JP6923432B2 - 塗装亜鉛めっき鋼板 - Google Patents
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Description
前記樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量が50〜75質量%、前記樹脂皮膜の樹脂成分の含有量が25〜50質量%であり、
前記シリカに対する前記水酸化マグネシウムの質量比率が0.3〜6であり、
前記樹脂皮膜の厚みが0.3〜1.5μmであり、
水分散したときの前記水酸化マグネシウムの平均粒径D50が0.6μm以下であることを特徴とする。
本発明の実施形態において、樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量を50〜75質量%とする。無機系皮膜は硬質であり、プレス時の金型との厳しい摺動に耐えることができる。また有機系皮膜と比べて、比重が大きい無機化合物を多く含有するため、腐食因子のバリア効果の高い緻密な皮膜が得られる。しかしながら、樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量が75質量%を超えると、バインダーとなる樹脂成分が不足し、欠陥部の多い皮膜となり耐食性が劣化する。好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは65質量%以下である。
本発明の実施形態において、樹脂皮膜の樹脂成分の含有量を25〜50質量%とする。上述したように、樹脂皮膜の樹脂成分が不足すると、欠陥部の多い皮膜となり耐食性が劣化する。こうした観点から、樹脂皮膜の樹脂成分は25質量%以上とする必要がある。好ましくは30質量%以上である。しかしながら、樹脂皮膜の樹脂成分が多くなりすぎると、樹脂皮膜における緻密さの低下による耐食性低下に加えて、皮膜が軟質化してプレス加工時の皮膜カス増加の懸念が生じる。こうした観点から、樹脂皮膜の樹脂成分は50質量%以下とする必要がある。好ましくは45質量%以下である。
本発明の実施形態において、シリカに対する水酸化マグネシウムの質量比率を0.3〜6、特に0.4〜6とする。水酸化マグネシウムおよびシリカは、いずれも亜鉛めっきに対する防錆剤として知られている。本発明者らは、樹脂皮膜中に水酸化マグネシウムとシリカを、特定の質量比率で配合することで、薄膜であっても優れた耐食性が得られることを見出した。シリカに対する水酸化マグネシウムの質量比率[Mg(OH)2/SiO2]が、0.3〜6、特に0.4〜6の範囲内にあるとき、良好な耐食性を示す。この質量比率は、好ましくは0.7以上であり、5以下である。
本発明の実施形態において、樹脂皮膜厚みは0.3〜1.5μmとする。樹脂皮膜厚みが0.3μm未満の場合には、どのような樹脂皮膜であっても亜鉛めっき表面を十分に被覆することが難しくなり、耐食性が不足する。好ましくは0.5μm以上である。一方、皮膜厚みが1.5μmを超えると良好な導電性が得られない。好ましくは1.3μm以下である。
本発明の実施形態において、水酸化マグネシウムの平均粒径D50を0.6μm以下とする。樹脂皮膜に粒子を添加する場合は、その粒子径が皮膜厚みよりも大きくなり過ぎると、皮膜から脱落しやすくなる。特に金型で厳しい摺動を受ける深絞り加工では、水酸化マグネシウム粒子は適切な平均粒径を有している必要があり、水分散体の状態で平均粒径D50が0.6μm以下である。好ましくは0.3μm以下である。
本発明で用いる樹脂の種類については、特に限定されず、水系樹脂および非水系樹脂のいずれも用いることができる。酸化マグネシウムを用いた水分散体(例えば、水分散液)や、コロイダルシリカを用いる場合には、水系樹脂を用いることが好ましい。このような水系樹脂についても特に限定されないが、水酸化マグネシウム水分散体やコロイダルシリカと混合できることが好ましい。
下記(a)〜(e)の平均粒径の異なる各種水酸化マグネシウム粒子を用いた。
(a)「139−13951」(品番):和光純薬工業株式会社製
(b)平均粒径が83μmの水酸化マグネシウム粒子:関東電化工業株式会社製
(c)「MH−30」(商品名):岩谷化学工業株式会社製
(d)「キスマ5Q−S」(商品名):協和化学工業株式会社製
(e)「ECOMAG Z−10」(商品名):タテホ化学工業株式会社製
日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ「スノーテックス−XS」(商品名)を用いた。以下では、「スノーテックス−XS」を、「ST−XS」と略記することがある。
樹脂皮膜を形成するときの樹脂としては、ADEKA社製のウレタン樹脂(「HUX541」:商品名)または東邦化学株式会社製品のポリエチレン樹脂を用いた。なお、上記ポリエチレン樹脂は、下記の方法で製造されたものである。
攪拌機、温度計、温度コントローラーを備えた乳化設備を有するオートクレイブに、エチレン−アクリル酸共重合体(ダウケミカル社製「プリマコール5990I」(商品名);アクリル酸由来の構成単位:20質量%、質量平均分子量(Mw):20,000、メルトインデックス:1300、酸価:150)200.0質量部、ポリマレイン酸水溶液(日油社製「ノンポール PMA−50W」(商品名);Mw:約1100(ポリスチレン換算)、50質量%品)8.0質量部、トリエチルアミン35.5質量部(エチレン−アクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.63当量)、48%NaOH水溶液6.9質量部(エチレン−アクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.15当量)、トール油脂肪酸(ハリマ化成社製「ハートールFA3」(商品名))3.5質量部、イオン交換水792.6質量部を加えて密封し、150℃および5気圧で3時間高速攪拌してから、30℃まで冷却した。
上記した水酸化マグネシウム粒子を、水を分散剤として用いて分散させ、下記(A)〜(E)の分散液とした。このとき用いる分散剤は、特に指定はないが、樹脂皮膜とした際に耐食性への悪影響が小さい高分子分散剤(例えば水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレンアクリル樹脂、ノニオン系界面活性剤)が望ましい。
分散液(A)
前記(a)の水酸化マグネシウム粒子を使用、樹脂固形分:約30質量%、平均粒径D50:0.14μm
分散液(B)
前記(b)の水酸化マグネシウム粒子を使用、樹脂固形分:約30質量%、平均粒径D50:0.17μm
分散液(C)
前記(c)の水酸化マグネシウム粒子を使用、樹脂固形分:約30質量%、平均粒径D50:0.30μm
分散液(D)
前記(d)の水酸化マグネシウム粒子を使用、樹脂固形分:約30質量%、平均粒径D50:0.69μm
分散液(E)
前記(e)の水酸化マグネシウム粒子を使用、樹脂固形分:約30質量%、平均粒径D50:1.1μm
分散液中の水酸化マグネシウム粒子の平均粒径D50は、0.2質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液で希釈した後、マイクロトラック・ベル社製のマイクロトラック「MT3300EXII装置」(商品名)を用いて測定した。
使用する原料:水酸化マグネシウム水分散液[上記(A)〜(E)の分散液]、水系樹脂、コロイダルシリカ(ST−XS)
樹脂固形分:約5%
(1)電気亜鉛めっき鋼板(EG)
板厚:0.8mm
亜鉛目付量:18g/m2
(2)溶融亜鉛めっき鋼板(GI)
板厚:0.8mm
亜鉛目付量:90g/m2
脱脂:アルカリ脱脂(日本パーカーライジング社製、「ファインクリーナー」(商品名)シリーズ)
乾燥:熱風乾燥させ、水分を蒸発させた。
方法:バーコーター
樹脂皮膜厚み:所定の樹脂皮膜厚さが得られるようにバーの番手を選定。
方法:熱風乾燥機
時間:1分間
条件:塗装板の最高到達温度80℃(サーモラベルで確認)
上記した範囲内で、条件を様々変えて、各種塗装亜鉛めっき鋼板(試験No.1〜6)を作製し、得られた塗装亜鉛めっき鋼板の耐食性および導電性について、下記の方法で評価した。
平板部:JIS Z2371に規定される塩水噴霧試験を72時間実施した。試験後の白錆発生率(面積%)を算出し、下記の評価基準で評価した。
加圧力:300kgf/cm2(29.4MPa)
引き抜き速度:300mm/分
平板ダイス1の材質:SKD11(JIS G4404:2006:合金工具鋼鋼材)
潤滑剤:使用せず
1.平板部
○:白錆発生率20面積%以下
△:白錆発生率20面積%超、30面積%以下
×:白錆発生率30面積%超
2.摺動部
○:摺動部およびその付近に、白錆/変色なし
△:摺動部およびその付近に、白錆/変色がかすかに認められる
×:摺動部およびその付近に、白錆/変色が認められる
テスターを用いて、端子を試料表面で滑らすことで、電気抵抗値を測定した。
電気抵抗値が500Ω未満であるときを、導電性が良好(「○」と表示)と評価し、電気抵抗値が500Ω以上であるときを、導電性が不良(「×」と表示)と評価した。
上記した範囲内で、条件を様々変えて、各種塗装亜鉛めっき鋼板(試験No.7〜9)を作製し、得られた塗装亜鉛めっき鋼板の耐食性および導電性について、実施例1と同様の方法で評価した。
上記した範囲内で、条件を様々変えて、各種塗装亜鉛めっき鋼板(試験No.10〜21)を作製し、得られた塗装亜鉛めっき鋼板の耐食性および導電性について、実施例1と同様の方法で評価した。
上記した範囲内で、条件を様々変えて、各種塗装亜鉛めっき鋼板(試験No.22〜26)を作製し、得られた塗装亜鉛めっき鋼板の耐食性および導電性について、実施例1と同様の方法で評価した。
2 平板ダイス
Claims (2)
- 亜鉛めっき鋼板の表面に、シリカおよび水酸化マグネシウムを含む樹脂皮膜を有する塗装亜鉛めっき鋼板であって、
前記樹脂皮膜中のシリカおよび水酸化マグネシウムの合計含有量が50〜75質量%、前記樹脂皮膜の樹脂成分の含有量が25〜50質量%であり、
前記シリカに対する前記水酸化マグネシウムの質量比率が0.3〜6であり、前記樹脂皮膜の厚みが0.3〜1.5μmであり、
水分散したときの前記水酸化マグネシウムの平均粒径D50が0.6μm以下であることを特徴とする塗装亜鉛めっき鋼板。 - 深絞り加工用途に用いられる請求項1に記載の塗装亜鉛めっき鋼板。
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