JP6922779B2 - チタン材 - Google Patents
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Description
特許文献2には、純チタン板を750〜850℃で大気雰囲気中での酸化処理により1.0〜2.5μmの酸化大気皮膜を形成し、更に初絞り加工及び再絞り加工を行う技術が記載されている。
特許文献3には、冷間圧延後にチタン薄板の表面を0.2μm以上除去した後、真空雰囲気中あるいは不活性ガス雰囲気中にて焼鈍し、その後、陽極酸化処理を施すことで、酸化皮膜を形成する技術が記載されている。
前記チタン基材の表面に形成された、厚さ1000nm未満の酸化チタン層と、を備え、
前記酸化チタン層に対して入射角度1degでX線を入射させる薄膜X線回折を行った場合の前記酸化チタン層に含まれるアナターゼ型酸化チタンの(101)回折ピークのピーク強度Anとルチル型酸化チタンの(110)の回折ピークのピーク強度Ruとの比An/Ruが、0.10〜1.41であり、
前記酸化チタン層の表面と、前記酸化チタン層を取り除いた前記チタン基材の表面との色差ΔE*abが6以下であることを特徴とするチタン材。
本実施形態のチタン材は、チタン基材に対して陽極酸化処理を行うことで陽極酸化皮膜を形成した後、大気中雰囲気で酸化処理を行うことによって製造される。陽極酸化処理によってアナターゼ型酸化チタンを含有する陽極酸化皮膜を形成し、次いで、大気雰囲気中での酸化処理を行うことにより、ルチル型の酸化チタンを生成させる。その結果、アナターゼ型及びルチル型が混在した酸化チタン層が形成される。アナターゼ型とルチル型が一定の割合で存在することにより、金型等に対する潤滑性を維持したままで、酸化チタン層の形成に伴う発色が抑制されるようになる。
(2)690℃以上720℃未満の加熱温度で5〜60分加熱する条件。
(3)720℃以上750℃以下の加熱温度で0.5〜5分加熱する条件。
基材となるチタン基材は、JIS1種に規定されるチタンからなるチタン薄板を用いた。チタンインゴットを熱間圧延した後、スケール除去を施し、厚さ5mmのチタン薄板を板厚0.5mmまで冷間圧延し、不活性ガス雰囲気中で焼鈍してチタン薄板とした。チタン薄板の表面に着色はなく、チタン本来の銀白色を呈していた。
酸化チタン層の厚みは、グロー放電分光分析法(GDS)によって測定した。GDSにより、チタン材の表面から、O(酸素)及びTiの分析を行った。酸化チタン層の厚みは、深さ方向に測定されるO濃度によって求めた。具体的には、酸化チタン層の最表面から、最表面のO濃度に対して50%減少するO濃度までの深さ位置までの距離を、酸化チタン層の厚みとした。
薄膜X回折による酸化チタンの結晶構造の解析は、X線源としてCo管球を用い、酸化チタン層表面に対するX線の入射角度を1degで固定したまま、測定面中心付近の法線を回転軸とし、360deg回転させながら測定する微小角入射X線回折(GIXD)により行った。得られたX線回折図から、アナターゼ型酸化チタンの(101)面の回折ピークと、ルチル型酸化チタンの(110)面の回折ピークとを特定した。そして、それぞれの回折ピークの最大強度から、バックグラウンド強度を差し引いた値を、アナターゼ型酸化チタンの(101)回折ピークのピーク強度An、ルチル型酸化チタンの(110)の回折ピークのピーク強度Ruとした。そして、ピーク強度An及びピーク強度Ruから、比An/Ruを求めた。なお、X線回折図では、アナターゼ型酸化チタンとルチル型酸化チタンの他に、金属チタンの回折ピークが検出されたが、他の物質の回折ピークは認められなかった。
酸化チタン層およびチタン基材の測色は、JIS K 5600−4−5に準じて行い、JIS K 5600−4−4に準じて、表面の色調をL*a*b*表色系でのクロマティクネス指数a*及びb*、明度指数L*で定義した。酸化チタン層の表面とチタン基材の表面との色差ΔE*abは、L*a*b*表色系でのクロマティクネス指数をa*及びb*、明度指数をL*としたとき、下記式で求めた。なお、チタン基材の表面の彩度は、本実施形態のチタン材の表面を研削して酸化チタン層を除去し、表面研磨して平滑にした面とすることができるが、本実施例では陽極酸化処理前のチタン薄板の表面の彩度を予め測定し、この測定値を用いて色差を求めた。
ピンオンディスク型摩擦・磨耗試験機にて、潤滑剤を用いずに、面圧1MPa、速度0.1m/minの条件で、日本工業規格G4805に規定された高炭素クロム軸受鋼鋼材SUJ2製のピンでチタン材の表面を摺動した。
このとき、当該試験においてチタン材の表面に深さ1μm以上の溝状の疵が生じた場合は、実機のプレス成形加工で不良が発生する可能性が高いので、不合格と判断した。
深さ1μm未満の溝状の疵が生じた場合は合格と判断した。
また、摺動開始から50s以降の平均動摩擦係数の測定を行った。
No.18、19は大気酸化のみを行った比較例であり、色差が6より大きくなった。また、No.18では、ピンオンディスク評価において1μm以上の深い疵が生じた。
No.23は、陽極酸化処理の電解電圧が高いため、陽極酸化皮膜の厚さが1000nm(1μm)となり、大気酸化後の酸化チタン層の厚みが厚すぎるため、外観が灰色となり、色差が6より大きくなった。また、絶縁破壊が生じ、酸化皮膜が均一に形成されず、むらになった。
No.24は、陽極酸化処理の電解電圧が高いため、陽極酸化皮膜の厚さが1000nm(1μm)となり、さらにルチル型の酸化チタンが生成した。そのため、大気酸化後のルチル型酸化チタンの体積割合が過剰となり、さらに酸化チタン層が厚すぎるため、外観が灰色となり、色差が6より大きくなった。また、絶縁破壊が生じ、酸化皮膜が均一に形成されず、むらになった。
No.29、30は、大気酸化処理の温度が高く、ルチル型酸化チタンが過剰に形成したため、アナターゼ型酸化チタンの体積割合が小さくなり、色差が6より大きくなった。
No.32は大気酸化処理の保持時間が長く、ルチル型酸化チタンが過剰に形成したため、アナターゼ型酸化チタンの体積割合が小さくなり、色差が6より大きくなった。
Claims (1)
- 純チタンまたはチタン合金からなるチタン基材と、
前記チタン基材の表面に形成された、厚さ1000nm未満の酸化チタン層と、を備え、
前記酸化チタン層に対して入射角度1degでX線を入射させる薄膜X線回折を行った場合の前記酸化チタン層に含まれるアナターゼ型酸化チタンの(101)回折ピークのピーク強度Anとルチル型酸化チタンの(110)の回折ピークのピーク強度Ruとの比An/Ruが、0.10〜1.41であり、
前記酸化チタン層の表面と、前記酸化チタン層を取り除いた前記チタン基材の表面との色差ΔE*abが6以下であることを特徴とするチタン材。
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