JP4410626B2 - 端面耐食性に優れた表面処理亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

端面耐食性に優れた表面処理亜鉛めっき鋼板 Download PDF

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本発明は、端面耐食性に優れた表面処理亜鉛めっき鋼板に関する技術分野に属するものである。
鋼板の耐食性を高めるために、各種亜鉛系めっきが施され、さらにその上に塗装が行われることもある。しかし、鋼板の端面は鉄と亜鉛系めっきが露出しているため耐食性に劣ることが問題となっている。
このような端面の耐食性を向上させるための方法として、以下のような従来技術〔下記(1) 〜(10)のもの〕が知られている。
(1) 特開平3-100180号公報記載のもの:
「合金化溶融亜鉛めっき鋼板または亜鉛−ニッケル電気合金めっき鋼板の表面にクロメート処理液を塗布し、水洗することなく乾燥して、皮膜を形成する。上記クロメート処理液は、6価クロムイオン、3価クロムイオン及びリン酸イオンを含有し、更にシリカまたは有機高分子樹脂の少なくとも一方を含有する組成とするのが好ましい。またその塗布量は、全クロム重量換算で2〜500mg/m2 程度が適当である。その後上記皮膜上に、必要により下塗り塗料を塗布、焼付けした後、ポリエステル系、アクリル系等の塗料を塗布して焼付ける。これにより加工性、密着性等の他の性能を落さずに、端面耐食性の優れためっき塗装鋼板を得る。」というもの。
(2) 特開平5-146750号公報記載のもの:
両面に亜鉛系めっきを施しためっき鋼板1の一方の面に、塗装下地処理としてリン酸亜鉛被膜2を0.2〜2.0g/m2 形成し、このリン酸亜鉛被膜2の上にストロンチウムクロメートを20〜50重量%含む防錆性を有するプライマー被膜3を形成し、さらにこのプライマー被膜3の上に上塗り塗膜4を形成するとともに、他方の面にCr換算付着量で20mg/m2 以上のクロメート被膜層5を形成してなるもの。
(3) 特開平6-009902号公報記載のもの:
「5酸化リン、オルトリン酸、縮合リン酸、金属リン酸塩、金属縮合リン酸塩、リン酸のヘテロ縮合体及びそれらの混合物から選ばれるリン化合物(A)と、バナジル化合物、5酸化バナジウム、バナジン酸塩、バナジン酸の焼成縮合物、バナジン酸のヘテロ縮合体及びそれらの混合物から選ばれるバナジウム化合物(B)とを、A成分中のP2 O5 /B成分中のV2 O5 のモル比が0.3〜100となるように混合する。これにより、1gを水に分散させた分散液のpHが5〜9を示すバナジウム/リン酸塩系防錆顔料を製造する。次いでクロメート系防錆顔料とこのバナジウム/リン酸塩系防錆顔料とを、前者/後者の重量比が97/3〜40/60となるように混合し、塗料組成物を製造する。」というもの。
(4) 特開平8-309917号公報記載のもの:
「鋼板の板厚t(mm)と、片面当たりのめっき付着量w(g/m2 )がt≦1.6,w≦130,w/t≧60を共に満たす亜鉛系めっき鋼板の両面に、防錆顔料を塗膜中に25%以上含有する塗膜を形成する。これにより、端面耐食性とともに加工部の外観及び耐食性の両立した良好な塗装鋼板が得られ、高温多湿の厳しい屋外環境でも長期間使用可能である。」というもの。
(5) 特開平9-012931号公報記載のもの:
「リン酸塩系防錆顔料(A)とカルシウムイオン交換シリカ系防錆顔料(B)とを95:5〜20:80の重量比で配合した混合物を、塗膜中に5〜40(wt)%、好ましくは、10〜30%含まれるように、含有させる。成分Aとしては、トリポリリン酸二水素アルミニウム、メタリン酸アルミニウム等を酸化亜鉛あるいは酸化マグネシウムと湿式混合して変性したものが好ましい。成分Bとしては、カルシウム含有量2〜15%のものがよい。また、目的の組成物を構成する塗料用樹脂としては、ビスフエノールAとエピクロルヒドリンとを原料とする、平均分子量330〜3750、エポキシ当量180〜3300のビスフエノールA系エポキシ樹脂等が好ましい。」というもの。
(6) 特開平9-38570 号公報記載のもの:
亜鉛系鋼板を化成処理し、ついで下塗り塗料を塗装し、その後上塗り塗料を塗装して塗装鋼板を得ることよりなる亜鉛系鋼板の塗装方法において、上記下塗り塗料が、樹脂100重量部に対して、マグネシウム酸化物を1〜100重量部含有するものである亜鉛系鋼板の塗装方法。
(7) 特開平10-280116 号公報記載のもの:
「切断端面の形状を、式:t2 /(M・RS )≦0.2を満足するようにする。式中、tは板厚(mm)、Mは片面当たりのZn目付量(g/m2 )、RS は剪断面比率(=剪断面厚み/板厚)である。或いは、亜鉛メッキを施した表面処理鋼板の製造に当たり、上下一対の工具で切断するときのその切断端面に占める剪断面の比率、鋼板の板厚及びZn目付量の関係が前記式を満足するように亜鉛メッキ処理し、切断を行う。これにより、主に端面の分離様式が破断面である、Znメッキが存在しない位置から発生する切断面の錆を、普遍的に抑制できる。なお、剪断面比率0.5〜0.9、片面当たりのZn目付量5g/m2 以上が好ましい。」というもの。
(8) 特開平11-138690 号公報記載のもの:
「化成処理を施した亜鉛系めっき鋼板もしくはアルミめっき鋼板の表裏両面に、下層のプライマー層と上層のトツプ層からなる塗膜を有するプレコート鋼板において、表裏両面のプライマー層が、塗膜乾燥重量に対して25〜50重量%の防錆顔料を含有し、かつ、表面のトツプ層が、塗膜乾燥重量に対して5〜20重量%のメラミン樹脂を硬化剤として含有し、残部が数平均分子量が15000〜25000のポリエステル樹脂からなり、さらに、表面のトツプ層のガラス転移温度が5〜20℃である。」というもの。
(9) 特開 2002-194557号公報記載のもの:
「鋼切板に関するもので、この鋼切板は、酸化物が高い絶縁抵抗を示すバルブメタルの酸化物又は水酸化物とフツ化物が共存する化成処理皮膜が下地鋼の表面に直接形成されている。下地鋼としてめつき鋼板を使用することもできる。この場合、めつき層がなく下地鋼が露出している切断端面に化成処理皮膜が直接形成される。バルブメタルには、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W等があり、単独又は2種以上が複合して使用される。フツ化物による自己修復作用を効果的にする上では、化成処理皮膜に含まれるO及びFの濃度比F/Oが原子比率で1/100以上となるように調整することが好ましい。」というもの。
(10) 特開2003-003280 号公報記載のもの:
「表面に、質量%で、Mg:0.1〜10%、Al:0.2〜80%を含有し、残部がZnおよび不可避不純物からなるめつき層を有し、端面に0.001〜10g/m2 の有機系腐食抑制剤を有する。めつき層が、質量%で、Si:0.01〜10%を、さらに含有すること、また、有機系
腐食抑制剤が、不飽和アルコール類、飽和直鎖第一アミン類、飽和直鎖第二アミン類、飽和直鎖第三アミン類、チオ尿素類、ホスホン酸類、モルホリン類、イミダゾリン類の1種または2種以上であることが好ましい。」というもの。
特開平3-100180号公報 特開平5-146750号公報 特開平6-009902号公報 特開平8-309917号公報 特開平9-012931号公報 特開平9-38570 号公報 特開平10-280116 号公報 特開平11-138690 号公報 特開 2002-194557号公報 特開2003-003280 号公報
上記のように、従来より鋼板の端面耐食性を向上させるために種々の方法が提案されているが、これらの従来技術は以下のような問題があり、十分なものとは言えなかった。
従来技術(1)〜(3)では6価クロム、五酸化バナジウムなどを含み人体、環境への悪影響が懸念される。従来技術(4)、(8)では、防錆剤含有量が多いため、コスト高であり、塗膜密着性、外観などが劣化する。従来技術(5)では、(A)リン酸塩系防錆顔料と(B)カルシウムイオン交換シリカ系防錆顔料とを95:5〜20:80の重量比で配合したものを用いることにより耐食性を付与しているが端面防錆効果が十分でない。従来技術(6)では、端面耐食性付与のために酸化マグネシウムを用いると記載があるが、酸化マグネシウムの中でもそれらの性状によって端面耐食性が不十分な場合があり、安定した効果が得られない(詳しくは後述)。従来技術(7)では切断端面の形状と亜鉛めっき目付量の関係によって端面耐食性を制御しており設備上の制約が大きいため実施が困難である。従来技術(9)ではフッ化物を使用しており処理作業中の危険や環境への影響が懸念される。従来技術(10)では有機系腐食抑制剤を用いて端面耐食性を付与しているが、後処理腐食抑制剤を付着させているため適用範囲が限定される。
本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、人体等に有害となる恐れがあるクロム化合物を用いずに、端面耐食性に優れた表面処理亜鉛めっき鋼板を提供することをその課題としたものである。
本発明は、上記課題を達成するために発明者らによってなされたものであり、その要旨とする特徴は下記の通りである。
(1)亜鉛めっき鋼板表面に、塩化亜鉛(10wt%)溶液中(20℃)のアルカリ土類金属イオン濃度:5000ppm以上、且つ蒸留水中(20℃)のアルカリ土類金属イオン濃度:8ppm以下のアルカリ土類金属酸化物あるいは/及びアルカリ土類金属水酸化物を含むとともに、このアルカリ土類金属酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物の粒径(μm)/BET比表面積(m 2 /g)の比が1以下である被膜が形成されていることを特徴とする端面耐食性に優れた表面処理亜鉛めっき鋼板。
(2)前記被膜中に含まれるアルカリ土類金属酸化物あるいは/及びアルカリ土類金属水酸化物が重量%で3%超え50%未満であることを特徴とする上記(1)に記載の端面耐食性に優れた表面処理亜鉛めっき鋼板。
(3)前記アルカリ土類金属酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物が、酸化マグネシウムあるいは水酸化マグネシウムであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の端面耐食性に優れた表面処理亜鉛めっき鋼板。
本発明によれば、クロム化合物などの環境上問題となる物質を用いず、しかも、中性の溶液(水溶液)に接する通常環境下と酸性の溶液に接する腐食環境下との変化する環境のもとにおいて使用される場合においても安定して優れた端面耐食性を備えた亜鉛表面処理鋼板を提供することができる。
表面処理亜鉛めっき鋼板いわゆるプレコート亜鉛めっき鋼板(純亜鉛メッキ、亜鉛/ニッケルあるいは、亜鉛/クロムなどの合金めっき鋼板を含む)は、端面が露出した状態となっているため、PHが低下すると継続的に亜鉛の溶解がおこり、溶出した亜鉛が白錆となり、端面から塗膜ふくれを生じさせる。これを防止するためには亜鉛の溶出を抑制する必要がある。
先の従来技術(6)では、下塗り塗料(樹脂塗膜)中に塩基性の酸化マグネシウムを特定量含有させて亜鉛の溶出を抑制しようとしている。
しかしながら、この酸化マグネシウムなどの塩基性物質にもさまざまな形態のものが存在し、しかも鋼板の使用環境も一定せず、経時的に変化するものであるから、その塗膜における含有量を特定して適用するだけでは、必ずしも安定した耐食性を発揮できない。
酸化マグネシウムなどはその添加によって酸性溶液に接触する腐食環境のもとでアルカリイオンとして溶解し、PHの低下を抑えて亜鉛の溶出をコントロールする緩衝機能を有しており、従って、例えば市販されている種々の酸化マグネシウムの中からこの腐食環境化におけるアルカリイオンの溶解量が大きいもの、すなわちそのイオン濃度の高いものを選択使用すれば、一見、耐食性に優れた表面処理亜鉛めっき鋼板を提供できるかのように考えられる。
ところが、実際の使用環境は常に腐食環境というわけではなく、変化するものであり、中性の溶液(水溶液)に接する環境のもとにおいても使用されるものである。このような中性の水溶液に接する環境のもとでは、酸化マグネシウムがその緩衝機能を必要としないが、やはりアルカリイオンとして溶解して、塗膜から系外に流出してしまうため、この中性溶液におけるイオン濃度が高いものは、肝心の腐食環境化に晒されたときに十分な緩衝機能を果たすアルカリイオンの溶解量が不足し、この結果、長期に亘る安定した耐食性を維持できなくなる問題がある。
本発明者らは、このような観点から、中性溶液中のアルカリイオン濃度が小さく、しかも酸性溶液中のアルカリイオン濃度が高い特性を持った塩基性物質が上記亜鉛めっき鋼板の端面耐食性を長期に安定して維持できる最適な緩衝材であるとの着想に基づき、種々の塩基性物質を対象に実験、研究を積み重ねた結果、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明では亜鉛めっき鋼板の上に形成される下塗り塗膜(単に皮膜ということがある)に緩衝材として、20℃の酸性溶液中におけるアルカリ土類金属イオン濃度が5000ppm以上で、且つ20℃の中性溶液中におけるアルカリ土類金属イオン濃度が8ppm以下のアルカリ土類金属酸化物あるいは/及びアルカリ土類金属水酸化物を含有させるものである。
ベースとなる塗膜としてはウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などのプレコート鋼板として公知の樹脂を主成分とし、これに適宜、やはり公知の硬化剤、体質顔料などの各種顔料あるいはそのほかの添加剤を含有させることができる。
また、塗膜の厚みは特に制限しないが耐食性や加工性に与える影響を考慮すれば5〜15μmが好ましい。
塗膜に含有させる緩衝材の酸性溶液中におけるアルカリ土類金属イオン濃度が5000ppm以上としたのは、これを下回る濃度では腐食環境下での亜鉛めっき鋼板の安定した端面耐食性を損なうことになるからである。この金属イオン濃度は高ければ高いほど長期間に亘り端面耐食性を維持させることができるが、5000ppm以上8000ppm以下であれば十分な端面耐食性を確保できる。
また、同緩衝材の20℃の中性溶液中におけるアルカリ土類金属イオン濃度が8ppm以下としたのは、これより高い濃度では通常環境下においける上記金属イオンの溶出、ロスにより、腐食環境下でのイオン濃度が不足し、やはり長期に亘る安定した端面耐食性を維持できなくなるからである。
また、特に優れた端面耐食性を確保するためには、酸性溶液中におけるアルカリ土類金属イオン濃度が5700ppm以上であり、且つ中性溶液における同イオン濃度が6.3ppm以下である上記緩衝材(アルカリ土類金属酸化物あるいは/及びアルカリ土類金属水酸化物)を選択すれば良い。
かかる緩衝材の塗膜中含有量はの3重量%超え50重量未満%とすることが好ましい。3重量%以下では耐食性が不十分となり、50重量以上では加工性が低下する恐れがある。
アルカリ土類金属酸化物あるいは/及びアルカリ土類金属水酸化物としてはこれに属するものはすべて緩衝材として適用可能だが、酸化マグネシウムあるいは/及び水酸化マグネシウムが好適である。
そして、前記酸性溶液中及び中性溶液中でのアルカリ土類金属イオンの溶解特性を満足する緩衝材としては、次の物理性状を備えたものが特に好ましい。
すなわち、同緩衝材の粒径(μm)/BET比表面積(m2/g)の比が1以下、好ましくは0.2以下のものである。
この物理性状を満足するものであれば酸性溶液中におけるアルカリ土類金属イオン濃度が5000ppm以上で、且つ20℃の中性溶液中におけるアルカリ土類金属イオン濃度が8ppm以下の条件を満たすものが多く存在すると同時に、その活性に優れており、少量の添加によって十分な緩衝機能を皮膜に付与することが可能であり、またこのため皮膜の密着強度や加工性などを確保する上でも有利である。
以下、本発明の効果を実施例により実証することにする。
[実施例]
(実験手順)
(1)板厚0.6mm,片面当りめっき付着量60g/m2にの溶融Znめっき層が形成された溶融めっき鋼板を脱脂後、下地処理剤(日本パーカライジング製CTE−220)を塗布し熱風乾燥炉で乾燥させ、付着量を75mg/m2にとした。乾燥時の到達板温は100℃とした。
(2)下塗り塗装:体質顔料とメラミン硬化剤を予め配合したポリエステル系樹脂に表1に記載の添加剤(緩衝材)を塗膜全体に対して25重量%加えてバーコーターで塗布し、熱風乾燥炉で最高到達板温が230℃となる条件で焼き付けて両面とも膜厚を7μmになるように調整した。
(3)上塗り塗装:日本ファインコーティングス製SRF34をバーコーターで塗布し、熱風乾燥炉で到達板温が210℃となる条件で焼き付けて膜厚を表面18μm、裏面10μmに調整した。
(4)このようにして作製した表面処理亜鉛めっき鋼板を試験材として、端面耐食性試験JIS−K−5400、7.8に規定する塩水噴霧試験(温度35℃、5%NaCl溶液)を480時間実施し、端面ふくれ幅:3.5mm未満を○、3.5mm以上4.5mm未満を△、4.5mm以上を×の基準で評価した。この結果も含めて表1に示す。
同表に示した比較例1〜6は添加剤の中性溶液中又は酸性溶液中におけるアルカリ土類金属イオン濃度が、本発明の条件から外れたものである。また、参考例として汎用されているストロンチウムクロメートを塗膜として形成した試験材の結果も併記した。
ここで、アルカリ土類金属イオン濃度測定は次の方法で行った。中性溶液中では、蒸留水100gに溶質1gの割合で加えて20℃で2〜3時間攪拌し、その後、上澄みを取りだし(容易に沈殿しない場合は遠心分離あるいは濾過する)、原子吸光光度法によりアルカリ土類金属イオン濃度を測定する。
一方、酸性溶液中では、予め塩化亜鉛10重量%溶液を作成し、この溶液100gに対して溶質1gの割合で加えて、20℃で2〜3時間攪拌し、その後。上澄みを取りだし(容易に沈殿しない場合は遠心分離あるいは濾過する)、同様に原子吸光光度法によりアルカリ土類金属イオン濃度を測定する。
比表面積はBET法で求めた。BET法とは粉体粒子表面に吸着占有面積の判った分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から資料の比表面積を求める方法である。
Figure 0004410626
この表1から、緩衝材として添加されたアルカリ土類金属の酸化物あるいは水酸化物の中性及び酸性溶液でのアルカリ土類金属イオン濃度が何れも本発明に規定する条件を満足する場合は、端面耐食性を示す端面ふくれ幅が3.5mm未満(○)又は少なくとも4.5mm未満(△)であり、本条件を満たさない比較例が全て4.5mm以上(×)になっていることからして、優れた端面耐食性を有していることが分る。ちなみに、参考例として示したストロンチウムクロメートを塗膜とした試験材と比べても、本発明の実施例のものは同等乃至これより優れた結果となっている。
また、本発明に規定する中性溶液中の上記金属イオン濃度の上限(8ppm)は、実施例8(7.9ppm)と比較例1(8.4ppm)との端面耐食性の比較によるものであり、同様に、酸性溶液中の上記金属イオン濃度の下限(5000ppm)は、実施例9(5000ppm)と比較例1(4800ppm)との端面耐食性の比較によるものである。
しかも、比較例2〜6結果から、酸性溶液又は中性溶液のいずれか一方におけるアルカリ土類金属イオン濃度の条件を満足していても端面耐食性が不十分であり、両溶液におけるイオン濃度の条件を共に満足することが優れた端面耐食性を得る上で必須不可欠あることが判明する。
このように、同表から、本発明の規定理由が明確な技術的根拠に基づいていることが知れる。
そして、実施例7における両溶液での同イオン濃度(中性溶液:7.9ppm、酸性溶液:5400ppm)の端面耐食性の結果(○)と、実施例8及び9のイオン濃度とその結果(△)の比較から、酸性溶液の同イオン濃度が5400ppm以上で、中性溶液の同イオン濃度が7.9ppm以下のものが特に優れていることも同表から分かる。
さらに、本発明が望ましい条件として規定するアルカリ土類金属の酸化物あるいは/及び水酸化物の、粒径(μm)/BET比表面積(m2/g)≦1に関して、表1を見ると、この条件を満足するものは、前記本発明にかかるアルカリ土類金属イオン濃度の条件を同時に満たしているものが多く存在(実施例1〜5、実施例7〜9参照)し、かかる粒径と比表面積の比の条件を満たすことが優れた端面耐食性を発現する上でも重要な条件となるものと考えられる。粒径と比表面積の比が1以下の場合であっても、アルカリ土類金属イオン濃度の条件を満足しないもの(比較例3〜4参照)も一部存在しているものの、多数のアルカリ土類金属物質(その酸化物及び水酸化物)の中から前記イオン濃度の条件を満たす物質を効率的に選択する意味ではこの比の値が有効な指標となるものであることが分かる。
また、本発明において粒径(μm)/BET比表面積(m2/g)の上限を1としたのは、実施例9(0.188)と比較例1(2.038)の結果から、両者の値の中間値に基づいて設定したものである。加えて、同実施例9から0.2以下がより好ましい範囲といえる。

Claims (3)

  1. 亜鉛めっき鋼板表面に、塩化亜鉛(10wt%)溶液中(20℃)のアルカリ土類金属イオン濃度:5000ppm以上、且つ蒸留水中(20℃)のアルカリ土類金属イオン濃度:8ppm以下のアルカリ土類金属酸化物あるいは/及びアルカリ土類金属水酸化物を含むとともに、このアルカリ土類金属酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物の粒径(μm)/BET比表面積(m 2 /g)の比が1以下である被膜が形成されていることを特徴とする端面耐食性に優れた表面処理亜鉛めっき鋼板。
  2. 前記被膜中に含まれるアルカリ土類金属酸化物あるいは/及びアルカリ土類金属水酸化物が重量%で3%超え50%未満であることを特徴とする請求項1に記載の端面耐食性に優れた表面処理亜鉛めっき鋼板。
  3. 前記アルカリ土類金属酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物が、酸化マグネシウムあるいは水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の端面耐食性に優れた表面処理亜鉛めっき鋼板。
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