JP6912669B2 - 顔料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、顔料及びその製造方法に関する。
インキや塗料、成形体等の色材として用いられる顔料の中でも、金属イオンを用いて染料をレーキしたレーキ顔料は、発色性と耐光性が優れることから色材として非常に幅広く用いられている。
金属イオンを用いて染料をレーキする方法は、製造時や精製時の排水中に金属イオンが排出されてしまうことから、金属イオン、特に2価以上の金属イオンを除去するための別途の排水処理工程等を要する。この別途の排水処理工程等により環境への影響は低減できると考えられている。
しかしながら、環境に優しい製品に対する近年の消費者意識の高まりから、レーキ顔料の分野においても環境へ影響を与える可能性がより低い方法で製造することが求められている。すなわち、金属イオン、特に2価以上の金属イオンの排出を確実に防止できる、金属イオンを用いずに顔料を製造する方法が求められている。
金属イオンを用いずに顔料を作成する方法としては例えば藻類をそのまま用いた顔料等の、生体由来顔料等が検討されている(特許文献1参照)。
米国特許出願公開第2015/0247672号明細書
しかしながら、特許文献1に示す方法は、藻類をそのまま用いているため、色調の選択性に乏しいという課題があった。
また、特許文献1に示す方法は、従来の金属イオンを用いて染料をレーキしたレーキ顔料と比較し、発色性に劣る。さらに、従来の生体由来顔料は、例えば酵素反応処理や遺伝子操作等の煩雑な製造工程をするため未だ普及には至っていない。
そこで本発明は、染料を金属、特に2価以上の金属を使用しない環境に優しい方法でレーキ化し、色調の選択性に優れた変性顔料を提供することを目的とする。
本発明の変性顔料は、酸性基及び塩基性基の少なくともいずれかの基を有する染料が、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つによってレーキ化されていることを特徴とする。
また、本発明の変性顔料の製造方法は、酸性基及び塩基性基の少なくともいずれかの基を有する染料と、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つとを、触媒存在下で反応させることを特徴とする。
本発明によれば、染料を環境に優しい方法でレーキ化し、色調の選択性に優れた変性顔料を提供することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本発明の変性顔料は、酸性基及び塩基性基の少なくともいずれかの基を有する染料が、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つによってレーキ化されていることを特徴とする。本発明においてレーキ化とは、水溶性の染料を特定の処理によって水に不溶性の顔料とすることをいう。以下において、本発明の変性顔料の原料である染料とアミノ酸及びタンパク質とについて詳細に説明し、さらに変性顔料の製造方法について説明する。
(染料)
本発明の原料として用いられる染料は水溶性の染料である。染料としては酸性基及び塩基性基の少なくともいずれかの基を有する染料であれば特に限定されず、公知の染料を用いることができる。
本発明に係る染料は、酸性基を有する染料、あるいは塩基性基を有する染料であるが、酸性基と塩基性基の両方の基を有する染料であってもよい。
以下、酸性基を有する染料と塩基性基を有する染料とに分けて詳しく説明する。
<酸性基を有する染料>
酸性基とは、水に溶解した際にプロトンを放出する基と定義されるものであり、この定義を満足する基であれば特に制限はないが、例えばスルホ基、カルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、ホスホン基、又はそれらの塩等が挙げられる。これらの中でも、レーキ化の反応時間が短時間でも不溶性の顔料を得ることができるため、酸性基としては、スルホ基、カルボキシ基、又はそれらの塩が好ましい。
酸性基を有する染料としては、特に限定されるものではないが、例えばメチン系染料;単環系アントラキノン系染料、多環系アントラキノン系染料等のアントラキノン系染料;ベンゼンアゾ系(モノアゾ、ジスアゾ)染料、複素環アゾ系(チアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ、ピリドンアゾ、ピラゾロンアゾ、チオフェンアゾ等)染料、ナフタレンアゾ系染料等のアゾ系染料;キサンテン系染料;スチルベン系染料;トリアリールメタン系染料;フタロシアニン系染料;ジフェニルメタン系染料;トリフェニルメタン系染料;キノフタロン系染料等であって、酸性基を有する染料が挙げられる。これらの中でも、酸性基を有する染料としては、アントラキノン系染料、アゾ系染料料又はトリフェニルメタン系染料であって、酸性基を有する染料が好ましい。
染料が有する酸性基の数は、1つ以上であればよい。なかでも、2つ以上が好ましく、3つ以上がより好ましい。酸性基の数が多いほど、変性顔料の不溶性が高まる傾向にあるため、好ましい。染料が有する酸性基の数の上限としては、通常4つであるが、5つ以上の酸性基を排除するものではない。
したがって、本発明に用いられる酸性基を有する染料は、特に限定されるものではないが、アントラキノン系染料、アゾ系染料又はトリフェニルメタン系染料であって、スルホ基又はカルボキシ基の少なくともいずれかの基を2つ以上有するものが特に好ましい。
染料の色調としては特に限定されず、赤色、黄色、青色等、いずれの色調のものでもよく、また、これらを適宜混合したものでもよい。本発明の変性顔料は、染料のレーキ後であっても染料と同系統の色調を維持することができることから産業上の利用可能性に優れ、製造上好ましい。特に、本発明の変性顔料は、レーキ前に染料混合によって色調整を行ったうえで、得られた混合染料を一括でレーキ化処理することが可能である。この場合、目的の色調を有する変性顔料を一括で製造することが可能であることから、製造上非常に好ましい。
赤色染料としては、例えばC.I.Acid Red 1、4、13、14、18、27、35、37、50、51、52、54、57、73、87、88、92、94、97、111、114、119、127、128、131、138、151、154、182、183、184、186、195、211、213、215、219、249、251、254、256、257、260、265、266、299、315、336、337、357、359、361、362、374、405、414、418、419、425、426、430、432、447等が挙げられる。これらの中でも、C.I.Acid Red 13、14、18、27、50、52が好ましい。また、上記以外においても、Allura Red AC、Gallionを好適に用いることができる。
黄色染料としては、例えばC.I.Acid Yellow 3、11、17、19、23、25、36、42、44、49、59、61、72、73、76、76、79、99、110、116、117、127、128、129、137、151、158:1、159、184、194、199、204、216、219、220、230、232、235、241、242、246、250、252等が挙げられる。これらの中でも、C.I.Acid Yellow 3、17、23が好ましい。また、上記以外においても、Food Yellow 3、Direct Yellow 4、9、12を好適に用いることができる。
青色染料としては、例えばC.I.Acid Blue 1、7、9、15、25、40、41、45、47、62、74、78、80、83、90、92、93、100、113、116、120、127、129、138、140、142、145、158、171、182、185、193、221、225、230、249、260、264、277、280、281、284、317、324、335、350等が挙げられる。これらの中でも、C.I.Acid Blue 9、74、83、90、92、249が好ましい。また、上記以外においても、Direct Blue 15、71、86を好適に用いることができる。
緑色染料としては、例えばC.I.Acid Green 1、5、9、12、16、20、25、27、28、41、43、50、68、68:1、73、80、104、111、114等が挙げられる。これらの中でも、C.I.Acid Green 1、5、25が好ましい。また、上記以外においても、Food Green 3、フタロシアニン鉄テトラスルホン酸Naを好適に用いることができる。
赤味を有する黄色(橙色)染料としては、例えばC.I.Acid Orange 3、7、8、10、24、33、51、56、60、67、74、80、86、88、94、95、107、116、142、144、154、156等が挙げられる。これらの中でも、C.I.Acid Orange 10が好ましい。また、上記以外においても、Food Yellow 3、Direct Orange 25を好適に用いることができる。
紫色染料としては、例えばC.I.Acid Violet 1、7、12、17、43、48、49、54、58、68、90、97等が挙げられる。これらの中でも、C.I.Acid Violet 49が好ましい。
茶色染料としては、例えばC.I.Acid Brown 2、4、14、15、21、28、37、48、52、58、70、78、83、85、88、97、98、100、106、112、113、121、127、160、161、165、188、189、191、213、214、235、282、283、289、298、314、324、332、348、349、354、355、357、365、384、402、425、434、452等が挙げられる。
黒色染料としては、例えばC.I.Acid Black 1、2、24、26、52、60、63、71、84、107、132、164、168、170、172、194、207、210、234、235、243、ATT等が挙げられる。これらの中でも、C.I.Acid Black 1が好ましい。また、上記以外においても、Direct Black 38、80を好適に用いることができる。
<塩基性基を有する染料>
塩基性基とは、電子対を供与する基と定義されるものであり、この定義を満足する基であれば特に制限はないが、例えばアミノ基、及びその塩等が挙げられる。アミノ基としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、及びこれらの組み合わせのいずれであってもよい。さらに塩基性基としては、例えばウレタン結合やアミド結合等を有する窒素含有の官能基等が挙げられる。これらの中でも、アミノ基又はその塩が好ましい。
塩基性基を有する染料としては、特に限定されるものではないが、例えばポリメチン系染料、アゾメチン系染料等のメチン系染料;単環系アントラキノン系染料、多環系アントラキノン系染料等のアントラキノン系染料;ベンゼンアゾ系(モノアゾ、ジスアゾ)染料、複素環アゾ系(チアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ、ピリドンアゾ、ピラゾロンアゾ、チオフェンアゾ等)染料、ナフタレンアゾ系染料等のアゾ系染料;キサンテン系染料;スチルベン系染料;アジン系染料;オキサジン系染料;ジアリールメタン系染料;トリアリールメタン系染料;フタロシアニン系染料;ジフェニルメタン系染料;トリフェニルメタン系染料;キノフタロン系染料;キノンイミン系染料等であって、塩基性基を有する染料が挙げられる。これらの中でも、塩基性基を有する染料としては、メチン系染料、アゾ系染料、キサンテン系染料又はトリフェニルメタン系染料であって、塩基性基を有する染料が好ましい。
染料が有する塩基性基の数は、1つ以上であればよい。なかでも、2つ以上であれば変性顔料の不溶性が高まる傾向にあり、実用上好ましい。染料が有する塩基性基の数の上限としては、通常9つであるが、10個以上の塩基性基を排除するものではない。
したがって、本発明に用いられる塩基性基を有する染料は、特に限定されるものではないが、メチン系染料、アゾ系染料、キサンテン系染料又はトリフェニルメタン系染料であって、2つ以上のアミノ基を有するものが特に好ましい。
染料の色調としては特に限定されず、赤色、黄色、青色等、いずれの色調のものでもよく、また、これらを適宜混合したものでもよい。本発明の変性顔料は、染料のレーキ後であっても染料と同系統の色調を維持することができることから産業上の利用可能性に優れ、製造上好ましい。特に、本発明の変性顔料は、レーキ前に染料混合によって色調整を行ったうえで、得られた混合染料を一括でレーキ化処理することが可能である。この場合、目的の色調を有する変性顔料を一括で製造することが可能であることから、製造上非常に好ましい。
赤色染料としては、例えばC.I.Basic Red 1、1:1、2、5、7、9、12、13、14、15、18、18:1、22、29、46、49、51、54等が挙げられる。これらの中でも、C.I.Basic Red 2、9が好ましい。
黄色染料としては、例えばC.I.Basic Yellow 1、2、7、11、13、19、21、24、25、28、29、40、51、62、87、96等が挙げられる。
青色染料としては、例えばC.I.Basic Blue 1、3、7、9、11、12、17、20、22、24、26、41、41:1、52、53、54、57、119、159、162等が挙げられる。
緑色染料としては、例えばC.I.Basic Green 1、4等が挙げられる。
赤味を有する黄色(橙色)染料としては、例えばC.I.Basic Orange 1、2、14、21、22、30等が挙げられる。
紫色染料としては、例えばC.I.Basic Violet 1、2、3、4、7、8、10、14、16、53等が挙げられる。
茶色染料としては、例えばC.I.Basic Brown 1、4等が挙げられる。
黒色染料としては、例えばC.I.Basic Black 1、2、3、7等が挙げられる。
(アミノ酸)
本発明に用いられるアミノ酸としては、酸性アミノ酸、中性アミノ酸又は塩基性アミノ酸のいずれも用いることができる。使用できるアミノ酸としては、例えばグリシン、α−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、システイン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、ヒスチジン、β−アラニン、ε−アミノカプロン酸、ザルコシン、DL−ピログルタミン酸等が挙げられる。
これらの中でも、染料が酸性基を有する染料である場合、レーキ化の反応時間が短時間でも不溶性の変性顔料を得ることができるため、アミノ酸は塩基性アミノ酸が好ましく、なかでもアルギニン、ヒスチジン又はリジンが好ましい。
一方、染料が塩基性基を有する染料である場合、レーキ化の反応時間が短時間でも不溶性の変性顔料を得ることができるため、アミノ酸は酸性アミノ酸が好ましく、なかでもグルタミン酸又はアスパラギン酸が好ましい。
なお、本発明に用いられるアミノ酸としては、タンパク質を分解して得られるアミノ酸であってもよく、合成して得られるアミノ酸であってもよい。
また、後述する実施例の結果でも示されている通り、アミノ酸はタンパク質と比較して、より少ない量でより多くの染料をレーキ化することができる。高いレーキ化効率を示すという点で、アミノ酸の方がタンパク質より好ましい。
(タンパク質)
本発明に用いられるタンパク質は、アミノ酸が二つ以上結合したポリアミノ酸であればよく、いわゆるペプチドであっても高分子タンパク質であってもよい。タンパク質を構成するアミノ酸としては、上述したアミノ酸が含まれていればよい。
つまり、例えば、染料が酸性基を有する染料である場合、用いられるタンパク質を構成するアミノ酸は複数種で構成されていてもよいし、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリグルタミン酸等のように単一アミノ酸で構成されていてもよい。本発明に用いられるタンパク質は、酸性基を有する染料との反応性の観点からは、塩基性アミノ酸を含むのが好ましい。
一方、染料が塩基性基を有する染料である場合、用いられるタンパク質を構成するアミノ酸は複数種で構成されていてもよいし、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等のように単一アミノ酸で構成されていてもよい。本発明に用いられるタンパク質は、塩基性基を有する染料との反応性の観点からは、酸性アミノ酸を含むのが好ましい。
また、本発明に用いられるタンパク質は、立体構造を有していても鎖状であってもよい。また、天然由来のタンパク質であってもよいし、合成して得られるタンパク質であってもよい。特に限定されるものではないが、再生可能な資源であり環境に優しいことからサステナブルな変性顔料を得ることができるため、天然由来のタンパク質も用いるのが好ましい。
さらに、本発明に用いられるタンパク質は、タンパク質のみを含む純物質であってもよいし、発明の効果を損ねない範囲であればタンパク質以外の不純物と共存していてもよい。例えば天然由来のタンパク質を本発明のタンパク質として用いる場合、タンパク質以外に、脂質、糖質、灰分、ビタミン、核酸等の他の成分も存在していてもよい。
本発明に用いられるタンパク質のうち、天然由来のタンパク質としては、例えば植物由来のタンパク質、動物由来のタンパク質、微生物由来のタンパク質等が挙げられる。
植物由来のタンパク質としては、例えば大豆タンパク質、エンドウタンパク質、小麦グルテン、オーツ麦タンパク質、緑豆タンパク質、落花生タンパク質、レンズ豆タンパク質、トウモロコシタンパク質、サトウキビタンパク質、スピルリナやクロレラ、ワカメや昆布等の海藻といった藻類由来のタンパク質等が挙げられる。
動物由来のタンパク質としては、例えば卵タンパク質、乳タンパク質、コラーゲン、ゼラチン、家畜及び魚介肉タンパク質、羊毛・絹・獣毛といった毛タンパク質等が挙げられる。
微生物由来のタンパク質としては、例えば酵母・大腸菌・麹由来のタンパク質等が挙げられる。
本発明に用いられるタンパク質は、上記以外にも、豆腐、分離大豆タンパク質等を産生する場合に副生されるおからや脱脂大豆粉末、上記を産業利用した後に排出されるトウモロコシ由来のコーンコブやサトウキビ由来のバガス等も用いることができる。
(変性顔料の製造方法)
本発明の変性顔料は、上記染料と、上記アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つとを、触媒存在下で反応させ、染料をレーキ化することによって得られる。
レーキ化の方法としては、触媒存在下で染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つとを接触させればよい。触媒としては、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つとが反応できる触媒であればよい。
例えば、染料が酸性基を有する染料である場合、用いられる触媒は酸触媒であることが好ましい。酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられ、これらの混酸も用いることができる。これらの中でも、レーキ化の反応時間が短時間でも不溶性の変性顔料を得ることができるため、塩酸が好ましい。
例えば、染料が塩基性基を有する染料である場合、用いられる触媒は均一系触媒であることが好ましい。均一系触媒としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フルオロ硫酸、酢酸、水、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム十水和物、トリエチルアミン等が挙げられ、これらを混合して用いることができる。これらの中でも、レーキ化の反応時間が短時間でも不溶性の変性顔料を得ることができるため、均一系にしたときの雰囲気がpH5以上を呈する触媒が好ましい。そのような均一系触媒を具体的に例示するならば、例えば水、炭酸水素ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム十水和物等が挙げられ、これらの中でも、取り扱いが容易であり、環境への負荷も小さいため、水が特に好ましい。
アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つと、染料との質量比としては、通常1:0.001〜1:100である。なかでも、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つの質量を1とした場合、染料の質量比は、得られる変性顔料の発色力の観点からは、好ましくは0.005以上であり、より好ましくは0.01以上であり、さらに好ましくは0.02以上であり、特に好ましくは0.05以上であり、著しく好ましく0.1以上である。また、より環境にやさしい変性顔料を得る観点からは、好ましくは10以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは3以下であり、特に好ましくは1以下であり、著しく好ましくは0.5以下である。したがって、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つと、染料との質量比としては、1:0.005〜1:10が好ましく、1:0.01〜1:5がより好ましく、1:0.02〜1:3がさらに好ましく、1:0.05〜1:1が特に好ましく、1:0.1〜1:0.5が著しく好ましい。なお、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つの質量とは、アミノ酸単独の質量、タンパク質単独の質量、又はアミノ酸とタンパク質との合計質量を含む質量である。
なかでも、アミノ酸と染料との質量比としては、1:0.05〜1:3がより好ましく、1:0.05〜1:2がさらに好ましく、1:0.05〜1:1が特に好ましい。
また、タンパク質と染料との質量比としては、1:0.01〜1:1がより好ましく、1:0.02〜1:0.5がさらに好ましく、1:0.02〜1:0.2が特に好ましい。
触媒量は、例えば、酸性基を有する染料に対し酸触媒を用いる場合、反応に使用する酸触媒の種類や規定度、製造条件等によって変わるため一義的に決めることはできないが、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つと、酸触媒との質量比としては、通常1:0.001〜1:1000である。なかでも、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つの質量を1とした場合、酸触媒の質量比は、安定して不溶性の変性顔料を得る観点からは、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは0.1以上である。また、使用する触媒量を抑える観点からは、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは10以下である。したがって、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つと、酸触媒との質量比としては、1:0.01〜1:100が好ましく、1:0.5〜1:50がより好ましく、1:0.1〜1:10がさらに好ましい。
触媒量は、例えば、塩基性基を有する染料に対し均一系触媒を用いる場合、反応に使用する均一系触媒の種類や製造条件等によって変わるため一義的に決めることはできないが、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つと、均一系触媒との質量比としては、通常1:0.01〜1:1000である。なかでも、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つの質量を1とした場合、均一系触媒の質量比は、安定して不溶性の変性顔料を得る観点からは、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.5以上である。また、使用する触媒量を抑える観点からは、好ましくは500以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下、特に好ましくは30以下である。したがって、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つと、均一系触媒との質量比としては、1:0.1〜1:500が好ましく、1:0.1〜1:10がより好ましく、1:0.2〜1:50がさらに好ましく、1:0.5〜1:30が特に好ましい。
使用する酸触媒の規定度は、本発明の変性顔料が得られるのであれば特に限定されるものではないが、好ましくは0.001〜50、より好ましくは0.01〜12、さらに好ましくは0.1〜6、特に好ましくは0.1〜3、著しく好ましくは0.1〜1である。
触媒下で反応を行う際、分散媒を用いてもよい。分散媒としては、各種溶剤を用いることができる。
なかでも、酸性基を有する染料に対し酸触媒を用いる場合、用いられる分散媒は水性溶剤が好ましく、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、グリセリン等のアルコール類、酢酸等が挙げられる。
また、塩基性基を有する染料に対し均一系触媒を用いる場合、用いられる分散媒は水性有機溶剤が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン等の環状エーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられ、これらを混合して用いることができる。
分散媒量は、例えば、酸性基を有する染料に対し酸触媒を用い、水性溶剤の分散媒を用いる場合、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つと、分散媒との質量比としては、通常1:0.5〜1:1000である。
なかでも、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つの質量を1とした場合、水性溶剤の分散媒の質量比は、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つとの混合がより均質となりやすい観点からは、好ましくは1以上であり、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは50以上である。また、使用する分散媒量を抑える観点からは、好ましくは500以下であり、より好ましくは300以下であり、さらに好ましくは200以下である。したがって、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つと、水性溶剤の分散媒との質量比としては、1:1〜1:500が好ましく、1:10〜1:300がより好ましく、1:50〜1:200がさらに好ましい。
分散媒量は、例えば、塩基性基を有する染料に対し均一系触媒を用い、水性有機溶剤の分散媒を用いる場合、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つと、分散媒との質量比としては、通常1:0.5〜1:1000である。
なかでも、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つの質量を1とした場合、水性有機溶剤の分散媒の質量比は、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つとの混合がより均質となりやすい観点からは、好ましくは1以上であり、より好ましくは2以上であり、さらに好ましくは5以上である。また、使用する分散媒量を抑える観点からは、好ましくは500以下であり、より好ましくは100以下であり、さらに好ましくは50以下である。したがって、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つと、水性有機溶剤の分散媒との質量比としては、1:1〜1:500が好ましく、1:2〜1:100がより好ましく、1:5〜1:50がさらに好ましい。
レーキ化の反応温度は特に限定されない。タンパク質を変性させたくない場合は、80℃以下で反応させることが好ましい。
レーキ化の反応時間は、反応時間が短時間であると、レーキ化反応が不十分となり、後処理の際に染料とアミノ酸及び/又はタンパク質とに解離してしまう場合がある。このため十分な反応時間が好ましい。レーキ化の反応時間は、特に限定されるものではないが、通常1分〜30時間であり、生産効率の観点から5分〜10時間であることが好ましい。
上記で説明したように、本発明におけるレーキ化の方法は、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つとを触媒存在下で接触させればよい。例えば、染料とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つとを順不同で溶媒に逐次投入して接触させてもよいし、染料の溶液とアミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つを含む溶液とを混合して接触させてもよい。なお、レーキ化反応時に加えられる触媒の添加方法は、レーキ化反応を制御する観点からは、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つを含む溶液に触媒を加えた後、染料の溶液を加える方法が好ましい。
上記に説明したレーキ化により不溶性のレーキ化合物が析出するので、これを公知の方法により固液分離し、必要に応じて洗浄する。固液分離の方法としては、例えば吸引ろ過、加圧ろ過、フィルタープレス、スプレードライ、デカンテーション、遠心分離等が挙げられる。洗浄溶液としては、例えば水やアルコールのような親水性溶媒等が挙げられる。
染料が酸性基を有する染料である場合、洗浄溶液としては、水やメタノール等が挙げられるが、なかでもメタノールが好ましい。また、染料が塩基性基を有する染料である場合、洗浄溶液としては、水が好ましい。
未反応で残留する原料がある場合、未反応の原料はこの洗浄処理によって除去される。そして、固液分離後又は洗浄後の粉体を、公知の方法により乾燥することによって、変性顔料が得られる。
得られた変性顔料の平均一次粒径は、特に限定されるものではないが、通常0.5nm〜1000μmである。なかでも、好ましくは1nm以上であり、より好ましくは10nm以上であり、さらに好ましくは20nm以上であり、特に好ましくは50nm以上である。また、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下であり、特に好ましくは1μm以下である。したがって、得られた変性顔料の平均一次粒径は、1nm〜100μmが好ましく、10nm〜50μmがより好ましく、20nm〜10μmがさらに好ましく、50nm〜1μmが特に好ましい。なお、変性顔料の平均一次粒径の値は、透過型又は走査型の電子顕微鏡等で粒子を撮影し、20個の粒子についてその最長径を測長した算術平均値である。
なお、現在の分析技術では本発明の変性顔料の構造推定は困難であるが、本発明の製造方法によって得られた変性顔料は、染料中の酸性基と、アミノ酸又はタンパク質中の塩基性基とが作用して染料が不溶化し、顔料化された、或いは染料中の塩基性基と、アミノ酸又はタンパク質中の酸性基とが作用して染料が不溶化し、顔料化されたと推定される。
上記に説明した本発明の製造方法は、金属イオン、特に2価以上の金属イオンを用いることがないため、製造時や精製時の排水中に金属イオン、特に2価以上の金属イオンが排出されない。このため、本発明の製造方法によれば、染料を環境に優しい方法でレーキ化することができる。また、酵素反応や遺伝子操作等の工程が不要であるため、簡便且つ低コストで環境に優しい方法で染料がレーキ化された変性顔料を製造することができる。
本発明の製造方法により得られる変性顔料は、原料である染料と同系統の着色を有し、発色性に優れる。また、原料である染料を変更することであらゆる色調の変性顔料を製造することができ、色調の選択性に優れる。このため、本発明の変性顔料は、顔料組成物、成形体、インキ、インキを用いた印刷物等の用途に好適に用いることができる。
(顔料組成物)
本発明の変性顔料は、本発明の変性顔料をその他材料と配合することで、顔料組成物とすることができる。
(樹脂)
本発明の顔料組成物は、本発明の変性顔料とともに樹脂を配合することができる。本発明に使用できる樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂とは、加熱、放射線、触媒等の手段によって硬化される際に実質的に不溶かつ不融性に変化し得る特性を持った樹脂である。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、活性エステル樹脂、アニリン樹脂、シアネートエステル樹脂、スチレン・無水マレイン酸(SMA)樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は1種又は2種以上を併用して用いることができる。
熱可塑性樹脂とは、加熱により溶融成形可能な樹脂である。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、酢酸セルロース樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明の樹脂は、成形用の樹脂として配合してもよいし、ワニスとして配合してもよい。また、分散剤、表面改質剤、界面活性剤、皮膜強化剤といった、その他添加剤としての効果を期待して配合してもよい。
樹脂をワニスとして配合する場合、公知の樹脂を用いることができる。ワニスとして配合する樹脂としては、例えばフェノール樹脂、石油樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂変性フェノール樹脂、ロジンエステル、アルキッド樹脂、変性アルキッド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ギルソナイト樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
樹脂を分散剤や表面改質剤として配合する場合、公知の樹脂を用いることができる。分散剤又は表面改質剤として配合する樹脂としては、例えばセルロース;アルキルセルロース(エチルセルロース、メチルセルロース等)、ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等)、カルボキシアルキルセルロース(カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等)、酢酸セルロース等のセルロース誘導体;アルキルアリルポリエーテルアルコール、脂肪酸のショ糖エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、ラウリル硫酸塩、ステアリン酸塩、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、脂肪酸のポリオキシエチレングリセロールエステル、脂肪酸のグリセロールエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、脂肪酸のポリオキシエチレンソルビトールエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、アルキルアリルスルホン酸塩、脂肪酸のポリオキシエチレンソルビタンエステル、又はそれらの混合物が挙げられる。
(溶剤)
また、本発明の顔料組成物は、さらに溶剤を配合することができる。溶剤は希釈溶剤として用いてもよいし、ワニスや湿し水といった各種添加剤としての効果を期待して配合してもよい。
溶剤としては特に限定はなく、用途に応じて使用することができる。溶剤としては、例えば水、水性溶剤、有機溶剤、液状有機ポリマー等が挙げられる。溶剤は、1種類を単独で又は複数種類を併用して使用することができる。
有機溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン等の環状エーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、トリメチルペンタン等のパラフィン系溶剤、シクロヘキサン、シクロヘキシルメタン、オクタデシルシクロヘキサン、メチルイソプロピルシクロヘキサン等のナフテン系溶剤、カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ミネラルスピリット、石油ナフサ等が挙げられる。
また、溶剤としては、例えばヒマシ油、落花生油、オリーブオイル等の不乾性油、大豆油、綿実油、菜種油、ゴマ油、コーン油等の半乾性油、アマニ油、エノ油、桐油等の乾性油、再生植物油、植物エステル等の植物由来油等も利用することが可能である。
(その他配合物)
本発明の顔料組成物は、必要に応じて皮張り防止剤、粘度調整剤、皮膜強化剤、分散剤、汚れ防止剤、乳化調整剤、酸化防止剤等の配合物を含んでいてもよい。これらの配合物としては、従来公知のものを好適に用いることができる。
(成形体)
本発明の顔料組成物が成形用樹脂を含有する場合、顔料組成物を成形して成形体とすることができる。成形方法は従来公知の方法を用いればよく、用途によって適時選択すればよい。成形体の形状に制限はなく、平板、シート状又は3次元形状の全面に又は一部に曲率を有する等、目的に応じた任意の形状であってよい。
本発明の成形体の成形方法としては、例えば板状やシート状の製品を製造するのであれば、押し出し成形法が一般的であるが、平面プレスによっても可能である。この他、異形押し出し成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等を用いることができる。またフィルム状の製品を製造するのであれば、溶融押出法の他、溶液キャスト法を用いることができ、溶融成形方法を用いる場合、例えばインフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形等を用いることができる。また、熱や活性エネルギー線で硬化する樹脂の場合、熱や活性エネルギー線を用いた各種硬化方法を用いて成形体を製造する事ができる。
また、樹脂組成物が液状であれば、塗工により成形することも可能である。塗工方法としては、例えばスプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法等が挙げられる。
(インキ及び印刷物)
本発明の顔料組成物は、インキに用いることができる。本発明の顔料組成物を含有するインキは、本発明の変性顔料の他に、樹脂及び又は有機溶剤を含有する。本発明の変性顔料は、原料である染料と同系統の色に着色し、発色性に優れることから、着色剤としてのインキに用いることにより、鮮やかな印刷が可能である。
本発明のインキを用いることにより、本発明のインキで印刷された印刷物を得ることができる。印刷対象の基材としては特に限定はなく、紙、木材、プラスチック、金属や鉱物といった無機物、それらの複合物等が例示できる。基材の形状にも限定はなく、平板、シート状又は3次元形状の全面又は一部に曲率を有する等、目的に応じた任意の形状であってよい。また、基材の硬度、厚み等にも制限はない。
本発明のインキの印刷方法としては特に限定されない。凸版式としては、凸版、フレキソ、ドライオフセット、凹版としてはグラビア、グラビアオフセット、パッド、平版としてはオフセット、孔版としてはスクリーン、これらに加えてインクジェットを例示することができるが、これらには限定されない。
インキの固着方法としては、蒸発乾燥型、酸化重合型、2液反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型、浸透乾燥型等を例示することができるが、これらには限定されない。
以上、本発明の変性顔料は、顔料組成物、成形体、インキ、インキを用いた印刷物等の用途に好適に用いることができる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」、「%」等の記載は、断りのない限り、質量基準の記載を意味する。
[製造方法1−1]
100mLビーカー中に、タンパク質10質量部と、1Nの塩酸100質量部を秤量し、マグネチックスターラーを用いて分散させた。そこに、酸性基を有する染料の0.5質量%水溶液を20質量部加えた後、室温(25℃)下で5分間撹拌を続けた。その後、分散溶液を遠沈管(アズワン株式会社製、直径29mm、全長15mm)にとり、5,000Gで5分間遠心分離した。上澄みを除去して得られた沈殿物に48質量部のメタノール(キシダ化学株式会社製、1級)を加え、スパチュラで撹拌した後、再度5,000Gで5分間遠心分離した。この洗浄作業を3回繰り返し後、ろ紙(ADVANTEC社製、定性ろ紙No.1、70mm)を用いて吸引ろ過した。ろ別した固形分を50mLビーカーに移して室温下で24時間自然乾燥した後、得られた乾燥粉体を、目開き100μmのふるいを通し、顔料の粉体を得た。
[製造方法1−2]
1Lビーカー中に、タンパク質67質量部と、1Nの塩酸100質量部を秤量し、スパチュラを用いて室温下で5分間かけて均一になるまでよく練った。そこに、酸性基を有する染料の2質量%溶液(1Nの塩酸溶液)を67質量部加え、室温下でさらに5分間かけてスパチュラで均一になるまでよく練った。続いて、メタノール(キシダ化学株式会社製、1級)425質量部を加え、スパチュラで5分間かけて均一になるまで撹拌し、30分間静置した。その後、ろ紙(ADVANTEC社製、定性ろ紙No.1、70mm)を用いて吸引ろ過による固液分離とメタノール265質量部による洗浄を2回行った。ろ別した固形物を1Lビーカーに移し、40℃で真空加熱乾燥後、乾燥させた粉末をボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製、Pulverisette 6;ジルコニアボールのΦ10mm、充填率70%、400rpm/10分間×2回)で粉砕した。続いて、目開き100μmのふるいを通し、顔料の粉体を得た。
[製造方法1−3]
1Lビーカー中に、タンパク質49質量部と、1Nの塩酸100質量部を秤量し、スパチュラを用いて室温下で5分間かけて均一になるまでよく練った。そこに、酸性基を有する染料の5質量%溶液(1Nの塩酸溶液)を100質量部加え、室温下でさらに30分間かけてスパチュラで均一になるまでよく練った。続いて、メタノール(キシダ化学株式会社製、1級)344質量部を加え、スパチュラで5分間かけて均一になるまで撹拌し、30分間静置した。その後、ろ紙(ADVANTEC社製、定性ろ紙No.1、70mm)を用いて吸引ろ過による固液分離とメタノール215質量部による洗浄を2回行った。ろ別した固形物を1Lビーカーに移し、50℃で真空加熱乾燥後、乾燥させた粉末をボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製、Pulverisette 6;ジルコニアボールのΦ10mm、充填率70%、400rpm/10分間×1回)で粉砕した。続いて、目開き100μmのふるいを通し、顔料の粉体を得た。
[実施例1−1]
タンパク質として大豆プロテイン(日本ガーリック株式会社製、大豆プロテイン(商品名))、染料としてC.I.Acid Red 13(東京化成工業株式会社製)を使用して、製造方法1−1の方法で赤色の水不溶性の粉体を得た。このとき、吸引ろ過のろ液は無色透明だった。さらに確認のために、得られた粉体を室温の水に再分散させたところ、水の着色は見られなかった。したがって、得られた粉体は全てレーキ化された変性顔料であることが認められた。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[実施例1−2〜1−4]
酸性基を有する染料を表1の記載に変える以外は、実施例1−1と同様の方法にて、水不溶性の粉体を得た。このとき、吸引ろ過のろ液は無色透明だった。さらに確認のために、得られた粉体を室温の水に再分散させたところ、水の着色は見られなかった。したがって、得られた粉体は全てレーキ化された変性顔料であることが認められた。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[実施例1−5]
タンパク質として脱脂大豆粉末(株式会社日清商会社製、ZFS SOYA)、酸性基を有する染料としてC.I.Acid Red 18(東京化成工業株式会社製)を使用して、製造方法1−2の方法で赤色の水不溶性の粉体を得た。このとき、吸引ろ過のろ液は無色透明だった。さらに確認のために、得られた粉体を室温の水に再分散させたところ、水の着色は見られなかった。したがって、得られた粉体は全てレーキ化された変性顔料であることが認められた。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[実施例1−6〜1−29]
酸性基を有する染料及びタンパク質を表1の記載に変える以外は、実施例1−1と同様の方法にて、水不溶性の粉体を得た。このとき、吸引ろ過のろ液は無色透明だった。さらに確認のために、得られた粉体を室温の水に再分散させたところ、水の着色は見られなかった。したがって、得られた粉体は全てレーキ化された変性顔料であることが認められた。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[実施例1−30]
実施例1−1において、酸性基を有する染料の0.5質量%水溶液を、C.I.Acid Yellow 17 9質量%、C.I.Acid Yellow 23 17質量%、C.I.Acid Red 27 23質量%、及びC.I.Acid Blue 74 51質量%を混合して黒色染料を調製し、タンパク質を表1の記載に変える以外は、実施例1−1と同様の方法にて、水不溶性の粉体を得た。このとき、吸引ろ過のろ液は無色透明だった。さらに確認のために、得られた粉体を室温の水に再分散させたところ、水の着色は見られなかった。したがって、得られた粉体は全てレーキ化された変性顔料であることが認められた。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超であり、変性顔料の色調は黒色だった。
[実施例1−31]
実施例1−1において、酸性基を有する染料の0.5質量%水溶液を、C.I.Acid Yellow 17 9質量%、C.I.Acid Yellow 23 17質量%、C.I.Acid Red 27 23質量%、及びC.I.Acid Black 1 51質量%を混合し黒色染料を調製し、タンパク質を表1の記載に変える以外は、実施例1−1と同様の方法にて、水不溶性の粉体を得た。このとき、吸引ろ過のろ液は無色透明だった。さらに確認のために、得られた粉体を室温の水に再分散させたところ、水の着色は見られなかった。したがって、得られた粉体は全てレーキ化された変性顔料であることが認められた。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超であり、変性顔料の色調は黒色だった。
[実施例1−32]
実施例1−1において、酸性基を有する染料の0.5質量%水溶液を、C.I.Acid Orange 10 15質量%、C.I.Acid Red 27 30質量%、C.I.Acid Violet 49 5質量%、及びC.I.Acid Blue 92 50質量%を混合し黒色染料を調製し、タンパク質を表1の記載に変える以外は、実施例1−1と同様の方法にて、水不溶性の粉体を得た。このとき、吸引ろ過のろ液は無色透明だった。さらに確認のために、得られた粉体を室温の水に再分散させたところ、水の着色は見られなかった。したがって、得られた粉体は全てレーキ化された変性顔料であることが認められた。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超であり、変性顔料の色調は黒色だった。
[実施例1−33]
タンパク質として脱脂大豆粉末(株式会社日清商会社製、ZFS SOYA)、酸性基を有する染料としてC.I.Acid Red 18(東京化成工業株式会社製)を使用して、製造方法1−3の方法で赤色の水不溶性の粉体を得た。このとき、吸引ろ過のろ液は無色透明だった。さらに確認のために、得られた粉体を室温の水に再分散させたところ、水の着色は見られなかった。したがって、得られた粉体は全てレーキ化された変性顔料であることが認められた。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
Figure 0006912669
[実施例1−34]
タンパク質として、ボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製、Pulverisette 6;ジルコニアボールのΦ10mm、充填率70%、400rpm/10分間×1回)であらかじめ粉砕した乳由来カゼイン微粉末(富士フイルム和光純薬株式会社製)50質量部と、1Nの塩酸100質量部を50mLビーカーに秤量し、スパチュラを用いて室温下で5分間かけて均一になるまでよく練った。そこに、酸性基を有する染料としてC.I.Acid Red 13(東京化成工業株式会社製)の5質量%溶液(1Nの塩酸溶液)を105質量部加え、室温下でさらに5分間かけてスパチュラで均一になるまでよく練り、その後30分間静置し反応させた。続いて、メタノール(キシダ化学株式会社製、1級)600質量部を加え、スパチュラで5分間かけて均一になるまで撹拌し、ろ紙(ADVANTEC社製、定性ろ紙No.1、70mm)を用いて吸引ろ過による固液分離とメタノール435質量部による洗浄を2回行った。ろ別した固形物を50mLビーカーに移し、50℃で真空加熱乾燥した。乾燥後の粉末を目開き100μmのふるいに通し、水不溶性の顔料の粉体を得た。
粉体は赤色であり、吸引ろ過のろ液の色は無色透明だった。さらに確認のために、得られた粉体を室温の水に再分散させたところ、水の着色は見られなかった。したがって、得られた粉体は全てレーキ化された変性顔料であることが認められた。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[実施例1−35]
50mLビーカー中に、タンパク質として小麦由来グルテン粉末(富士フイルム和光純薬株式会社製)50質量部を入れ、そこに酸性基を有する染料としてC.I.Acid Red 13(東京化成工業株式会社製)の5質量%溶液(1Nの塩酸溶液)を105質量部加え、室温下で5分間かけて均一になるまでよく練り、その後30分間静置し反応させた。その後、メタノール(キシダ化学株式会社製、1級)600質量部を加え、スパチュラで5分間かけて均一になるまで撹拌し、ろ紙(ADVANTEC社製、定性ろ紙No.1、70mm)を用いて吸引ろ過による固液分離とメタノール435質量部による洗浄を2回行った。ろ別した固形物を50mLビーカーに移し、50℃で真空加熱乾燥した。乾燥後の粉末をメノー乳鉢ですりつぶした後、目開き100μmのふるいに通し、水不溶性の顔料の粉体を得た。
粉体は赤色であり、吸引ろ過のろ液の色は無色透明だった。さらに確認のために、得られた粉体を室温の水に再分散させたところ、水の着色は見られなかった。したがって、得られた粉体は全てレーキ化された変性顔料であることが認められた。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[実施例1−36]
50mLビーカー中に、タンパク質としてバガス微粉末(株式会社マエダ・スーパー・テクノ社製)50質量部と、1Nの塩酸100質量部を秤量し、スパチュラを用いて室温下で5分間かけて均一になるまでよく練った。そこに、酸性基を有する染料としてC.I.Acid Red 18(東京化成工業株式会社製)の5質量%溶液(1Nの塩酸溶液)を105質量部加え、室温下でさらに5分間かけてスパチュラで均一になるまでよく練り、その後30分間静置し反応させた。続いて、メタノール(キシダ化学株式会社製、1級)600質量部を加え、スパチュラで5分間かけて均一になるまで撹拌し、ろ紙(ADVANTEC社製、定性ろ紙No.1、70mm)を用いて吸引ろ過による固液分離とメタノール435質量部による洗浄を2回行った。ろ別した固形物を50mLビーカーに移し、50℃で真空加熱乾燥した。乾燥後の粉末を目開き100μmのふるいに通し、水不溶性の薄い赤色の顔料の粉体を得た。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[実施例1−37]
100mLビーカー中に、酸性基を有する染料としてC.I.Acid Red 18(東京化成工業株式会社製)の9.3質量部と、1Nの塩酸100質量部を加え、マグネチックスターラーを用いて分散させた。そこに、アミノ酸としてL−Lysine(富士フイルム和光純薬株式会社製、L(+)−Lysine、一級)1.1質量部を1N塩酸15質量部に溶解させたものを滴下した。30分後、L−Lysine1.1質量部を1N塩酸15質量部に溶解させたものを新たに滴下した。30分の間隔を空けながら本滴下を計4回行った。計4回の滴下後、不溶化物をろ紙(ADVANTEC社製、定性ろ紙No.1、70mm)を用いた吸引ろ過で固液分離し、19質量部の水で洗浄を行った。ろ別した固形物を50mLビーカーに移し、50℃で真空加熱乾燥した。乾燥後の粉末をメノー乳鉢ですりつぶした後、目開き100μmのふるいに通し、水不溶性の赤色の顔料の粉体を得た。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[実施例1−38]
実施例1−37において、酸性基を有する染料としてC.I.Acid Red 18のかわりにC.I.Acid Yellow 23(東京化成工業株式会社製)を8.2質量部使用した以外は、実施例1−37と同様にして乾燥した水不溶性の黄色の顔料の粉体を得た。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[比較例1−1]
実施例1−1において、1Nの塩酸の代わりに水を100質量部使用した以外は同様にして粉体を得た。得られた粉体は実施例1−1と比較して発色性が低かった。また、得られた粉体を室温の水に再分散させたところ、水の着色が見られた。さらに白色の粉体が沈殿し、この白色の粉体の一部は水に溶解した。
[実施例2−1]
アミノ酸とタンパク質のどちらがより多くの染料をレーキ化することができるか、以下の実験により、アミノ酸及びタンパク質のレーキ化効率を評価した。
実施例1−5と実施例1−37において、C.I.Acid Red 18とタンパク質またはアミノ酸が、それぞれ下記表2及び下記表3に記載の割合になるように混合した以外は、実施例1−5と実施例1−37と同様にして、レーキ化反応を行った。
その後、各反応液1.5mLをマイクロチューブに採取し、遠心機(チビタン2、メルクミリポア社製)を用いて5,200Gで5分間遠心分離した。遠心分離後の上澄みを目視で観察し、上澄みの色味からタンパク質とアミノ酸のレーキ化を下記基準をもとに評価した。
[レーキ化の判断基準]
A:上澄みはほぼ無色透明であり、ほぼすべての染料をレーキ化できている
B:上澄みは色づいているが透明であり、ほとんどの染料をレーキ化できている
C:上澄みは強く色づいており、透明度も低く、レーキ化されていない染料が多く残っている
Figure 0006912669
Figure 0006912669
[製造方法3−1]
50mLのナス型フラスコ中に、タンパク質7質量部と、塩基性基を有する染料の0.7質量%水溶液を100質量部加え、室温下でマグネチックスターラーを用いて30分間撹拌した。続いて、ろ紙(ADVANTEC社製、定性ろ紙No.1、70mm)を用いて吸引ろ過による固液分離後、ろ別した固形物を蒸留水6667質量部で6回洗浄した。洗浄後の固形物を50mLのナス型フラスコに移し、50℃で真空加熱乾燥した後、得られた乾燥粉体を、目開き100μmのふるいを通し、顔料の粉体を得た。
[製造方法3−2]
100mLのビーカー中に、タンパク質10質量部と、塩基性基を有する染料の1質量%水溶液を100質量部加え、室温下でマグネチックスターラーを用いて30分間撹拌した。続いて、ろ紙(ADVANTEC社製、定性ろ紙No.1、70mm)を用いて吸引ろ過による固液分離後、ろ別した固形物を蒸留水3000質量部で洗浄した。洗浄後の固形物を100mLのビーカーに移し、50℃で真空加熱乾燥した後、乾燥させた粉末を乾ボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製、Pulverisette 6;ジルコニアボールのΦ10mm、充填率70%、400rpm/10分間×2回)で粉砕した。続いて、目開き100μmのふるいを通し、顔料の粉体を得た。
[実施例3−1]
タンパク質として脱脂大豆粉末(株式会社日清商会社製、ZFS SOYA)、塩基性基を有する染料としてC.I.Basic Red 9(東京化成工業株式会社製)を使用して、製造方法3−1の方法で赤色の水不溶性の粉体を得た。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[実施例3−2]
タンパク質として脱脂大豆粉末(株式会社日清商会社製、ZFS SOYA)、塩基性基を有する染料としてC.I.Basic Red 9(東京化成工業株式会社製)を使用して、製造方法3−2の方法で赤色の水不溶性の粉体を得た。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[実施例3−3]
タンパク質として脱脂大豆粉末(株式会社日清商会社製、ZFS SOYA)、塩基性基を有する染料としてC.I.Basic Red 2(東京化成工業株式会社製)を使用して、製造方法3−2の方法で赤色の水不溶性の粉体を得た。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[実施例3−4]
塩基性基を有する染料の水溶液のかわりに、炭酸水素ナトリウム溶液(pH10)を用いた塩基性基を有する染料の1質量%溶液を使用した以外は、実施例3−3と同様の方法で赤色の水不溶性の粉体を得た。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
[実施例3−5]
塩基性基を有する染料の水溶液のかわりに、四ホウ酸十水和物溶液(pH9)を用いた塩基性基を有する染料の1質量%溶液を使用した以外は、実施例3−3と同様の方法で赤色の水不溶性の粉体を得た。粉体のふるい前後での回収率は質量基準で99%超だった。
実施例1−1〜1−38で得た粉体は、水に不溶であり、酸性基を有する染料がタンパク質によって全てレーキ化されているものと推察された。
また、実施例1−1〜1−29及び1−33〜1−38で得た粉体は、原料である染料と同系統の着色を有しており、発色性に優れるものであった。さらに、レーキ前に染料混合によって色調整を行ったうえで、得られた混合染料を一括でレーキ化処理した実施例1−30〜1−32の粉体は、色調整した混合染料と同系統の色調を有しており、発色性に優れるものであった。
実施例2−1による上記表2及び3に記載の評価結果より、アミノ酸はタンパク質と比較して染料の割合が大きくても染料をレーキ化できることが確認できた。アミノ酸のほうがタンパク質より、高いレーキ化効率を示すといえる。
実施例3−1〜3−5で得た粉体は、水に不溶であり、塩基性基を有する染料がタンパク質によって全てレーキ化されているものと推察された。
また、実施例3−1〜3−5で得た粉体は、原料である染料と同系統の着色を有しており、発色性に優れるものであった。

Claims (19)

  1. 酸性基及び塩基性基の少なくともいずれかの基を有する染料が、アミノ酸によってレーキ化されている、変性顔料。
  2. 性基及び塩基性基の少なくともいずれかの基を有する染料が、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つとの化学反応によってレーキ化されている、変性顔料。
  3. 前記染料は、2つ以上の前記酸性基を有する、請求項1又は2に記載の変性顔料。
  4. 前記染料における前記酸性基が、スルホ基、カルボキシ基、又はそれらの塩を含む、請求項1又は2に記載の変性顔料。
  5. 前記染料における前記酸性基が、スルホ基又はその塩を含む、請求項1又は2に記載の変性顔料。
  6. 前記染料は、2つ以上の前記塩基性基を有する、請求項1、又は記載の変性顔料。
  7. 前記染料における前記塩基性基が、アミノ基又はその塩を含む、請求項1、2、及び何れか一項に記載の変性顔料。
  8. 平均一次粒径が1nm〜100μmである、請求項1〜7の何れか一項に記載の変性顔料。
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載の変性顔料と、樹脂とを含む、顔料組成物。
  10. 請求項1〜8の何れか一項に記載の変性顔料と、溶剤とを含む、顔料組成物。
  11. 請求項9に記載の顔料組成物を成形してなる、成形体。
  12. 請求項9又は10に記載の顔料組成物を含む、インキ。
  13. 請求項12に記載のインキを用いて印刷された、印刷物。
  14. 酸性基及び塩基性基の少なくともいずれかの基を有する染料と、アミノ酸及びタンパク質の少なくとも1つとを、触媒存在下で反応させる、変性顔料の製造方法。
  15. 請求項14に記載の変性顔料の製造方法によって得られた変性顔料と、樹脂とを含む顔料組成物を製造することを含む、顔料組成物の製造方法。
  16. 請求項14に記載の変性顔料の製造方法によって得られた変性顔料と、溶剤とを含む顔料組成物を製造すること含む、顔料組成物の製造方法。
  17. 請求項15に記載の顔料組成物の製造方法によって得らえた顔料組成物を成形することを含む、成形体の製造方法。
  18. 請求項15又は16に記載の顔料組成物の製造方法によって得らえた顔料組成物を含むインキを製造することを含む、インキの製造方法。
  19. 請求項18に記載のインキの製造方法によって得られたインキを用いて印刷することを含む、印刷物の製造方法。
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