JP2008137870A - シリコン塩化物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】流動層炉で、金属シリコンからシリコン塩化物を製造するに際し、同炉のサイクロンからのキャリオーバー、およびそれに伴うSi原料成分の損失の少ないシリコン塩化物の製造方法を提供する。
【解決手段】金属シリコン粉末を流動層内で塩化水素や、水素および塩化珪素と反応させてシリコン塩化物を製造する方法において、原料として用いる金属シリコン粉末の酸素濃度を0.2質量%以下または炭素濃度を0.1質量%以下と規定する。酸素濃度を0.2質量%以下とし、かつ炭素濃度を0.1質量%以下とすれば、効果はより顕著である。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属シリコン粉末と、塩化水素を含有するガスまたは水素と塩化珪素を含有するガスとを流動層内で反応させるシリコン塩化物の製造方法であって、特に、酸素濃度および/または炭素濃度の低い金属シリコン粉末を原料として用いるシリコン塩化物の製造方法に関する。なお、「シリコン塩化物」とは、トリクロロシランを主成分とし、四塩化珪素、ジクロロシラン等を含むクロロシラン類を意味する。
シリコン塩化物は、光ファイバー、太陽電池用および半導体用多結晶シリコン等の原料として使用されており、通常、流動層型反応装置(流動層炉)を用い、金属シリコンと塩化水素、または金属シリコンと四塩化珪素および水素を反応させることにより製造されている。
これらいずれの用途においても原料として高純度のシリコン塩化物が必要とされるため、反応により生成した気体状のシリコン塩化物は冷却、液化され、蒸留操作により不純物が分離、除去される。特に、半導体用多結晶シリコンの製造においては、超高純度のシリコン塩化物が必要とされるので、蒸留には多数段の蒸留塔が用いられる。
前記の反応後のガス中には、生成したトリクロロシランや副生物としての四塩化珪素、水素、さらに未反応ガス等の他、金属シリコンの微粉や、金属シリコンに含まれるAl、Fe等が塩化されて発生する固体状およびガス状の物質が含まれている。
反応後のガスは冷却され、ガス中のトリクロロシラン(沸点:31.8℃)、四塩化珪素(沸点:57.6℃)等の沸点の低いシリコン塩化物(クロロシラン類)は凝縮液化する。凝縮液は蒸留塔へ導かれ、四塩化珪素、ジクロロシラン等が分離、除去されて高純度のトリクロロシランが得られる。液化しない水素などは別途回収される。
一方、前記反応後のガス中に含まれる金属シリコンの微粉や塩素化されて生じた塩化アルミニウム、塩化鉄等の固体状物質は、冷却前にサイクロンやフィルターで除去されるか、またはそのままシリコン塩化物の凝縮液中に取り込まれる。
凝縮液中に残留した微粉や塩化アルミニウム、塩化鉄等の不純物は次第に濃化し、過飽和になって、蒸留塔のリボイラー(蒸発器)に残渣として蓄積される。そのため、熱交換効率(この場合は、蒸発効率)が悪化するので頻繁な清掃が必要となる。また、前記不純物は蒸留塔周辺の配管の内壁等に析出、固着し、場合によっては配管の閉塞を生じさせる。
なお、蒸留塔のリボイラーに蓄積する残渣や、配管の内壁等の析出物や閉塞物の主成分は塩化アルミニウム(AlCl3)で、原料である金属シリコン中に含まれるAlが塩化水素または四塩化珪素により塩化され生成したものである。
そのため、従来から、これら不純物を蒸留塔の塔底から抜き出す方法が採られる場合が多かった。しかし、この塔底から抜き出した液中にはシリコン塩化物(クロロシラン類)が含まれているので、有用成分の損失が大きく、また、抜き出し後の加水分解処理等に要する費用も嵩み、経済的にも不利である。
この問題に対しては、特許文献1に、前記蒸留工程において、塩化アルミニウムを含有するシリコン塩化物凝縮液からシリコン塩化物を蒸発させて回収し、シリコン塩化物凝縮液中の塩化アルミニウムが濃縮した塩化アルミニウム濃縮液を蒸留塔から抜き出し、前記塩化アルミニウム濃縮液中に残存するシリコン塩化物を回収するとともに、残留する再濃縮物を系外へ排出するシリコン塩化物の製造方法が開示されている。この方法によれば、反応炉から冷却工程を経て蒸留塔に達する間の配管等、および蒸留工程で生じるリボイラーや周辺の配管等における塩化アルミニウムの析出、配管の閉塞を生じさせずに、高純度のシリコン塩化物を製造することができる。
しかし、一方で、前記の流動層炉のサイクロンからのキャリオーバーが多く、その中には塩化物など反応性が高い物質が付着しており、これらを無害化して環境負荷を小さくするため、キャリオーバーの処理に多大なコストを要している。また、キャリオーバーに含まれるSi原料成分(キャリオーバー中の金属シリコン粉末のSiを指す)の比率が高く、Siの損失(ロス)が大きい、という問題も残されている。なお、Si原料成分をSi酸化物やSi原子と区別するため、以下、「結晶Si」ともいう。
特開2006−1804号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、その目的は、流動層炉を用い、金属シリコンと塩化水素、または金属シリコンと四塩化珪素および水素を反応させてシリコン塩化物を製造するに際し、流動層炉のサイクロンからのキャリオーバーが少なく、また、キャリオーバーに伴うSi原料成分(結晶Si)のロスを減少させ得るシリコン塩化物の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成するために検討を重ねる過程で、原料である金属シリコン粉末の酸素濃度および炭素濃度がサイクロンからのキャリオーバー量、さらにキャリオーバーに伴う結晶Siのロスに少なからぬ影響を与えていることを見出した。
すなわち、金属シリコン粉末の酸素濃度が低下すると、キャリオーバーの処理量が明らかに減少し、結晶Siのロス量も著しく減少する。金属シリコン粉末の炭素濃度が低下した場合にも同様の傾向が認められる。
本発明は、このような新たな知見に基づきなされたもので、その要旨は、下記(1)および(2)のシリコン塩化物の製造方法にある。
(1)金属シリコン粉末を塩化水素を含有するガスまたは水素と塩化珪素を含有するガスと流動層内で反応させて目的のシリコン塩化物を得て、流動層炉から排出されるシリコン塩化物含有ガスからサイクロンで金属シリコン微粉末を捕集し、捕集された金属微粉末を系外へ抜き出すシリコン塩化物の製造方法であって、金属シリコン粉末の酸素濃度が0.2質量%以下または炭素濃度が0.1質量%以下であることを特徴とするシリコン塩化物の製造方法。
(2)金属シリコン粉末を塩化水素を含有するガスまたは水素と塩化珪素を含有するガスと流動層内で反応させて目的のシリコン塩化物を得て、流動層炉から排出されるシリコン塩化物含有ガスからサイクロンで金属シリコン微粉末を捕集し、捕集された金属微粉末を系外へ抜き出すシリコン塩化物の製造方法であって、金属シリコン粉末の酸素濃度が0.2質量%以下であり、かつ炭素濃度が0.1質量%以下であることを特徴とするシリコン塩化物の製造方法。
ここでいう「シリコン塩化物」とは、前記のとおり、トリクロロシランを主成分とし、四塩化珪素、ジクロロシラン等を含むクロロシラン類を意味する。
また、「金属シリコン微粉末」とは、サイクロンで捕集され、系外へ抜き出される金属シリコンの微粉末であり、流動層内で反応させる原料としての「金属シリコン粉末」と区別して記す。
前記(1)または(2)のシリコン塩化物の製造方法において、金属シリコン粉末の純度が99.5質量%以上であれば、本発明で規定する条件を満たす金属シリコン粉末が比較的容易に得られるので、望ましい。
また、前記(1)または(2)のシリコン塩化物の製造方法において、金属シリコン粉末が凝固偏析法により製造された金属シリコンの破砕粉末であれば、高純度で、サイクロンからのキャリオーバーが少なく、しかも比較的廉価であり、本発明の製造方法で原料として用いる金属シリコン粉末として望ましい。
なお、ここで言う「凝固偏析法」とは、後述するように、溶融した金属を凝固させる際、不純物が液相内に偏析する現象を利用して固相の純度を高める方法である。
本発明のシリコン塩化物の製造方法によれば、流動層炉を用いて金属シリコンからシリコン塩化物を製造するに際し、流動層炉のサイクロンからのキャリオーバーが少なく、また、キャリオーバーに伴う結晶Siのロスを減少させることができる。これによって、キャリオーバーの処理コストを削減し、また、キャリオーバーに伴う結晶Siの損失を低減するという多大な効果が得られる。
以下に、前記(1)および(2)に記載の本発明のシリコン塩化物の製造方法について、図面を参照して具体的に説明する。なお、金属シリコン粉末の酸素濃度、炭素濃度および金属シリコン粉末の純度を表す「%」は、「質量%」を意味する。
前記(1)に記載のシリコン塩化物の製造方法は、金属シリコン粉末を塩化水素を含有するガスまたは水素と塩化珪素を含有するガスと流動層内で反応させて目的のシリコン塩化物を得て、流動層炉から排出されるシリコン塩化物含有ガスからサイクロンで金属シリコン微粉末を捕集し、捕集された金属微粉末を系外へ抜き出すシリコン塩化物の製造方法であって、金属シリコン粉末の酸素濃度が0.2%以下または炭素濃度が0.1%以下であることを特徴とする製造方法である。
本発明の製造方法において、金属シリコン粉末をサイクロンが付設されている流動層内で塩化水素や、水素および塩化珪素と反応させてシリコン塩化物を製造する方法は、ごく一般に用いられている。この方法において、金属シリコン粉末の酸素濃度を0.2%以下または炭素濃度を0.1%以下と規定するのは、以下に図1、図2を参照して説明するように、それによって、流動層炉のサイクロンからのキャリオーバーを少なくし、また、キャリオーバーに伴う結晶Siのロスを減少させ得るからである。
図1は、金属シリコン粉末の酸素濃度または炭素濃度とキャリオーバー処理量の関係を示す図で、(a)は酸素濃度が変化した場合、(b)は炭素濃度が変化した場合である。この図は、後述する実施例の表1に示した試験データに基づき、単純に酸素濃度または炭素濃度の変化に対するキャリオーバー処理量の変化をプロットしたものである。酸素濃度については0.30%、炭素濃度については0.20%のときのキャリオーバー処理量をそれぞれ基準(100)として表している。
図1から、バラツキは認められるが、酸素濃度または炭素濃度が低下するに伴い、キャリオーバー処理量が顕著に減少しており、酸素濃度が0.20%以下、または、炭素濃度が0.10%以下になると、キャリオーバー処理量が基準の40%程度以下に減少していることがわかる。
図2は、金属シリコン粉末の酸素濃度または炭素濃度と結晶Siのロス量の関係を示す図で、(a)は酸素濃度が変化した場合、(b)は炭素濃度が変化した場合である。前記図1と同様、実施例の表1に示した試験データに基づくもので、酸素濃度0.30%、炭素濃度0.20%のときの結晶Siのロス量をそれぞれ基準(100)としている。
この図2から明らかなように、酸素濃度または炭素濃度が低下すると結晶Siのロス量が大きく減少し、酸素濃度が0.20%以下、または炭素濃度が0.10%以下になると、結晶Siのロス量は基準の20〜30%程度以下に減少している。
金属シリコン粉末の酸素濃度または炭素濃度の下限は特に規定しない。酸素濃度、炭素濃度はいずれも低いほど有効であるが、原料である金属シリコン粉末の純度の向上には技術上および経済上の制約があり、不純物としての酸素または炭素の濃度の下限も自ずと定まるからである。
前記(2)に記載のシリコン塩化物の製造方法は、前述した(1)の製造方法の前提である、金属シリコン粉末をサイクロン付きの流動層内で塩化水素や、水素および塩化珪素と反応させてシリコン塩化物を製造するという一般に用いられている方法において、金属シリコン粉末の酸素濃度を0.2%以下とし、かつ炭素濃度を0.1%以下とすることを特徴とするシリコン塩化物の製造方法である。
前記(1)に記載の製造方法において、例えば酸素濃度が0.20%以下であれば、図1(a)に示すように、キャリオーバー処理量を大幅に低減することができる。しかし、この場合は、酸素濃度以外の、例えば炭素の濃度を考慮していない。炭素濃度が0.10%以下であれば、図1(b)に示すように、キャリオーバー処理量が極めて少ないので問題はないが、仮に酸素濃度が0.20%で、炭素濃度が0.20%の場合、キャリオーバー処理量がどの程度になるかを予測することは難しい。このことは、前記図2の結晶Siのロスについても言えることである。
すなわち、前記(1)に記載のシリコン塩化物の製造方法では、キャリオーバー処理量および結晶Siのロス量の低減効果は非常に大きいが、その効果の及ぶ範囲ないしは条件は必ずしも明確ではない。言い換えれば、現在、影響因子として把握している炭素の濃度がどの程度であれば前記の顕著な効果が期待できるのか、示されていない。
そこで、(2)に記載のシリコン塩化物の製造方法では、サイクロンからのキャリオーバー処理量、およびキャリオーバーに伴う結晶Siのロスに多大な影響を与えていることが判明している金属シリコン粉末の酸素濃度および炭素濃度を同時に規定することにより、顕著な効果が発現する条件を明確にした。本発明のシリコン塩化物の製造方法における望ましい態様である。
この方法において、金属シリコン粉末の酸素濃度を0.2%以下とし、かつ炭素濃度を0.1%以下と規定するのは、酸素濃度が0.2%を超え、かつ炭素濃度が0.1%を超えると、後述する実施例に示すように、流動層炉のサイクロンからのキャリオーバー処理量およびキャリオーバーに伴う結晶Siのロス量のいずれについても、低減効果がみられないか、効果が認められてもそれ程顕著ではないからである。
金属シリコン粉末の酸素濃度および炭素濃度の下限は特に規定しない。前述のように、不純物としての酸素または炭素の濃度の下限は自ずと定まるからである。
以上述べたように、酸素濃度、炭素濃度を低下させると、流動層炉のサイクロンからのキャリオーバー処理量、キャリオーバーに伴う結晶Siのロス量が著しく低減する。これは、キャリオーバー微粉(サイクロンで捕集され、系外へ抜き出される金属シリコン微粉末を指す)の粒径が金属シリコン粉末の酸素濃度と炭素濃度に関連していることによるものと考えられる。
本発明者の調査によれば、後述する実施例の表1に示すように、酸素濃度と炭素濃度が低い金属シリコン粉末を用いると、キャリオーバー微粉の粒径が小さくなる。キャリオーバー微粉は、主に原料である金属シリコン粉末が流動層炉内で流動する間に金属シリコン粉末から分離または剥離し、離脱したものと考えられ、これら離脱したものはその粒径に大小はあってもいずれも微細で、キャリオーバーとして排出される。
このとき、表1に示すように、金属シリコン粉末の酸素濃度、炭素濃度が低いと、剥離した微粉の粒径が小さく、したがって、キャリオーバーとして排出される量(つまり、キャリオーバー微粉の処理量で、以下、単に「キャリオーバー処理量」ともいう)が少なくなる。また、キャリオーバー処理量が減少すると、その分、結晶Siのロス量が低減する。
さらに、実施例で試験データを明示するが、キャリオーバー微粉の処理量の減少よりも結晶Siロス量の減少がより顕著である。これは、金属シリコン粉末の酸素濃度、炭素濃度が低下することにより、キャリオーバー処理量の減少に加え、キャリオーバー微粉中の結晶Siの比率も低下したことによるものと推測される。
このように、金属シリコン粉末の酸素濃度、炭素濃度が低いと、剥離した微粉の粒径が小さくなり、また、キャリオーバー微粉中の結晶Siの比率が低下する理由の詳細は明らかではないが、金属シリコン粉末の内部の酸素濃度と炭素濃度の分布に起因している可能性が考えられる。つまり、金属シリコン粉末内部の酸素や炭素は、ごく一部は固溶しても大部分は酸化物、あるいは単体などとして局在していると推測され、それら酸素や炭素が高濃度で存在する箇所が起点となり、金属シリコン粉末から微粉となって剥離離脱または分離離脱すると考えられるが、前記酸素や炭素の高濃度の箇所が、離脱して生成する金属シリコン微粉の粒径と関連していると推察される。
前述した(1)または(2)に記載のシリコン塩化物の製造方法においては、流動層炉から排出されるシリコン塩化物含有ガスからサイクロンで金属シリコン微粉末を捕集し、系外へ抜き出している。しかし、サイクロンが多段式で、例えば、1段目のサイクロンで金属シリコン粉末を回収して流動層へ戻し、2段目またはそれ以降のサイクロンで捕集される金属シリコン微粉末を系外へ抜き出すこととすれば、より望ましい。
これによって、キャリオーバーとして抜き出され、処理される金属シリコン微粉末の一部を原料粉末として回収利用することができるので、キャリオーバー処理量の低減や、金属シリコン粉末の損失(ロス)の抑制をより効果的に行うことができる。
前述した(1)または(2)に記載のシリコン塩化物の製造方法において、金属シリコン粉末の純度が99.5%以上であれば、不純物濃度が相対的に低く、原料調達にあたり、酸素、炭素の濃度が本発明で規定する範囲内のものが多く、金属シリコン粉末を比較的容易に準備できるので、望ましい。
また、前記(1)または(2)のシリコン塩化物の製造方法において、金属シリコン粉末が凝固偏析法により製造された金属シリコンの破砕粉末であれば、高純度で、サイクロンからのキャリオーバーが少なく、しかも比較的廉価であり、本発明の製造方法で原料として用いる金属シリコン粉末として望ましい。
前記の「凝固偏析法」とは、溶融した金属を凝固させる際、不純物が液相内に偏析する現象を利用して固相の純度を高める方法である。太陽電池の多結晶シリコン基板の材料の一部はこの凝固偏析法により製造されている。その場合、溶融した金属シリコンを不活性ガス雰囲気の加熱炉中で、一方向凝固させ、その凝固過程における不純物元素の液相への偏析を利用して不純物を液相中に濃縮させ、除去する操作を多数回繰り返して、金属シリコンの純度を高めている。
本発明のシリコン塩化物の製造方法においては、この凝固偏析法により製造された太陽電池の基板用シリコンを破砕したものを金属シリコン粉末として用いてもよいが、凝固偏析操作を多数回繰り返すと原料製造コストが高くなる。したがって、凝固偏析回数が少ない太陽電池基板用シリコンの中間生成物を粉砕して用いれば、従来の一般に使用されている金属シリコン粉末よりも純度が高く、製造コストはそれほど高くはないので好適である。
前記の凝固偏析法では、出発原料としてグレードの低い金属シリコンを用いても、最終的には一般の金属シリコン粉末より純度が高いものを得ることができる。このことも製造コストがそれほど高くならない理由の一つである。なお、原料として、従来使用されている金属シリコンの精製工程を強化して得られた粉末を使用してもよいが、精製コストが若干上昇する。
以上述べた本発明のシリコン塩化物の製造方法によれば、原料として用いる金属シリコン粉末の酸素濃度および/または炭素濃度を所定の範囲に規定することにより、流動層炉のサイクロンからのキャリオーバーを減少させ、キャリオーバーに伴う結晶Siのロスを減少させることができる。これによって、キャリオーバーの処理コストを削減するとともに、環境負荷を軽減することが可能となる。
酸素濃度、炭素濃度がそれぞれ異なる金属シリコン粉末を原料として用い、本発明の方法を適用してシリコン塩化物を製造し、流動層炉のサイクロンからのキャリオーバー微粉について、平均粒径、処理量および結晶Siロス量を調査した。
用いた原料は、凝固偏析法による太陽電池の基板用シリコンの製造工程における中間生成物(凝固偏析回数が少ないシリコン)の破砕粉で、純度は99.5%以上であった。なお、比較のために、純度が99.5%未満で、酸素濃度、炭素濃度が比較的高い金属シリコン粉末を原料として用いた場合についても、同様の調査を行った。
表1に調査結果をまとめて示す。前記の図1および図2は、この表1の結果に基づいて作成した図である。
Figure 2008137870
表1において、キャリオーバー微粉の「平均粒径」とは、質量基準で表した粒径分布(積算分布)において、篩上又は篩下の粒子が50%となる粒径(D50)であり、比較例1における平均粒径を基準(100)として、相対値で表示した。
「処理量」とは、キャリオーバーの処理工程における微粉処理量であり、「結晶Siロス量」とは、原料である金属シリコン粉末中のSi量である。比較例1における処理量、結晶Siロス量を基準(100)として、それぞれ相対値で表示した。なお、「結晶Siロス量」は、キャリオーバー微粉をフッ酸水溶液に浸漬してSi酸化物などを溶解除去し、溶解せずに残った結晶Siの質量を測定してキャリオーバー微粉中の結晶Siの比率を算出し、その値を処理量に乗ずることにより求めた。
また、酸素濃度、炭素濃度の評価の欄の×印は、それぞれ前記(1)に記載のシリコン塩化物の製造方法で規定する条件(金属シリコン粉末の酸素濃度が0.2%以下または炭素濃度が0.1%以下)から外れる場合である。○印および◎印は規定条件を満たす場合で、◎印は特に効果が大きい場合である。
表1に示した結果から、酸素濃度、炭素濃度が基準としたNo.1(比較例)に比べて低いNo.3〜No.6(実施例)では、キャリオーバー微粉の処理量が大幅に減少していることがわかる。酸素濃度や炭素濃度も減少しているが、それらの減少比率よりも処理量の減少率の方が大きい。
また、キャリオーバー微粉の処理量との比較から明らかなように、結晶Siロス量が特に小さくなっており、処理量の減少よりも結晶Siロス量の減少がより顕著である。これは、前述のように、金属シリコン粉末の酸素濃度、炭素濃度が低下したことによって、キャリオーバー処理量の減少に加え、キャリオーバー微粉中の結晶Siの比率も低下したことによるものと推測される。
なお、確認のため、X線分析によりキャリオーバー微粉中の結晶Siの分析を行ったところ、比較例の場合よりも実施例の場合の方が結晶Siの含有量が小さい傾向を示した。この結果は、金属シリコン粉末の酸素濃度、炭素濃度が低下すると、キャリオーバー微粉中の結晶Siの比率が低下することを示している。
キャリオーバー微粉の処理量と結晶Siロス量の調査結果を金属シリコン粉末の酸素濃度および炭素濃度と関連づけて総合的に評価した。「総合評価」の欄の「不可」は、キャリオーバー微粉の処理量、結晶Siロス量のいずれも基準(100)に対する相対値で50に達しない場合である。「可」、「良」および「優」は前記相対値が50以下で、キャリオーバー処理量および結晶Siロス量双方の低減の状態を勘案して、良好な順に「優」、「良」、「可」とした。金属シリコン粉末の酸素濃度および炭素濃度が低下するに伴い、総合評価は「不可」から「可」、「良」、さらに「優」へと向上していることがわかる。
図3は、金属シリコン粉末の酸素濃度および炭素濃度を両軸に採り、表1に示した総合評価の結果を表示した図である。図3において、×印は「不可」を、□印は「可」を、○印は「良」を、また◎印は「優」を意味する。
破線Oと白抜き矢印(左向き)で表した領域、破線Cと白抜き矢印(下向き)で示した領域が、それぞれ本発明で規定する金属シリコン粉末の酸素濃度、または炭素濃度を示している。この規定を満たす金属シリコン粉末を原料として本発明のシリコン塩化物の製造方法を実施すれば、キャリオーバー微粉の処理量、結晶Siロス量について、酸素濃度を規定した場合、炭素濃度を規定した場合のいずれも「可(□印)」、「良(○印)」または「優(◎印)」の評価が得られる。
また、斜線を施した領域は、本発明で規定する金属シリコン粉末のより望ましい濃度範囲(酸素濃度が0.2%以下、かつ炭素濃度が0.1%以下)を示しており、この規定を満たす金属シリコン粉末を用いれば、「良(○印)」または「優(◎印)」のより高い評価が得られる。
本発明のシリコン塩化物の製造方法は、金属シリコン粉末を流動層内で塩化水素や、水素および塩化珪素と反応させてシリコン塩化物を製造するという一般に用いられている方法において、原料として用いる金属シリコン粉末の酸素濃度および/または炭素濃度を所定の範囲に規定する方法であり、この方法により、流動層炉のサイクロンからのキャリオーバー、キャリオーバーに伴うSi原料成分(結晶Si)のロスを著しく減少させることができる。これによって、キャリオーバーの処理コストを削減するとともに、環境負荷を軽減することが可能である。
したがって、本発明の製造方法は、シリコン塩化物、とりわけトリクロロシランの製造に有効に利用することができる。
金属シリコン粉末の酸素濃度または炭素濃度と流動層炉のサイクロンからのキャリオーバー処理量の関係を示す図で、(a)は酸素濃度が変化した場合、(b)は炭素濃度が変化した場合である。 金属シリコン粉末の酸素濃度または炭素濃度とキャリオーバーに伴う結晶Siのロス量の関係を示す図で、(a)は酸素濃度が変化した場合、(b)は炭素濃度が変化した場合である。 実施例の結果で、金属シリコン粉末の酸素濃度および炭素濃度と総合評価結果との関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 金属シリコン粉末を塩化水素を含有するガスまたは水素と塩化珪素を含有するガスと流動層内で反応させて目的のシリコン塩化物を得て、流動層炉から排出されるシリコン塩化物含有ガスからサイクロンで金属シリコン微粉末を捕集し、捕集された金属微粉末を系外へ抜き出すシリコン塩化物の製造方法であって、
    金属シリコン粉末の酸素濃度が0.2質量%以下または炭素濃度が0.1質量%以下であることを特徴とするシリコン塩化物の製造方法。
  2. 金属シリコン粉末を塩化水素を含有するガスまたは水素と塩化珪素を含有するガスと流動層内で反応させて目的のシリコン塩化物を得て、流動層炉から排出されるシリコン塩化物含有ガスからサイクロンで金属シリコン微粉末を捕集し、捕集された金属微粉末を系外へ抜き出すシリコン塩化物の製造方法であって、
    金属シリコン粉末の酸素濃度が0.2質量%以下であり、かつ炭素濃度が0.1質量%以下であることを特徴とするシリコン塩化物の製造方法。
  3. 金属シリコン粉末の純度が99.5質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリコン塩化物の製造方法。
  4. 金属シリコン粉末が凝固偏析法により製造された金属シリコンの破砕粉末であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリコン塩化物の製造方法。
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