JPH1036985A - 光輝性に優れたアルミニウム材料及びその製造方法 - Google Patents

光輝性に優れたアルミニウム材料及びその製造方法

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JPH1036985A
JPH1036985A JP21202596A JP21202596A JPH1036985A JP H1036985 A JPH1036985 A JP H1036985A JP 21202596 A JP21202596 A JP 21202596A JP 21202596 A JP21202596 A JP 21202596A JP H1036985 A JPH1036985 A JP H1036985A
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etching
reflectance
less
dimple
aluminum material
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Application number
JP21202596A
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English (en)
Inventor
Yumiko Tsukamoto
由美子 塚本
Takeshi Ebihara
健 海老原
Shiyunichi Ushino
俊一 牛野
Yasuhisa Nishikawa
泰久 西川
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Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルカリエッチング処理により、光輝性の高
いアルミニウム材を安定した条件下で得る。 【構成】 この反射率50%以上のアルミニウム材料
は、粒径5μm以下の第2相粒子を0.6%以下の体積
率で含み、アルカリエッチングによって直径が0.1〜
100μmの範囲にあるディンプルを形成した表面をも
ち、ディンプルの平均深さをd(μm),ディンプルの
平均半径をr(μm),平坦部の残存面積率をα,入射
角60度での目的反射率をR(%)とするとき、実測値
が計算値の±5の範囲内で次式の関係が成立している。
アルカリエッチングの際、上式の関係が成立する条件下
でエッチングを終了させることにより、目的値に対応す
る実測反射率Rをもつ光輝材となる。 1−(d/r)/tan 30≧0 {[1−(d/r)/tan 30]2 ×(1−α)+α}
×92=R 【効果】 アルカリエッチングによって、高い光輝性を
付与できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建材パネル,化粧品容
器,装飾品,光学系部品等に使用される光輝性を有する
アルミニウム材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム材料は、優れた光沢性を呈
する材料であるが、バフ研磨等の機械的研磨では得られ
る光沢に限度がある。そのため、たとえば反射率が70
%以上の高い光輝性が要求される建材パネル,化粧品容
器,装飾品,光学系部品等の用途に使用される材料は、
通常、電解研磨によって表面平滑性を向上させている。
光輝性が付与されたアルミ表面は、その後に陽極酸化皮
膜を形成しても光輝性の低下が少なく、長期間にわたっ
て優れた光輝性を持続する。一方、反射率が50〜70
%である化粧品容器,装飾品,自動車用ホイール等の製
品の場合、リン酸系溶液を使用したエッチング等の製法
で対応していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電解研磨で光輝性を付
与する方法では、高品質の製品が得られるものの、初期
設備投資及びランニングコストが高額なため、簡便に適
用できる方法ではない。他方、光輝性を高める化学研磨
も一部で行われているが、処理工程が簡略化されること
から酸エッチング法が主流であった。すなわち、アルカ
リエッチングは、アルミ表面が白色化する傾向が強く、
光輝材が得られる適正範囲が狭い。そのため、厳しい操
業管理が必要とされ、汎用性に欠けるため、光輝処理に
はほとんど適用されていなかった。処理されるアルミニ
ウム材としても、均一なエッチング状態を発現させるた
めに、高価な純アルミ系材料が多用されてきた。本発明
は、このような問題を解消すべく案出されたものであ
り、エッチングによってアルミ表面に形成されるディン
プルを定量的にコントロールすることにより、慣用され
ているアルカリエッチングによっても光輝性の高いアル
ミニウム材料を得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のアルミニウム材
料は、その目的を達成するため、金属間化合物の第2相
粒子が粒径5μm以下で、その体積率が0.6%以下に
調製されており、アルカリエッチングによって直径が
0.1〜100μmの範囲にあるディンプルが形成され
た表面をもち、ディンプルの平均深さをd(μm),デ
ィンプルの平均半径をr(μm),平坦部の残存面積率
をαとし、入射角60度での実測反射率をR(%)とす
るとき、該実測反射率Rが下記計算式で得られた値の±
5の範囲内で成立していることを特徴とする実測反射率
が50%以上の光輝性を有するアルミニウム材料であ
る。 1−(d/r)/tan 30≧0 {[1−(d/r)/tan 30]2 ×(1−α)+α}
×92=R
【0005】エッチングされるアルミニウム材料として
は、材質的には、たとえばJISH4000規格におけ
る純アルミニウムA1000系合金,A2011等のA
l−Cu系やA5052,A5154,A5N01等の
Al−Mg系アルミニウム合金等が使用される。更に、
上記の特定形状の第2相粒子を容易に安定的に得られる
ものとして、Si:0.03重量%以下,Fe:0.0
7重量%以下,Cu:0.1重量%以下,Ti:0.0
1重量%以下,Mn:0.001重量%以下,Mg:
0.5重量%以下とし、他の元素を合計0.2重量%以
下に規制したアルミニウム合金を鋳造し圧延した後、4
50℃以上の温度で20時間以上熱処理したものが使用
される。或いは、これらのアルミニウム材を表面層とす
る合せ材にも、同様に適用される。このような熱処理を
施すことにより、光輝性が向上し、また低純度のアルミ
ニウム材料も使用可能となる。なお、アルカリエッチン
グ前の平均的な表面粗さRa が0.08を超えるもので
は、予め脱脂処理時にRa≒0.08に調整することが
より好ましい。高い光輝性は、上記の特定されたアルミ
ニウム材料をアルカリエッチングする際、上式の関係が
成立する条件下でエッチングを終了させることにより付
与される。
【0006】
【作用】本発明者等は、アルカリエッチング量と反射率
との関係を、種々の材料を使用して研究した。その結
果、所定範囲のエッチング量でアルカリエッチングして
も、被処理材の反射率が変化しないことを見い出した。
反射率が変化しない原因は、エッチングされたアルミニ
ウム材料の表面状態にあるものと推察される。すなわ
ち、ディンプルが形成されたアルミニウム材料表面に入
射した光は、残存平坦部及びディンプル底面で反射され
る。アルミニウム材料の表面から一定の角度で反射され
る光量の入射光量に対する比率が反射率であることか
ら、反射光の光量を多くするためには、残存平坦部及び
ディンプル底面での相関的反射が問題となる。また、ア
ルカリエッチングのディンプル形成点及びその密度が金
属間化合物の第2相粒子の大きさとその密度に相関して
いることを見い出した。すなわち、金属間化合物の第2
相粒子が粒径5μm以下で且つその体積率が0.6%以
下、より好ましくは0.3%以下に調製されたアルミニ
ウム材をアルカリエッチングするとき、表面に形成され
るディンプル密度が光輝面を安易に得られるレベルのも
のになることが判った。
【0007】このような前提の下で、特定性状のもので
アルカリエッチングされたアルミニウム材料を表面解析
すると共に、表面状態と反射率との関係を調査したとこ
ろ、ディンプルが0.1〜100μmの範囲にあり、デ
ィンプルの平均深さd(μm),ディンプルの平均半径
r(μm),平坦部の残存面積率α及び入射角60度で
の実測反射率R(%)の間に、実測反射率Rが下記計算
式で得られた値の±5の範囲内で式(1)及び(2)の
関係があり、このような関係が成立する条件下でアルカ
リエッチングを終了させることによって所定の反射率を
もち光輝性に優れたアルミニウム材料が得られることが
判明した(図2参照)。 1−(d/r)/tan 30≧0 ・・・・(1) {[1−(d/r)/tan 30]2 ×(1−α)+α}×92=R ・・・・(2)
【0008】式(1)及び(2)は、本発明者等による
実験結果から導き出された関係式である。式(1)は、
ディンプルの底面から反射光が出射されるように、過度
にエッチングすることなく、ディンプルを形成する条件
式である。式(2)は、所定の反射率Rを得るために必
要な残存平坦面を確保しながら、必要なエッチングを施
す条件式である。そこで、目的反射率を先ず設定し、そ
れに応じて式(1)及び(2)を満足させるディンプル
の平均深さd,ディンプルの平均半径r及び平坦部の残
存面積率αを定めることにより、エッチング終了時点が
決定される。この条件を満足する範囲内でエッチングを
行うときには、実測反射率Rが計算式で得られた値の±
5の範囲内の光輝材が得られる。そのため、エッチング
条件の管理が容易になると共に、光輝性に優れたアルミ
ニウム材料が生産性良く製造される。そして、本発明で
は実測反射率が50%以上のものを得ることを目的とし
ているので、Rは50%以上の数値が適用される。すな
わち、反射率が50%以上を目的とするアルミニウム材
料は、金属間化合物の第2相粒子が粒径5μm以下で、
その体積率が0.6%以下に調製されており、反射率が
70%以上を目的とする材料は第2相粒子の粒径が5μ
m以下で、その体積率が0.3%以下に調製しておくと
良い。
【0009】使用可能なアルカリエッチング水溶液は、
特にその種類が拘束されるものではないが、NaOH,
Na3 PO4 ,KOH等があり、必要に応じてグルコン
酸ナトリウム,硝酸ナトリウム等の助剤が添加される。
たとえば、NaOH系のエッチング液を使用する場合、
濃度を1〜100g/l(好ましくは3〜10g/l)
に調整し、室温〜90℃(好ましくは40〜60℃)の
浴温で20分以下の時間浸漬する。また、スケールの発
生を防止するために0.5〜5g/lのグルコン酸ナト
リウム,エッチング速度を上げるために5〜50g/l
の硝酸ナトリウム等を必要に応じて添加する。エッチン
グにより形成されるディンプルは、種々の大きさのもの
が混在するにしても、直径が0.1〜100μmの範囲
にあり、好ましくは平均値で1〜50μmの範囲にあ
る。直径が0.1μmに満たないディンプルは、光輝性
に与える影響が小さく、無視される。一方、100μm
を超える大きな直径のディンプルでは、肉眼で判別さ
れ、表面欠陥のあるものとして扱われる。
【0010】ディンプルの深さdは、1.5μm以下が
好ましい。深さが1.5μmを超えるディンプルでは、
エッチングの進行に伴うd/r値の減少度が小さく、反
射率Rが低下する。ディンプルのアスペクト比d/r
は、平坦部の残存面積率αに影響され、αに応じて小さ
くなる。高い反射率Rを得るためには、0.2以下のア
スペクト比d/rが好ましい。第2相粒子の体積率,デ
ィンプル,残存平坦部の平均値等は、光学顕微鏡,SE
M,レーザ顕微鏡等によって観察され、観察結果を画像
処理することによりディンプルの深さd,半径r,残存
平坦部の面積率α等が求められる。特に、三次元方向の
情報を得る手段としては、レーザ顕微鏡が好ましい。
【0011】また、エッチング時に、ディンプルは、金
属間化合物の第2相粒子を起点として形成される。この
点、第2相粒子の分散状態は、エッチングにより形成さ
れるディンプルの分布に重要な影響を及ぼす。本発明者
等の研究によるとき、粒径5μm以下の第2相粒子が体
積率0.6%以下、好ましくは0.3%以下で分散して
いるとき、光輝性の改善に有効であり、体積率が小さく
分散しているときは、より光輝性が改善されることが判
った。第2相粒子としては、Al3 Fe,Al6 Fe,
α−AlFeSi,β−AlFeSi,α−AlFeM
Si(M=Cu,Mn,Cr),Al2 Cu,Mg2
i,Aln Mn,TiAl等があり、マトリックスより
も貴又は卑の何れであっても良く、マトリックス中に均
一に分散していることが好ましい。通常のものであれ
ば、マトリックス全体が均一な組織として製造されるの
で問題はないが、製法によって第2相粒子に肉厚方向に
関する分布がみられるような場合には、アルカリエッチ
ング前の材料の表面から100μm程度の深さにおける
金属組織がこの条件を満足するものであることが好適で
ある。
【0012】本発明に従ったアルミニウム合金に含まれ
る合金成分は、第2相粒子に及ぼす影響から定められ
る。Si,Fe,Cu,Ti,Mn,Mg等の合金成分
が多量に含まれると、熱処理を施したとしても第2相粒
子の体積率が大きくなり、Si,Fe,Ti,Mnの含
有量が多いと第2相粒子の粒径が大きくなり、何れの場
合も好ましくない。このようなことから、本発明におい
ては、Si:0.03重量%以下,Fe:0.07重量
%以下,Cu:0.1重量%以下,Ti:0.01重量
%以下,Mn:0.001重量%以下,Mg:0.5重
量%以下,他の元素は合計で0.2重量%以下に規制し
た。合金の展伸材を熱処理することによって、好ましい
光輝性を発現する材料を容易に得ることができる。この
場合、熱処理温度が450℃に達しないと第2相粒子の
粒径及び体積率が小さくならない。450℃以上の熱処
理温度でも、組成が上限値にある場合は、第2相粒子の
粒径及び体積率を目標値にするためには20時間以上高
温保持することが必要である。なお、この場合の冷却速
度は、冷却過程での第2相粒子の生成抑制のため速い方
が好ましい。このような熱処理を施すことによって、施
さないものに比較して光輝性が向上し、また低純度のア
ルミニウム材料も使用可能となる。
【0013】金属間化合物の第2相粒子の粒径が5μm
を超えると、第2相粒子又は第2相粒子近傍が優先的に
エッチングされる結果、大きなディンプルが発生する。
そのため、平坦部の残存面積率αが著しく減少し、また
ディンプルの深さdに対する半径rの比d/rがエッチ
ングの進行によっても小さくならず、第2相粒子の影響
が後まで残る。その結果、条件式(1)及び(2)を満
足させることが困難になり、目標反射率を得るエッチン
グ条件の設定が難しくなる。第2相粒子は、0.5〜3
μmが実用的である。第2相粒子は、体積率が0.6%
以下、好ましくは0.3%以下でマトリックスに均一分
散していることが好ましく、エッチングを好適に進行さ
せる上では0.05%以上であることが好適である。し
かし、0.6%を超える体積率で第2相粒子が分散して
いると、エッチングにより平坦部の残存面積率αの低下
が著しく、反射率50%以上の光輝性のある面が得られ
なくなる。実測反射率70%以上のものを得るには、
0.3%以下に第2相粒子の体積率を規制することが好
ましい。このような条件を満足するアルミニウム材は、
常法に従って材料組成,圧延加工条件,その後の熱処理
条件等を調整することにより、容易に調製され、熱処理
条件を上述のごとくすることにより、より光輝性の向上
したアルミニウム材料を得ることができる。
【0014】光輝性が改善されたアルミニウム材料は、
エッチング後、中和及び脱スマット処理される。中和及
び脱スマット処理には、10〜40%硝酸液,100〜
200g/l硫酸液等を使用した通常の方法が採用され
る。その後、必要に応じ硫酸,蓚酸,硼酸等の陽極酸化
電解浴を使用する陽極酸化皮膜処理,クリヤー塗装処理
等の後加工が行われる。本発明のアルミニウム材は、こ
の皮膜処理によっても光輝性を損なわない。また、この
ような後加工で不良品となった場合であっても、上述の
条件を満足する範囲内で再エッチング処理をして後加工
による皮膜の脱膜処理を施すことにより、再度の後加工
に供しても所望の光輝面が得られるので、プロセス全体
での歩留りが向上する。
【0015】
【実施例】
実施例1:表1に示した組成を持つアルミニウム合金を
160mm×150mm×30mmの鋳塊に鋳造し、片
面当り5mmの面削を両面に施して20mmの厚みにし
た。面削後の鋳塊に、600℃×1時間の均質化処理を
施し、厚さ1mmに冷間圧延した。得られた冷延板(表
面粗さRa=0.08μm)を640℃で80時間焼鈍
・水焼入れし、焼鈍材を得た。焼鈍材に分散している金
属間化合物の第2相粒子を測定したところ、平均粒子径
が1μm,体積率が0.07%であった。浴温50℃の
5重量%NaOH水溶液に焼鈍材を浸漬し、ディンプル
形状が平均半径5μm,深さ1μmでアスペクト比d/
r=0.2、平坦部の残存面積率αが0.7になるまで
エッチングした。このときのエッチング減量は、30μ
mであった。反射率の計算値は76%であった。エッチ
ング後の処理材は、74%の実測反射率を持ち、その差
が2で、実測反射率が計算式(2)で得られた値の±5
の範囲内にあり、本発明で規定した関係式(1)及び
(2)を満足するものであった。また、これ以上エッチ
ングを継続しても、図1に示すように反射率はほぼ同じ
レベルに止まっていた。
【0016】
【0017】実施例2:実施例1と同じ冷延板を640
℃で25時間焼鈍し、水焼入れし、焼鈍材を得た。焼鈍
材に分散している金属間化合物の第2相粒子を測定した
ところ、平均粒子径が1.5μm,体積率が0.1%で
あった。浴温50℃の5重量%NaOH水溶液に焼鈍材
を浸漬し、ディンプル形状が平均半径3.9μm,深さ
0.5μmでアスペクト比d/r=0.13、平坦部の
残存面積率αが0.65になるまでエッチングした。こ
のときのエッチング減量は、30μmであった。反射率
の計算値は70%であった。エッチング後の処理材は、
71%の実測反射率を持ち、その差が1で、実測反射率
が計算式(2)で得られた値の±5の範囲内にあり、本
発明で規定した関係式(1)及び(2)を満足するもの
であった。また、これ以上エッチングを継続しても、反
射率はほぼ同じレベルに止まっていた。
【0018】実施例3:実施例1と同じ冷延板を650
℃で100時間焼鈍し、水焼入れし、焼鈍材を得た。焼
鈍材に分散している金属間化合物の第2相粒子を測定し
たところ、平均粒子径が1μm,体積率が0.05%で
あった。浴温50℃の5重量%NaOH水溶液に焼鈍材
を浸漬し、ディンプル形状が平均半径5μm,深さ1μ
mでアスペクト比d/r=0.2、平坦部の残存面積率
αが0.6になるまでエッチングした。このときのエッ
チング減量は、30μmであった。反射率の計算値は8
0%であった。エッチング後の処理材は、79%の実測
反射率を持ち、その差が1で、実測反射率が計算式
(2)で得られた値の±5の範囲内にあり、本発明で規
定した関係式(1)及び(2)を満足するものであっ
た。また、これ以上エッチングを継続しても、反射率は
ほぼ同じレベルに止まっていた。
【0019】実施例4:実施例1と同じ冷延板に分散し
ている金属間化合物の第2相粒子を測定したところ、平
均粒子径が1μm,体積率が0.41%であった。この
冷延板を、そのまま実施例1と同じエッチング液に浸漬
し、ディンプル形状が平均半径2.5μm,深さ1μm
でアスペクト比d/r=0.4,平坦部の残存面積率α
が0.7になるまでエッチングした。このときのエッチ
ング減量は、10μmであった。反射率の計算値は66
%であった。エッチング後の処理材は、67%の実測反
射率をもち、50%以上の反射率を有することが判っ
た。
【0020】実施例5:実施例1と同じ冷延板を640
℃で10時間焼鈍し、水焼入れして、焼鈍材を得た。焼
鈍材に分散している金属間化合物の第2相粒子を測定し
たところ、平均粒子径が1μm,体積率が0.12%で
あった。この焼鈍材を、実施例1と同じエッチング液に
浸漬し、ディンプル形状が平均半径5μm,深さ1μm
でアスペクト比d/r=0.2,平坦部の残存面積率α
が0.3になるまでエッチングした。このときのエッチ
ング減量は、30μmであった。反射率の計算値は55
%であった。エッチング後の処理材は、55%の実測反
射率をもち、50%以上の反射率を有することが判っ
た。
【0021】実施例6:表2に示した組成をもつアルミ
ニウム合金を160mm×150mm×30mmの鋳塊
に鋳造し、片面当り5mmの面削を両面に施して20m
mの厚みにした。面削後の鋳塊に600℃×22時間の
均質化処理を施し、厚さ1mmに冷間圧延した。得られ
た冷延板に分散している金属間化合物の第2相粒子を測
定したところ、平均粒子径が5μm,体積率が0.6%
であった。冷延板を、実施例1と同じエッチング液に浸
漬し、ディンプル形状が平均半径5μm,深さ1μmで
アスペクト比d/r=0.2,平坦部の残存面積率αが
0.3になるまでエッチングした。このときのエッチン
グ減量は、30μmであった。反射率の計算値は50%
であた。エッチング後の処理材は、50%の実測反射率
をもち、50%以上の反射率を有することが判った。
【0022】
【0023】実施例7:表3に示した組成をもつアルミ
ニウム合金を実施例6と同様に鋳造し、面削し、均質化
処理を施し、同じ厚さに圧延した。得られた冷延板に分
散している金属間化合物の第2相粒子を測定したとこ
ろ、平均粒子径が7μm,体積率が0.86%であっ
た。この冷延板を500℃で80時間焼鈍し、水焼入れ
して焼鈍材を得た。この焼鈍材に分散している金属間化
合物の第2相粒子を測定したところ、平均粒子径が6μ
m,体積率が0.7%であった。焼鈍材を、実施例1と
同じエッチング液に浸漬し、ディンプル形状が平均半径
6μm,深さ1μmでアスペクト比d/r=0.17,
平坦部の残存面積率αが0.2になるまでエッチングし
た。このときのエッチング減量は、30μmであった。
反射率の計算値は51%であった。エッチング後の処理
材は、50%の実測反射率をもち、本発明の条件で焼鈍
処理すると反射率が向上することが判った。
【0024】
【0025】比較例1:実施例7と同じ冷延板を同様に
エッチングしたところ、エッチング後の処理材は、反射
率の計算値は40%で、実測値は42%であり、光輝材
としては反射率が低いものであった。 比較例2:実施例7と同じ冷延板を400℃で80時間
焼鈍し、水焼入れして焼鈍材を得た。この焼鈍材に分散
している金属間化合物の第2相粒子を測定したところ、
平均粒子径が7μm,体積率が0.92%であった。こ
の焼鈍材を、実施例1と同じエッチング液に浸漬し、デ
ィンプル形状が平均半径7μm,深さ2μmでアスペク
ト比d/r=0.28,平坦部の残存面積率αが0.2
5になるまでエッチングした。このときのエッチング減
量は、30μmであった。エッチング後の処理材は、反
射率の計算値は40%で、実測値は41%であり、本発
明の条件を外れる焼鈍処理では反射率の向上がみられな
いことが判った。
【0026】実施例8:表4に示した組成をもつアルミ
ニウム合金を160mm×150mm×30mmの鋳塊
に鋳造し、片面当り5mmの面削を両面に施して20m
mの厚みにした。面削後の鋳塊に600℃×1時間の均
質化処理を施し、厚さ1mmに冷間圧延した。得られた
冷延板を640℃で80時間焼鈍し、水焼入れして焼鈍
材を得た。焼鈍材に分散している金属間化合物の第2相
粒子を測定したところ、平均粒子径が1μm,体積率が
0.07%であった。浴温50℃の5重量%NaOH水
溶液に焼鈍材を浸漬し、ディンプル形状が平均半径5μ
m,深さ1μmでアスペクト比d/r=0.2,平坦部
の残存面積率αが0.7になるまでエッチングした。こ
のときのエッチング減量は、30μmであった。反射率
の計算値は76%であった。エッチング後の処理材は、
74%の実測反射率をもち、その差は2で、本発明で規
定した関係式(1)及び(2)を満足するものであっ
た。また、これ以上エッチングを継続しても、反射率は
ほぼ同じレベルに止まっていた。
【0027】
【0028】各例におけるディンプルの平均深さ,半
径,平坦部の残存面積率,第2相粒子の分散状態等を、
表5にまとめて示す。この表の実施例と比較例とを対比
するとき、本発明で規定した式(1)及び(2)の関係
が光輝性を確保する上で有効なファクターであることが
確認される。また、計算値と実測値との対応性が高く、
関係式(2)からエッチング後の反射率を予測すること
も可能になった。
【0029】
【0030】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、金属間化合物である第2相粒子が特定条件下にある
アルミニウム材のアルカリエッチングによって材料表面
に形成されるディンプルの深さや半径を平坦部の残存面
積率との関係で規定することにより、目標値50%以上
の反射率もった光輝性に優れたアルミニウム材料を得て
いる。また、ディンプルの深さや半径,平坦部の残存面
積率等が本発明で規定した条件を満足する範囲内にある
エッチング量であれば、被処理材の履歴を考慮すること
なく、所望の光輝面をもつ材料を得ることができる。す
なわち、脱脂処理が不十分な被処理材や表面疵が部分的
にある被処理材であっても、たとえば30〜50μm程
度のエッチング量となるようなエッチング条件を選択す
れば、残留油類や表面疵が混在したものであっても、所
望の光輝面が得られる。また、陽極酸化処理やクリヤー
塗装処理等の後加工による不良品が発生した場合であっ
ても、再エッチングによりそれらの除去加工を施しても
光輝度に変化が発生しないので、プロセス全体としての
歩留りが向上する。このように本発明に従った方法によ
るとき、生産性及び再現性良く光輝材が得られる。この
ようにして、光輝性が高められたアルミニウム材は、自
動車用ホイール,建材パネル,化粧品容器,装飾品,光
学系部品等の用途に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各試験片のエッチング減量に応じた反射率の
変化を示すグラフ
【図2】 アルミニウム材の表面に形成されたディンプ
ルの模式図
フロントページの続き (72)発明者 牛野 俊一 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 西川 泰久 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属間化合物の第2相粒子が粒径5μm
    以下で、その体積率が0.6%以下に調製されており、
    アルカリエッチングによって直径が0.1〜100μm
    の範囲にあるディンプルが形成された表面をもち、ディ
    ンプルの平均深さをd(μm),ディンプルの平均半径
    をr(μm),平坦部の残存面積率をαとし、入射角6
    0度での実測反射率をR(%)とするとき、該実測反射
    率Rが下記計算式で得られた値の±5の範囲内で成立し
    ていることを特徴とする実測反射率が50%以上の光輝
    性を有するアルミニウム材料。 1−(d/r)/tan 30≧0 {[1−(d/r)/tan 30]2 ×(1−α)+α}
    ×92=R
  2. 【請求項2】 金属間化合物の第2相粒子が粒径5μm
    以下で、その体積率が0.6%以下に調製されたアルミ
    ニウム材料をアルカリエッチングする際、エッチングに
    よって形成されるディンプルを直径0.1〜100μm
    とし、ディンプルの平均深さをd(μm),ディンプル
    の平均半径をr(μm),平坦部の残存面積率をαと
    し、入射角60度での実測反射率をR(%)とすると
    き、該実測反射率Rが下記計算式で得られた値の±5の
    範囲内で成立する条件下でエッチングを終了させること
    を特徴とする反射率が50%以上の光輝性を有するアル
    ミニウム材料の製造方法。 1−(d/r)/tan 30≧0 {[1−(d/r)/tan 30]2 ×(1−α)+α}
    ×92=R
  3. 【請求項3】 Si:0.03重量%以下,Fe:0.
    07重量%以下,Cu:0.1重量%以下,Ti:0.
    01重量%以下,Mn:0.001重量%以下,Mg:
    0.5重量%以下に規制し、他の元素の合計を0.2重
    量%以下としたアルミニウム合金を鋳造し圧延した後、
    450℃以上の温度で20時間以上熱処理したアルミニ
    ウム材料を用い、請求項2記載のアルカリエッチングを
    施すことを特徴とする光輝性を有するアルミニウム材料
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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