JP6922508B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents

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本発明は、パワーステアリング装置に関し、特に電動モータによって駆動される油圧ポンプを備えた油圧式のパワーステアリング装置に関する。
従来、車両の運転者によるステアリングホイールの操舵操作を補助するパワーステアリング装置には、電動モータによって駆動される油圧ポンプと、ステアリングホイールの操舵操作に応じて油圧ポンプから吐出された作動油をシリンダに供給する油圧制御弁とを備え、シリンダの油圧力が操舵補助力として転舵軸に付与されるものがある。このような油圧式のパワーステアリング装置として、本出願人は特許文献1に記載のものを提案している。
特許文献1に記載のパワーステアリング装置は、ステアリングホイールを最大舵角、すなわちラックエンドまで右方向又は左方向に切り込んだ後にステアリングホイールを逆方向に操舵する切り戻し時に、電動モータの負荷が軽くなる負荷抜けによって電動モータの回転速度が急激に上昇して騒音が発生するという問題を解決すべく、操舵角の絶対値が所定値以上のラックエンド付近である場合には、操舵速度及び車速に基づく回転速度制御に替えて、操舵角の大きさに基づいて電動モータの回転速度を制御する。このような制御によれば、ラックエンドからの切り戻し時に電動モータの回転速度が急激に増大することを抑制でき、回転速度のオーバーシュート量が低減されるので、電動モータや油圧ポンプの作動音を抑えることが可能となる。
特開2015−101152号公報
しかしながら、特許文献1に記載のパワーステアリング装置では、操舵角が最大舵角付近である状態からの切り戻しを速やかに行いたい場合でも、電動モータの回転速度が操舵角の大きさに応じて制御され、十分な操舵補助力が転舵軸に付与されないアシスト不足の状態が発生してしまう場合がある。特許文献1に記載のパワーステアリング装置は、この点においてなお改善の余地を有するものとなっていた。
そこで、本発明は、ステアリングホイールの操舵角が所定値よりも大きい最大舵角付近、すなわちラックエンド付近からの切り戻し時における騒音を抑えながらも、この切り戻し時にアシスト不足の状態が発生してしまうことを抑制することが可能なパワーステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、ステアリングホイールの操舵操作に応じた軸方向への進退移動によって車両の転舵輪を転舵させる転舵軸と、前記転舵軸に前記軸方向への油圧力を付与するシリンダと、油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動する電動モータと、前記油圧ポンプから吐出された作動油の前記シリンダへの供給を制御する油圧制御弁と、前記電動モータを制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、車速及び操舵速度に基づいて前記電動モータの回転速度を制御する第1の制御モードと、操舵角の大きさに基づいて前記電動モータの回転速度を制御する第2の制御モードとを切り替え可能であり、操舵角の絶対値が前記所定の角度閾値以上でかつ操舵速度が第1の速度閾値以下であることを条件として前記第1の制御モードから前記第2の制御モードに切り替え、前記第2の制御モードでの制御中に前記第1の速度閾値よりも低い第2の速度閾値以上の操舵速度以上で切り戻し方向に操舵されたとき、操舵角の絶対値が前記所定の角度閾値以上であっても前記第1の制御モードに切り替える、パワーステアリング装置を提供する。
本発明に係るパワーステアリング装置によれば、ステアリングホイールの操舵角が所定値よりも大きいラックエンド付近からの切り戻し時における騒音を抑えながらも、この切り戻し時にアシスト不足の状態が発生してしまうことを抑制することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る電動油圧式のパワーステアリング装置の構成例を模式的に示す構成図である。 油圧制御弁の構成例を示す断面図である。 ECUの電気的構成を示す概略構成図である。 制御モードが第1の制御モードである場合に目標回転速度設定部が参照する第1の目標回転速度マップの一例を示すグラフである。 制御モードが第2の制御モードである場合に目標回転速度設定部が参照する第2の目標回転速度マップの一例を示すグラフである。 制御部が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の形態に係る電動油圧式のパワーステアリング装置の構成例を模式的に示す構成図である。図1では、車両前方からパワーステアリング装置を見た状態を示し、図面右側が車両の左側にあたり、図面左側が車両の右側にあたる。
このパワーステアリング装置1は、ラックアンドピニオン式のものであり、運転者が回転操作するステアリングホイール10と、ステアリングシャフト2と、車両の車幅方向に延在する転舵軸としてのラックシャフト3と、ステアリングシャフト2及びラックシャフト3のそれぞれの一部を収容するハウジング4と、油圧ポンプ51と、油圧ポンプ51を駆動する電動モータ52と、ステアリングホイール10の操舵トルクによって弁開度が変化する油圧制御弁6と、電動モータ52を制御する制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)7とを備えている。
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール10が一端部に固定されたコラムシャフト21と、コラムシャフト21に第1の自在継手201を介して連結された中間シャフト22と、中間シャフト22に第2の自在継手202を介して連結されたピニオンシャフト23とによって構成されている。ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール10の回転操作に応じて回転し、ステアリングホイール10に付与された操舵トルクをラックシャフト3に伝達する。
ピニオンシャフト23は、入力軸231、出力軸232、及び入力軸231と出力軸232とを接続するトーションバー(捩れ軸)233からなり、出力軸232の先端部にピニオン歯部230が設けられている。トーションバー233は、ステアリングホイール10に付与される操舵トルクに応じて捩れる可撓性を有している。ラックシャフト3は、ピニオン歯部230に噛合するラック歯部30を有し、ピニオンシャフト23の回転によって車幅方向に沿った軸方向に移動する。
ラックシャフト3の両端部には、一対のボールジョイントソケット11,11が固定され、これらのボールジョイントソケット11,11にそれぞれタイロッド12,12が連結されている。タイロッド12,12は、ナックル13,13のナックルアーム131,131に連結されている。ナックル13,13は、キングピン14,14を中心として回動可能であり、転舵輪である左右の前輪15,15を支持している。ボールジョイントソケット11,11の外周側には、蛇腹状の弾性体からなるベローズ16,16が配置されている。この構成により、ラックシャフト3は、ステアリングホイール10の操舵操作に応じた軸方向への進退移動によって前輪15,15を転舵させる。
ハウジング4は、ラックシャフト3をその両端部を除いて収容する第1筒部41と、ピニオンシャフト23及び油圧制御弁6を収容する第2筒部42とを有している。ピニオンシャフト23の入力軸231は、出力軸232とは反対側の端部が第2筒部42から突出している。第1筒部41は、長手方向が車幅方向となるように車体に固定され、その両端部にはベローズ16,16が固定されている。
第1筒部41には、ステアリングホイール10の操舵操作を補助する油圧が供給されるパワーシリンダ410が設けられている。パワーシリンダ410には、ステアリングホイール10が右方向へ操舵された際に作動油が供給される右側油圧室411、及びステアリングホイール10が左方向へ操舵された際に作動油が供給される左側油圧室412が設けられており、右側油圧室411と左側油圧室412とがラックシャフト3に設けられたピストン31によって区画されている。パワーシリンダ410は、右旋回時には右側油圧室411に供給される油圧によって、また左旋回時には左側油圧室412に供給される油圧によって、ラックシャフト3に軸方向への油圧力を付与する。パワーシリンダ410の両端部には、一対のシール部材43,43が配置されている。
油圧ポンプ51は、例えばギヤポンプからなり、電動モータ52の回転数に応じた量の作動油をリザーバタンク50から汲み出して油圧制御弁6に供給する。電動モータ52は、例えば三相ブラシレスモータであり、ECU7から供給されるモータ電流によって一方向に回転し、油圧ポンプ51を駆動する。電動モータ52には、ロータの回転角を検出するための回転角センサ521が設けられている。電動モータ52のロータには、油圧ポンプ51との連結のための連結軸53が固定されている。油圧ポンプ51及び電動モータ52は、1つのハウジング54に収容されており、油圧ポンプ51、電動モータ52、連結軸53、及びハウジング54は、電動ポンプユニット5を構成する。油圧制御弁6は、ステアリングホイール10の操舵方向及び操舵トルクに応じて、油圧ポンプ51から吐出された作動油のパワーシリンダ410への供給を制御する。
図2は、油圧制御弁6の構成例を示す断面図である。油圧制御弁6は、筒状の第1バルブ部材61と、第1バルブ部材61の内側に配置された第2バルブ部材62とを備えている。第1バルブ部材61は出力軸232に取り付けられ、第2バルブ部材62は入力軸231に取り付けられている。第1バルブ部材61と第2バルブ部材62とは、トーションバー233の捩れ角に応じて相対回転する。
第1バルブ部材61には、4つの右操舵用凹部611及び4つの左操舵用凹部612が等間隔に設けられている。右操舵用凹部611は、第1バルブ部材61に形成された第1流路613及びハウジング4の第2筒部42に形成された第1出力ポート421(図1参照)を介して右側油圧室411に連通している。左操舵用凹部612は、第1バルブ部材61に形成された第2流路614及び第2筒部42に形成された第2出力ポート422を介して左側油圧室412に連通している。
第2バルブ部材62には、4つの圧油供給用凹部621及び4つの圧油排出用凹部622が等間隔に設けられている。圧油供給用凹部621は、第1バルブ部材61に形成された第3流路615及び第2筒部42に形成された入力ポート420を介して、油圧ポンプ51に連通している。圧油排出用凹部622は第2バルブ部材62に形成された排出路623及びトーションバー233の外周側の通路630を介して第2筒部42に形成された排出ポート423からリザーバタンク50に連通している。
第1バルブ部材61の内周と第2バルブ部材62の外周との間の弁間流路60において、右操舵用凹部611及び左操舵用凹部612と圧油供給用凹部621及び圧油排出用凹部622との間は、トーションバー233の捩じれ量に応じて開度が変化する絞り6a〜6dとなっている。そして、絞り6a〜6dの開度変化により右側油圧室411及び左側油圧室412にそれぞれ供給される油圧が制御され、余剰な作動油はリザーバタンク50に還流する。
図2は、操舵トルクがゼロの状態を示しており、この状態では圧油供給用凹部621と圧油排出用凹部622とが絞り6a〜6dを介して連通するため、油圧ポンプ51ら供給された作動油はリザーバタンク50へ還流し、ラックシャフト3に操舵補助力としての油圧力が付与されない。一方、ステアリングホイール10が右方向に操舵された際には、絞り6a,6bの開度が大きくなり、絞り6c,6dの開度が小さくなる。これにより、油圧ポンプ51から右側油圧室411へ作動油が供給され、ラックシャフト3に前輪15,15を右方向に転舵させる油圧力が付与される。また、ステアリングホイール10が左方向に操舵された際には、絞り6c,6dの開度が大きくなり、絞り6a,6bの開度が小さくなる。これにより、油圧ポンプ51から左側油圧室412へ作動油が供給され、ラックシャフト3に前輪15,15を左方向に転舵させる油圧力が付与される。
この油圧制御弁6の構成により、一方向のみに回転する電動モータ52に駆動される油圧ポンプ51から吐出される作動油が、操舵方向が右方向であるときには右側油圧室411に、操舵方向が左方向であるときには左側油圧室412に、それぞれ操舵トルクに応じて供給される。
ECU7は、操舵角センサ80、車速センサ81、及び温度センサ82の検出結果を取得可能である。操舵角センサ80は、例えば絶対角を検出可能なレゾルバであり、ステアリングホイール10の中立位置からの正逆両方向の回転量(操舵角θs)を検出する。本実施の形態では、ステアリングホイール10が中立位置から右方向へ操舵された場合の回転量を正とし、ステアリングホイール10が中立位置から左方向へ操舵された場合の回転量を負として説明する。車速センサ81は、パワーステアリング装置1が搭載された車両の走行速度(車速)を検出し、温度センサ82は、電動モータ52の温度を検出する。
図3は、ECU7の電気的構成を示す概略構成図である。ECU7は、CPUが予め記憶されたプログラムを実行することによって各種の演算処理を実行する制御部70と、直流電圧源(例えばバッテリー)の電圧をスイッチングして電動モータ52にモータ電流を供給するインバータ回路700とを有している。制御部70は、操舵速度演算部71、制御モード切替部72、目標回転速度設定部73、回転角演算部74、回転速度演算部75、速度偏差演算部76、PI(Proportional-Integral)制御部77、及びPWM(Pulse Width Modulation)制御部78として機能する。
制御部70は、車速及びステアリングホイール10の回転速度である操舵速度(絶対値)に基づいて電動モータ52の回転速度を制御する第1の制御モードと、操舵角θsの大きさ(絶対値)に基づいて電動モータ52の回転速度を制御する第2の制御モードとを切り替え可能であり、第1及び第2の制御モードの何れかを選択して電動モータ52を制御する。具体的には、インバータ回路700から電圧が出力される時間の割合であるデューティー比を調節することによってモータ電流を増減させ、電動モータ52の回転速度を制御する。第1の制御モードでは、第2の制御モードよりも電動モータ52の回転速度が高くなる傾向にある。
操舵速度演算部71は、操舵角センサ80によって検出された操舵角θsを時間微分して操舵速度ωhを演算する。ステアリングホイール10が中立位置よりも右に操舵されている場合、操舵角θsは正値となり、ステアリングホイール10が中立位置よりも左に操舵されている場合、操舵角θsは負値となる。操舵角θsが正で操舵方向が正方向の場合、もしくは操舵角θsが負で操舵方向が負方向の場合には、ステアリングホイール10が切り込み中であることとなる。また、操舵角θsが正で操舵方向が負方向の場合、もしくは操舵角θsが負で操舵方向が正方向の場合には、ステアリングホイール10が切り戻し中であることとなる。
制御モード切替部72は、操舵角θsの時間的な変化に基づいて、操舵方向が右方向(正方向)であるか左方向(負方向)であるかを判定する。また、制御モード切替部72は、所定の条件に基づいて、電動モータ52を第1の制御モードで制御するか第2の制御モードで制御するかを切り替える。第1の制御モードから第2の制御モードへ制御モードを切り替える切り替え条件は、サブ条件a〜dを、
条件a:車速Vが所定の車速閾値(例えば10km/h)未満であること
条件b:操舵角θsの絶対値が所定の角度閾値(例えば500°)以上でかつ切り込み中であること
条件c:操舵速度ωhが第1の速度閾値(例えば300°/s)以下であること
条件d:温度センサ82の検出値が常温を含む所定の温度範囲内(例えば0〜80℃)であること
としたとき、これらの条件a〜dを全て満たすこと(a×b×c×d)である。
ここで、条件dは、温度センサ82の検出値が上記の温度範囲外である場合には電動モータ52及び油圧ポンプ51を高速で回転させて作動油を循環させることが望ましいという知見に基づいて付加されたものである。すなわち、温度センサ82の検出値が上記の温度範囲を下回る場合には、電動モータ52を高速で回転させることによって電動ポンプユニット5内の温度が上昇し、この熱によって作動油の温度が上昇することで、作動油の温度低下による流動性の低下が抑制される。また、温度センサ82の検出値が上記の温度範囲を上回る場合には、電動モータ52を高速で回転させることにより、パワーシリンダ410等で冷却された作動油によって電動ポンプユニット5内の温度が低下する。これにより電動モータ52が冷却され、電動モータ52の温度上昇による効率低下が緩和される。
一方、第2の制御モードから第1の制御モードへ制御モードを切り替える切り替え条件(第1の制御モードへの復帰条件)は、サブ条件e〜iを、
条件e:車速Vが上記の車速閾値以上であること
条件f:操舵角θsの絶対値が上記の角度閾値以上でかつ切り戻し中であり、かつ操舵速度ωhが上記第1の速度閾値よりも低い第2の速度閾値(例えば30°/s)以上であること
条件g:操舵角θsの絶対値が上記の角度閾値よりも小さいこと
条件h:温度センサ82の検出値が上記の温度範囲外(0℃未満または80℃より高温)であること
条件i:操舵速度ωhが上記第1の速度閾値よりも高い第3の速度閾値(例えば350°/s)以上であること
としたとき、条件e、条件f、条件g、条件h、及び条件iのうち少なくとも何れか1つを満たすこと(e+f+g+h+i)である。なお、ECU7の電源投入後の制御開始時には、制御モードを第1の制御モードとして電動モータ52を制御する。
目標回転速度設定部73は、制御モード切替部72の条件判断の結果に基づいて、電動モータ52の回転速度の目標値である目標回転速度Vmを設定する。目標回転速度設定部73は、第1の制御モードで電動モータ52を制御するか、第2の制御モードで電動モータ52を制御するかによって、目標回転速度Vmの演算方法が異なる。この目標回転速度Vmの演算方法については後述する。
回転角演算部74は、回転角センサ521の出力信号に基いて電動モータ52のロータの回転角を求め、電気角θe及び機械角θmを演算する。電気角θeの情報は、PWM制御部78に与えられる。機械角θmの情報は、回転速度演算部75に与えられる。回転速度演算部75は、機械角θmを時間微分することにより、電動モータ52の実際の回転速度である実回転速度Vmを演算する。
速度偏差演算部76は、目標回転速度Vmと実回転速度Vmとの偏差ΔVm(=Vm−Vm)を演算する。PI制御部77は、速度偏差演算部76によって演算された回転速度偏差ΔVmに対してPI演算を行ない、電動モータ52に印加すべき実効電圧を示す制御電圧値を演算する。具体的には、フィードバック制御によって実回転速度Vmが目標回転速度Vmに近づくように制御電圧値を演算する。
PWM制御部78は、PI制御部77によって演算された制御電圧値と、回転角演算部74によって演算された電気角θeとに基いてPWM信号を生成し、インバータ回路700に供給する。インバータ回路700は、PWM信号に基づいてスイッチング素子をオン・オフさせ、電動モータ52にモータ電流を供給する。
図4は、制御モードが第1の制御モードである場合に目標回転速度設定部73が参照する第1の目標回転速度マップM1の一例を示すグラフである。この第1の目標回転速度マップM1には、複数の車速ごとに、操舵速度ωh(°/s)とこれに対応する目標回転速度Vm(rpm)との関係が定義されている。図4に示す例では、0,10,30,70,100,130,及び160km/sの各車速ごとに、操舵速度ωhが0,10,20,50,100,200,及び400°/sである場合の目標回転速度Vmが定義されている。目標回転速度設定部73は、第1の制御モードにおいて、車速センサ81で検出された車速V及び操舵速度演算部71で演算された操舵速度ωhに基づき、第1の目標回転速度マップM1を線形補間して目標回転速度Vmを演算する。図4に示すように、目標回転速度Vmは、車速Vが高いほど小さく、また操舵速度ωhが高いほど大きな値となる。
図5は、制御モードが第2の制御モードである場合に目標回転速度設定部73が参照する第2の目標回転速度マップM2の一例を示すグラフである。この第2の目標回転速度マップM2には、複数の操舵角θs(°)の大きさ(絶対値|θs|)に対応する目標回転速度Vm(rpm)の関係が定義されている。図4に示す例では、400,500,600,及び700°の各操舵角θsの絶対値に対応する目標回転速度Vmが定義されている。目標回転速度設定部73は、第2の制御モードにおいて、第2の目標回転速度マップM2を線形補間して目標回転速度Vmを演算する。図5に示すように、目標回転速度Vmは、操舵角θsの絶対値が大きいほど小さな値となる。
図6は、制御部70が、制御モード切替部72、目標回転速度設定部73、速度偏差演算部76、PI制御部77、及びPWM制御部78として実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部70は、所定の演算周期(例えば5ms)ごとにこのフローチャートに示す処理を繰り返し実行する。
図6に示すフローチャートにおいて、Fmは制御モードを示す制御モードフラグであり、Fm=0の場合には現在の制御モードが第1の制御モードであることを示し、Fm=1の場合には現在の制御モードが第2の制御モードであることを示す。また、Ftは、目標回転速度Vmの急激な変動を抑制する徐変処理の実行中であるか否かを示す徐変処理実行中フラグであり、Ft=0の場合には徐変処理の実行中ではないことを示し、Ft=1の場合には徐変処理の実行中であることを示す。
制御部70はまず、現在の制御モードが第1の制御モードであるか否か判別する(ステップS1)。制御モードが第1の制御モードである場合(S1:Yes)、制御部70は、第1の制御モードから第2の制御モードへの切り替え条件が成立しているか否かを判定する(ステップS2)。この判定は、上記の条件式(a*b*c*d)に基づいて行われる。第2の制御モードへの切り替え条件が成立していれば(S2:Yes)、制御モードフラグFm及び徐変処理実行中フラグFtを1とし(ステップS3,S4)、切替経過カウンタを0とし(ステップS5)、切替時間をTとし(ステップS6)、さらにその時点での電動モータ52の実際の回転速度(実回転速度Vm)を記憶する(ステップS7)。
切替経過カウンタは、後述するステップS22及びS23の処理で用いられる変数である。切替時間は、後述するステップS23の判定処理及びステップS25の徐変処理で用いられる変数であり、徐変処理に掛ける時間を示すものである。ステップS6の処理において切替時間が長い時間に設定されるほど、目標回転速度Vmの変化が緩やかになる。この切替時間は、例えば第1の目標回転速度マップM1を参照した場合の目標回転速度Vmと、第2の目標回転速度マップM2を参照した場合の目標回転速度Vmとの差が大きいほど大きな値に設定してもよいが、固定値であってもよい。固定値の場合、切替時間を例えば90〜100msに設定することができる。
一方、ステップS1の判定で現在の制御モードが第2の制御モードである場合(S1:No)、制御部70は、上記の条件iが満たされているか否か、すなわち操舵速度ωhが第3の速度閾値以上か否かを判定する(ステップS8)。操舵速度ωhが第3の速度閾値以上である場合(S8:Yes)、制御部70は、制御モードフラグFm及び徐変処理実行中フラグFtを0とする(ステップS9,S10)。
また、操舵速度ωhが第3の速度閾値以上でない場合(S8:No)、制御部70は、第2の制御モードから第1の制御モードへの他の切り替え条件が成立しているか否かを判定する(ステップS11)。この判定は、上記の条件e、条件f、条件g、及び条件hのうち少なくとも何れか1つ(e+f+g+h)が成立するか否かに基づいて行われる。
この判定の結果、第1の制御モードへの切り替え条件が成立していれば(S11:Yes)、制御モードフラグFmを0とし(ステップS12)、徐変処理実行中フラグFtを1とし(ステップS13)、切替経過カウンタを0とし(ステップS14)、切替時間をTとし(ステップS15)、さらにその時点での電動モータ52の実際の回転速度(実回転速度Vm)を記憶する(ステップS16)。ステップS15の切替時間は、例えばステップS6の処理と同様に設定することができる。
なお、上記ステップS1〜S16の処理は、制御部70が制御モード切替部72として実行する処理である。
次に、制御部70は、徐変処理実行中フラグFtが0であるか否かを判定する(ステップS17)。徐変処理実行中フラグFtが0(徐変処理が非実行中)である場合(S17:Yes)、制御部70は、制御モードフラグFmが0であるか否かを判定する(ステップS18)。制御モードフラグFmが0(第1の制御モード)である場合(S18:Yes)、制御部70は、車速V及び操舵速度ωhに基づいて第1の目標回転速度マップM1を参照し、目標回転速度Vmを設定する(ステップS19)。また、制御モードフラグFmが1(第2の制御モード)である場合(S18:No)、制御部70は、操舵角θsの大きさに基づいて第2の目標回転速度マップM2を参照し、目標回転速度Vmを設定する(ステップS20)。
一方、ステップS17の判定において徐変処理実行中フラグFtが1(徐変処理が実行中)である場合(S17:No)、制御部70は、その時点での電動モータ52の回転速度を取得し(ステップS21)、切替経過カウンタをインクリメントする(ステップS22)。次に制御部70は、切替経過カウンタが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS23)。この閾値は、ステップS6又はS15で設定された切替時間に応じて定められる。例えば演算周期が5msで切替時間が100msの場合、ステップS23の閾値は20に設定される。
ステップS23の判定処理で切替経過カウンタが閾値以上である場合(S23:Yes)、制御部70は、徐変処理実行中フラグFtを0とし(ステップS24)、ステップS18以降の処理を実行する。一方、ステップS23の判定処理で切替経過カウンタが閾値未満である場合(S23:No)、制御部70は、目標回転速度Vmの徐変処理を実行する(ステップS25)。
徐変処理は、第1の制御モードから第2の制御モードへの移行時ならびに第2の制御モードから第1の制御モードへの移行時に、目標回転速度Vmを移行先の制御モードでの値に徐々に近づける処理である。徐変処理として、具体的には、ステップS7又はS16で記憶された電動モータ52の回転速度と、その時点での移行先の制御モードでの目標回転速度Vmとの差を演算し、この差を切換経過カウンタの残り値で除した値を前回の演算周期における目標回転速度Vmに加算又は減算する。ここで、切換経過カウンタの残り値とは、あと何回の演算周期で切換経過カウンタが閾値以上となるかを示す値、すなわちその時点での切換経過カウンタの値とステップS23の閾値との差を示す値である。
この徐変処理により、ステップS6又はS15で設定された切替時間を掛けて、目標回転速度Vmが移行先の制御モードでの値に徐々に近づく。これにより、第1の制御モードから第2の制御モードへの移行時ならびに第2の制御モードから第1の制御モードへの移行時に、電動モータ52が急加速又は急減速することが抑制される。
ステップS17〜S25の処理は、制御部70が目標回転速度設定部73として実行する処理である。その後、制御部70は、速度偏差演算部76及びPI制御部77として、速度偏差ΔVmに基づいてPI制御を行ない(ステップS26)、またPWM制御部78としてPWM信号を生成し、インバータ回路700に供給する(ステップS27)。
以上説明した制御部70の処理によれば、操舵角θsの絶対値が所定の角度閾値以上で、操舵方向が切り込み方向であり、かつ操舵速度ωhが第1の速度閾値以下であることを条件として第1の制御モードから第2の制御モードに切り替えられる。また、第2の制御モードでの制御中に、操舵方向が切り戻し方向でありかつ操舵速度が第1の速度閾値よりも低い第2の速度閾値以上となったとき、操舵角θsの絶対値が上記の角度閾値以上であっても第1の制御モードに切り替えられる。これにより、操舵角θsが最大舵角付近であるラックエンド付近からの切り戻し時には、第2の制御モードから第1の制御モードに移行しやすくなり、アシスト不足の状態が発生することを抑制できる。また、ラックエンド付近からの切り戻し時であっても、操舵速度が第2の速度閾値未満であれば第2の制御モードが維持されるので、電動モータ52及び油圧ポンプ51の騒音を抑えることができる。
また、例えばステアリングホイール10が第2の速度閾値以上の操舵速度で切り戻し方向に操舵されて第2の制御モードから第1の制御モードに移行する際には、電動モータ52の回転速度の目標値を第1の制御モードでの目標値に徐々に近づける徐変処理が実行されるので、電動モータ52及び油圧ポンプ51の回転速度が急変することが抑制され、さらに騒音を抑えることができる。
また、第1の制御モードから第2の制御モードへの切り替え条件として、温度センサ82により検出される電動モータ52の温度が常温を含む所定の温度範囲内であることを含むので、低温時における作動油の流動性低下ならびに高温時における電動モータ52の効率低下を抑制することができる。
(付記)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、これらの実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記の実施の形態では、油圧ポンプ51及び電動モータ52がハウジング54内にユニット化された場合について説明したが、これに限らず、油圧ポンプ51及び電動モータ52がユニット化されていなくともよい。
1…パワーステアリング装置
10…ステアリングホイール
15…前輪(転舵輪)
3…ラックシャフト(転舵軸)
410…パワーシリンダ(シリンダ)
51…油圧ポンプ
52…電動モータ
6…油圧制御弁
7…ECU(制御装置)

Claims (3)

  1. ステアリングホイールの操舵操作に応じた軸方向への進退移動によって車両の転舵輪を転舵させる転舵軸と、前記転舵軸に前記軸方向への油圧力を付与するシリンダと、油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動する電動モータと、前記油圧ポンプから吐出された作動油の前記シリンダへの供給を制御する油圧制御弁と、前記電動モータを制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、車速及び操舵速度に基づいて前記電動モータの回転速度を制御する第1の制御モードと、操舵角の大きさに基づいて前記電動モータの回転速度を制御する第2の制御モードとを切り替え可能であり、操舵角の絶対値が前記所定の角度閾値以上でかつ操舵速度が第1の速度閾値以下であることを条件として前記第1の制御モードから前記第2の制御モードに切り替え、前記第2の制御モードでの制御中に前記第1の速度閾値よりも低い第2の速度閾値以上の操舵速度以上で切り戻し方向に操舵されたとき、操舵角の絶対値が前記所定の角度閾値以上であっても前記第1の制御モードに切り替える、
    パワーステアリング装置。
  2. 前記制御装置は、前記第2の制御モードから前記第1の制御モードに切り替えるとき、前記電動モータの回転速度の目標値を前記第1の制御モードでの目標値に徐々に近づける徐変処理を実行する、
    請求項1に記載のパワーステアリング装置。
  3. 前記第1の制御モードから前記第2の制御モードへの切り替え条件として、前記電動モータの温度が常温を含む所定の温度範囲内であることを含む、
    請求項1又は2に記載のパワーステアリング装置。
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