JP4752393B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上記従来技術の未解決の問題点を解決することを目的とするものであって、転舵速度が高速であるときに、操向輪の転舵角が最大転舵角で制限されるときに操舵アシストによって生じる衝撃を十分に低減することができるパワーステアリング装置を提供することを課題とする。
<第1実施形態>
即ち、この車両は、本実施形態のパワーステアリング装置を搭載することによって、通常時には、ハンドルに加えられた操舵トルクに基づいて、ステアリングラックに連結されたピストンで区切られるパワーシリンダの左右2室のうち操舵をアシストする方向と反対側のパワーシリンダ室に送液することで、運転者の操舵アシストを行うように構成されている。
図1は、本発明のパワーステアリング装置の一実施形態を示す構成図である。この図1に示すように、パワーステアリング装置1は、パワーステアリング機構2、ポンプユニット3、トルクセンサ4、車速センサ5及びEPSコントローラ6を含んで構成される。
パワーステアリング機構2は、ピストン2a及びパワーシリンダ2bを含んで構成される。ピストン2aは、ステアリングラック100に連結され、ステアリングラック100と一体にパワーシリンダ2b内を左右方向に移動可能に構成される。なお、ステアリングラック100は、左方向に移動すると操向輪101L、101Rを右旋回側に転舵し、右方向に移動すると操向輪101L、101Rを左旋回側に転舵する。
そして、パワーステアリング機構2は、各パワーシリンダ室2L、2R間に差圧が発生すると、高圧のパワーシリンダ室側から低圧のパワーシリンダ室側にピストン2aを押す力を生じ、ステアリングラック100を低圧のパワーシリンダ室側に押し進める。
電動モータ3cは、EPSコントローラ6から出力されるモータ制御信号Tr(後述)に基づいてオイルポンプ3aを駆動する。また、電動モータ3cは、電動モータ3cの回転角度を示すモータ角度信号θfをEPSコントローラ6に出力する。
また、ポンプユニット3は、EPSコントローラ6からバルブ制御信号Vrを取得すると、バイパス弁3bを開いた状態とし、高圧のパワーシリンダ室から低圧のパワーシリンダ室への油の流入を可能として各パワーシリンダ室2L、2R間の差圧を小さくする。
車速センサ5は、自車両の車速を検出する。そして、車速センサ5は、その検出結果(車速)を示す車速信号VをEPSコントローラ6に出力する。
図3は、本実施形態のEPSコントローラ6の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、EPSコントローラ6は、基本アシスト指令値演算部6a、ラックストローク速度演算部6b、ラック端検出部6c、ハンドル切り返し検出部6d、ラック端検出時モータ指令値演算部6e、切り替えスイッチ6f、モータ制御部6g及びバイパス弁制御部6hを含んで構成される。
ラックストローク速度演算部6bは、電動モータ3cからのモータ角度信号θfに基づいてピストン2aの移動速度(ラックストローク速度ω)を算出し、そのラックストローク速度をラック端検出部6cとラック端検出時モータ指令値演算部6eとに出力する。
バイパス弁制御部6hは、ラック端検出部6cから出力されるラック端フラグReとハンドル切り返し検出部6dから出力されるハンドル切り返しフラグRfとラック端検出時モータ指令値演算部6eから出力されるバイパス弁閉鎖指令、或いはバイパス弁開放指令とに基づいて開閉動作を制御するバルブ制御信号Vrをバイパス弁3bに出力する。
次に、ラック端検出時モータ指令値演算部6eで実行されるモータ指令演算処理を図4のフローチャートに従って説明する。このモータ指令演算処理は、所定時間(例えば、10msec.)が経過するたびに実行される処理であって、図4に示すように、まず、そのステップS101で、ラック端検出部6cから出力されるラック端検出フラグReと、ラックストローク速度演算部6bから出力されるラックストローク速度ωとを取得する。
前記ステップS101では、バイパス弁閉鎖指令をバイパス弁制御部6hに出力する。
一方、前記ステップS105では、前記ステップS101で取得されたラック端検出フラグReが「1」のセット状態(操向輪の転舵角の絶対値が特定転舵角以上)であるか否かを判定する。「1」のセット状態である場合には(Yes)ステップS106に移行し、「0」のリセット状態である場合には(No)前記ステップS101に移行する。
前記ステップS107では、バイパス弁開放指令をバイパス弁制御部6hに出力する。
次にステップS108に移行して、低圧側の油圧管に送液するように電動モータ3cを駆動させる第2モータ指令値Ta2(=CurrentTyp(一定))を切り替えスイッチ6fに出力してから、前記ステップS105に移行する。
次に本実施形態のパワーステアリング装置の動作を具体的状況に基づいて説明する。
まず、運転者がステアリングホイール103を左方向に高速に操舵したとする。すると、図5の時刻t1未満に示すように、操向輪101L、101Rの転舵角の絶対値が特定転舵角より小さいときには、ラック端検出部6cで、ラック端フラグReが「0」とされ、ハンドル切り返し検出部6dでハンドル切り返しフラグRfが「0」とされ、それらのフラグRe及びRfがラック端検出時モータ指令値演算部6eに出力される。また、基本アシスト指令値演算部6aで、操舵アシストのための第1モータ指令値Ta1が算出され、その第1モータ指令値Ta1が切り替えスイッチ6fに出力される。
また、ラック端検出時モータ指令値演算部6eで、モータ指令演算処理が実行されると、図4に示すように、前記ステップS101を経て、前記ステップS102の判定が「Yes」となり、ステップS105の判定が「Yes」となり、ステップS106の判定が「No」となり、ステップS107で、バイパス弁開放指令がバイパス弁制御部6hに出力され、ステップS108で、第2モータ指令値Ta2(=CurrentTyp(一定))が切り替えスイッチ6fに出力された後、前記ステップS105に移行する。
一方、転舵角が最大転舵角に到達した後に、運転者がステアリングホイール103を切り返したとすると、ハンドル切り返し検出部6dで、切り返しフラグRfが「1」とされ、ラック端検出時モータ指令値演算部6eに出力される。
また、ラック端検出時モータ指令値演算部6eで、モータ指令演算処理が実行されると、図4に示すように、前記ステップS101〜S105を経て、前記ステップS106の判定が「Yes」となり、前記ステップS101で、バイパス弁閉鎖指令がバイパス弁制御部6hに出力され、前記ステップS104で、第2モータ指令値Ta2(=0)が切り替えスイッチ6fに出力された後、この演算処理を終了する。
さらに、運転者によるステアリングホイール103の切り返し操作が行われると、バイパス弁3bを閉状態とすると共に、操舵トルクや車速に応じた操舵アシストを行うようにした。そのため、ステアリングホイール103の切り返し操作時には、運転者は小さい操舵トルクで操舵することができ、スムーズに切り返し操作を行うことができる。
次に、本発明のパワーステアリング装置の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
この第2実施形態は、操向輪101L、101Rの舵角の絶対値が特定角度を超えた場合には、ラックストローク速度ωが大きいほど、低圧側のパワーシリンダ室への送液量が多くなるようにした点が、前記第1実施形態と異なる。
具体的には、図9に示すように、第2実施形態では、図4のステップS108に代えて、ステップS201〜S204を用いるようになっている。
前記ステップS201では、ラックストローク速度演算部6bから出力されるラックストローク速度ωを取得してから、前記ステップS203に移行する。
前記ステップS202では、前記ステップS201で取得されたラックストローク速度ωに基づき、図10の制御マップに従って第2モータ指令値Ta2の算出に用いる第3モータ指令値Txを算出してから、前記ステップS203に移行する。
前記ステップS203では、前記ステップS201で取得されたラックストローク速度ωに基づき、図11の制御マップに従って第2モータ指令値Ta2の算出に用いる第1モータゲインGe1を算出してから、前記ステップS204に移行する。
このように、本実施形態のパワーステアリング装置1にあっては、ラックストローク速度ωが大きいほど低圧側のパワーシリンダ室への送液量が大きくなるように第3モータ指令値Txを算出するようにした。そのため、転舵速度が速いほど低圧側のパワーシリンダ室の液圧を増大し、操舵をアシストする方向と反対側のパワーシリンダ室側にピストン2aを押す力を大きくすることができ、転舵速度がより速くても、転舵角が最大転舵角で制限されるときに生じる衝撃を十分に小さくすることができる。
次に、本発明のパワーステアリング装置の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
この第3実施形態は、操向輪101L、101Rの舵角の絶対値が特定角度を超えた場合には、運転者による操舵トルクが小さくなると、オイルポンプ3aの駆動を停止するようにした点が、前記第2実施形態とは異なる。
具体的には、図13に示すように、第3実施形態では、図9のステップS201に代えてステップS301を用い、ステップS204に代えてステップS302及びS303を用いるようになっている。
前記ステップS301では、ラックストローク速度演算部6bから出力されるラックストローク速度ωと、トルクセンサ4から出力される操舵トルク信号Tqとを取得してから、前記ステップS202に移行する。
前記ステップS302では、前記ステップS301で取得された操舵トルク信号Tqに基づき、図14の制御マップに従って第2モータ指令値Ta2の算出に用いる第2モータゲインGe2を算出してから、前記ステップS303に移行する。
前記ステップS303では、前記ステップS202で算出された第3モータ指令値Txに、前記ステップS203で算出された第1モータゲインGe1と前記ステップS302で算出された第2モータゲインGe2とを乗じ、その乗算結果を第2モータ指令値Ta2として切り替えスイッチ6fに出力する。
なお、本発明のパワーステアリング装置1は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
Claims (5)
- ステアリングラックに連結されて左右方向に移動可能なピストンで左右2室に区切られたパワーシリンダと、前記左右2室のいずれかに送液するポンプと、運転者のハンドル操作状態に基づいて前記ポンプの駆動を制御することで、前記運転者の操舵アシストを行うアシスト操舵制御手段と、前記左右2室間を連通するバイパス路と、前記バイパス路を開閉可能なバイパス弁とを備え、
前記アシスト操舵制御手段は、操向輪が最大転舵角付近となったときには、前記バイパス弁を開状態とすると共に、低圧側のパワーシリンダ室に送液するように前記ポンプを駆動する最大転舵時制御を実行し、前記最大転舵時制御の実行時には、ハンドルに加えられた操舵トルクが所定値以下となると、前記ポンプの駆動を停止することを特徴とするパワーステアリング装置。 - 前記アシスト操舵制御手段は、前記最大転舵時制御の実行時には、ハンドル操作方向が反転すると、前記バイパス弁を閉状態とすると共に、前記運転者の操舵アシストを再開することを特徴とする請求項1に記載のパワーステアリング装置。
- ステアリングラックに連結されて左右方向に移動可能なピストンで左右2室に区切られたパワーシリンダと、前記左右2室のいずれかに送液するポンプと、運転者のハンドル操作状態に基づいて前記ポンプの駆動を制御することで、前記運転者の操舵アシストを行うアシスト操舵制御手段と、前記左右2室間を連通するバイパス路と、前記バイパス路を開閉可能なバイパス弁とを備え、
前記アシスト操舵制御手段は、操向輪が最大転舵角付近となったときには、前記バイパス弁を開状態とすると共に、低圧側のパワーシリンダ室に送液するように前記ポンプを駆動する最大転舵時制御を実行し、前記最大転舵時制御の実行時には、ハンドル操作方向が反転すると、前記バイパス弁を閉状態とすると共に、前記運転者の操舵アシストを再開することを特徴とするパワーステアリング装置。 - 前記アシスト操舵制御手段は、前記最大転舵時制御の実行時には、前記ピストンのストローク速度が大きいほど、前記低圧側のパワーシリンダ室への送液量が大きくなるように前記ポンプを駆動することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のパワーステアリング装置。
- 前記アシスト操舵制御手段は、前記最大転舵時制御の実行時には、前記ピストンのストローク速度が所定値以下となると、前記ストローク速度の減少に応じて前記低圧側のパワーシリンダ室への送液量を徐々に小さくすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のパワーステアリング装置。
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