JP6924362B2 - 媒体搬送装置、及び記録装置 - Google Patents
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Description
特許文献1及び特許文献2には、搬送ベルトを用いて媒体を搬送する構成の一例として、搬送ベルトを帯電させる帯電手段とを備え、媒体裏面の電荷と搬送ベルト表面との電荷が引き合い、これにより媒体が搬送ベルトに静電吸着され、媒体が記録ヘッドと対向する位置に搬送されるように構成された記録装置が開示されている。
特に特許文献1においては、前記帯電手段に加えて、搬送ベルトによって搬送される媒体の表面の電荷を除去する除電手段を設け、媒体表面が除電されることで搬送ベルトにおける吸着をより確実に行う構成が開示されている。
従来の搬送ベルトを用いて媒体を搬送する構成においては、この様な不具合に対しては特段の考慮が成されていなかった。
前記速度差制御を実行する場合、搬送される前記媒体の種類によって前記ベルト搬送手段よりも上流側にできる前記媒体の撓み量が変わる場合がある。
本態様によれば、前記速度差制御を実行する際、搬送される前記媒体の種類に応じて前記上流側搬送手段の搬送速度と前記ベルト搬送手段の搬送速度との速度差を変更して、前記ベルト搬送手段よりも上流側にできる前記媒体の撓み量を制御することができる。
本態様によれば、第1の媒体よりも媒体搬送方向に長い第2の媒体を搬送する際に、前記第1の媒体を搬送する場合よりも前記速度差を小さくするので、第1の媒体よりも媒体搬送方向に長い第2の媒体における前記媒体の撓みを適切な大きさに抑えることができる。
本態様によれば、第3の媒体よりも坪量が大きい第4の媒体を搬送する際に、前記第3の媒体を搬送する場合よりも前記速度差を小さくするので、前記媒体が媒体搬送方向に押し出される虞を低減できる。
また、媒体の吸湿量が少ないと媒体の剛性が高くなるので、前記速度差制御を行うと、前記ベルト搬送手段よりも上流側にできる前記媒体の撓みの反発力によって前記媒体が媒体搬送方向に押し出されてしまい、記録品質が低下する虞がある。
本態様によれば、前記湿度測定手段によって測定される湿度が所定の閾値未満である場合には、前記速度差制御を行わない非速度差制御を実行するので、上述の問題を回避でき、或いは抑制できる。
本態様によれば、前記制御部が、前記交互帯電制御を実行することにより、前記第1帯電状態が前記幅方向に亘って形成された領域と、少なくとも前記幅方向の両端部が前記第1帯電状態よりも弱い第2帯電状態にされた領域と、が交互に形成される。
前記第1帯電状態が前記幅方向に亘って形成された領域では、媒体を前記ベルト外面にしっかりと吸着することができる。一方、吸着される前記媒体の面の帯電状態が弱いと、前記媒体は前記ベルト外面に弱く吸着される。したがって、第2帯電状態(弱い)の前記両端部からは、媒体側縁の波打ちを逃がし易くすることができる。その結果、媒体側縁の波打ちが媒体幅方向中央へ移行する現象を抑制できる。
また、例えば、前記処理部が前記媒体に液体を噴射する記録ヘッド等の液体噴射部である場合に媒体の吸湿量が少ないと、前記媒体に液体が噴射された際に前記媒体がカールし易くなる。カールした媒体を吸着する際には、ベルト外面において、ある程度強い吸着力(帯電状態)が求められる。
本態様によれば、前記制御部は、前記湿度測定手段によって測定される湿度に応じて、前記交互帯電制御における前記第1制御と前記第2制御との切替タイミングを変えるので、ベルト外面を、媒体の吸湿状態に応じた適切な帯電状態にすることができる。
前記ベルト外面を前記AC帯電部により帯電させると、除電部により除電されて前記ベルト外面に吸着された前記媒体の表面にも、マイナスの電荷とプラスの電荷とが交互に並んで弱く帯電した状態となる。このような状態の前記媒体では、当該媒体に係わる前記処理部による処理に不具合が生じる場合がある。例えば、前記処理部が前記媒体に液体を噴射する記録ヘッド等の液体噴射部である場合には、噴射された前記液体が帯電し、前記媒体の表面のマイナスの電荷或いはプラスの電荷に引き寄せられて、所望の場所に着弾しない虞がある。
まず、本発明の一実施例に係る記録装置の概略について説明する。本実施例の記録装置の一例として、インクジェットプリンター1(以下、単にプリンター1という場合がある)を例に挙げる。
図1は、実施例1に係るプリンターの外観斜視図である。図2は、実施例1に係るプリンターにおける用紙搬送経路を示す概略図である。図3は、実施例1に係る媒体搬送装置の概略側面図である。図4は、制御部による速度差制御について説明する図である。
図1を参照してプリンター1について説明する。プリンター1は装置本体2と、スキャナーユニット3とを備える複合機として構成されている。装置本体2は、「媒体」としての用紙P(図2参照)を収容する複数の用紙収容カセット4を備えている。各用紙収容カセット4は、装置本体2の前面側(図1における−X軸方向側)から着脱可能に取り付けられている。用紙Pとしては、一例として普通紙や厚紙、写真用紙等が挙げられる。
本実施形態において、ラインヘッド10は、搬送される用紙に係わる処理を行う「処理部」の一例であるとともに、用紙に対して液体を噴射して記録を行う「記録部」の一例である。
次に、図2を用いて、プリンター1における用紙Pの搬送経路Tについて説明する。
図2において、用紙収容カセット4からの搬送経路Tを点線で示している。搬送経路Tは、用紙収容カセット4からピックアップされた用紙を送る給送経路14と、給送経路14に接続されて、ラインヘッド10による記録領域A(図3を参照)を含むストレート経路12と、ストレート経路12から排出部7まで用紙を送るフェイスダウン排出経路13と、を備えている。
以下において、用紙収容カセット4から排出部7までの用紙Pの搬送について説明する。
給送ローラー17は、図示しない駆動源により回転駆動する様に構成されている。また、分離ローラー対18はリタードローラーとも呼ばれ、後述するストレート経路12に向けて用紙を送る駆動ローラー18aと、駆動ローラー18aとの間で用紙をニップして分離する従動ローラー18bと、を備えて構成されている。
本実施例ではレジストローラー対19の位置で、給送経路14とストレート経路12とが接続されている。
ストレート経路12は直線状に延びる経路として構成され、ストレート経路12には、用紙を搬送する媒体搬送装置9を構成するレジストローラー対19、ベルト搬送手段20、除電部25、及びラインヘッド10が設けられている。ストレート経路12はラインヘッド10による記録領域A(図3)を通り、ラインヘッド10の上流側及び下流側に延びる経路である。レジストローラー対19、ベルト搬送手段20、除電部25、及びラインヘッド10を含む媒体搬送装置9の構成については後で別途詳述する。
本実施形態において、ベルト搬送手段20は、ラインヘッド10のヘッド面と対向する領域に配置されており、用紙の記録面と反対側を支持している。
尚、本実施例のプリンター1はラインヘッド10を備えているが、キャリッジに搭載されて媒体搬送方向と交差する方向に往復移動しながら媒体に液体を噴射して記録を行うシリアル型記録ヘッドを備えていてもよい。
フェイスダウン排出経路13に入った用紙は、複数の搬送ローラー対29により搬送され、排出部7から排出されるとともに、記録面を下にして媒体載置部5に載置される。
スイッチバック経路15に送られた用紙は、スイッチバック経路15に送り込まれた方向(+Y軸方向)と逆方向に(−Y軸方向)に送られて反転経路16に入る。つまり、用紙をスイッチバックさせて、第1の面の記録時における用紙の後端側を先端側として反転経路16に送り出す。
両面に記録が行われた用紙は、ストレート経路12から、フェイスダウン排出経路13に入り、排出部7から排出されて媒体載置部5に載置される。
尚、第1の面に記録を行わないものの第2の面には記録を行う場合も同様に、用紙はスイッチバック経路15及び反転経路16を通過する。
続いて、主として図3を参照して、用紙を搬送する媒体搬送装置9について説明する。
本実施形態に係る媒体搬送装置9(図3)は、前述したラインヘッド10(処理部)と、ベルト搬送手段20と、ベルト搬送手段20の上流側に設けられるレジストローラー対19(上流側搬送手段)と、これらの動作を制御する制御部30と、を備えている。
レジストローラー対19は、駆動源としての第1モーター26により駆動される駆動ローラー19aと、駆動ローラー19aの回転に従動回転する従動ローラー19bとを備えている。制御部30は、第1モーター26を制御して駆動ローラー19aの回転を制御することにより、レジストローラー対19による用紙搬送速度を制御している。
本実施形態において、レジストローラー対19は、外周に複数の歯を有するギザローラーとして形成されている。レジストローラー対19がギザローラーであることにより、用紙に対して両面記録を行った際に、レジストローラー対19が記録面に対して点接触するので、前記記録面のインクの白ヌケやレジストローラー対19へのインクの転着を抑制できる。
ベルト搬送手段20は、用紙をベルト外面21aに吸着するとともに、ベルト外面21aの少なくとも一部がラインヘッド10(処理部)に対向する位置に設けられる無端状の搬送ベルト21と、搬送ベルト21が掛け回される少なくとも二つのローラーである第1ローラー22、及び第1ローラー22に対し媒体搬送方向下流(図3において+Y軸方向)に位置する第2ローラー23と、を備えている。搬送ベルト21の下方には、搬送ベルト21を支持するバックアッププレート28が設けられている。
本実施例に係る発明は、制御部30によるレジストローラー対19とベルト搬送手段20の速度制御に特徴を有している。この点については後に詳述する。
尚、制御部30は、レジストローラー対19及びベルト搬送手段20の他、ラインヘッド10を含む、プリンター1における記録動作に必要な各種構成部材の制御を実行可能に構成されている。
尚、帯電ローラー24は、除電部25に対して搬送ベルト21の回転方向上流側に設けられている。
帯電ローラー24は、図3に示すように、搬送経路Tよりも下方(搬送ベルト21の媒体搬送時の回転方向上流)において第1ローラー22に対向する位置に設けられ、ベルト外面21aに接触している。帯電ローラー24は、媒体搬送方向と交差する幅方向(X軸方向)に延設されており、前記幅方向に亘って用紙に接触する。
第1ローラー22及び第2ローラー23が回転して搬送ベルト21が駆動すると、帯電ローラー24が接触した後の帯電したベルト外面21aが、搬送経路Tを形成する経路形成面となる。よって、搬送経路Tを形成する搬送ベルト21における用紙の吸着性を高めることができる。
尚、帯電ローラー24に印加される電圧は、制御部30によって制御されている。
除電部25(図3)は、媒体搬送方向においてラインヘッド10と第1ローラー22との間に設けられている。
また、除電部25は、用紙の幅方向(X軸方向)に亘って設けられて前記幅方向に回転する無端状の除電ベルト31を備えて構成されている。除電ベルト31は、外側にブラシ31aが突出して設けられており、搬送ベルト21上の用紙に対向する部位が媒体幅方向であるX軸方向に移動する。除電ベルト31のブラシ31aが用紙に押し付けられることにより、用紙の表面から電荷を除去する。用紙の表面から電荷を除去することにより、搬送ベルト21に対する用紙の吸着性を高めることができる。
尚、除電部25は、除電ベルト31を用いる構成の他、例えば、除電ローラーを用いる構成とすることもできる。
以下において、図4を参照して制御部30によるレジストローラー対19とベルト搬送手段20の速度制御について説明する。
通常、レジストローラー対19とベルト搬送手段20は、用紙の搬送速度がほぼ同じか、ベルト搬送手段20の搬送速度の方が若干早くなるように駆動が制御されている(このような制御を以下において「通常制御」と言う場合がある)。
ここで、本発明における課題、すなわち、搬送される用紙が、用紙収容カセット4に収容された状態で吸湿し、四方の側縁(先端、後端、左右端)が膨潤して波打っている場合に、この用紙の波打ちがベルト搬送手段20に吸着される際にシワとなって残ってしまう不具合に対応するため、本実施形態においては、制御部30が、上流側に位置するレジストローラー対19の搬送速度よりもベルト搬送手段20の搬送速度を相対的に遅くする「速度差制御」を実行可能に構成されている。
これにより、ベルト搬送手段20において、除電部25(具体的には除電ベルト31のブラシ31a)を用紙に押し付けることにより用紙の除電が行われた際に、除電部25によって用紙の左右側縁の波打ちが前記幅方向の中央に寄せられて潰れてしまい、シワとなる不具合を回避でき、或いは前記シワの程度を軽減できる。
尚、レジストローラー対19の搬送速度とベルト搬送手段20の搬送速度との間の速度差は、例えば普通紙の場合、0.45%程度に設定することができる。
「速度差制御」を実行する場合、搬送される用紙の種類によってベルト搬送手段20よりも上流側にできる撓みC(図4)の撓み量が変わる場合がある。したがって、搬送される用紙の種類に応じて、レジストローラー対19の搬送速度とベルト搬送手段20の搬送速度との速度差を変更した「速度差制御」を行うことにより、ベルト搬送手段20よりも上流側にできる用紙の撓み量を制御することができる。
以下、用紙サイズの違いに応じた前記速度差の変更と、用紙の坪量の違いに応じた前記速度差の変更について説明する。
例えば、媒体搬送方向に長いB4サイズの用紙(第2の媒体)は、媒体搬送方向に短いA4サイズの用紙(第1の媒体)よりも、レジストローラー対19とベルト搬送手段20との双方によって搬送される時間が長い。したがって、B4サイズの用紙を搬送する際に、A4サイズの用紙を搬送する場合と同じ前記速度差で「速度差制御」を行うと、ベルト搬送手段20よりも上流側にできる撓みCが成長しすぎて用紙に不適切な折れ曲がりが形成されてしまう虞がある。
このことによって、用紙サイズが媒体搬送方向に長く、レジストローラー対19とベルト搬送手段20との双方によって搬送される時間が長い「第2の媒体」において、用紙の撓みCを適切な大きさに抑えることができる。
「速度差制御」における前記速度差は、用紙の坪量に応じて変更することもできる。
坪量が大きい厚紙(第4の媒体)は、坪量が小さい普通紙(第3サイズの用紙)よりも厚みが厚い、或いは、剛性が高いので、厚紙を搬送する際に、普通紙を搬送する場合と同じ前記速度差で「速度差制御」を行うと、ベルト搬送手段20よりも上流側にできる用紙の撓みC(図4)の反発力によって用紙が媒体搬送方向(図4において+Y軸方向)に押し出されてしまい、記録ヘッド10による記録品質が低下する虞がある。
このことによって、普通紙等の薄い用紙よりも坪量が大きい厚紙等に対して「速度差制御」を行った場合に、用紙の撓みC(図4)が小さくなり、以って、撓みCの反発力も小さくすることができる。したがって、坪量が大きい厚紙等の用紙が媒体搬送方向に押し出される虞を低減できる。
プリンター1に、装置内の湿度を測定する湿度測定手段32(図3、図4)を設け、湿度測定手段32による測定結果に基づいて、制御部30がレジストローラー対19及びベルト搬送手段20の駆動を制御する様に構成することもできる。
具体的には、制御部30は、湿度測定手段32によって測定される湿度が所定の閾値未満である場合に、「速度差制御」を行わない「非速度差制御」を実行する。本実施形態において「非速度差制御」は、前述した「通常制御」、すなわち、レジストローラー対19による搬送速度とベルト搬送手段20による搬送速度がほぼ同じか、ベルト搬送手段20の搬送速度の方が若干早くなる制御である。
また、用紙の吸湿量が少ないと用紙の剛性が高くなるので、前記「速度差制御」を行うと、ベルト搬送手段20よりも上流側にできる用紙の撓みC(図4)の反発力によって用紙が媒体搬送方向に押し出されてしまい、記録品質が低下する虞がある。したがって、湿度測定手段32によって測定される湿度が所定の閾値未満である場合には、「速度差制御」を行わないことにより、上述の問題を回避でき、或いは抑制できる。
尚、湿度測定手段32は、用紙収容カセット4の内部、或いはその近傍の湿度を測定可能に設置されることが好ましい。
手差し給紙によって給送される用紙は、用紙収容カセット4に長期間収容されていた用紙と違い、吸湿による媒体側縁の波打ちが生じていない用紙である場合が多い。したがって、湿度測定手段32によって測定される湿度が所定の閾値未満である場合と同様に、「速度差制御」を行わない構成とすることができる。
また、ベルト搬送手段20は、静電吸着によって用紙をベルト外面に吸着する構成のものに限られず、例えば、ベルト外面に用紙を吸引して吸着する吸引孔を設けた構成を採用することも可能である。
実施例2では、図5〜図12に基づき、媒体搬送装置の他の例について説明する。図5は、実施例2に係る媒体搬送装置の概略側面図である。図6は、実施例2に係る媒体搬送装置の概略平面図である。図7は、交互帯電制御による帯電パターンの一例を示す図である。図8は、交互帯電制御の一例を示すタイミング図である。図9は、交互帯電制御による帯電パターンの他の一例を示す図である。図10は、交互帯電制御による帯電パターンの更に他の一例を示す図である。図11は、交互帯電制御による帯電パターンの更に他の一例を示す図である。図12は、搬送ベルトに第3の帯電状態を形成する際のタイミング図である。
尚、本実施例において、実施例1と同一の構成については同一の符号を付し、その構成の説明は省略する。
帯電部42は、制御部41によって個別に制御可能な三つの帯電ローラー(端部側帯電ローラー42aと、端部側帯電ローラー42aの間に配置される中央帯電ローラー42b)を備えて構成されている。
帯電部42は、図5に示すように、搬送経路Tよりも下方(搬送ベルト21の媒体搬送時の回転方向上流)において第1ローラー22に対向する位置に設けられ、ベルト外面21aに接触している。帯電部42は、媒体搬送方向と交差する幅方向(X軸方向)に端部側帯電ローラー42a、中央帯電ローラー42b、端部側帯電ローラー42aの順で配置され、端部側帯電ローラー42a及び中央帯電ローラー42bの少なくともいずれかがベルト外面21aに接触することにより、帯電部42として前記幅方向に亘って用紙に接触する様になっている。
二つの端部側帯電ローラー42a及び中央帯電ローラー42bに印加される電圧は、制御部41によって制御されている。
「帯電部」の帯電方式には、本実施形態のようなDC帯電方式と、ベルト外面21aをマイナスの電荷とプラスの電荷とを交互に帯電させるAC帯電方式とがある。
ベルト外面21aをAC帯電方式により帯電させると、ベルト外面21aに吸着された用紙の表面にも、マイナスの電荷とプラスの電荷とが交互に並んだ状態となる。用紙表面にマイナスの電荷とプラスの電荷とが交互に並んでいると、ラインヘッド10から噴射されたインク滴が帯電し、前記用紙表面のマイナスの電荷或いはプラスの電荷に引き寄せられて、所望の場所に着弾しない着弾ずれが生じる虞がある。
帯電部42がDC帯電方式の帯電部であることにより、ベルト外面21aに吸着される用紙表面がマイナスの電荷及びプラスの電荷のいずれか一方に帯電されるので、AC帯電方式によって帯電した搬送ベルト21において生じる上記不具合を抑制または回避することができる。
第1の除電部44(図5、図6)は、実施例1における除電部25と同様、用紙の幅方向(X軸方向)に亘って設けられて前記幅方向に回転する無端状の除電ベルト45を備えて構成されている。除電ベルト45は、外側にブラシ45a(図5)が突出して設けられており、搬送ベルト21上の用紙に対向する部位が媒体幅方向であるX軸方向に移動する。除電ベルト45のブラシ45aが用紙に押し付けられることにより、用紙の表面から電荷を除去する。除電ベルト45の外側にブラシ45aを備える、所謂、除電ブラシを用いることにより、高い除電効果が得られる。
第2の除電部43(図5、図6)は、第1の除電部44よりも媒体搬送方向上流に設けられ、ベルト外面21aに接して回転する除電ローラーとして構成されている。また、第2の除電部43は、第1の除電部44より除電能力が低く設定されている。
第1の除電部44の上流側に設けられる、除電能力の低い第2の除電部43によって、先ず用紙の先端がベルト外面21aから浮き上がらないように軽く除電しておき、その後、第1の除電部44でしっかりと除電してベルト外面21aに確実に吸着させることで、用紙とラインヘッド10との距離を安定させることができる。
また、第2の除電部43は接地されており、構成簡単にして第2の除電部43の除電能力を第1の除電部44よりも低くすることができる。また、ローラーは第1の除電部44のような除電ブラシ構造よりも用紙への接触時間が短いので、このことによっても第2の除電部43の除電能力を第1の除電部44よりも低くすることができる。
尚、本実施形態において、第1の除電部44と第2の除電部43は制御部41による制御を受けておらず、それぞれ設定された除電能力を備えている。
本実施形態において、制御部41は、帯電部42を制御してベルト外面21aの帯電を制御し、以って、ベルト外面21aに吸着される用紙の表面の帯電を制御する。
そして制御部41は、ベルト外面21aを、媒体搬送方向(Y軸方向)と交差する幅方向(X軸方向)に亘って所定の強さの第1帯電状態E1にする第1制御と、ベルト外面21aを、少なくとも前記幅方向の両端部を第1制御における第1帯電状態E1よりも弱い第2帯電状態E2とする第2制御と、を交互に行う「交互帯電制御」を実行可能に構成されている。尚、「第1帯電状態E1よりも弱い第2帯電状態E2」は、ほとんど帯電していない状態、或いは全く帯電していない状態も含んでいる。
以下、図を参照しながら、搬送ベルト21の具体的な帯電パターンについて説明する。
以下、図7を参照して搬送ベルト21の帯電パターンの一例について説明する。
制御部41が「交互帯電制御」を実行することにより、ベルト外面21aには、所定の強さの第1帯電状態E1が前記幅方向に亘って形成された領域S1(第1制御により形成)と、少なくとも前記幅方向の両端部が第1帯電状態E1よりも弱い第2帯電状態E2にされた領域S2(第2制御により形成)と、が交互に形成される。
図7は、前記第2制御において、ベルト外面21aを前記幅方向に亘って第2帯電状態E2にするように制御された帯電パターンを示している。
図8は、ベルト外面21aに図7に示す帯電パターンを作る際の、制御部41による「交互帯電制御」の動作のタイミングを示している。
本実施形態において、第1制御と第2制御、すなわち交互帯電制御の1サイクルは110msである。「交互帯電制御」を、1枚の用紙がベルト搬送手段20によって搬送される間に繰り返して行う。例えば、用紙1枚分の搬送にかかる期間が600msである場合には、「交互帯電制御」を5サイクル繰り返すことができる。これにより、ベルト外面21aに、図7のような帯電パターンが形成される。
例えば、図8に示す交互帯電制御の1サイクルの時間(110ms)を変えずに、用紙1枚分の搬送にかかる時間(図8において600ms)を二倍にする、すなわち、1200msにすることにより、図7における領域S1と領域S2の媒体搬送方向における幅を半分の長さにすることができる。この場合、帯電部42に付与する電圧(周波数)を変えないので、帯電部42の動作に伴う電気的ノイズの発生を抑えることができる。
続いて、図9及び図10を参照して搬送ベルト21の帯電パターンの他の一例について説明する。
制御部41は、「交互帯電制御」を行う際の第2制御において、ベルト外面21aの前記幅方向における、第2帯電状態E2にされた両端部の間の中央領域を第1帯電状態E1にすることもできる。
具体的には、制御部41は、搬送ベルト21の前記幅方向の端部側の帯電を担う一対の端部側帯電ローラー42a、42aに対して図8に示す制御を行い、中央帯電ローラー42bは、ベルト外面21aを第1の帯電状態E1に保持するように制御される。その結果、第2制御を実行した領域S3(図9)は、ベルト外面21aの前記幅方向の端部領域が弱い帯電状態(第2の帯電状態E2)に形成され、前記幅方向の中央領域は強い帯電状態(第1の帯電状態E1)に形成される。
図10に示すような帯電パターンとすることにより、カールし易い用紙の先端と後端は前記幅方向に亘ってしっかりと吸着し、用紙の先端と後端の間の領域においては、用紙の側縁の波打ちを逃がし易くする構成とすることができる。
湿度が高い場合(例えば湿度70%以上)、前記第2制御によって帯電状態が形成される領域[領域S2(図7)、領域S3(図9及び図10)、領域S4(図11)]を媒体搬送方向に広くすることにより、吸湿により左右側縁が波打った用紙を吸着する際に生じるシワの発生を効果的に抑制できる。
制御部41による湿度測定手段32によって測定される湿度に応じた制御により、ベルト外面21aを、用紙の吸湿状態に応じた適切な帯電状態にすることができる。尚、湿度に応じた制御の結果、一枚の用紙の搬送に対して第1制御のみが実行される場合もある。
次に、図11を参照して搬送ベルト21の帯電パターンの更に他の一例について説明する。
制御部41は、「交互帯電制御」を行う際の第2制御において、ベルト外面21aの前記幅方向における、第2帯電状態E2にされた両端部の間の中央領域を、第2帯電状態E2より強く、第1帯電状態E1より弱い第3帯電状態E3とすることができる(図11)。
3…スキャナーユニット、4…用紙収容カセット、5…媒体載置部、
6…操作部、7…排出部、9…媒体搬送装置、10…ラインヘッド(記録部)、
12…ストレート経路、13…フェイスダウン排出経路、14…給送経路、
15…スイッチバック経路、16…反転経路、17…給送ローラー、
18…分離ローラー対、19…レジストローラー対(上流側搬送手段)、
20…ベルト搬送手段、21…搬送ベルト、21a…ベルト外面、
22…第1ローラー、23…第2ローラー、24…帯電ローラー(帯電部)
25…除電部、26…第1モーター、27…第2モーター、
28…バックアッププレート、29…搬送ローラー対、30…制御部、
31…除電ベルト、32…湿度測定手段、40…媒体搬送装置、41…制御部、
42…帯電部、42a…端部側帯電ローラー、42b…中央帯電ローラー、
43…第2の除電部、44…第1の除電部、45…除電ベルト、45a…ブラシ、
A…記録領域、P…媒体、T…搬送経路、
E1…第1の帯電状態、E2…第2の帯電状態、E3…第3の帯電状態
Claims (8)
- 搬送される媒体に係わる処理を行う処理部と、
前記媒体をベルト外面に吸着する無端状の搬送ベルトを備え、前記ベルト外面の少なくとも一部が前記処理部に対向する位置に設けられるベルト搬送手段と、
前記ベルト搬送手段の上流側に配置され、前記ベルト搬送手段に前記媒体を搬送する上流側搬送手段と、
前記処理部の上流側において、前記媒体を前記搬送ベルトに向けて押さえ且つ前記搬送ベルトに吸着された前記媒体の表面の電荷を除去する除電部と、
前記除電部に対して前記搬送ベルトの回転方向上流側に設けられ、前記搬送ベルトを帯電させる帯電部と、
前記ベルト搬送手段及び前記上流側搬送手段の駆動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記上流側搬送手段の搬送速度よりも前記ベルト搬送手段の搬送速度を相対的に遅くする速度差制御を実行可能に構成されている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記制御部は、前記速度差制御を実行する際、搬送される前記媒体の種類に応じて前記上流側搬送手段の搬送速度と前記ベルト搬送手段の搬送速度との速度差を変更する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項2に記載の媒体搬送装置において、
前記制御部は、第1の媒体よりも媒体搬送方向に長い第2の媒体を搬送する際に、前記第1の媒体を搬送する場合よりも前記速度差を小さくする、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項2または請求項3に記載の媒体搬送装置において、
前記制御部は、第3の媒体よりも坪量が大きい第4の媒体を搬送する際に、前記第3の媒体を搬送する場合よりも前記速度差を小さくする、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の媒体搬送装置において、
装置内の湿度を測定する湿度測定手段を備え、
前記制御部は、前記湿度測定手段によって測定される湿度が所定の閾値未満である場合に、前記速度差制御を行わない、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の媒体搬送装置において、
前記帯電部は、前記ベルト外面を、マイナスの電荷及びプラスの電荷のいずれか一方に帯電させるDC帯電部である、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の媒体搬送装置において、
前記上流側搬送手段はローラー対で構成され、
前記ローラー対のニップ点は、前記ベルト搬送手段による搬送面よりも上方に位置する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 前記処理部として前記媒体に液体を噴射して記録を行う記録部を備えた請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の媒体搬送装置を備える、
ことを特徴とする記録装置。
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