[本願発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一態様に係る光受信器は、光受信信号を受信する光受信器であって、第1の制御信号に応じて増減する減衰量によって光受信信号を減衰させた第1の光出力を出力する可変光減衰器と、第2の制御信号に応じて増減する利得によって第1の光出力を増幅した第2の光出力を出力する半導体光増幅器と、第2の光出力を電気信号に変換し、電気信号に応じたモニタ信号を出力する光受信部と、モニタ信号と出力設定信号とを比較し、当該比較の結果に応じて第1の制御信号を生成する比較回路と、第1の制御信号に応じて第2の制御信号および出力設定信号を生成する制御部と、を備え、比較回路は、モニタ信号が出力設定信号よりも大きいときは、モニタ信号と出力設定信号との差分が大きくなるほど第1の制御信号を大きくし、モニタ信号が出力設定信号よりも小さいときは、第1の制御信号として所定の範囲内の出力値を出力し、可変光減衰器は、第1の制御信号が大きいほど減衰量を大きくし、半導体光増幅器は、第2の制御信号が大きくなるほど利得を大きくし、制御部は、第1の制御信号が第1の閾値よりも小さいときは、第2の制御信号を第1の上限値より小さい範囲内で第1の増加値だけ増やすとともに出力設定信号を第1の上限値に応じて設定される第2の上限値より小さい範囲内で第1の増加値に応じて増やし、第1の制御信号が第1の閾値よりも大きい第2の閾値より大きいときは、第2の制御信号を第1の上限値よりも小さい第1の下限値より大きい範囲内で第1の減少値だけ減らすとともに出力設定信号を第1の下限値に応じて設定される第2の下限値より大きい範囲内で第1の減少値に応じて減らし、第1の制御信号が第1の閾値以上、かつ、第2の閾値以下の範囲内にあるときは、第2の制御信号及び出力設定信号を同じ値に維持する。
この光受信器では、受信した光受信信号の光パワー値に応じたモニタ信号と出力設定信号とが比較され、モニタ信号が出力設定信号よりも大きいときには、これらの差分が大きいほど第1の制御信号が大きくされ、該第1の制御信号に応じて決定される第2の制御信号に応じて、半導体光増幅器における利得が決定される。そして、第1の制御信号が第1の閾値よりも小さいとき(例えば増幅領域において過渡的に第1の制御信号が小さな値となっている場合)には、第2の制御信号が第1の上限値よりも小さい範囲内で第1の増加値だけ増やされ、出力設定信号が第1の上限値に応じた第2の上限値よりも小さい範囲内で第1の増加値に応じて増やされる。これにより、増幅領域において半導体光増幅器の利得を増やす場合において、併せて出力設定信号が増加するので、第1の制御信号を小さい状態に維持することができる。また、第1の制御信号が第1の閾値よりも大きい第2の閾値より大きいとき(例えば利得増幅領域において過渡的に第1の制御信号が大きな値となっている場合)には、第2の制御信号が第1の上限値よりも小さい第1の下限値より大きい範囲内で第1の減少値だけ減らされ、出力設定信号が第1の下限値に応じた第2の下限値より大きい範囲内で第1の減少値に応じて減らされる。このように、第2の制御信号を減少させる場合に、出力設定信号を併せて減少させることにより、利得抑制領域において、可変光減衰器における減衰が行われない状態となることを抑制している。また、第2の制御信号を減少させながらも、所定の下限値よりは減少しないように制御することにより、受信誤り率が高くなること、および、半導体光増幅器の光出力パワーが光受信部のダイナミックレンジの範囲外となり易くなることを抑制できる。さらに、第1の制御信号が第1の閾値以上であって第2の閾値以下の範囲内にあるときには、第2の制御信号及び出力設定信号が同じ値に維持される。このように、第2の制御信号および出力設定信号を所定の下限値に固定することにより、光入力パワーが大きくなることにより、第2の光出力の出力値がわずかに増加することとなる。これにより、モニタ信号が増加し第1の制御信号が増加することとなるので、可変光減衰器において光受信信号が適切に減衰され、半導体光増幅器からの出力を抑制することができる。すなわち、半導体光増幅器の光出力パワーを光受信部のダイナミックレンジの上限の範囲内とすることができる。
本発明の一態様に係る光受信器において、光受信信号は、互いに異なる複数の光信号が多重化されて構成され、光受信部は、光受信信号を複数の光信号に分離する光分波器と、光分波器によって分離された複数の光信号のそれぞれに応じて電気信号を生成する複数の受光素子と、複数の受光素子によって生成された電気信号のうち、出力値が最大である電気信号の出力値をモニタ信号として出力するモニタ信号回路と、を有していてもよい。このように、出力値が最大である電気信号の出力値がモニタ信号とされることにより、半導体光増幅器の光出力パワーが光受信部のダイナミックレンジの上限値を超えることを、より効果的に抑制することができる。
本発明の一態様に係る光受信器において、制御部は、定常動作状態において、第1の制御信号が、第1の閾値以上、かつ、第2の閾値以下の範囲内にあるとき、光受信信号の光パワー値が第1の境界値に達するまでは第2の制御信号を第1の上限値に設定し、第1の境界値を超えて第1の境界値より大きい第2の境界値に達するまでは第2の制御信号を光受信信号の光パワー値の増加とともに減少させ、第1の制御信号が、第2の閾値より大きいとき、第2の制御信号を第1の下限値に設定してもよい。これにより、定常動作状態において、第1の制御信号が第2の閾値以下である場合において、光受信信号が第1の境界値に達するまで(例えば増幅領域である場合)は第2の制御信号が第1の上限値に設定される。このことで、光受信器に入力される光パワー値が小さい場合において、半導体光増幅器の増幅量を大きくすることができる。よって、第1の上限値を適切に設定しておくことにより、半導体光増幅器の光出力パワーを光受信部のダイナミックレンジの上限の範囲内とすることができる。また、光受信信号が第1の境界値を超えて第2の境界値に達するまで(例えば利得増幅領域)は第2の制御信号が光受信信号の光パワー値の増加と共に減少させられ、第1の制御信号が第2の閾値より大きいとき(例えば減衰領域)には、第2の制御信号が第1の下限値に設定される。第2の制御信号が過度に低電流となった場合には、受信誤り率が高くなること、および、半導体光増幅器の光出力パワーが光受信部のダイナミックレンジの範囲外となり易くなることが問題となる。この点、例えば当該問題が発生しない程度に大きい電流下限値を設けて、第2の制御信号を当該電流下限値よりも大きくすることにより、上述した問題が発生することを抑制することができる。
本発明の他の態様に係る光受信器の製造方法は、光受信信号を受信し、第1の制御信号を受け、第1の制御信号が大きいほど大きくなる減衰量によって光受信信号を減衰させた第1の光出力を出力する可変光減衰器と、第2の制御信号を受け、第2の制御信号が大きいほど大きくなる利得によって第1の光出力を増幅した第2の光出力を出力する半導体光増幅器と、第2の光出力を電気信号に変換し、電気信号に応じたモニタ信号を出力する光受信部と、モニタ信号と出力設定信号とを比較し、当該比較の結果に応じて第1の制御信号を生成する比較回路と、第1の制御信号に応じて第2の制御信号および出力設定信号を生成する制御部と、を備える光受信器の制御方法であって、モニタ信号が出力設定信号よりも大きいときは、モニタ信号と出力設定信号との差分が大きくなるほど第1の制御信号を大きくし、モニタ信号が出力設定信号よりも小さいときは、第1の制御信号として所定の範囲内の出力値を出力し、光受信信号の光パワー値が第1の境界値以下のときは、第2の制御信号を第1の上限値に近づけるとともに出力設定信号をモニタ信号に近づけ、光受信信号の光パワー値が第1の境界値より大きく、かつ、第1の境界地より大きい第2の境界値よりも小さいときは、光受信信号が大きくなるについて第2の制御信号を小さくするとともに出力設定信号を小さくし、光受信信号の光パワー値が第2の境界値以上のときは、第2の制御信号を第1の上限値より小さい第1の下限値に近づけるとともに出力設定信号を第1の下限値に応じて設定される第2の下限値に近づける。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光受信器の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
図1は、本発明の一実施形態に係る光受信器を模式的に示す構成図である。光受信器1は、例えば、互いに波長の異なる4つの光信号を使用して2芯双方向で光信号を送受信する100ギガビット光トランシーバに備えられている。より詳細には、光受信器1は、例えば40キロメートルの長距離伝送に対応した100ギガビットイーサネット用の光トランシーバ(例えばIEEE規格による100GBASE−ER4)に備えられている。なお、以下では、光受信器1が100GBASE−ER4に備えられているとして説明するがこれに限定されず、光受信器1は、例えばMSA(Multi-Source Agreement)規格のCFP(100Gform-factorPluggable)2またはCFP4等によって規定される光トランシーバに備えられていてもよいし、40ギガビット光トランシーバに備えられていてもよい。また、波長多重信号を長距離伝送するための上述した以外の光トランシーバに備えられていてもよい。
光受信器1は、互いに波長の異なる4つの光信号が多重化された波長多重信号(以下、光受信信号ともいう。)として100Gbpsの光信号を受信して、それを互いに波長の異なる4つの光信号に分波し、分波された各光信号をそれぞれ25Gbpsの電気信号に変換して出力する。光受信器1が出力した4つの25Gbpsの電気信号は、ホストシステム(上位レイヤ)に出力される。ここで、光受信器1では、光トランシーバの40キロメートルまでの長距離伝送に対応すべく、ダイナミックレンジが比較的広く設定されている。例えば、光受信器1では、近距離から40キロメートルまでの伝送距離に対応すべく、受信可能な光信号のOMAが−21.4dBm〜+4.5dBmとされている。光受信器1は、波長多重信号を増幅することにより広いダイナミックレンジに対応している。以下では、光受信器1による波長多重信号の光増幅処理に係る機能について詳細に説明する。なお、図1では、光受信器1の構成のうち光増幅処理に関連する構成を示しており、その他の機能に係る構成については図示を省略している。
図1に示されるように、光受信器1は、VOA11(可変光減衰器)と、SOA12(半導体光増幅器)と、光デマルチプレクサ(O-DeMux)13(光分波器)と、ROSA14(受光素子)と、最大値出力回路15(モニタ信号回路)と、VOA制御回路16(比較回路)と、DAC(Digital to Analog Converter)17,20と、ADC(Analogto Digital Converter)18と、CPU(Central Processing Unit)19と、SOA駆動回路21とを備える。なお、光デマルチプレクサ13、ROSA14、および最大値出力回路15は、光受信部を構成する。また、DAC17,20、ADC18、CPU(Central Processing Unit)19、およびSOA駆動回路21は、制御部を構成する。
VOA11は、光受信器1に入力された波長多重信号を減衰することが可能な減衰器である。VOA11は減衰後の波長多重信号をSOA12に出力する。VOA11は、VOA制御回路16から出力されたVOA電圧の電圧値VVOA(詳細は後述)が大きいほど減衰量が大きくなるように、入力された波長多重信号を減衰する。VOAの減衰量は、例えば、VOA11に入力されている光信号のパワーPviに対するVOA11から出力されている光信号のパワーPvoの比Pvo/Pviによって定義することができる。VOA11によって出力された、出力値(光出力パワー)がPVOである波長多重信号(第1の光出力)は、光ファイバを介してSOA12に入力される。
SOA12は、VOA11によって出力された波長多重信号を増幅する増幅器である。SOA12は増幅後の波長多重信号(第2の光出力)を光デマルチプレクサ13に出力する。SOA12は、SOA駆動回路21から出力されたSOA電流の電流値ISOA(詳細は後述)が大きいほど利得(SOA利得)が大きくなるように、SOA12に入力された波長多重信号を増幅する。SOA利得は、例えば、SOA12に入力されている光信号のパワーPsiに対するSOA12から出力されている光信号のパワーPsoの比Pso/Psiによって定義することができる。SOA12によって出力された、出力値(光出力パワー)がPSOであるSOA出力は、光ファイバを介して光デマルチプレクサ13に入力される。
光デマルチプレクサ13は、SOA12によって出力された波長多重信号であるSOA出力を互いに波長の異なる複数の光信号に分離する。光デマルチプレクサ13は分離後の各光信号をそれぞれROSA14に出力する。図1は、互いに異なる波長を持つ4つの光信号が多重化された波長多重信号が、光デマルチプレクサ13によって独立した4つの光信号に分離され、それぞれROSA14に出力される例を示している。
ROSA14は、光デマルチプレクサ13によって出力された光信号を25Gbpsの4本の電気信号に変換し、当該4本の電気信号を受信IC(Rx-IC)(図示せず)に出力する。受信ICでは、例えば、4本の25Gbpsの電気信号が10本の10Gbpsの電気信号に再度変換され、当該10本の電気信号が、電気コネクタを介してホストシステムに送信される。ROSA14は、単一の光信号を単一の電気信号に変換するROSAを複数個、例えば、ROSA14a、ROSA14b、ROSA14c、およびROSA14dの4個を含んで構成されている。光デマルチプレクサ13によって出力された各波長の光信号は、それぞれ対応するROSAであるROSA14a、ROSA14b、ROSA14c、およびROSA14dに入力される。ROSA14a、ROSA14b、ROSA14c、およびROSA14dは、光デマルチプレクサ13によって出力された互いに独立した4つの光信号をそれぞれ互いに独立した4つの電気信号に変換して出力する。具体的には、ROSA14a、ROSA14b、ROSA14c、およびROSA14dは、それぞれ受光素子と電流電圧変換回路(トランスインピーダンス増幅器)とを備えている。そして、受光素子によって光信号が電流信号に変換され、電流電圧変換回路により電流信号が電圧信号(電気信号)に変換されて、当該電圧信号が出力される。ROSA14a、ROSA14b、ROSA14c、およびROSA14dのダイナミックレンジ、すなわち、誤りなく光信号を受信できる光パワー範囲は、互いに共通である。
ここで、光受信器1では、ROSA14a、ROSA14b、ROSA14c、およびROSA14dによって出力された電気信号の出力値(出力パワー)が取得され、当該出力値からそれぞれのROSAに入力された光信号の強度推定(光パワーモニタ)が行われる。具体的には、光受信器1では、ROSA14a、ROSA14b、ROSA14c、およびROSA14dによって出力された電気信号が最大値出力回路15(モニタ信号回路)に入力され、最大値出力回路15によって各電気信号の出力値が取得される。最大値出力回路15は、取得した4つの電気信号の出力値のうち最大の出力値(モニタ信号最大値)を示す信号を、VOA制御回路16に出力する。当該モニタ信号最大値が、後述するフィードバック制御のモニタ値として用いられる。なお、強度推定の対象は、各光信号の平均光パワー(光パワーの時間平均値)であるため、最大値出力回路15に入力される電気信号は、ROSA内部の受光素子が光信号から変換した電気信号(電流信号)そのものでなくても、その電気信号の信号強度と相関する信号強度を持つ他の電気信号を使用してもよい。例えば、光信号から変換された光電流をカレントミラー回路を使用して生成した電流信号を代わりに使用してもよい。
VOA制御回路16は、ROSA14によって出力された電気信号(モニタ信号)の出力値を、所定の比較値であるSOA出力設定値と比較し、当該比較の結果に応じて、VOA11による減衰量を決定するVOA電圧(決定信号)を出力する回路である。VOA制御回路16は、ROSA14によって出力された電気信号の出力値として、最大値出力回路15によって出力されたモニタ信号最大値、すなわち、ROSA14a、ROSA14b、ROSA14c、およびROSA14dによって出力された電気信号のうち出力値が最大である電気信号の出力値を選択して、それに応じた信号を出力する。また、SOA出力設定値とは、DAC17によって設定されたアナログ値である(詳細は後述)。DAC17は、CPU19によって出力されたディジタル信号であるSOA出力設定値を、ディジタル/アナログ(DA)変換し、変換後のアナログ値をVOA制御回路16に出力する。
VOA制御回路16は、モニタ信号最大値とSOA出力設定値との比較を行い、SOA出力設定値と比べてモニタ信号最大値が大きいほど(すなわち、モニタ信号最大値とSOA出力設定値との差分が大きいほど)、VOA電圧の電圧値VVOAが大きくなるように、VOA電圧を出力する。なお、VOA制御回路16は、モニタ信号最大値がSOA出力設定値よりも小さいときは、所定の範囲内の出力値のVOA電圧を出力する。VOA制御回路16は、最大値出力回路15から入力される信号(モニタ信号)とDAC17から入力されるアナログ値とがほぼ等しいときにVOA電圧を現状の値に維持する。この状態において、SOA12から出力されている波長多重信号の平均光パワーの値がSOA出力設定値と等しくなるように、最大値出力回路15およびDAC17等が設定される。VOA制御回路16によって出力されたVOA電圧は、電気配線を介してADC18およびVOA11に入力される。ADC18は、VOA制御回路16によって出力されたアナログ信号であるVOA電圧を、アナログ/ディジタル(AD)変換し、変換後のディジタル値であるVOA電圧モニタ値をCPU19に出力する。
CPU19は、VOA電圧の電圧値VVOAに応じて、SOA12を制御する制御値であるSOA電流設定値を決定する。当該SOA電流設定値に応じてSOA駆動回路21によりSOA電流が生成され、当該SOA電流の電流値ISOAに応じてSOA12の利得が決まる。CPU19によるSOA電流設定値の決定の詳細については後述する。CPU19は、決定したSOA電流設定値をDAC20に出力する。DAC20は、CPU19によって出力されたディジタル信号であるSOA電流設定値を、DA変換し、変換後のアナログ値をSOA駆動回路21に出力する。
また、CPU19は、VOA電圧の電圧値VVOAおよびSOA電流設定値に応じて、SOA出力設定値を決定する。当該SOA出力設定値に応じて、VOA制御回路16から出力されるVOA電圧の電圧値VVOAが決まる。CPU19によるSOA出力設定値の決定の詳細については後述する。
SOA駆動回路21は、SOA電流設定値に応じたSOA電流(制御電流)を生成し、当該SOA電流をSOA12に対して出力する回路である。SOA電流とは、SOA12を駆動する電流である。SOA12の利得は、SOA電流の出力値ISOAが大きいほど大きくなる。すなわち、SOA電流の電流値ISOAが大きいほどSOA12に入力される光信号のパワーに対するSOA12から出力される光信号のパワーの比率が大きくなる。
次に、CPU19によるSOA出力設定値およびSOA電流設定値の決定の詳細について、図1および図2を参照しながら説明する。図2の(a)は図1の光受信器1への光入力パワーとVOA電圧の電圧値VVOAとの関係を示す図、(b)は図1の光受信器1への光入力パワーとSOA電流の電流値ISOAとの関係を示す図、(c)は図1の光受信器1への光入力パワーとSOA出力の出力値PSOAとの関係を示す図である。なお、以下では、光受信器1に、時間の経過とともに光入力パワーが徐々に大きくなるような光信号(波長多重信号)が入力されているとして説明する。
CPU19は、光受信器1に入力される光信号の光入力パワーの範囲に応じた3つの領域毎の方針に基づき、SOA出力設定値およびSOA電流設定値を決定する。3つの領域とは、光入力パワーが小さい順に、増幅領域、利得抑制領域、および減衰領域である。
増幅領域とは、光受信器1への光入力パワーが比較的小さい領域(VOAの減衰量が所定の減衰量設定範囲(VOA電圧の電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOWに設定されたときの減衰量以上、かつ、VOA電圧の電圧値VVOAが第2閾値VVOA_HIGHに設定されたときの減衰量以下)内に設定されているときにSOAからの光出力パワーが所定の上限値に達するまでの領域)であり、光入力パワーが大きくなるにつれてSOAからの光出力パワーの出力値PSOAが大きくなるように制御される領域である。なお、増幅領域では、過渡的に、VOA電圧の電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOW以下となる場合がある。増幅領域では、CPU19は、VOA11による波長多重信号の減衰量を上述の減衰量設定範囲内に維持するとともに、SOA12による波長多重信号の利得を大きくするように制御する。より詳細には、この増幅領域では、SOA12の利得が予め決められた上限値(最大値)に設定されるようにSOA電流Isoaは最大値Isoa_maxに設定される。なお、上記のSOA出力PSOAが所定の上限値(最大値)PSOA_maxに達したときに、SOA電流の最大値Isoa_maxによって設定されているSOA利得と上記の減衰量設定範囲内のVOA11の減衰量とから、上限値PSOA_maxをそれに対応する光入力パワーの境界値Pina(光入力パワーの第1の境界値)に換算することができる。例えば、光入力パワーをPin (dBm)、VOAの減衰量をL(dB)、SOAの利得をG(dB)、SOAの光出力パワーをPSOA (dBm)とすると、次の式が成り立つ。
PSOA = Pin - L + G
この式より、Pinは
Pina = PSOA_max - Gmax + L
によって求めることが出来る。ここで、Gmaxは、SOA電流が最大値Isoa_maxに設定されたときのSOA利得Gの最大値を表す。光入力パワーの第1の境界値Pinaは、増幅領域と後述する利得抑制領域との境界を示す。
CPU19は、増幅領域においてVOA電圧の電圧値VVOAが所定の電圧設定範囲(第1閾値VVOA_LOW以上、かつ、第2閾値VVOA_HIGH以下)に入るように制御する。増幅領域は、上述したようにSOA電流の電流値が最大値Isoa_maxに設定され、SOA12の利得が予め決められた上限値(最大値)に設定される領域である。増幅領域において光入力パワーが比較的小さい間は、光受信器1はVOA11の減衰量を上記の減衰量設定範囲内に設定するとともにSOA12の利得を上限値に設定して、光入力パワーに対してSOA出力の大きさができるだけ大きくするように光増幅処理を行う。なお、第1閾値VVOA_LOWは、VOA11による波長多重信号の減衰量を最小減衰量よりも大きい値に設定するための電圧値VVOAである。すなわち、増幅領域において、VOA電圧の電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOWよりも大きく、かつ、第2閾値VVOA_HIGHよりも小さくなるように制御されることにより、VOA11による波長多重信号の減衰量を最小減衰量よりは大きいが、実用上許容できる程度に小さくすることができる。このように設定することによって、実際のSOA出力の出力値PSOAはSOA出力設定値よりもわずかに大きい値とされる。例えば、仮に、VOA電圧の電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOW以下となるように制御することにすると、SOA出力の出力値PSOAがSOA出力設定値よりも小さければその状態となってしまうので、VOA電圧の電圧値VVOAを利用してSOA出力の出力値PSOAをSOA出力設定値に近づけることが困難となる。なお、第1閾値VVOA_LOWは、最小減衰量を与えるVOA電圧の電圧値VVOAに対して、VOA制御回路16の出力であるVOA電圧の安定性およびノイズ耐性やADC18の精度を考慮して、所定のマージンを持たせた値としてもよい。
また、CPU19は、増幅領域においてSOA電流の電流値ISOAが定常状態において最大値ISOA_MAX(電流上限値)となるように制御する。ここで、定常状態とは、光トランシーバに関する温度などの環境条件や電源電圧などの動作条件が一定のもとで、例えば、VOAに係る電圧値やSOAに係る電流値などがほぼ一定値に保たれて数秒以上動作しているような状態である。SOA電流の最大値ISOA_MAXとは、光入力パワーが上述の第1の境界値Pinaに等しいときに、SOA出力を最大値PSOA_MAXとするための電流値ISOAである。あるいは、SOA利得を所定の上限値(最大値)とする電流値ISOAである。SOA電流の最大値ISOA_MAXは、最大値PSOA_MAXとなったSOA出力の光でマルチプレクサ13による分離後のパワー値がROSA14のダイナミックレンジ内におさまる値とされており、例えば100〜150mAである。増幅領域では、SOA電流の電流値ISOAが定常状態で最大値ISOA_MAXに設定される。これにより、光入力パワーが大きくなるにつれてSOA出力のパワーも大きくなり。光入力パワーが第1の境界値Pinaに達すると、SOA出力のパワーはほぼ最大値PSOA_MAXに達する。このとき、SOA出力の光デマルチプレクサ13による分離後のパワーがROSA14のダイナミックレンジの上限よりも小さくなるように調整されている。
ただし、例えば、電源投入後やリセット等の初期化による再起動時の初期状態として、VOA11の減衰量を最小減衰量に設定し、SOA電流の電流値ISOAを上限値(最大値)ISOA_MAXに設定すると、第1の境界値Pinaを超えるような大きな光入力パワーが入力されたときに、ROSA14に過大な光パワーが入力される虞がある。従って、初期状態ではSOA電流設定値は、ROSA14に過大な光パワーが入力されないように小さい値に設定しておき、光入力パワーの大きさに応じて徐々に増やして行くように処理を行う。具体的には、CPU19は、初期状態では光受信器1のオーバーロード規格の上限値となるような光入力パワーが入力されてもSOA出力の出力値PSOAがROSAのオーバーロード規格の上限値を超えないようにSOA電流設定値を十分に小さい値(ゼロでも良い)に設定する。そして、VOA電圧の電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOWよりも小さい間は、SOA電流の電流値ISOAを所定のステップ幅a(第1の増加値)だけ増加させるようにSOA電流設定値をDAC20に出力する。ここで、SOA電流設定値を増加させるのと同時に、SOA電流のステップ幅aに応じてSOA出力設定値を増加させる。やがて、ステップ幅aによる増加を繰り返すうちに、SOA電流の電流値ISOAが最大値ISOA_MAXに達し、SOA出力は最大値PSOA_MAXよりも小さい、光入力パワーに応じた大きさの値となる。このとき、実際のSOA出力の値SOA出力設定値よりもわずかに大きいとVOA電圧の電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOWを超えるので、電圧値VVOAが上述の電圧設定範囲内に入るようにSOA出力設定値を調整することで、SOA出力設定値を実際のSOA出力の値と(わずかに大きいが)ほぼ等しくすることができる。より詳細には、SOA出力設定値が実際のSOA出力の値よりも小さいと、VOA制御回路16から出力されるVOA電圧の電圧値VVOAが増加するが、CPU19は、SOA電流設定値の増加に伴うVOA電圧の電圧値VVOAの増加をキャンセルするように、SOA出力設定値を設定する。すなわち、CPU19は、SOA電流設定値を設定する際に、VOA電圧の電圧値VVOAの増加分がキャンセルされるように、新たなSOA出力設定値(値を増加させたSOA出力設定値)をDAC17に出力する。そして、VOA電圧の電圧値VVOAが上記の電圧設定範囲内に入ったときには、SOA出力設定値は前の値を維持するようにする。これにより、増幅領域において、SOA電流設定値を増加させた場合にも、VOA電圧の電圧値VVOAを上記の電圧設定範囲内に維持することができる。このようにして、増幅領域において初期状態から時間が経過して定常状態に達すると、VOA電圧の電圧値VVOAは上述の電圧設定範囲内に入り(図2(a)参照)、SOA電流の電流値ISOAは最大値ISOA_MAXに等しく(図2(b)参照)、SOA出力の出力値PSOAは光入力パワーがVOA11の上記の減衰量設定範囲内の減衰量によって減衰されてSOA12の最大値ISOA_MAXに応じた最大利得(上限利得)によって増幅された値となる(図2(c)参照)。ところで、光入力パワーが第1の境界値Pinaよりも大きい場合には、SOA電流の電流値ISOAがステップ幅によって増加して行って最大値ISOA_MAXに達するよりも前に、SOA出力の出力値PSOAは最大値PSOA_MAXに達するため、後述する利得制御領域あるいは減衰領域として光増幅処理が行われる。
なお、SOA電流の電流値ISOAを上述の初期状態の設定値からステップ幅aずつ増やして行く過渡状態において、CPU19は、所定のステップ幅aだけ連続的に電流値ISOAを増加させていくため、SOA電流の電流値ISOAは徐々に最大値ISOA_MAXに近づいていく。ステップ幅aの値が過度に大きくされた場合には、SOA電流の出力値ISOAが増加することに応じて変化するVOA電圧の電圧値VVOAの変化量が大きくなってしまうので、ステップ幅aの値はある程度小さい値にされることが好ましい。例えば、SOA電流の出力値ISOAは概ね数十〜数百mAの値をとるので、ステップ幅aは0.1〜0.5mA程度とされることが好ましい。なお、ステップ幅aは、電圧値VVOAの測定精度、および、電圧値VVOAの収束値(すなわち、第1閾値VVOA_LOW)に到達するまでに要すると想定される時間等を考慮して決められてもよい。
次に、CPU19は、光入力パワーが第1の境界値Pinaよりも大きくなり、SOA出力設定値が最大値PSOA_MAXを超えそうになった場合(あるいは次のステップで超える状態になった場合)には、増幅領域の終了点(利得抑制領域との境界点)であると判断し、VOA制御回路16から出力されるVOA電圧の電圧値VVOAが第2閾値VVOA_HIGHよりも大きくならないように、SOA出力設定値を設定する。より具体的には、CPU19は、SOA出力が最大値PSOA_MAXとなった場合(あるいは、次のステップにおいて増やした電流値ISOAに対してSOA出力が最大値PSOA_MAXを超える場合)のモニタ信号最大値がVOA制御回路16に入力された際に、第2閾値VVOA_HIGHよりも小さいVOA電圧VVOAがVOA制御回路16から出力されるように、SOA電流の電流値とSOA出力設定値を設定する(前のステップにて設定されていた値よりも小さくする)。当該SOA出力設定値が設定されると、CPU19に、第2閾値VVOA_HIGH以上のVOA電圧VVOA(モニタ値)が入力される状態になると、光増幅処理は、増幅領域から利得抑制領域に遷移する。つまり、CPU19は、(定常状態において)電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOWよりも大きく第2閾値VVOA_HIGHよりも小さい増幅領域においては、SOA電流の電流値ISOAが最大値ISOA_MAXとなるように、SOA電流設定値を決定している。
利得抑制領域とは、光入力パワーが第1の境界値Pinaよりも大きく、VOA電圧の電圧値VVOAを上記の電圧設定範囲内に収めるために光入力パワーが大きくなるにつれてSOA出力の出力値PSOAが小さくなるように制御される領域である。利得抑制領域では、CPU19は、光入力パワーが大きくなるにつれてSOA電流の電流値ISOAを減らして行き、SOA出力の出力値PSOAが小さくなるように制御する。このとき、CPU19は、SOA電流の電流値ISOAが最大値ISOA_MAXよりも小さくかつ最小値ISOA_MINよりも大きくなるように制御する。利得抑制領域において、SOA電流の電流値ISOAが最小値ISOA_MINよりも大きくなるように制御される理由について以下に説明する。
光受信器1への光入力パワーが比較的大きいことから、SOA12のSOA利得を抑えたい場合には、SOA電流の電流値ISOAを小さくする必要がある。ここで、SOA12への光入力パワーが大きくなるとそれに伴いSOA出力の出力値PSOAが大きくなる。しかし、SOA電流の大きさを一定とした条件下においては、SOA12への光入力パワーが大きくなるほど、SOA12への光入力パワーの増加量と比べてSOA出力の出力値PSOAの増加量が小さくなる。すなわち、SOA出力の出力値PSOAが大きくなるほど(SOA12への光入力パワーが大きくなるほど)、SOA利得は低下し易くなる。そして、SOA利得が最も高い値から3dB低下した際のSOA出力を飽和光出力とすると、SOA電流の電流値ISOAが小さいほど(低電流であるほど)、飽和光出力の値が小さくなる。飽和光出力を超えたSOA出力を用いた場合には、パターン効果による波形歪みが引き起こされ易くなり、受信誤り率が高くなるおそれがある。以上より、SOA電流の電流値ISOAが過度に小さくされることによって、受信誤り率が高くなるおそれがある。
また、光受信器1では、SOA利得の波長依存特性は、SOA電流の電流値ISOAの大きさに応じて変化する。より詳細には、SOA利得の波長依存度合いは、SOA電流の電流値ISOAが小さいほど大きくなる。このため、SOA電流の電流値ISOAが小さいほど、光受信器1が受信したときの波長多重信号の各波長(チャネル)の光信号の光パワーが互いに等しい場合でも、ROSA14における各光信号間の光入力パワーの違いが大きくなる。このようなROSA14の光入力パワーの光信号間の差異がある場合、その差異も含めてROSA14のダイナミックレンジの中に収める必要がある。従って、SOA出力の分離後の出力値を、ROSA14の各チャネルのダイナミックレンジの範囲内とすることが難しくなる。
SOA電流の最小値ISOA_MINを、上述した、受信誤り率が高くなることおよびSOA出力の光デマルチプレクサ13による分離後の各光信号の出力パワー値がROSA14のダイナミックレンジの範囲外となるおそれが高まることが問題とならない程度に大きい値とし、SOA電流の電流値ISOAが予め定めた最小値ISOA_MINよりも大きくなるように制御されることによって、受信誤り率が高くなることおよびSOA出力の分離後の出力値がROSA14のダイナミックレンジの範囲外となるおそれが高まることを抑制することができる。なお、利得抑制領域において、SOA電流の電流値ISOAが最小値ISOA_MINとされた際のSOA出力の出力値PSOAが最小値PSOA_SATである。また、SOA出力の出力値PSOAが最小値PSOA_SATのとき、SOA電流が最小値ISOA_MINのときのSOA利得およびVOA11にVOA電圧によって設定されている減衰値を用いて、最小値PSOA_SATをそれに対応する光入力パワーの境界値Pinb(光入力パワーの第2の境界値)に換算することができる。光入力パワーの第2の境界値Pinbは、利得抑制領域と後述する減衰領域との境界を示す。すなわち、光入力パワーが第2の境界値PinaとPinbとの間のときに利得制御領域となり、光増幅処理として上述したSOA利得を抑制する制御が行われる。
CPU19は、具体的には、光入力パワーが境界値Pinaより大きく、かつ、境界値Pinbより小さいときに、入力されたVOA電圧の電圧値VVOAが過渡的に第2閾値VVOA_HIGH以上の大きさである場合には、以下に述べるステップ幅による制御を行うために、現状のSOA電流設定値を取得する。当該SOA電流設定値によってSOA電流の電流値ISOAが最小値ISOA_MINよりも大きい値に設定される場合には、CPU19は、SOA電流の電流値ISOAを所定のステップ幅x(第1の減少値)だけ減少させるようにSOA電流設定値をDAC20に出力する。併せて、CPU19は、所定のステップ幅xに応じた所定値だけ値を小さくしたSOA出力設定値を、DAC17に出力する。つまり、利得抑制領域においては、SOA電流設定値を減少させてSOA電流の電流値ISOAを減少させる際には、併せて、SOA出力設定値を減少させる。これは、図2(b)および(c)に示されるように、利得抑制領域において、SOA電流の電流値ISOAの減少に伴って、SOA出力の出力値PSOAが減少するために行われる。このように、SOA電流の電流値ISOAの減少に伴い電気信号(モニタ信号)最大値が減少する場合にSOA出力設定値を併せて減少させることにより、VOA電圧の電圧値VVOAを第2閾値VVOA_HIGHよりも小さくしてVOA11の減衰量が上記の減衰量設定領域を超える状態となることを抑制している。なお、利得抑制領域において、CPU19は、所定のステップ幅xだけ連続的に電流値ISOAを減少させていくため、光入力パワーが大きくなるほどSOA電流の電流値ISOAは徐々に最小値ISOA_MINに近づいていく。なお、SOA電流の電流値ISOAとSOA出力設定値とをそれぞれ減少させるときに、それぞれの値が最小値ISOA_MINと最小値PSOA_SATに達した場合には、それぞれの最小値を維持させる。
SOA電流設定値およびSOA出力設定値を上述のステップ幅ずつ徐々に減少させることにより、SOA電流の電流値ISOAが最小値ISOA_MINに達した際(あるいは、次のステップで電流値ISOAが最小値ISOA_MINより小さくなる際)には、CPU19に、第2閾値VVOA_HIGH以上となるVOA電圧VVOA(モニタ値)が入力される。つまり、第2閾値VVOA_HIGHとは、定常状態にて光入力パワーが第2の境界値Pinbに等しくなり、SOA電流の電流値ISOAが最小値ISOA_MINとなった際の電圧値VVOAである。光入力パワーが境界値Pinaより大きく、CPU19に第2閾値VVOA_HIGH以上となるVOA電圧VVOAが過渡状態も含めて入力されると、利得抑制領域から減衰領域に遷移する。つまり、CPU19は、利得抑制領域においては、SOA電流の電流値ISOAが最大値ISOA_MAXよりも小さくかつ最小値ISOA_MINよりも大きくなるように、SOA電流設定値を設定している。
減衰領域とは、光受信器1への光入力パワーが上述した利得抑制領域よりも大きい領域であり、SOA出力の設定値が上述した最小値PSOA_SATに設定され、主にVOA11の減衰によって出力値PSOAの増加が抑制される領域である。上述したように、利得抑制領域では、光受信器1への光入力パワーが大きくなるにつれてSOA電流の電流値ISOAを最小値ISOA_MINまで小さくすることにより、SOA出力の出力値PSOAを抑制している。しかし、利得抑制領域から更に光入力パワーが大きくなり電圧値VVOAが第2閾値VVOA_HIGH以上となった場合(減衰領域に遷移した場合)には、上述した飽和光出力の状態となることを避けるために、SOA電流の電流値ISOAを最小値ISOA_MINよりも小さくすることができない。このため、減衰領域において、CPU19によりSOA電流の電流値ISOAは最小値ISOA_MINに固定される。
具体的には、CPU19は、入力されたVOA電圧の電圧値VVOAが第2閾値VVOA_HIGH以上の大きさである場合には、SOA電流の電流値ISOAを最小値ISOA_MINとするSOA電流設定値をDAC20に出力する。つまり、CPU19は、VOA電圧の電圧値VVOAが第2閾値VVOA_HIGH以上の大きさである場合には、SOA電流の電流値ISOAが常に最小値ISOA_MINに固定されるようにSOA電流設定値を決定する。また、CPU19は、入力されたVOA電圧の電圧値VVOAが第2閾値VVOA_HIGH以上の大きさである場合には、SOA電流の電流値ISOAを最小値ISOA_MINとするSOA電流設定値に対応したSOA出力設定値をDAC17に出力する。つまり、CPU19は、VOA電圧の電圧値VVOAが第2閾値VVOA_HIGH以上の大きさである場合には、SOA出力設定値を常にほぼ一定の値とする。
減衰領域において、SOA電流設定値およびSOA出力設定値がともに固定値とされている状態において、光入力パワーが大きくなることにより、SOA出力の出力値PSOAがわずかに増加することとなる。これにより、モニタ信号最大値がわずかに増加し、VOA電圧の電圧値VVOAが増加する。VOA制御回路16には積分回路が設けられているので、モニタ信号最大値の増加量がわずかであってもVOA電圧の電圧値VVOAを増加させることができる。このように電圧値VVOAが増加したVOA電圧によって光受信器1に入力される多重化信号が減衰されるので、SOA出力の出力値PSOAの増加を抑制することができる。なお、VOA電圧の電圧値VVOAが増加することによるVOA11の減衰量の増加分よりも、光入力パワーの増加分が大きくなるので、わずかではあるが、SOA出力の出力値PSOAは徐々に増加し、VOA電圧の電圧値VVOAも徐々に増加する。このときのそれぞれ徐々に増加する量は、VOA制御回路の利得が大きいほど小さく抑えられる。
次に、光受信器1(より詳細にはCPU19)による光増幅処理について図3を用いて説明する。図3は、図1の光受信器1による光増幅処理の一例を示すフローチャートである。
まず、初期設定として、SOA電流設定値を光受信器1のオーバーロード規格の上限値となるような光入力パワーが入力されてもSOA出力の出力値PSOAがROSAのオーバーロード規格の上限値を超えないようにSOA電流設定値を十分に小さい値(ゼロでもよい)に設定し、SOA出力設定値を十分に小さい値に設定する(ステップS0)。光受信器1に電源を供給して起動あるいは再起動させた後に、どのような光入力パワーの波長多重信号を受信するかは通常は予想できない。従って、上記のように初期値を設定しておくことにより、減衰領域にて処理すべき比較的大きい光入力パワーを受信した場合でもROSA14に過大な光入力パワーが入力されないように保護することができる。
次に、ADC18によりアナログ/ディジタル(AD)変換が行われたVOA電圧の電圧値VVOAが、CPU19によって取得される(ステップS1)。つづいて、CPU19によって、電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOWよりも小さいか否かが判定される(ステップS3)。S3において電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOWよりも小さいと判定された場合には、CPU19によって、SOA電流設定値が取得される(ステップS5)。そして、CPU19によって、当該SOA電流設定値が、SOA電流の電流値ISOAを最大値ISOA_MAXとする値であるか否かが判定される(ステップS7)。
S7において、SOA電流設定値がSOA電流の電流値ISOAを最大値ISOA_MAXよりも小さい値に設定していると判定された場合には、CPU19によって、SOA電流の電流値ISOAを所定のステップ幅(増加値)aだけ増加させるSOA電流設定値が設定される(ステップS9)。SOA電流の出力値ISOAが所定のステップ幅aで増加することに応じて、SOA出力の出力値PSOAも所定のステップ幅で増加するように設定する。すなわち、S9の処理を行った後に、CPU19によって、SOA電流設定値の増加に伴ってVOA電圧の電圧値VVOAが増加することを抑制すべく、値を増加させたSOA出力設定値がDAC17に出力される(ステップS11)。なお、このときにSOA出力設定値は、上限値PSOA_maxを超えないように設定される。
一方で、S7において、SOA電流設定値がSOA電流の電流値ISOAを最大値ISOA_MAXに設定していると判定された場合には、CPU19によって、VOA制御回路16から出力されるVOA電圧の電圧値VVOAが所定の電圧設定範囲(第1閾値VVOA_LOWより大きく、かつ、第2閾値VVOA_HIGH以下)内となるように、SOA出力設定値が設定される(ステップS13)。なお、このときにSOA出力設定値は、上限値PSOA_maxを超えないように設定される。当該SOA出力設定値が設定されると、CPU19に、上述の電圧設定範囲内のVOA電圧VVOA(モニタ値)が入力される。
S3において、電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOWよりも大きいと判定された場合には、CPU19によって、VOA電圧の電圧値VVOAが過渡状態も含めて第2閾値VVOA_HIGHよりも大きいか否か(すなわち、減衰領域であるか否か)が判定される(ステップS17)。S17において電圧値VVOAが過渡的に第2閾値VVOA_HIGHよりも大きいと判定された場合には、CPU19によって、SOA電流設定値が取得される(ステップS19)。そして、CPU19によって、当該SOA電流設定値が、SOA電流の電流値ISOAを最小値ISOA_MINとする値であるか否かが判定される(ステップS21)。S21において、SOA電流設定値がSOA電流の電流値ISOAを最大値ISOA_MINよりも大きい値に設定していると判定された場合には、CPU19によって、SOA電流の電流値ISOAを所定のステップ幅xだけ減少させるSOA電流設定値が設定される(ステップS25)。SOA電流の電流値ISOAが所定のステップ幅xで減少することによって、SOA出力の出力値PSOAも所定のステップ幅で減少する。S19の処理を行った後に、CPU19によって、VOA電圧の電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOWよりも小さくなりVOA11による減衰が行われない状態となることを抑制すべく、値を減少させたSOA出力設定値がDAC17に出力される(ステップS27)。なお、このときにSOA出力設定値は、減衰領域における最小値PSOA_SAT以上となるように設定される。
一方で、S17において、VOA電圧の電圧値VVOAが第2閾値VVOA_HIGH以下であると判定された場合には、SOA電流の電流値ISOAとSOA出力設定値が維持されて(ステップS28)、次の処理に移る。S7において、SOA電流設定値がSOA電流の電流値ISOAを最大値ISOA_MAXに設定していると判定された場合には、CPU19によって、VOA制御回路16から出力されるVOA電圧の電圧値VVOAが上記の電圧設定範囲(第1閾値VVOA_LOW以上かつ第2閾値VVOA_HIGH以下)内となるように、SOA出力設定値が設定される(ステップS13)。また、S21において、SOA電流設定値がSOA電流の電流値ISOAを最小値ISOA_MINに設定していると判定された場合には、CPU19によって、SOA出力設定値が、最小値PSOA_SATに設定される(ステップS23)。
S11、S13、S23、S27、又はS28の処理が完了すると、CPU19によって制御を継続するか否かが判定され(ステップS15)、継続する場合には再度S1の処理が行われ、継続しない場合には処理が完了する。
次に、本実施形態に係る光受信器1の作用効果について説明する。
光受信器1では、ROSA14によって出力された電気信号の出力値(モニタ信号最大値)とSOA出力設定値との差分が大きいほど、VOA制御回路16から電圧値VVOAが大きいVOA電圧が出力される。そして、当該VOA電圧に応じて、SOA12の増幅量を決定するSOA電流が生成されている。光受信器1に電源が供給されて起動したときに、光入力パワーに応じて決まる定常状態とその定常状態に至るまでの過渡状態において、電圧値VVOAが、所定の電圧設定範囲(第1閾値VVOA_LOW以上かつ第2閾値VVOA_HIGH以下)内に設定される場合(定常状態において、増幅領域の値に該当する)にはSOA電流の電流値ISOAが最大値ISOA_MAXとされ、過渡的に第2閾値VVOA_HIGHよりも大きくなる場合(定常状態において、利得抑制領域の値に該当する)にはSOA電流の電流値ISOAが最大値ISOA_MAXよりも小さく最小値ISOA_MINよりも大きくされ、第2閾値VVOA_HIGH以上である場合(定常状態において、減衰領域の値に該当する)にはSOA電流の電流値ISOAが最小値ISOA_MINに固定される。
光入力パワーに応じてVOA電圧VVOAがほぼ安定した定常状態にて、増幅領域では、SOA12に対して電流上限値である最大値ISOA_MAXの電流値ISOAを有するSOA電流が供給されるので、SOA12の利得を最大限に大きくすることができる。よって、長距離を伝送されて比較的小さい光入力パワーになった波長多重信号を大きく増幅でき、また、最大値ISOA_MAXを適切な値としておくことにより、SOA出力の光デマルチプレクサ13によって分離後の各光信号の出力値をROSA14のダイナミックレンジの上限以下とすることができる。
同様の定常状態にて、利得抑制領域では、SOA12に対して最大値ISOA_MAXよりも小さく最小値ISOA_MINよりも大きい電流値ISOAを有するSOA電流が供給されている。SOA電流が過度に低電流となった場合には、上述したように、受信誤り率が高くなること、および、SOA出力の光デマルチプレクサ13による分離後の各光信号の出力値がROSA14のダイナミックレンジの範囲外となり易くなることが問題となる。この点、例えば当該問題が発生しない程度に大きい電流下限値を最小値ISOA_MINとして設定し、SOA電流の電流値ISOAを当該最小値ISOA_MINよりも大きい値となるよう調整ことにより、上述した問題が発生することを抑制することができる。
また、定常状態にて、減衰領域においても、SOA電流が利得制限領域および減衰領域における最小値ISOA_MINに固定されるので、上述した問題が発生することを抑制することができる。SOA電流が最小値ISOA_MINに固定された減衰領域では、光受信器1への光入力パワーが更に増加した場合には、電圧値VVOAが大きくなり、VOA11の減衰量が増加する。これにより、光受信器1への光入力パワーが増加する場合において、当該増加に対応するようにVOA11の減衰量を増やすことができ、SOA電流を最小値ISOA_MINに固定している状態であってもSOA出力の光デマルチプレクサ13による分離後の各光信号の出力値をROSA14のダイナミックレンジの範囲内とすることができる。
なお、例えば、減衰領域だけでなく増幅領域および利得抑制領域においても、SOA電流の電流値を固定とする場合には、SOAへの光入力パワーが光受信器に要求される波長多重信号のダイナミックレンジの下限値近くでもSOA出力の出力値をROSAのダイナミックレンジの範囲内とすべく、SOA電流の電流値が大きい値で固定される。この場合に、反対に、光受信器1への光入力パワーがダイナミックレンジの上限値近くになったとき、VOAにより大きく減衰された光信号がSOAにより大きく増幅される構成となる。そのように一度VOA11によって減衰させた信号をSOA12によって増幅させると、消光比の低い光源又はストレスド波形等を受信した際に、受信誤り率が高くなるおそれがある。この点、光受信器1では、減衰領域以外では、SOA電流の電流値ISOAが一定とされていないので、SOA電流の電流値ISOAに応じてSOA12の利得を決定することができ、VOA11による減衰量を必要最小限とすることができる。そして、減衰領域においてSOA電流の電流値ISOAを固定値とする場合にも、当該SOA電流の電流値ISOAを最小値ISOA_MINとして極力小さくすることができるので、SOA12の利得を小さくし、VOA11による減衰量を必要最小限とすることができる。VOA11による減衰量を必要最小限にすることにより、消光比の低い光源又はストレスド波形等を受信した際に、受信誤り率が高くなることを抑制することができる。
また、光受信器1では、VOA制御回路16が、ROSA14a、ROSA14b、ROSA14c、およびROSA14dによって出力された電気信号のうち、出力値が最大である電気信号の出力値(モニタ信号最大値)を、SOA出力設定値と比較する。これにより、VOA制御回路16からは、同一の出力値PSOAのSOA出力に対して出力され得るVOA電圧のうち、電圧値VVOAが最大のVOA電圧が出力されることになる。ここで、利得抑制領域では、電圧値VVOAが大きいほど、SOA電流の電流値ISOAおよびSOA出力の出力値PSOAが小さくなるように制御される。例えば、利得抑制領域において、VOA制御回路16から、出力値が最大でない電気信号に基づくVOA電圧が出力された場合には、出力値がモニタ信号最大値である電気信号に基づくVOA電圧が出力された場合と比較して、SOA電流の電流値ISOAが大きくなる。利得抑制領域において、電流値ISOAがモニタ信号最大値を考慮した値でない場合には、電流値ISOAがモニタ信号最大値を考慮した値である場合と比較してSOA出力の出力値PSOAが大きくなるので、SOA出力の分離後の出力値がROSA14のダイナミックレンジの上限値を超えるおそれがある。この点、出力され得るVOA電圧のうち電圧値VVOAが最大のVOA電圧に応じたSOA電流(電流値ISOAがモニタ信号最大値を考慮した値であるSOA電流)を用いることにより、SOA出力の分離後の出力値がROSA14のダイナミックレンジの上限値を超えることを効果的に抑制することができる。
また、光受信器1では、CPU19が、VOA電圧の電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOWよりも小さい場合であって、SOA電流の電流値ISOAが所定の最大値ISOA_MAX(電流上限値)となっていない場合には、SOA電流の電流値ISOAを所定のステップ幅(増加値)aだけ増加させる。この場合、電圧値VVOAが第1閾値VVOA_LOWよりも小さい場合において、フィードバック制御を行いながら所定のステップ幅(増加値)で徐々にSOA電流の電流値ISOAを増加させることができる。所定のステップ幅で徐々に増加させることにより、光受信器1への光入力が比較的大きい場合に、ROSA14の受光素子に入力する光信号が急激に大きくなることを抑制することができる。これにより、大きな光信号によってROSA14の受光素子の機能が劣化することを抑制できる。あるいは、初期設定の際に、SOA電流の電流値ISOAを光受信器1のオーバーロード規格の上限値となるような光入力パワーが入力されてもSOA出力の出力値PSOAがROSAのオーバーロード規格の上限値を超えないように十分に小さい値(ゼロでも良い)に設定し、SOA出力設定値を十分に小さい値に設定することによって、起動後に比較的大きい光入力パワーの波長多重信号を受信した場合でもROSA14に過大な光入力パワーが入力されないように保護することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば図4に示される光受信器1Aのように、VOA制御回路16とは別に差動増幅回路30が設けられ、当該差動増幅回路30から出力される制御誤差信号に基づいて、SOA電流の制御が行われてもよい。この場合、VOA制御回路16からはVOA11に対してのみVOA電圧が出力される。差動増幅回路30は、VOA制御回路16と同様に、ROSA14によって出力された電気信号の出力値(モニタ信号最大値)を、SOA出力設定値と比較し、当該比較の結果に応じて、SOA電流設定値の決定に用いられる制御誤差信号(決定信号)を出力する。当該制御誤差信号の出力値はADC18によってアナログ/ディジタル(AD)変換され、制御誤差モニタ値としてCPU19に出力される。CPU19は、制御誤差モニタ値に応じて、SOA電流設定値を決定する。このようにVOA制御回路16とは別に差動増幅回路30を設けることにより、VOA制御回路16から出力されるVOA電圧とは独立した別の信号である、制御誤差信号の出力値(制御誤差モニタ値)に応じてSOA電流を制御することができる。これにより、VOA制御回路16から出力されるVOA電圧の出力値が小さい状態(VOA11が動作を始める前の状態)においても、差動増幅回路30から出力される制御誤差信号の利得や電圧範囲をSOA電流の制御に適した値に設定することができる。よって、SOA電流のより正確な制御が可能となる。
また、例えば図5に示される光受信器1Bのように、SOA駆動回路21BからADC18Bに対してSOA電流の電流値が出力される構成(SOA電流をモニタリングする構成)であってもよい。光トランシーバでは、図5に示されるCDR(Clock Data Recovery)40又はGearbox IC等により、ROSA14から出力された電気信号の各データビットの判別が行われる。この際、判別に用いられる所定の閾値の最適設定値は、SOA利得に応じて変換する。そこで、光受信器1Bでは、SOA電流がモニタリングされ、当該SOA電流の電流値と所定の計算式又はルックアップテーブルとに基づき、判別に用いられる閾値の最適設定値を決定している。具体的には、CPU19Bは、ROSA14の各レーン(各チャネル)から出力される電気信号を受信するCDR40毎に、上述した閾値の初期設定値を設定している。当該初期設定値は、SOA電流が電流上限値とされた場合の最適設定値とされている。SOA駆動回路21BからSOA電流の電流値(モニタ電流値)が出力されると、CPU19Bは、当該モニタ電流値と電流上限値との差分から補正値を算出する。そして、CPU19Bは、当該補正値により初期設定値を補正することにより、現状のSOA電流に応じた、最適設定値を各CDR40に設定する。これにより、特に光受信器1Bへの光入力パワーが大きい条件下において、光入力パワーが小さいい条件下に対して選択した設定値からより最適な設定値に補正(調整)することができ、十分な動作マージンを確保することができる。
また、光受信器は、互いに波長の異なる4つの光信号が多重化された多重化信号を受信するとして説明したがこれに限定されず、互いに波長の異なる少なくとも2つの光信号が多重化された多重化信号を受信する受信器であればよい。また、VOA制御回路は、ROSAによって出力された電気信号の出力値として、モニタ信号最大値を用いるとして説明したがこれに限定されず、例えば各電気信号の出力値の平均値等を用いてもよい。
また、4つのROSAのダイナミックレンジは、互いに共通であるとして説明したがこれに限定されず、それぞれのダイナミックレンジが互いに異なっていてもよい。