JP4294362B2 - 波長多重光伝送装置および波長多重光通信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、伝送路損失の経時変動を抑制する波長多重光伝送装置および波長多重光通信システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
波長多重は、波長分割多重(WDM:Wave Division Multiplexing)とも呼ばれ、波長が異なる複数の光信号を一つの光ファイバで多重送信する光伝送技術である。波長多重光通信システムの中継装置では、伝送路での損失を補償するために光増幅器が使用されている。大容量通信のためには、波長多重光伝送装置の光増幅器は多くの波長に対してできる限り一様な利得を与えることができるのが望ましい。
【0003】
また、波長多重光伝送装置の光増幅器の利得は、光増幅器の信号毎の出力が一定になるように適切に調節できるのが望ましい。光伝送路上の損失の経時的な変動、または伝送される光信号数の増減により、光伝送路上で伝送される光のパワーレベルが変化しうるから、かかる光のレベルが変化する環境では、信号対雑音比の劣化に起因するエラーを防止し、信号波長多重光伝送装置から波長多重光を受ける次段の伝送装置を保護するためである。
【0004】
特に、温度変化により伝送特性が変化しうる陸上の波長多重光通信システムでは、光伝送路上の損失が変動しやすい。また、陸上系の波長多重光通信システム、特にリングネットワークシステムは、柔軟なシステムの構築が要求されるために、中継装置の数や、ノード間の伝送距離が大きく異なり、各光中継装置やOADM(optical add/drop multiplexer)装置への光入力レベルが異なる。
【0005】
波長多重光伝送装置の光増幅器の利得を調節する試みが特許文献1に記載されている。この文献に記載された波長多重光通信システムでは、送信側ターミナル局は、伝送対象の波長多重光の各成分光の波長とは異なる波長を有しておりかつ低周波のトーン信号で光強度変調がされたパイロット信号光を生成し、参照信号光を波長多重光と合波し、これにより得られた合成多重光を一括増幅して光伝送路上に送出する。中継局および受信側ターミナル局にも、光増幅器が設けられており、送信側ターミナル局、中継局および受信側ターミナル局は、自局の光増幅器の利得を制御する回路と、光増幅器から出力された合成多重光からパイロット信号光のトーン信号成分を分離する機構を備えている。そして、パイロット信号光のトーン信号成分の振幅を検出しながら、トーン信号成分の振幅が一定になるように、光増幅器の利得を制御する。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−257646号公報(第2−5頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の技術では、光増幅器で増幅されたパイロット信号光の振幅レベルに基づいて利得制御回路で光増幅利得の制御を行っている。しかし、光増幅器の入力レベルが適正なレベルに比較して高い場合、光増幅器は利得飽和を起こし、大きな利得偏差を引き起こす可能性が高い。生じた大きな利得偏差により光増幅器から出力されたパイロット信号光のパワーが小さくなり光制御回路の制御対象外レベルで保持されることがありうる。これでは、信号対ノイズ比が劣化して受信エラーが増大したり、増幅した波長多重光を受ける次段の伝送装置が損傷を受けたりするおそれがある。
【0008】
光増幅器の利得偏差を小さくする(多くの波長にわたって利得をできるだけ一様にする)には、光増幅器の内部の励起レーザダイオードを適切に制御する必要がある。しかし、光増幅器から出力されたパイロット信号光の振幅レベルに基づいて、励起レーザダイオードを制御したのでは、却って利得偏差を大きくしてしまう可能性がある。これでは、エラーが増大し、多段中継が困難になるおそれがある。
【0009】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、光増幅器、OADM装置または次段の伝送装置に入力される光信号のパワーレベルを自動的に適正に調節し、受信エラーおよび構成要素の損傷のおそれを低減することができる波長多重光伝送装置および波長多重光通信システムを得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る波長多重光通信システムは、波長多重光の各成分光の波長とは異なる波長を有する参照信号光と前記波長多重光とが合波されて生成された合成多重光を増幅して、光伝送路へ送出する第1の光増幅器を有する第1の波長多重光伝送装置と、前記光伝送路から前記合成多重光を受信し、減衰した前記合成多重光を光増幅する第2の光増幅器を有する第2の波長多重光伝送装置とを備えた波長多重光通信システムにおいて、前記第2の波長多重光伝送装置が、前記光伝送路から受けた前記合成多重光を減衰させることが可能な可変光減衰器と、前記可変光減衰器から出力された前記合成多重光から前記波長多重光と前記参照信号光を分離する光分波部と、前記光分波部から出力された前記参照信号光を光電変換する受光素子と、前記受光素子が出力する電気信号から前記参照信号光のパワーレベルを検出するレベル検出器と、前記レベル検出器の検出結果に基づいて前記参照信号光の断絶および伝送を検出する参照信号断検出器と、前記レベル検出器の検出結果と複数のパワーレベルを示す閾値との比較結果に応じて前記可変光減衰器の減衰特性を制御し、前記光分波部から前記第2の光増幅器へ入力される前記合成多重光のパワーレベルを調節することにより、前記第2の光増幅器への前記合成多重光の入力パワーレベルを制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記第2の波長光多重伝送装置への前記合成多重光の入力直後に、前記レベル検出器の検出結果と前記複数のパワーレベルを示す閾値との比較結果に応じて前記可変光減衰器の減衰特性を高速で制御し、前記光分波部から前記第2の光増幅器へ入力される前記合成多重光の入力パワーレベルを高速で調節する高速駆動部と、前記高速駆動部によって前記第2の光増幅器への光入力パワーレベルが適正値に制御されると、前記レベル検出器の検出結果と前記複数のパワーレベルを示す閾値との比較結果に応じて前記可変光減衰器の減衰特性を低速で制御し、前記光分波部から前記第2の光増幅器へ入力される前記合成多重光の入力パワーレベルを低速で調節する低速駆動部とを備え、前記参照信号断検出器による前記参照信号光の断絶の検出の後には、前記制御部が、前記可変光減衰器の減衰特性を維持し、前記参照信号断検出器による前記参照信号光の伝送再開の検出の直後には、前記高速駆動部が、前記レベル検出器の検出結果と前記複数のパワーレベルを示す閾値との比較結果に応じて前記可変光減衰器の減衰特性を高速で制御し、前記可変光減衰器の減衰特性を高速で調節することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、この発明の様々な実施の形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る波長多重光通信システムの概略図である。この図は、送信ターミナル局としての第1のノード1から中継局としての第2のノード(波長多重光伝送装置)2までの波長多重伝送を示している。
【0012】
第1のノード1は、参照信号発生器3と光カプラ(光合波器)4と光増幅器5を備えている。参照信号発生器3は、伝送対象の波長多重光の各波長λ1〜λNとは異なる波長λMを有しており光強度変調がされた参照信号光を生成する。図示しないが、参照信号発生器3は、光源と光強度変調回路とを備えており、光源は、波長多重光では使用されない異なる波長を持つ光を発生し、光強度変調回路は、波長多重光の伝送速度よりも十分低い周波数の信号により光強度変調を光源からの光に対して施す。このようにして光強度変調がされた参照信号光が生成される。ここで使われる低周波の信号は、参照信号光とノイズを区別するために役立つトーン信号である。
【0013】
光カプラ4は、参照信号発生器3から出力された参照信号と伝送対象の波長多重光を合波する。この結果生じた光を便宜的に合成多重光と呼ぶ。光増幅器5は、光カプラ4から出力された合成多重光のパワーを一括的に増幅する。光増幅器5で増幅された合成多重光は光ファイバすなわち光伝送路6を介して、次段の第2のノード2に伝送される。
【0014】
第2のノード2は、可変光減衰器7と、光分岐カプラ(光分波部)8と、BPF(光分波部)9と、PD(photo diode、受光素子)10と、レベル検出回路(レベル検出器)11と、比較器12と、制御回路(制御部)13と、可変光減衰器7の駆動回路(制御部)14と、光増幅器15を備える。可変光減衰器7は、駆動回路14により駆動されて第1のノード1から光伝送路6を介して受けた合成多重光のパワーを一括的に減衰させることが可能であり、その減衰特性は制御回路13によりフィードバック制御されるようになっている。
【0015】
光分岐カプラ8は、可変光減衰器7から出力された合成多重光から一部を分岐させる。光分岐カプラ8で分岐された一部の光は光ファイバでBPF9に送られ、他の大部分は光ファイバで光増幅器15に送られる。光増幅器15は光分岐カプラ8から受けた合成多重光をさらに次の段の波長多重光伝送装置(例えば他の中継局または受信ターミナル局)に伝送するために一括的に増幅する。
【0016】
BPF9は、分岐された一部の合成多重光のうち波長λMを持つ参照信号光のみを通過させる。PD10は、BPF9から出力された参照信号光を光電変換し、レベル検出回路11は、PD10が出力する電気信号から参照信号光のピークのパワーレベルを検出する。ここで、光伝送路6を介して伝送される合成多重光ひいてはここに含まれた波長λMの光は、本来の参照信号光だけでなくノイズを含む可能性があるので、レベル検出回路11は、参照信号光に重畳された上記のトーン信号の振幅からピーク検出を行うことにより、パワーレベルを検知する。
【0017】
レベル検出回路11の検出結果(電圧)は比較器12に供給される。比較器12は、検出結果を複数の閾値(設定電圧)と比較し、比較結果を制御回路13に通知する。比較器12の比較により参照信号光のパワーレベルがどの段階すなわち範囲にあるかが特定され、制御回路13は、比較器12で特定された段階に基づいて駆動回路14を制御することにより、可変光減衰器7の減衰特性を制御する。具体的には、制御回路13は、現在の可変光減衰器7にとって適切な減衰量を駆動回路14に通知し、駆動回路14は可変光減衰器7を制御し、光増幅器15へ入力される合成多重光のパワーレベルを自動的に適正に調節する。
【0018】
上記の手順により、光増幅器15に過大なパワーレベルの光が入力されることが防止され、光増幅器15の利得飽和を避けることができ、利得偏差を小さくすることができる。従って、伝送される信号の受信エラーならびに光増幅器15および次段の伝送装置の損傷のおそれを低減することができる。第2のノード2の光増幅器15に過大なパワーレベルの光が入力されるのを避けるためには、第2のノード2を光伝送路6に接続する前にあらかじめ光伝送路6の光損失を測定しておき、固定光減衰器で損失を補償するという方策も考えられるが、この実施の形態によれば事前に光伝送路6の光損失を測定する必要がなく、波長多重光通信システムの初期設置時または第2のノード2の増設時などの作業が容易になりその作業時間を短縮することができる。
【0019】
なお、この実施の形態では、波長多重光と参照信号光を分離する光分波部として、光分岐カプラ8とBPF9を用いており、光分岐カプラ8は、可変光減衰器7から出力された合成多重光から分岐させ、大部分の合成多重光を光ファイバで光増幅器15に送るようになっている。従って、次段の波長多重光伝送装置も第2のノード2と同様に参照信号光のパワーレベルに基づく可変光減衰器7の調整が可能である。
【0020】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2に係る波長多重光通信システムの概略図である。実施の形態2のシステムは、実施の形態1と同様の構成要素に加えて、第2のノード2の内部に出力停止駆動回路(光出力停止部)17と第2の可変光減衰器(光出力停止部)18とを備える。実施の形態1と共通する構成要素は、実施の形態1と同様に動作するので、その詳細な説明は省略する。
【0021】
第2の可変光減衰器18は、光増幅器15の出力端に接続されており、光増幅器15から出力された合成多重光のパワーを一括的に減衰させることができる。出力停止駆動回路17は、制御回路13により制御されて第2の可変光減衰器18を駆動する。ただし、平常時は、第2の可変光減衰器18は無効とされて光増幅器15から出力された合成多重光をそのまま通過させるか、減衰量を小さく設定されている。
【0022】
制御回路13は、レベル検出回路11の検出結果が絶対最大定格入力レベル(閾値)を超えたことを比較器12の比較結果が示す場合に、出力停止駆動回路17に信号を送出し、第2の可変光減衰器18の減衰量を大きく設定する。これにより、第2のノード2の光出力を停止するかそのレベルを低下させる。最大定格入力レベルは、次の段の波長多重光伝送装置(例えば他の中継局または受信ターミナル局)が損傷を受けないように、レベル検出回路11の検出結果について設定された値である。
【0023】
波長多重光通信システムの初期設置時または第2のノード2の増設時などには、伝送される元の光信号の数が少ないので、伝送される光信号の数を増やすと、次の段の波長多重光伝送装置に過剰なレベルの光が入力される可能性がある。そこで、この実施の形態2では、レベル検出回路11の検出結果が絶対最大定格入力レベルを超えた場合に、光増幅器15の光入力レベルが適正になるまでの間、制御回路13により第2の可変光減衰器18の減衰量を大きく設定する。第2の可変光減衰器18の減衰量が大きい間に、制御回路13はレベル検出回路11の検出結果に基づいて可変光減衰器7の減衰量を増加させてゆき、光増幅器15への光入力レベルを適正化する。
【0024】
一旦、光増幅器15への光入力レベルが適正になった(レベル検出回路11の検出結果がある閾値未満になった)ことを比較器12の比較結果から検出した後は、制御回路13は第2の可変光減衰器18の減衰量を小さくし、通常出力を可能とする。このようにして、次段の伝送装置の損傷のおそれを低減することができる。
【0025】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3に係る波長多重光通信システムの概略図である。実施の形態3のシステムは、実施の形態1と同様の構成要素に加えて、第2のノード2の内部に、光増幅器15の出力を直接的に規制する出力停止駆動回路(光出力停止部)19を備える。実施の形態1と共通する構成要素は、実施の形態1と同様に動作するので、その詳細な説明は省略する。
【0026】
光増幅器15は、内部に励起レーザダイオード(図示せず)を備えており、その励起レーザダイオードの出力パワーレベルを変えることによって光増幅器15の利得を変化させることが可能である。出力停止駆動回路19は、制御回路13により制御されて光増幅器15内の励起レーザダイオードを駆動する。平常時は、光増幅器15は光分岐カプラ8から受けた合成多重光をさらに次の段の波長多重光伝送装置(例えば他の中継局または受信ターミナル局)に伝送するために一括的に増幅する。
【0027】
制御回路13は、レベル検出回路11の検出結果が絶対最大定格入力レベル(閾値)を超えたことを比較器12の比較結果が示す場合に、出力停止駆動回路19に信号を送出し、光増幅器15のレーザダイオードを停止させ光増幅器15の出力を停止させる。これにより、第2のノード2の光出力を停止する。光増幅器15の出力が停止されている間に、制御回路13はレベル検出回路11の検出結果に基づいて可変光減衰器7の減衰量を増加させてゆき、光増幅器15への光入力レベルを適正化する。
【0028】
一旦、光増幅器15への光入力レベルが適正になった(レベル検出回路11の検出結果がある閾値未満になった)ことを比較器12の比較結果から検出した後は、制御回路13は出力停止駆動回路19に別の信号を送り、通常出力を可能とする。このようにして、次段の伝送装置の損傷のおそれを低減することができる。このように、実施の形態2と同様の効果を出力停止駆動回路19を介して光増幅器15の励起レーザダイオードの出力を停止することで得られる。
【0029】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4に係る波長多重光通信システムの概略図である。実施の形態4のシステムは、実施の形態1と同様の構成要素に加えて、第2のノード2の内部に参照信号断検出回路(参照信号断検出器)22を備える。実施の形態1と共通する構成要素は、実施の形態1と同様に動作するので、その詳細な説明は省略する。参照信号断検出回路22は、レベル検出回路11の検出結果に基づいて参照信号光の断絶および伝送を検出し、その断絶および伝送を制御回路13に通知する。
【0030】
また、この実施の形態4の第2のノード2は、可変光減衰器7の駆動回路として高速駆動回路(高速駆動部)20と低速駆動回路(低速駆動部)21とを備える。高速駆動回路20は、制御回路(高速駆動部、低速駆動部)13の指示に従って可変光減衰器7の減衰特性を高速で調節することができる。他方、低速駆動回路21は、制御回路13の指示に従って可変光減衰器7の減衰特性を低速で調節することができる。
【0031】
制御回路13は、波長光多重伝送装置への合成多重光の入力直後には、高速駆動回路20を使用して、レベル検出回路11の検出結果に基づいて可変光減衰器7の減衰特性を高速で調節する。例えば、波長多重光通信システムの初期設置時、第2のノード2の増設時、または伝送路の切断などにより、第2のノード2への光入力が停止している状態からの光の入力の再開時には、高速駆動回路20により高速で可変光減衰器7を動作させ、光増幅器15への光入力レベルを速やかに適正化する。
【0032】
一旦、光増幅器15への光入力レベルが適正になった(レベル検出回路11の検出結果がある閾値未満になった)ことを比較器12の比較結果から検出した後は、制御回路13は、可変光減衰器7の駆動回路を高速駆動回路20から低速駆動回路21に切り替える。そして、制御回路13は、低速駆動回路21を使用して、レベル検出回路11の検出結果に基づいて可変光減衰器7の減衰特性を低速で調節する。
【0033】
なんらかの原因で第2のノード2に参照信号だけが入力されなくなった場合には、参照信号断検出回路22が参照信号の断絶を検出し、制御回路13に通知する。すると、制御回路13は低速駆動回路21を制御して可変光減衰器7の減衰量を維持させる。すなわち、減衰量を変化させないように制御を行う。また、参照信号の復帰(伝送再開)を参照信号断検出回路22が検出次第、制御回路13は可変光減衰器7の駆動回路を高速駆動回路20に切り替える。その後、光入力レベルが適正になったことを比較器12で検出した後には、制御回路13は可変光減衰器7の駆動回路を低速駆動回路21に切り替える。
【0034】
波長多重光通信システムの初期設置時または第2のノード2の増設時などには、伝送される元の光信号の数が少ないので、伝送される光信号の数を増やすと、次の段の波長多重光伝送装置に過剰なレベルの光が入力される可能性がある。しかし、この実施の形態では、波長光多重伝送装置への合成多重光の入力直後には、高速駆動回路20により可変光減衰器7の減衰特性を高速で調節するので、次段の伝送装置の損傷のおそれを低減することができる。また、なんらかの原因で第2のノード2に参照信号だけが入力されなくなった場合には、可変光減衰器7の減衰量を維持することにより、多くの場合に伝送状態を持続することができる。参照信号の伝送再開の直後に高速駆動回路20により可変光減衰器7の減衰特性を高速で調節するので、次段の伝送装置の損傷のおそれを低減することができる。
【0035】
実施の形態5.
図5はこの発明の実施の形態5に係る波長多重光通信システムの概略図である。実施の形態5のシステムは、実施の形態2と同様の構成要素に加えて、第2のノード2の内部に参照信号断検出回路(参照信号断検出器)22を備える。実施の形態2と共通する構成要素は、実施の形態2と同様に動作するので、その詳細な説明は省略する。
【0036】
参照信号断検出回路22は、レベル検出回路11の検出結果に基づいて参照信号光の断絶および伝送を検出し、その断絶および伝送を制御回路13に通知する。すると制御回路13は、出力停止駆動回路17に信号を送出し、第2の可変光減衰器18の減衰量を大きく設定する。これにより、第2のノード2の光出力を停止するかそのレベルを低下させる。このようにして、参照信号の断絶の影響を抑制し、次段の伝送装置の損傷のおそれを低減することができる。
【0037】
実施の形態6.
図6はこの発明の実施の形態6に係る波長多重光通信システムの概略図である。実施の形態6のシステムは、実施の形態3と同様の構成要素に加えて、第2のノード2の内部に参照信号断検出回路22を備える。実施の形態3と共通する構成要素は、実施の形態3と同様に動作するので、その詳細な説明は省略する。
【0038】
参照信号断検出回路22は、レベル検出回路11の検出結果に基づいて参照信号光の断絶および伝送を検出し、その断絶および伝送を制御回路13に通知する。すると制御回路13は、出力停止駆動回路19に信号を送出し、出力停止駆動回路19に信号を送出し、光増幅器15のレーザダイオードを停止させ光増幅器15の出力を停止させる。これにより、第2のノード2の光出力を停止する。このようにして、参照信号の断絶の影響を抑制し、次段の伝送装置の損傷のおそれを低減することができる。このように実施の形態5と同様の効果が得られる。
【0039】
実施の形態7.
図7はこの発明の実施の形態7に係る波長多重光通信システムの概略図である。実施の形態7のシステムは、実施の形態1と類似するが、第1のノード1では光カプラ4に代えてO−MUX(optical multiplexer)16を備える。O−MUX16は、波長多重光の各成分となる波長λ1〜λNの光と、参照信号発生器3から出力された波長λMを持つ参照信号光を合波する。O−MUX16としては、光カプラよりも波長依存性の高いAWG(Arrayed−Waveguide Grating)、あるいはWDM(Wavelength Division Multiplexing)カプラが使用しうる。その他の構成要素は、実施の形態1と同様である。この実施の形態7も実施の形態1と同様の効果を奏することが可能である。
【0040】
この実施の形態7と同様の改変を前述した実施の形態2〜6および後述する実施の形態8に与えてもよい。すなわちこれらの実施の形態でも、波長多重光と参照信号光を合波する光カプラ4に代えて、波長多重光の各成分光と参照信号光を合波するO−MUX16を使用することができ、同様の効果を得ることができる。
【0041】
実施の形態8.
図8はこの発明の実施の形態8に係る波長多重光通信システムの概略図である。実施の形態8のシステムは、実施の形態1と類似するが、第2のノード2では光増幅器15の代わりにOADM(optical add/drop multiplexer)23を備える。このOADM23を設けたことにより、この第2のノード2では伝送する新たな光の追加および伝送された光の取り出しが可能である。その他の構成要素は、実施の形態1と同様であり同様の動作を行う。このため、この実施の形態8では、OADM23に過大なパワーレベルの光が入力されることが防止され、伝送される信号の受信エラーならびにOADM23および次段の伝送装置の損傷のおそれを低減することができる。
【0042】
この実施の形態8と同様の改変を前述した実施の形態2,4,5,6に与えてもよい。すなわちこれらの実施の形態でも、第2のノード2から出力されるべき合成多重光を一括増幅する光増幅器15に代えて、OADM23を使用することができ、同様の効果を得ることができる。
【0043】
なお、前述の実施の形態1〜8では、合成多重光から参照信号光を分離するための光分波部として光分岐カプラ8とBPF9の組合せを使用するが、この組合せに代えて、OADMを使用してもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、波長多重光の各成分光の波長とは異なる波長を有する参照信号光と波長多重光とが合波されて生成された合成多重光を減衰させることが可能な可変光減衰器と、可変光減衰器から出力された合成多重光から波長多重光と参照信号光を分離する光分波部と、光分波部から出力された参照信号光を光電変換する受光素子と、受光素子が出力する電気信号から参照信号光のパワーレベルを検出するレベル検出器と、レベル検出器の検出結果に基づいて可変光減衰器の減衰特性を制御する制御部とを備えたことにより、光増幅器、OADM装置または次段の伝送装置に入力される光信号のパワーレベルを自動的に適正に調節し、受信エラーおよび構成要素の損傷のおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による波長多重光通信システムを示す概略図である。
【図2】 この発明の実施の形態2による波長多重光通信システムを示す概略図である。
【図3】 この発明の実施の形態3による波長多重光通信システムを示す概略図である。
【図4】 この発明の実施の形態4による波長多重光通信システムを示す概略図である。
【図5】 この発明の実施の形態5による波長多重光通信システムを示す概略図である。
【図6】 この発明の実施の形態6による波長多重光通信システムを示す概略図である。
【図7】 この発明の実施の形態7による波長多重光通信システムを示す概略図である。
【図8】 この発明の実施の形態8による波長多重光通信システムを示す概略図である。
【符号の説明】
1 第1のノード、2 第2のノード(波長多重光伝送装置)、3 参照信号発生器、4 光カプラ(光合波器)、5 光増幅器、6 光伝送路、7 可変光減衰器、8 光分岐カプラ(光分波部)、9 BPF(光分波部)、10 PD(受光素子)、11 レベル検出回路(レベル検出器)、12 比較器、13 制御回路(高速駆動部、低速駆動部)、14 駆動回路(制御部)、15 光増幅器、16 O−MUX、17 出力停止駆動回路(光出力停止部)、18 第2の可変光減衰器(光出力停止部)、19 出力停止駆動回路(光出力停止部)、20 高速駆動回路(高速駆動部)、21 低速駆動回路(低速駆動部)、22 参照信号断検出回路(参照信号断検出器)、23 OADM。
Claims (2)
- 波長多重光の各成分光の波長とは異なる波長を有する参照信号光と前記波長多重光とが合波されて生成された合成多重光を増幅して、光伝送路へ送出する第1の光増幅器を有する第1の波長多重光伝送装置と、前記光伝送路から前記合成多重光を受信し、減衰した前記合成多重光を光増幅する第2の光増幅器を有する第2の波長多重光伝送装置とを備えた波長多重光通信システムにおいて、
前記第2の波長多重光伝送装置は、
前記光伝送路から受けた前記合成多重光を減衰させることが可能な可変光減衰器と、
前記可変光減衰器から出力された前記合成多重光から前記波長多重光と前記参照信号光を分離する光分波部と、
前記光分波部から出力された前記参照信号光を光電変換する受光素子と、
前記受光素子が出力する電気信号から前記参照信号光のパワーレベルを検出するレベル検出器と、
前記レベル検出器の検出結果に基づいて前記参照信号光の断絶および伝送を検出する参照信号断検出器と、
前記レベル検出器の検出結果と複数のパワーレベルを示す閾値との比較結果に応じて前記可変光減衰器の減衰特性を制御し、前記光分波部から前記第2の光増幅器へ入力される前記合成多重光のパワーレベルを調節することにより、前記第2の光増幅器への前記合成多重光の入力パワーレベルを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第2の波長光多重伝送装置への前記合成多重光の入力直後に、前記レベル検出器の検出結果と前記複数のパワーレベルを示す閾値との比較結果に応じて前記可変光減衰器の減衰特性を高速で制御し、前記光分波部から前記第2の光増幅器へ入力される前記合成多重光の入力パワーレベルを高速で調節する高速駆動部と、前記高速駆動部によって前記第2の光増幅器への光入力パワーレベルが適正値に制御されると、前記レベル検出器の検出結果と前記複数のパワーレベルを示す閾値との比較結果に応じて前記可変光減衰器の減衰特性を低速で制御し、前記光分波部から前記第2の光増幅器へ入力される前記合成多重光の入力パワーレベルを低速で調節する低速駆動部とを備え、
前記参照信号断検出器による前記参照信号光の断絶の検出の後には、前記制御部が、前記可変光減衰器の減衰特性を維持し、前記参照信号断検出器による前記参照信号光の伝送再開の検出の直後には、前記高速駆動部が、前記レベル検出器の検出結果と前記複数のパワーレベルを示す閾値との比較結果に応じて前記可変光減衰器の減衰特性を高速で制御し、前記可変光減衰器の減衰特性を高速で調節することを特徴とする波長多重光通信システム。 - 波長多重光と、この波長多重光の各成分光の波長と異なる波長を有する参照信号光とを含む合成多重光を受信し、光伝送路において減衰した前記合成多重光を光増幅する光増幅器を有する波長多重光伝送装置において、
前記光伝送路から受けた前記合成多重光を減衰させることが可能な可変光減衰器と、
前記可変光減衰器から出力された前記合成多重光から前記波長多重光と前記参照信号光を分離する光分波部と、
前記光分波部から出力された前記参照信号光を光電変換する受光素子と、
前記受光素子が出力する電気信号から前記参照信号光のパワーレベルを検出するレベル検出器と、
前記レベル検出器の検出結果に基づいて前記参照信号光の断絶および伝送を検出する参照信号断検出器と、
前記レベル検出器の検出結果と複数のパワーレベルを示す閾値との比較結果に応じて前記可変光減衰器の減衰特性を制御し、前記光分波部から前記光増幅器へ入力される前記合成多重光のパワーレベルを調節することにより、前記光増幅器への前記合成多重光の入力パワーレベルを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記レベル検出器の検出結果と前記複数のパワーレベルを示す閾値との比較結果に応じて前記可変光減衰器の減衰特性を高速で制御し、前記光分波部から前記光増幅器へ入力される前記合成多重光の入力パワーレベルを高速で調節する高速駆動部と、前記高速駆動部によって前記光増幅器への光入力パワーレベルが適正値に制御されると、前記レベル検出器の検出結果と前記複数のパワーレベルを示す閾値との比較結果に応じて前記可変光減衰器の減衰特性を低速で制御し、前記光分波部から前記光増幅器へ入力される前記合成多重光の入力パワーレベルを低速で調節する低速駆動部とを備え、
前記参照信号断検出器による前記参照信号光の断絶の検出の後には、前記制御部が、前記可変光減衰器の減衰特性を維持し、前記参照信号断検出器による前記参照信号光の伝送再開の検出の直後には、前記高速駆動部が、前記レベル検出器の検出結果と前記複数のパワーレベルを示す閾値との比較結果に応じて前記可変光減衰器の減衰特性を高速で制御し、前記可変光減衰器の減衰特性を高速で調節することを特徴とする波長多重光伝送装置。
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