JP7354393B1 - スポンジチタンの製造方法およびチタン成形物の製造方法 - Google Patents

スポンジチタンの製造方法およびチタン成形物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クロール法を利用したスポンジチタンの製造方法であるにも拘わらず、得られるスポンジチタン中の酸素濃度を150質量ppm以下と低減し得る新規なスポンジチタンの製造方法を提供する。【解決手段】クロール法を利用してスポンジチタンを製造する方法であって、還元反応により反応容器内に副生した塩化マグネシウムを真空分離した後、前記反応容器内の真空度を100Pa以下とした状態で、前記反応容器内に体積基準で純度3N以上の窒素ガスを導入することを含み、酸素濃度が150質量ppm以下であるスポンジチタンを得るスポンジチタンの製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、スポンジチタンの製造方法およびチタン成形物の製造方法
に関する。
従来より、半導体用配線材料として、高純度の高融点金属材料が使用されており、特にチタンは優れた比強度、加工性および耐食性を有することから、広く使用されている。
一方、最近の半導体メモリーの高密度化にともない、半導体の配線層やバリヤ層をスパッタリング法により形成するために使用されるチタンは高純度であることが要求され、特に含有される酸素濃度については一層の低減が要請されている。
上記チタンを製造する方法として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の方法が提案されている。
特開平3-215633号公報 特開平7-173551号公報
具体的には、従来より、金属チタン中の酸素濃度は250質量ppm以下であることが要求されていたが、近年においては、金属チタン中の酸素濃度が、200質量ppm以下、特に160質量ppm以下であることが求められるようになっている。
上記酸素濃度は低濃度である程好ましいことから、今後の開発動向を見据えた場合、酸素濃度150質量ppm以下である金属チタンが望まれる。
高純度の金属チタンの製造方法として、従来、多くの製造方法が提案されるようになっている。
例えば、高純度チタン材の製造方法としては、特許文献1や特許文献2に開示されているヨード法を利用した方法や、四塩化チタンをNaで還元して金属チタンを得るハンター(Hunter)法を利用した方法が知られている。
一方、金属チタンの製造方法としては、四塩化チタンを金属マグネシウムで還元して金属チタンを得るクロール(Kroll)法を利用した方法が知られている。
クロール法を利用した金属チタンの製造方法においては、典型的には、以下の各工程を施すことによりスポンジチタンを製造して各種形態に成形している。
(1)チタン鉱石を塩素ガスで塩化し、蒸留・精製して四塩化チタン(TiCl)を得る塩化蒸留工程。
(2)塩化蒸留工程で得られた四塩化チタンを金属マグネシウムで還元して塊状のスポンジチタン(Ti)を得る還元反応を施すとともに副生した塩化マグネシウム(MgCl)を真空分離する還元分離工程。
(3)上記還元反応により得られた塊状のスポンジチタンを破砕・整粒してスポンジチタン粒状物を得る破砕工程。
(4)上記還元反応により副生した塩化マグネシウムを電気分解して塩素と金属マグネシウムを得る電解工程。
なお、得られた塩素は塩化蒸留工程へ、金属マグネシウムは還元分離工程へ、それぞれ送られリサイクルされる。
(5)得られたスポンジチタン粒状物をインゴットに溶解する溶解工程。
なお、得られたインゴットは、圧延加工して各種金属材料の用途に供する。
しかしながら、金属チタンの表面には酸化皮膜が形成され易く、特にクロール法で得られるスポンジチタンは多数の空隙を有する多孔質なものであることから、外表面のみならず内部の孔表面にも酸化皮膜を形成して、単位体積当たりの酸化物量(単位体積当たりの酸素量)が高いものであることが知られている。
このような状況下、本発明は、クロール法を利用したスポンジチタンの製造方法であるにも拘わらず、得られるスポンジチタン中の酸素濃度を150質量ppm以下に低減し得る新規なスポンジチタンの製造方法を提供するとともに、チタン成形物の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記技術課題を解決すべく、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、クロール法を利用してスポンジチタンを製造する際、還元反応により反応容器内に副生した塩化マグネシウムを真空分離した後、反応容器内を減圧した状態で上記反応容器内に窒素ガスを導入し、反応容器内に生成した塊状のスポンジチタンの表面に窒化皮膜を形成する方法を着想した。
特に、本発明者等の検討によれば、上記窒素ガス導入前における反応容器内の真空度を100Pa以下に制御するとともに、反応容器内に導入する窒素ガスの純度を容量基準で3N(スリーナイン(99.9容量%))以上とすることにより、上記塊状のスポンジチタンの表面に好適に窒化皮膜を形成し得ること、上記窒化皮膜が形成された塊状のスポンジチタンは、酸化皮膜の形成が抑制され、酸素濃度を低減し得ることを見出して、本知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、
(1)クロール法を利用してスポンジチタンを製造する方法であって、
還元反応により反応容器内に副生した塩化マグネシウムを真空分離した後、
前記反応容器内の真空度を100Pa以下とした状態で、前記反応容器内に体積基準で純度3N以上の窒素ガスを導入することを含み、
酸素濃度が150質量ppm以下であるスポンジチタンを得る
ことを特徴とするスポンジチタンの製造方法、
(2)前記反応容器内の圧力が0.8atm以上となるように前記窒素ガスを導入する上記(1)に記載のスポンジチタンの製造方法、
(3)上記(1)または(2)に記載の方法で得られたスポンジチタンを加工または鋳造することを特徴とするチタン成形物の製造方法
を提供するものである。
本発明によれば、クロール法を利用したスポンジチタンの製造方法であるにも拘わらず、得られるスポンジチタン中の酸素濃度を150質量ppm以下と低減し得る新規なスポンジチタンの製造方法を提供するとともに、チタン成形物の製造方法を提供することができる。
先ず、本発明に係るスポンジチタンの製造方法について説明する。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法は、クロール法を利用してスポンジチタンを製造する方法であって、
還元反応により反応容器内に副生した塩化マグネシウムを真空分離した後、
前記反応容器内の真空度を100Pa以下とした状態で、前記反応容器内に体積基準で純度3N以上の窒素ガスを導入することを含み、
酸素濃度が150質量ppm以下であるスポンジチタンを得る
ことを特徴とするものである。
なお、以下の説明において、「還元反応」とは、特に断らない限り、上述したクロール法において還元分離工程で施される金属マグネシウムによる四塩化チタンの還元反応を意味する。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法においては、クロール法を利用してスポンジチタンを製造する。
ここで、クロール法とは、上述したように、四塩化チタンを金属マグネシウムで還元して金属チタンを得る方法を意味する。
上述したように、本発明において、典型的には、
(1)チタン鉱石を塩素ガスで塩化し、蒸留・精製して四塩化チタン(TiCl)を得る塩化蒸留工程を施した後、
(2)得られた四塩化チタンを金属マグネシウムで還元して塊状のスポンジチタン(Ti)を得る還元反応を施すとともに副生した塩化マグネシウム(MgCl)を真空分離する還元分離工程とが順次施される。
なお、真空分離の際には、残留した金属マグネシウムも分離されることがある。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法において、クロール法における上記(1)塩化蒸留工程としては、公知の方法を採用することができ、特に制限されない。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法において、クロール法における上記(2)還元分離工程で、還元反応により四塩化チタンを金属マグネシウムで還元する方法は、公知のクロール法を採用する限り、手順については特に限定されない。
反応容器内に生成するスポンジチタンは塊状であるが、その後破砕等することで粒状のスポンジチタンを得ることができる。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法において、四塩化チタンを金属マグネシウムで還元する方法としては、例えば、予め溶融マグネシウムを装入した反応容器内に四塩化チタンを滴下し、上記溶融マグネシウムと反応させることにより、四塩化チタンをマグネシウムで還元してスポンジチタンを生成する方法が挙げられる。
上記還元方法として、具体的には、例えば、還元反応で用いる溶融マグネシウムを反応容器内に全量装入した状態で、四塩化チタンを滴下し、副生する塩化マグネシウムを反応容器の底部付近から抜き出しながら、スポンジチタンを生成させる方法を挙げることができる。
また、上記還元方法として、具体的には、例えば、還元反応で用いる溶融マグネシウム全量のうち30~90質量%程度の量を反応容器内に装入した状態で、四塩化チタンを滴下し、副生する塩化マグネシウムを反応容器の底部付近から抜き出すとともに、上記還元反応で用いる溶融マグネシウムの残量のうちその一部ないし全部を上記反応容器内に補充し、反応容器内に溶融マグネシウムを複数回に分けて加えつつ、スポンジチタンを生成する方法等が挙げられる。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法においては、還元反応により副生した塩化マグネシウムを真空分離した後、反応容器内の真空度を100Pa以下とする。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法においては、還元反応により反応容器内に副生した塩化マグネシウムを真空分離した後、反応容器内の真空度を、絶対圧で、100Pa以下(0~100Pa)とし、80Pa以下(0~80Pa)とすることが好ましく、50Pa以下(0~50Pa)とすることがより好ましい。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法において、上記反応容器内の真空度を100Pa以下に制御することにより、還元反応により使用した雰囲気ガス(通常は、Arガス等)を低減・除去し、(以下に説明する)窒素ガスの純度を十分に維持した状態でスポンジチタンの表面に接触させることができる。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法においては、還元反応により反応容器内に副生した塩化マグネシウムを真空分離した後、反応容器内の真空度を上記のとおり所定の圧力以下に減圧した状態で反応容器内に生成したスポンジチタンを冷却処理することが好ましい。
上記冷却処理は、反応容器内のスポンジチタンの温度が、250℃以下になるように行うことが好ましく、100℃以下になるように行うことがより好ましく、50~100℃になるように行うことがさらに好ましい。
上記冷却処理時における処理時間(冷却処理時間)は、反応容器内のスポンジチタンの温度が所定温度になれば特に制限されず、通常は、60時間以上であり、60~120時間がより適当であり、80~100時間がさらに適当である。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法においては、還元反応により反応容器内に副生した塩化マグネシウムを真空分離した後、反応容器内に生成したスポンジチタンを所定温度に冷却することにより、後述する窒素ガス導入時に窒化皮膜の厚さを好適な厚さに容易に制御することができる。
また、本発明に係るスポンジチタンの製造方法においては、還元反応によって反応容器内に副生した塩化マグネシウムを真空分離した後、反応容器内に生成したスポンジチタンを所定温度に冷却することにより、後述するように反応容器から取り出したスポンジチタンの中心部を切断し、採取する際に、切断面に形成される酸化皮膜の膜厚を薄く制御することができるとともに、その後の内部への酸素の供給が制限されるため、酸素含有量の上昇を好適に抑制することができる。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法においては、上記反応容器内の真空度を100Pa以下とした状態で、上記反応容器内に体積基準で純度3N(スリーナイン(99.9容量%))以上の窒素ガスを導入してスポンジチタンの表面に窒化皮膜を形成する。
上記反応容器内に導入する窒素ガスの純度は、体積基準で3N(スリーナイン(99.9体積%))以上であり、体積基準で4N(フォーナイン(99.99体積%))以上であることが好ましく、体積基準で5N(ファイブナイン(99.999体積%))以上であることがより好ましい。
上記反応容器内に導入する窒素ガスの純度の上限は、特に制限されない。通常は酸素低減の観点から、体積基準で5N(ファイブナイン(99.999体積%))を適用すればよい。
上記反応容器内に導入する窒素ガスの純度が、体積基準で3N(スリーナイン)以上であることにより、反応容器内に形成されたスポンジチタンの表面(外表面および内部に分散する孔の内部)に窒化皮膜を容易に形成することができる。一方、当該窒素ガスの純度が、体積基準で3N未満である場合には、窒素ガス中の不純物である酸素によりスポンジチタン表面の酸化が促進され、あるいはスポンジチタン表面の窒化皮膜の形成の進行を阻害するので好ましくない。
なお、本出願書類において、窒素ガスの純度が体積基準でxN(xは自然数)であるとは、常温(20℃)下における窒素ガスの体積濃度(体積%)を表す数字のうち、整数部分二桁の数値から小数点以下の数値にかけて「9」が連続する場合に、整数部分と小数点以下の部分の数値において「9」が連続する数を意味し、xが大きな数字である程高濃度であることを意味する。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法においては、上記反応容器内の圧力が、0.8atm以上となるように窒素ガスを導入することが好ましく、0.8~1.5atmとなるように窒素ガスを導入することがより好ましく、1.0~1.5atmとなるように窒素ガスを導入することがさらに好ましい。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法においては、上記のとおり窒素ガスの圧力を調整することにより、反応容器内に形成されたスポンジチタンの外表面のみならずスポンジチタン内部に分布する孔の内部にも窒素ガスを圧入し、スポンジチタンの表面(外表面および内部に分布する孔の内側表面)全体に効果的に窒化皮膜を形成することができる。
一方、上記反応容器内の圧力が、0.8atm未満の場合には、特にスポンジチタン内部に分布する孔の内部への窒素ガスの圧入が比較的不十分となり、好適な窒化被膜の形成が困難となる。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法において、上記反応容器内に窒素ガスを導入して反応容器内のスポンジチタンを処理する時間は、特に制限されない。本発明において、上記反応容器内の圧力が、所望圧力以上となるまで窒素ガスを導入する必要があり、この時間は反応容器のサイズやガス導入ポンプの性能などの装置環境に応じて適宜決定すればよい。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法において、上記反応容器内の圧力が、0.8atm以上となるまで窒素ガスを導入することにより、スポンジチタンの表面(外表面および内部に分布する孔の内側表面)に窒化皮膜を好適に形成することができる。
上記塊状のスポンジチタンは、上記反応容器から取り出され大気中に暴露された際に、表面に形成された窒化皮膜上にさらに酸化皮膜が形成されると考えられるが、上記窒化皮膜によって酸化皮膜の形成が効果的に抑制されることから、得られるスポンジチタン中の酸素濃度の上昇が抑制され、結果として当該酸素濃度が低減されると考えられる。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法においては、上記窒素ガスにより処理されたスポンジチタンが上記反応容器内から取り出される。
本発明に係る製造方法で得られるスポンジチタンは、酸素濃度が150質量ppm以下であり、酸素濃度が145質量ppm以下であることが好ましく、140質量ppm以下であることがさらに好ましい。一方、スポンジチタン中の酸素濃度は少ない方が好ましいが、例えば、当該酸素濃度の下限値を120質量ppm以上としてもよい。
本発明に係る製造方法で得られたスポンジチタンは、上記反応容器内から塊状物として取り出された後、適宜、破砕、整粒して粒状物としてもよい。
なお、本出願書類において、上記スポンジチタンの酸素濃度は、以下の方法により測定される値を意味する。
上記反応容器から取り出した円筒状の塊であるスポンジチタンの中央部分を切り出し、破砕して粒状とした後、その一部を溶融、鋳造して測定試料とし、当該測定試料を酸素・窒素・アルゴン分析装置(LECO社製TC-436AR)を用いて、不活性ガス溶融-赤外線吸収法により測定する。
具体的には、ヘリウム気流中で黒鉛るつぼ中に上記測定試料を投入し、インパルス加熱方式によって加熱融解し、試料中の酸素をCOとして抽出する。COは加熱した酸化銅でCOに酸化させて赤外線吸収検出器で測定する。
本発明によれば、クロール法によるスポンジチタンの製造方法であるにも拘わらず、得られるスポンジチタン中の酸素濃度を150質量ppm以下と低減し得る新規なスポンジチタンの製造方法を提供することができる。
次に、本発明に係るチタン成形物の製造方法について説明する。
本発明に係るチタン成形物の製造方法は、本発明に係る製造方法で得られたスポンジチタンを加工または鋳造することを特徴とするものである。
スポンジチタンを加工または鋳造する方法としては、公知の方法を採用することができる。
本発明に係る製造方法で得られるチタン成形物としては、種々のチタン鋳造品またはチタン加工品を挙げることができる。
上記チタン鋳造品としては、例えば、インゴット、ビレット、スラブ等が挙げられ、上記チタン加工品としては、例えば、チタン板、チタン条、チタン棒、チタン線、チタンターゲット材等が挙げられる。
本発明に係るチタン成形物の製造方法としては、スポンジチタンからチタン粉末を調製し、得られたチタン粉末を使用して粉末冶金法によりチタン加工品を製造することもできる。
本発明によれば、クロール法を利用したスポンジチタンの製造方法であるにも拘わらず、得られるスポンジチタン中の酸素濃度を150質量ppm以下と低減し得る新規な製造方法で得られたスポンジチタンを用いて、酸素含有量が抑制されたチタン成形物を製造することができる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
まず、精製した四塩化チタン(以下、精製四塩化チタン)を使用して、以下に示す還元反応(クロール法)を実施した。
還元炉内に設置されたクラッド鋼製の反応容器内に、Ar雰囲気下、金属マグネシウムを装入し、炉内を加熱することにより上記反応容器内の温度を約800℃に加熱した後、反応容器内に装入された液状の金属マグネシウムに対し上記精製四塩化チタンを連続的に滴下することにより金属チタンを析出させ、上記反応容器内に円筒状のスポンジチタンを形成した。
次いで、上記反応容器内を真空引きして、上記反応容器内に副生した塩化マグネシウム(MgCl)を真空分離した。
次いで、上記真空引きした状態を維持したまま、上記反応容器内に生成したスポンジチタンが50℃になるまで冷却した(50℃まで冷却した時点における反応容器内の真空度は50Paであった)。
引き続き、上記反応容器内に純度が5N(ファイブナイン、体積基準)の窒素ガスを反応容器内の圧力が1atmになるまで継続して導入した。
その後、上記反応容器の蓋部を開放して、円筒状スポンジチタン(重量約8t)を反応容器内から大気中に取り出し、取り出した円筒状スポンジチタンについて、酸素・窒素・アルゴン分析装置(LECO社製TC-436AR)を用いて、不活性ガス溶融-赤外線吸収法により酸素含有量を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2~実施例5)
実施例1と同じ条件で実施した還元反応により反応容器内に副生した塩化マグネシウム(MgCl)を真空分離した後、窒素ガス導入前における反応容器内の真空度、反応容器に導入した窒素ガスの純度、窒素ガス導入後の反応容器内の圧力を表1に記載したとおり変更した以外は、実施例1と同様に円筒状スポンジチタン(重量約8t)を作製した。
得られた円筒状スポンジチタンの酸素含有量を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
(比較例1~比較例3)
実施例1と同じ条件で実施した還元反応により反応容器内に副生した塩化マグネシウム(MgCl)を真空分離した後、窒素ガス導入前における反応容器内の真空度を表2に記載したとおり変更した以外は、実施例1と同様に比較用円筒状スポンジチタン(重量約8t)を作製した。
得られた比較用円筒状スポンジチタンの酸素含有量を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007354393000001
表1より、実施例1~実施例5においては、クロール法を利用してスポンジチタンを製造するにあたり、還元反応により反応容器内に副生した塩化マグネシウムを真空分離した後、上記反応容器内の真空度を100Pa以下とした状態で、上記反応容器内に純度3N(スリーナイン、体積基準)以上の窒素ガスを導入し、次いでこれを取り出すことにより、クロール法によるスポンジチタンの製造方法であるにも拘わらず、酸素濃度が150質量ppm以下であるスポンジチタンが得られることが分かる。
一方、表1より、比較例1においては、クロール法によりスポンジチタンを製造するにあたり、還元反応により反応容器内に副生した塩化マグネシウムを真空分離した後、窒素ガス導入前における反応容器内の真空度が100Pa超であることにより、得られるスポンジチタンの酸素含有量が150質量ppmを超えることが分かる。
本発明によれば、クロール法を利用したスポンジチタンの製造方法であるにも拘わらず、得られるスポンジチタン中の酸素濃度を150質量ppm以下に低減し得る新規なスポンジチタンの製造方法を提供するとともに、チタン成形物の製造方法を提供することができる。

Claims (2)

  1. クロール法を利用してスポンジチタンを製造する方法であって、
    還元反応により反応容器内に副生した塩化マグネシウムを真空分離した後、
    前記反応容器内の真空度を100Pa以下とした状態で、前記反応容器内に体積基準で純度3N以上の窒素ガスを前記反応容器内の圧力が0.8atm以上となるように導入することを含み、
    酸素濃度が150質量ppm以下であるスポンジチタンを得る
    ことを特徴とするスポンジチタンの製造方法
  2. 請求項1に記載の方法で得られたスポンジチタンを加工または鋳造することを特徴とするチタン成形物の製造方法。
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