以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。また、以下に説明する各種の例示的態様は、適宜に組み合わせて実施しても構わない。なお、以下の実施形態で用いる図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
図1は、光伝送システムの一例としての波長多重(WDM)光ネットワークの構成例を示すブロック図である。図1に示すWDM光ネットワーク1は、例示的に、光伝送装置10−1と、光伝送装置10−2と、を備えてよい。
光伝送装置10−1及び20−2は、例示的に、光伝送路30によって光通信可能に接続されてよい。光伝送路30は、光ファイバ伝送路であってよい。光伝送装置10−1及び10−2の間の光通信は、片方向(Unidirectional)でもよいし、双方向(Bidirectional)でもよい。図1には、例示的に、光伝送装置10−1から光伝送装置10−2への光通信に着目した構成例を示している。
光伝送装置10−1及び10−2を区別しなくてよい場合には、単に「光伝送装置10」と表記することがある。光伝送装置10は、WDM光ネットワーク1のエレメント(ネットワークエレメント:NE)の一例である。NE10には、光送信局や光受信局、光中継局、ROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer)等の光アドドロップ局等が該当してよい。「局」は、「ノード」と称されてもよい。
例示的に、図1において、NE10−1は、光送信局(光送信ノード)に該当してよく、NE10−2は、光受信局(光受信ノード)に該当してよい。
NE10−1とNE−10−2との間の光伝送路30には、WDM光信号の伝送距離に応じて光増幅器(光アンプ)が適宜に設けられてもよい。光アンプを備えたノードは、光中継ノードに該当すると捉えてもよい。なお、WDM光信号の伝送距離によっては、光アンプを備えなくてよいこともある。
光伝送装置10−1は、図1に例示するように、複数のトランスポンダ(TRPN)11と、波長多重器(マルチプレクサ:MUX)12と、を備えてよい。
トランスポンダ11は、例えばルータ等の通信機器40と光ファイバによって光学的に接続されてよい。各トランスポンダ11は、マルチプレクサ12と光ファイバによって光学的に接続されてよい。
通信機器40は、例えばクライアント(「トリビュータリ」と称してもよい。)の通信機器40である。クライアントの通信機器40には、SDH(synchronous digital hierarchy)やSONET(Synchronous Optical Network)、イーサネット(登録商標)等で用いられる通信機器が該当してよい。なお、光伝送装置10−2に接続された通信機器50についても通信機器40と同様であってよい。
通信機器40から送信された信号は、対応するトランスポンダ11にて受信された後、いずれかの波長(「チャネル」と称してもよい。)の光信号に変換されて、マルチプレクサ12に入力される。
マルチプレクサ12は、WDMカプラ等の合波カプラであってよく、各トランスポンダ11から受信される光信号を波長多重することによりWDM光信号を生成する。生成されたWDM光信号は、光伝送路30へ送信される。当該送信に際して、WDM光信号は、マルチプレクサ12の後段(ポストステージ)に備えられた光アンプ13によって所定の送信光パワーに増幅されてよい。
光アンプ13は、「ポストアンプ13」あるいは「送信アンプ13」と称してもよい。WDM光信号の伝送距離によっては、光伝送装置10−1において光アンプ13は不要な場合もある。
光伝送路30へ送信されたWDM光信号は、例えば光伝送装置10−2にて受信される。光伝送装置10−2は、図1に例示するように、波長分離器(デマルチプレクサ:DEMUX)15と、複数のトランスポンダ(TRPN)16と、を備えてよい。
デマルチプレクサ15の前段(プレステージ)には、受信したWDM光信号を増幅する光アンプ14が備えられてよい。光アンプ14は、「プリアンプ14」あるいは「受信アンプ14」と称してもよい。WDM光信号の伝送距離によっては、光伝送装置10−2において光アンプ14は不要な場合もある。
デマルチプレクサ15は、受信したWDM光信号を波長毎に分離してトランスポンダ16のいずれかに入力する。なお、トランスポンダ16においてコヒーレント受信が可能な場合には、デマルチプレクサ15は、代替的に、WDM光信号を分岐する光スプリッタであってもよい。光スプリッタは、分岐カプラであってもよい。
トランスポンダ16は、デマルチプレクサ15から入力された光信号を電気信号に光電変換して、クライアントの通信機器50に送信する。
なお、図1には、光伝送装置10−1から光伝送装置10−2への片方向の通信に着目した構成を例示しているが、逆方向の通信に関しても、上記と同様の構成でよい。別言すると、光伝送装置10−1と光伝送装置10−2との間は、双方向の光通信が可能であってよい。したがって、通信機器40と通信機器50との間は、双方向の通信が可能であってよい。
双方向の光通信は、光伝送装置10−1と光伝送装置10−2との間に、双方向のそれぞれについて個別に設けられた光伝送路30を介して行なわれてよい。例えば図1において、光伝送装置10−2から光伝送装置10−1への逆方向の通信は、光伝送装置10−1を光伝送装置10−2に読み替え、且つ、光伝送装置10−2を光伝送装置10−1に読み替えた構成によって実現されると捉えてよい。
便宜的に、双方向のうち、光伝送装置10−1(又は10−2)が光伝送路30へWDM光信号を送信する方向を「アップストリーム方向」と称してよく、その逆方向を「ダウンストリーム方向」と称してよい。
したがって、光伝送装置10−1及び10−2は、それぞれ、アップストリーム方向に対応した送信系と、ダウンストリーム方向に対応した受信系と、を備えてよい。例えば図1では、トランスポンダ11及びマルチプレクサ12が光伝送装置10−1の送信系に該当し、デマルチプレクサ15及びトランスポンダ16が光伝送装置10−2の受信系に該当する。
別言すると、光伝送装置10−1は、図1には図示を省略しているが、受信系として、光伝送装置10−2の受信系と同様に、デマルチプレクサ15及びトランスポンダ16を備えてよい。
また、光伝送装置10−2は、図1には図示を省略しているが、送信系として、光伝送装置10−1の送信系と同様に、トランスポンダ11及びマルチプレクサ12を備えてよい。
トランスポンダ11(又は16)は、送受信系に共用であってよい。別言すると、トランスポンダ11及び16は、共通の構成(送信部及び受信部)を有していてよい。
トランスポンダ11(又は16)の受信部は、「シングルチャネル受信」構成でもよいし、「マルチチャネル受信」構成でもよい。シングルチャネル受信では、受信WDM光信号の複数チャネルのうち受信希望チャネル(「ターゲットチャネル」と称してもよい。)の光信号が選択的に受信部に入力される。
これに対し、マルチチャネル受信では、受信WDM光信号のうち、ターゲットチャネルを含む複数チャネルの光信号が受信部に入力されてよい。受信部では、コヒーレント検波によって、複数チャネルの光信号が入力されてもターゲットチャネルの信号成分を検出することが可能である。
例えば、コヒーレント検波は、後述するように、受信希望波長の局発光と、複数チャネルを含む受信光信号と、を混合して光干渉に応じたビート信号を検出する。ビート信号は、受信希望波長に相当する光の電界複素情報である。
図2に、シングルチャネル受信構成の光伝送装置10の構成例を示し、図3に、マルチチャネル受信構成の光伝送装置10の構成例を示す。図2及び図3に例示する光伝送装置10は、例示的に、ROADMであり、光送受信ブロック60と、ROADM部70と、を備えてよい。
図2及び図3に例示する光送受信ブロック60は、「ラインカード60」にて実現されてよい。ラインカード60は、既述のトランスポンダ11(又は16)に相当すると捉えてもよいし、トランスポンダ11(又は16)の一機能(あるいは、エレメント)に相当すると捉えてもよい。
光送受信ブロック60は、例示的に、光送信器61と、光受信器62と、デジタル信号処理部(DSP)63と、を備えてよい。
光送信器61は、例示的に、光源611と、光変調器612と、ドライバ613と、を備えてよい。DSP63で生成された送信データ信号に応じた駆動信号によって光変調器612が駆動されることで、光源611の出力光が送信データ信号によって変調されて送信変調信号光が生成される。
なお、光源611には、半導体レーザダイオード(LD)を適用してよい。LDは、発光波長が固定のLDでもよいし、発光波長が可変のチューナブルLDであってもよい。光変調器612には、マッハツェンダ(MZ)光変調器を適用してよい。光変調器による光変調方式には、多値(マルチレベル)PSK(Phase Shift Keying)や、多値QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等を適用してよい。
光変調方式には、1波長についての偏波多重や直交周波数多重(OFDM)等の多重化方式が、適宜に、組み合わされてもよい。例えば、異なる偏波成分(例えば、X偏波成分及びY偏波成分)毎に送信データをマッピングする偏波多重QPSK(Dual Polarization-QPSK)方式が、光変調器に適用されてよい。
一方、光受信器62は、例示的に、局発光源(LO)621と、受信フロントエンド(RxFE)622と、を備えてよい。LOは、ローカルオシレータの略称である。RxFE622は、局発光源621の出力光(「局発光」と称してもよい。)を用いて、ROADM部70から入力される受信光信号をコヒーレント検波する。RxFE622は、光信号を受信する光受信部の一例である。
ROADM部70から光受信器62に入力される光信号は、図2の例ではシングルチャネルの光信号であり、図3の例では、マルチチャネルの光信号である。
例えば図2に示すROADM部70は、受信WDM光信号をチャネル毎に分離して、いずれか1チャネルの光信号をラインカード60へ選択出力する。
チャネル分離には、例示的に、デマルチプレクサ74を用いてよい。デマルチプレクサ74には、アレイ導波路グレーティング(AWG)やチューナブル光フィルタを適用してよい。デマルチプレクサ74は、図1に例示したデマルチプレクサ15に相当すると捉えてよい。
なお、図2のROADM部70において、デマルチプレクサ74の前段には、プリアンプ73が備えられてもよい。プリアンプ73は、図1に例示した光アンプ14に相当すると捉えてもよい。
また、図2のROADM部70には、マルチプレクサ71が備えられてよい。マルチプレクサ71の後段には、ポストアンプ72が備えられてよい。マルチプレクサ71及びポストアンプ72は、それぞれ、図1に例示したマルチプレクサ12及び光アンプ13に相当すると捉えてもよい。
これに対し、図3に示すROADM部70は、例示的に、波長無依存(カラーレス)であり、受信WDM光信号に含まれる、いずれか複数チャネルの光信号を、光受信器62に出力する。
光受信器62では、複数チャネルの光信号が入力されても、RxFE622でのコヒーレント検波によって、ターゲットチャネルの信号成分を検出することができる。
例えば、複数チャネルが隣接した状態で光信号が光受信器62のRxFE622に入力されたとしても、局発光の周波数を中心とした限定的な周波数範囲の信号成分を切り出すことができる。
したがって、DSP63は、隣接チャネルの影響を受けずに、ターゲットチャネルの信号処理を行なうことが可能である。また、光受信器62にマルチチャネルの光信号が入力されることが許容されるから、ROADM部70には、AWGやチューナブル光フィルタ等を用いた高価なチャネル分離機能を備えてなく済む。
更に、近年の光通信技術においては、WDM伝送帯域の周波数利用効率向上のために、光送信側においてナイキストフィルタ等を用いてWDM光信号におけるチャネル間隔が可能な限り狭小化されて高密度化されることがある。チャネルが高密度化されたWDM光信号は、「スーパーチャネル」信号と称されることがある。
シングルチャネル受信では、スーパーチャネル信号からターゲットチャネルの信号成分を限定的に切り出すことが可能なフィルタ特性を実現するのは困難である。これに対し、マルチチャネル受信では、既述のようにコヒーレント検波を用いることで、スーパーチャネル信号であっても、ターゲットチャネルの信号成分を限定的に切り出して信号処理することができる。
ところで、RxFE622への入力光パワーレベルには、RxFE622の受信特性に応じた適切なレンジ(「受信レンジ」と称してよい。)がある。RxFE622の受信特性は、例示的に、RxFE622に備えられる、PD(フォトディテクタあるいはフォトダイオード)等の光電変換器やトランスインピーダンスアンプ(TIA)の特性に応じて定まると考えてよい。PDの特性の一例は、光電変換効率であり、TIAの特性の一例は、電流−電圧変換効率である。
RxFE622への入力光パワーレベルを適切な受信レンジに収めるために、図2及び図3に例示するように、RxFE622の前段に、可変光減衰器(VOA)623が設けられてよい。
VOA623は、その光減衰量(「VOAロス」と称してもよい。)が制御されることで、ROADM部70から光受信器62のRxFE622に入力される光信号のパワーレベルを調整する。
VOAロスは、例示的に、ROADM部70からの出力光パワーレベルをPD624にてモニタ(「検出」又は「測定」と称してもよい。)した結果に基づいて制御されてよい。例えば、PD624でモニタされた光パワーレベルが、RxFE622の受信レンジに収まる適切なパワーレベルになるように、VOAロスが制御されてよい。なお、PD624は、「モニタPD624」あるいは「モニタ624」と称してもよい。
ただし、VOA623前段のPD624によるモニタ結果に基づくVOAロスの制御は、図2のシングルチャネル受信では有効であるが、図3のマルチチャネル受信では誤差が大きくなり易い。
例えば、PD624にて検出される光パワーレベルは、シングルチャネル受信ではターゲットチャネルの光パワーレベルであるが、マルチチャネル受信ではターゲットチャネルを含むマルチチャネルのトータル光パワーレベルである。
なお、便宜的に、ターゲットチャネルの光パワーレベルを「ターゲットチャネルパワー」と称し、マルチチャネルのトータル光パワーレベルを「トータルパワー」と称することがある。
トータルパワーに基づいてVOAロスが制御されると、RxFE622へのターゲットチャネルパワーが適切なパワーレベルに制御されているとは、必ずしも云えない。そのため、制御誤差が生じる可能性がある。
非限定的な一例として、図4に、受信チャネル数を変更したときの、ターゲットチャネルパワー(横軸、[dBm/ch])とトータルパワー(縦軸、[dBm])との関係を示す。図4において、例えば、ターゲットチャネルパワー=「−10dBm/ch」に注目すると、シングルチャネル受信時のトータルパワーは、同じく「−10dBm」である。
これに対し、2チャネル受信時のトータルパワーは、例えば、約「−7dBm」であり、3チャネル受信時のトータルパワーは、例えば、約「−5dBm」である。このように、トータルパワーは、受信チャネル数の増加に応じて、ターゲットチャネルパワーからの乖離が大きくなる傾向にある。
そのため、図3の光受信器62にてマルチチャネル受信する場合に、PD624でモニタされたトータルパワーに基づいてVOAロスが制御されると、ターゲットチャネルパワーの制御誤差が大きくなり易い。
そこで、図3のマルチチャネル受信の場合は、例えば、ROADM部70に備えられた光チャネルモニタ(OCM)75にてチャネル毎の光パワーをモニタし、そのモニタ結果を用いて、光受信器62でのターゲットチャネルパワーを推定してよい。
なお、OCM75からラインカード60までの光パワー損失を補正するために、OCM75は、受信WDM光信号のトータルパワーを併せてモニタしてもよい。OCM75によってモニタされた結果あるいは情報は、便宜的に、「モニタパワー情報」と総称してもよい。
ラインカード60では、例えば、PD624でモニタしたトータルパワーと、OCM75でモニタされた、ターゲットチャネルパワー及びトータルパワーと、を基に、ラインカード60でのターゲットチャネルパワーを推定できる。
例えば、ラインカード60でのターゲットチャネルパワーを「PLINEtarget」、OCM75でのトータルパワーを「POCMtotal」、OCM75でのターゲットチャネルパワーを「POCMtarget」、PD624でモニタされたトータルパワーを「PPDtotal」とそれぞれ表すと、以下の数式1によってターゲットチャネルパワーを推定できる。
数式1によって得られた、ラインカード60でのターゲットチャネルパワーP
LINEtargetに基づいて、VOAロスを制御することで、マルチチャネル受信時においても、RxFE622へのターゲットチャネルパワーを適切なパワーレベルに調整できる。
なお、図2及び図3に例示した構成では、PD624が光受信器62の内部に設けられているが、例えば図5に示すように、PD624は光受信器62の外部に設けられてもよい。また、図2及び図3に例示した構成では、PD624がVOA623の前段に設けられているが、例えば図6に示すように、PD624はVOA623の後段に設けられてもよい。別言すると、PD624は、RxFE622へ光信号が伝搬する光路に設けられればよい。
上述したように、図3に例示したマルチチャネル受信構成では、OCM75のモニタパワー情報を用いて、ラインカード60におけるターゲットチャネルパワーを推定し、その推定値を用いてVOAロスを制御できる。
ここで、OCM75の配置について検討すると、OCM75からラインカード60までの光信号の伝送距離が短くなるほど、OCM75とラインカード60との間の光パワー損失による誤差を抑えることができる。したがって、OCM75は、できるだけラインカード60の近くに配置したい。
例えば、1つのラインカード60に対して1つのOCM75を個別的に配置すれば、OCM75とラインカード60との間の光信号の伝送距離を最短にできるかもしれない。しかし、光伝送装置10に設けられるラインカード60の数が増えると、ラインカード60毎にOCM75を配置することは、光伝送装置10のコストや規模を増大させる。
そのため、図3に例示したように、ROADM部70の内部にOCM75を配置することが現実的であると考えられる。しかし、ROADM部70にOCM75を配置すると、既述のとおり、ROADM部70からラインカード60に至る光路における光パワー損失が発生する。
既述の数式1に例示したように、OCM75でモニタされたトータルパワーと、ラインカード60のPD624でモニタされたトータルパワーと、を用いて、当該光パワー損失分を補正したとしても、各モニタパワー情報の測定誤差が累積することもある。測定誤差の累積に応じて、数式1によって求められるターゲットチャネルパワーにも誤差が発生し得る。その結果、VOAロスの制御精度が低下するおそれがある。
また、ROADM部70からラインカード60へOCM75で得られた情報を伝達する際に、遅延が生じ得る。そのため、VOAロスの制御速度に制約が生じ得る。
そこで、以下に説明する実施形態では、ターゲットチャネルパワーのモニタ精度を向上し、VOAロスの制御精度を向上する例について説明する。例えば、RxFE622では、マルチチャネルの受信光信号をコヒーレント検波及び光電変換することで、ターゲットチャネルの信号成分(「複素電界情報」と称してもよい。)が限定的に含まれる電気信号を得ることができる。
したがって、当該電気信号は、RxFE622に入力されているターゲットチャネルパワーの推定に利用できる。その推定結果には、ラインカード60とROADM部70との間の光路距離に応じた光パワー損失が反映されているから、既述のような数式1を用いた補正に拠らずに、ターゲットチャネルパワーの推定精度を向上できる。
当該推定結果を基にVOAロスの制御を実施することで、VOAロスの制御精度を向上できる。よって、RxFE622への入力光パワーレベルを適正なレンジに精度良く調整することが可能となる。
以下、ターゲットチャネルパワーの推定精度を向上できる光受信器62の構成及び動作の実施例について説明する。
(第1実施例)
図7は、第1実施例に係る光受信器62の構成例を示すブロック図である。図7に示す光受信器62は、例示的に、既述の局発光源621、RxFE622、VOA623、及び、PD624に加えて、アナログ−デジタル変換器(ADC)625と、VOA制御部626と、を備えてよい。なお、VOA623及びPD624の一方又は双方は、RxFE622の内部に設けられてもよい(信号光が伝搬する光路上に配置されればよい)。別言すると、VOA623及びPD624の一方又は双方は、RxRE622の内部に設けられてもよいし外部に設けられてもよい。
RxFE622には、例示的に、偏波多重されたマルチチャネルの光信号が入力されてよい。その場合、RxFE622は、偏波ビームスプリッタ(PBS)81、ビームスプリッタ(BS)82、90度ハイブリッドミキサ83X及び83Y、PD84、TIA85、利得増幅器(GA)86、並びに、自動利得制御器(AGC)87を備えてよい。PD84、TIA85、GA86、及び、AGC87は、それぞれ、後述する4つのレーンに対応して4組設けられてよい。
PBS81は、VOA623から入力された光信号を、異なる偏波成分毎に分離する。異なる偏波成分は、例示的に、互いに直交する偏波成分であり、一方はX偏波成分と称してよく、他方はY偏波成分と称してよい。例示的に、X偏波成分は、一方の90度ハイブリッドミキサ83Xに入力され、Y偏波成分は、他方の90度ハイブリッドミキサ83Yに入力される。
BS82は、LO621の局発光を分岐して90度ハイブリッドミキサ83X及び83Yのそれぞれに入力する。
一方の90度ハイブリッドミキサ83Xは、PBS81から入力されたX偏波成分と、BS82から入力された局発光と、を、同じ位相及び異なる位相(例えば、90度異なる位相)にて混合して干渉させる。
これにより、90度位相ハイブリッドミキサ83Xからは、X偏波成分について、同相(I−phase)成分(XI)及び直交(Q−phase)成分(XQ)の2系統の光信号(複素電界情報)が出力される。
同様に、他方の90度ハイブリッドミキサ83Yは、PBS81から入力されたY偏波成分と、BS82から入力された局発光と、を、同じ位相及び異なる位相(例えば、90度異なる位相)にて混合して干渉させる。
これにより、90度ハイブリッドミキサ83Yからは、Y偏波成分について、同相(I−phase)成分(YI)及び直交(Q−phase)成分(YQ)の2系統の光信号(複素電界情報)が出力される。
別言すると、90度ハイブリッドミキサ83X及び83Yは、2つの異なる偏波成分(X及びY)のそれぞれについて2つの異なるI成分及びQ成分の光信号(XI,XQ,YI,YQ)を出力する。これら4系統の複素電界情報が伝搬する経路をそれぞれ「レーン」と称してよい。4レーン分の信号は、それぞれ、PD84に入力される。
90度ハイブリッドミキサ83X及び83Yで得られた4レーン分の光信号(XI,XQ,YI,YQ)は、対応するレーンのPD84にて、受光パワーに応じた電流信号に変換される。したがって、「PD84」は、「光電変換器84」と言い換えてもよい。
PD84は、「バランスドPD」として構成されてもよい。「バランスドPD」は、1つあたりの90度ハイブリッド83X又は83Yから出力される正相及び逆相の光を受光する2つのPDを備え、各PDの電流信号を差動出力する。別言すると、「バランスドPD」は、光信号の位相情報を差動検出によって復調する。差動検出によって光信号の受信特性を改善することが可能である。なお、「バランスドPD」は、「バランスドレシーバ」と称されることもある。
4つのTIA85は、それぞれ、対応するレーンのPD84で得られた電流信号を電圧信号(EXI,EXQ,EYI,EYQ)に変換する。なお、PD84で得られる電流信号、及び、TIA85で得られる電圧信号を、便宜的に、「電気信号」(EXI,EXQ,EYI,EYQ)」と総称してよい。
4つのGA86は、それぞれ、利得(ゲイン)可変の電気増幅器であってよく、対応するレーンのTIA85で得られた電圧信号(EXI,EXQ,EYI,EYQ)を可変のゲインにて増幅する。各GA86のゲインは、対応するAGC87によって、自動制御されてよい。
例示的に、各GA86のゲインは、4レーン分の電圧信号の振幅ピーク値(絶対値)がそれぞれ等しく一定(つまり、|EXI|=|EXQ|=|EYI|=|EYQ|)となるように制御されてよい。
例えば、AGC87のそれぞれは、対応するGA86の出力振幅をモニタし、モニタした出力振幅が所定の振幅値となるようにGA86のゲインを制御してよい。なお、AGC87でモニタされる振幅の情報は、「ピークインジケータ(PI)」と称してもよい。したがって、GA86のAGCは、PIを所定値に一定制御することであると言い換えてもよい。なお、PIは、AGC87によるGA86のAGCが適切に動作しているか否かを示す指標にできる。
GA86のそれぞれで増幅された電圧信号EXI,EXQ,EYI,EYQは、DSP63に入力される。DSP63は、入力された電圧信号EXI,EXQ,EYI,EYQをデジタル信号処理する。
なお、GA86とDSP63との間には、出力調整用の増幅器が設けられてもよい。当該増幅器の利得を調整することで、DSP63への最終的な出力振幅を調整することができる。
デジタル信号処理によって、光伝送路30(図1参照)を伝送された光信号の受信特性の劣化要因である、波長分散(CD)や、偏波モード分散(PMD)、偏波依存損失(PDL)、非線形効果等を、数値的に求めて補償することが可能である。
なお、「受信特性」は、「伝送特性」あるいは「信号品質」と言い換えてもよい。「信号品質」の指標の一例としては、OSNR(Optical Signal to Noise Ratio)やBER(Bit Error Rate)等が挙げられる。
例示的に、デジタル信号処理には、アナログ−デジタル変換(ADC)、分散補償、サンプリング位相同期、適応等化、周波数オフセット補償、搬送波位相復元、誤り訂正復号等の処理が含まれてよい。
なお、デジタル信号処理は、DSP63に限らず、演算能力を備えた演算装置によって実現されてよい。演算装置は、「プロセッサデバイス」あるいは「プロセッサ回路」と称してもよい。演算装置は、FPGA(Field Programmable Gate Array)や、大規模集積回路(LSI)等を用いて実現されてもよい。
ADC625は、AGC87によってAGCされている各GA86の電圧(GA電圧)をデジタル信号に変換する。なお、図7において、ADC625は、4つのレーンのGA86に共通であるが、各レーンに対して個別的にADC625が備えられてもよい。
ここで、GA電圧が大きくなるほど、GA86のゲイン値も大きくなる。したがって、GA電圧は、GA86のゲイン値と等価な情報として扱ってよい。
ADC625によって得られたデジタル信号のGA電圧、すなわちGA86のゲイン値(「モニタゲイン値」と称してもよい。)は、VOA制御部626に与えられてよい。
GA86は、AGC87によってPIが一定となるように制御されているから、GA86に入力される電圧信号の振幅が大きいほど、GA86のゲイン値は小さくなる傾向にある。
したがって、VOA制御部626は、ADC625から入力される、GA86のモニタゲイン値を基に、コヒーレント検波によって切り出されたターゲットチャネルのパワーを推定することができる。
図8に、受信チャネル数を変更したときの、ターゲットチャネルパワー(横軸、[dBm/ch])とGA電圧(縦軸、[V])との関係の一例を示す。図8において、符号A〜Cで示す関係(「特性」と言い換えてもよい。)が、それぞれ、受信チャネルが1〜3チャネルの場合を表している。
図8から容易に理解できるように、ターゲットチャネルパワーとGA電圧との間には相関があるため、ターゲットチャネルパワーの変化を、GA電圧(すなわちGA86のゲイン値)から知ることができる。また、この相関は、受信チャネル数が変化したとしても、ほとんど変わらないことが、図8から分かる。
したがって、GA86のゲイン値をモニタすることで、OCM75によるモニタ情報に頼らずとも、ターゲットチャネルパワーを、例えばVOA制御部626において、精度良く推定、検出することができる。
VOA制御部626が、推定精度の高いターゲットチャネルパワーに基づいて、VOAロスを制御することで、VOAロスの制御精度を向上することも可能となる。
なお、図9に、受信チャネル数を変化させたときの、ターゲットチャネルパワー(横軸、[dBm/ch])とPI(電圧、[V])との関係の一例を示す。図9において、符号A〜Cで示す関係(又は特性)が、それぞれ、受信チャネルが1〜3チャネルの場合を表している。
GA86は、PIが一定となるようにAGCされるため、図8でGA電圧がAGCによって変化しているパワーレンジ(例えば、−20dBm〜−10dBm)において、PIは、図9に例示するように、受信チャネル数に拠らず一定となる。
見方を変えれば、PIが一定とならないパワーレンジ(例えば、−20dBmよりも小さいか、−10dBmよりも大きい場合)では、AGCによるGA電圧の変化が適正でないと判断できる。したがって、PIが一定とならないパワーレンジでのGA電圧(ゲイン値)は、信頼度が低いと判断して、ターゲットチャネルパワーの推定には用いないこととしてよい。
例えば、VOA制御部626は、AGC87で得られるPIを補助的に用いることで、信頼度の低いGA電圧(ゲイン値)を、ターゲットチャネルパワーの推定に用いる候補から除外してよい。
このようにPIを補助的に用いる態様が、図7において点線で示されている。例えば、各レーンのAGC87で得られるPIは、ADC627にてデジタル信号に変換されてVOA制御部626に与えられてよい。なお、ADC627も、ADC625と同様に、4つのレーンに対して個別的に設けられてよい。
また、VOA制御部626は、PD624によってモニタされた光パワー情報を、PIの代替あるいは追加で、補助的に用いて、VOAロス制御を実施してよい。
図10に、VOA制御部626の構成例を示す。図10に示すVOA制御部626は、例示的に、ゲイン値受信部91と、制御回路92と、を備えてよい。なお、図10において点線で示すように、PIの情報を補助的に利用する場合には、VOA制御部626に、PI受信部94が備えられてよい。また、PD624でモニタされた光パワー情報を補助的に利用する場合には、VOA制御部626に、光パワー情報受信部93が備えられてよい。
ゲイン値受信部91は、ADC625でデジタル信号に変換された、GA86のモニタゲイン値を受信する。受信したモニタゲイン値は、例示的に、制御回路92に与えられる。
制御回路92は、ゲイン値受信部91から与えられたモニタゲイン値を基に、VOA623の減衰量を制御してよい。例えば、制御回路92は、モニタゲイン値と、GA86のゲイン値の制御目標値と、の差分が小さくなるように、VOAロスを制御してよい。
光パワー情報受信部93は、PD624でモニタされた、受光パワーに応じた振幅を有する電気信号(別言すると「光パワー情報」)を受信する。受信した光パワー情報は、例示的に、制御回路92に与えられてよい。制御回路92は、光パワー情報受信部93から与えられた光パワー情報をVOAロスの制御に補助的に用いてよい。
PI受信部94は、ADC627でデジタル信号に変換された、AGC87で得られるPIを受信する。受信したPIは、例示的に、VOA制御部626に与えられてよい。制御回路92は、PI受信部94から与えられたPIをVOAロスの制御に補助的に用いてよい。
なお、光パワー情報を補助的に用いたVOAロス制御については、第2実施例として後述する。また、PIを補助的に用いたVOAロス制御については、第3実施例として後述する。更に、光パワー情報とPIとの双方を補助的に用いたVOAロス制御については、第4実施例として後述する。
(第1実施例の動作例)
次に、図11に例示するフローチャートを参照して、VOA制御部626の第1実施例に係る動作例について説明する。
図11に例示するように、VOA制御部626は、ゲイン値受信部91にて、4レーン分のGA86の現在のゲイン値(モニタゲイン値)を受信する(処理P11)。ゲイン値受信部91で受信された各モニタゲイン値は、制御回路92に与えられる。
制御回路92は、ゲイン値受信部91から与えられた各レーンのモニタゲイン値の平均値を、例えば、以下の数式2によって算出してよい。
なお、数式2において、Gaini(i=1,2,3又は4)は、4レーン(XI,XQ,YI,YQ)のいずれかのゲイン値を表す。したがって、4レーン分のゲイン値Gainiは、便宜的に、GXI,GXQ,GYI,GYQと表記してもよい。
モニタゲイン値を平均化することで、X偏波成分及びY偏波成分に生じ得るバラツキの影響を低減することができる。なお、ゲイン値を平均化する対象のレーン数は、4レーンの全部でなくてもよく、一部のレーンに限定されてもよい。
例えば、4レーン分のゲイン値の中で、同相(I)成分(GXIとGYI)の2レーンのみ、あるいは直交(Q)成分(GXQとGYQ)に対応する2レーンのみを選択し、平均化することとしてもよい。
また、例えば、受信光信号の偏波依存損失(PDL)を無視してよい場合には、いずれか1つのレーンのモニタゲイン値を用いて以降の処理を実施してもよい。
制御回路92は、例えば以下の数式3に示すように、平均化した現在のゲイン値Gaincurと、ゲイン値の制御目標値Gaintargetと、の差分を算出し、当該差分の絶対値が所定の閾値THGainよりも大きいか否かを判定する(処理P12)。
なお、閾値THGain及びゲイン値の制御目標値Gaintargetは、例えば、制御回路92のメモリ(図示省略)等に記憶されていてよい。
閾値判定の結果、差分が閾値THGain以下であれば(処理P12でNOの場合)、制御回路92は、VOAロスを制御せずに処理P11へ戻ってよい。一方、差分が閾値THGainよりも大きければ(処理P12でYESの場合)、制御回路92は、VOAロスを、差分が小さくなるように制御してよい(処理P13)。
VOAロスの制御には、例えば、PID(Proportional-Integral-Derivative)制御のようなフィードバック制御を適用してよい。非限定的な一例として、制御回路92は、VOAロスを、比例制御してもよいし、ステップ制御してもよい。
(比例制御の場合)
比例制御では、制御回路92は、例えば以下の数式4によって、VOA623に新しく設定する減衰量(Att
new)を求めてよい。
なお、数式4において、「Attprev」は、VOA623に対して前回設定した減衰量(VOAロス)を表し、「KGain」は、比例定数を表す。
(ステップ制御の場合)
ステップ制御では、制御回路92は、例えば以下の数式5によって、VOA623に新しく設定する減衰量Att
newを求めてよい。
なお、数式5において、「sign()」は、符号を取り出す関数を表し、「AttGain」は、1ステップで変更する減衰量を表す。
新しいVOAロス(Attnew)の設定後、制御回路92は、処理P11へ戻ってよい。以上のようにして、制御回路92は、GA86のゲイン値が制御目標値に近づくように、VOA623の減衰量を調整する。これにより、RxFE622への入力光パワーレベルを適正なレンジに精度良く調整することが可能となる。
(第2実施例の動作例)
次に、図12に例示するフローチャートを参照して、VOA制御部626の第2実施例に係る動作例について説明する。第2実施例では、PD624でモニタされた光パワー情報を補助的に用いてVOAロスを制御する。
図12に例示するように、VOA制御部626は、光パワー情報受信部93にて、PD624でモニタされた現在の光パワー情報を受信する(処理P21)。受信した光パワー情報は、制御回路92に与えられる。
制御回路92は、以下の数式6に例示するように、光パワー情報受信部93から与えられた光パワー情報を所定の上限閾値と比較して、現在の光パワー情報(PD
cur)が上限閾値(TH
PD_upper)よりも大きいか否かを判定する(処理P22)。
判定の結果、光パワー情報が上限閾値よりも大きければ(処理P22でYESの場合)、制御回路92は、RxFE622に受信レンジの上限を超えるパワーの光が入力されないように、VOAロスを増加制御してよい(処理P23)。これにより、RxFE622に過大なパワーの光が入力されてRxFE622が破壊されたり故障したりしてしまうことを防止できる。
なお、RxFE622の破壊や故障を防止するために、VOAロスが初期値として予め最大値に設定されていることがある。その場合、制御回路92は、光パワー情報が上限閾値よりも大きいと判定したとしても、VOAロスは変更しなくてよい。別言すると、VOAロスは、最大値に維持されてよい。
一方、現在の光パワー情報が上限閾値以下であれば(処理P22でNOの場合)、制御回路92は、以下の数式7に例示するように、現在の光パワー情報(PDcur)が下限閾値(THPD_lower)よりも小さいか否かを更に判定してよい(処理P24)。
判定の結果、現在の光パワー情報が下限閾値よりも小さければ(処理P24でYESの場合)、制御回路92は、例えば、コヒーレント検波を適切に行なうのに足りる光パワーがRxFE622に入力されるように、VOAロスを減少制御してよい(処理P25)。
上述した処理P21〜P25は、PD624でモニタされた光パワー情報が、RxFE622の受信レンジの上限及び下限の間に収まるようにVOAロスを制御することの一例であると捉えてよい。
なお、PD624への入力光パワーがPD624の最小受信レベルを満たさないために、光パワー情報受信部93で光パワー情報が受信されないケースが有り得る。そのため、入力光パワーが想定しうる最小のパワーであったとしても、AGC87によるAGCを可能にするのに足りる光パワーが得られるよう、VOAロスの初期値が設定されることがある。この場合、制御回路92は、PD624から得られる光パワー情報が下限閾値を下回っていても、VOAロスは変更せずに(別言すると、処理P25をバイパスして)処理P21へ戻ってよい。
光パワー情報の上限閾値及び下限閾値は、制御回路92のメモリ(図示省略)等に記憶されていてよい。また、上限閾値及び下限閾値を用いた閾値判定処理(P22及びP24)の処理順序は、入れ替えてもよい。また、閾値判定処理には、上限閾値及び下限閾値の一方のみを用いることとしてもよい。
処理P24での判定の結果、現在の光パワー情報が下限閾値以上であれば(処理P24でNOの場合)、制御回路92は、第1実施例(図11の処理P11〜P13)と同様にして、GA86のモニタゲイン値を基にVOAロスを制御してよい。
例えば、制御回路92は、ゲイン値受信部91から、4レーン分のGA86の現在のゲイン値(モニタゲイン値)を受信すると(処理P26)、各レーンのモニタゲイン値の平均値を、第1実施例と同様に、例えば、以下の数式8によって算出してよい。
なお、第1実施例と同様に、ゲイン値を平均化する対象のレーン数は、4レーンの全部でなくてもよく、一部のレーンに限定されてもよい。また、例えば、受信光信号のPDLを無視してよい場合には、いずれか1つのレーンのゲイン値を用いて以降の処理を実施してもよい。
制御回路92は、第1実施例と同様、例えば以下の数式9に示すように、平均化した現在のゲイン値Gaincurと、制御目標値Gaintargetと、の差分を算出し、当該差分の絶対値が所定の閾値THGainよりも大きいか否かを判定する(処理P27)。
なお、閾値THGain及びゲイン値の制御目標値Gaintargetは、第1実施例と同様に、例えば、制御回路92のメモリ(図示省略)等に記憶されていてよい。
閾値判定の結果、差分が閾値THGain以下であれば(処理P27でNOの場合)、制御回路92は、VOAロスを制御せずに処理P21へ戻ってよい。一方、差分が閾値THGainよりも大きければ(処理P27でYESの場合)、制御回路92は、第1実施例と同様に、VOAロスを、差分が小さくなるように制御してよい(処理P28)。
VOAロスの制御には、第1実施例と同様に、PID制御のようなフィードバック制御を適用してよい。非限定的な一例として、制御回路92は、VOAロスを、第1実施例と同様に、数式4によって比例制御してもよいし、数式5によってステップ制御してもよい。
以上のようにして、制御回路92は、GA86のゲイン値が制御目標値に近づくように、VOA623の減衰量を調整する。これにより、RxFE622への入力光パワーレベルを適正なレンジに精度良く調整することが可能となる。
以上のように、第2実施例によれば、第1実施例と同様の作用効果が得られるほか、光パワー情報の下限閾値を用いた判定処理によって、光信号の入力が無い状態で不必要にAGCが実施されることを防止できる。したがって、光受信器62の消費電力、ひいては、光伝送装置10の消費電力を低減できる。また、光パワー情報の上限閾値を用いた判定処理によって、過大な光入力によるRxFE622の破壊や故障を防止できる。
(第3実施例の動作例)
次に、図13に例示するフローチャートを参照して、VOA制御部626の第3実施例に係る動作例について説明する。第3実施例では、AGC87で得られるPIを補助的に用いてVOAロスを制御する。
図13に例示するように、VOA制御部626は、PI受信部94にて、4レーン分のAGC87における現在のPI値を受信する(処理P31)。PI受信部94で受信されたPI値は、制御回路92に与えられる。
制御回路92は、PI受信部94から与えられた各レーンのPI値の平均値を、例えば、以下の数式10によって算出してよい。
なお、数式10において、PIi(i=1,2,3又は4)は、4レーン(XI,XQ,YI,YQ)のいずれかのPI値を表す。したがって、4レーン分のPI値PIiは、便宜的に、PIXI,PIXQ,PIYI,PIYQと表記してもよい。
PI値を平均化することで、X偏波成分及びY偏波成分に生じ得るバラツキの影響を低減することができる。なお、PI値を平均化する対象のレーン数は、4レーンの全部でなくてもよく、一部のレーンに限定されてもよい。
例えば、4レーン分のPI値の中で、同相(I)成分(PIXIとPIYI)の2レーンのみ、あるいは直交(Q)成分(PIXQとPIYQ)に対応する2レーンのみを選択し、平均化することとしてもよい。
また、例えば、受信光信号のPDLを無視してよい場合には、いずれか1つのレーンのPI値を用いて以降の処理を実施してもよい。
制御回路92は、例えば以下の数式11に示すように、平均化した現在のPI値PI
curと、PI値の制御目標値PI
targetと、の差分を算出し、当該差分の絶対値が所定の閾値TH
PIよりも大きいか否かを判定する(処理P32)。別言すると、制御回路92は、現在のPI値が適正な設定範囲内にあるか否かを判定する。
なお、閾値THPI及びPI値の制御目標値PItargetは、例えば、制御回路92のメモリ(図示省略)等に記憶されていてよい。
閾値判定の結果、差分が閾値THPIよりも大きければ(処理P32でYESの場合)、制御回路92は、当該差分が小さくなるようにVOAロスを制御して(処理P33)、処理P31へ戻ってよい。
別言すると、制御回路92は、現在のPI値が適正な設定範囲内に無ければ、図9にて既述のとおり、当該PI値でのGA86のゲイン値は信頼度が低いと判断できるため、PI値が適正な設定範囲内に収まるまで、VOAロスを制御してよい。
PI値に応じたVOAロスの制御には、例えば、PID制御のようなフィードバック制御を適用してよい。非限定的な一例として、制御回路92は、VOAロスを、比例制御してもよいし、ステップ制御してもよい。
(比例制御の場合)
比例制御では、制御回路92は、例えば以下の数式12によって、VOA623に新しく設定する減衰量(Att
new)を求めてよい。
数式12において、「Att
new」は、VOA623に新しく設定する減衰量を表し、「Att
prev」は、VOA623に前回設定した減衰量を表し、「K
PI」は、比例定数を表す。
(ステップ制御の場合)
ステップ制御では、制御回路92は、例えば以下の数式13によって、VOA623に新しく設定する減衰量Att
newを求めてよい。
数式13において、「sign()」は、符号を取り出す関数を表し、「Att
PI」は、1ステップで変更する減衰量を表す。
一方、処理P32において、現在のPI値PIcurと制御目標値PItargetとの差分の絶対値が閾値THPI以下であれば(NOの場合)、制御回路92は、第1実施例(図11の処理P11〜P13)と同様のVOAロス制御を実施してよい。
例えば、制御回路92は、ゲイン値受信部91から、4レーン分のGA86の現在のゲイン値(モニタゲイン値)を受信すると(処理P34)、各レーンのモニタゲイン値の平均値を、第1実施例と同様に、例えば、以下の数式14によって算出してよい。
なお、第1実施例と同様に、ゲイン値を平均化する対象のレーン数は、4レーンの全部でなくてもよく、一部のレーンに限定されてもよい。また、例えば、受信光信号のPDLを無視してよい場合には、いずれか1つのレーンのゲイン値を用いて以降の処理を実施してもよい。
制御回路92は、第1実施例と同様、例えば以下の数式15に示すように、平均化した現在のゲイン値Gain
curと、制御目標値Gain
targetと、の差分を算出し、当該差分の絶対値が所定の閾値TH
Gainよりも大きいか否かを判定する(処理P35)。
なお、閾値THGain及びゲイン値の制御目標値Gaintargetは、第1実施例と同様に、例えば、制御回路92のメモリ(図示省略)等に記憶されていてよい。
閾値判定の結果、差分が閾値THGain以下であれば(処理P35でNOの場合)、制御回路92は、VOAロスを制御せずに処理P31へ戻ってよい。一方、差分が閾値THGainよりも大きければ(処理P35でYESの場合)、制御回路92は、第1実施例と同様に、VOAロスを、差分が小さくなるように制御してよい(処理P36)。
VOAロスの制御には、第1実施例と同様に、PID制御のようなフィードバック制御を適用してよい。非限定的な一例として、制御回路92は、VOAロスを、第1実施例と同様に、数式4によって比例制御してもよいし、数式5によってステップ制御してもよい。
以上のようにして、制御回路92は、GA86のゲイン値が制御目標値に近づくように、VOA623の減衰量を調整する。これにより、RxFE622への入力光パワーレベルを適正なレンジに精度良く調整することが可能となる。
以上のように、第3実施例によれば、第1実施例と同様の作用効果が得られるほか、PI値が適切でないパワーレンジでのGA86のゲイン値は、信頼度が低いと判断して、ターゲットチャネルパワーの推定に用いる候補から除外できる。したがって、VOAロスの制御精度を更に向上することができる。
(第4実施例の動作例)
次に、図14に例示するフローチャートを参照して、VOA制御部626の第4実施例に係る動作例について説明する。第4実施例では、PD624によって得られる光パワー情報と、AGC87で得られるPIと、の双方を補助的に用いてVOAロスを制御する。別言すると、第2実施例(図12)の処理P21〜P25と、第3実施例(図13)の処理P31〜P33とは、第1実施例(図11)の処理P11〜P13に組み合わされてよい。
図14に例示するように、VOA制御部626は、光パワー情報受信部93にて、PD624でモニタされた現在の光パワー情報を受信する(処理P41)。受信した光パワー情報は、制御回路92に与えられる。
制御回路92は、数式6に例示したように、光パワー情報受信部93から与えられた光パワー情報を所定の上限閾値と比較して、現在の光パワー情報(PDcur)が上限閾値(THPD_upper)よりも大きいか否かを判定する(処理P42)。
判定の結果、光パワー情報が上限閾値よりも大きければ(処理P42でYESの場合)、制御回路92は、RxFE622に受信レンジの上限を超えるパワーの光が入力されないように、VOAロスを増加制御してよい(処理P43)。これにより、RxFE622に過大なパワーの光が入力されてRxFE622が破壊されたり故障したりしてしまうことを防止できる。
なお、第4実施例においても、RxFE622の破壊や故障を防止するために、VOAロスが初期値として予め最大値に設定されていることがある。その場合、制御回路92は、光パワー情報が上限閾値よりも大きいと判定したとしても、VOAロスは変更しなくてよい。別言すると、VOAロスは、最大値に維持されてよい。
一方、現在の光パワー情報が上限閾値以下であれば(処理P42でNOの場合)、制御回路92は、数式7に例示したように、現在の光パワー情報(PDcur)が下限閾値(THPD_lower)よりも小さいか否かを更に判定してよい(処理P44)。
判定の結果、現在の光パワー情報が下限閾値よりも小さければ(処理P44でYESの場合)、制御回路92は、例えば、コヒーレント検波を適切に行なうのに足りる光パワーがRxFE622に入力されるように、VOAロスを減少制御してよい(処理P45)。
なお、第4実施例においても、PD624への入力光パワーがPD624の最小受信レベルを満たさないために、光パワー情報受信部93で光パワー情報が受信されないケースが有り得る。
そのため、入力光パワーが想定しうる最小のパワーであったとしても、AGC87によるAGCを可能にするのに足りる光パワーが得られるように、VOAロスの初期値が設定されることがある。
この場合、制御回路92は、PD624から得られる光パワー情報が下限閾値を下回っていても、VOAロスは変更せずに(別言すると、処理P45をバイパスして)処理P41へ戻ってよい。
光パワー情報の上限閾値及び下限閾値は、第2実施例と同様に、制御回路92のメモリ(図示省略)等に記憶されていてよい。また、上限閾値及び下限閾値を用いた閾値判定処理(P42及びP44)の処理順序は、入れ替えてもよい。また、閾値判定処理には、上限閾値及び下限閾値の一方のみを用いることとしてもよい。
処理P44での判定の結果、現在の光パワー情報が下限閾値以上であれば(処理P44でNOの場合)、制御回路92は、第3実施例と同様に、PI値の判定処理を実施してよい。
例えば、制御回路92は、PI受信部94から、4レーン分のAGC87における現在のPI値を受信すると(処理P46)、各レーンのPI値の平均値を、例えば、既述の数式10によって算出してよい。
なお、第3実施例で説明したように、PI値を平均化する対象のレーン数は、4レーンの全部でなくてもよく、一部のレーンに限定されてもよい。また、例えば、受信光信号のPDLを無視してよい場合には、いずれか1つのレーンのPI値を用いて以降の処理を実施してもよい。
制御回路92は、例えば既述の数式11に示したように、平均化した現在のPI値PIcurと、PI値の制御目標値PItargetと、の差分を算出し、当該差分の絶対値が所定の閾値THPIよりも大きいか否かを判定する(処理P47)。別言すると、制御回路92は、現在のPI値が適正な設定範囲内にあるか否かを判定する。
なお、閾値THPI及びPI値の制御目標値PItargetは、第3実施例と同様に、例えば、制御回路92のメモリ(図示省略)等に記憶されていてよい。
閾値判定の結果、差分が閾値THPIよりも大きければ(処理P47でYESの場合)、制御回路92は、当該差分が小さくなるようにVOAロスを制御して(処理P48)、処理P46へ戻ってよい。
別言すると、制御回路92は、現在のPI値が適正な設定範囲内に無ければ、図9にて既述のとおり、当該PI値でのGA86のゲイン値は信頼度が低いと判断できるため、PI値が適正な設定範囲内に収まるまで、VOAロスを制御してよい。
PI値に応じたVOAロスの制御には、例えば、PID制御のようなフィードバック制御を適用してよい。非限定的な一例として、制御回路92は、VOAロスを、既述の数式12によって比例制御してもよいし、既述の数式13によってステップ制御してもよい。
一方、処理P47において、現在のPI値PIcurと制御目標値PItargetとの差分の絶対値が閾値THPI以下であれば(NOの場合)、制御回路92は、第1実施例(図11の処理P11〜P13)と同様のVOAロス制御を実施してよい。
例えば、制御回路92は、ゲイン値受信部91から、4レーン分のGA86の現在のゲイン値(モニタゲイン値)を受信すると(処理P49)、各レーンのモニタゲイン値の平均値を、第1実施例と同様に、例えば、既述の数式14によって算出してよい。
なお、第1実施例と同様に、ゲイン値を平均化する対象のレーン数は、4レーンの全部でなくてもよく、一部のレーンに限定されてもよい。また、例えば、受信光信号の偏波依存損失(PDL)を無視してよい場合には、いずれか1つのレーンのモニタゲイン値を用いて以降の処理を実施してもよい。
制御回路92は、第1実施例と同様、例えば既述の数式15に示したように、平均化した現在のゲイン値Gaincurと、制御目標値Gaintargetと、の差分を算出し、当該差分の絶対値が所定の閾値THGainよりも大きいか否かを判定する(処理50)。
なお、閾値THGain及びゲイン値の制御目標値Gaintargetは、第1実施例と同様に、例えば、制御回路92のメモリ(図示省略)等に記憶されていてよい。
閾値判定の結果、差分が閾値THGain以下であれば(処理P50でNOの場合)、制御回路92は、VOAロスを制御せずに処理P41へ戻ってよい。一方、差分が閾値THGainよりも大きければ(処理P50でYESの場合)、制御回路92は、第1実施例と同様に、VOAロスを、差分が小さくなるように制御してよい(処理P51)。
VOAロスの制御には、第1実施例と同様に、PID制御のようなフィードバック制御を適用してよい。非限定的な一例として、制御回路92は、VOAロスを、第1実施例と同様に、数式4によって比例制御してもよいし、数式5によってステップ制御してもよい。
以上のようにして、制御回路92は、GA86のゲイン値が制御目標値に近づくように、VOA623の減衰量を調整する。これにより、RxFE622への入力光パワーレベルを適正なレンジに精度良く調整することが可能となる。
以上のように、第4実施例によれば、第1〜第3実施例と同様の作用効果を複合的に得ることができる。
(第5実施例)
上述した第1〜第4実施例では、GA86のゲイン値をモニタした結果を基にしてVOAロスを制御したが、代替的に、TIA85(図7参照)の出力振幅情報を基にしても第1〜第4実施例と同様のVOA制御が可能である。TIA85の出力振幅情報は、受信光信号をコヒーレント検波及び光電変換して得られる、ターゲットチャネルの信号成分が限定的に含まれる電気信号であるから、当該電気信号からターゲットチャネルパワーを推定できる。
図15に、図7相当の、第5実施例に係る光受信器62の構成例を示すブロック図を示す。また、図16に、図10相当の、第5実施例に係るVOA制御部626の構成例を示す。
図15に例示する光受信器62は、図7に例示した構成に比して、TIA85の出力がADC628にてデジタル信号に変換されてVOA制御部626に入力される点が異なる。また、図16に例示するVOA制御部626は、図10に例示した構成に比して、ゲイン値受信部91及び制御回路92に代えて、TIA値受信部91a及び制御回路92aを備える点が異なる。
TIA値受信部91aは、ADC628にてデジタル信号に変換された、TIA85の出力振幅情報(「TIA値」あるいは「TIAモニタ値」と称してもよい。)を受信する。
制御回路92aは、TIA値を基に、VOA623の減衰量を制御してよい。例えば、制御回路92aは、TIA値と、TIA値の制御目標値と、の差分が小さくなるように、VOAロスを制御してよい。
以下、図17に例示するフローチャートを参照して、第5実施例の動作例について説明する。
図17に例示するように、VOA制御部626は、TIA値受信部91aにて、4レーン分のTIA85の現在のTIA値を受信する(処理P61)。TIA値受信部91aで受信された各TIA値は、制御回路92aに与えられる。
制御回路92aは、TIA値受信部91aから与えられた各レーンのTIA値の平均値を、例えば、以下の数式16によって算出してよい。
数式16において、「Ampi」(i=1,2,3又は4)は、4レーン(XI,XQ,YI,YQ)のいずれかのTIA値を表す。したがって、4レーン分のTIA値Ampiは、便宜的に、TIAXI,TIAXQ,TIAYI,TIAYQと表記してもよい。
TIA値を平均化することで、X偏波成分及びY偏波成分に生じ得るバラツキの影響を低減することができる。なお、TIA値を平均化する対象のレーン数は、4レーンの全部でなくてもよく、一部のレーンに限定されてもよい。
例えば、4レーン分のTIA値の中で、同相(I)成分(TIAXIとTIAYI)の2レーンのみ、あるいは直交(Q)成分(TIAXQとTIAYQ)に対応する2レーンのみを選択し、平均化することとしてもよい。
また、例えば、受信光信号のPDLを無視してよい場合には、いずれか1つのレーンのTIA値を用いて以降の処理を実施してもよい。
制御回路92aは、例えば以下の数式17に示すように、平均化した現在のTIA値Amp
curと、TIA値の制御目標値Amp
targetと、の差分を算出し、当該差分の絶対値が所定の閾値TH
TIAよりも大きいか否かを判定する(処理P62)。
なお、閾値THTIA及びTIA値の制御目標値TIAtargetは、例えば、制御回路92aのメモリ(図示省略)等に記憶されていてよい。
閾値判定の結果、差分が閾値THTIA以下であれば(処理P62でNOの場合)、制御回路92aは、VOAロスを制御せずに処理P61へ戻ってよい。一方、差分が閾値THTIAよりも大きければ(処理P62でYESの場合)、制御回路92aは、VOAロスを、差分が小さくなるように制御してよい(処理P63)。
VOAロスの制御には、例えば、PID制御のようなフィードバック制御を適用してよい。非限定的な一例として、制御回路92aは、VOAロスを、比例制御してもよいし、ステップ制御してもよい。
(比例制御の場合)
比例制御では、制御回路92aは、例えば以下の数式18によって、VOA623に新しく設定する減衰量(Att
new)を求めてよい。
数式18において、「Attnew」は、VOA623に新たに設定する減衰量を表し、「Attprev」は、VOA623に対して前回設定した減衰量を表し、「KTIA」は、比例定数を表す。
(ステップ制御の場合)
ステップ制御では、制御回路92aは、例えば以下の数式19によって、VOA623に新しく設定する減衰量Att
newを求めてよい。
数式19において、「sign()」は、符号を取り出す関数を表し、「AttTIA」は、1ステップで変更する減衰量を表す。
新しいVOAロス(Attnew)の設定後、制御回路92aは、処理P61へ戻ってよい。以上のようにして、制御回路92aは、TIA値が制御目標値に近づくように、VOA623の減衰量を調整する。これにより、RxFE622への入力光パワーレベルを適正なレンジに精度良く調整することが可能となる。
また、GA86のゲイン値とTIA値とを比較すると、AGC87によってAGCされるゲイン値よりもTIA値の方が、不確定要素が少ないと云える。したがって、GA86のゲイン値を用いる場合よりもTIA値を用いた方が、VOAロスの制御確度の向上を見込むことができる。
なお、TIA値を用いたVOAロス制御は、第2〜第4実施例に適用してもよい。例えば、第2〜第4実施例においてモニタ対象であった「ゲイン値」を、第5実施例における「TIA値」に読み替えてVOAロス制御を実施してもよい。
以上説明したように、上述した第1〜第5実施例を含む実施形態によれば、マルチチャネル受信であっても、光受信器62において、コヒーレント検波及び光電変換によって得られた電気信号から、ターゲットチャネルパワーを精度良く検出(又は、推定)できる。したがって、VOAロスの制御精度を向上できる。
例えば、OCM75(図3参照)で得られるパワー情報を用いる態様に比べて、OCM75とラインカード60との間の光パワー損失による精度劣化の影響を受けずに、VOAロスを高精度に制御できる。
また、上述した第1〜第5実施例を含む実施形態によれば、ラインカード60内に閉じた処理によってVOAロスを精度良く制御できるから、OCM75を用いなくてよい。したがって、VOAロスの制御は、例えば、OCM75の故障等のラインカード60外の要素に左右されなくなる。
また、OCM75を不要にできるため、OCM75の設置にかかるコストを低減することもできる。したがって、光伝送装置10のコスト低減にも寄与する。更に、OCM75で得られた情報をラインカード60へ伝達する際の遅延時間も生じないため、VOAロスの制御速度に制約が無い。
なお、第1〜第5実施例を含む実施形態は、シングルチャネル受信に適用してもよいし、偏波多重されていないチャネルの受信に適用してもよい。例えば図2に例示した、モニタPD624を用いたVOA制御と比較すると、既述の実施形態では、PD624によるモニタパワー情報は補助的な情報でよいから、モニタPD624は未使用(あるいは未設置)にしてもよい。PD624を用いなくてよい分、ラインカード60、ひいては、光伝送装置10の消費電力やコストの低減を図ることができる。
別言すると、第1〜第5実施例を含む実施形態は、コヒーレント検波及び光電変換によって得られた電気信号を基にVOAロスを制御するから、モニタPD624の有無や配置位置、受信光信号が偏波多重信号であるか否か、に依存せずに、実施可能である。
なお、図7、図10、図15及び図16において、モニタPD624は、VOA623の前段に設けられているが、図6に例示したように、VOA623の後段に設けられてもよい。また、図5に例示したように、モニタPD624は、光受信器62の外部に備えられてもよい。