JP6916337B1 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度が高いとともに、イオン伝導度に優れ、電気特性に優れる技術を提供する。【解決手段】リチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、高分子電解質と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、前記高分子電解質は、リチウム塩と、イオン液体と、高分子ポリマーと、を含み、前記イオン液体は、アニオン成分として、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含み、前記リチウム塩の含有量は、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg以上6mol/kg以下であり、前記高分子ポリマーの含有量は、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して、25質量%以上40質量%以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は高いエネルギー密度を有するパワーデバイスであるため、近年、ノート型パソコンや携帯電話等の端末の電源として汎用されている。リチウムイオン二次電池としては、負極に炭素材料を用い、電解液にリチウムイオン塩を溶解したビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを有するイオン液体を用いるリチウムイオン二次電池が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、ゲル電解質を用いたリチウムイオン二次電池が開示されている。
特開2019−57425号公報
しかし、特許文献1に記載のリチウムイオン二次電池は、ゲル電解質を用いているため、強度が十分ではなく、改善の余地があった。このため、イオン伝導度に優れるとともに、電気特性に優れ、かつ、強度が高い他の技術の開発が望まれていた。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することができる。
(1)本発明の一形態によれば、リチウムイオン二次電池が提供される。このリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解質と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、前記電解質は、高分子電解質のみからなり、前記高分子電解質は、リチウム塩と、イオン液体と、高分子ポリマーと、を含み、前記高分子ポリマーは、2官能以上のポリエーテルアクリレートの硬化物であり、前記イオン液体は、アニオン成分として、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含み、前記リチウム塩の含有量は、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg以上6mol/kg以下であり、前記高分子ポリマーの含有量は、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して、25質量%以上40質量%以下であることを特徴とする。その他、本発明は、以下の形態として実現することができる。
(1)本発明の一形態によれば、リチウムイオン二次電池が提供される。このリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、高分子電解質と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、前記高分子電解質は、リチウム塩と、イオン液体と、高分子ポリマーと、を含み、前記イオン液体は、アニオン成分として、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含み、前記リチウム塩の含有量は、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg以上6mol/kg以下であり、前記高分子ポリマーの含有量は、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して、25質量%以上40質量%以下であることを特徴とする。
この形態のリチウムイオン二次電池によれば、高分子電解質を用いるために強度が高いとともに、イオン伝導度に優れ、電気特性に優れる。
(2)上述のリチウムイオン二次電池であって、前記リチウム塩の含有量は、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg以上4mol/kg以下であってもよい。
この形態のリチウムイオン二次電池によれば、1C放電における比容量に特に優れる。
(3)上述のリチウムイオン二次電池であって、前記高分子ポリマーは、2官能以上のポリエーテルアクリレートを含んでもよい。
この形態のリチウムイオン二次電池によれば、イオン伝導度に特に優れるとともに、電気特性に特に優れる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、リチウムイオン二次電池の製造方法等の態様で実現することができる。
A.リチウムイオン二次電池
本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、高分子電解質と、を備える。高分子電解質は、リチウム塩と、イオン液体と、高分子ポリマーと、を含む。そして、イオン液体は、アニオン成分として、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含む。リチウム塩の含有量は、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg以上6mol/kg以下である。高分子ポリマーの含有量は、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、25質量%以上40質量%以下である。
本実施形態のリチウムイオン二次電池によれば、ゲル電解質ではなく高分子電解質を用いるため、強度が高い。さらに、本実施形態のリチウムイオン二次電池によれば、イオン伝導度に優れ、かつ、電気特性に優れる。このような効果を奏するメカニズムは定かではないが、高分子電解質中におけるリチウムイオンの移動がなめらかに進むためと考えられる。また、本実施形態のリチウムイオン二次電池によれば、不燃性のイオン液体を非水電解液の溶媒に用いることにより、高い安全性を実現できる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の高分子電解質は、高分子ポリマーを含む。高分子ポリマーは、特に限定されないが、例えば、本開示に係る電解質の組成または用途(電気化学デバイス)の種類等に応じて、好適な反応性化合物を選択することができる。高分子ポリマーとしては、例えば、アクリレート系化合物やオキセタン系化合物等が挙げられる。
アクリレート系化合物としては、特に限定されないが、例えば、4官能ポリエーテルアクリレート、2官能ポリエーテルアクリレート、その他のAO付加アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。高分子ポリマーとしては、2官能以上のポリエーテルアクリレートを含むことが好ましい。ここで、「2官能以上のポリエーテルアクリレート」とは、2つ以上のアクリロイル基を有するポリアクリレートを意味する。2官能以上のポリエーテルアクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、エレクセルTA−210(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
また、オキセタン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、メチルメタクリレート−オキセタニルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これら高分子ポリマーは1種類のみ用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせてもよい。
本実施形態の非水電解液は、リチウムイオンを伝達するための溶媒に、電解質としてリチウム塩を溶解させたものである。本実施形態の電解質として、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン(FSIアニオン)をアニオン成分として含むイオン液体を用いる。ここで、イオン液体とは、常温(25℃)で液体であり、揮発性を有さず、分解温度が比較的高いという特徴を有する。高分子電解質を構成する電解液にイオン液体を用いることにより、一般的に可燃性の有機溶媒(例えば、環状カーボネートや、鎖状カーボネート等)を用いた場合と比較して、電解質の耐熱性や安全性に優れる。また、本実施形態の非水電解液によれば、高率の充放電時においても高い性能を持ち、高エネルギー密度、高電圧の電池が得られる。FSIアニオンの調製方法としては、特に限定されないが、例えば、フルオロスルホン酸と尿素との反応させる方法が挙げられる。なお、不純物の確認は、プラズマ発光分析装置(ICP)を用いて分析することができる。
また、イオン液体に含まれるアニオン成分は、FSIアニオン以外のアニオンを含んでいてもよい。FSIアニオン以外のアニオンとしては、例えば、BF 、PF 、SbF 、NO 、CFSO 、(CFSO(以下、「TFSI」とも呼ぶ)、(CSO、(CFSO、CFCO 、CCO 、CHCO 、(CN)等が挙げられる。また、FSIアニオン以外のアニオンとして、上述の2種以上を含んでもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池に含まれるイオン液体において、上述のFSIアニオンと組み合わされるカチオンは、特に制限はないが、融点が50℃以下のイオン液体を形成するカチオンを用いることが好ましい。このようにすることにより、非水電解液の粘度上昇を抑制できるとともに、放電容量の低下を抑制できる。
上述のカチオンとしては、例えば、N、P、S、O、C、Si等の元素を含む化合物であって、鎖状または5員環、6員環などの環状構造を骨格とする化合物が用いられる。
5員環、6員環などの環状構造としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、インドール環、イソインドール環、インドリジン環、カルバゾール環等の複素環構造が挙げられる。
これらのカチオンの中でも、特に窒素元素を含む鎖状または環状の化合物が工業的に安価であるとともに、化学的、電気化学的に安定である点で好ましい。
窒素元素を含むカチオンとしては、例えば、トリエチルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−1−プロピル−ピロリジニウム、メチルプロピルピペリジニウム等が挙げられる。
上述の非水電解液の支持電解質として上述のイオン液体に溶解されるリチウム塩としては、通常、非水電解液用電解質として使用されているリチウム塩であれば、特に限定されることなく使用することができる。そのようなリチウム塩としては、例えば、LiPF,LiBF,LiClO,LiAsF,LiCFSO,LiC(CFSO,LiN(CFSO(LiTFSI),LiN(FSO(LiFSI),LiBC等が挙げられる。これらのリチウム塩は、2種以上を混合して使用してもよい。リチウム塩としては、LiFSI、LiTFSIが好ましい。
このようなリチウム塩は、通常、0.1mol/kg以上3.0mol/kg以下の濃度でイオン液体中に含まれていることが好ましく、0.3mol/kg以上2.0mol/kg以下の濃度でイオン液体中に含まれていることがより好ましく、0.5mol/kg以上1.5mol/kg以下の濃度でイオン液体中に含まれていることがさらに好ましい。
本実施形態において、リチウム塩の含有量は、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg以上6mol/kg以下である。本実施形態のリチウム塩の含有量は、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられるリチウム塩の含有量よりも多い。リチウム塩の含有量が、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg未満である場合、移動できるリチウムイオンが少ない傾向にある。一方、リチウム塩の含有量が、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、6mol/kgより多い場合、移動できるリチウムイオンは十分に存在する一方で、電解液の粘度上昇のためにリチウムイオン伝導度が低下し、電気特性に劣る傾向にある。特に1C放電における比容量に優れる観点から、リチウム塩の含有量は、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、5mol/kg以下であることが好ましく、4mol/kg以下であることがより好ましい。
本実施形態において、高分子ポリマーの含有量は、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、25質量%以上40質量%以下である。本実施形態によれば、高分子ポリマーの含有量を上述の範囲とすることにより、高分子電解質は高い強度を維持したまま、高いリチウムイオン伝導度を保持できる。この結果として、正極と負極との間に、絶縁層としてのセパレータを設けなくてもよい。高分子ポリマーの含有量が、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、25質量%未満の場合、所定の強度を有する電解質膜が得られないため、イオン液体が保持できない。また、高分子ポリマーの含有量が、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、40質量%より多い場合、リチウムイオンの移動が阻害されやすくなる結果として、リチウムイオン伝導度が低下し、かつ、電気特性についても低下する。ここで、電気特性とは、充電特性と放電特性とを含む。
本実施形態の正極及び負極は、それぞれ、電極活物質と、導電剤と、集電体と、バインダーとから構成される。
本実施形態の正極に使用する正極活物質としては、リチウムイオンの挿入、脱離が可能であるものであれば、特に制限されることはない。正極活物質としては、例えば、金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物、金属カルコゲン化物、導電性高分子化合物等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、CuO、CuO、MnO、MoO、V、CrO、MoO、Fe、Ni、CoO等が挙げられる。金属カルコゲン化物としては、例えば、TiS、MoS、NbSe等が挙げられる。導電性高分子化合物としては、例えば、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリアニリン等が挙げられる。
正極活物質としては、高電圧を得られやすいため、リチウムと遷移金属との複合酸化物が好ましい。リチウムと遷移金属との複合酸化物としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiFePO、LiNiCo(1−x)、LiMnNiCo(a+b+c=1)等が挙げられる。また、リチウムと遷移金属との複合酸化物に、フッ素、ホウ素、アルミニウム、クロム、ジルコニウム、モリブデン、鉄等の元素を少量ドープしたものや、リチウム複合酸化物の粒子表面を、炭素、MgO、Al、SiO等で表面処理したものを、正極活物質として用いてもよい。また、正極活物質として、上述の2種以上を併用してもよい。正極活物質の量は、特に限定されないが、例えば、集電体の単位面積に対して、3mg/cm以上10mg/cm以下としてもよい。
本実施形態の負極に使用する負極活物質としては、金属リチウム又はリチウムイオンの挿入、脱離が可能であるものであれば、特に制限されることはない。負極活物質としては、例えば、炭素材料、金属材料、リチウム遷移金属窒化物、結晶性金属酸化物、非晶質金属酸化物、ケイ素化合物、導電性ポリマー等が挙げられる。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素等が挙げられる。金属材料としては、例えば、金属リチウムや合金、スズ化合物等が挙げられる。負極活物質の具体例としては、LiTi12、NiSi等が挙げられる。また、負極活物質として、上述の2種以上を併用してもよい。負極活物質の量は、特に限定されないが、例えば、集電体の単位面積に対して、1mg/cm以上5mg/cm以下としてもよい。
正極及び負極に用いる本実施形態の導電剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレンブラックやケッチンブラック等のカーボンブラックが挙げられる。また、導電剤として、カーボンブラックの代わりに、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人造黒鉛、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金等)粉末、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を用いてもよい。また、導電材として、上述の2種以上を併用してもよい。導電材の添加量は、特に限定されないが、正極活物質量又は負極活物質量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましい。
本実施形態の正極に用いる集電体は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス等が挙げられる。また、接着性、導電性、及び耐酸化性の向上を目的として、アルミニウムや銅等の表面を、カーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を、正極用集電体に用いてもよい。
本実施形態の負極に用いる集電体は、特に限定されないが、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金等が挙げられる。また、接着性、導電性、及び耐酸化性の向上を目的として、銅等の表面を、カーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を、負極用集電体に用いてもよい。
正極又は負極に用いる集電体は、表面を酸化処理してもよい。また、集電体の形状については、フォイル状にしてもよく、フィルム状、シート状、ネット状にしてもよい。また、集電体として、パンチ又はエキスパンドされた物を用いてもよく、ラス体、多孔質体、発泡体等の成形体を用いてもよい。集電体の厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm以上100μm以下としてもよい。
本実施形態のバインダーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いることができる。また、バインダーとしては、PVDFの代わりに、例えば、PVDF共重合体樹脂、フッ素系樹脂、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、スチレン−アクリロニトリル共重合体等を用いてもよい。PVDF共重合体樹脂としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロメチルビニルエーテル(PFMV)、又はテトラフルオロエチレン(TFE)と、PVDFとの共重合体樹脂を用いてもよい。フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム等を用いてもよい。その他のバインダーとして、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の多糖類、ポリイミド樹脂等の熱可塑性樹脂を用いてもよい。また、バインダーとして、上述の2種以上を併用してもよい。バインダーの添加量は、特に限定されないが、正極活物質量又は負極活物質量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましい。
本実施形態の電極の製造方法は、特に限定されない。電極の製造方法としては、例えば、電極活物質、導電材、バインダー等を分散媒に混合することによりスラリー状の電極材料を調製した後、集電体に電極材料を塗布し、その後、分散媒を揮発させる方法が挙げられる。
上述の電極材料をスラリー状にするために、粘度調整剤を用いてもよい。粘度調整剤としては、特に限定されないが、例えば、水溶性高分子を用いることができる。粘度調整剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等のセルロース類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ等のポリカルボン酸系化合物;ポリビニルピロリドン等のビニルピロリドン構造を有する化合物;ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、カンテン、デンプン等が挙げられる。また、粘度調整剤として、上述の2種以上を併用してもよい。粘度調整剤としては、カルボキシメチルセルロースが好ましい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、アルミナ等の無機粒子や、絶縁層を備えていてもよい。絶縁層としては、例えば、無機固体電解質を正極又は負極上に塗布することにより形成することができる。無機固体電解質としては、特に限定されないが、例えば、Li1+xGe2−yAl12(LAGP)、La2/3−xLi3xTiO(LLT)、LICGC(登録商標)、Li1+xAlTi2−x(PO(LATP)等が挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、セパレータを備えてもよい。ここで、セパレータは、正極と負極との間に設けられ、正極と負極とを隔離する部材である。本実施形態のセパレータとしては、例えば、ガラス繊維を用いてもよい。本実施形態のガラス繊維の空隙率は70%以上としてもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、円筒型、コイン型、角型、その他任意の形状に形成することができ、電池の基本構成は形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更して実施することができる。例えば、円筒型では、負極集電体に負極活物質を塗布してなる負極と、正極集電体に正極活物質を塗布してなる正極とを、セバレータを介して捲回した捲回体を電池缶に収納し、非水電解液を注入し上下に絶縁板を載置した状態で密封して得られる。また、コイン型リチウムイオン二次電池に適用する場合では、円盤状負極、セパレータ、円盤状正極、およびステンレスの板が積層された状態でコイン型電池缶に収納され、非水電解液が注入され、密封される。
B.実施例
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
<実施例1>
[正極の作製]
正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3を92g、導電剤としてアセチレンブラック(デンカ社製、Li−400)2g及びKS6(Timcal社製)4gと、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(クレハ社製)を4g、分散媒としてN−メチル−2−ピロリドンを67g、を遊星式ミキサーで混合することにより、固形分60質量%の正極塗料を得た。塗工機を用いて、集電体としてのアルミ箔(厚み15μm)上にこの正極塗料を塗布した後、130℃で減圧乾燥後、ロールプレス処理を行うことにより正極を得た。
[負極の作製]
負極活物質としてLiTi12を92g、導電剤としてアセチレンブラック(デンカ社製、Li−400)を5g、増粘剤としてCMC(第一工業製薬社製)を1.5g、バインダーとしてSBR(JSR社製)を1.5g(固形分換算)、分散媒として純水を75g、を遊星式ミキサーで混合することにより、固形分40質量%の負極塗料を得た。塗工機を用いて、集電体としてのアルミ箔(厚み15μm)上にこの負極塗料を塗布した後、130℃で減圧乾燥後、ロールプレス処理を行うことにより負極を得た。
[高分子電解質の作製]
リチウム塩であるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)(キシダ化学社製、リチウムバッテリーグレード(LBG))を56質量部、イオン液体の電解液溶媒である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMImFSI)(第一工業製薬社製、エレクセルIL−110)を70質量部、高分子ポリマーとなる硬化剤である4官能ポリエーテルアクリレート(第一工業製薬社製、エレクセルTA−210)を30質量部、アゾ系の開始剤である2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、V−65)を0.9質量部、及び希釈溶剤であるジメトキシエタン(キシダ化学社製、1,2−Dimethoxyethane)(DME)144質量部を混合することにより、高分子電解質の溶液を調製した。実施例1では、リチウム塩の含有量が、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、3.0mol/kgとなるように調製した。
上記の高分子電解質溶液を上記の正極上に所定量塗布した後、真空条件下において常温でジメトキシエタンを留去した後、真空条件下において80℃で12時間以上加熱処理することにより高分子電解質複合正極を作製した。また、負極についても同様の方法により、高分子電解質複合負極を作製した。
上記の正極及び負極を貼り合わせた後、正極に正極端子を超音波溶接するとともに、負極に負極端子を超音波溶接した。その素子を、アルミラミネート包材に入れた後にヒートシールした。この結果、正極面積が10.2[cm]、負極面積が9.0[cm]であるリチウムイオン二次電池を得た。
実施例1以外の実施例及び比較例として、後述の表1に示す条件とした点以外は、実施例1と同じ方法により、リチウムイオン二次電池を作製した。作製したリチウムイオン二次電池について、以下の評価を行った。
[高分子電解質膜の成膜性]
各実施例または各比較例で得られた各電解質について、以下の基準により、高分子電解質膜の成膜性を評価した。なお、比較例4は、高分子電解質膜の成膜性が「×」であったため、成膜性以外の評価は行わなかった。
〇:自立性が有り、膜単独でイオン伝導度の測定が可能
×:自立性が無く、膜単独でイオン伝導度の測定が不可能
[イオン伝導度]
各実施例または各比較例で得られた電解質膜について、その厚さ(膜厚)および断面積を測定した。得られた高分子電解質を2極セル内に入れた後、バイオロジック社(Bio−Logic SAS)製インピーダンスアナライザー(製品名:SP−150)を用いて、25℃、周波数1MHz〜0.1Hzの条件で電気化学インピーダンス(EIS)を測定することにより、バルク抵抗値を得た。そして、得られた抵抗値と下記式とを用いて、電解質膜のイオン伝導度(σ)を得た。
σ = l/(s・R)
(式中、lは電解質膜の厚さ(cm)を表し、sは断面積(cm)を表し、Rはバルク抵抗値(Ω)を表す。)
[リチウムイオン二次電池の充放電試験]
容量確認試験として、作製したリチウムイオン二次電池を、0.05C電流値にてCC(Constant Current:定電流)充電した後、0.05C電流値にてCC放電を実施した。充電および放電は、いずれも約20時間行った。充放電の電圧範囲は1.7V〜2.8Vに設定した。なお、0.05C電流値とは、セル容量を1時間で放電できる電流値1Cの0.05倍の電流値を示す。
放電特性試験として、0.05C電流値にてCC充電した後、1C電流値にてCC放電を行ったときの比容量[mAh/g]および容量保持率を算出した。充放電の電圧範囲は1.7V〜2.8Vに設定した。なお、放電容量保持率[%]は、容量確認試験で得られた0.05C放電容量に対する1C放電容量の比率(1C放電容量/0.05C放電容量)である。
充電特性試験として、0.05C電流値にてCC放電した後、1C電流値にてCC充電を行ったときの比容量[mAh/g]および容量保持率を算出した。充放電の電圧範囲は1.7V〜2.8Vに設定した。なお、充電容量保持率[%]は、容量確認試験で得られた0.05C充電容量に対する1C充電容量の比率(1C充電容量/0.05C充電容量)である。
得られた結果については、下記表1に示す。
Figure 0006916337
表1より以下のことが分かった。つまり、下記の(i)〜(iii)をすべて満たす実施例1から実施例3は、下記の(i)〜(iii)の少なくとも一つを満たさない比較例1から比較例5と比較して、イオン伝導度に優れるとともに、電気特性に優れることが分かった。例えば、実施例1は、比較例2に比べて、約2倍のリチウムイオン伝導度を有するとともに、放電容量の保持率は約2.7倍であり、充電容量の保持率は約2.4倍であることが分かった。
(i)ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンをアニオン成分として含むイオン液体を用いる。
(ii)リチウム塩の含有量が、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg以上6mol/kg以下である。
(iii)高分子ポリマーの含有量が、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、25質量%以上40質量%以下である。
ここで、電気特性に優れるとは、1C放電特性に優れるとともに、1C充電特性に優れることを意味する。また、1C放電特性に優れるとは、1C電流値における比容量及び保持率がいずれも高いことを意味する。同様に、1C充電特性に優れるとは、1C電流値における比容量及び保持率がいずれも高いことを意味する。
また、実施例1から実施例3を比較することにより、イオン液体と高分子ポリマーとの含有量の和に対して、リチウム塩の含有量が2mol/kg以上4mol/kg以下である実施例1,2の方が、そうではない実施例3と比較して、さらに電気特性に優れることが分かった。特に、実施例1,2は、実施例3と比較して、1C放電における比容量の点で優れることが分かった。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、強度が高く、かつ、イオン伝導度に優れ、電気特性に優れる。このため、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、モバイル機器電源に用いることができるとともに、例えば、ウェアラブル機器、電動工具、電動自転車、電動車椅子、ロボット、電気自動車、非常用電源および大容量定置電源等にも有用である。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。

Claims (2)

  1. 正極と、負極と、電解質と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、
    前記電解質は、高分子電解質のみからなり、
    前記高分子電解質は、リチウム塩と、イオン液体と、高分子ポリマーと、を含み、
    前記高分子ポリマーは、2官能以上のポリエーテルアクリレートの硬化物であり、
    前記イオン液体は、アニオン成分として、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを含み、
    前記リチウム塩の含有量は、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg以上6mol/kg以下であり、
    前記高分子ポリマーの含有量は、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して、25質量%以上40質量%以下であることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池であって、
    前記リチウム塩の含有量は、前記イオン液体と前記高分子ポリマーとの含有量の和に対して、2mol/kg以上4mol/kg以下であることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
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