JP6924120B2 - スポンジチタンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、四塩化チタンを金属マグネシウムにより還元してスポンジチタンを製造するスポンジチタンの製造方法に関する。
従来、金属チタンは、工業的にはクロール法によって製造されたスポンジチタンをもとに製造されている。そして、近年、半導体デバイス等、電子材料向けの高純度チタンの需要が増加しており、同時に、これまで主流であった4N〜5N(99.995〜99.999%)グレードに加えて、4N(99.99%)や5N5(99.9995%)グレード等、比較的、低純度あるいは高純度なグレードの高純度チタンの市場も広がっており、高純度チタングレードの多様化が進んでいる。
5N5グレードの高純度チタンを得る製法としては、3N5〜4Nグレードのスポンジチタンを電解精製する電解析出法が工業化されている。電解析出法では、FeやNi等、スポンジチタンに含まれる多くの不純物元素を除去できるが、CrやAlは、その電気化学的特性のために電解析出法での除去が困難である(非特許文献1)。
従って、多様化する高純度チタングレードに適応するため、クロール法における高純度スポンジチタン製造においても、下記のような作り分けが求められており、加えて、高純度のスポンジチタンを安価に製造することが求められている。
(A)3N5〜4Nのスポンジチタン(低Cr、Al)→電解精製用
(B)4N5〜5Nのスポンジチタン→4N5〜5Nグレード用
(C)4Nのスポンジチタン→4Nグレード用
このクロール法によるスポンジチタン製造工程は、塩化蒸留工程、還元分離工程、破砕工程及び電解工程の四工程に大別される。
還元分離工程は、還元工程及び真空分離工程からなる。還元工程では、ステンレス製の還元反応容器内の溶融金属マグネシウムに四塩化チタンを滴下し、還元反応を起こすことで、スポンジチタンを生成させる。次いで、真空分離工程にて、還元工程で生成したスポンジチタンを高温且つ減圧下で真空引きすることで、残存した塩化マグネシウムや金属マグネシウムが取り除かれたスポンジチタンが製造される(非特許文献2)。
真空分離工程では、反応容器を加熱し、更に、その反応容器に接続された別の反応容器内を減圧することにより、スポンジチタンに取り込まれている未反応のMg及び副生した塩化マグネシウムを分離し、該別の反応容器に回収する。
また、破砕工程は、還元分離工程で製造されたスポンジチタン塊を、段階的に、切断及び破砕し、最終的にミリメートルからセンチメートルオーダーのスポンジチタンとなる。このときに、スポンジチタン塊は、部位により不純物の含有量が異なっているため、純度要求に応じたスポンジチタン塊の範囲を採取対象として、スポンジチタンを採取する。
高純度のスポンジチタンを製造する方法としては、例えば、特許文献1、特許文献2のように、クロール法によって製造されたスポンジチタンの底部から厚さが塊高さの25%以上の部分と頂部から厚さが塊高さの10%以上の部分とを切除し、かつ円周部から厚さが塊直径の18%以上の円周部分を切除してのち、前記の円筒状塊重量の30%未満に相当する中心部分のスポンジチタンを採取する方法が記載されている。
まてりあ Vo.33,No.1,P51−54,(1994) 資源と素材 Vo.1.109 P1157−1163(1993)
特許第2863469号公報 特許第3129708号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2のスポンジチタンの製造方法では、高純度のスポンジチタンが得られるものの、採取対象が、還元分離工程を行い得られるスポンジチタン塊のうち、中心部分の非常に狭い範囲に限られるため、高純度のスポンジチタンの収率が低くなってしまう。
従って、本発明の目的は、不純物含有量が低いスポンジチタンを高収率で得ることができるスポンジチタンの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決は、以下に示す本発明により解決される。
すなわち、本発明(1)は、クロール法によるスポンジチタンの製造において、
真空分離工程において、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)が、0.40〜0.58であり、
破砕工程で、スポンジチタン塊の高さをH(mm)、直径をD(mm)としたときに、採取の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.05H〜0.10Hの範囲内に、採取の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より下の部分及び該半径方向の外側限界位置より外の部分を切断除去して、残りの部分を採取すること、
を特徴とするスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、前記破砕工程で、前記採取の上下方向の下限位置及び前記採取の半径方向の外側限界位置を定めることに加えて、採取の上下方向の上限位置を、スポンジチタン塊の上端から0.02H〜0.05Hの範囲内に定め、前記上下方向の下限位置より下の部分及び前記半径方向の外側限界位置より外の部分を切断除去することに加えて、該上下方向の上限位置より上の部分を切断除去して、残りの部分を採取することを特徴とする(1)のスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、前記破砕工程で、採取対象の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.40H〜0.65Hの範囲内に、採取対象の上下方向の上限位置を、スポンジチタン塊の上端から0.02H〜0.05Hの範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より上側、且つ、該上下方向の上限位置より下側、且つ、該半径方向の外側限界位置より内側の部分を、採取対象として採取して、Fe含有量が10〜200質量ppm、Ni含有量が10質量ppm以下、Cr含有量が1.0質量ppm以下、且つ、Al含有量が1.0質量ppm以下であるスポンジチタン(A)を得ることを特徴とする(1)のスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(4)は、前記破砕工程で、上下方向でスポンジチタン塊の下端から0.70Hの位置より上側、且つ、上下方向でスポンジチタン塊の上端から0.10Hの位置より下側、且つ、半径方向でスポンジチタン塊の外側端から0.15Dの位置より内側の部分が、少なくとも採取対象に含まれるように採取して、Fe含有量が10〜200質量ppm、Ni含有量が10質量ppm以下、Cr含有量が1.0質量ppm以下、且つ、Al含有量が1.0質量ppm以下であるスポンジチタン(A)を得ることを特徴とする(1)のスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(5)は、前記破砕工程で、採取対象の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.10H〜0.20Hの範囲内に、採取対象の上下方向の上限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.40H〜0.65Hの範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より上側、且つ、該上下方向の上限位置より下側、且つ、該半径方向の外側限界位置より内側の部分を、採取対象として採取して、Fe含有量が10質量ppm以下、Ni含有量が3.0質量ppm以下、Cr含有量が3.0質量ppm以下、且つ、Al含有量が3.0質量ppm以下であるスポンジチタン(B)を得ることを特徴とする(1)のスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(6)は、前記破砕工程で、上下方向でスポンジチタン塊の下端から0.20Hの位置より上側、且つ、上下方向でスポンジチタン塊の下端から0.45Hの位置より下側、且つ、半径方向でスポンジチタン塊の外側端から0.15Dの位置より内側の部分が、少なくとも採取対象に含まれるように採取して、Fe含有量が10質量ppm以下、Ni含有量が3.0質量ppm以下、Cr含有量が3.0質量ppm以下、且つ、Al含有量が3.0質量ppm以下であるスポンジチタン(B)を得ることを特徴とする(1)のスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(7)は、前記破砕工程で、採取対象の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.05H〜0.10Hの範囲内に、採取対象の上下方向の上限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.15H〜0.30Hの範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より上側、且つ、該上下方向の上限位置より下側、且つ、該半径方向の外側限界位置より内側の部分を、採取対象として採取して、Fe含有量が10〜200質量ppm、Ni含有量が10質量ppm以下、Cr含有量が10質量ppm以下、且つ、Al含有量が10質量ppm以下であるスポンジチタン(C)を得ることを特徴とする(1)のスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(8)は、前記破砕工程で、採取対象の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.05H〜0.10Hの範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.10Dの範囲内に、採取対象の半径方向の内側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.12D〜0.20Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より上側、且つ、該上下方向の上限位置より下側、且つ、該半径方向の外側限界位置より内側、且つ、該半径方向の内側限界位置より外側の部分を、採取対象として採取して、Fe含有量が10〜200質量ppm、Ni含有量が質量10ppm以下、Cr含有量が10質量ppm以下、且つ、Al含有量が10質量ppm以下であるスポンジチタン(C)を得ることを特徴とする(1)のスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(9)は、還元工程を行った後、前記真空分離工程を行う前に、反応容器内の金属マグネシウム及び塩化マグネシウムを液相状態で抜き出す液相抜出操作を5〜10回行うことを特徴とする(1)〜(8)いずれかのスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(10)は、前記液相抜出操作において、前の液相抜出操作を終了した後、次の液相抜出操作を開始するまでの間隔を、平均2時間以上6時間以下とすることを特徴とする(9)のスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(11)は、還元工程を行う反応容器の内面材質中のNi含有量が0.04質量%以下であることを特徴とする(1)〜(10)いずれかのスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(12)は、還元工程において、四塩化チタンの還元に用いる金属マグネシウム中のNi含有量が0.7質量ppm以下且つAl含有量が70質量ppm以下であることを特徴とする(1)〜(11)いずれかのスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、不純物含有量が低いスポンジチタンを高収率で得ることができるスポンジチタンの製造方法を提供することができる。
スポンジチタン塊の位置を説明するための模式図である。 切断除去する部分を説明するための模式図である。 切断除去する部分を説明するための模式図である。 切断除去する部分を説明するための模式図である。 採取する範囲を説明するための模式図である。 採取する範囲を説明するための模式図である。 採取する範囲を説明するための模式図である。
本発明のスポンジチタンの製造方法は、クロール法によるスポンジチタンの製造において、
真空分離工程において、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)が、0.40〜0.58であり、
破砕工程で、スポンジチタン塊の高さをH(mm)、直径をD(mm)としたときに、採取の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.05H〜0.10Hの範囲内に、採取の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より下の部分及び該半径方向の外側限界位置より外の部分を切断除去して、残りの部分を採取すること、
を特徴とするスポンジチタンの製造方法である。
本発明のスポンジチタンの製造方法は、クロール法、すなわち、反応容器に予め溶融マグネシウムを入れておき、反応容器内に四塩化チタンを滴下して、溶融マグネシウムと反応させることにより、四塩化チタンをマグネシウムで還元する還元反応を行い、スポンジチタンを製造するスポンジチタンの製造方法である。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、先ず、還元工程を行い、スポンジチタン塊を得る。この還元工程は、反応容器に予め溶融マグネシウムを入れておき、反応容器内に四塩化チタンを滴下して、溶融マグネシウムと反応させることにより、四塩化チタンをマグネシウムで還元する還元反応を行い、スポンジチタン塊を得る工程である。この時、反応容器内の反応浴面と、その上の空間にて、主な反応が起こり、チタンの一次粒子が生成し、また、反応浴面近傍の金属マグネシウムが消費され、塩化マグネシウムが副生する。生成したチタン一次粒子は、反応容器下方へ沈降し、反応容器の底部に堆積する。また、金属マグネシウムの比重は、塩化マグネシウムよりも小さいため、副生した塩化マグネシウムは容器下方へと沈降し、代りに金属マグネシウムが浮上する。還元反応を行っている間、沈降した塩化マグネシウムを、反応容器下方から適宜抜き取るが、完全に抜き取ることは不可能であり、還元反応終了後も、残留した塩化マグネシウムと未反応の金属マグネシウムが、共に、スポンジチタン塊内に残る。
還元工程で、四塩化チタンと溶融マグネシウムを反応させて、スポンジチタン塊を得る方法としては、特に制限されず、通常、工業的なクロール法によるスポンジチタンの製造方法において用いられている方法であればよい。四塩化チタンと溶融マグネシウムを反応させる方法としては、例えば、反応容器内に、還元反応で用いる溶融マグネシウムを全量張っておき、そこに、四塩化チタンを滴下しつつ、副生する塩化マグネシウムを反応容器の底部付近から抜きながら、スポンジチタンを生成させる方法、反応容器内に、還元反応で用いる溶融マグネシウム全量のうちの70〜90%程度の量を張っておき、そこに、四塩化チタン及び溶融マグネシウムを滴下しつつ、副生する塩化マグネシウムを反応容器の底部付近から抜きながら、スポンジチタンを生成させる方法等が挙げられる。
還元工程を行う反応容器は、ステンレス鋼の内面に鉄がクラッドされたクラッド容器又はバタリング容器である。反応容器の内面材質は、Ni含有量が0.04質量%以下であることが好ましい。反応容器の上部に設置される蓋体の材質は、低炭素鋼等の普通鋼もしくはステンレス鋼の下面に鉄がクラッドされたクラッド鋼板又はバタリング鋼板である。
還元工程において、四塩化チタンの還元に用いる金属マグネシウム中のNi含有量が0.7質量ppm以下であり、且つ、Al含有量が70質量ppm以下であることが好ましい。
還元工程において、反応温度、すなわち、還元反応中の浴面が位置する部分の反応容器温度は、通常、720〜900℃、好ましくは750〜850℃である。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、還元工程を行った後、真空分離工程を行う前に、反応容器内の金属マグネシウム及び塩化マグネシウムを液相状態で抜き出す液相抜出操作を行う。還元工程を行っている最中に、還元反応で副生する塩化マグネシウムを、反応容器の底部近傍から随時抜き出すものの、還元反応中に全ての塩化マグネシウムを抜き出すことができないので、還元工程の終了後の反応容器内には、必ず、塩化マグネシウムが存在している。また、還元工程では、四塩化チタンに対して過剰量の金属マグネシウムを用いるために、還元工程の終了後の反応容器内には、必ず、金属マグネシウムが残存している。そのため、還元工程を行った後、真空分離工程を行う前に、反応容器内の金属マグネシウム及び塩化マグネシウムを液相状態で抜き出す。
そして、本発明のスポンジチタンの製造方法では、液相抜出操作で抜き出す金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの抜出量の選択により、次工程である真空分離工程における、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)を、0.40〜0.58、好ましくは0.40〜0.56、特に好ましくは0.45〜0.56、更に好ましくは0.50〜0.56に調節する。液相抜出操作で抜き出す金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの抜出量の選択により、真空分離工程におけるC/T比が調節されるのは、液相抜出操作で抜き出されずに、スポンジチタン塊中の細孔内に残存しているものも含め、反応容器内に残存している金属マグネシウム及び塩化マグネシウムが、真空分離工程において揮発分離される金属マグネシウム及び塩化マグネシウムとなるからである。
スポンジチタン塊中の細孔内に存在している液相は、スポンジチタン塊の周囲にある液相を抜き出しても、一緒には抜き出されない。そのため、液相抜出操作を行い、一旦、スポンジチタン塊の周囲にある液相を抜き出した後、一定時間放置しておき、スポンジチタン塊の細孔内から液相がスポンジチタン塊外に染み出して来るのを待つ。そして、ある程度の時間が経過して、スポンジチタン塊の周囲に、染み出して来た液相が溜まったときに、液相抜出操作を行い、スポンジチタン塊の周囲にある液相を抜き出す。このようなことを複数回繰り返して、反応容器内に残存している金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの量を調節する。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、液相抜出操作を、5〜10回、好ましくは7〜9回行うことが、真空分離工程における、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)を、0.40〜0.58、好ましくは0.40〜0.56、特に好ましくは0.45〜0.56、更に好ましくは0.50〜0.56に調節し易くなる点で、好ましい。その際、前の液相抜出操作を終了した後、次の液相抜出操作を開始するまでの間隔を、平均2時間以上6時間以下、好ましくは平均3時間以上5時間以下とすることが、真空分離工程における、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)を、0.40〜0.58、好ましくは0.40〜0.56、特に好ましくは0.45〜0.56、更に好ましくは0.50〜0.56に調節し易くなる点で、好ましい。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、液相抜出操作を行った後、真空分離工程を行う。真空分離工程は、スポンジチタン塊が入った状態で、反応容器内を減圧及び加熱することにより、スポンジチタン塊中の細孔内も含め、反応容器内に残留した塩化マグネシウムと未反応の金属マグネシウムを揮発させて除去する工程である。具体的には、例えば、生成したスポンジチタン塊が入っている反応容器と空の反応容器を隣接配置し、両者の上部同士を配管により接続する。そして、前者の反応容器を外部から加熱しながら、後者の反応容器の内部を真空引きすることにより、前者の反応容器内のスポンジチタン塊に含まれる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムを、反応容器上部同士を繋いている配管を通じて、ガス状態で、空の反応容器内へ移動させる。
本発明のスポンジチタンの製造方法に係る真空分離工程では、スポンジチタン塊中の細孔内及びスポンジチタン塊の外の反応容器内に残留している金属マグネシウム及び塩化マグネシウムを揮発させて、反応容器内から外に移動させることにより、金属マグネシウム及び塩化マグネシウムを反応容器内から揮発分離する。そして、真空分離工程では、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)を、0.40〜0.58、好ましくは0.40〜0.56、特に好ましくは0.45〜0.56、更に好ましくは0.50〜0.56とする。なお、スポンジチタン塊の質量Tとは、チタンの質量であり、スポンジチタン塊の細孔内の金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの質量は含まれない。スポンジチタン塊の質量Tについては、還元反応の際に、反応容器内に供給する四塩化チタンの質量により、供給した四塩化チタンから生成するチタンの質量を算出することにより、スポンジチタン塊の質量Tを求める。また、スポンジチタン塊の質量Tは、真空分離工程を行った後のスポンジチタンの質量からも把握される。また、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量Cについては、反応容器内に供給する金属マグネシウムと四塩化チタンの質量から、還元反応で副生する塩化マグネシウムと残存する金属マグネシウムとの合計質量を算出し、還元反応で副生する塩化マグネシウムと残存する金属マグネシウムとの合計質量から、真空分離工程における、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量Cが上記範囲となるように、つまり、「還元反応で副生する塩化マグネシウムと残存する金属マグネシウムとの合計質量」と「還元工程及び液相抜出操作で抜き出す金属マグネシウムと塩化マグネシウムの合計質量」の差が、上記合計質量Cの範囲となるように、還元工程及び液相抜出操作で抜き出す金属マグネシウムと塩化マグネシウムの合計質量を選択する。また、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量Cは、反応容器に繋がっている揮発金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの受器内に回収される金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの質量からも把握される。
スポンジチタン中に含まれる不純物としては、Fe、Ni、Cr及びAlが挙げられるが、これらの元素の内、Ni、Cr及びAlは、還元反応後は、金属マグネシウム及び塩化マグネシウム中に多く含まれている。そして、真空分離工程において、金属マグネシウム及び塩化マグネシウムが揮発するときに、金属マグネシウム及び塩化マグネシウム中のNi、Cr及びAlが、スポンジチタン塊内に置き去りにされることにより、スポンジチタンにNi、Cr及びAlが含まれることになる。そこで、本発明のスポンジチタンの製造方法では、真空分離工程において、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)を、0.58以下、好ましくは0.40〜0.56、特に好ましくは0.45〜0.56、更に好ましくは0.50〜0.56として、揮発分離される金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの量を従来より少なくすることにより、真空分離工程において、金属マグネシウム及び塩化マグネシウムが揮発するときに、スポンジチタン塊内に置き去りにされるNi、Cr及びAlの量を少なくすることができるので、本発明のスポンジチタンの製造方法では、従来のスポンジチタンの製造方法に比べ、スポンジチタン中の不純物であるNi、Cr及びAlの含有量を少なくすることができる。また、真空分離工程において、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)の下限値であるが、理論的には、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)が小さければ小さいほど、スポンジチタン中の不純物であるNi、Cr及びAlの含有量が少なくなるが、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)の目標値が小さ過ぎると、液相抜出操作の回数が多くなり過ぎて、製造効率が悪くなるため、真空分離工程おける、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)は、0.40以上、好ましくは0.40〜0.56、特に好ましくは0.45〜0.56、更に好ましくは0.50〜0.56とする。
特に、本発明のスポンジチタンの製造方法では、真空分離工程において、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)を、0.58以下、好ましくは0.40〜0.56、特に好ましくは0.45〜0.56、更に好ましくは0.50〜0.56として、揮発分離される金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの量を従来より少なくすることにより、真空分離工程において、金属マグネシウム及び塩化マグネシウムが揮発するときに、スポンジチタン塊の上側略半分内に置き去りにされるNi、Cr及びAlの量、特に、Alの量を少なくすることができるので、本発明のスポンジチタンの製造方法では、従来のスポンジチタンの製造方法に比べ、スポンジチタン塊の上側略半分中のNi、Cr及びAlの含有量、特に、Alの含有量を少なくすることができる。そのため、Al不純物含有量が低いことが要求される電解精製用高純度スポンジチタンの製造において、従来のスポンジチタンの製造方法では製造することが困難であったAl濃度1質量ppm以下のスポンジチタンをスポンジチタン塊の上側略半分の範囲から安定的に採取できるようになり、且つ、その部分は、4N5〜5Nグレード用の高純度スポンジチタンの採取部位とは異なるので、本発明のスポンジチタンの製造方法は、Al不純物量が低いことが要求される電解精製用高純度スポンジチタンを高収率且つ安価に製造することができる。
一方、従来のスポンジチタンの製造方法では、Al濃度1質量ppm以下のスポンジチタンを安定的に採取できる部位はスポンジチタン塊のどこにも存在しなかったため、Al不純物量が低いことが要求される電解精製用高純度スポンジチタンを安定的に製造することは困難であった。
真空分離工程における加熱温度は、通常、800〜1080℃、好ましくは900〜1050℃である。また、真空分離工程における圧力は、通常、分離終了直前時点で0.01〜10Pa、好ましくは0.01〜0.1Paである。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、真空分離工程を行った後、適宜、冷却等を行ってから、反応容器からスポンジチタン塊を取り出し、破砕工程を行う。破砕工程は、スポンジチタン塊のうち、不純物の含有量が多過ぎて、製品とすることができない部分を切断除去し、残りの部分を採取して、スポンジチタンを得る工程である。
本発明のスポンジチタンの製造方法に係る破砕工程では、スポンジチタン塊の高さをH(mm)、直径をD(mm)としたときに、採取の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.05H〜0.10Hの範囲内に、採取の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より下の部分及び該半径方向の外側限界位置より外の部分を切断除去して、残りの部分を採取する。切断除去範囲を上記とすることにより、不純物含有量が低いスポンジチタンが高収率で得られる。
図1〜図3を参照して、破砕工程における切断除去部分を説明する。図1〜図3は、スポンジチタン塊の形態例の模式的な断面図である。図1に示すように、スポンジチタン塊の高さをH(mm)、直径をD(mm)とする。なお、スポンジチタン塊の高さHは、スポンジチタン塊の最も高い位置と最も低い位置の距離を指し、また、スポンジチタン塊の直径Dは、スポンジチタン塊の最も太い部分の直径を指す。そして、符号11で示す位置は、スポンジチタン塊10の下端の位置である。符号121で示す位置は、スポンジチタン塊10の下端11から、上に0.10H分離れた位置であるので、この位置は、スポンジチタン塊10の下端11から0.10Hの位置(符号121)である。符号151で示す位置は、スポンジチタン塊10の下端11から、上に0.50H分離れた位置であるので、この位置は、スポンジチタン塊10の下端11から0.50Hの位置(符号151)である。符号13で示す位置は、スポンジチタン塊10の上端の位置である。符号141で示す位置は、スポンジチタン塊10の上端13から、下に0.10H分離れた位置であるので、この位置は、スポンジチタン塊10の上端13から0.10Hの位置(符号141)である。符号16で示す位置は、半径方向で見たときのスポンジチタン塊10の外側端の位置である。符号171で示す位置は、スポンジチタン塊10の外側端16から、半径方向中心に向かって0.10D分離れた位置であるので、この位置は、スポンジチタン塊10の外側端16から0.10Dの位置(符号171)である。
破砕工程において、図2に示すように、点線21は、採取の上下方向の下限位置を示す。採取の上下方向の下限位置21は、上下方向に見たときに、スポンジチタン塊10の下端11から0.05Hの位置(符号12)と、スポンジチタン塊10の下端11から0.10Hの位置(符号18)の間にある。よって、採取の上下方向の下限位置21は、スポンジチタン塊10の下端11から0.05H〜0.10Hの範囲内にある。そして、本発明では、採取の上下方向の下限位置21を、スポンジチタン塊10の下端11から0.05H〜0.10Hの範囲内で定め、定めた採取の上下方向の下限位置21より下の部分22を、切断除去する。
また、破砕工程において、図3に示すように、点線23は、採取の半径方向の外側限界位置を示す。採取の半径方向の外側限界位置23は、半径方向に見たときに、スポンジチタン塊10の外側端16から0.05Dの位置(符号17)と、スポンジチタン塊10の外側端16から0.12Dの位置(符号19)の間にある。よって、採取の半径方向の外側限界位置23は、スポンジチタン塊10の外側端16から0.05D〜0.12Dの範囲内にある。そして、本発明では、採取の半径方向の外側限界位置23を、スポンジチタン塊10の外側端16から0.10D〜0.12Dの範囲内で定め、定めた採取の半径方向の外側限界位置23より外の部分24を、切断除去する。
すなわち、破砕工程では、採取の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.05H〜0.10Hの範囲内に、採取の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より下の部分、及び該半径方向の外側限界位置より外の部分を切断除去して、残りの部分を採取する。
なお、破砕工程では、先にスポンジチタン塊の上下方向の下側の切断部分を除去してから、次いで半径方向の外側側の切断部分を除去してもよいし、あるいは、先にスポンジチタン塊の半径方向の外側の切断部分を除去してから、次いで上下方向の下側の切断部分を除去してもよい。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、破砕工程として、以下の破砕工程(1)を行うことができる。破砕工程(1)では、上述したように、採取の上下方向の下限位置及び採取の半径方向の外側限界位置を定めることに加えて、採取の上下方向の上限位置を、スポンジチタン塊の上端から0.02H〜0.05Hの範囲内に定め、上下方向の下限位置より下の部分及び半径方向の外側限界位置より外の部分を切断除去することに加えて、上下方向の上限位置より上の部分を切断除去して、残りの部分を採取する。
破砕工程(1)では、図4に示すように、点線25は、採取の上下方向の上限位置を示す。採取の上下方向の上限位置25は、上下方向に見たときに、スポンジチタン塊10の上端13から0.02Hの位置(符号14)と、スポンジチタン塊10の上端13から0.05Hの位置(符号20)の間にある。よって、採取の上下方向の上限位置25は、スポンジチタン塊10の上端13から0.02H〜0.05Hの範囲内にある。そして、本発明の第一の形態では、上述したように、スポンジチタン10の上下方向の下側部分22と半径方向の外側部分24を切断除去することに加え、採取の上下方向の上限位置25を、スポンジチタン塊10の上端13から0.02H〜0.05Hの範囲内で定め、定めた採取の上下方向の上限位置25より上の部分26を、切断除去する。
そして、本発明のスポンジチタンの製造方法では、破砕工程として、破砕工程(1)を採用することにより、スポンジチタンの純度が高くなる点で好ましい。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、破砕工程として、以下の破砕工程(2)を行うことができる。破砕工程(2)は、採取対象の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.40H〜0.65Hの範囲内に、採取対象の上下方向の上限位置を、スポンジチタン塊の上端から0.02H〜0.05Hの範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.5D〜0.12Dの範囲内に定め、上下方向の下限位置より上側、且つ、上下方向の上限位置より下側、且つ、半径方向の外側限界位置より内側の部分を、採取対象として採取して、Fe含有量が10〜200質量ppm、Ni含有量が10質量ppm以下、Cr含有量が1.0質量ppm以下、且つ、Al含有量が1.0質量ppm以下であるスポンジチタン(A)を得る工程である。
破砕工程(2)における採取対象の範囲について、図5を参照して説明する。図5は、スポンジチタン塊の形態例の模式的な断面図である。図5(i)に示すように、採取の上下方向の下限位置21を、スポンジチタン塊10の下端11から0.05Hの位置(符号12)〜0.10Hの位置(符号18)の範囲内で定め、定めた採取の上下方向の下限位置21より下の部分22を、切断除去する。次いで、採取の半径方向の外側限界位置23を、スポンジチタン塊10の外側端16から0.05Dの位置(符号17)〜0.12Dの位置(符号19)の範囲内で定め、定めた採取の半径方向の外側限界位置23より外の部分24を、切断除去する。次いで、採取の上下方向の上限位置25を、スポンジチタン塊10の上端13から0.02Hの位置(符号14)〜0.05Hの位置(符号20)の範囲内で定め、定めた採取の上下方向の上限位置25より上の部分26を、切断除去する。次いで、図5(ii)に示すように、採取対象の上下方向の下限位置27を、スポンジチタン塊10の下端11から0.40Hの位置(符号15)〜0.65Hの位置(符号28)の範囲内に定め、上下方向の下限位置27より上側、且つ、上下方向の上限位置25より下側、且つ、半径方向の外側限界位置23より内側の部分を、採取対象として採取して、スポンジチタン(A)を得る(図4(ii)中、斜線で示す部分)。このように、破砕工程(2)では、採取対象の上下方向の下限位置27を、スポンジチタン塊10の下端11から0.40Hの位置(符号15)〜0.65Hの位置(符号28)の範囲内に、採取対象の上下方向の上限位置25を、スポンジチタン塊の上端から0.02Hの位置(符号14)〜0.05Hの位置(符号20)の範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置23を、スポンジチタン塊10の外側端16から0.05Dの位置(符号17)〜0.12Dの位置19の範囲内に定め、上下方向の下限位置27より上側、且つ、上下方向の上限位置25より下側、且つ、半径方向の外側限界位置23より内側の部分を、採取対象として採取して、スポンジチタン(A)を得る。なお、スポンジチタン(B)及び(C)の採取対象の範囲についても、採取対象の上下方向の下限位置、採取対象の上下方向の上限位置、採取対象の半径方向の外側限界位置、採取対象の半径方向の内側限界位置は異なるもの、定め方は同様である。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、破砕工程として、以下の破砕工程(3)を行うことができる。破砕工程(3)は、上下方向でスポンジチタン塊の下端から0.70Hの位置より上側、且つ、上下方向でスポンジチタン塊の上端から0.10Hの位置より下側、且つ、半径方向でスポンジチタン塊の外側端から0.15Dの位置より内側の部分が、少なくとも採取対象に含まれるように採取して、Fe含有量が10〜200質量ppm、Ni含有量が10質量ppm以下、Cr含有量が1.0質量ppm以下、且つ、Al含有量が1.0質量ppm以下であるスポンジチタン(A)を得る工程である。
図6(i)に示すように、採取の上下方向の下限位置21を、スポンジチタン塊10の下端11から0.05Hの位置(符号12)〜0.10Hの位置(符号18)の範囲内で定め、定めた採取の上下方向の下限位置21より下の部分22を、切断除去する。次いで、採取の半径方向の外側限界位置23を、スポンジチタン塊10の外側端16から0.05Dの位置(符号17)〜0.12Dの位置(符号19)の範囲内で定め、定めた採取の半径方向の外側限界位置23より外の部分24を、切断除去する。次いで、採取の上下方向の上限位置25を、スポンジチタン塊10の上端13から0.02Hの位置(符号14)〜0.05Hの位置(符号20)の範囲内で定め、定めた採取の上下方向の上限位置25より上の部分26を、切断除去する。次いで、図6(ii)に示すように、上下方向でスポンジチタン塊10の下端11から0.70Hの位置(符号31)より上側、且つ、上下方向でスポンジチタン塊の上端から0.10Hの位置(符号32)より下側、且つ、半径方向でスポンジチタン塊10の外側端16から0.15Dの位置(符号33)より内側の部分(図6(ii)中、斜線で示す部分)が、少なくとも採取対象に含まれるように採取して、スポンジチタン(A)を得る。なお、図6は、スポンジチタン塊の形態例の模式的な断面図である。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、破砕工程として、以下の破砕工程(4)を行うことができる。破砕工程(4)は、採取対象の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.10H〜0.20Hの範囲内に、採取対象の上下方向の上限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.40H〜0.65Hの範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、上下方向の下限位置より上側、且つ、上下方向の上限位置より下側、且つ、半径方向の外側限界位置より内側の部分を、採取対象として採取して、Fe含有量が10質量ppm以下、Ni含有量が3.0質量ppm以下、Cr含有量が3.0質量ppm以下、且つ、Al含有量が3.0質量ppm以下であるスポンジチタン(B)を得る工程である。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、破砕工程として、以下の破砕工程(5)を行うことができる。破砕工程(5)は、上下方向でスポンジチタン塊の下端から0.20Hの位置より上側、且つ、上下方向でスポンジチタン塊の下端から0.45Hの位置より下側、且つ、半径方向でスポンジチタン塊の外側端から0.15Dの位置より内側の部分が、少なくとも採取対象に含まれるように採取して、Fe含有量が10質量ppm以下、Ni含有量が3.0質量ppm以下、Cr含有量が3.0質量ppm以下、且つ、Al含有量が3.0質量ppm以下であるスポンジチタン(B)を得る工程である。
図7(i)に示すように、採取の上下方向の下限位置21を、スポンジチタン塊10の下端11から0.05Hの位置(符号12)〜0.10Hの位置(符号18)の範囲内で定め、定めた採取の上下方向の下限位置21より下の部分22を、切断除去する。次いで、採取の半径方向の外側限界位置23を、スポンジチタン塊10の外側端16から0.05Dの位置(符号17)〜0.12Dの位置(符号19)の範囲内で定め、定めた採取の半径方向の外側限界位置23より外の部分24を、切断除去する。次いで、図7(ii)に示すように、上下方向でスポンジチタン塊10の下端11から0.20Hの位置(符号34)より上側、且つ、上下方向でスポンジチタン塊の下端11から0.45Hの位置(符号35)より下側、且つ、半径方向でスポンジチタン塊10の外側端16から0.15Dの位置(符号36)より内側の部分(図7(ii)中、斜線で示す部分)が、少なくとも採取対象に含まれるように採取して、スポンジチタン(B)を得る。図7は、スポンジチタン塊の形態例の模式的な断面図である。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、破砕工程として、以下の破砕工程(6)を行うことができる。破砕工程(6)は、採取対象の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.05H〜0.10Hの範囲内に、採取対象の上下方向の上限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.15H〜0.30Hの範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、上下方向の下限位置より上側、且つ、上下方向の上限位置より下側、且つ、半径方向の外側限界位置より内側の部分を、採取対象として採取して、Fe含有量が10〜200質量ppm、Ni含有量が10質量ppm以下、Cr含有量が10質量ppm以下、且つ、Al含有量が10質量ppm以下であるスポンジチタン(C)を得る工程である。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、破砕工程として、以下の破砕工程(7)を行うことができる。破砕工程(7)は、採取対象の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.05H〜0.10Hの範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.10Dの範囲内に、採取対象の半径方向の内側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.12D〜0.20Dの範囲内に定め、上下方向の下限位置より上側、且つ、上下方向の上限位置より下側、且つ、半径方向の外側限界位置より内側、且つ、半径方向の内側限界位置より外側の部分を、採取対象として採取して、Fe含有量が10〜200質量ppm、Ni含有量が質量10ppm以下、Cr含有量が10質量ppm以下、且つ、Al含有量が10質量ppm以下であるスポンジチタン(D)を得る工程である。
なお、本発明において、スポンジチタン塊の高さH、スポンジチタン塊の直径D、採取の上下方向の下限位置、採取の上限方向の上限位置、採取の半径方向の外側限界位置、採取対象の上下方向の下限位置、採取対象の上下方向の上限位置、採取対象の半径方向の外側限界位置、採取対象の半径方向の内側限界位置は、全て、真空分離工程を行った後且つ破砕工程を行う前のスポンジチタン塊を基準とする。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
スポンジチタン製造用の反応容器内に金属マグネシウムを所定量挿入し、不活性ガス雰囲気下で金属マグネシウムを溶融保持した。次いで、反応用内に四塩化チタン27000kgを滴下し、スポンジチタンを生成させた。滴下の間、複製した塩化マグネシウムを、適宜、反応容器下部から抜き出し、その合計量は18500kgであった。滴下終了後、複製した塩化マグネシウムと、反応で消費されなかった金属マグネシウムの混合物を、反応容器下部から抜き出した(抜出1回目)。その後、反応容器を900℃に保持したまま、2時間静置後、反応容器下部に貯留した塩化マグネシウムと金属マグネシウムの混合物を反応容器下部から抜き出した(抜出2回目)。その後、4時間静置後に3回目の抜出、4時間静置後に4回目の抜出、5時間静置後に5回目の抜出、5時間静置後に6回目の抜出、6時間静置後に7回目の抜出、6時間静置後に8回目の抜出を行なった。1〜8回目の抜出量の合計は9600kgであった。この時、四塩化チタンとチタンの分子量比から、スポンジチタン塊の質量T(kg)を算出すると6810kgであり、反応容器内に残存している塩化マグネシウムと金属マグネシウムの合計量、即ち、揮発分離させる塩化マグネシウムと金属マグネシウムの合計量C(kg)を算出すると3840kgであり、C/Tは0.56であった。
次いで、当該反応容器を真空分離工程に供し、スポンジチタン塊から塩化マグネシウムと金属マグネシウムを揮発分離させた。冷却後、スポンジチタン塊を反応容器から取り出したスポンジチタン塊の、高さHは2000mm、直径Dは1700mmであった。
次いで、得られたスポンジチタン塊の下端から0.05Hの位置より下の部分及び外側端から0.09Dの位置より外の部分を切断除去した。
次いで、スポンジチタン塊をギロチンシャーで切断して、部位別に三種類のスポンジチタンを採取し、平均粒径が5〜100mmの範囲内になるよう細断した。
(1)スポンジチタン(A)採取位置
下限位置:下端から1200mm(0.60H)
外側限界位置:外側端から150mm(0.09D)
(2)スポンジチタン(B)採取位置
上限位置:下端から1200mm(0.60H)
下限位置:下端から300mm(0.15H)
外側限界位置:外側端から150mm(0.09D)
(3)スポンジチタン(C)採取位置
上限位置:下端から300mm(0.15H)
下限位置:下端から100mm(0.05H)
外側限界位置:外側端から150mm(0.09D)
次いで、各スポンジチタン中の不純物元素濃度を測定した。結果は、下記の通りであった。
(1)スポンジチタン(A)不純物濃度
Fe:95質量ppm、Ni:1.2質量ppm
Al:0.8質量ppm、Cr:0.8質量ppm
(2)スポンジチタン(B)不純物濃度
Fe:4.7質量ppm、Ni:1.0質量ppm
Al:1.2質量ppm、Cr:1.1質量ppm
(3)スポンジチタン(C)不純物濃度
Fe:37質量ppm、Ni:1.2質量ppm
Al:3.1質量ppm、Cr:3.3質量ppm
(実施例2)
滴下終了後に、複製した塩化マグネシウムと、反応で消費されなかった金属マグネシウムの混合物を反応容器下部から抜き出す操作を以下のように変更した以外は実施例1と同様にスポンジチタン(A)、(B)、(C)を製造し、その不純物元素濃度を分析した。
抜出1回目の後、反応容器を900℃に保持したまま、2時間静置後、反応容器下部に貯留した塩化マグネシウムと金属マグネシウムの混合物を反応容器下部から抜き出した(抜出2回目)。その後、4時間静置後に3回目の抜出、4時間静置後に4回目の抜出、5時間静置後に5回目の抜出、5時間静置後に6回目の抜出、6時間静置後に7回目の抜出、6時間静置後に8回目の抜出、6時間静置後に9回目の抜出を行なった。1〜9回目の抜出量の合計は10,020kgであった。この時、四塩化チタンとチタンの分子量比から、スポンジチタン塊の質量T(kg)を算出すると6810kgであり、反応容器内に残存している塩化マグネシウムと金属マグネシウムの合計量、即ち、揮発分離させる塩化マグネシウムと金属マグネシウムの合計量C(kg)を算出すると3420kgであり、C/Tは0.50であった。
次いで、各スポンジチタン中の不純物元素濃度を測定した。結果は、下記の通りであった。
(1)スポンジチタン(A)不純物濃度
Fe:12質量ppm、Ni:0.7質量ppm
Al:0.6質量ppm、Cr:0.3質量ppm
(2)スポンジチタン(B)不純物濃度
Fe:4.2質量ppm、Ni:0.8質量ppm
Al:0.9質量ppm、Cr:0.8質量ppm
(3)スポンジチタン(C)不純物濃度
Fe:51質量ppm、Ni:1.1質量ppm
Al:1.9質量ppm、Cr:1.6質量ppm
(比較例1)
滴下終了後に、複製した塩化マグネシウムと、反応で消費されなかった金属マグネシウムの混合物を反応容器下部から抜き出す操作を以下のように変更した以外は実施例1と同様にスポンジチタン(A)、(B)、(C)を製造し、その不純物元素濃度を分析した。
抜出1回目の後、反応容器を900℃に保持したまま、2時間静置後、反応容器下部に貯留した塩化マグネシウムと金属マグネシウムの混合物を反応容器下部から抜き出した(抜出2回目)。その後、4時間静置後に3回目の抜出、4時間静置後に4回目の抜出、5時間静置後に5回目の抜出を行なった。1〜5回目の抜出量の合計は9000kgであった。この時、四塩化チタンとチタンの分子量比から、スポンジチタン塊の質量T(kg)を算出すると6810kgであり、反応容器内に残存している塩化マグネシウムと金属マグネシウムの合計量、即ち、揮発分離させる塩化マグネシウムと金属マグネシウムの合計量C(kg)を算出すると4440kgであり、C/Tは0.65であった。
次いで、各スポンジチタン中の不純物元素濃度を測定した。結果は、下記の通りであった。
(1)スポンジチタン(A)不純物濃度
Fe:26質量ppm、Ni:8.1質量ppm
Al:1.5質量ppm、Cr:6.0質量ppm
(2)スポンジチタン(B)不純物濃度
Fe:4.1質量ppm、Ni:7.7質量ppm
Al:4.8質量ppm、Cr:5.8質量ppm
(3)スポンジチタン(C)不純物濃度
Fe:45質量ppm、Ni:14質量ppm
Al:34質量ppm、Cr:11質量ppm
(比較例2)
滴下終了後に、複製した塩化マグネシウムと、反応で消費されなかった金属マグネシウムの混合物を反応容器下部から抜き出す操作を以下のように変更した以外は実施例1と同様にスポンジチタン(A)、(B)、(C)を製造し、その不純物元素濃度を分析した。
抜出1回目の後、反応容器を900℃に保持したまま、2時間静置後、反応容器下部に貯留した塩化マグネシウムと金属マグネシウムの混合物を反応容器下部から抜き出した(抜出2回目)。その後、4時間静置後に3回目の抜出、4時間静置後に4回目の抜出、5時間静置後に5回目の抜出、5時間静置後に6回目の抜出、6時間静置後に7回目の抜出を行なった。1〜7回目の抜出量の合計は9400kgであった。この時、四塩化チタンとチタンの分子量比から、スポンジチタン塊の質量T(kg)を算出すると6810kgであり、反応容器内に残存している塩化マグネシウムと金属マグネシウムの合計量、即ち、揮発分離させる塩化マグネシウムと金属マグネシウムの合計量C(kg)を算出すると4040kgであり、C/Tは0.59であった。
次いで、各スポンジチタン中の不純物元素濃度を測定した。結果は、下記の通りであった。
(1)スポンジチタン(A)不純物濃度
Fe:162質量ppm、Ni:4.0質量ppm
Al:1.0質量ppm、Cr:3.7質量ppm
(2)スポンジチタン(B)不純物濃度
Fe:5.9質量ppm、Ni:2.9質量ppm
Al:2.9質量ppm、Cr:2.0質量ppm
(3)スポンジチタン(C)不純物濃度
Fe:51質量ppm、Ni:3.3質量ppm
Al:13質量ppm、Cr:6.1質量ppm
(実施例3)
スポンジチタン(A)の採取位置を、以下のように変化させた以外は実施例1と同様の方法で、スポンジチタン(A)を製造した。
(1)スポンジチタン(A)採取位置
上限位置:上端から50mm(0.03H)
下限位置:下端から1200mm(0.60H)
外側限界位置:外側端から150mm(0.09D)
次いで、各スポンジチタン中の不純物元素濃度を測定した。結果は、下記の通りであった。
(1)スポンジチタン(A)不純物濃度
Fe:90質量ppm、Ni:1.3質量ppm
Al:0.3質量ppm、Cr:0.4質量ppm
実施例1、2、比較例1、2の結果をまとめると表1の通りである。揮発分離の対象物である塩化マグネシウムと金属マグネシウムの量Cを少なくすることで、各部位のスポンジチタン中のNi、Al、Cr濃度を低減できる。
Figure 0006924120
実施例1、3の結果をまとめると表2の通りである。スポンジチタン(A)の採取位置に上限位置を設け、上端部を切除することで、Al、Cr濃度を、さらに低減することができる。
Figure 0006924120

Claims (12)

  1. クロール法によるスポンジチタンの製造において、
    真空分離工程において、揮発分離させる金属マグネシウム及び塩化マグネシウムの合計質量C(kg)に対するスポンジチタン塊の質量T(kg)の比(C/T)が、0.40〜0.58であり、
    破砕工程で、スポンジチタン塊の高さをH(mm)、直径をD(mm)としたときに、採取の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.05H〜0.10Hの範囲内に、採取の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より下の部分及び該半径方向の外側限界位置より外の部分を切断除去して、残りの部分を採取すること、
    を特徴とするスポンジチタンの製造方法。
  2. 前記破砕工程で、前記採取の上下方向の下限位置及び前記採取の半径方向の外側限界位置を定めることに加えて、採取の上下方向の上限位置を、スポンジチタン塊の上端から0.02H〜0.05Hの範囲内に定め、前記上下方向の下限位置より下の部分及び前記半径方向の外側限界位置より外の部分を切断除去することに加えて、該上下方向の上限位置より上の部分を切断除去して、残りの部分を採取することを特徴とする請求項1記載のスポンジチタンの製造方法。
  3. 前記破砕工程で、採取対象の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.40H〜0.65Hの範囲内に、採取対象の上下方向の上限位置を、スポンジチタン塊の上端から0.02H〜0.05Hの範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より上側、且つ、該上下方向の上限位置より下側、且つ、該半径方向の外側限界位置より内側の部分を、採取対象として採取して、Fe含有量が10〜200質量ppm、Ni含有量が10質量ppm以下、Cr含有量が1.0質量ppm以下、且つ、Al含有量が1.0質量ppm以下であるスポンジチタン(A)を得ることを特徴とする請求項1記載のスポンジチタンの製造方法。
  4. 前記破砕工程で、上下方向でスポンジチタン塊の下端から0.70Hの位置より上側、且つ、上下方向でスポンジチタン塊の上端から0.10Hの位置より下側、且つ、半径方向でスポンジチタン塊の外側端から0.15Dの位置より内側の部分が、少なくとも採取対象に含まれるように採取して、Fe含有量が10〜200質量ppm、Ni含有量が10質量ppm以下、Cr含有量が1.0質量ppm以下、且つ、Al含有量が1.0質量ppm以下であるスポンジチタン(A)を得ることを特徴とする請求項1記載のスポンジチタンの製造方法。
  5. 前記破砕工程で、採取対象の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.10H〜0.20Hの範囲内に、採取対象の上下方向の上限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.40H〜0.65Hの範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より上側、且つ、該上下方向の上限位置より下側、且つ、該半径方向の外側限界位置より内側の部分を、採取対象として採取して、Fe含有量が10質量ppm以下、Ni含有量が3.0質量ppm以下、Cr含有量が3.0質量ppm以下、且つ、Al含有量が3.0質量ppm以下であるスポンジチタン(B)を得ることを特徴とする請求項1記載のスポンジチタンの製造方法。
  6. 前記破砕工程で、上下方向でスポンジチタン塊の下端から0.20Hの位置より上側、且つ、上下方向でスポンジチタン塊の下端から0.45Hの位置より下側、且つ、半径方向でスポンジチタン塊の外側端から0.15Dの位置より内側の部分が、少なくとも採取対象に含まれるように採取して、Fe含有量が10質量ppm以下、Ni含有量が3.0質量ppm以下、Cr含有量が3.0質量ppm以下、且つ、Al含有量が3.0質量ppm以下であるスポンジチタン(B)を得ることを特徴とする請求項1記載のスポンジチタンの製造方法。
  7. 前記破砕工程で、採取対象の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.05H〜0.10Hの範囲内に、採取対象の上下方向の上限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.15H〜030Hの範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.12Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より上側、且つ、該上下方向の上限位置より下側、且つ、該半径方向の外側限界位置より内側の部分を、採取対象として採取して、Fe含有量が10〜200質量ppm、Ni含有量が10質量ppm以下、Cr含有量が10質量ppm以下、且つ、Al含有量が10質量ppm以下であるスポンジチタン(C)を得ることを特徴とする請求項1記載のスポンジチタンの製造方法。
  8. 前記破砕工程で、採取対象の上下方向の下限位置を、スポンジチタン塊の下端から0.05H〜0.10Hの範囲内に、採取対象の半径方向の外側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.05D〜0.10Dの範囲内に、採取対象の半径方向の内側限界位置を、スポンジチタン塊の外側端から0.12D〜0.20Dの範囲内に定め、該上下方向の下限位置より上側、且つ、該上下方向の上限位置より下側、且つ、該半径方向の外側限界位置より内側、且つ、該半径方向の内側限界位置より外側の部分を、採取対象として採取して、Fe含有量が10〜200質量ppm、Ni含有量が質量10ppm以下、Cr含有量が10質量ppm以下、且つ、Al含有量が10質量ppm以下であるスポンジチタン(D)を得ることを特徴とする請求項1記載のスポンジチタンの製造方法。
  9. 還元工程を行った後、前記真空分離工程を行う前に、反応容器内の金属マグネシウム及び塩化マグネシウムを液相状態で抜き出す液相抜出操作を5〜10回行うことを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載のスポンジチタンの製造方法。
  10. 前記液相抜出操作において、前の液相抜出操作を終了した後、次の液相抜出操作を開始するまでの間隔を、平均2時間以上6時間以下とすることを特徴とする請求項9記載のスポンジチタンの製造方法。
  11. 還元工程を行う反応容器の内面材質中のNi含有量が0.04質量%以下であることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項記載のスポンジチタンの製造方法。
  12. 還元工程において、四塩化チタンの還元に用いる金属マグネシウム中のNi含有量が0.7質量ppm以下且つAl含有量が70質量ppm以下であることを特徴とする請求項1〜11いずれか1項記載のスポンジチタンの製造方法。
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