以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「垂直」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本発明のプラズマ装置は、プラズマジェット照射装置又は活性ガス照射装置である。プラズマジェット照射装置と活性ガス照射装置はいずれも、プラズマを発生させる。プラズマジェット照射装置は、発生したプラズマと活性種とを被照射物に直接照射する。活性種は、プラズマ中の気体又はプラズマ周辺の気体とプラズマとが反応して生成される。活性種は、例えば、活性酸素種や活性窒素種等である。活性酸素種は、例えば、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、オゾン、過酸化水素、スーパーオキシドアニオンラジカル等である。活性窒素種は、例えば、一酸化窒素、二酸化窒素、ペルオキシナイトライト、過酸化亜硝酸、三酸化二窒素等である。活性ガス照射装置は、活性種を含む活性ガスを被照射物に照射する。活性種は、プラズマ中の気体又はプラズマ周辺の気体とプラズマとが反応して生成される。
(第1実施形態)
以下、照射器具及びプラズマ装置の一実施形態について説明する。本実施形態のプラズマ装置は、例えば活性ガス照射装置である。図1及び図2に示すように、本実施形態の活性ガス照射装置100は、照射器具10と、供給器20と、照射器具10と供給器20とを接続する接続ケーブル30と、を備える。供給器20は、供給源70と、報知部80と、制御部90(演算部)と、を備える。
照射器具10は、照射器具10内で発生した活性ガスを吐出する。照射器具10は、医師等により操作されるものであり、人間の手で操作しやすい形状、大きさ及び重量を有する。図1に示す例において、接続ケーブル30には、電圧供給線32、接地線34及びガス管路36が収納されている。照射器具10は、接続ケーブル30によって供給器20と接続されている。
ガス管路36と電圧供給線32は、一本の接続ケーブル30内に収納されている。供給器20は、プラズマ発生用ガスを収容している供給源70を備えている。供給器20は、例えば、100Vの家庭用電源等の電力源から電源供給を受ける。また、供給器20は、内部に電力源として充電可能なバッテリを搭載してもよい。
照射器具10には、電圧供給線32とガス管路36を通じて供給器20から電力及びプラズマ発生用ガスが供給される。
図1に示すように、ガス管路36は、供給器20から照射器具10にプラズマ発生用ガスを供給する経路である。ガス管路36の材料は特に制限はなく、公知のガス管に用いる材料を適用できる。ガス管路36の材料としては、例えば、樹脂製の配管、ゴム製のチューブ等を例示でき、可撓性を有する材料が好ましい。
電圧供給線32は、供給器20から内部電極4に電圧を供給する配線である。電圧供給線32の材料は特に制限はなく、公知の電圧供給線に用いる材料を適用できる。電圧供給線32の材料としては、絶縁材料で被覆した金属導線等を例示できる。
図3は、照射器具10における、照射器具10の長さ方向に沿う面の断面(縦断面)図である。図4は、図3の照射器具10のIV−IV断面図である。図5は、図3の照射器具10のV−V断面図である。なお、図3〜5においては、外筒部材2及びノズル1の図示は省略している。図3に示すように、照射器具10は、内部電極4と、内部電極4の外側に内部電極4と離間して配置される外部電極5と、プラズマおよびプラズマによって生じる活性ガスの少なくとも一方を吐出する照射口8とを備える。プラズマ装置が活性ガス照射装置である場合には、照射口8は、特にプラズマによって生じる活性ガスを吐出する。
図3に示す例において、照射器具10は、外筒部材2内に収容されているプラズマ発生部12と、保持部材6と、を備えている。プラズマ発生部12は、管状誘電体3と、内部電極4と、外部電極5と、を備える。
内部電極4は、プラズマを生成するための電圧が印加される電極である。図3及び図4に示す例において、内部電極4は、電圧供給線32を介して外部の電力源に接続する端子部4aを有し、外部の電力源によって電圧が印加される。端子部4aとしては、例えば、内部電極4に電圧供給線32をはんだ付けした場合のはんだ部分を例示できる。
図3に一点鎖線によって示すように、内部電極4は柱状の長尺の電極であり、軸線O1を有する。以下、軸線O1の延びる方向d1を軸線方向d1とも称する。
内部電極4は、直径が最も大きい、すなわち軸線O1に垂直な径方向d2の外方への突出長さが最も大きくなっている基部拡径部4bを後端部分に有している。また、内部電極4は、基部拡径部4bから照射口8側に延びる、基部拡径部4bよりも径方向d2の外方への突出長さが小さい細部4cを有している。基部拡径部4b及び細部4cは、それぞれ軸線方向d1に延びる略円柱状である。端子部4aは基部拡径部4bの外周面に設けられている。
内部電極4の内部には、プラズマ発生用ガスが流通するガス供給路4gが形成されている。また、内部電極4は、ガス供給路4gに導入されたプラズマ発生用ガスを排出する排出口4hが形成されている。図3に示す例において、排出口4hは、内部電極4のうち細部4cに形成されている。また、内部電極4には、プラズマ発生用ガスが導入される導入口4iが形成されている。図3に示す例では、導入口4iは、軸線方向d1において、照射口8の側とは反対側の端部に設けられている。ガス供給路4gは、排出口4h及び導入口4iと接続され、排出口4h及び導入口4iを介して内部電極4の外部に通じている。
照射器具10のガス管路36は、プラズマ発生用ガスを内部電極4に導入するように設けられている。ガス管路36とガス供給路4gとは、導入口4iを介して接続されている。図3に示す例において、内部電極4は、導入口4iが設けられている端部に、ガス管路36が接続される接続部4jを有する。そして、接続部4jがガス管路36に挿入されていることによって、ガス管路36とガス供給路4gとが、導入口4iを介して接続されている。このため、導入口4iを介して、内部電極4の内部のガス供給路4gにプラズマ発生用ガスを導入することができる。導入口4iを介してガス供給路4gに導入されたプラズマ発生用ガスは、ガス供給路4gを流通し、排出口4hを介してガス供給路4gの外部に排出される。
図4に示す例において、接続部4jは、複数の略円錐台形状を結合させた形状を有する。より具体的には、接続部4jは、底面のうち面積がより大きい方の底面を照射口8側に向けて並ぶ複数の略円錐台形状を結合させた形状を有する。これによって、接続部4jをガス管路36に挿入した際に、接続部4jがガス管路36から抜けにくくすることができる。
図3に示す例において、ガス管路36とガス供給路4gとは、互いの中心軸が同一直線上に位置するように接続されている。ガス管路36とガス供給路4gの中心軸が同一直線上に位置し、互いに平行に接続されていることによって、ガス管路36とガス供給路4gの中心軸が同一直線上に位置しない場合に比べて、ガス管路36からガス供給路4gへと流れるプラズマ発生用ガスの圧力損失を抑制することができる。このため、プラズマ発生用ガスを、より小さな圧力で、ガス管路36からガス供給路4gへと流すことができる。
また、ガス供給路4gは、軸線方向d1に延びる第1部分4g1と、第1部分4g1の先端から排出口4hまで延びる第2部分4g2と、を有する。第1部分4g1と第2部分4g2とがなす角度θは、90°超が好ましく、135°超がより好ましい。角度θが前記範囲であることによって、第1部分4g1から第2部分4g2へと流れるプラズマ発生用ガスの圧力損失が抑制されやすい。このため、プラズマ発生用ガスを、より小さな圧力で、第1部分4g1から第2部分4g2へと流すことができる。図3に示す例において、照射器具10は一つの排出口4hを備え、ガス供給路4gは一つの第2部分4g2を有する。図示はしないが、照射器具10は複数の排出口4hを備えてもよい。照射器具10が複数の排出口4hを備える場合、ガス供給路4gは、一つの第1部分4g1と、第1部分4g1に接続するとともに複数の排出口4hのそれぞれに接続する複数の第2部分4g2とを有してもよい。
内部電極4のうち、外部電極5に対向する部分の外径dは、活性ガス照射装置100の用途(即ち、照射器具10の大きさ)等を勘案して、適宜決定できる。活性ガス照射装置100が口腔内用治療器具である場合、外径dは、0.5mm〜20mmが好ましく、1mm〜10mmがより好ましい。外径dが前記範囲の下限値以上であれば、内部電極4を容易に製造できる。加えて、内部電極4の表面積が大きくなり、プラズマ発生の効率が向上するため、治癒等の効果をさらに促進できる。外径dが前記範囲の上限値以下であれば、照射器具10を過度に大きくすることなく、プラズマを効率的に発生させることができ、治癒等の効果を促進できる。
内部電極4の材料は、導電材であれば特に制限はなく、公知のプラズマ装置の電極に使用できる金属を適用できる。内部電極4の材料としては、ステンレス、銅、タングステン等の金属、カーボン等を例示できる。
内部電極4に印加される電圧は、内部電極4と外部電極5との間でプラズマが生成される限り、特に限られない。プラズマ発生用ガスとして、後述する窒素を主成分とするガスを用いてプラズマを生成する場合、内部電極4に印加される電圧は、例えば0.5kVpp以上20kVpp以下である。内部電極4に印加される電圧は、より好ましくは2kVpp以上18kVpp以下であり、さらに好ましくは5kVpp以上15kVpp以下である。なお、「kVpp」のうち「pp」は、peak to peakの略である。
外部電極5は、内部電極4と離間して配置される電極である。図3に示すように、外部電極5は、排出口4hよりも照射口8の側において内部電極4と対向している。外部電極5は、内部電極4の一部と対向している。特に、外部電極5は、内部電極4の軸線O1に垂直な径方向d2において、内部電極4と対向している。図3及び図5に示す例において、外部電極5は、内部電極4の一部の周囲を周回する筒状の電極である。本実施形態において、外部電極5は、電気的に接地されている。図示はしないが、外部電極5は、例えば接地線に接続されていることによって、電気的に接地されている。
内部電極4と外部電極5との間には、排出口4hから排出されたプラズマ発生用ガスが供給される。内部電極4と外部電極5との間にプラズマ発生用ガスを供給しつつ、内部電極4に電圧を印加することで、プラズマ発生用ガスを電離させてプラズマを生成することができる。
本実施の形態に係る照射器具10においては、外部電極5と対向する内部電極4に電圧を印加することで、内部電極4と外部電極5との間にプラズマを生成する。本実施形態に係る照射器具10の場合、内部電極4及び外部電極5の軸線方向d1における寸法を変更し、内部電極4の表面のうち外部電極5と対向する部分の面積を変えることによって、発生させるプラズマの条件を調整することができる。これにより、先端部にマイクロホローを有する電極を用いる場合と異なり、電極の径方向の寸法を変えることなく、発生させるプラズマの条件を調整することができる。このため、発生させるプラズマの条件の調整の自由度を高くすることができる。特に、照射器具10を装置の先端部の径方向の大きさに制限を伴う用途に使用する場合においても、発生させるプラズマの条件を調整し易くすることができる。
外部電極5が軸線方向d1における内部電極4の全体と対向する場合、内部電極4と外部電極5とが対向する面積が大きくなるため、生成されるプラズマが高温となりやすい。これに対し、外部電極5が内部電極4の一部のみと対向する形態では、高い電圧を印加する場合であっても、人や動物の歯や肌等への照射に適した低温のプラズマを生成することができる。このため、外部電極5が内部電極4の一部に対向する形態は、特に電極に高電圧を印加する際において生成されるプラズマの高温化を抑制しようとする場合に適している。
外部電極5の材料は、導電材であれば特に制限はなく、公知のプラズマ装置の電極に使用する金属を適用できる。外部電極5の材料としては、ステンレス、銅、タングステン等の金属、カーボン等を例示できる。
管状誘電体3は、内空部3aを有する部材である。図3及び図5に示す例において、管状誘電体3は、軸線方向d1に延びる円筒状の部材である。管状誘電体3の内空部3aには、内部電極4が配置される。
図3及び図5に示す例において、内部電極4は、管状誘電体3の内面と離間して配置されている。また、外部電極5は、管状誘電体3の外面に接するように配置されている。これにより、外部電極5は、内部電極4の外側に、内部電極4と離間して設けられている。
管状誘電体3の内空部3aはプラズマ発生用ガスの流路として用いられる。この場合、プラズマ発生用ガスは、ガス管路36から導入口4iを介してガス供給路4gに導入され、さらに排出口4hを介してガス供給路4gから内空部3aへと排出され、内空部3aを通って内部電極4と外部電極5との間に供給される。
管状誘電体3の材料としては、公知のプラズマ装置に使用する誘電体材料を適用できる。管状誘電体3の材料は、例えば、ガラス、セラミックス、合成樹脂等である。
管状誘電体3の内径Rは、内部電極4のうち、外部電極5に対向する部分の外径dを勘案して適宜決定できる。内径Rは、後述する距離sを所望の範囲とするように決定する。
内部電極4と管状誘電体3とを離間して配置する場合において、内部電極4の外面と管状誘電体3の内面との距離sは、0.05mm〜5mmが好ましく、0.1mm〜1mmがより好ましい。距離sが前記範囲の下限値以上であれば、管状誘電体3の内空部3aをプラズマ発生用ガスの流路として用いる場合に、所望量のプラズマ発生用ガスを容易に通流できる。距離sが前記範囲の上限値以下であれば、内部電極4に印加する電圧を低くすることができるため、低電力でプラズマを生成できる。
内部電極4と外部電極5との間において生じたプラズマ、およびプラズマによって生じる活性ガスの少なくとも一方は、照射口8を介して、管状誘電体3の内空部3aから管状誘電体3の外部へと吐出される。照射口8は、プラズマが発生する空間を区画している部材に設けられた、プラズマおよび活性ガスの少なくとも一方をプラズマが発生する空間から吐出するための開口である。図3に示す例において、照射口8は、後述する保持部材6に設けられた開口である。
保持部材6は、電極を保持する部材である。図3に示す例において、保持部材6は、第1部材6a、第2部材6b及び第3部材6cを有する。第1部材6a、第2部材6b及び第3部材6cは、ともに軸線方向d1に延びる略筒状の部材である。そして、第1部材6a及び第2部材6bによって内部電極4が保持されるとともに、第2部材6b及び第3部材6cによって外部電極5及び管状誘電体3が保持される。また、保持部材6のうち第3部材6cに設けられた開口が、照射口8となっている。
図3に示す例においては、第1部材6a及び第2部材6bは、互いに接触することによって、内部電極4の基部拡径部4bを収容する収容空間6dを形成する。そして、収容空間6dに基部拡径部4bが収容された状態で内部電極4が保持部材6に保持されている。図3に示す例において、第1部材6aは、軸線方向d1の後端側(図3における右側)から内部電極4の基部拡径部4bに接触し、内部電極4の軸線方向d1の後端側への移動を規制している。また、第2部材6bは、内部電極4の基部拡径部4bに接触するOリング9aを介して、内部電極4の軸線方向d1の先端側(図3における左側)への移動を規制している。また、第2部材6bは、軸線方向d1の後端側から外部電極5に接触し、外部電極5の軸線方向d1の後端側への移動を規制している。また、第3部材6cは、軸線方向d1の先端側から外部電極に接触し、外部電極5の軸線方向d1の先端側への移動を規制している。また、第2部材6bは、管状誘電体3に接触するOリング9bを介して、管状誘電体3の軸線方向d1の後端側への移動を規制している。また、第3部材6cは、管状誘電体3に接触するOリング9cを介して、管状誘電体3の軸線方向d1の先端側への移動を規制している。
Oリング9aは、弾力性のある樹脂部材からなる部材であり、基部拡径部4bと第2部材6bとによって挟み込まれ、基部拡径部4b及び第2部材6bに密着する。また、Oリング9b、9cは、弾力性のある樹脂部材からなる部材であり、管状誘電体3の外周面に密着するような内径を有する。これによって、内部電極4、外部電極5及び管状誘電体3は、軸線方向d1の移動が規制されている状態で保持される。
また、図4に示す例において、第2部材6bには、ネジを挿入するためのネジ穴6b1が設けられている。また、図示はしないが、第1部材6aにもネジ穴が設けられている。第1部材6aと第2部材6bとは、第1部材6a及び第2部材6bのネジ穴に挿入された図示しないネジによって、互いに接触した状態で、互いに対して固定される。
第3部材6cの、照射器具10の先端側(図3における左側)における先端には開口が設けられ、照射口8となっている。図3に示す例において、照射口8は、管状誘電体3の内空部3aを、照射器具10の外部と通じさせている。
図3及び図4に示す例において、保持部材6は、電圧供給線32が端子部4aに接続されるとともに保持部材6の外部へ延び出すことができるように、電圧供給線32の一部を収容する、電圧供給線収容部6eをさらに有する。
一例として、第1部材6a、第2部材6b及び第3部材6cの材料には、絶縁性を有する材料が用いられる。これによって、電圧が印加される内部電極4を、照射器具10の外部から電気的に絶縁することができる。絶縁性の材料は、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等である。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアセタール(POM)、変成ポリフェニレンエーテル(mPPE)、等である。熱硬化性樹脂は、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等である。その他に、絶縁性の材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主原料に、ガラス短繊維や無機フィラー等を充填複合したものを用いることもできる。このような材料としては、例えばユニチカ株式会社製のユニレート(登録商標)が挙げられる。第1部材6a、第2部材6b及び第3部材6cの材料としては、PEEK又はmPPEが、第1部材6a、第2部材6b及び第3部材6cの材料に適した樹脂の物性を有しているため、より好ましい。
活性ガス照射装置100が口腔内用治療器具である場合、軸線方向d1において内部電極4と外部電極5とが対向している領域での、径方向d2における照射器具10の寸法w1は、3mm以上20mm以下が好ましく、5mm以上10mm以下がより好ましい。なお、図3に示す例において、寸法w1は径方向d2における第3部材6cの寸法に相当する。
図1に示す例において、照射器具10は、電気的に接地された外筒部材(カウリング)2を備える。一例として、外筒部材2は、略筒状の形状を有し、内部に内部電極4及び外部電極5の全体を収容する、導電性の部材である。照射器具10が外筒部材2を有することによって、照射器具10が発する電場を抑制し、照射器具10を扱う使用者の感電を効果的に防ぐことができる。図示はしないが、照射器具10は、外筒部材2を備えなくてもよい。
また、図1に示す例において、照射器具10は、照射器具10の先端を構成するノズル1を備える。ノズル1は、外筒部材2の先端に取り付けられる。ノズル1は、内部に活性ガスの流路を有している。ノズル1内の活性ガスの流路は、照射器具10の内部のプラズマ発生用ガスの流路と連通している。照射器具10の内部で発生した活性ガスは、内部電極4と外部電極5との間から照射口8を介して吐出された後、ノズル1の内部の流路を通って、ノズル1の先端に位置するノズル照射口1aから照射器具10の外部に照射される。ノズル1は、導電性の部材であってもよく、導電性を有しない樹脂製の部材であってもよい。ノズル1が導電性を有する場合には、ノズル1によって電極が発する電場を抑制し、照射器具10を扱う使用者の感電を効果的に防ぐことができる。図示はしないが、照射器具10は、ノズル1を備えなくてもよい。照射器具10がノズル1を備えない場合、照射器具10は、照射口8から照射器具10の外部に活性ガスを照射する。
本実施の形態に係る発明の作用効果について、特に韓国公開特許10−2009−0112831号公報に記載のプラズマ発生装置と比較することによって説明する。韓国公開特許10−2009−0112831号公報には、内部が空いている接地電極と、接地電極の内部空間に挿入された内部電極と、接地電極及び内部電極を取り囲むモールドとを有するプラズマ発生装置が開示されている。このプラズマ発生装置は、接地電極と内部電極との間に放電空間を形成し、放電空間においてプラズマを生成する。
ここで、本実施の形態に係る照射器具10や韓国公開特許10−2009−0112831号公報のように、対向する電極の間においてプラズマを生成する場合、対向する電極の間にプラズマ発生用ガスを供給するための流路をどのように設けるかが問題となる。この点に関し、韓国公開特許10−2009−0112831号公報のプラズマ発生装置は、接地電極及びモールドを貫通するように形成されているガス注入口をさらに有し、ガス注入口を介してガスを放電空間に供給できるようになっている。
しかしながら、韓国公開特許10−2009−0112831号公報のプラズマ発生装置のガス注入口は、接地電極及びモールドに設けられ、プラズマ発生装置の延びる方向に対して直交する方向に延びている。このため、ガス管をガス注入口に取り付けると、ガス管が、プラズマ発生装置の延びる方向に対して直交する方向に取り付けられることになる。したがって、使用者がプラズマ発生装置を把持する際にガス管が邪魔になりやすく、プラズマ発生装置の操作性が低下してしまう。仮に、ガス管を、L字継ぎ手等を介してガス注入口に取り付けたとしても、プラズマ発生装置の側面に取り付けられるL字継ぎ手等が邪魔になるために、プラズマ発生装置の操作性は低下してしまう。また、韓国公開特許10−2009−0112831号公報のプラズマ発生装置は、接地電極及びモールドのうち、内部電極の側方に位置する部分にガス注入口を形成しているため、ガス注入口を介して内部電極と外部の物体との間に短絡が生じる懸念がある。
これに対して、本実施の形態に係る照射器具10においては、ガス管路36とガス供給路4gとが互いの中心軸が同一直線上に位置するように平行に接続されている。特に、内部電極4が軸線方向d1において照射口8の側とは反対側の端部に導入口4iを有し、ガス管路36とガス供給路4gとが導入口4iを介して互いの中心軸が同一直線上に位置するように平行に接続されている。このため、使用者が照射器具10を把持する際に、ガス管路36が邪魔になりにくい。また、本実施形態に係る照射器具10においては、ガス供給路4gが内部電極4の内部に設けられており、外部電極5が排出口4hよりも照射口8側において内部電極4と対向している。このため、例えば外部電極5や保持部材6等にプラズマ発生用ガスの流路を設ける場合よりも、内部電極4と外部の物体との間の短絡を抑制しつつ、内部電極4と外部電極5との間にプラズマ発生用ガスを供給することができる。
本実施形態に係る発明の更なる作用効果について、比較例と比較することによって説明する。比較例として、保持部材6にプラズマ発生用ガスの流路を設けた照射器具10について考える。図6は、比較例に係る照射器具10を示す断面図である。図6に示す例においては、内部電極4がガス供給路4gを有さず、プラズマ発生用ガスの流路4g’が保持部材6の第1部材6a及び第2部材6bに設けられている。比較例において、流路4g’は、内部電極4の軸線方向d1に延びている。この場合、内部電極4の周辺に位置する部分のうち、軸線方向d1における広範囲に流路4g’が位置する。そして、保持部材6の材料を絶縁体としたとしても、流路4g’が位置する部分においては絶縁体の無い空間が生じる。このため、絶縁体の無い空間を介した内部電極4と外部の物体との間の短絡が生じやすくなり、高電圧に対する絶縁設計上不利となる。特に、比較例においては、基部拡径部4bの周辺に流路4g’が位置している。基部拡径部4bは、内部電極4のうち、特に径方向d2の外方への突出長さが最も大きくなっている部分であるため、保持部材6の外部の物体との距離が短くなりやすい。このため、基部拡径部4bの周辺に流路4g’が位置することによって、内部電極4のうち基部拡径部4bと外部の物体との短絡がより生じやすくなる懸念がある。
これに対して、本実施の形態におけるプラズマ発生用ガスの流路であるガス供給路4gは、内部電極4の内部に設けられている。このため、プラズマ発生用ガスの流路に起因して内部電極4と外部の物体との間に短絡が生じることを抑制することができる。特に、基部拡径部4bの周辺に絶縁体の無い空間が生じないため、基部拡径部4bと外部の物体との短絡を抑制することができる。
次に、図1を参照して、本実施形態の活性ガス照射装置100のうち照射器具10以外の部分の詳細について説明する。図1に示すような供給器20は、照射器具10に電気およびプラズマ発生用ガスを供給する。供給器20は、内部電極4に印加する電圧及び周波数を調節できる。供給器20は、供給源70を収容する筐体21を備えている。筐体21は、供給源70を離脱可能に収容する。これにより、筐体21に収容された供給源70内のガスがなくなったとき、プラズマ発生用ガスの供給源70を交換することができる。
供給源70は、内部電極4と外部電極5との間にプラズマ発生用ガスを供給する。供給源70は、内部にプラズマ発生用ガスが収容された耐圧容器である。図2に示すように、供給源70は、筐体21内に配置された配管75に対して着脱可能に装着されている。配管75は、供給源70とガス管路36とを接続している。配管75には、電磁弁71、圧力レギュレータ73、流量コントローラ74及び圧力センサ72(残量センサ)が取り付けられている。
電磁弁71が開状態となると、供給源70から配管75を介して照射器具10のガス管路36にプラズマ発生用ガスが供給される。図示の例では、電磁弁71は、弁開度が調節できる構成ではなく、開閉の切り替えのみができる構成である。なお電磁弁71は、弁開度が調節できる構成であってもよい。圧力レギュレータ73は、電磁弁71と供給源70との間に配置されている。圧力レギュレータ73は、供給源70から電磁弁71に向かうプラズマ発生用ガスの圧力を低下(プラズマ発生用ガスを減圧)させる。
流量コントローラ74は、電磁弁71とガス管路36との間に配置されている。流量コントローラ74は、電磁弁71を通過したプラズマ発生用ガスの流量(単位時間当たりの供給量)を調整する。流量コントローラ74は、プラズマ発生用ガスの流量を、例えば3L/minに調整する。
圧力センサ72は、供給源70におけるプラズマ発生用ガスの残量V1を検出する。圧力センサ72は、残量V1として、供給源70内の圧力(残圧)を測定する。圧力センサ72は、圧力レギュレータ73と供給源70との間(圧力レギュレータ73よりも一次側)を通過するプラズマ発生用ガスの圧力(一次圧)を、供給源70の圧力として測定する。圧力センサ72としては、例えば、キーエンス社のAP−V80シリーズ(具体的には、例えばAP−15S)等を採用することができる。
なお、供給源70における実際の残量V1(体積)は、圧力センサ72が測定する残圧と、供給源70の容量(内部容積)と、から算出される。供給源70として、多様な容量の供給源70を使用する前提の場合、例えば、実際の供給源70の容量を、図示しない入力部のシステム画面上で選択することで、演算用の容量を設定してもよい。また、供給源70として、定用量の供給源70を使用する前提の場合、制御部90がその容量を予め記憶しておいてもよい。
配管75の供給源70側の端部には、継手76が設けられている。継手76には、供給源70が着脱可能に装着されている。供給源70を継手76に着脱させることで、電磁弁71、圧力レギュレータ73、流量コントローラ74及び圧力センサ72(以下、「電磁弁71等」という。)を筐体21に固定したまま、プラズマ発生用ガスの供給源70を交換することができる。この場合、交換前の供給源70、交換後の供給源70のいずれについても共通の電磁弁71等を使用することができる。なお電磁弁71等は、供給源70に固定され、供給源70と一体的に筐体21から離脱可能であってもよい。
図2に示すような制御部90は、情報処理装置を用いて構成される。すなわち、制御部90は、バスで接続されたCPU(Central Processor Unit)、メモリ及び補助記憶装置を備える。制御部90は、プログラムを実行することによって動作する。制御部90は、例えば、供給器20に内蔵されていてもよい。制御部90は、照射器具10、供給器20および報知部80を制御する。
電圧供給線32は、上述の通り内部電極4に接続しているとともに、不図示のフットスイッチに接続している。そして、制御部90には、不図示のフットスイッチが電気的に接続されている。照射器具10の使用者によりフットスイッチが操作されると、フットスイッチから制御部90に電気信号が送られる。制御部90が電気信号を受け付けると、制御部90は電磁弁71及び流量コントローラ74を作動させ、かつ内部電極4に電圧を印加する。
本実施形態では、使用者がフットスイッチを1回押したときに、制御部90が電気信号を受け付ける。すると制御部90が、電磁弁71を所定の時間、開放して電磁弁71を通過したプラズマ発生用ガスの流量を流量コントローラ74に調整させ、かつ内部電極4に電圧を所定の時間、印加する。その結果、供給源70から内部電極4と外部電極5との間に一定量のプラズマ発生用ガスが供給され、ノズル照射口1aから活性ガスが一定時間(例えば、数秒から数十秒程度、本実施形態では30秒)、継続して吐出される。
すなわち、本実施形態では、使用者によるフットスイッチを1回押下するあたりの活性ガスの吐出量が定まっている。このような、所定の吐出量の活性ガスを吐出する操作を単位操作と呼ぶ。本実施形態では、単位操作が、使用者によるフットスイッチの1回の押下である。単位操作1回あたりの活性ガスの吐出量(単位操作1回あたりの供給源70から内部電極4と外部電極5との間へのプラズマ発生用ガスの供給量)は、予め設定された固定値であってもよく、図示しない操作盤の操作等により設定可能な変動値であってもよい。
制御部90は、プラズマ発生用ガスの残回数N及び残時間Tのうちの少なくとも一方を残存情報として演算する。本実施形態では、制御部90は、残回数N及び残時間Tのうちの残回数Nのみを残存情報として演算する。残回数Nは、供給源70に残存するプラズマ発生用ガスによって、供給源70から内部電極4と外部電極5との間にプラズマ発生用ガスを供給することができる残りの単位操作の回数である。残時間Tは、供給源70に残存するプラズマ発生用ガスによって、供給源70から内部電極4と外部電極5との間にプラズマ発生用ガスを供給することができる残りの時間である。
残回数N及び残時間Tはいずれも、供給源70におけるプラズマ発生用ガスの残量V1から算出することができる。残回数Nは、残量V1と、フットスイッチの単位操作1回あたりのプラズマ発生用ガスの供給量V2と、に基づいて演算(N=V1/V2)することができる。また、直近数回のプラズマ発生用ガスの使用量(供給量)の平均値V2(平均値)を演算し、その平均値V2(平均値)をプラズマ発生用ガスの残量V1で除することにより、残回数Nを算出する。残時間Tは、残量V1と、供給源70から内部電極4と外部電極5との間に単位時間あたり供給されるプラズマ発生用ガスの供給量V3と、に基づいて演算(T=V1/V3)することができる。
報知部80は、残回数Nおよび残時間Tのうちの少なくとも一方を報知する。本実施形態では、報知部80は、残回数Nを表示する。報知部80は、制御部90が演算した残回数Nを数字で表示する。報知部80として、例えば、任意の数字を表示可能なディスプレイ装置を採用してもよく、機械式のカウンタを採用してもよい。
なお図示の例では、報知部80は、筐体21の外面に、筐体21と一体に設けられているが、供給器20から独立して設けられていてもよい。また報知部80は、残回数Nを数字とは異なる形態により表示してもよい。例えば報知部80として、文字盤および針により形成されるアナログ表示をする構成を採用してもよい。さらに例えば、報知部80が、色の表示態様や、光の点灯の態様により残回数Nを報知してもよい。
さらに報知部80は、音声によって残回数Nを報知してもよい。この場合、報知部80としては、例えばスピーカ等を採用することができる。
本実施形態のように、使用者がフットスイッチを押したときに、供給源70から内部電極4と外部電極5との間に一定量のプラズマ発生用ガスが供給される場合には、残時間Tを報知することよりも残回数Nを報知することの方が使用者の利便性を高めることができる。
次に、活性ガス照射装置100の使用方法を説明する。例えば医師等の使用者は、照射器具10を持って移動させ、ノズル照射口1aを被照射物に向ける。この状態で使用者がフットスイッチを押し、供給源70から照射器具10に電気及びプラズマ発生用ガスを供給する。照射器具10に供給したプラズマ発生用ガスは、管状誘電体3の後端部から管状誘電体3の内空部3aに流入する。プラズマ発生用ガスは、内部電極4と外部電極5とが対向する位置において電離し、プラズマになる。
本実施形態においては、内部電極4と外部電極5とが、プラズマ発生用ガスの流れる方向と直交する向きに対向している。内部電極4の外周面と外部電極5の内周面とが対向する位置で発生したプラズマは、この間、プラズマは、管状誘電体3の内空部3aを通流しつつガス組成を変化させ、ラジカル等の活性種を含む活性ガスとなる。
生じた活性ガスはノズル照射口1aから吐出される。吐出された活性ガスは、ノズル照射口1a近傍の気体の一部をさらに活性化して活性種を生成する。これらの活性種を含む活性ガスは被照射物に照射される。
被照射物としては、例えば、細胞、生体組織、生物個体等を例示できる。生体組織としては、内蔵等の各器官、体表や体腔の内面を覆う上皮組織、歯肉、歯槽骨、歯根膜及びセメント質等の歯周組織、歯、骨等を例示できる。生物個体としては、ヒト、犬、猫、豚等の哺乳類;鳥類;魚類等のいずれでもよい。
プラズマ発生用ガスとしては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン等の希ガス;窒素;等である。これらのガスは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。プラズマ発生用ガスは、窒素を主成分とすることが好ましい。ここで、窒素を主成分とするとは、プラズマ発生用ガスにおける窒素の含有量が50体積%超であることをいう。即ち、プラズマ発生用ガスにおける窒素の含有量は、50体積%超が好ましく、70体積%以上がさらに好ましく、90体積%〜100体積%が特に好ましい。プラズマ発生用ガス中、窒素以外のガス成分は、特に制限はなく、例えば、酸素、希ガス等を例示できる。
活性ガス照射装置100が口腔内用治療器具である場合、管状誘電体3に導入するプラズマ発生用ガスの酸素濃度は、1体積%以下が好ましい。酸素濃度が上限値以下であれば、オゾンの発生を低減できる。
管状誘電体3に導入するプラズマ発生用ガスの流量は、1L/min〜10L/minが好ましい。管状誘電体3に導入するプラズマ発生用ガスの流量が下限値以上であると、被照射物における被照射面の温度の上昇を抑制しやすい。プラズマ発生用ガスの流量が上限値以下であると、被照射物の清浄化、賦活化又は治癒をさらに促進できる。
ノズル照射口1aから照射する活性ガスの温度は、50℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましい。ノズル照射口1aから照射する活性ガスの温度が上限値以下であると、被照射面の温度を40℃以下にしやすい。被照射面の温度を40℃以下にすることで、被照射部分が患部である場合にも、患部への刺激を低減できる。ノズル照射口1aから照射する活性ガスの温度の下限値は、特に制限はなく、例えば、10℃以上である。活性ガスの温度は、ノズル照射口1aにおける活性ガスの温度を熱電対で測定した値である。
ノズル照射口1aから被照射面までの距離(照射距離)は、例えば、0.01mm〜10mmが好ましい。照射距離が前記範囲の下限値以上であれば、被照射面の温度を低くし、被照射面への刺激をさらに緩和できる。照射距離が前記範囲の上限値以下であれば、治癒等の効果をさらに高められる。
ノズル照射口1aから1mm以上10mm以下の距離で離れた位置の被照射面の温度は、40℃以下が好ましい。被照射面の温度が40℃以下であれば、被照射面への刺激を低減できる。被照射面の温度の下限値は特に制限はないが、例えば10℃以上である。被照射面の温度は、内部電極4と外部電極5との間に印加する交流電圧、照射する活性ガスの吐出量、内部電極4の先端部4dからノズル照射口1aまでの道のり等の組み合わせで調節できる。被照射面の温度は、熱電対を用いて測定できる。
活性ガスに含まれる活性種(ラジカル等)としては、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、オゾン、過酸化水素、スーパーオキシドアニオンラジカル、一酸化窒素、二酸化窒素、ペルオキシナイトライト、過酸化亜硝酸、三酸化二窒素等を例示できる。活性ガスに含まれる活性種の種類は、例えば、プラズマ発生用ガスの種類等にさらに調節できる。
活性ガス中におけるヒドロキシラジカルの密度(ラジカル密度)は、0.1μmol/L〜300μmol/Lが好ましい。ラジカル密度が下限値以上であると、細胞、生体組織及び生物個体から選ばれる被照射物の清浄化、賦活化又は異常の治癒を促進しやすい。ラジカル密度が上限値以下であると、被照射面への刺激を低減できる。
ラジカル密度は、例えば、以下の方法で測定できる。DMPO(5,5−ジメチル−1−ピロリン−N−オキシド)0.2mol/L溶液0.2mLに対して、活性ガスを30秒間照射する。この際、ノズル照射口1aから液面までの距離を5.0mmとする。活性ガスを照射した溶液について、電子スピン共鳴(ESR)法を利用してヒドロキシルラジカル濃度を測定し、これをラジカル密度とする。
活性ガス中における一重項酸素の密度(一重項酸素密度)は、0.1μmol/L〜300μmol/Lが好ましい。一重項酸素密度が下限値以上であると、細胞、生体組織及び生物個体等の被照射物の清浄化、賦活化又は異常の治癒を促進しやすい。上限値以下であると、被照射面への刺激を低減できる。
一重項酸素密度は、例えば、以下の方法で測定できる。TPC(2,2,5,5−テトラメチル−3−ピロリン−3−カルボキサミド)0.1mol/L溶液0.4mLに対して、活性ガスを30秒間照射する。この際、ノズル照射口1aから液面までの距離を5.0mmとする。活性ガスを照射した溶液について、電子スピン共鳴(ESR)法を利用して一重項酸素濃度を測定し、これを一重項酸素密度とする。
ノズル照射口1aから照射する活性ガスの流量は、1L/min〜10L/minが好ましい。ノズル照射口1aから照射する活性ガスの流量が下限値以上であると、活性ガスが被照射面に作用する効果を充分に高められる。ノズル照射口1aから照射する活性ガスの流量が上限値未満であると、活性ガスの被照射面の温度が過度に高まることを防止できる。加えて、被照射面が濡れている場合には、被照射面の急速な乾燥を防止できる。さらに、被照射面が患部である場合には、患者への刺激を抑制できる。なお、活性ガス照射装置100において、ノズル照射口1aから照射する活性ガスの流量は、管状誘電体3へのプラズマ発生用ガスの供給量で調節できる。
活性ガス照射装置100によって生じる活性ガスは、外傷や異常の治癒を促進する効果を有する。活性ガスを細胞、生体組織又は生物個体に照射することによって、その被照射部分の清浄化、賦活化、又はその被照射部分の治癒を促進できる。
外傷や異常の治癒を促進する目的で活性ガスを照射する場合、その照射頻度、照射回数及び照射期間は特に制限はない。例えば、1L/min〜5.0L/minの照射量で活性ガスを患部に照射する場合、1日1回〜5回、毎回10秒〜10分、1日〜30日間、等の照射条件が、治癒を促進する観点から好ましい。
本実施形態の活性ガス照射装置100は、特に口腔内用治療器具、歯科用治療器具として有用である。また、本実施形態の活性ガス照射装置100は、動物治療用器具としても好適である。
以上において、具体例を参照しながら一実施形態を説明してきたが、上述した具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
(第2実施形態)
上述の実施形態においては、内部電極4が基部拡径部4bと細部4cとを有する例について説明した。しかしながら、内部電極4の形状は、これに限られない。図7は、第2実施形態に係る照射器具10を示す断面図である。図7に示す例において、内部電極4は、径方向d2の寸法において、排出口4hが形成される部分よりも大きい拡径部4kを有する。拡径部4kは、内部電極4のうち、外部電極5と対向する部分に形成される。図7に示す例においては、排出口4hが内部電極4のうち細部4cに形成されており、拡径部4kの径方向d2における寸法が細部4cよりも大きくなっている。
内部電極4が拡径部4kを有することの作用効果について説明する。内部電極4の排出口4hの付近には、径方向d2の外方に突出した突出部が形成される可能性がある。例えば、ドリルを用いて内部電極4に孔を空けて排出口4h及びガス供給路4gを形成する場合には、内部電極4に孔を空けた際に、排出口4hの付近に、径方向d2の外方に突出したバリが生じる可能性がある。内部電極4が、外部電極5と対向する拡径部4kを有することによって、内部電極4のうち外部電極5と対向する部分が、内部電極4のうち排出口4hが位置する部分よりも、径方向d2の外方に位置するようになる。これによって、内部電極4のうち外部電極5に対向する部分と外部電極5との距離を小さくし、内部電極4のうち外部電極5に対向する部分と外部電極5との間において安定的に放電を生じさせることができる。また、内部電極4のうち排出口4hが位置する部分と外部電極5との距離、及び内部電極4のうち排出口4hが位置する部分と内部電極4の径方向d2の外方に位置する外部電極5以外の導体との距離を大きくすることができる。このため、内部電極4のうち排出口4hの付近にバリ等の突出部が形成されている場合であっても、突出部と外部電極5又は外部電極以外の導体との間で放電が生じることを抑制することができる。
(第3実施形態)
上述の実施形態においては、内部電極4のうち外部電極5に対向する部分が円柱状の形状を有する例について説明した。しかしながら、内部電極4の形状は、これに限られない。図8は、第3実施形態に係る照射器具10の一例を示す断面図である。図9は、第3実施形態に係る照射器具10の他の一例を示す断面図である。図8及び図9に示す例において、内部電極4は、外部電極と対向する部分に、凹凸形状を有する。図8及び図9に示す例において、内部電極4は、軸線方向d1において排出口4hよりも照射口8側の位置に、凹凸形状を有する凹凸部4mを有している。図8及び図9の破線は、凹凸部4mの立体的な形状を示している。
図8に示す例において、内部電極4は、軸線方向d1において排出口4hよりも照射口8側の位置に、軸線O1を中心とした周囲を周回する螺旋状のねじ山形状を有する。この場合、ねじ山形状のうちねじ山先端部が凹凸形状の凸部に相当し、ねじ山形状のうちねじ山先端部同士の間が凹凸形状の凹部に相当する。図8に示す例において、ねじ山形状は、雄ねじと同様の形状である。内部電極4は、外周面にねじ山を有することで、ねじ山先端部の電界が局所的に強くなり、放電開始電圧が低くなる。このため、低電力でプラズマを生成し、維持できる。ねじ山の高さhは、内部電極4の外径dを勘案して適宜決定できる。内部電極4のねじ山のピッチpは、内部電極4の長さや外径d等を勘案して適宜決定できる。
内部電極4としては、JIS B 0205:2001のメートルねじの規格品(M2、M2.2、M2.5、M3、M3.5等)、JIS B 2016:1987のメートル台形ねじの規格品(Tr8×1.5、Tr9×2、Tr9×1.5等)、JIS B 0206:1973のユニファイ並目ねじの規格品(No.1−64UNC、No.2−56UNC、No.3−48UNC等)等と同等の仕様が好ましい。これらの規格品と同等の仕様であれば、コスト面で優位である。
図9に示す例において、内部電極4は、軸線方向d1において排出口4hよりも照射口8側の位置に、軸線O1を中心とした周囲を周回する円環状の複数の凹部と、軸線O1を中心とした周囲を周回する円環状の複数の凸部とを有する。複数の凹部と複数の凸部とは、軸線方向d1に交互に並んでいる。内部電極4は、外周面に凸部を有することで、凸部の電界が局所的に強くなり、放電開始電圧が低くなる。このため、図9に示す例においても、低電力でプラズマを生成し、維持できる。
内部電極4が、図8又は図9に示すような凹凸形状を有することによって、排出口4hから排出されて照射口8に向かうプラズマ発生用ガスの流れる方向が、凹凸形状によって変更される。このため、内部電極4の周囲を周回する方向のプラズマ発生用ガスの流れを生じさせて、プラズマ発生用ガスを内空部3a内に均一に拡散させることができる。
(第4実施形態)
上述の実施形態においては、照射口8が、保持部材6のうち第3部材6cに設けられた開口である例について説明した。しかしながら、照射口8の形態は、これに限られない。図10は、第4実施形態に係る照射器具10を示す断面図である。図10に示す例において、保持部材6は第3部材6cを有さない。また、外部電極5が、軸線O1を中心とした周囲から内部電極4の先端部4dを覆っている。そして、外部電極5の先端部5aに設けられた開口が照射口8となっている。
接地された外部電極5が、電圧が印加される内部電極4の先端部4dを、軸線O1を中心とした周囲から覆っていることによって、内部電極4の先端部4d側の部分が発する電場を外部電極5によって抑制することができる。このため、内部電極4の先端部4dを保持部材6等の他の部材によって覆わなくとも、外部電極5によって、内部電極4の先端部4d側における内部電極4と照射器具10の外部の導体との短絡を抑制することができる。この場合、内部電極4の先端部4dを覆う他の部材を省略して、照射器具10の照射口8側の部分の太さを、より細くすることもできる。
(第5実施形態)
図11は、第5実施形態に係る照射器具10を示す断面図である。図12は、図11の照射器具10のXII−XII線に沿った断面を示す断面図である。第5実施形態に係るガス供給路4gについて、第1部分4g1の延びる方向に延び、第1部分4g1の中心を通る直線を直線L1とする。図11及び図12に示す例において、直線L1は軸線O1に一致している。また、第4の変形例に係るガス供給路4gについて、第2部分4g2の延びる方向に延び、第2部分4g2の中心を通る直線を直線L2とする。図12に、直線L2を破線によって示す。この場合、図12に示すように、直線L2は直線L1と交わらない。なお、図12に示す例において、第2部分4g2は、第1部分4g1の延びる方向に対して垂直な方向に延びている。図示はしないが、第2部分4g2は、第1部分4g1の延びる方向に対して傾斜した方向に延びていてもよい。
第2部分4g2の直線L2が第1部分4g1の直線L1と交わらないことによって、排出口4hから、内部電極4の周囲を周回する方向にプラズマ発生用ガスが排出される。このため、内部電極4の周囲を周回する方向のプラズマ発生用ガスの流れを生じさせて、プラズマ発生用ガスを内空部3a内に均一に拡散させることができる。
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。