JP2020180380A - チタン粉の製造方法、スポンジチタンの製造方法、チタン粉および、ガス収集装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この場合、前記別種粉末は、金属マグネシウム及び塩化マグネシウムのうちの一種以上を含むことがある。
またこの場合、前記酸を、硝酸、塩酸及び硫酸からなる群から選択される少なくとも一種とすることが好ましい。
またここで、この発明のチタン粉は、平均粒子径d50が2.5μm以下であり、90%粒子径d90が3.0μm〜12.0μmであることが好ましい。
この発明の一の実施形態に係るチタン粉の製造方法は、金属チタン(Ti)を含有するチタン粉を製造する方法であって、金属製還元反応容器内で四塩化チタンを還元する際に、金属製還元反応容器の内部空間から粉体を含む内部ガスを収集するガス収集工程と、その内部ガスに存在するチタン粉を含む粉体を、該内部ガスから分離する粉体分離工程とを有する。
この還元プロセスでは、一般に、金属製還元反応容器内に四塩化チタンを供給し、金属製還元反応容器内で四塩化チタンを還元してスポンジチタン塊が製造される。
金属製還元反応容器1は通常、図示は省略するが、その周囲に加熱機構や冷却機構等が設けられており、それにより内部が適切な温度に調整される。金属製還元反応容器1は、ステンレスもしくは鋼等からなるものとすることが一般的である。
還元プロセスの一例について詳説すると、はじめに、内部を所定の高温に維持した金属製還元反応容器1内に、液体状の溶融金属マグネシウムを貯留させる。そして、この溶融金属マグネシウムより上方側から、その浴面Sb上に、四塩化チタンを滴下すること等により供給する。
TiCl4(気、液)+Mg(液)→Ti(固)+MgCl2(液) (a)
TiCl4(気)+Mg(気)→Ti(固)+MgCl2(液) (b)
一方、還元プロセスで上記の反応が進行して、還元プロセスの終盤になると、浴中の金属マグネシウムが消費されてその量が減少する。また、図1に例示するように、浴中でスポンジチタン塊TSが大きく成長し、このスポンジチタン塊TSの頂部が、四塩化チタンを滴下している浴面Sbに達することがある。これによって、金属マグネシウムがスポンジチタン塊TSにトラップされやすくなるので、金属マグネシウムの量の減少とも相俟って、先述した浴流れによる金属マグネシウムの浮上が妨げられ、金属マグネシウムが浴面Sbに到達するまでに時間がかかる。その結果として、浴面Sb付近での金属マグネシウムによる四塩化チタンの還元反応の速度が低下することがある。それ故に、終盤では、金属製還元反応容器1内への四塩化チタンの供給速度を低下させる必要がある場合がある。
この発明の一の実施形態に係るチタン粉の製造方法は、金属製還元反応容器1内で四塩化チタンを還元している間に、その内部空間Siから、粉体を含む内部ガスGiを得るガス収集工程を有する。そして、この内部ガスGiには、チタン粉を含む粉体が存在するので、ガス収集工程の後に、当該粉体を内部ガスGiから分離する粉体分離工程を行う。
特に、反応序盤及び中盤で、内部空間Siから内部ガスGiを収集することが好ましい。これにより、後述するような小さな粒径のチタン粉を製造しやすくなる。ここで、より具体的には、反応序盤とは、四塩化チタンの累計供給量(質量基準)が総供給予定量の0%〜64%のタイミングを指し、反応中盤とは、65%〜75%のタイミングを指すこととしてよい。したがって、内部ガスGiは、四塩化チタンの累計供給量が75%になるまで収集してよい。
図示のガス収集装置7は、内部空間Siに連通し、内部空間Siからの内部ガスGiを通すガス流路が形成された管状流路部材としてのガス採取管6と、そのガス流路の一部に設けられて、内部ガスGi中の粉体を捕集する粉体捕集部6aとを有するものである。
これにより、液体を用いない乾式分離として、内部ガスGiがガス採取管6の粉体捕集部6aを通過するに際し、その粉体捕集部6aで内部ガスGi中の粉体が捕集される。
このときに用いる酸としては、硝酸、塩酸及び硫酸からなる群から選択される少なくとも一種とすることができるが、なかでも、硝酸が、酸化性の酸であることから好ましい。酸化性の酸であれば、チタン粉の表面に安定な酸化被膜が形成されるためである。塩酸もしくは硫酸を用いる場合は、希薄(たとえば濃度5質量%以下)とし、できる限り常温を保持することが望ましい。
このようなチタン粉の製造方法は、金属製還元反応容器1内での四塩化チタンの還元による、スポンジチタン塊の製造とともに行うことが好適である。言い換えれば、金属製還元反応容器1内で四塩化チタンを還元して、スポンジチタン塊の製造とともにチタン粉を製造できる。これにより、四塩化チタンの還元により、スポンジチタン塊のみならず、チタン粉も製造することができる。
以上に述べたようにして製造されたチタン粉は、理由は必ずしも明らかではないが、その粒径が、他の製造方法によるものに比して小さいことが解かった。
具体的には、チタン粉の平均粒子径d50は、5.0μm以下であり、好ましくは3.0μm以下であり、より好ましくは2.5μm以下である。このような小径のチタン粉は、所定の既存の用途又は、新たな用途で有効に用いることができる可能性がある。一方、かかるチタン粉の平均粒子径d50は、たとえば1.0μm以上、典型的には1.5μm以上となることがある。
チタン粉に含まれる可能性のある不純物としては、鉄、マグネシウム、塩素、水素及び酸素からなる群から選択される少なくとも一種がある。これらの不純物の含有量は、複数種の場合はそれらの合計で、一般に3質量%以下、場合によっては1質量%以下であることがある。これらの元素のうち、鉄およびマグネシウム濃度は誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−OES)、塩素濃度は硝酸銀滴定法、水素濃度は不活性ガス融解−ガスクロマトグラフ法、酸素濃度は不活性ガス融解−赤外線吸収法によってそれぞれ測定できる。
一例として、クロール法におけるスポンジチタンの製造方法は、還元プロセスと、真空分離プロセスと、破砕プロセスとを含む。還元プロセスでは、先に述べたように、金属製還元反応容器1内に不活性条件下で装入された溶融金属マグネシウムに対して、先述した四塩化チタンを滴下し、スポンジチタン塊を生成する。次の真空分離プロセスでは、金属製還元反応容器1内から、副生物である溶融塩化マグネシウムと、残存する場合は溶融金属マグネシウムとを金属製パイプを介して抜き出した後、スポンジチタン塊に対して真空分離処理を施す。破砕プロセスでは、スポンジチタン塊を破砕する。これにより、スポンジチタンが得られる。
また、滴下量25%時点の反応容器A及びB、滴下量67%時点の反応容器Aならびに、滴下量92%時点の反応容器Aのそれぞれから得られた酸処理工程後の粉体の平均粒子径d50、10%粒子径d10及び90%粒子径d90を、表2に示す。粒度に関して、一次粒子は平均2μm程度であった。10μm〜20μmの二次粒子も存在していた。なお、滴下量92%時点のものは二次粒子の割合が多かった。
2 容器本体
3 蓋部材
4 原料供給管
5 副生物排出管
6 ガス採取管(管状流路部材)
6a 粉体捕集部
7 ガス収集装置
8 液体接触部
9 ノズル部
10 液体循環パイプ
11 ガス排出管
12 ガス供給管
Sb 浴面
TS スポンジチタン塊
Gi 内部ガス
Ga 不活性ガス
Claims (9)
- 金属製還元反応容器内で四塩化チタンを還元するプロセスにおいて、前記金属製還元反応容器の内部空間から粉体を含む内部ガスを収集するガス収集工程と、
前記内部ガスに存在するチタン粉を含む粉体を該内部ガスから分離する粉体分離工程と、を有する、チタン粉の製造方法。 - 粉体分離工程で、前記内部ガスの移送中に該内部ガス中の前記粉体を捕集する乾式分離を用いる、請求項1に記載のチタン粉の製造方法。
- 粉体分離工程の後、前記粉体を酸で処理し、チタン粉と異なる別種粉末の少なくとも一部を溶解して除去する酸処理工程をさらに有する、請求項1又は2に記載のチタン粉の製造方法。
- 前記別種粉末が、金属マグネシウム及び塩化マグネシウムのうちの一種以上を含む、請求項3に記載のチタン粉の製造方法。
- 前記酸を、硝酸、塩酸及び硫酸からなる群から選択される少なくとも一種とする、請求項3又は4に記載のチタン粉の製造方法。
- 前記金属製還元反応容器内での四塩化チタンの還元によるスポンジチタン塊の製造とともに行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載のチタン粉の製造方法。
- スポンジチタンを製造する方法であって、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のチタン粉の製造方法を伴う、スポンジチタンの製造方法。 - 四塩化チタンを還元する金属製還元反応容器の内部空間から、内部ガスを収集するガス収集装置であって、
前記内部空間に連通し、該内部空間からの内部ガスを通すガス流路と、前記ガス流路の一部に設けられて、内部ガス中の粉体を捕集する粉体捕集部とを有してなる、ガス収集装置。 - 金属製還元反応容器に接続され、内部に前記ガス流路が形成された管状流路部材を有し、前記管状流路部材の軸線方向の一部に、前記粉体捕集部が設けられてなる、請求項8に記載のガス収集装置。
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