JP6917034B1 - 凍結乾燥米の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 実用的な短時間の熱湯浸漬により米飯に復元し、しかも従来よりも食感に優れる凍結乾燥米の製造方法を提供する。【解決手段】 本開示による凍結乾燥米の製造方法は、過熱水蒸気により米を炊くことにより炊飯米を得る炊飯工程と、得られた炊飯米を凍結させ、その後に真空下で乾燥させることにより凍結乾燥米を得る凍結乾燥工程と、を含んでいる。好ましくは、炊飯工程は、炊き増え率(炊飯前の米の重量に対する、炊飯後の米の重量の比率)が260〜280%の範囲となるように炊飯米を得る。さらに好ましくは、凍結乾燥工程は、得られた炊飯米を洗浄し、その後に、炊飯米を凍結及び乾燥させる。【選択図】 図1

Description

本発明は、熱湯を注ぐことにより米飯に復元する凍結乾燥米の製造方法及び製造装置に関する。
熱湯を注ぐことにより米飯に復元する凍結乾燥米が、即席米飯あるいは非常食米飯として、従来より市販されている。凍結乾燥米を製造するには、米を釜炊きすることにより炊飯米を得た後に、得られた炊飯米を凍結させ、さらに真空下で乾燥させることによって凍結乾燥米を得るのが一般的である(例えば、特許文献1の「対照例」参照)。
しかし、本願発明者が従来の方法により凍結乾燥米の製造を様々に試みたところ、5分程度の実用的な短時間の熱湯浸漬により米飯に復元し、しかも通常の米飯と同等の食感が得られる凍結乾燥米を得ることは、殆ど不可能であった。すなわち、実用的な短時間で米飯に復元するには、炊飯米の炊き増え率(炊飯前の米の重量に対する、炊飯後の米の重量の比率であり、当業界において「炊飯歩留」、「米復元率」とも称される。炊飯により吸収された水分が多いほど、炊き増え率は高くなる。)を相当に高める必要がある一方、炊き増え率を高めると、復元後の食感が、通常の米飯に比べて柔らかいものとなってしまう、という問題点があることが明らかとなった。
特公昭61−43983号公報 特許第6223711号公報 特特第3172519号公報
本願発明者らは、この問題点を解決しようと試行錯誤を進める中で、炊飯米を得るのに、従来の釜炊きに代えて、本願共同出願人の一による特許文献2,3に開示される過熱水蒸気を用いた炊飯を適用することにより、炊飯米の炊き増え率を低く抑えつつ、しかも実用的な短時間で米飯に復元する凍結乾燥米を得ることができることを見いだした。炊飯米の炊き増え率を、従来よりも低く抑えることができるため、復元後の食感が、従来ほどには柔らかくなく、より好ましい食感が得られることが明らかとなった。本発明は、かかる本願発明者ら自身の試行錯誤を通じてなされたものであり、実用的な短時間の熱湯浸漬により米飯に復元し、しかも従来よりも食感に優れる凍結乾燥米の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様によるものは、凍結乾燥米の製造方法であって、過熱水蒸気により米を炊くことにより炊飯米を得る炊飯工程と、得られた炊飯米を凍結させ、その後に真空下で乾燥させることにより凍結乾燥米を得る凍結乾燥工程と、を含んでいる。
この構成によれば、従来の釜炊きに代えて、過熱水蒸気を用いて炊飯米が得られるので、炊飯米の炊き増え率を低く抑えつつ、しかも実用的な短時間の熱湯浸漬により米飯に復元し得る凍結乾燥米が得られる。炊飯米の炊き増え率を、従来よりも低く抑えることができるため、復元後の食感が、従来ほどには柔らかくなく、より好ましい食感が得られる。
本発明のうち第2の態様によるものは、第1の態様による凍結乾燥米の製造方法であって、前記炊飯工程は、炊き増え率が260〜280%の範囲となるように前記炊飯米を得る。
この構成によれば、炊き増え率が最適化されるので、通常の炊飯米と同等の食感が得られる。
本発明のうち第3の態様によるものは、第1又は第2の態様による凍結乾燥米の製造方法であって、前記凍結乾燥工程は、得られた前記炊飯米を洗浄し、その後に、前記炊飯米を凍結及び乾燥させる。
この構成によれば、炊飯米が洗浄されることにより、炊飯米の表面に付着するアミロースが洗い流され、それにより、米粒が塊になり難くなる。
本発明のうち第4の態様によるものは、第1から第3の態様による凍結乾燥米の製造方法であって、前記炊飯工程は、前記米をベルトコンベアにより移送しつつ過熱水蒸気に曝すことにより前記炊飯米を得る。
この構成によれば、得られる炊飯米の均一性が向上する。
本発明のうち第5の態様によるものは、第4の態様による凍結乾燥米の製造方法であって、前記炊飯工程は、前記米を前記ベルトコンベアにより移送する過程で、前記ベルトコンベアに沿って間隔を置いて配置された攪拌機を用いて前記米を攪拌する。
この構成によれば、得られる炊飯米の均一性が、さらに向上する。攪拌機は間隔を置いて配置されるので、米粒への損傷が少ない。
本発明のうち第6の態様によるものは、第4又は第5の態様による凍結乾燥米の製造方法であって、前記炊飯工程は、前記米を前記ベルトコンベアにより移送する過程で、前記ベルトコンベアに沿って間隔を置いて配置された散水器を用いて前記米に散水する。
この構成によれば、米粒の表面にアミロースが付着しても水で洗い流され易いので、糊成分の付着が少ない炊飯米が得られる。散水器は間隔を置いて配置されるので、過熱水蒸気による米粒の加熱を妨げない。
本発明のうち第7の態様によるものは、凍結乾燥米の製造装置であって、第1から第6のいずれかの態様による製造方法が含む前記炊飯工程と前記凍結乾燥工程とを実行する装置を含んでおり、それにより、凍結乾燥米を製造する。
この構成によれば、本発明の各態様による製造方法が実行され、それにより凍結乾燥米を製造することができる。
以上のように本発明によれば、実用的な短時間の熱湯浸漬により米飯に復元し、しかも従来よりも食感に優れる凍結乾燥米の製造方法及び製造装置が実現する。
本発明の一実施の形態による凍結乾燥米の製造方法の工程を例示する工程図である。 実証試験の結果を示すグラフであり、実施例の方法を示している。 実証試験の結果を示すグラフであり、比較例の方法を示している。
図1は、本発明の一実施の形態による凍結乾燥米の製造方法の工程を例示する工程図である。この製造方法は、過熱水蒸気により米を炊くことにより炊飯米を得る炊飯工程と、得られた炊飯米を凍結させ、その後に真空下で乾燥させることにより凍結乾燥米を得る凍結乾燥工程とを、含んでいる。それにより、実用的な短時間の熱湯浸漬により米飯に復元し、しかも従来よりも食感に優れる凍結乾燥米を得ることを可能にしている。
より詳細に説明すると、この製造方法では、まず、米をシャワーにより洗浄した後(図1(a)参照)、連続蒸気炊飯システム1のライン(過熱蒸気ライン)3に投入する(図1(b)参照)。洗浄は、米を網袋に入れ、シャワーをかけながら手揉みすることにより行われる。過熱蒸気ライン3では、投入された米が、コンベヤ5により緩慢な速度で運ばれる過程で、下方から過熱水蒸気7が噴き出し、金属網状のコンベヤ5を通して米が加熱される。ライン3には、コンベヤ5上の米を時折かき混ぜる攪拌機9、上方からコンベヤ5上の米に時折散水する散水器11が付属している。攪拌機9は、米粒への損傷を抑えるように、コンベヤ5に沿って間隔を置いて配置される。散水器11も、過熱水蒸気7による米粒の加熱を妨げないように、コンベヤ5に沿って間隔を置いて配置される。
過熱水蒸気の温度は、例えば105℃〜125℃に設定される。米投入から炊飯米として出てくるまでの時間は、例えば約30分〜約60分に設定される。過熱水蒸気は、100℃を超える高温の水蒸気を意味し、これが米の表面に触れると水滴に変化し、この時に大きな熱量を持つ凝縮熱を付与することにより米を加熱する。後述の実証試験の結果が示すように、ライン3から出てくる炊飯米の炊き増え率は、260%〜280%(すなわち、米100gに対し炊飯により吸収された水分が160g〜180g)に設定されるのが最も望ましい。炊き増え率の調整は、多段階で可能である。すなわち、得ようとする炊飯米の品質に合わせ、散水器11から散水される水の温度、量、投入された米が運ばれるコンベヤ5の速度、コンベヤ5の下方から噴き出す過熱水蒸気7の量、温度などにより、炊き増え率の調整が可能である。
ラインから出てきた炊飯米は、流水により洗浄される(図1(c)参照)。ライン3から出てきた炊飯米は、炊飯米の表面に付着するアミロースにより、また余熱により、米粒同士がくっつかないように、素早く洗浄されると同時に冷却される。一例として、洗浄は、炊飯米を丸籠13に2kg投入し、15℃〜20℃の流水15に曝すことにより60秒間行なわれる。なお、炊飯米の洗浄の意義は、次のように考えられる。炊飯米の表面にはアミロースが付着している。デンプンを構成するアミロース及びアミロペクチンのうち、アミロースは、アミロペクチンとは異なり、表面に出易いからである。洗浄により、表面のアミロースを洗い流すことにより、炊飯米を単粒化させることができ、同時に余熱を冷ますことができ、その結果、米粒が塊になることを抑えることができる。冷却・洗浄の後には、水切りが行われる。水切りは、例えば、約30秒間行われる。
水切りが終了した炊飯米は、トレイ17に盛られる(図1(d)参照)。一例として、1トレイ当たり5kgの炊飯米が盛られる。
次に、炊飯米が盛られた多数のトレイ17が、凍結庫18に投入される(図1(e)参照)。トレイ17が台車に積載された状態で、炊飯米は凍結に付される。凍結は、初めに緩慢凍結が行われ、それに続いて急速凍結が行われる。緩慢凍結は、例えばマイナス8℃〜マイナス10℃で、15時間以上、炊飯米を凍結させることにより行われる。最終的に得られる凍結乾燥米の復元をスムーズに行うために、緩慢凍結が行われる。それに続く急速凍結は、マイナス20℃以下で、例えば24時間、炊飯米を凍結させることにより行われる。
急速凍結が終了すると、トレイ17は、台車とともに凍結庫18から取り出され、乾燥庫19に投入される(図1(f)参照)。乾燥庫19に投入された凍結米は、乾燥に付される。乾燥庫19には、トレイ17同士の間隔を確保して保持する棚21が設置されている。棚21には、棚温度を計測する温度計が設置されている(図示略)。乾燥庫19は、内部の温度を調節することができ、かつ内部を真空にして乾燥を進める、一種の温度調節機能付きの真空チャンバーである。
乾燥庫19における乾燥工程は、温度を上げて、真空に曝すことにより行われる。棚温度は、例えば70℃〜80℃に保たれる。真空下では沸点が氷点下となるので、水分が固体から液体を経ずに、水蒸気に相変態(昇華)する。このため、炊飯米の形がそのまま残る。乾燥工程は、例えば24時間行われる。一例として炊飯米は、零下の温度から最終的に50℃となり、水分は1〜3%まで減じられ、デンプン及び繊維のみとなる。
なお、急速凍結の前に緩慢凍結を行う意義は、次の通りである。急速凍結のみを経た凍結乾燥米では、水が凍結してできる氷の結晶が比較的小さいものとなる。これに対し、緩慢凍結を先に行うことにより、氷の結晶を大きくすることができる。それにより、凍結乾燥米の表面が粗くなり、湯が、より入り易くなる。その結果、得られる凍結乾燥米は、熱湯により、より復元し易いものとなる。
乾燥工程を経た炊飯米である凍結乾燥米は、乾燥庫19から取り出(釜出し)され、整粒工程により、粒が揃えられる(図1(g)参照)。整粒工程では、例えば3メッシュの篩(ふるい)23を通過した粒が選別される。
整粒工程が終わると、凍結乾燥米は梱包される(図1(h)参照)。例えば、アルミスタンドパック25に50グラムの凍結乾燥米が充填され、スプーン、脱酸素剤(図示略)が同時に封入される。
図1に例示する各種の装置、器具は、本発明による凍結乾燥米の製造装置の一実施の形態を構成する要素の例に該当する。
本願発明者は、以上に説明した一実施の形態による凍結乾燥米の製造方法について、実証試験を行った。その結果を、以下に説明する。
表1及び表2は、実証試験の条件と結果を示す表である。一方の表1は、上記の実施の形態に即した実施例を示している。他方の表2は、炊飯をニーダ炊飯(釜炊きの一種)によって行った比較例を示している。ニーダは、攪拌しながら煮炊きのできる調理器である。ニーダ炊飯は、ニーダを用いた炊飯を意味し、釜炊きの一種に相当する。実施例及び比較例のいずれにおいても、炊飯米の炊き増え率を様々に変えつつ、仕上がる凍結乾燥米の品質を検証している。実施例については、実施例(1)〜(8)の8通りに炊き増え率を変えている。比較例については、比較例(1)〜(7)の7通りに炊き増え率を変えている。表1及び表2において、「米復元率」とは、炊き増え率を表している。いずれの例においても、共通の米を原料として使用している。米は、精米された白米であり、しかも、うるち米である。いずれの例においても、製造方法の全工程を通じて、添加物は一切加えられていない。
Figure 0006917034
Figure 0006917034
表1に示す実施例では、過熱水蒸気による炊飯は、過熱水蒸気の温度を105℃〜125℃に設定し、米投入から炊飯米として出てくるまでの時間を、約30分〜約60分に設定することにより行われた。一方、表2に示す比較例では、ニーダ炊飯は、95℃以上の温度で行われた。
いずれの例においても、炊飯後の各工程の詳細な条件は以下の通りである。洗浄は、炊飯米を丸籠13(図1参照)に2kg投入し、15℃〜20℃の流水15に曝すことにより60秒間行なった。洗浄の後の水切りは、約30秒間行った。緩慢凍結は、マイナス5℃〜マイナス10℃で、15時間以上、炊飯米を凍結させることにより行った。それに続く急速凍結は、マイナス20℃以下で、24時間、炊飯米を凍結させることにより行った。乾燥工程は、乾燥庫19の棚温度を50℃〜80℃に保ちつつ、24時間行った。
表1及び表2において、工程を表す「FD」は、凍結乾燥(フリーズドライ)を意味している。「乾燥FD歩留まり」とは、凍結乾燥前の米の重量に対する、凍結乾燥後の米の重量を意味している。表1において、「嵩比重」とは、重さ/体積を意味している。また、いずれの例においても、仕上がる凍結乾燥米の品質は、50gの凍結乾燥米に対し、90℃かつ120ccの熱湯を注いで、5分間待ったときの、凍結乾燥米の米飯への復元の状態により評価している。
表1に示すように、過熱水蒸気を用いて炊飯する実施例においては、炊き増え率が2.46倍(246%)〜3.65倍(365%)の広い範囲で、5分間の熱湯浸漬により凍結乾燥米が米飯に復元した。炊き増え率が2.56倍の条件では、復元した米粒に弾力はあるものの、米粒の一部に芯が残っていた。また、炊き増え率が2.86倍の条件では、復元した米粒に、少しながら柔らかい、水っぽい食感が認められた。それらの中間に相当する炊き増え率が2.73倍のときには、米粒に芯がなく、かつ柔らかくもなく、最適な食感が得られた。
図2は、表1に示す復元率と品質との間の関係を示すグラフである。縦軸の品質は、食感すなわち官能に基づく評価を表している。例えば、「やや柔らかい」という評価であっても、その上の「柔らかい」に近いほど、より柔らかく、その下の「適正」に近いほど、より適正に近い。図2のグラフに示すように、炊き増え率が2.56倍及び2.86倍のいずれの場合においても、適正な食感にほぼ近い食感が得られていることから、炊き増え率が2.60倍(260%)〜2.80倍(280%)の範囲(図において点線で挟まれた範囲)では、復元した米飯に、適正な食感が得られることが理解される。
これに対して、表2に示すように、ニーダ炊飯により炊飯する比較例においては、炊き増え率が3.54倍以下の条件では、凍結乾燥米は米飯に復元しない。炊き増え率が3.63倍以上では、復元はするものの、復元した米飯は柔らかいものとなり、良い食感は得られなかった。炊き増え率が3.54倍よりも僅かに高い3.63倍においても、少しばかりの弾力はあるものの、柔らかい食感しか得られなかった。
図3は、表2に示す復元率と品質との間の関係を示すグラフである。図3においても、図2と同様に、縦軸の品質は、食感に基づく評価を表している。図3のグラフに示すように、炊き増え率が僅かに異なる、3.54倍及び3.63倍のいずれの場合においても、適正な食感から外れていることから、米飯に復元し、しかも柔らかくない適正な食感が得られる範囲が、そもそも存在しない可能性がある。すなわち、中心部に芯が残っているときにも、その周囲は既に柔らかく、芯が無くなるまでに炊き増え率を高めたときには、復元した飯米は柔らかい食感しか得られない可能性がある。適正な食感が得られる範囲が仮にあったとしても、その範囲は、図3に示すように、3.60倍(360%)前後の狭い範囲(図において一点鎖線で挟まれた範囲)に限られることが理解される。適正な範囲が、これほどに狭ければ、製造工程における調整が難しく、製品の歩留まりが低下する恐れがある。すなわち生産効率が低いものとなる。過熱水蒸気を用いて炊飯する実施例の方法は、かかる問題点を解消し、食感に優れる凍結乾燥米を高い効率で生産することを可能にするものである、と言うことができる。
家庭用炊飯器で炊いた炊飯米においては、炊き増え率は210%程度である。しかし、比較例が示すように、ニーダを用いて炊飯して凍結乾燥米を製造する従来の方法では、炊飯米の炊き増え率は、上述の通り360%以上に設定される。そうしないと、上述の通り、出来上がった凍結乾燥米に湯を注いでも、湯を十分に吸ってはくれず芯が残り、米飯に復元しない。過熱水蒸気を用いて炊飯する実施例において、260〜280%という適正な炊き増え率は、従来のニーダ炊飯に比べて低い数値である。このことは、過熱水蒸気で炊飯すると、この程度の水分増加量であっても、出来上がる凍結乾燥米が、熱湯によって実用的な短時間内で復元することを示している。炊飯米の水分増加量が少ないため、得られる凍結乾燥米に湯を注いで復元したときに、水分量の少ない通常の米飯と同様に、食感が良好となる。
一般に炊き増え率が高いほど、湯を注いだときに米飯に復元し易く、しかも食感が柔らかくなる原因として、次のように考えられる。炊き増え率は、炊飯によって米粒内に取り込まれる水分の比率に直接関係している。従って、炊き増え率は、凍結乾燥により水分を凍結させ、さらに昇華させたときに、米粒内に形成される空洞の占積率に、そのまま対応するものと考えられる。熱湯を注ぐと、注がれた熱湯が空洞を満たすことにより、米粒内に浸透することになる。このために、炊き増え率が高いほど、米粒内に浸透する熱湯の比率が高くなり、復元しやすく、かつ柔らかくなるものと考えられる。さらに、過熱水蒸気を用いて炊飯すると、米粒内に水分がより微細に、かつ深く入り込むものと推測される。このため、凍結乾燥後には、米粒内に空洞が微細かつ深く形成されることとなり、炊き増え率が低く、従って空洞率が低くても、熱湯により容易に復元するものと考えられる。
ニーダ炊飯を用いるよりも過熱水蒸気炊飯を用いる製造方法の方が、得られる凍結乾燥米の復元後の食感が優れる要因として、上述した、水分増加量を低く設定できること以外に、以下の要因を、さらに挙げることができる。
(1)ニーダ炊飯では炊飯米の均一性が劣るのに対し、過熱水蒸気炊飯では、炊飯米の均一性が良好である。特に、ベルトコンベア式(図1(b)のコンベヤ5参照)であり、しかも攪拌がある(図1(b)の攪拌機9参照)ことにより、均一性が、さらに改善されている。
(2)ニーダ炊飯では、炊飯中に米粒が常に揺れており、米粒が物理的摩擦を受ける。このため、米粒の細胞壁が壊れることにより、糊成分であるアミロースが細胞の外に出て、米粒の表面に付着する。これに対して、過熱水蒸気炊飯では、米同士の衝突が無く、このため細胞壁の破壊が少なく、米粒の外へ漏れ出るアミロースの量が少ないため、米粒の表面への糊成分の付着が少ない。
(3)過熱水蒸気炊飯では、米に付与される熱量が大きく、短時間で米に熱が伝わる。このことも、ニーダ炊飯とは異なり、細胞壁が壊れ難い原因となっている。細胞壁の破壊が少ないこと、それ自体も食感の改善に寄与している。
(4)過熱水蒸気炊飯では、加熱中に散水が行われる(図1(b)の散水器11参照)。このため、米粒の表面にアミロースが付いても、加熱の過程で水で洗い流され易いことも、糊成分の付着が少ない原因の一つとなっている。
1 連続蒸気炊飯システム、 3 ライン(過熱蒸気ライン)、 5 コンベヤ、 7 過熱水蒸気、 9 攪拌機、 11 散水器、 13 丸籠、 15 流水、 17 トレイ、 18 凍結庫 19 乾燥庫、 21 棚、 23 篩(ふるい)、 25 アルミスタンドパック。

Claims (5)

  1. 過熱水蒸気により米を炊くことにより炊飯米を得る炊飯工程と、
    得られた炊飯米を凍結させ、その後に真空下で乾燥させることにより凍結乾燥米を得る凍結乾燥工程と、を含み、
    前記凍結乾燥工程は、得られた前記炊飯米を洗浄し、その後に、前記炊飯米を凍結及び乾燥させる、凍結乾燥米の製造方法。
  2. 前記炊飯工程は、炊き増え率が260〜280%の範囲となるように前記炊飯米を得る、請求項1に記載の凍結乾燥米の製造方法。
  3. 前記炊飯工程は、前記米をベルトコンベアにより移送しつつ過熱水蒸気に曝すことにより前記炊飯米を得る、請求項1又は2に記載の凍結乾燥米の製造方法。
  4. 前記炊飯工程は、前記米を前記ベルトコンベアにより移送する過程で、前記ベルトコンベアに沿って間隔を置いて配置された攪拌機を用いて前記米を攪拌する、請求項に記載の凍結乾燥米の製造方法。
  5. 前記炊飯工程は、前記米を前記ベルトコンベアにより移送する過程で、前記ベルトコンベアに沿って間隔を置いて配置された散水器を用いて前記米に散水する、請求項又はに記載の凍結乾燥米の製造方法
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