JP6914744B2 - 釣竿用の竿体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、釣竿用の竿体の製造方法に関する。
釣竿用の竿体として、樹脂素材又は超弾性金属素材から板状に形成された竿体が知られている。このような板状の竿体は、ワカサギなどの小型の魚を釣るために用いられることが多い。
従来の板状の竿体は、例えば特開2011−182670号公報に開示されているように、円柱形状の基材を板状に切削することにより製造される。本技術分野においては、当該円柱形状の基材として、ガラス繊維又はカーボン繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂製の基材が多く用いられている。
釣竿の竿体は、所期の曲げ剛性プロファイルが得られるように、その先端から基端までの厚さが定められる。例えば、竿体は、先端に行くほど曲げ剛性が小さくなる曲げ剛性プロファイルを有するように、基端から先端に近づくに従って薄肉となるように形成される。
小型の魚を釣るための竿体は、高い感度を実現するために、先端の曲げ剛性が基端の曲げ剛性に比べて著しく小さくなるように形成される。かかる曲げ剛性プロファイルは、基端側にある厚肉部と、先端側にある当該厚肉部よりも薄肉の薄肉部と、当該厚肉部と当該薄肉部とを接続する接続部と、を有する竿体により実現できる。かかる竿体においては、接続部の前後で曲げ剛性の大きさを急激に変化させることにより、薄肉部の曲げ剛性が厚肉部の曲げ剛性と比べて著しく小さくなる。かかる竿体を有する釣竿は、例えば、特開2007−167037号公報に開示されている。
特開2011−182670号公報 特開2007−167037号公報
円柱形状の基材から上記の薄肉部及び厚肉部を有する竿体を削り出す工程は複雑である。つまり、厚肉部、薄肉部、及び接続部は、竿体の中心軸に対してそれぞれ異なる角度で傾斜しているため、これらの各部を得るためには基材を異なる切削角度で切削しなければならない。例えば、フライス盤を用いる場合には、切削する部位に応じた姿勢で基材をフライス盤に固定しなければならない。このように、円柱形状の基材から上記の薄肉部及び厚肉部を有する竿体を削り出すためには、フライス盤に対する基材の姿勢を複数回変更する必要がある。フライス盤以外の工作機械を用いる場合にも基材の姿勢を変更する必要があることは変わらない。
このように、所期の曲げ剛性プロファイルを有する竿体を製造するためのより簡便な方法が望まれている。
したがって、本発明の目的の一つはより簡便な方法で竿体を製造する新規な製造方法を提供することである。
本発明のより具体的な目的の一つは、先端付近で低い曲げ剛性を有するとともに基端付近で高い曲げ剛性を有する釣竿用竿体を製造するための新規な製造方法を提供することである。
本発明の上記以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
本発明の一実施形態による竿体製造方法は、第1の材料から成りその中心軸に沿う軸方向に延伸する内側基材に、前記第1の材料とは異なるヤング率を有する第2の材料から成る外側基材を巻回して複合部材を得る工程(a)と、前記中心軸を通る第1の面に対して一定の第1切削角度で前記複合部材を切削して竿体を得る工程(b)と、を備える。
当該実施形態によれば、複合部材を一定の第1切削角度で切削することで竿体が形成される。よって、複数の切削角度で基材を切削する従来の製造方法と比べて簡便な方法で竿体を製造することができる。
上記実施形態においては、互いに異なるヤング率の材料から成る内側基材及び外側基材を有する複合部材を切削して竿体を形成しているため、曲げ剛性の調整の自由度が高い。その結果、所期の曲げ剛性プロファイルが得られやすい。一例として、基端付近でより大きい曲げ剛性を得るためには、当該複合部材の外層である外側基材の第2の材料をより大きなヤング率の材料とすればよい。他の例として、先端付近でより小さい曲げ剛性を得るためには、当該複合部材の内層である内側基材の第1の材料をより小さなヤング率の材料とすればよい。さらに別の例として、基端付近と先端付近の曲げ剛性の差を大きくしたい場合には、第1の材料のヤング率と第2の材料のヤング率の差を大きくすればよい。このように、上記実施形態においては、2層から成る複合部材を切削して竿体を形成しているため、曲げ剛性の調整の自由度が高い。
本発明の一実施形態において、前記複合部材は、前記軸方向の基端と先端の間にある境界位置よりも前方において、前記内側基材の少なくとも一部が露出するように切削される。
当該実施形態によれば、境界位置よりも基端側においては、内側基材と外側基材との積層材により竿体の曲げ剛性が規定される。他方、境界位置よりも先端側においては、内側基材の少なくとも一部が露出しているので、外側基材の曲げ剛性に対する影響を小くすることができる。したがって、当該実施形態によれば、中心軸方向に沿った位置に応じて、曲げ剛性を大きく変化させやすい。特に、境界位置の前後で、曲げ剛性を大きく変化させやすい。
本発明の一実施形態による竿体製造方法は、第1の材料から成り軸方向に延伸する内側基材に、前記第1の材料とは異なるヤング率を有する第2の材料から成る外側基材を巻回して複合部材を得る工程(a)と、前記複合部材を一定の厚さに切削して竿体を得る工程(b)と、を備える。
当該実施形態によれば、軸方向の任意の位置において一定の厚さを有し、軸方向の位置に応じて異なる曲げ剛性を有する竿体を製造することができる。つまり、竿体の厚さを一定としても、当該竿体の厚さ以外の属性(例えば、内側基材の径、外側基材の幅、内側基材のヤング率、外側基材のヤング率)を変えることにより、軸方向の位置に応じて曲げ剛性が異なる竿体を製造することができる。
例えば、第1の材料のヤング率と第2の材料のヤング率との大小に応じて、軸方向の所定位置において厚さ方向と直交する幅方向における外側基材の幅を小さく又は大きくすることで、当該位置における曲げ剛性を他の部分よりも高く又は低くすることができる。
より具体的な例において、第2の材料のヤング率が第1の材料のヤング率よりも大きい場合には、相対的に高い曲げ剛性が望まれる軸方向の第1の位置における外側基材の幅を、相対的に低い曲げ剛性が望まれる軸方向の第2の位置における外側基材の幅よりも大きくすることにより、当該第1の位置における曲げ剛性を当該第2の位置における曲げ剛性よりも高くすることができる。
さらに具体的な例において、内側基材が軸方向の全長に亘って同一の径を有するとともに外側基材が当該内側基材の周りに一定の厚さに巻回されている場合には、当該複合部材をその幅方向が先細となるように切削することにより、軸方向の位置に応じて曲げ剛性が異なる竿体を製造することができる。
本発明の一実施形態による釣竿製造方法は、第1の材料から成りその中心軸に沿う軸方向に延伸する内側基材に、前記第1の材料とは異なるヤング率を有する第2の材料から成る外側基材を巻回して複合部材を得る工程(a)と、前記中心軸を通る第1の面に対して一定の第1切削角度で前記複合部材を切削して竿体を得る工程(b)と、釣糸ガイドの脚部を前記竿体に戴置する工程(c)と、前記竿体及び前記釣糸ガイドの前記脚部を囲むように固定部材を巻回する工程(d)と、を備える。
本発明の一実施形態による釣竿製造方法は、第1の材料から成りその中心軸に沿う軸方向に延伸する内側基材に、前記第1の材料とは異なるヤング率を有する第2の材料から成る外側基材を巻回して複合部材を得る工程(a)と、前記複合部材を一定の厚さに切削して竿体を得る工程(b)と、釣糸ガイドの脚部を前記竿体に戴置する工程(c)と、前記竿体及び前記釣糸ガイドの前記脚部を囲むように固定部材を巻回する工程(d)と、を備える。
本発明の実施形態によって、より簡便な方法で竿体を製造する新規な製造方法が提供される。
本発明の一実施形態による製造方法により製造される竿体を有する釣竿の斜視図である。 図1の釣竿が備える穂先竿体の平面図である。 図2の穂先竿体の側面図である。 図2のI−I線で切断された穂先竿体の断面図である。 図2のII−II線で切断された穂先竿体の断面図である。 図2のIII−III線で切断された穂先竿体の断面図である。 図2のIV−IV線で切断された穂先竿体の断面図である。 本発明の一実施形態に係る穂先竿体の製造工程を模式的に示す模式図である。図8においては、製造過程における基材をX軸方向から見た図が示されている。 本発明の一実施形態に係る穂先竿体の製造工程を模式的に示す模式図である。図9においては、製造過程における基材をZ軸方向から見た図が示されている。 本発明の一実施形態に係る穂先竿体の製造工程を模式的に示す模式図である。図10においては、製造過程における基材をY軸方向から見た図が示されている。 本発明の他の実施形態に係る穂先竿体の平面図である。 本発明の他の実施形態による製造方法により製造される穂先竿体を有する釣竿の斜視図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る穂先竿体の側面図である。 図13の穂先竿体の平面図である。 図14のI−I線で切断された穂先竿体の断面図である。 図14のII−II線で切断された穂先竿体の断面図である。 図14のIII−III線で切断された穂先竿体の断面図である。 図14のIV−IV線で切断された穂先竿体の断面図である。
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、各図面において共通する構成要素に対しては同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
図1は、本発明の製造方法により製造される竿体を有する釣竿1を模式的に示す斜視図である。図1に示されるように、当該釣竿1は、扁平な板状に形成された穂先竿体2と、この穂先竿体2を保持する元竿体3と、当該元竿体3に設けられたリール4と、当該リールから繰り出される釣り糸8を案内するために穂先竿体2の上面2cに取りつけられた複数の釣糸ガイド6と、を備える。図示の例において、穂先竿体2は、その上面2c及び下面2dが平坦となるように形成されている。穂先竿体2は、本発明による製造方法に従って製造される。当該製造方法については後述する。
釣糸ガイド6は、釣糸8が挿通される円環状の円環部6aと、当該円環部6aの両端から延びて穂先竿体2の上面2cに戴置される一対の脚部6bと、を有する。釣糸ガイド6は、例えば、線条部材を折り曲げることで形成される。この線条部材は、例えばステンレス合金、アルミ合金、チタン合金又はこれら以外の合金材料から成る。当該線条部材の線径は、例えば0.3mm〜1mmとされる。
釣糸ガイド6は、脚部6bと穂先竿体2の周囲に固定部材7を巻回することにより、穂先竿体2に固定される。固定部材7は、繊維等から成る糸、金属から成るワイヤ、又はこれら以外の釣糸ガイドを竿体に固定するために用いられる任意の公知の線状部材である。固定部材7は、プリプレグシート等のシート状の部材であってもよい。
元竿体3の先端には、円筒形状の開口が形成されている。後述するように、穂先竿体2の基端は円柱形状に形成されている。穂先竿体2は、その円柱形状の基端が元竿体3の開口に挿入されることにより、元竿体3に支持される。
穂先竿体2は、その大部分が扁平な板状に形成されているため、厚さ方向における曲げ剛性が幅方向における曲げ剛性と比べて小さくなっている。よって、穂先竿体2を用いることにより、釣り人は、ワカサギのような小魚の当たりが感知しやすい。本明細書において、穂先竿体2の曲げ剛性というときには、文脈上別に解すべき場合を除き、その厚さ方向(Z軸方向)における曲げ剛性を意味する。
次に、図2〜図7を参照して、本発明の一実施形態による穂先竿体2についてさらに説明する。図2は、穂先竿体2の平面図であり、図3は、穂先竿体2の側面図であり、図4は、図2のP1点を通り穂先竿体2の中心軸Aに垂直な断面から先端2bの方向を見た断面図(図2のI−I線で切断した断面図)であり、図5は、図2のP2点を通り中心軸Aに垂直な断面から先端2bの方向を見た断面図(図2のII−II線で切断した断面図)であり、図6は、図2のP3点を通り中心軸Aに垂直な断面から先端2bの方向を見た断面図(図2のIII−III線で切断した断面図)であり、図7は、図2のP4点を通り中心軸Aに垂直な断面から先端2bの方向を見た断面図(図2のIV−IV線で切断した断面図)である。
本明細書においては、文脈上別に解される場合を除き、穂先竿体2の「幅」方向、「長さ」方向、及び「厚さ」方向はそれぞれ、図2の「X」方向、「Y」方向、及び「Z」方向とする。穂先竿体2の中心軸Aは、穂先竿体2の幅方向(X方向)の中心を通る面と竿体2の厚さ方向(Z方向)の中心を通る面とが交わる線とする。X方向、Y方向、Z方向は、互いと直交している。穂先竿体2の中心軸Aは、Y方向に伸びているので、本明細書においては、このY方向を軸方向と呼ぶこともある。
これらの図に示されているように、穂先竿体2は、基端2aから先端2bまで軸方向(Y方向)に伸びる扁平の板状に形成されている。穂先竿体2は、その上面2cが中心軸Aを通りXY平面に平行な平面に対して一定の角度で傾斜するように形成される。穂先竿体2は後述するように基材を切削することにより形成されるので、穂先竿体2の上面2cが中心軸Aを通りXY平面に平行な平面と為す角度を第1切削角度ということがある。穂先竿体2は、その下面2dが中心軸Aを通りXY平面に平行な平面に対して一定の角度で傾斜するように形成される。上面2cが中心軸Aを通りXY平面に平行な平面に対して為す角度と、下面2dが中心軸Aを通りXY平面に平行な平面に対して為す角度とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
穂先竿体2は、板状に形成された本体11と、この本体11を覆うように設けられた補強体12と、を備えている。本体11は、穂先竿体2の先端付近で(後述する位置P5よりも先端寄りの位置で)、少なくともその一部が補強体12から露出する。本体11は、右側面11a、左側面11b、上面11c、及び下面11dを有している。図4〜図6に示されているように、図示の実施形態において、右側面11a、左側面11b、上面11c、及び下面11dは、穂先竿体2の基端寄りの位置で湾曲した湾曲面である。具体的には、図示の実施形態における右側面11a、左側面11b、上面11c、及び下面11dは、円柱の側面の一部である。他方、図7に示されているように、右側面11a、左側面11b、上面11c、及び下面11dは、穂先竿体2の基端寄りの位置で平坦な平坦面である。
本体11の基端は、穂先竿体2の基端2aと一致し、本体11の先端は、穂先竿体2の先端2bと一致する。よって、本明細書においては、穂先竿体2の長さ方向の両端と本体11の長さ方向の両端を特に区別せずに説明を行うことがある。例えば、本明細書においては、本体11の基端も穂先竿体2の基端2aと区別せずに基端2aと呼び、本体11の先端も穂先竿体2の先端2bと区別せずに先端2bと呼ぶことがある。
本発明に適用可能な本体11の形状は、本明細書で説明されたものに限られない。例えば、本体11は、その基端2aにおける幅と先端2bにおける幅とが等しくなるように形成されてもよい。この場合、本体11は、平面視において長方形となる。
図示の実施形態において、補強体12は、本体11の周囲を覆うように設けられている。補強体12は、本体11の少なくとも一部が穂先竿体2の先端付近で(後述する位置P5よりも先端寄りの位置で)補強体12から露出するように設けられる。
図2には、穂先竿体2の中心軸Aに沿って長さ方向において互いから離間している6つの位置P0、位置P1、位置P2、位置P3、位置P4、及び位置P5が示されている。位置P0が基端2aの最も近くに配されており、位置P1、位置P2、位置P3、位置P4の順に基端2bから遠くに配されている。つまり、位置P4は、先端2bの最も近くに配されている。また、位置P5は、位置P3と位置P4との間に配されている。
図示の実施形態において、基端2aから位置P1までの距離はL1、基端2aから位置P2までの距離はL2、基端2aから位置P3までの距離はL3、基端2aから位置P4までの距離はL4である。基端2aから先端2bまでの距離、すなわち穂先竿体2の長さはLである。図示の実施形態においては、L1<L2<L3<L4<Lが成り立つ。位置P1、位置P2、位置P3、及び位置P4は、L1<L2<L3<L4<Lの関係を満たす限り、任意の位置に配され得る。位置P5は、位置P3と位置P4との間の位置に限られず、穂先竿体2の中心軸方向において任意の位置に配され得る。
本発明の一実施形態において、補強体12は、基端2aから位置P4までの全区間において、本体11の外周の少なくとも一部を覆っている。他方、補強体12は、位置P4から先端2bまでの区間には設けられない。よって、穂先竿体2は、位置P4から先端2bまでの区間において、本体11のみを有しており、補強体12を有していない。
図2及び図3に示されているように、補強体12は、基端2aから位置P5までの全区間において、本体11をその周方向の全長において覆っている。すなわち、基端2aから位置P5までの区間においては、本体11は、補強体12に覆われているため、径方向外方に露出していない。
位置P5から先端2bまでの区間においては、本体11の少なくとも一部が補強体12から露出している。例えば、図2に示すように、本体11の上面11cが補強体12から竿体2の上面2cから露出する。同様に、本体11の下面11dが補強体12から竿体2の下面2dから露出する。一実施形態において、補強体12は、この露出部分のX軸方向の幅が先端2bに近づくにつれて大きくなるように形成される。
以上のように、位置P5よりも基端2a寄りでは本体11は補強体12に覆われている一方で位置P5よりも先端2b寄りでは本体11は補強体12から少なくとも一部が露出している。このように、本体11が露出するか否かが位置P5を境にして変わるため、本明細書及び特許請求の範囲では、位置P5を境界位置と呼ぶことがある。
本発明の一実施形態において、補強体12は、その幅が基端2aから先端2bに近づくに従って幅狭となるように形成される。補強体12は、その幅が基端2aから先端2bに近づくに従って単調に減少するように構成されてもよい。補強体12は、その幅が長さ方向に所定の長さを有する第1の区間において第1の幅を有し、当該第1の区間よりも先端2b寄りに配されている第2の区間において当該第1の幅よりも狭い第2の幅を有するように構成されてもよい。
穂先竿体2は、図2に示されているように、平面視において、その右側面2e及び左側面2fが中心軸Aを通り幅方向(X方向)と直交する平面(すなわち、中心軸Aを通りYZ平面と平行な平面)に対して一定の角度αで傾斜するように形成されてもよい。この中心軸Aを通り幅方向(X方向)と直交する平面は、本明細書及び特許請求の範囲において、「第2の面」又は「第2の仮想面」と呼ばれることがある。
穂先竿体2の右側面2e及び左側面2fは、当該第2の面に対して一定の角度を為す平坦面であってもよい。右側面2e及び左側面2fが当該第2の面と為す角度は、穂先竿体2のうち位置P0と先端2bとの間の全区間に亘って一定であってもよい。基端2aから位置P4までの区間においては、穂先竿体2の右側面2eは、補強体12の右側面12aと一致し、穂先竿体2の左側面2fは、補強体12の左側面12bと一致する。位置P4から先端2bまでの区間においては、穂先竿体2の右側面2eは、本体11の右側面と一致し、穂先竿体2の左側面2fは、本体11の左側面と一致する。
穂先竿体2は、図3に示されているように、平面視において、その上面2c及び下面2dが、中心軸Aを通り厚さ方向(Z方向)と直交する平面(すなわち、中心軸Aを通りXY平面と平行な平面)に対して一定の角度βで傾斜するように形成されてもよい。この中心軸Aを通り厚さ方向(Z方向)と直交する平面は、本明細書及び特許請求の範囲において、「第1の面」又は「第1の仮想面」と呼ばれることがある。
穂先竿体2の上面2c及び下面2dは、当該第1の面に対して一定の角度を為す平坦面であってもよい。上面2c及び下面2dが当該第2の面と為す角度は、穂先竿体2のうち位置P0と先端2bとの間の全区間に亘って一定であってもよい。基端2aから位置P4までの区間においては、穂先竿体2の上面2cは、補強体12の上面と一致し、穂先竿体2の下面2dは、補強体12の下面と一致する。位置P5から先端2bまでの区間においては、穂先竿体2の上面2cは、本体11の上面11cと一致し、穂先竿体2の下面2dは、本体11の下面11dと一致する。
図4〜図7を参照して、穂先竿体2についてさらに説明する。図4は、図2の位置P1を通り穂先竿体2の中心軸Aに垂直な断面から先端2bを見た断面図(図2のI−I線で切断した断面図)である。同様に、図5〜図7はそれぞれ、図2の位置P2、位置P3、位置P4を通り穂先竿体2の中心軸Aに垂直な断面から先端2bを見た断面図(図2のII−II線、III−III線、IV−IV線で切断した断面図)である。
図4〜図6に示されているように、位置P5よりも基端2a寄りにある位置P1、位置P2、及び位置P3の各々において、本体11は、その周方向の全長に亘って補強体12に囲まれている。他方、図7に示されているように、位置P5よりも基端2a寄りにある位置P4において、本体11の少なくとも一部が補強体12から露出している。
図4に示されているように、補強体12は、穂先竿体2の基端2aからL1だけ離れた位置P1において、幅W1を有するように形成されている。図5に示されているように、補強体12は、穂先竿体2の基端2aからL2だけ離れた位置P2において、幅W2を有するように形成されている。図6に示されているように、補強体12は、穂先竿体2の基端2aからL3だけ離れた位置P3において、幅W3を有するように形成されている。
図4〜図6においては、本体11の右側面11aと補強体12の右側面12aとの間の距離が、補強体12の幅として示されている。本体11の左側面11bと補強体12の左側面12bとの間の距離を補強体12の幅としてもよい。本体11の右側面11aと補強体12の右側面12aとの間の距離と、本体11の左側面11bと補強体12の左側面12bとの間の距離とは、互いに等しくてもよく、互いに異なっていても良い。
本発明の一実施形態において、補強体12は、位置P1、P2、及びP3のそれぞれにおける幅W1、W2、及びW3が、W1>W2>W3の関係を満たすように構成される。
本発明の一実施形態において、本体11は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂から形成される。本発明の一実施形態において、補強体12は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂から形成される。本体11及び補強体12用の強化繊維として、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、PAN系炭素繊維、及びボロン繊維から成る群より選択される一又は複数の強化繊維を用いることができる。本体11及び補強体12用のマトリクス樹脂として、エポキシ、ピスマレイミド、ポリイミド及びフェノール等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
本発明の一実施形態において、本体11は、比較的低ヤング率の強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂から形成される。本体11に含まれる比較的低ヤング率の強化繊維として、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、及びアルミナ繊維から成る群より選択される一又は複数の強化繊維を用いることができる。本体11に含まれる比較的低ヤング率の強化繊維は、例えば、50GPa〜200GPaの範囲のヤング率を有する。
本発明の一実施形態において、本体11は、超弾性合金材料から形成される。本体11用の超弾性合金材料は、例えば、Ni−Ti合金又はFe−Al合金である。本体11用の超弾性合金材料として、10GPa〜100GPaの範囲のヤング率を有する任意の超弾性合金材料を用いることができる。
本発明の一実施形態において、本体11は、超弾性樹脂材料から形成される。本体11用の超弾性樹脂材料は、例えば、ポリフェニールサルサン(PPSU)である。本体11用の超弾性樹脂材料として、3GPa〜10GPaの範囲のヤング率を有する任意の超弾性樹脂材料を用いることができる。
本発明の一実施形態において、補強体12は、本体11の材料よりも大きなヤング率を有する材料から形成される。補強体12は、例えば、比較的高ヤング率の強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂から形成される。本体11に含まれる比較的高ヤング率の強化繊維として、例えば、PAN系炭素繊維、アラミド繊維、及びボロン繊維から成る群より選択される一又は複数の強化繊維を用いることができる。補強体12に含まれる比較的高ヤング率の強化繊維は、200GPa〜400GPaの範囲のヤング率を有する。
本発明の一実施形態において、補強体12は、本体11の材料よりも小さなヤング率を有する材料から形成される。
強化繊維を含む繊維強化樹脂のヤング率を比較する際には、マトリクス樹脂の影響を無視して、強化繊維のヤング率で代表させて比較することができる。これは、マトリクス樹脂のヤング率は一般に強化繊維のヤング率と比較して大幅に小さいためである。例えば、本体11の材料としてガラス繊維を含む繊維強化樹脂が用いられ、補強体12の材料として炭素繊維を含む繊維強化樹脂が用いられる場合には、当該ガラス繊維のヤング率を本体11の材料のヤング率とし、当該炭素繊維のヤング率を補強体12のヤング率として、本体11の材料のヤング率と補強体12の材料のヤング率とを比較することができる。
補強体12は、基端2a寄りの位置(例えば、位置P1)において先端2b寄りの位置(例えば、位置P3)よりも幅広に形成されている。したがって、穂先竿体2は、先端寄りの位置(例えば、位置P3)よりも基端寄りの位置(例えば、位置P1)において大きな曲げ剛性(特に厚さ方向における曲げ剛性)を有する。
本体11は、位置P5よりも基端2a寄りの位置において、補強体12にその全周が覆われている。よって、穂先竿体2は、位置P5より基端2a寄りの位置において、位置P5よりも先端2b寄りの位置よりも大きな曲げ剛性を有する。
このように、補強体12を本体11よりも大きなヤング率の材料から形成することにより、穂先竿体2の基端寄りの位置(例えば、位置P1)における曲げ剛性をより大きくすることができる。
また、補強体12を本体11よりも大きなヤング率を有する材料から形成することにより、基端2a付近における大きな曲げ剛性を補強体12によって実現することができるので、本体11のみで基端2a付近における高い曲げ剛性を実現する場合と比較して、穂先竿体2の厚さを減少させることができる。これにより、基端付近で高い曲げ剛性を有する穂先竿体2を軽量化することができる。
上記実施形態において、位置P5よりも基端2a寄りの位置(例えば、位置P1)においては、本体11と補強体12との積層材により穂先竿体2の曲げ剛性が規定される。他方、位置P5よりも先端2b寄りの位置(例えば、位置P2及び位置P3)においては、本体11の少なくとも一部が補強体12から露出しているので、補強体12の曲げ剛性に対する影響がより小さくなっている。したがって、上記実施形態における穂先竿体2においては、その曲げ剛性を、位置P5の中心軸方向の前後で大きく変化させやすい。例えば、補強体12を本体11よりも大きなヤング率の材料から形成することにより、位置P5よりも基端2a寄りの位置においては、当該補強体12により曲げ剛性を増大させ、他方、位置P5よりも先端2b寄りの位置においては、当該補強体12による曲げ剛性の増大を抑制することができる。
上記実施形態によれば、位置P5から先端2bまでの区間では、本体11の上面11c及び下面11dの少なくとも一部分に補強体12が形成されていない(すなわち、本体11の上面11c及び下面11dが上下方向において補強体12から露出している)ので、穂先竿体2の曲げ剛性を小さくすることができる。当該実施形態では、小さなヤング率を有する材料から成る本体11によって先端2b付近での小さな曲げ剛性を得ている。したがって、穂先竿体2においては、補強体12に用いられている高ヤング率の材料で竿体全体を形成する場合と比較して、当該穂先竿体2の先端付近を肉厚に形成することができる。これにより、穂先竿体2の先端2bにおける破損を抑制することができる。
上記実施形態によれば、固定部材7が穂先竿体2の周囲に巻回されているので、補強体12が本体11から剥離することを防止できる。
次に、図8から図10を参照して、本発明の一実施形態に係る穂先竿体2の製造方法について説明する。図8は、側面方向から見た製造途中の穂先竿体2を模式的に示し、図9は、上面方向から見た製造途中の穂先竿体2を模式的に示し、図10は、基端2aの方向から見た製造途中の穂先竿体2を模式的に示している。
図8(a)、図9(a)及び図10(a)に示すように、まず、内側基材111を準備する。内側基材111は、加工後に本体11となる。内側基材111は、本体11の材料として上記したものと同じ材料から形成される。内側基材111は、例えばガラス繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂から形成され得る。
一実施形態において、内側基材111は、中心軸Aの方向に延伸するように形成される。内側基材111は、例えば中実の円柱形状に形成される。円柱形状の内側基材111は、中心軸A方向の任意の位置において同一の径を有する。内側基材111の形状は、円柱形状に限られず、多角柱形状、円錐形状、截頭円錐形状、又はこれら以外の本体11を得るのに適した任意の形状を有することができる。内側基材111は、本体11と同じ長さLを有していてもよい。
続いて、図8(b)、図9(b)及び図10(b)に示すように、内側基材111の外周に外側基材112を巻回することにより、複合部材120を作成する。複合部材120は、内側基材111と、その外側に設けられた外側基材112と、を有する。複合部材120は、例えば、円柱形状を有する。外側基材112は、加工後に補強体12となる。外側基材112は、補強体12の材料として上記したものと同じ材料から形成される。例えば、外側基材112は、炭素繊維にマトリクス樹脂を含浸させたプリプレグシートから形成される。
外側基材112は、例えば、プリプレグシートを同一周回数だけ内側基材111の周囲に巻回される。これにより、当該複合部材120の径方向の幅(厚さ)を一定とすることができる。一実施形態において、外側基材112は、中心軸A方向の全長に亘って、均一の径方向厚さを有するように内側基材111の周囲に巻回される。
続いて、図8(c)、図9(c)及び図10(c)に示すように、複合材120の上面及び下面の切削を開始する。この切削は、フライス加工、センタレス加工等の公知の切削法により行われる。複合材120は、切削を行うために、使用する切削法に応じた切削装置に設置される。具体的には、複合部材120は、図8(c)に示す仮想面Bに沿って切削される。複合部材120を仮想線Bに沿って切削することにより、図8(d)、図9(d)及び図10(d)に示す形状の第1中間部材121が得られる。図示のとおり、複合部材120は、その厚さ方向(Z方向)の上下両方から切削される。仮想面Bは、複合部材120の中心軸A(穂先竿体2の中心軸Aと一致する)を通り厚さ方向(Z方向)と直交する仮想面(第2の仮想面に相当する。)に対して一定の角度βで傾斜する仮想面である。このように、複合部材120は、中心軸Aを通り厚さ方向と直交する仮想面に対して一定の切削角度βを為して切削される。
続いて、この第1中間部材121を幅方向に切削する。具体的には、第1中間部材を図9(d)に示す仮想面Cに沿って削することにより、図8(e)、図9(e)及び図10(e)に示す形状の第2中間部材122が得られる。第1中間部材121は、その幅方向(X方向)の左右両方から切削される。仮想面Cは、第1中間部材121の中心軸A(穂先竿体2の中心軸Aと一致する)を通り幅方向(X方向)と直交する仮想面(第1の仮想面に相当する。)に対して一定の角度αで傾斜する仮想面である。このように、第1中間部材121は、中心軸Aを通り幅方向と直交する仮想面に対して一定の切削角度αを為して切削される。
次に、第2中間部材122に必要な研磨処理等の仕上げ処理を行って穂先竿体2が得られる。
このようにして得られた穂先竿体2を元竿体3に取りつけ、さらに穂先竿体2に釣糸ガイド6を取りつけることにより、この穂先竿体2を備えた釣竿1が得られる。本発明の一実施形態において、釣糸ガイド6は、その脚部6bが位置P4を跨ぐように穂先竿体2に取りつけられる。上記のように、本発明の一実施形態においては、補強体12が、基端2aから位置P4までの区間において本体11に設けられ、位置P4から先端2bまでの区間には設けられないので、補強体12の先端は位置P4にある。補強体12の先端は、本体11から剥離するおそれがある。釣糸ガイド6をその脚部6bが位置P4を跨ぐように穂先竿体2に取りつけることにより、補強体12の先端が本体11から剥離することを防止することができる。
上記の製造方法によれば、複合部材120を一定の切削角度(切削角度β)で切削することで、穂先竿体2の所期の厚さプロファイルを実現している。よって、所期の厚さプロファイルを得るために複数の切削角度で基材を切削する従来の製造方法と比べて簡便な方法で竿体を製造することができる。
本発明の一実施形態においては、互いに異なるヤング率の材料から成る内側基材111及び外側基材112から成る複合部材120を切削して穂先竿体2を形成するため、穂先竿体2の曲げ剛性の調整の自由度が高い。その結果、所期の曲げ剛性プロファイルが得られやすい。一例として、基端2a付近でより大きい曲げ剛性を得るためには、外側基材112の材料のヤング率を大きくすればよい。他の例として、先端2b付近でより小さい曲げ剛性を得るためには、内側基材111の材料のヤング率を小さくすればよい。さらに別の例として、基端2a付近と先端2b付近の曲げ剛性の差を大きくしたい場合には、内側基材111の材料のヤング率と外側基材112の材料のヤング率の差を大きくすればよい。このように、上記実施形態においては、2層から成る複合部材120を切削して竿体を形成しているため、曲げ剛性の調整の自由度が高い。
本発明の一実施形態においては、切削角度β>切削角度αとされる。この切削角度の関係を満たす場合、位置P5は、位置P4よりも基端2a側に配される。
以上説明した製造方法には適宜変更を加えることができる。例えば、厚さ方向の切削と幅方向の切削の順序を入れ替えてもよい。具体的には、複合部材120に対してまず幅方向の切削を行って中間部材を得た後、当該幅方向の切削がなされた中間部材に対して厚さ方向の切削を行ってもよい。
次に、図11を参照して、本発明の他の実施形態による穂先竿体202について説明する。この穂先竿体202は、本体211と、補強体212と、を備える。
補強体212は、本体211の中心軸方向の全長にわたる区間において、本体211の少なくとも一部に形成されている点で、補強体12と異なっている。例えば、穂先竿体202の先端付近においても、補強体212は、本体211の外周面の少なくとも一部に設けられている。
次に、図12から図18を参照して、本発明のさらに他の実施形態による穂先竿体302について説明する。図12は、本発明の他の実施形態による製造方法により製造される穂先竿体を有する釣竿の斜視図、図13は、図12に示されている竿体302の側面図、図14は、当該穂先竿体302の平面図、図15は、図14のI−I線で切断された穂先竿体302の断面図、図16は、図14のII−II線で切断された穂先竿体302の断面図、図17は、図14のIII−III線で切断された穂先竿体302の断面図、図18は、図14のIV−IV線で切断された穂先竿体302の断面図である。
図12〜図18に示されている釣竿301は、扁平の板状に形成された穂先竿体302を備えている。この穂先竿体302は、元竿体3に、保持部材5を介して穂先竿体302が取り付けられている。すなわち、元竿体3の先端に形成された開口には、円柱形状に形成された保持部材5が取りつけられ、この保持部材5の先端に形成されたスリット9に、穂先竿体302が挟み込まれる。
本発明の一実施形態において、穂先竿体302は、その厚さ(Z方向の寸法)が軸方向の位置によらず一定となるように形成される。穂先竿体302の厚さは、厳密に一定である必要はなく、製造上不可避的に発生する誤差程度のずれがあっても、厚さが一定ということを妨げない。
図示のとおり、穂先竿体302は、板状に形成された本体311と、この本体311の幅方向両端に設けられた補強体312と、を備えている。本体311は、その厚さ以外は、本体11と同様に構成される。補強体312は、その厚さ以外は、補強体12と同様に構成される。
本発明の一実施形態において、補強体312は、基端302aから位置P4までの全区間において、本体311の右側面及び/又は左側面に設けられ、位置P4から先端302bまでの区間には設けられない。この場合、穂先竿体302は、位置P4から先端302bまでの区間において、本体311のみを有しており、補強体312を有していない。
図14に示されているように、本体311の上面は、基端302aから先端302bまでの全区間において、補強体312から上方に露出している。同様に、本体311の下面は、基端302aから先端302bまでの全区間において、補強体312から下方に露出している。
穂先竿体302は、穂先竿体2と同様に、内側基材111の周囲に外側基材が巻回された複合部材120を切削することにより作成される。穂先竿体302の製造工程においては、複合部材120は、中心軸A方向の全長に亘って一定の厚さ(一定のZ方向寸法)を有するように切削される。穂先竿体302の製造工程における、複合部材120の幅方向における切削は、穂先竿体2の製造工程における複合部材120の幅方向の切削と同様にして行われる。
以上の実施形態によれば、中心軸方向の任意の位置において一定の厚さを有し、軸方向の位置に応じて異なる曲げ剛性を有する穂先竿体302を製造することができる。したがって、切削加工時に、中心軸方向での厚さを異ならせる必要がないため、切削加工が容易になる。
以上の実施形態によれば、複合部材120をその厚さが軸方向において一定となるように切削しても、内側基材111のヤング率と外側基材112のヤング率を異ならせることにより、軸方向の位置に応じて異なる曲げ剛性を有する竿体を製造することができる。
例えば、より具体的な例において、外側基材112のヤング率が内側基材111のヤング率よりも大きい場合には、相対的に高い曲げ剛性が望まれる軸方向の第1の位置における外側基材112の幅を、相対的に低い曲げ剛性が望まれる軸方向の第2の位置における外側基材112の幅よりも大きくすることにより、当該第1の位置における曲げ剛性を当該第2の位置における曲げ剛性よりも高くすることができる。例えば、厚さ方向の寸法が中心軸方向の位置に依らず一定であるとともに幅方向(X方向)の寸法が先端において基端よりも小さくなるように複合部材120を切削することにより、基端において高い曲げ剛性を有するとともに先端において低い曲げ剛性を有する穂先竿体302を製造することができる。
図8に示されているように、内側基材111が軸方向の全長に亘って同一の径を有するとともに外側基材112が当該内側基材の周りに一定の厚さに巻回されている場合には、厚さ方向の寸法が軸方向において一定であるとともに幅方向(X方向)の寸法が先端において基端よりも小さくなるように複合部材120を切削することにより、軸方向の位置に応じて曲げ剛性が異なる竿体を製造することができる。
本発明の他の実施形態における複合部材120においては、先端よりもその基端において小径となるように内側基材111が形成され、その周囲に、基端において肉厚となるように外側基材112がされる。かかる複合部材120を中心軸Aと平行に伸びる方向に沿って切削することにより、基端において高い曲げ剛性を有するとともに先端において低い曲げ剛性を有する穂先竿体2を製造することができる。
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
1,301 釣竿
2,202,302 穂先竿体
4 リール
5 保持部材
6 釣糸ガイド
6a 円環部
6b 脚部
7 固定部材
8 釣糸
9 スリット
11,211,311 本体
12,212,312 補強体
111 内側基材
112 外側基材
120 複合部材

Claims (21)

  1. 第1の材料から成りその中心軸に沿う軸方向に延伸する内側基材に、前記第1の材料よりも大きなヤング率を有する第2の材料から成る外側基材を巻回して前記中心軸に沿って基端から先端まで延伸する複合部材を得る工程(a)と、
    前記先端から前記基端と前記先端との間の切削終端位置まで前記中心軸を通る第1の面に対して一定の第1切削角度で前記複合部材を切削することで、前記先端から前記切削終端位置まで前記中心軸に対して前記第1切削角度で傾斜する平面を有しており前記切削終端位置から前記基端までは切削されていない穂先竿体を得る工程(b)と、
    を備える竿体製造方法。
  2. 前記工程(b)において、前記複合部材は、前記軸方向の基端と先端の間にある境界位置よりも前方において前記内側基材の少なくとも一部が露出するように切削される、請求項1に記載の竿体製造方法。
  3. 前記工程(b)においては、前記中心軸を通り、前記第1の面に直交する第2の面に対して一定の第2切削角度で前記複合部材を切削する、請求項1又は請求項2に記載の竿体製造方法。
  4. 前記第2切削角度は、前記第1切削角度よりも小さい、請求項3に記載の竿体製造方法。
  5. 前記内側基材は、前記軸方向の全長に亘って同一の径を有するように構成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の竿体製造方法。
  6. 前記外側基材は、前記複合部材の径方向において一定の厚さを有する、請求項に記載の竿体製造方法。
  7. 前記工程(b)においては、前記軸方向の先端における幅方向の寸法が前記軸方向の基端における幅方向の寸法よりも小さくなるように前記複合部材を切削する、請求項3又は請求項4に記載の竿体製造方法。
  8. 前記内側基材は、先端よりも基端の方が小径となるように形成されている、請求項1に記載の竿体製造方法。
  9. 前記外側基材は、先端よりも基端において前記複合部材の径方向の厚さが厚くなるように設けられる、請求項に記載の竿体製造方法。
  10. 第1の材料から成りその中心軸に沿う軸方向に延伸する内側基材に、前記第1の材料とは異なるヤング率を有する第2の材料から成る外側基材を巻回して前記中心軸に沿って基端から先端まで延伸する複合部材を得る工程(a)と、
    前記先端から前記基端まで前記複合部材を一定の厚さに切削して竿体を得る工程(b)と、
    を備える竿体製造方法。
  11. 前記第2の材料は、前記第1の材料よりも大きなヤング率を有する、請求項10に記載の竿体製造方法。
  12. 前記内側基材は、前記軸方向の全長に亘って同一の径を有するように構成されている、請求項10又は請求項11に記載の竿体製造方法。
  13. 前記外側基材は、前記複合部材の径方向において一定の厚さを有する、請求項12に記載の竿体製造方法。
  14. 前記工程(b)においては、前記軸方向の先端における幅方向の寸法が前記軸方向の基端における幅方向の寸法よりも小さくなるように前記複合部材を切削する、請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の竿体製造方法。
  15. 前記内側基材は、先端よりも基端の方が小径となるように形成されている、請求項10に記載の竿体製造方法。
  16. 前記外側基材は、先端よりも基端において前記複合部材の径方向の厚さが厚くなるように設けられる、請求項15に記載の竿体製造方法。
  17. 第1の材料から成りその中心軸に沿う軸方向に延伸する内側基材に、前記第1の材料よりも大きなヤング率を有する第2の材料から成る外側基材を巻回して前記中心軸に沿って基端から先端まで延伸する複合部材を得る工程(a)と、
    前記先端から前記基端と前記先端との間の切削終端位置まで前記中心軸を通る第1の面に対して一定の第1切削角度で前記複合部材を切削することで、前記先端から前記切削終端位置まで前記中心軸に対して前記第1切削角度で傾斜する平面を有しており前記切削終端位置から前記基端までは切削されていない穂先竿体を得る工程(b)と、
    釣糸ガイドの脚部を前記竿体に戴置する工程(c)と、
    前記竿体及び前記釣糸ガイドの前記脚部を囲むように固定部材を巻回する工程(d)と、
    を備える釣竿製造方法。
  18. 第1の材料から成りその中心軸に沿う軸方向に延伸する内側基材に、前記第1の材料とは異なるヤング率を有する第2の材料から成る外側基材を巻回して前記中心軸に沿って基端から先端まで延伸する複合部材を得る工程(a)と、
    前記先端から前記基端まで前記複合部材を一定の厚さに切削して竿体を得る工程(b)と、
    釣糸ガイドの脚部を前記竿体に戴置する工程(c)と、
    前記竿体及び前記釣糸ガイドの前記脚部を囲むように固定部材を巻回する工程(d)と、
    を備える釣竿製造方法。
  19. 前記竿体を元竿体に取り付ける工程をさらに備える、請求項17又は請求項18に記載の釣竿製造方法。
  20. 前記竿体は、保持部材を介して前記元竿体に取り付けられる、請求項19に記載の釣竿製造方法。
  21. 前記保持部材は円柱形状に形成される。請求項20に記載の釣竿製造方法。
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