る紙幣についてはリジェクトカセット22へと搬送して収納する。その後、紙幣制御部12は、出金額に応じた全ての紙幣を入出金部13へ搬送し終えると、入出金部13に収容している紙幣を顧客に取り出させる。
[3.紙幣カセットの構成]
次に、紙幣カセット21(21A〜21E)の構成について説明する。尚、紙幣カセット21A〜21Eは同一構成のため、ここでは、一例として紙幣カセット21Aの構成について説明する。
まず、図4(A)、(B)に示す外観斜視図を用いて、紙幣カセット21Aの外観構成について説明する。紙幣カセット21Aは、全体として上下方向に長い直方体状であり、紙幣カセット21Aの前面を除く各側面(上面、下面、左右両側面、及び後面)を覆う箱状の紙幣カセットカバー30と、紙幣カセット21Aの前面を覆う板状の前扉31とにより外観を形成している。
紙幣カセットカバー30は、前面のほぼ全域が長方形状の開口部30Aとなっていて、この開口部30Aから紙幣カセット21Aの内部にアクセスできるようになっている。さらに、紙幣カセットカバー30の上面の後寄りには、受渡搬送部23Aとの間で紙幣を受け渡すための左右方向に細長い受渡口30Bが形成されている。
尚、この紙幣カセットカバー30が、その上面と左右両側面の上端部及び後面の上端部とを形成する上カバー部30Uと、上面と左右両側面の上端部及び後面の上端部以外の部分(すなわち紙幣カセットカバー30の下面と左右両側面の上端部より下側の部分及び後面の上端部より下側の部分)を形成する下カバー部30Lとに、分割できるようになっていてもよい。
一方、前扉31は、紙幣カセットカバー30の開口部30Aを覆うとともに、この開口部30Aの右側の縁に設けられた扉支持部32によって右端部が紙幣カセットカバー30に支持されていて、紙幣カセットカバー30に対し開閉可能となっている。つまり、紙幣カセット21Aは、前扉31を開くと紙幣カセットカバー30の開口部30Aが開放されて内部にアクセスできるようになり、前扉31を閉じると開口部30Aが閉塞されて内部にアクセスできなくなるようになっている。
さらに、この前扉31の左端近傍には扉ロック錠33が設けられている。紙幣カセット21Aは、この扉ロック錠33を図示しない鍵によって施錠又は解錠することにより、開くことができないように前扉31をロックしたり、前扉31のロックを解除したりできるようになっている。紙幣カセット21Aの外観構成は以上のようになっている。
次に、紙幣カセット21Aの内部構成について図5〜図8を用いて説明する。尚、図5は、紙幣カセット21Aの内部構成を示す側面図及び正面図であり、一部を省略及び簡略化した図となっている。図6〜図8は、紙幣カセット21Aの内部を部分的に拡大した斜視図であり、これら図6〜図8についても、一部を省略及び簡略化した図となっている。
図5(A)、(B)に示すように、紙幣カセット21Aは、紙幣カセットカバー30内部の空間に、紙幣を収納する収納空間40と、収納空間40内を上下方向に移動可能で紙幣を集積するステージ41と、紙幣カセット21Aへと搬送されてくる紙幣を収納空間40へ放出してステージ41上に集積し、ステージ41上に集積された紙幣を1枚毎に分離して外部へと繰り出す分離集積ユニット25Aと、収納空間40内で紙幣の左右方向の集積位置を規定するサイドガイド42と、ステージ41及び分離集積ユニット25Aの動作を制御する基板43と、ステージ41及び分離集積ユニット25Aを駆動させるアクチュエータ44とが設けられている。
分離集積ユニット25Aは、紙幣カセットカバー30内の上部に設けられている。この分離集積ユニット25Aは、紙幣カセットカバー30内上部の後側1/3程度を占有する略直方体形状の本体部50と、この本体部50の上端から前方に突出する略直方体形状の突出部51とで構成され、全体として逆L字型の形状を有している。
分離集積ユニット25Aは、紙幣カセットカバー30内の後面上部に設けられたユニット取付部52に本体部50がネジ止めされるなどして、紙幣カセットカバー30に取り付けられている。このように、分離集積ユニット25Aは、紙幣カセットカバー30に保持されている。また、分離集積ユニット25Aの本体部50は、紙幣カセットカバー30上部に設けられた受渡口30Bと繋がっていて、受渡口30Bから取り込んだ紙幣を、突出部51の下方に位置する収納空間40へ放出するようになっている。
ところで、紙幣カセット21Aの内部構成は、ほぼ左右対称となっている。ゆえに、以下では、主に紙幣カセット21Aの左側の内部構成について説明し、右側の内部構成については適宜説明を省略する。
図6〜図8に、紙幣カセット21Aの左側の内部構成を示す。尚、図6は、紙幣カセット21A内部の左側上部の構成を示す斜視図であり、図7、図8は、紙幣カセット21A内部の左側下部の構成を示す斜視図である。また、図6は、紙幣カセットカバー30を省略した図であり、図7は、サイドガイド42を省略した図となっている。
図6に示すように、分離集積ユニット25Aは、突出部51の下面左端に、ステージ41(図6では省略)を上下方向に移動可能に支持する支持シャフト53の上端を嵌合するユニット側シャフト嵌合穴54が形成されている。一方、図7に示すように、紙幣カセットカバー30内の底面には、ユニット側シャフト嵌合穴54と対向する位置(つまり左端)に、支持シャフト53の下端を嵌合するカバー側シャフト嵌合穴55が形成されている。
そして、支持シャフト53は、ユニット側シャフト嵌合穴54とカバー側シャフト嵌合穴55に嵌合されることで、分離集積ユニット25A及び紙幣カセットカバー30に固定されている。このように、支持シャフト53は、分離集積ユニット25Aと紙幣カセットカバー30とに保持されている。尚、図示しないが、紙幣カセット21Aは、右側にも、支持シャフト53が、ユニット側シャフト嵌合穴54とカバー側シャフト嵌合穴55に嵌合されることで、分離集積ユニット25A及び紙幣カセットカバー30に固定されている。
さらに、図6に示すように、分離集積ユニット25Aの突出部51の左端には、ユニット側シャフト嵌合穴54の後方に、ステージ41を駆動させるためのステージ駆動ベルト56を張架するとともにステージ駆動ベルト56に駆動力を伝達するための駆動伝達ベルトプーリ57が回動自在に支持されている。一方、図7に示すように、紙幣カセットカバー30内の底面側には、駆動伝達ベルトプーリ57と対向する位置(つまり左端)に、ステージ駆動ベルト56を張架する張架ベルトプーリ58が取り付けられている。尚、この張架ベルトプーリ58は、ブラケット60を介して紙幣カセットカバー30に取り付けられている。
ブラケット60は、紙幣カセットカバー30の底面、後面、左側面と平行な3面を有する板状部材であり、紙幣カセットカバー30内の後面下端に設けられたブラケット取付部61にネジ止めされるなどして取り付けられている。このように、ブラケット60は、紙幣カセットカバー30に保持されている。張架ベルトプーリ58は、このブラケット60の左側面の内側に回動可能に支持されていて、ブラケット60がブラケット取付部61に取り付けられることで、紙幣カセットカバー30内の底面側に取り付けられるようになっている。
そして、これら駆動伝達ベルトプーリ57と張架ベルトプーリ58との間に、環状のステージ駆動ベルト56が張架されている。また、図示しないが、紙幣カセット21Aは、右側にも、駆動伝達ベルトプーリ57と張架ベルトプーリ58との間に、環状のステージ駆動ベルト56が張架されている。
このように、左右のステージ駆動ベルト56は、分離集積ユニット25A側に保持される駆動伝達ベルトプーリ57と、紙幣カセットカバー30側に保持される張架ベルトプーリ58との間に張架されている。このように、左右のステージ駆動ベルト56は、分離集積ユニット25Aと紙幣カセットカバー30に保持されていて、左右の駆動伝達ベルトプーリ57から伝達される駆動力により上下方向に走行するようになっている。
さらに、図7に示すように、ステージ41の左端に形成された挿通穴62に、左の支持シャフト53が挿通されているとともに、ステージ41の左端が、左のステージ駆動ベルト56に固定されている。尚、図示しないが、ステージ41の右端に形成された挿通穴62に、右の支持シャフト53が挿通されているとともに、ステージ41の右端が、右のステージ駆動ベルト56に固定されている。
ステージ41は、紙幣を集積する部分となる左右方向に長い板状の集積板部41Aと、この集積板部41Aの左右両端から外側に延び左右のステージ駆動ベルト56に固定されるベルト固定部41B(右端のベルト固定部41Bについては図中省略)とで構成されている。尚、左右両端のベルト固定部41Bは、中央の集積板部41Aと比べて前後方向の長さが十分短く、その先端部に挿通穴62が形成され、この挿通穴62に支持シャフト53が挿通されている。そして、ステージ41は、左右のステージ駆動ベルト56が上下方向に走行することにともなって、収納空間40内を、左右の支持シャフト53に沿って上下方向に移動するようになっている。
このように、ステージ41は、分離集積ユニット25Aと紙幣カセットカバー30に保持されている左右の支持シャフト53に沿って上下方向に移動可能となっている。つまり、ステージ41は、分離集積ユニット25Aと紙幣カセットカバー30に保持されていて、ステージ駆動ベルト56の走行にともなって、上下方向に移動するようになっている。
さらに、図6に示すように、分離集積ユニット25Aの突出部51の下面左端には、駆動伝達ベルトプーリ57の後方に、サイドガイド42の上面に突設された回動軸63を嵌合するユニット側ガイド嵌合穴64が形成されている。一方、図8に示すように、紙幣カセットカバー30内に取り付けられているブラケット60の底面には、ユニット側ガイド嵌合穴64と対向する位置(つまり左端)に、サイドガイド42の下面に突設された回動軸65を嵌合するブラケット側ガイド嵌合穴66が形成されている。
そして、サイドガイド42は、上面の回動軸63と下面の回動軸65が、ユニット側ガイド嵌合穴64とブラケット側ガイド嵌合穴66に嵌合されることで、サイドガイド42の上端部と下端部とが(つまりサイドガイド42における集積方向の一端部と他端部とが)、それぞれ分離集積ユニット25A及び紙幣カセットカバー30に回動自在に支持されている。このように、サイドガイド42は、分離集積ユニット25Aと紙幣カセットカバー30とに保持されている。
ここで、サイドガイド42の具体的な構成を、図9〜図11に示す。尚、図9は、サイドガイド42の側面図、図10は、サイドガイド42とその周辺部の上面図、図11は、サイドガイド42の上部とその周辺部の斜視図である。
図6、図8にくわえて、図9に示すように、サイドガイド42は、上下方向に長い薄板状の2枚のガイド板42A、42Bを、厚さ方向と直交する幅方向の側面同士を対向させるようにして前後方向に連結した構成となっている。後側のガイド板42Aは、上面後端と下面後端に、それぞれ上述した回動軸63、65が突設されている。
つまり、ガイド板42Aは、上面後端の回動軸63と下面後端の回動軸65が、ユニット側ガイド嵌合穴64とブラケット側ガイド嵌合穴66に嵌合されることで、分離集積ユニット25A及び紙幣カセットカバー30に回動自在に支持されている。さらに、ガイド板42Aは、上面前端と下面前端にも、それぞれ回動軸67、68が突設されている。
一方、前側のガイド板42Bは、後側のガイド板42Aよりも上下方向に長く、後側のガイド板42Aと対向する後面の上端と下端に、それぞれ後面と直交する方向(つまり後方)に突出する突出部70、71が設けられている。そして、ガイド板42Bは、上側の突出部70に、ガイド板42Aの上面前端に突設された回動軸67を嵌合する嵌合穴72が形成され、下面の突出部71に、ガイド板42Aの下面前端に突設された回動軸68を嵌合する嵌合穴73が形成されている。ガイド板42B側の嵌合穴72、73は、それぞれガイド板42A側の回動軸67、68よりも前後方向に長い小判状となっている。
そして、ガイド板42Bは、上側の突出部70に形成された嵌合穴72と下側の突出部71に形成された嵌合穴73に、ガイド板42Aの上面前端に突設された回動軸67と下面前端に突設された回動軸68が嵌合されることで、ガイド板42Bの後面とガイド板42Aの前面との間に隙間を設けた状態で、ガイド板42Aにより前後方向にスライド可能で且つ回動自在に支持されている。
このように、サイドガイド42は、後側のガイド板42Aが、分離集積ユニット25A及び紙幣カセットカバー30に対して後端を中心に回動でき、さらに、前側のガイド板42Bが、後側のガイド板42Aに対して後端を中心に回動でき、且つ前後方向にスライド可能となっている。
さらに、図9にくわえて、図10、図11に示すように、前側のガイド板42Bは、ガイド板42Aとは反対側の前面の上端近傍に、前面と直交する方向(つまり前方)に突出する突起部74が上下方向に間隔を空けて複数個(例えば2個)設けられている。
一方、図10、図11に示すように、紙幣カセットカバー30内の左側面の前端近傍には、上部に、板状のガイド固定板75が設けられている。このガイド固定板75は、厚さ方向を前後方向とする向きで設けられ、ガイド板42Bの前面に設けられた突起部74と対向する位置に配置されている。
ガイド板42Bの前面に設けられた突起部74を嵌合する嵌合穴76が形成されている。具体的には、ガイド板42Bの前面に設けられた上下2個の突起部74を嵌合する上下2個1組の嵌合穴76が、左右方向に複数組(例えば2組)設けられている。
そして、ガイド板42Bは、前面に設けられた2個の突起部74が、ガイド固定板75に設けられた2組の嵌合穴76のうちのどちらか1組の嵌合穴76に嵌合されることで、左右方向の位置が規制されるようになっている。また、ガイド板42Bは、突起部74を嵌合する嵌合穴76を変えることで、左右方向の位置を変えることができるようにもなっている。例えば、図10、図11に示すように、ガイド板42Bの突起部74が左側の嵌合穴76に嵌合されているとする。ここで、ガイド板42Bの突起部74を左側の嵌合穴76から引き抜いて右側の嵌合穴76に嵌合する場合、ガイド板42Aを回動させてガイド板42Bを後方に移動させることで、ガイド板42Bの突起部74を左側の嵌合穴76から引き抜く。その後、ガイド板42A及びガイド板42Bを回動させてガイド板42Bの突起部74を右側の嵌合穴76に対向させ、ガイド板42Bを前方に移動させることで、ガイド板42Bの突起部74を右側の嵌合穴76に嵌合する。一方、ガイド板42Bの突起部74を、右側の嵌合穴76から引き抜いて左側の嵌合穴76に嵌合する場合には、逆の動作を行う。
尚、ガイド板42Aを回動させると、ガイド板42Aにおける回動軸67、68の前後方向の位置が変化するが、サイドガイド42は、ガイド板42Bがガイド板42Aに対して前後方向にスライド可能となっており、ガイド板42Aにおける回動軸67、68の前後方向の位置の変化に合わせて、ガイド板42Bを前後方向にスライドさせることで、ガイド板42Bにおける突起部74、74の前後方向の位置を、ガイド固定板75における左右の嵌合穴76の前後方向の位置に合わせることができるようになっている。これにより、サイドガイド42は、ガイド板42Aを回動させながら、ガイド板42Bの突起部74、74を、ガイド固定板75の左右の嵌合穴76に嵌合できる。具体的には、例えば、図10に示すように、ガイド板42Bの突起部74を、ガイド固定板75の左側の嵌合穴76に嵌合した場合、ガイド板42Bは、ガイド板42Aに対して最も後方にスライドした状態となる。このとき、ガイド板42Aの回動軸67、68は、ガイド板42Bの嵌合穴72、73の前端に位置する。一方、図示しないが、ガイド板42Bの突起部74を、ガイド固定板75の右側の嵌合穴76に嵌合した場合、ガイド板42Bは、ガイド板42Aに対して最も前方にスライドした状態となる。このとき、ガイド板42Aの回動軸67、68は、ガイド板42Bの嵌合穴72、73の後端に位置する。
また、ガイド板42Bは、突起部74を嵌合穴76に嵌合すると、厚さ方向が左右方向と平行になる向きで位置が規制される。つまり、ガイド板42Bは、厚さ方向が左右方向と平行なる向きを保った状態で、左右方向の位置を変えることができるようになっている。
さらに、図8に示すように、ガイド板42Bは、下端が、紙幣カセットカバー30の底面と平行な方向に延びていて、この部分(これを底面部と呼ぶ)80にネジ(図示せず)を挿す挿通穴81が設けられている。一方、紙幣カセットカバー30の底面には、挿通穴81と対向する位置にネジ穴82が形成されている。つまり、ガイド板42Bは、ガイド固定板75により位置が規制された状態で、ネジにより紙幣カセットカバー30の底面に固定されるようになっている。
ところで、ガイド板42Bの左右方向の位置を変えると、底面部80の挿通穴81の位置も変わる。このため、図7、図8に示すように、紙幣カセットカバー30の底面には、挿通穴81の位置に応じた複数のネジ穴82が形成されている。またこれに限らず、紙幣カセットカバー30の底面に設けられるネジ穴82の位置は1箇所にして、ガイド板42Bの底面部80に、ガイド板42Bの左右方向の位置に応じた複数の挿通穴81を設けるようにしてもよい。さらに、紙幣カセットカバー30の底面に、ネジ穴82を有するスライド可能なスライド板(図示せず)を取り付け、このスライド板をスライドさせることで、ネジ穴82の位置を変えるようにしてもよい。
また、図示しないが、紙幣カセット21Aは、右側にも、左側のサイドガイド42と左右対称のサイドガイド42が設けられている。そして、紙幣カセット21Aは、左右のサイドガイド42のそれぞれのガイド板42Bの左右方向の位置を変えることができ、これにより、集積する紙幣の幅に合わせて、左右のガイド板42Bの間隔を調整することができるようになっている。
尚、図8などに示すように、上述したステージ41は、中央の集積板部41Aが、左右のガイド板42Bの間に位置するようになっている。ゆえに、集積板部41Aの左右方向の長さは、最も狭くなったときの左右のガイド板42Bの間隔より短くなっている。また、左右のサイドガイド42は、左右の支持シャフト53及び左右のステージ駆動ベルト56より内側に配置されるようになっている。そして、ステージ41は、集積板部41Aの左右両端に設けられたベルト固定部41Bが、左右のガイド板42Aとガイド板42Bとの隙間を通り、左右の支持シャフト53及び左右のステージ駆動ベルト56まで延びている。これにより、ステージ41は、左右のガイド板42Bの間隔に関係なく、上下方向に移動可能となっている。
また、図5に示すように、アクチュエータ44は、紙幣カセットカバー30内の後面における、分離集積ユニット25Aの下方近傍に設けられたアクチュエータ取付部83にネジ止めされるなどして、紙幣カセットカバー30に取り付けられている。このように、アクチュエータ44は、紙幣カセットカバー30に保持されている。このアクチュエータ44は、分離集積ユニット25Aと物理的に連結することで、駆動力を分離集積ユニット25Aに伝達可能となっている。
さらに、基板43は、紙幣カセットカバー30内の後面における、アクチュエータ44の下方近傍に設けられた基板取付部84にネジ止めされるなどして、紙幣カセットカバー30に取り付けられている。つまり、基板43は、紙幣カセットカバー30に保持されている。この基板43は、分離集積ユニット25A及びアクチュエータ44と電気的に接続されることで、分離集積ユニット25A及びアクチュエータ44の駆動を制御するようになっている。
紙幣カセット21Aの内部構成は、以上のようになっている。このように、紙幣カセット21Aは、分離集積ユニット25Aと基板43とアクチュエータ44を、紙幣カセットカバー30が保持するようになっていて、サイドガイド42とステージ41を、紙幣カセットカバー30と分離集積ユニット25Aが保持するようになっている。
そしてこの紙幣カセット21Aは、基板43による制御に基づいて動作する。すなわち、紙幣カセット21Aは、紙幣集積時、分離集積ユニット25Aが、受渡口30Bから取り込んだ紙幣を収納空間40へ放出して、収納空間40内のステージ41上に集積する。また、紙幣カセット21Aは、紙幣繰出時、分離集積ユニット25Aが、ステージ41上に集積された紙幣を1枚ずつ分離して、受渡口30Bから繰り出す。
[4.紙幣カセットの組立手順]
次に、上述した紙幣カセット21Aの組立手順の一例について簡単に説明する。まず、紙幣カセットカバー30の開口部30Aから基板43とアクチュエータ44とを紙幣カセットカバー30の内部に挿入して、基板取付部84とアクチュエータ取付部83とに取り付ける。また、これとは別に、分離集積ユニット25Aの左右のユニット側ガイド嵌合穴64に、左右のガイド板42Aの上側の回動軸63を嵌合する。尚、このとき、左右のガイド板42Aには、まだガイド板42Bは取り付けていない。
次に、分離集積ユニット25Aにステージ41を取り付ける。すなわち、分離集積ユニット25Aの左右のユニット側シャフト嵌合穴54に、左右の支持シャフト53の上端を嵌合するとともに、分離集積ユニット25Aに、左右のステージ駆動ベルト56と左右のブラケット60とを取り付ける。尚、左右のブラケット60には、張架ベルトプーリ58が取り付けられていて、左右のステージ駆動ベルト56は、分離集積ユニット25A側の駆動伝達ベルトプーリ57とブラケット60側の張架ベルトプーリ58との間に架け渡される。そして、支持シャフト53に、ステージ41の左右両端のベルト固定部41Bを挿通するとともに、ベルト固定部41Bをステージ駆動ベルト56に固定することで、ステージ41を分離集積ユニット25Aに取り付ける。またこのとき、左右のガイド板42Aの下側の回動軸65を、左右のブラケット60のブラケット側ガイド嵌合穴66に嵌合する。
このように、分離集積ユニット25Aを紙幣カセットカバー30に取り付けた後では分離集積ユニット25Aに取り付けることが困難となる機構部品(左右のガイド板42Aとステージ41)については、予め分離集積ユニット25Aに取り付けておく。
次に、紙幣カセットカバー30の開口部30Aから、左右のガイド板42Aとステージ41が取り付けられた状態の分離集積ユニット25Aを、紙幣カセットカバー30内部に挿入して、ユニット取付部52に取り付ける。このとき、左右の支持シャフト53の下端を、紙幣カセットカバー30のカバー側シャフト嵌合穴55に嵌合するとともに、左右のブラケット60を、ブラケット取付部61に取り付ける。
次に、紙幣カセットカバー30の開口部30Aから、左右のガイド板42Bを挿入して、左右のガイド板42Aの回動軸67、68に、左右のガイド板42Bの嵌合穴72、73を嵌合することで、左右のガイド板42Aに、左右のガイド板42Bを取り付ける。さらに、左右のガイド板42Bの突起部74を、ガイド固定板75の嵌合穴76に嵌合して、左右のガイド板42Bの底面部80を紙幣カセットカバー30の底面にネジ止めすることで、左右のガイド板42Bの間隔を固定する。
この時点で、紙幣カセットカバー30の内部に、全ての機構部品が取り付けられたことになる。そして最後に、紙幣カセットカバー30に前扉31を取り付けて、紙幣カセット21Aが完成する。紙幣カセット21Aの組立手順は、以上のようになっている。尚、紙幣カセット21B〜21Eの組立手順についても、紙幣カセット21Aと同一の組立手順となっている。
[5.まとめと効果]
ここまで説明したように、紙幣カセット21Aは、分離集積ユニット25Aと基板43とアクチュエータ44を、紙幣カセットカバー30が保持し、サイドガイド42とステージ41を、紙幣カセットカバー30と分離集積ユニット25Aとが保持するようにした。つまり、紙幣カセット21Aは、分離集積ユニット25Aを保持する機能と、基板43を保持する機能と、アクチュエータ44を保持する機能を、紙幣カセットカバー30側に持たせ、さらに、サイドガイド42を保持する機能と、ステージ41を保持する機能を、紙幣カセットカバー30と分離集積ユニット25Aとに持たせるようにした。このように、紙幣カセット21Aは、各機構部品を保持する機能を、紙幣カセットカバー30と分離集積ユニット25Aとに持たせるようにした。
ここで、図12(A)、(B)に、本実施の形態の紙幣カセット21Aにおける、各機構部品の保持関係を示すツリー図と、各機構部品を保持するフレーム100を有する紙幣カセット101における、各機構部品の保持関係を示すツリー図とを示す。
図12(A)に示すように、紙幣カセット21Aは、紙幣カセットカバー30によって、前扉31と、扉ロック錠33と、基板43と、アクチュエータ44と、分離集積ユニット25Aが保持されている。さらに、紙幣カセット21Aは、紙幣カセットカバー30と分離集積ユニット25Aによって、ステージ41とサイドガイド42が保持されている。
これに対して、図12(B)に示すように、紙幣カセット101は、紙幣カセットカバー30によって、前扉31と、扉ロック錠33と、フレーム100が保持されている。さらに、紙幣カセット101は、フレーム100によって、基板43と、アクチュエータ44と、分離集積ユニット25Aと、ステージ41とサイドガイド42が保持されている。
このように、紙幣カセット21Aは、フレーム100が備えていた各機構部品を保持する機能を、紙幣カセットカバー30と分離集積ユニット25Aとに分散して持たせるようにしたことにより、フレーム100無しで、各機構部品を、紙幣カセットカバー30の内部に保持できる。こうすることで、紙幣カセット21Aは、フレームレス構造を実現でき、フレーム100を無くした分、部品コストを低減できる。
また、紙幣カセット21Aは、組立時、分離集積ユニット25Aを紙幣カセットカバー30に取り付けた後では分離集積ユニット25Aに取り付けることが困難となる機構部品(左右のガイド板42Aとステージ41)については、予め分離集積ユニット25Aに取り付けておくことができるようにした。こうすることで、紙幣カセット21Aは、フレームレス構造でありながら、容易に組み立てることができる。
[6.他の実施の形態]
[6−1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、紙幣カセットカバー30に設けたアクチュエータ取付部83に、アクチュエータ44を取り付けるようにした。これに限らず、アクチュエータ44を、分離集積ユニット25Aに組み込んだり、図13に示すように、分離集積ユニット25Aの本体部50下端に設けたアクチュエータ取付部200に取り付けたりすることで、分離集積ユニット25A側に保持させるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、紙幣カセットカバー30に設けた基板取付部84に、基板43を取り付けるようにした。これに限らず、基板43についても、分離集積ユニット25Aに組み込んだり、図14に示すように、分離集積ユニット25Aの本体部50を下方に延長した部分に設けた基板取付部201に取り付けたりすることで、分離集積ユニット25A側に保持させるようにしてもよい。また、分離集積ユニット25Aに、アクチュエータ取付部200と基板取付部201を設けることで、アクチュエータ44と基板43の両方を、分離集積ユニット25A側に保持させるようにしてもよい。
[6−2.他の実施の形態2]
さらに、上述した実施の形態では、図5にも示したように、紙幣カセットカバー30を第1のカバー部としての下カバー部30Lと第2のカバー部としての上カバー部30Uとに分割できるようになっていてもよいとした。このように、紙幣カセットカバー30を上カバー部30Uと下カバー部30Lとに分割可能とした場合、紙幣カセットカバー30に設けられるユニット取付部52、アクチュエータ取付部83、基板取付部84については、例えば、下カバー部30Lに設けるようにすればよい。また、これに限らず、例えば、紙幣カセットカバー30の上部に設けられるユニット取付部52については、上カバー部30Uに設け、ユニット取付部52より下方に設けられるアクチュエータ取付部83と基板取付部84については、下カバー部30Lに設けるなどしてもよい。
また、上述した実施の形態では、紙幣カセットカバー30の上端部を上カバー部30U、それ以外の部分を下カバー部30Lとしたが、紙幣カセットカバー30の分割については、紙幣カセットカバー30の構造、紙幣カセットカバー30の内部に取り付けられる各機構部品の位置などに応じて適宜選定されていればよく、例えば、紙幣カセットカバー30の上半分を上カバー部、下半分を下カバー部としてもよい。
[6−3.他の実施の形態3]
さらに、上述した実施の形態では、紙幣カセット21Aに、回動式のサイドガイド42を設けたが、これに限らず、例えば、左右方向にスライド可能なサイドガイドを設けるようにしてもよい。このようなスライド式のサイドガイドを設ける場合、例えば、サイドガイドの上端部を分離集積ユニット25Aの突出部51に設けた複数の溝のうちの1つに嵌合して保持し、下端部を紙幣カセットカバー30の底面に設けた複数の溝のうちの1つに嵌合して保持するようにすればよい。尚、この溝は、前後方向に延びる溝であり、サイドガイドを取り付ける溝を変えることで、サイドガイドの左右方向の位置を調整できるようになっている。
[6−4.他の実施の形態4]
さらに、上述した実施の形態では、紙幣カセット21A内部にアクチュエータ44を取り付け、このアクチュエータ44の駆動力により分離集積ユニット25Aとステージ41を駆動させるようにした。これに限らず、例えば、アクチュエータを、紙幣カセット21Aを装填する装填部側に設け、装填部のスロットに装填された紙幣カセット21Aに、装填部側に設けられたアクチュエータの駆動力を伝達することで、紙幣カセット21Aの分離集積ユニット25Aとステージ41とを駆動させるようにしてもよい。この場合、例えば、紙幣カセットカバー30の底面と、スロットの底面とに、物理的に接続される接続部を設け、この接続部を介して、装填部側のアクチュエータの駆動力が紙幣カセットカバー30へと伝達されるようにすればよい。
[6−5.他の実施の形態5]
さらに、上述した実施の形態では、サイドガイド42の下端部が、紙幣カセットカバー30の底面側に固定されたブラケット60を介して、紙幣カセットカバー30に回動自在に保持されるようにした。これに限らず、ガイド嵌合穴を紙幣カセットカバー30の底面に設けることで、サイドガイド42の下端部が、紙幣カセットカバー30の底面に直接回動自在に保持されるようにしてもよい。このようにすれば、ブラケット60を省略して部品点数を減らすことができる。尚、このように、ブラケット60を省略する場合、ブラケット60に取り付けられる張架ベルトプーリ58を、紙幣カセットカバー30の側面に直接取り付けるようにすればよい。
[6−6.他の実施の形態6]
さらに、上述した実施の形態では、本発明を、媒体収納庫としての紙幣カセット21に適用したが、これに限らず、カバーの内部に各機構部品を設けた媒体収納庫であれば、紙幣カセット21とは異なる構成の媒体収納庫にも適用できる。例えば、紙、切符など、紙幣以外の媒体を収納する媒体収納庫にも適用できる。
さらに、上述した実施の形態では、本発明を、自動取引装置としての現金自動預払機1に適用したが、これに限らず、搬送路に沿って媒体を搬送する搬送部と、媒体収納庫を備える自動取引装置であれば、現金自動預払機1とは異なる構成の自動取引装置にも適用できる。例えば、紙、切符など、紙幣以外の媒体を扱う自動取引装置にも適用できる。
さらに、上述した実施の形態では、箱状に形成されたカバーの具体例として、紙幣カセットカバー30を用いたが、これに限らず、媒体収納庫のカバーとして機能するものであれば、紙幣カセットカバー30とは異なるサイズ及び構造のカバーを用いてもよい。さらに、上述した実施の形態では、分離集積部の具体例として、分離集積ユニット25Aを用いたが、これに限らず、媒体をステージに集積する機構及びステージに集積された媒体を外部に繰り出す機構を有するものであれば、分離集積ユニット25Aとは異なるサイズ及び形状の分離集積ユニット25Aを用いてもよい。さらに、上述した実施の形態では、媒体の集積位置を規定するガイドの具体例として、サイドガイド42を用いたが、これに限らず、媒体の集積位置を規定するものであれば、サイドガイド42とは異なる構成のガイドを用いてもよい。さらに、上述した実施の形態では、駆動部の具体例として、アクチュエータ44を用いたが、これに限らず、ステージ及び分離集積部を駆動させることができるものであれば、アクチュエータ44以外の駆動部を用いてもよい。
さらに、上述した実施の形態では、分離集積部保持部の具体例として、ユニット取付部52を用いたが、これに限らず、分離集積部を保持できるものであれば、ユニット取付部52とは異なる分離集積部保持部を用いてもよい。さらに、上述した実施の形態では、基板保持部の具体例として、基板取付部84や基板取付部201を用いたが、これに限らず、基板を保持できるものであれば、これら基板取付部84や基板取付部201とは異なる基板保持部を用いてもよい。さらに、上述した実施の形態では、駆動部保持部の具体例として、アクチュエータ取付部83やアクチュエータ取付部200を用いたが、これに限らず、駆動部を保持できるものであれば、これらアクチュエータ取付部83やアクチュエータ取付部200とは異なる駆動部保持部を用いてもよい。
さらに、上述した実施の形態では、カバー側ステージ保持部の具体例として、カバー側シャフト嵌合穴55を用いたが、これに限らず、ステージを保持できるものであれば、カバー側シャフト嵌合穴55とは異なるカバー側ステージ保持部を用いてもよい。さらに、上述した実施の形態では、分離集積部側ステージ保持部の具体例として、ユニット側シャフト嵌合穴54を用いたが、これに限らず、ステージを保持できるものであれば、ユニット側シャフト嵌合穴54とは異なる分離集積部側ステージ保持部を用いてもよい。
さらに、上述した実施の形態では、カバー側ガイド保持部の具体例として、ブラケット側ガイド嵌合穴66を用いたが、これに限らず、ガイドを保持できるものであれば、ブラケット側ガイド嵌合穴66とは異なるカバー側ガイド保持部を用いてもよい。さらに、上述した実施の形態では、分離集積部側ガイド保持部の具体例として、ユニット側ガイド嵌合穴64を用いたが、これに限らず、ガイドを保持できるものであれば、ユニット側ガイド嵌合穴64とは異なる分離集積部側ガイド保持部を用いてもよい。
[6−7.他の実施の形態7]
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。