JP4084028B2 - 液体現像剤用顔料組成物、顔料分散液及びそれらの製造方法 - Google Patents

液体現像剤用顔料組成物、顔料分散液及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、非水系液媒体に対する分散性及び分散安定性が改善された顔料と樹脂とからなる液体現像剤用顔料組成物及びそれを用いた顔料分散液に関し、更に詳しくは液体現像剤の着色剤として有用な、非水系液媒体に容易に且つ安定に分散する顔料と樹脂とからなる液体現像剤用顔料組成物、及び顔料が安定に分散している顔料分散液を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
塗料、印刷インキ等の着色剤として使用される顔料が、目的とする特性を発現するためには、顔料粒子が媒体に微分散されていることが必要である。
顔料の分散過程は、凝集状態にある顔料粒子をばらばらにほぐして顔料を媒体へ濡らし、機械的エネルギーによって媒体中へ分散させ、さらに分散粒子を安定化させるという三つの段階に分けられる。顔料が分散されて着色力や鮮明性等の顔料本来の性能を発揮し、特性の優れた塗膜や印刷皮膜が形成されるために、顔料の媒体への濡れを改良したり、顔料を微細化し、さらに分散した顔料粒子が再凝集しないように分散安定性を改善することが必要であり、そのための方法として顔料粒子の表面処理が従来から種々検討されてきた。
【0003】
易分散性の顔料を製造する方法として、塩基性物質で中和されたカルボン酸基を有する水溶性樹脂の水溶液中に顔料を分散させてなる顔料の水性分散体に、酸を添加して当該樹脂を疎水性化することによって該樹脂を顔料に固着させる方法が知られている。この方法は、顔料を水性着色剤として使用する場合の分散性が良好で、かつ易分散性の顔料を得る方法として、又塗膜性能の低下がない水性着色剤を得る方法として有用である。
しかし、上記の顔料を非水系液媒体において使用すると、媒体としての非水系溶媒によって、一旦顔料粒子に固着した被覆樹脂が再び溶解し、顔料粒子から脱離してしまうことになり、表面改質効果が減少してしまう。被覆樹脂の溶解、離脱を避けるためには使用する溶媒が制限されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
体現像剤に、樹脂で処理された顔料組成物を使用するには、使用する非水系液媒体に溶解しない、耐溶剤性に優れた樹脂を被覆した顔料組成物を使用しなければならない。もし、非水系液媒体に溶解する水溶性樹脂等を使用して表面被覆した顔料組成物を使用すると、表面被覆した樹脂が非水系液媒体によって溶解し、顔料粒子から脱離してしまい、非水系液媒体中に溶出してしまう。従って、顔料の表面改質処理を行っても、その目的とする分散性の改良も、分散した顔料粒子の再凝集を防いで分散安定性を改良するという改質効果も減少してしまうことになる。
このような事情から、非水系液媒体中にも微細に分散され、且つ微細分散状態を安定に保持することができる樹脂で処理された顔料組成物、それを用いた印刷インキ等の貯蔵安定性に優れ、耐溶剤性、耐久性、堅牢性にも優れた被膜、或いは画像を形成し得る顔料分散液の開発が要望されている。
【0005】
従って、本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、非水系液媒体に容易に且つ安定に分散する樹脂で処理された顔料組成物及び顔料が非水系液媒体に長期にわたって安定に分散している顔料分散液を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、顔料と樹脂とからなり、顔料は、非水系液媒体に不溶性の、アニオン性基を有する水溶性樹脂の多価金属塩で処理されていることを特徴とする液体現像剤用顔料組成物(以下単に「顔料組成物」と云う場合がある)、前記顔料組成物が非水系液媒体中に分散してなる液体現像剤用顔料分散液(以下単に「顔料分散液」と云う場合がある)である。
又、本発明は、アニオン性基を有する水溶性樹脂の水溶液中に顔料を分散させ、この顔料分散液に水溶性多価金属塩を添加し、顔料と上記水溶性樹脂の多価金属塩とを共沈させることを特徴とする顔料組成物の製造方法、及び上記顔料組成物のプレスケーキに非水系液媒体を添加し、水分を除去することを特徴とする顔料分散液の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
本発明で使用する顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料がすべて含まれ、特に限定されない。例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、キノフタロン系、ベンズイミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系、インジゴ・チオインジゴ系、ペリノン・ペリレン系、イソインドリノン系、アゾメチンアゾ系等の有機顔料や酸化チタン、酸化鉄系、金属複合酸化物系の無機顔料、カーボンブラック系等が挙げられる。これらの顔料は、製品化された粉末顔料でもよく、又顔料合成後のプレスケーキであってもよい。
【0008】
本発明で使用するアニオン性基を有する水溶性樹脂は、そのままの状態で水系媒体に可溶性であるか、或いは塩基性物質で中和してアニオン性基をアルカリ金属塩やアミン塩等とすることによって水系媒体に可溶性ないしコロイド状に分散可能となる樹脂(重合体)である。水系媒体とは、水及び/又は水溶性有機溶剤を意味する。
【0009】
水系媒体に溶解しないアニオン性基を有する樹脂を水系媒体に可溶化ないしコロイド状に分散可能とするために、樹脂中のアニオン性基を塩基性物質で中和してアルカリ金属塩、アンモニウム塩或いはアミン塩にする必要がある。可溶性塩を形成する対イオンとしてのアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムが代表的であり、アンモニアの他、アミンとしてはモノ−、ジ−、又はトリ−メチルアミン、モノ−、ジ−、又はトリ−エチルアミン等の脂肪族第1〜3級アミン、モノ−、ジ−、又はトリ−エタノールアミン、モノ−、ジ−、又はトリ−プロパノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアルコールアミン、その他アンモニウム塩、モルホリン及びN−メチルモルホリン等が代表的である。
【0010】
アニオン性基を有する水溶性樹脂としては、水溶性のアニオン性基を有する付加重合体及びポリエステル系樹脂が好ましいものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。アニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基及び燐酸基が挙げられる。アニオン性基を有する水溶性樹脂は、上記のアニオン性基の1種又は2種以上を有するものであってもよい。
【0011】
アニオン性基を有する水溶性付加重合体は、アニオン性基を有する重合性モノマー及びこれと共重合可能なモノマーとの共重合体である。
アニオン性基を有する重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα,β−不飽和モノカルボン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル等のα,β−不飽和カルボン酸及び遊離のカルボン酸基を有するα,β−不飽和多価カルボン酸のエステル;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート等のα,β−不飽和スルホン酸;2−アクリロイロキシエチルホスフェート等のα,β−不飽和燐酸が挙げられる。これらのモノマーは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0012】
上記のようなアニオン性基を有する重合性モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和カルボン酸のC1〜C20の脂肪族アルコールとのエステル、シクロヘキシルアルコールとのエステル、ベンジルアルコールとのエステル、フェノールとのエステル等の不飽和カルボン酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物が好ましい親油性モノマーとして挙げられる。上記の親油性モノマー以外にも、例えば、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、前記以外のα,β−不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、塩化ビニル等の親油性モノマー及びアクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等の親水性モノマーを使用することができる。これらのモノマーは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0013】
又、アニオン性基としてスルホン酸基を有する水溶性樹脂には、上記の付加重合体以外にも、スルホン酸基を有さぬ付加重合体等に後反応でスルホン酸基を導入したものも含まれる。例えば、水酸基を有する付加重合体に無水マレイン酸を反応させ、しかる後に酸性亜硫酸ソーダ等を付加させることによって、スルホン酸基を有する水溶性樹脂を製造することもできる。水酸基を有する付加重合体や樹脂としては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを共重合した付加重合体やアセトフェノン・ホルマリン樹脂等を使用することができる。このような方法によって、主鎖又は側鎖にスルホコハク酸エステル基又はその塩の基を水溶性化基として有する水溶性樹脂が得られる。
【0014】
アニオン性基を有する水溶性付加重合体としては、アクリル酸又はメタクリル酸と親油性、又は親油性及び親水性のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを主体とする付加重合体(以下ではアクリル系樹脂と称することがある。)が好ましいものとして挙げられる。
【0015】
アニオン性基を有する水溶性の付加重合体やポリエステル系樹脂以外の樹脂中のアニオン性基の含有量は、3〜50重量%が好ましく、更に好ましくは5〜45重量%である。3重量%未満では上記の付加重合体や樹脂の水溶性が低下し、又アニオン性基を多価金属塩としても上記の付加重合体や樹脂を非水系液媒体に不溶性とすることはできず、本発明の目的は達せられない。50重量%を超えると多価金属塩を形成しても逆に溶剤に可溶性となって目的の顔料組成物は得られない
【0016】
本発明においては、アニオン性基を有する水溶性の付加重合体やポリエステル系樹脂以外の樹脂は、分子量が大幅に変化しても実質的に満足できる水性顔料分散体は得られるが、分子量があまりに小さいときは得られる顔料組成物の強靭性が弱く、もろい分散粒子からなる粉体となり、当該顔料組成物を使用してさらに分散液を製造するときに、分散機によって顔料組成物の粒子が破砕され、目的とする粒子径にそろえることが困難となる。又、分子量が大きすぎるときは得られる顔料組成物の強靭性は十分であるが、顔料分散液の粘度が高くなり、後述の多価金属塩で上記の付加重合体等を析出させるとき不均一となる傾向となる。好ましい数平均分子量(GPCで測定し、標準ポリスチレン換算の)の範囲は、5,000〜50,000である。
【0017】
水溶性のアニオン性基を有する付加重合体は、従来公知の重合方法によって前記のモノマーを共重合させることによって製造することができるが、製造方法は特に限定されない。例えば、必要モノマー成分を混合して溶液重合、乳化重合、懸濁重合等のラジカル重合により製造される。ラジカル重合開始剤としては公知のアゾ系化合物や過酸化物等が使用でき、必要に応じて分子量調節剤等を用いて好ましい分子量の重合体を得ることができる。
【0018】
又、カルボン酸無水物基、エステル基、ニトリル基、水酸基等を含む重合体を最初に作り、引き続きこれらの基を加水分解、ケン化、硫酸エステル化又はスルホン化することにより後反応で重合体中にカルボン酸基及び/又はスルホン酸基を導入する方法も採用できる。尚、本発明においてはアニオン性基を有する樹脂を可溶性塩にする時期は特に制限されず、例えば、前記のカルボン酸等のアニオン性基を有するモノマーのアミン塩等を用いて重合する方法、重合後或は上記加水分解等の後にアミン等を加える方法、或いは顔料と混合後にアミン等を加える等のいずれの方法も採用できる。
【0019】
本発明で使用する水溶性のアニオン性基を有する付加重合体を製造する際に使用する水系媒体である親水性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブアセテート、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、エチルカルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)等の多価アルコール及びそれらの誘導体;ピロリドン及びそれらの誘導体等が挙げられる。これらは1種或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの親水性溶剤は、通常、生成付加重合体溶液の5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%を占める量で使用される。
【0020】
次に本発明で使用される水溶性のアニオン性基を有するポリエステル系樹脂について説明する。
水溶性のアニオン性基を有するポリエステル系樹脂は、分子中に2〜4個のカルボン酸基又は少なくとも1個のスルホン酸基又はその塩の基を有する多価カルボン酸または多価スルホン酸(多塩基酸)と多価アルコールとをカルボン酸基又はスルホン酸基又はその塩の基が残存するように、溶媒中又は無溶媒中で従来公知の方法によって脱水縮合反応させることで製造される。
水溶性のアニオン性基を有するポリエステル系樹脂は、分子中に親油性部分と親水性部分とを有し、親油性部分がエステルを主結合とするポリエステル結合鎖であり、親水性部分がカルボン酸基又はスルホン酸基又はその塩の基を有する樹脂である。尚、ポリエステル系樹脂には、カルボン酸基を有する多塩基酸成分として油脂類や脂肪酸類を使用したアルキド樹脂と呼ばれるものもあるが、これらも本発明で使用することができる。
【0021】
ポリエステル系樹脂の製造に使用される多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類;セバシン酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等の飽和及び不飽和脂肪族ジカルボン酸類;トリメリット酸、アビエチン酸と無水マレイン酸のディールスアルダー付加物等の芳香族トリカルボン酸類;ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族テトラカルボン酸類等が挙げられる。上記のカルボン酸類は、低級アルコールとのエステルとして使用することもできる。これらの多塩基酸は1種又は2種以上組み合わせて使用される。
【0022】
ポリエステル樹脂の製造に使用される多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール類;ジヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族ジオール類;シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類;ビスフェノール−ジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノール−ジヒドロキシプロピルエーテル等のビスフェノール類のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビスフェノールS等が挙げられる。これらのジオールは1種又は2種以上組み合わせて使用される。
【0023】
水溶性のアニオン性基を有するポリエステル系樹脂のなかで、カルボン酸基とスルホン酸基を有するポリエステル系樹脂は、特に有用である。該ポリエステル樹脂は、親油性部分と親水性部分とからなり、親油性部分がエステル結合を主体とするポリエステル結合鎖であり、親水性部分がスルホン酸基とカルボン酸基或いはそれらの塩の基を有する単位から構成される。スルホン酸基及びカルボン酸基又はその塩の基を有する多塩基酸としては、例えば、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸等のスルホ芳香族ジカルボン酸類等が挙げられる。これらも1種以上で使用される。
【0024】
尚、多塩基酸成分としてスルホン酸基又はその塩の基を有さない多価カルボン酸を使用してポリエステル系樹脂を製造し、後反応によってスルホン酸基又はその塩の基をポリエステル系樹脂中に導入させることができる。例えば、多価アルコールと、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和多価カルボン酸或いはそれらの低級アルキルエステル、酸ハロゲン化物等の誘導体とを縮合させて不飽和ポリエステル系樹脂を合成し、これに酸性亜硫酸ソーダ等を付加させて樹脂中にスルホコハク酸エステル基を導入することによっても製造することができる。この場合、上記の不飽和多価カルボン酸とともにカルボン酸基又はその塩の基を有する飽和多価カルボン酸を併用することもできる。
【0025】
本発明で使用するアニオン性基を有する水溶性ポリエステル系樹脂を合成する際には、必要に応じて溶剤を使用することができる。溶剤としては水溶性溶剤が好ましい。例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)等が挙げられる。非水溶性溶剤を使用することもできるが、この場合には、ポリエステル樹脂の合成後に非水溶性溶剤を除去することが望ましい。
【0026】
以上のようにして得られる本発明で使用するアニオン性基を有する水溶性ポリエステル系樹脂は、カルボン酸基及び/又はスルホン酸基、又はそれらの塩の基等を有しており、これらのアニオン性基の含有量は特に制限されるものではないが、アニオン性基の好ましい含有量は該ポリエステル系樹脂の3〜50重量%、更に好ましくは5〜40重量%の範囲である。3重量%範囲未満では、該ポリエステル系樹脂の水溶性が低下し、顔料の分散性が悪くなる。50重量%を超えると多価金属塩を形成しても逆に非水系溶剤に可溶性となって目的の顔料組成物は得られない。
【0027】
又、本発明で使用するアニオン性基を有する水溶性ポリエステル系樹脂の好ましい数平均分子量(GPCで測定し、標準ポリスチレン換算の)は、600〜10,000の範囲である。600未満では得られる顔料組成物としての強靭性が弱く、もろい分散粒子からなる粉体となり、当該顔料組成物を使用してさらに分散液を製造するときに、分散機によって顔料組成物の粒子が破砕され、目的とする粒子径にそろえることが困難となり、かつ顔料粒子の分散安定性が十分でなくなる。又、水溶性ポリエステル樹脂の数平均分子量が、10,000を超えると得られる顔料組成物の強靭性は十分であるが、顔料分散液の粘度が高くなり、また多価金属塩で析出させるとき不均一となる傾向を示す。より好ましい数平均分子量は、1,000〜6,000の範囲である。
【0028】
本発明の顔料組成物は、前記の顔料と非水系液媒体に不溶性とされた、上記のアニオン性基を有する水溶性樹脂の多価金属塩とからなり、顔料が上記樹脂の多価金属塩で処理されてなるものである。
本発明の上記の顔料組成物は、アニオン性基を有する水溶性樹脂の水溶液中に顔料を分散させ、この顔料の分散液に水溶性多価金属塩を添加して、上記樹脂中のアニオン性基を多価金属塩として上記樹脂と顔料とを共沈させることによって製造される。例えば、必要により塩基性化合物で中和して水溶性としたアニオン性基を有する水溶性樹脂を、顔料と水性媒体中で混合し、コロイドミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェイカー、ロールミル、サンドグラインダー、スピードラインミル、ホモミキサー等の従来公知の分散機を用いて顔料を上記樹脂の溶液中に微細に分散させる。その後、この顔料の分散液に多価金属塩の水溶液を添加して顔料と上記樹脂の多価金属塩とを共沈させる。共沈物をろ過、水洗及び乾燥し、必要に応じて粉砕、分級して本発明の粉末状の顔料組成物が得られる。尚、本発明の顔料組成物は、上記の如き粉末状としても、或いは乾燥前のプレスケーキとしても使用することができる。
【0029】
本発明でアニオン性基を有する水溶性樹脂を非水系液媒体に不溶性の多価金属塩とするために使用される水溶性多価金属塩としては、アルカリ土類金属、遷移金属、13族金属、14族金属等の塩化物、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩等が挙げられる。多価金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、スズ等が挙げられる。多価金属塩の使用量は、使用する水溶性樹脂のアニオン性基の含有量によって異なるが、含有されるアニオン性基と等モル量である。
【0030】
本発明の顔料組成物においては、前記顔料と上記アニオン性基を有する水溶性樹脂の多価金属塩との割合は、顔料組成物の強靭性が保持される範囲で、顔料組成物の使用目的(着色物の色彩、着色濃度等に)よって任意に決めることができ、特に制限されない。例えば、本発明の顔料組成物を濃色の着色剤として使用する場合には、例えば、顔料100重量部当たり、アニオン性基を有する水溶性樹脂の多価金属塩は5〜500重量部、淡色の着色剤として使用する場合には、顔料1重量部当たり、アニオン性基を有する水溶性樹脂の多価金属塩は5〜500重量部である。
【0031】
次に本発明の顔料組成物を使用し、液体現像剤用の着色剤として使用される顔料分散液について説明する。
本発明の顔料分散液は、上記の顔料組成物を非水系液媒体中に分散させて製造される。本発明で使用される非水系液媒体は、用途によってそれぞれ異なり、特に限定されない。例えば、アイソパーG,H,L,M(エクソン化学社製)、エクソールD40,D80,D110,D130,D140(エクソン化学社製)、シェルゾール71(シェル石油社製)、IPソルベント(出光石油化学社製)、ペガゾールAS- 100(モービル石油社製)、ソルベッソ100,150(シェル石油社製)、スワゾール310,1000(コスモ石油社製)等の脂肪族炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ハロゲン化炭化水素系溶剤;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコンオイル;
【0032】
グリコール系溶剤として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2- エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のセロソルブ系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のカルビトール系溶剤、
【0033】
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のプロピレングリコールエーテル系溶剤等のグリコールエーテル系溶剤;酢酸エステル系溶剤;乳酸エステル系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。
本発明の顔料分散液の顔料濃度は、用途によってそれぞれ異なり、特に限定されないが、一般的には0.5〜40重量%程度である。
【0034】
本発明の顔料分散液には、必要により、その使用目的に応じてイオン性又は非イオン性のバインダー用樹脂、分散剤、乾燥防止剤、防錆剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、電荷調整剤、沈降防止剤、防黴剤等の添加剤を適宜添加することができる。
バインダー樹脂としては、液体現像剤の用途に従来から使用されているバインダー用樹脂がいずれも使用でき、特に限定されない。具体的には、石油樹脂、ロジン誘導体、硝化綿やアセチルブチルセルロース等のセルロース誘導体、環化ゴムや塩化ゴム等のゴム誘導体、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。又、その他の添加剤も上記の用途等で従来から使用されているものがいずれも使用でき、特に制限されない。これらの添加剤は、通常、顔料組成物100重量部当たり0〜50重量部の範囲で使用される。
【0035】
本発明の顔料分散液は、例えば、前記の非水系液媒体中に本発明の顔料組成物を、例えば、コロイドミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェイカー、ロールミル、サンドグラインダー、スピードラインミル、ホモミキサー等の従来公知の分散機を用いて分散処理して得られる。特に好ましい方法は、前記顔料組成物の製造の過程で得られるプレスケーキ(水分30〜70重量%程度)を非水系液媒体と均一に混合した後、水分を除去する方法である。この方法によれば、顔料粒子が二次凝集することなく、顔料が微細且つ均一に分散した本発明の顔料分散液が得られる。顔料分散液中の顔料(顔料組成物)の粒径は、通常0.2〜5μm程度である。
【0036】
以上の如くして得られる本発明の顔料組成物及び顔料分散液は、液体現像剤の着色剤として有用である。特に湿式電子写真方式の液体現像剤として用いる場合には、使用する顔料の表面物性の影響を本発明の顔料組成物の被覆又は含有させたアニオン性基を有する水溶性樹脂の物性によって均一化することができるという特徴を活かすことができる。
従って、本発明の顔料組成物を液体現像剤用バインダー樹脂中に分散、或いは液体像剤用バインダーでコーティング等の加工ないし処理することにより、顔料粒子の極性・荷電性を調製するとともに、長期間にわたって液体現像剤としての分散安定性・保存安定性を保つことが好ましい。
【0037】
【実施例】
次に合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。又、分子量はGPCで測定し、標準ポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0038】
合成例1(水溶性アクリル系樹脂Aの製造例)
エチルメタクリレート15部、ベンジルメタクリレート10部、スチレン10部、ヒドロキシエチルメタクリレート10部、メタクリル酸5部、アゾビスイソブチロニトリル1部及びエチレングリコール50部を重合容器に仕込み、窒素気流中、攪拌下に約85℃で8時間重合した。得られた水溶性アクリル系樹脂Aの酸価は65で、分子量は約15,000であった。
【0039】
合成例2(水溶性アクリル系樹脂Bの製造例)
ブチルメタクリレート20部、2−エチルヘキシルメタクリレート27部、メタクリル酸3部、アゾビスイソブチロニトリル1部及びエチルカルビトール50部を重合容器に仕込み、窒素気流中、攪拌下に約85℃で8時間重合した。得られた水溶性アクリル系樹脂Bの酸価は39で、分子量は約12,000であった。
【0040】
合成例3(水溶性アクリル系樹脂Cの製造例)
エチルアクリレート12.5部、ブチルメタクリレート15部、スチレン15部、2−スルホエチルメタクリレート7.5部、アゾビスイソブチロニトリル1部及びジエチレングリコール35部、メチルカルビトール15部を重合容器に仕込み、窒素気流中、攪拌下に約85℃で8時間重合した。得られた水溶性アクリル系樹脂Cの酸価は43で、分子量は約15,000であった。
【0041】
合成例4(水溶性アクリル系樹脂Dの製造例)
エチルアクリレート20部、ブチルメタクリレート15部、スチレン5部、2−アクリロイロキシエチルホスフェート10部、アゾビスイソブチロニトリル1部及びエチルカルビトール50部を重合容器に仕込み、窒素気流中、攪拌下に約75℃で8時間重合した。得られた水溶性アクリル系樹脂Dの酸価は57で、分子量は約17,000であった。
【0042】
合成例5(水溶性アクリル系樹脂Eの製造例)
ブチルアクリレート15部、メチルメタクリレート15部、シクロヘキシルメタクリレート10部、N−メチロールアクリルアミド5部、メタクリル酸5部、アゾビスイソブチロニトリル1部、第3ドデシルメルカプタン1部及びトリエチルアミン6部、ブチルセロソルブ44部を重合容器に仕込み、窒素気流中、攪拌下に約75℃で8時間重合した。得られた水溶性アクリル系樹脂Eの酸価は65で、分子量は約17,000であった。
【0043】
合成例6(水溶性アクリル系樹脂Fの製造例)
ブチルメタクリレート12.5部、ベンジルメタクリレート5部、ヒドロキシエチルメタクリレート7.5部、メタクリル酸25部、アゾビスイソブチロニトリル1部及びブチルセロソルブ50部を重合容器に仕込み、窒素気流中、攪拌下に約75℃で8時間重合した。得られた水溶性アクリル系樹脂Fの酸価は326で、分子量は約17,000であった。
【0044】
合成例7(水溶性ポリエステル樹脂Gの製造例)
アジピン酸65.7部、テトラヒドロ無水フタル酸135部、イソフタル酸24.9部、1,6−ヘキサンジオール11.8部、トリメチロールプロパン120.8部、及びパラトルエンスルホン酸0.2部を反応容器に仕込み、脱水させながら、5時間かけて190℃まで昇温させる。さらに、酸価が110になるまで脱水縮合反応を行った。次いで90℃まで冷却してからアンモニア水で中和し、水を加えて固形分30%の水溶性ポリエステル樹脂Gの溶液を得た。得られた水溶性ポリエステル系樹脂の分子量は約2,500であった。
【0045】
合成例8(水溶性ポリエステル樹脂Hの製造例)
5−ナトリウムスルホイソフタル酸127部及びビスフェノールA−ジヒドロキシプロピルエーテル190部を反応容器に仕込み、50mmHgまで減圧しながら150〜250℃で6時間攪拌下に縮合させた。次いで、反応液にジエチレングリコールモノエチルエーテル100部を加え、90℃まで冷却してから水600部を加え、攪拌しながら冷却させて水溶性ポリエステル樹脂Hの溶液を得た。この溶液の固形分は30%で、得られた水溶性ポリエステル系樹脂の分子量は約3,000であった。
【0046】
合成例9(水溶性ポリエステル樹脂Iの製造例)
フマル酸464部、ビスフェノールA−ジヒドロキシエチルエーテル1580部、無水フタル酸296部及びパラトルエンスルホン酸6.6部を反応容器に仕込み、窒素気流中で150℃で90分間縮合反応させた後、175℃で3時間縮合反応させて水溶性ポリエステル樹脂の中間体を合成した。
得られた水溶性ポリエステル樹脂中間体220部、水595部及び28%アンモニア水20部を65℃で90分間攪拌し、粘性のある乳白色の重合体分散液が得られた。この重合体分散液に酸性亜硫酸ナトリウム41.6部を加え、95℃で6時間攪拌し、水溶性ポリエステル樹脂中間体をスルホン化すると透明な水溶性ポリエステル系樹脂Iの溶液が得られた。この樹脂溶液の樹脂分は30%で、得られた水溶性ポリエステル系樹脂の分子量は約2,200であった。
【0047】
実施例1
合成例1で得た固形分50%の水溶性アクリル樹脂Aの溶液をアンモニア水で中和して固形分40%とした溶液20部と、エチレングリコール10部、フタロシアニンブルー顔料(ピグメントブルー15:3)8部とを混合し、この混合液をビーズミルで2時間分散して顔料の分散液を得た。この顔料分散液をイオン交換水で固形分5%に希釈し、これに2%の塩化鉄(II)水溶液を徐々に滴下して析出物を得た。得られた析出物をろ過し、水洗、乾燥して本発明の青色顔料組成物(粉末状)を得た。
【0048】
得られた青色顔料組成物1.0部をそれぞれ各有機溶剤(キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール)100部に添加して、それぞれの沸点にて2時間加熱還流した。冷却した後、ろ過、洗浄後、乾燥して顔料組成物の重量の減量を測定したが、いずれも0.2%以下の減量であった。このことから、本発明の青色顔料組成物が、上記有機溶媒に対して優れた耐溶剤性を有していることが確認できた。
【0049】
又、フタロシアニンブルー顔料に替えてファーストイエローFGL顔料( 大日精化工業社製、ピグメントイエロー97) 、キナクリドン顔料(ピグメントレッド122)、カーボンブラック顔料(ピグメントブラック7)及びフタロシアニングリーン顔料(ピグメントグリーン7)を用いて、上記と同様の方法により、それぞれ黄色顔料組成物、赤色顔料組成物、黒色顔料組成物、緑色顔料組成物を得た。いずれも優れた耐溶剤性を有することが確認された。
【0050】
実施例2
合成例2で得た固形分50%の水溶性アクリル樹脂Bの溶液をジエタノールアミンで中和し、イオン交換水を加えて固形分40%とした溶液20部と、エチルカルビトール10部、カーボンブラック顔料(ピグメントブラック7)8部とをビーズミルで2時間分散し、顔料分散液を得た。この顔料分散液をイオン交換水で固形分5%に希釈し、これに2%の塩化ジルコニウム(IV)水溶液を徐々に滴下して析出物を得た。得られた析出物をろ過、水洗及び乾燥して本発明の黒色顔料組成物を得た。
【0051】
また、同様にしてカーボンブラック顔料に替えてファーストイエローFGL顔料( 大日精化工業社製、ピグメントイエロー97) 、キナクリドン顔料(ピグメントレッド122)、フタロシアニンブルー顔料(ピグメントブルー15:3)を用い、それぞれ、黄色顔料組成物、赤色顔料組成物、青色顔料組成物を得た。実施例1と同様にしてこれらの顔料組成物の耐溶剤性を確認したが、いずれも優れた耐溶剤性を有していた。
【0052】
実施例3
合成例3で得た固形分50%の水溶性アクリル樹脂Cの溶液をアンモニア水で中和して固形分40%とした溶液20部と、固形分37.5%のキナクリドン顔料(ピグメントレッド122)ペースト69部とをビーズミルで2時間分散し、顔料の分散液を得た。この顔料分散液をイオン交換水で固形分5%に希釈し、この希釈顔料分散液に2%の塩化マンガン水溶液を徐々に滴下して析出物を得た。得られた析出物をろ過、水洗、および乾燥して優れた耐溶剤を有する本発明の顔料組成物を得た。
【0053】
実施例4
合成例4で得た固形分50%の水溶性アクリル樹脂Dの溶液をジエタノールアミンで中和し、イオン交換水を加えて固形分40%とした溶液20部と、イオン交換水34部、ファーストイエローFGL顔料( 大日精化工業社製、ピグメントイエロー97) 16部とをビーズミルで2時間分散し、顔料の分散液を得た。この顔料分散液をイオン交換水で固形分5%に希釈し、この希釈顔料分散液に2%の塩化亜鉛水溶液を徐々に滴下して、析出物を得た。得られた析出物をろ過、水洗、および乾燥して本発明の黄色顔料組成物を得た。実施例1と同様にしてこの顔料組成物が優れた耐溶剤性を有することを確認した。
【0054】
実施例5
合成例5で得た固形分50%の水溶性アクリル樹脂Eの溶液をアンモニア水で中和して固形分40%とした溶液20部と、ブチルセロソルブ10部、イオン交換水20部、ルチル型酸化チタン顔料(ピグメントホワイト6)40部とをビーズミルで2時間分散し、顔料の分散液を得た。この顔料分散液に顔料と同量の合成例5の水溶性アクリル樹脂Eの溶液を加え、さらにイオン交換水で固形分を5%に希釈した。この希釈顔料分散液に2%の酢酸アルミニウム水溶液を徐々に滴下して析出物を得た。得られた析出物をろ過、水洗、および乾燥して本発明の白色顔料組成物を得た。実施例1と同様にしてこの顔料組成物が優れた耐溶剤性を有することを確認した。
【0055】
実施例6
合成例1で得た固形分50%の水溶性アクリル樹脂Aの溶液をアンモニア水で中和して固形分40%とした溶液20部と、ブチルセロソルブ10部、イオン交換水20部、ルチル型酸化チタン顔料(ピグメントホワイト6)40部とをビーズミルで2時間分散し、顔料の分散液を得た。
同様にして固形分40%の中和した水溶性アクリル樹脂Aの溶液20部とブチルセロソルブ10部、フタロシアニンブルー顔料(ピグメントブルー15:3)8部を2時間分散して顔料分散液を得た。
【0056】
次にそれぞれ上記のフタロシアニンブルー顔料の分散液38部にルチル型酸化チタン顔料の分散液36部、及び固形分40%の水溶性アクリル樹脂Eの溶液32部を均一に混合分散させ、イオン交換水で固形分5%に希釈した。この希釈顔料分散液に2%の塩化亜鉛水溶液を滴下して析出物を得た。得られた析出物をろ過、および水洗し、ルチル型酸化チタン顔料とフタロシアニンブルー顔料とが混合した固形分42%のプレスケーキとして取り出し、本発明の顔料組成物を得た。
【0057】
実施例7
合成例6で得た固形分50%の水溶性アクリル樹脂Fの溶液をジエタノールアミンで中和し、イオン交換水を加えて固形分40%とした溶液20部と、イオン交換水10部、カーボンブラック顔料(ピグメントブラック7)8部とをビーズミルで2時間分散し、顔料の分散液を得た。この顔料分散液をイオン交換水で固形分5%に希釈し、希釈顔料分散液に2%の塩化鉄(II)水溶液を徐々に滴下して析出物を得た。又、水溶性アクリル樹脂のカルボン酸基当量に対して約40%量の塩化鉄(II)水溶液を滴下したところ凝集物が得られたが、十分撹拌したところほぐされた析出物となった。得られた析出物をろ過、水洗、および乾燥して本発明の顔料組成物を得た。いずれの顔料組成物も優れた耐溶剤性を有することが確認された。
【0058】
実施例8
合成例7で得た固形分30%の水溶性ポリエステル樹脂Gの溶液150部と、イオン交換水28部、固形分38%のフタロシアニンブルー顔料(ピグメントブルー15:3)ペースト237部とをビーズミルで2時間分散し、顔料の分散液を得た。この顔料分散液をイオン交換水で固形分5%に希釈し、これに2%の塩化アルミニウム水溶液を徐々に滴下して析出物を得た。得られた析出物をろ過、水洗、および乾燥して優れた耐溶剤性を有する本発明の顔料組成物を得た。
【0059】
実施例9
合成例8で得た固形分30%の水溶性ポリエステル樹脂Hの溶液130部と、水260部、カーボンブラック顔料(ピグメントブラック7)130部とをビーズミルで2時間分散し、顔料の分散液を得た。この顔料分散液に顔料の50%の量になるように上記水溶性ポリエステル樹脂Gの溶液を加え、さらにイオン交換水で固形分5%に希釈した。この希釈顔料分散液に2%の塩化コバルト(II)水溶液を徐々に滴下して析出物を得た。得られた析出物をろ過、水洗、および乾燥して優れた耐溶剤性を有する本発明の顔料組成物を得た。
【0060】
実施例10
合成例9で得た固形分30%の水溶性ポリエステル樹脂Iの溶液150部と、純水200部及び水酸化ナトリウム1.5部、カーボンブラック顔料(ピグメントブラック7)150部とをビーズミルで2時間分散し、顔料の分散液を得た。この顔料分散液に顔料と同量になるように上記ポリエステル樹脂Iの溶液を加え、イオン交換水で固形分5%に希釈した。これに2%の塩化銅(II)水溶液を徐々に滴下して析出物を得た。得られた析出物をろ過、水洗、および乾燥して本発明の顔料組成物を得た。この顔料組成物も優れた耐溶剤性を有していた。
【0061】
使用例1(液体現像剤)
実施例2で得られた黒色の顔料組成物30部を溶剤アイソパーL(エクソン化学社製)120部とを混合し、ビーズミルにて3時間分散し、液体現像剤原液を得た。この原液15.0部にバインダーとして酢酸ビニル−アクリル系樹脂(酢酸ビニル/LMA=75/25(重量比))の50%アイソパーL溶液12.0部とアイソパーL(同上)400部を混合し、超音波分散機で分散し、粗粒を分離する遠心分離処理を行って、固形分濃度2.1%の黒色の液体現像剤を得た。同様の方法により、それぞれ黄色の液体現像剤、赤色の液体現像剤、青色の液体現像剤を得た。黄色、赤色、青色、黒色、4色の液体現像剤のゼータ電位をそれぞれ測定したところ、電荷調整剤を添加することなく、4色とも安定した電荷量を持つことが確認できた。又、これらの液体現像剤を室温にて3ヵ月保存したところ、凝集物の発生がなく、分散安定性の良好な液体現像剤であった。この4色の液体現像剤を静電プロッターにて記録紙に画像印刷したところ、連続使用時においても、濃淡ムラのない、地汚れのない、良好な画像が得られた。
【0062】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、非水系液媒体に容易に且つ安定に分散する液体現像剤用顔料組成物、及び顔料が非水系液媒体に長期安定に分散している液体現像剤用顔料分散液が提供される。

Claims (9)

  1. 顔料と樹脂とからなり、顔料は、非水系液媒体に不溶性の、アニオン性基を有する水溶性樹脂の多価金属塩で処理されていることを特徴とする液体現像剤用顔料組成物。
  2. アニオン性基が、カルボン酸基、スルホン酸基及び燐酸基から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の液体現像剤用顔料組成物。
  3. 水溶性樹脂が、アクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂である請求項1又は2に記載の液体現像剤用顔料組成物。
  4. 多価金属が、アルカリ土類金属、遷移金属、13属金属及び14属金属から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の液体現像剤用顔料組成物。
  5. 顔料が、無機顔料又は有機顔料である請求項1に記載の液体現像剤用顔料組成物。
  6. アニオン性基を有する水溶性樹脂の水溶液中に顔料を分散させ、この顔料分散液に水溶性多価金属塩を添加し、顔料と上記水溶性樹脂の多価金属塩とを共沈させることを特徴とする液体現像剤用顔料組成物の製造方法。
  7. 請求項6に記載の方法で得られる液体現像剤用顔料組成物。
  8. 請求項1に記載の顔料組成物が非水系液媒体中に分散されていることを特徴とする液体現像剤用顔料分散液。
  9. 請求項7に記載の液体現像剤用顔料組成物のプレスケーキに非水系液媒体を添加し、水分を除去することを特徴とする請求項8に記載の液体現像剤用顔料分散液の製造方法。
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