JP3864321B2 - 水性顔料分散体の製造方法、および水性着色剤組成物 - Google Patents

水性顔料分散体の製造方法、および水性着色剤組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性塗料、水性インキ、捺染剤、カラーフィルター、ジェットインキ、カラートナーの如き水性着色剤組成物に有用な水性顔料分散体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
公害防止や労働衛生の面から、塗料、インキの如き着色剤を使用する業界では水性化指向が強い。
【0003】
水性着色剤に使用される顔料を水性媒体中に分散させるには、界面活性剤や水溶性樹脂を使用して粉末顔料を分散する方法が一般的であり、現在でも広く行われている。しかしながら、界面活性剤を用いて分散された顔料を含有する塗料は、得られる塗膜の耐水性が極めて悪く、限られた用途にしか使用できない、という問題点がある。また、水溶性樹脂を含有する水性媒体中に顔料を分散させるには、概して、有機溶剤媒体中に顔料を分散させる場合よりも困難であり、顔料を高度なレベルで微細に分散し、かつ、その状態を安定に保つことは難しい。
【0004】
一方、水溶性樹脂を用いて顔料を単に分散させた場合、顔料と樹脂との結合が吸着という弱い結合のみによるものであり、たとえ、製造直後において、微細に分散されていたものであっても、顔料が経時的に凝集するので、貯蔵安定性は良くない、という問題点がある。
【0005】
易分散性の顔料を得る方法として、塩基で中和されたカルボキシル基を有する樹脂中に分散して成る顔料の水性分散体に、酸を添加して当該樹脂を疎水性化することによって樹脂を顔料に固着する、いわゆる酸析法が知られている。
【0006】
例えば、ロジンを使用して酸析法により顔料に固着して、分散性の良好な粉末顔料を得る手法が知られている。しかしながら、ロジンは、その分子量が小さいために被膜形成性樹脂となり得ず、また、耐候性も極めて劣るため、ロジンの使用量を多くすることができず、その使用量を10重量%程度以下に制限せざるを得ないのが現状である。そのため、ロジンは、顔料の処理剤として粉末顔料に使用されているのが現状で、本発明のように、水性顔料分散体に使用した場合、ロジン単独では安定な水性顔料分散体が得られず、また、得られた塗膜の性能も低いものとなってしまう、という問題点がある。
【0007】
この問題点を解決するために、特開昭50−122528号公報、特公昭61−11979号公報には、比較的高分子量のアクリル系樹脂という限定された樹脂を使用して酸析を行い、粉末または固形顔料を得る方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、これらの方法では、いずれも、酸析後に粉末化あるは固形化されるため、その過程でもって顔料が少なからず凝集してしまい、水性塗料や水性インキに使用する際には、再び混練という手間の掛かる工程が必要とならざるをえない、という問題点がある。しかも、これらの方法で得られる粉末または固形顔料は、未処理の粉末顔料よりも易分散性であるとはいえ、一度粉末化あるいは固形化した顔料でもって、水性着色剤において高度な発色性や着色力を発揮する程度に微分散するには、かなりの労力を要する、という問題点もある。
【0009】
一方、米国特許4,166,811号明細書には、親水性の高い水溶性樹脂を使用し、酸析後に塩基性化合物でもって再中和を行ない、水性媒体に分散し易い顔料を得る方法が開示されている。
【0010】
しかしながら、この方法の基本構成は、塩基性化合物でもって再中和した後に、粉末化または固形化する方法であって、水性媒体中に再分散する際には簡単な撹拌のみで可能であるとされているが、やはり、一度粉末化あるいは固形化されたものは顔料の再凝集の問題を無視することができず、高度なレベルで被塗物の発色性や着色力を発揮するには、簡単な攪拌のみでは不充分である、とい問題点がある。また、粉末化または固形化後に水性媒体に再分散し易くするために、この方法において使用できる樹脂は、分子量が低く、かつ、酸価がかなり高いものとなっており、着色剤として塗装された塗膜の強靭性や耐水性が極めて低いものとなってしまう、という問題点もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
水性被覆剤で使用する塗膜形成性樹脂は、被膜の強靭性などの物理的性質や、耐水性などの耐久性が重要であるため、ある程度以上の分子量が必要であり、また、得られた塗膜の耐水性を低下させないために、カルボキシル基などの親水性基や顔料分散に有効な各種官能基の割合も少なく設計されることが多い。従って、このようなレベルに設計された水性の塗膜形成性樹脂を使用して、高度なレベルで顔料を微分散することは極めて困難であった。
【0012】
即ち、従来技術に従う限り、顔料の微分散と、被塗物の耐水性などの耐久性とを高度なレベルで両立できる水性顔料分散体を得ることはできなかった。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、上述した従来技術では達し得ない、微細に分散され、貯蔵安定性がよく、しかも、耐水性、耐久性、堅牢性にも優れた塗膜を形成し得る水性顔料分散体の製造方法を提供することにある。
【0014】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、塩基性化合物で中和されたカルボキシル基を有し、かつ、架橋性を有する樹脂と架橋剤との併用、または塩基性化合物で中和されたカルボキシル基を有し、かつ、自己架橋性を有する樹脂、でもって微分散された顔料の水性分散体を、酸性化合物でもってpHを中性または酸性にして樹脂を疎水性化することによって顔料に強く固着せしめ(以下、この工程を「酸析」と称することがある。)、次いで、再度塩基性化合物でもってカルボキシル基を中和して水に再分散する水性顔料分散体の製造方法であって、かつ酸析後で再分散後に、樹脂を架橋することによって、高度なレベルに光沢、発色性、着色力を発揮するに充分な程度に微分散され、しかも、貯蔵安定性に優れ、ソルベントショックや色別れの問題もなく、さらに、被塗物の耐水性、耐久性や堅牢性にも優れる水性顔料分散体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。以下、カーボンブラックまたは有機顔料をあわせて、単に顔料と言う場合がある。
【0015】
即ち、本発明は、1.カーボンブラックまたは有機顔料(A)と、カルボキシル基および架橋性官能基を有する樹脂(B)とを用い、該樹脂(B)のカルボキシル基を塩基性化合物(F1)で中和することにより親水性化してなるカーボンブラックまたは有機顔料の水性分散体(1a)を、酸性化合物(E)を用いてpHを中性または酸性とすることによって樹脂(B)を析出させてカーボンブラックまたは有機顔料に固着させる工程(1)、次いで、樹脂(B)のカルボキシル基を塩基性化合物(F2)を用いて中和することにより、樹脂(B)が固着したカーボンブラックまたは有機顔料を水性媒体に再分散させる工程(2)からなり、かつ、樹脂(B)が固着したカーボンブラックまたは有機顔料(A)を水性媒体に再分散させる工程(2)またはそれより前の任意の時期に架橋剤(C)を配合する水性顔料分散体の製造方法であって、しかも、樹脂(B)が固着したカーボンブラックまたは有機顔料を水性媒体に再分散させる工程(2)後に、樹脂(B)の架橋性官能基と架橋剤(C)とを反応させて架橋させることを特徴とする水性顔料分散体の製造方法、
【0016】
2. カーボンブラックまたは有機顔料の水性分散体(1a)として、カーボンブラックまたは有機顔料(A)と樹脂(B)とを有機溶剤媒体中で混練し、混練する前または混練した後に架橋剤(C)を配合し、さらに、混練する前および/または混練した後に樹脂(B)のカルボキシル基の少なくとも一部を塩基性化合物(F1)を用いて中和することにより、水性媒体に分散して得られたカーボンブラックまたは有機顔料の水性分散体を用いる上記1記載の製造方法、
3. カーボンブラックまたは有機顔料の水性分散体(1a)として、 カーボンブラックまたは有機顔料(A)と、塩基性化合物(F1)を用いてカルボキシル基を中和した樹脂(B)と、架橋剤(C)とを水性媒体中で混合および/または混練し得られたカーボンブラックまたは有機顔料の水性分散体を用いる上記1記載の製造方法、
【0017】
4. 樹脂(B)が、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂である上記1、2または3記載の製造方法、
5. 樹脂(B)のカルボキシル基に基づく酸価が、30〜120KOHmg/樹脂固形分1gの範囲にある上記1、2、3または4記載の製造方法、
6. 樹脂(B)の架橋性官能基がカルボキシル基であって、架橋剤(C)がアミノ樹脂および分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物から成る群から選ばれる架橋剤、または樹脂(B)の架橋性官能基が水酸基であって、架橋剤(C)がアミノ樹脂である上記1、2、3、4または5記載の製造方法、
【0018】
7. カーボンブラックまたは有機顔料(A)と、カルボキシル基および自己架橋性官能基を有する樹脂(D)とを用い、該樹脂(D)のカルボキシル基を塩基性化合物(F1)で中和することにより親水性化してなるカーボンブラックまたは有機顔料の水性分散体(1b)を、酸性化合物(E)を用いてpHを中性または酸性とすることによって樹脂(D)を析出させてカーボンブラックまたは有機顔料に固着させる工程(1)、次いで樹脂(D)のカルボキシル基を塩基性化合物(F2)を用いて中和することにより、樹脂(D)が固着したカーボンブラックまたは有機顔料(A)を水性媒体に再分散させる工程(2)からなる水性顔料分散体の製造方法であって、しかも、樹脂(D)が固着したカーボンブラックまたは有機顔料を水性媒体に再分散させる工程(2)後に、樹脂(D)を自己架橋させることを特徴とする水性顔料分散体の製造方法、
【0019】
8. 顔料の水性分散体(1b)として、顔料(A)と樹脂(D)とを有機溶剤媒体中で混練し、混練する前および/または混練した後に樹脂(D)のカルボキシル基の少なくとも一部を塩基性化合物(F1)を用いて中和することにより、水性媒体に分散して得られた顔料の水性分散体(1b)を用いる上記7記載の製造方法、
9. 顔料の水性分散体(1b)として、顔料(A)と、塩基性化合物(F1)を用いてカルボキシル基を中和した樹脂(D)とを水性媒体中で混合および/または混練して得られた顔料の水性分散体(1b)を用いる上記7記載の製造方法、
【0020】
10. 樹脂(D)が、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂である上記7、8または9記載の製造方法、
11. 樹脂(D)のカルボキシル基に基づく酸価が、30〜120KOHmg/樹脂固形分1gの範囲にある上記7、8、9または10記載の製造方法、
12. 樹脂(D)の自己架橋性官能基が、(1)1分子内にカルボキシル基およびエポキシ基を有するもの、(2)1分子内に水酸基およびN−アルコキシメチルアミド基を有するもの、または(3)ラジカル重合性不飽和基である上記7、8、9、10または11記載の製造方法、
【0021】
13. 上記1〜12のいずれか1つに記載の製造方法によって製造された水性顔料分散体を含有してなることを特徴とする水性着色剤組成物、を提供するものである。
【0022】
なお、本発明における酸価は、樹脂固形分1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg量で表わす。
【0023】
本発明の製造方法は、上記1〜6に記載の製造方法(I)と上記7〜12に記載の製造方法(II)とに大別することができ、製造方法(I)は、基本的には次の製造工程からなる。
【0024】
・工程(I−1):顔料(A)と、カルボキシル基および架橋性官能基を有する樹脂(B)とを用い、該樹脂(B)のカルボキシル基を塩基性化合物(F1)で中和することにより親水性化してなる顔料の水性分散体(1a)を、酸性化合物(E)を用いてpHを中性または酸性とすることによって樹脂(B)を析出させて顔料(A)に固着させる。
・工程(I−2):上記工程(I−1)により樹脂(B)を顔料(A)に固着させた後、樹脂(B)のカルボキシル基を塩基性化合物(F2)を用いて中和して樹脂(B)が固着した顔料(A)を水性媒体に再分散させる。
・工程(I−3):樹脂(B)が固着した顔料(A)を水性媒体に再分散させる工程(2)またはそれより前の任意の時期に架橋剤(C)を配合し、樹脂(B)が固着した顔料を水性媒体に再分散させる工程(2)後に、樹脂(B)の架橋性官能基と架橋剤(C)とを反応させて架橋させる。
【0025】
また、本発明の製造方法(II)は、基本的には次の製造工程からなる。
・酸析工程(II−1):顔料(A)と、カルボキシル基および自己架橋性官能基を有する樹脂(D)とを用い、該樹脂(D)のカルボキシル基を塩基性化合物(F1)で中和することにより親水性化してなる顔料の水性分散体(1b)を、酸性化合物(E)を用いてpHを中性または酸性とすることによって樹脂(D)を析出させて顔料(A)に固着させる。
・工程(II−2):上記工程(II−1)により樹脂(D)を顔料(A)に固着させた後、樹脂(D)のカルボキシル基を塩基性化合物(F2)を用いて中和して樹脂(D)が固着した顔料(A)を水性媒体に再分散させる。
・工程(II−3):樹脂(D)が固着したカーボンブラックまたは有機顔料を水性媒体に再分散させる工程(2)後に、樹脂(D)を自己架橋させる。
【0026】
上記製造方法(I)および(II)において、樹脂(B)または(D)を架橋させる時期は、工程(I−2)もしくは( II −2)により樹脂(B)または(D)が固着した顔料(A)を水性媒体に再分散させた後である。良好な水性顔料分散体が得られる利点や、工程が合理化できる利点がある
【0027】
本発明の製造方法において使用する樹脂(B)または(D)は、カルボキシル基と、架橋性官能基または自己架橋性官能基とを有しているものならば、どのような樹脂であっても差し支えなく、例えば、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ロジン変性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基の導入の容易さ、あるいは、架橋性官能基または自己架橋性官能基の導入の容易さ、被膜の強靭性などの面から、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂が好ましい。
【0028】
本発明の製造方法において使用するビニル系共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体樹脂、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体樹脂、含フッ素ビニル系共重合体樹脂などが挙げられる。また、本発明の製造方法において使用するポリエステル樹脂としては、例えば、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、適度な水溶性または水分散性を付与するための親水性基としてカルボキシ基を含有すること、ならびに、架橋させるために、架橋性官能基あるいは自己架橋性官能基を有することが必須である。
【0029】
架橋性官能基は、架橋剤と反応して架橋結合を形成しうる官能基であり、自己架橋性官能基は、自己架橋性を有する官能基および交差結合しうる官能基のことである。
【0030】
架橋性官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、3級アミノ基、ブロック化イソシアネート基、エポキシ基、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基などが挙げられる。
【0031】
次に、架橋性官能基と架橋剤(C)との組み合わせの代表的なものの例を以下に掲げる。
(a)架橋性官能基がカルボキシル基の場合、架橋剤(C)としては、アミノ樹脂、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物、1分子中に1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基(シクロカーボネート基とも称する。)を2個以上有する化合物等が挙げられる。
(b)架橋性官能基が水酸基の場合、架橋剤(C)としては、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物およびブロック化ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
(c)架橋性官能基が第3級アミノ基の場合、架橋剤(C)としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物、1分子中に1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基を2個以上有する化合物等が挙げられる。
(d)架橋性官能基がブロック化イソシアネート基の場合、架橋剤(C)としては、1分子中に水酸基を2個以上有する化合物等が挙げられる。
(e)架橋性官能基がエポキシ基または1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基の場合、架橋剤(C)としては、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物、ポリアミン化合物、ポリメルカプト化合物等が挙げられる。
【0032】
自己架橋性を有する官能基としては、例えば、ラジカル重合性不飽和基、加水分解性アルコキシシラン基などが挙げられる。自己架橋性を補強する目的でもって、ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する化合物および加水分解性アルコキシシラン基を有する化合物を各々一部併用することもできる。
【0033】
交差結合しうる官能基は、1分子中に反応しうる2種以上の官能基を併有するもので、かかる官能基の組み合わせとしては、例えば、(a)カルボキシル基とエポキシ基、(b)カルボキシル基と1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基、(c)水酸基とブロック化イソシアネート基、(d)水酸基とN−アルコキシメチルアミド基、(e)水酸基と加水分解性アルコキシシラン基、などの組み合わせが挙げられる。
【0034】
次に、架橋性および自己架橋性官能基を樹脂に導入する具体的な方法について述べる。
【0035】
親水性基と架橋性官能基がカルボキシル基であるビニル系共重合体は、カルボキシル基を有する重合性モノマーを含有する重合性モノマー組成物を共重合する方法によって容易に製造することができる。カルボキシル基を有する重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノブチルなどのマレイン酸モノアルキル類、イタコン酸モノブチルの如きイタコン酸モノアルキル類などが挙げられる。
【0036】
重合性モノマー組成物中に含まれるカルボキシル基を有する重合性ビニルモノマー以外の重合性ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンの如き芳香族ビニルモノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸エステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニルの如きビニルエステル類;(メタ)アクリロニトリルの如き重合性ニトリル類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンまたはクロロトリフルオロエチレンの如きフッ素原子を有するビニルモノマー類;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾールの如き第3級アミノ基含有モノマー類;2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートの如き紫外線吸収性または酸化防止性を有するモノマー類;N−ビニルピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレート、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イルメチル(メタ)アクリレート、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イルメチルビニルエーテル、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドの如きN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド類などの官能基含有モノマー類;2−ホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、4−ホスホオキシブチル(メタ)アクリレートの如き燐酸基含有モノマー類;分子末端に重合性不飽和基を1個有するマクロモノマー類などが挙げられる。
【0037】
重合性ビニルモノマー組成物の重合方法は、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合など公知の各種重合方法が利用できるが、溶液重合が簡便なので好ましい。重合開始剤としては、公知の過酸化物やアゾ系化合物が使用できる。
【0038】
また、カルボキシル基を有するビニル系共重合体は、後述する水酸基を有するビニル系共重合体に、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸などの無水酸を付加反応させる方法によっても製造することができる。
【0039】
水酸基およびカルボキシル基を有するビニル系共重合体は、上述したカルボキシル基を有するビニル共重合体を製造する際に、水酸基を有する重合性モノマーを併用することにより容易に製造することができる。水酸基を有する重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、「プラクセル FM−2」や「プラクセル FA−2」(ダイセル化学工業株式会社製)に代表されるラクトン化合物を付加した(メタ)アクリルモノマー類、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノマー類、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノマー類、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0040】
第3級アミノ基およびカルボキシル基を有するビニル系共重合体は、上述したカルボキシル基を有するビニル共重合体を製造する際に、第3級アミノ基を有する重合性モノマーを併用することにより容易に製造することができる。第3級アミノ基を有する重合性モノマーとしては、例えば、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0041】
ブロック化イソシアネート基およびカルボキシル基を有するビニル共重合体は、上述したカルボキシル基を有するビニル系共重合体を製造する際に、ブロックイソシアネート基を有する重合性モノマーを併用することにより容易に製造することができる。
【0042】
ブロックイソシアネート基を有する重合性モノマーは、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基を有する重合性モノマーに公知のブロック剤を付加反応させることによって容易に得ることができる。あるいは、上述した水酸基およびカルボキシル基を有するビニル系共重合体に、イソシアネート基とブロックイソシアネート基とを有する化合物を付加反応することによっても容易に製造することができる。
【0043】
イソシアネート基とブロックイソシアネート基とを有する化合物は、ジイソシアネート化合物と公知のブロック剤とをモル比で約1:1の割合で付加反応させることによって容易に得ることができる。
【0044】
エポキシ基およびカルボキシル基を有するビニル系共重合体は、上述したカルボキシル基を有するビニル共重合体を製造する際に、エポキシ基を有する重合性モノマーを併用することにより容易に製造することができる。エポキシ基を有する重合性モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマーなどが挙げられる。
【0045】
1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基およびカルボキシル基を有するビニル系共重合体は、上述したカルボキシル基を有するビニル共重合体を製造する際に、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基を有する重合性モノマーを併用することにより容易に製造することができる。1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基を有する重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イルメチル(メタ)アクリレート,1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イルメチルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0046】
自己架橋性官能基である重合性不飽和基およびカルボキシル基を有するビニル系共重合体は、例えば、(a)エポキシ基およびカルボキシル基を有するビニル系共重合体に、第3級アミノ基を有する重合性モノマーを付加反応せしめる方法、(b)水酸基およびカルボキシル基を有するビニル系共重合体に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基を有する重合性モノマー類、あるいは、無水マレイン酸などの重合性不飽和基を有する無水酸を付加反応せしめる方法、(c)カルボキシル基を有するビニル系共重合体に、エポキシ基を有する重合性モノマーを付加反応せしめる方法、などによって容易に製造することができる。
【0047】
交差反応性官能基及びカルボキシル基を有するビニル系共重合体は、上述したカルボキシル基を有するビニル共重合体を製造する際に、(a)エポキシ基を有する重合性モノマー、(b)1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基を有する重合性モノマー、(c)水酸基を有する重合性モノマーとブロック化イソシアネート基を有する重合性モノマー、および(d)水酸基を有する重合性モノマーとN−アルコキシメチルアミド基を有する重合性モノマーなどの組み合わせの如き交差反応性官能基を有する重合性モノマーを共重合することによって容易に製造することができる。
【0048】
親水性基と架橋性官能基がカルボキシル基であるポリエステル樹脂は、カルボキシル基含有化合物と水酸基含有化合物とを、カルボキシル基が残存するように、溶融法、溶剤法などの公知の方法によって脱水縮合反応を行って製造される。
【0049】
ポリエステル樹脂は、一塩基酸、二塩基酸、多塩基酸の如きカルボキシル基を有する化合物と、ジオール、ポリオールの如き水酸基を有する化合物とを適宜選択して脱水縮合させて得られるものであり、さらに、油脂類または脂肪酸類を使用したものがアルキッド樹脂となる。
【0050】
本発明の製造方法で使用するポリエステル樹脂が有するカルボキシル基は、主に、ポリエステル樹脂を構成する二塩基酸または多塩基酸に由来する未反応のカルボキシル基である。
【0051】
二塩基酸または多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、(無水)コハク酸、セバシン酸、ダイマー酸、(無水)マレイン酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸などが挙げられる。
【0052】
二塩基酸または多塩基酸以外に使用可能なカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、テレフタル酸ジメチルの如き酸の低級アルキルエステル類;安息香酸、p−ターシャリブチル安息香酸、ロジン、水添ロジンの如き一塩基酸類;脂肪酸および油脂類;分子末端に1または2個のカルボキシル基を有するマクロモノマー類;5−ソジウムスルフォイソフタル酸およびそのジメチルエステル類などが挙げられる。
【0053】
水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートの如きポリオール類;「カージュラ E−10」(シェル化学工業株式会社製の合成脂肪酸のグリシジルエステル)などのモノグリシジル化合物類、分子片末端に水酸基を2個有するマクロモノマー類などが挙げられる。
【0054】
また、ポリエステル樹脂を合成する際に、ひまし油、12−ヒドロキシステアリン酸等の水酸基含有脂肪酸または油脂類;ジメチロールプロピオン酸、p−ヒドロキシ安息香酸等のカルボキシル基と水酸基とを有する化合物;ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物なども使用できる。
【0055】
さらに、二塩基酸の一部をジイソシアネート化合物に代えることもできる。
【0056】
また、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂は、水酸基を有するポリエステル樹脂に、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸などの無水酸を付加反応せしめる方法によっても製造することができる。
【0057】
水酸基およびカルボキシル基を有するポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂の脱水縮合反応において、公知の方法に従って、水酸基及びカルボキシル基が残存するように反応させることによって容易に製造することができる。
【0058】
第3級アミノ基およびカルボキシル基を有するポリエステル樹脂は、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミン等の3級アミノ基と水酸基とを有する化合物を、ポリエステル樹脂を製造する際のアルコール成分として使用することによって容易に製造することができる。
【0059】
自己架橋性官能基である重合性不飽和基およびカルボキシル基を有するポリエステル樹脂は、(a)水酸基及びカルボキシル基を有するポリエステル樹脂に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基を有する重合性モノマー類、あるいは、無水マレイン酸などの重合性不飽和基を有する無水酸を付加反応せしめる方法、(b)カルボキシル基を有するポリエステル樹脂に、前述した如きエポキシ基を有する重合性モノマー類を付加反応せしめる方法、(c)酸成分として無水マレイン酸などの重合性不飽和基を使用してポリエステルを合成する方法、によって容易に製造することができる。
【0060】
本発明の製造方法で使用するカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂は、カルボキシル基を導入する成分としてのジメチロールプロピオン酸の如きカルボキシル基および水酸基を有する化合物を含有するポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを反応させることによって、容易に製造することができる。
【0061】
ポリオール成分としては、ポリエステルの製造方法において掲げたジオール成分のほか、必要に応じて、3官能以上のポリオール化合物を使用することもできる。
【0062】
ポリイソシアネート成分には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添メタキシリレンジイソシアネート、粗製4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの如きジイソシアネート化合物のほか、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートの如きポリイソシアネート化合物も使用できる。
【0063】
ポリウレタン樹脂の製造は、常法に従えばよい。例えば、イソシアネート基と反応しない不活性な有機溶剤溶液中で、室温又は40〜100℃程度の温度で付加反応を行うのが好ましい。その際、ジブチル錫ジラウレート等の公知の触媒を使用しても良い。
【0064】
ポリウレタン樹脂を製造する際の反応系には、ジアミン、ポリアミン、N−メチルジエタノールアミンの如きN−アルキルジアルカノールアミン;ジヒドラジド化合物などの公知の鎖伸長剤も使用できる。
【0065】
水酸基及びカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂を製造する際に、イソシアネート基よりも水酸基が多くなる割合で反応させることにより容易に製造することができる。あるいは、カルボキシル基と末端イソシアネート基とを有するポリイソシアネート樹脂に、1分子中に水酸基を2個以上有する化合物を付加反応させることによっても容易に製造することができる。
【0066】
第3級アミノ基及びカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂は、ポリオール成分の一部としてN−メチルジエタノールアミンなどのN−アルキルジアルカノールアミンを使用することにより容易に製造することができる。
【0067】
ブロック化イソシアネート基およびカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂は、カルボキシル基と末端イソシアネート基とを有するポリイソシアネート樹脂に、公知のブロック剤を付加反応させることによって容易に製造することができる。
【0068】
エポキシ基およびカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂は、カルボキシル基と末端イソシアネート基とを有するポリイソシアネート樹脂に、水酸基とエポキシ基とを有する化合物を付加反応させることによって容易に製造することができる。
【0069】
水酸基とエポキシ基とを有する化合物としては、例えば、グリシドール、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0070】
自己架橋性官能基である重合性不飽和基およびカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂は、末端イソシアネート基を有するポリイソシアネート樹脂に、前述した如き水酸基を有する重合性モノマー類、および、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、あるいは、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどの水酸基と重合性不飽和基とを有する化合物を付加反応せしめる方法などによって容易に製造することができる。
【0071】
自己架橋性官能基の加水分解性アルコキシシラン基及びカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂は、末端イソシアネート基を有するポリイソシアネート樹脂に、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの如きイソシアネート基と反応しうる活性水素を有するシランカップリング剤を付加反応させる方法により容易に製造することができる。
【0072】
カルボキシル基と架橋性官能基とを有する樹脂(B)あるいはカルボキシル基と自己架橋性官能基とを有する樹脂(D)中のカルボキシル基の量は、酸価が30〜120の範囲となる量が好ましく、50〜100の範囲となる量がより好ましい。酸価が120を越えると、親水性が高くなり過ぎるため、被塗物の耐水性が著しく低下する傾向にあり、また、酸価が30よりも低いと、酸析して中和後の水への再分散性が低下する傾向にあるので、好ましくない。
【0073】
本発明で使用するカルボキシル基と架橋性官能基あるいは自己架橋性官能基とを有する樹脂(B)あるいは樹脂(D)が、ビニル系共重合体又はポリウレタン樹脂である場合、数平均分子量が5,000〜20,000の範囲にあるものが好ましい。数平均分子量が5,000よりも低いと、被覆剤に使用した時、被塗物が脆くなる傾向にあり、また、数平均分子量が、20,000よりも高いと、微細なカーボンブラックまたは有機顔料分散体を得にくくなる傾向にあるので好ましくない。
【0074】
本発明で使用するカルボキシル基と架橋性官能基あるいは自己架橋性官能基とを有する樹脂(B)あるいは樹脂(D)が、ポリエステル樹脂である場合、分子量は、ポリエステル樹脂が分岐型であることがほとんどなので、線状のビニル系共重合体などの場合とは異なり、数平均分子量が小さくとも重量平均分子量は大きいので、被膜としての充分なる強靭性を有する。従って、ポリエステル樹脂の数平均分子量は、1,000〜20,000の範囲にあるものが好ましく、重量平均分子量は、5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。
【0075】
本発明では、カーボンブラックまたは有機顔料を使用する
【0076】
有機顔料の代表的なものとしては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローおよびパーマネントレッドなどのフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリノン系、ジオキサジン系、ペリレン系、キナクリドン系、アゾ系金属錯体、メチン系金属錯体、チオインジゴ系、イソインドリノン系、イソインドリン系、スレン系、ジアミノアンスラキノニル系などが挙げられる。
【0077】
本発明で使用するカーボンブラックまたは有機顔料は、粉末および固形化されたものであってもよいし、あるいは、水性スラリーやプレスケーキといった水に分散した状態のカーボンブラックまたは有機顔料も使用できる。
【0078】
次に、本発明における製造工程を順次述べる。
【0079】
まず、カルボキシル基と架橋性官能基あるいは自己架橋性官能基とを有する樹脂(B)あるいは樹脂(D)とカーボンブラックまたは有機顔料とを混合または混練する工程では、次の2方法が適当である。
(1)有機溶剤媒体中で樹脂とカーボンブラックまたは有機顔料とを混練した後、水性媒体中に分散する方法。
(2)水性媒体中でカーボンブラックまたは有機顔料を混合または混練する方法。
【0080】
第(1)の方法において、有機溶剤中で樹脂とカーボンブラックまたは有機顔料とを混練するには、まず、粉末あるいは固形カーボンブラックまたは有機顔料と樹脂の有機溶剤溶液とを、ボールミル、サンドミル、コロイドミルなどの公知の分散機を使用して微細に混練する。
【0081】
第(1)の方法において使用する有機溶剤は、一般に使用されるものがすべて使用できるが、樹脂に対する溶解性が良く、樹脂の合成上も問題がないもの、蒸気圧が水より高く脱溶剤を行い易いもの、さらに、水と混和性のあるものが好ましい。そのような有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。また、水との混和性は低いが、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−プロピルケトン、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、塩化メチレン、ベンゼンなども使用できる。
【0082】
有機溶剤、樹脂およびカーボンブラックまたは有機顔料から成る分散体を、水性媒体中に分散させるには、樹脂のカルボキシル基を塩基性化合物(F1)でもって中和し、樹脂を親水性化することによって水中に分散することができる。
【0083】
水への分散方法には次のような方法が適当ある。
(a)有機溶剤、カーボンブラックまたは有機顔料および樹脂から成る分散体を、塩基性化合物でもって中和した後、水を滴下する方法。
(b)有機溶剤、カーボンブラックまたは有機顔料および塩基性化合物を用いて中和した樹脂から成る分散体に、水を滴下する方法。
(c)有機溶剤、カーボンブラックまたは有機顔料および樹脂から成る分散体に、塩基性化合物を含有する水を滴下する方法。
(d)有機溶剤、カーボンブラックまたは有機顔料および樹脂から成る分散体を塩基性化合物でもって中和した後、水媒体中に添加する。
(e)有機溶剤、カーボンブラックまたは有機顔料および塩基性化合物を用いて中和した樹脂から成る分散体を、水媒体中に添加する。
(f)有機溶剤、カーボンブラックまたは有機顔料および樹脂から成る分散体を、塩基性化合物を含有する水媒体中に添加する。
【0084】
水に分散する時には、通常の低シェアーでの撹拌、ホモジナイザーなどでの高シェアー撹拌、あるいは、超音波などを使用して行ってもよい。また、水性媒体への分散を補助する目的でもって、界面活性剤や保護コロイドなどを、被塗物の耐水性を著しく低下させない範囲で併用することもできる。
【0085】
塩基性化合物(F1)としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの如き無機塩基、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モルホリンの如き有機アミンなどが使用できる。
【0086】
第(2)の方法において、水性媒体中で樹脂とカーボンブラックまたは有機顔料とを混練するには、まず、樹脂のカルボキシル基を前記した如き塩基性化合物(F1)を用いて中和した後、水性媒体中でカーボンブラックまたは有機顔料と混合または混練する。この時、水に溶解または分散した樹脂が、有機溶剤を含有していても差し支えないし、脱溶剤を行って実質的に水のみの媒体であってもよい。カーボンブラックまたは有機顔料は、粉末カーボンブラックまたは有機顔料、水性スラリー、プレスケーキのいずれも使用できる。水性媒体中での分散においては、製造工程を簡略化するために、カーボンブラックまたは有機顔料粒子の2次凝集が少ない水性スラリーまたはプレスケーキを使用することが好ましい。混練方法、有機溶剤、塩基性化合物(F1)は、有機溶剤媒体中での分散と同じ方法、同じものであってよい。
【0087】
尚、カルボキシル基と架橋性官能基あるいは自己架橋性官能基とを有する樹脂(B)あるいは樹脂(D)を親水性化するために行う塩基性化合物(F1)によるカルボキシル基の中和は、樹脂が親水性化してカーボンブラックまたは有機顔料の水性分散体(1a)あるいは(1b)が得られる程度以上に樹脂が親水性化すればよく、樹脂中のカルボキシル基の全部を中和する必要はない。通常は、樹脂中のカルボキシル基の50〜100モル%程度を中和する。
【0088】
有機溶剤系、水性系いずれの混練の場合であっても、カーボンブラックまたは有機顔料の分散を補助する目的でもって、顔料分散剤や湿潤剤を被塗物の耐水性を低下させない範囲で併用することもできる。
【0089】
カーボンブラックまたは有機顔料を混練する際、あるいは、混練後に、カーボンブラックまたは有機顔料以外の物質、例えば、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、被覆剤バインダーの架橋触媒、防錆剤、香料、薬剤などを添加することもできる。
【0090】
樹脂とカーボンブラックまたは有機顔料との割合は、カーボンブラックまたは有機顔料100重量部に対して、樹脂の固形分で1〜200重量部の範囲が好ましく、5〜100重量部の範囲が特に好ましい。樹脂固形分の割合が1重量部よりも少ない場合、カーボンブラックまたは有機顔料を充分微細に分散しにくくなる傾向にあり、また、200重量部よりも多い場合、分散体中のカーボンブラックまたは有機顔料の割合が少なくなり、塗装剤などに使用するとき、配合設計上の余裕がなくなる傾向にあるので好ましくない。
【0091】
水性媒体中に微分散したカーボンブラックまたは有機顔料に樹脂を強く固着化する目的でもって行われる酸析は、塩基性化合物(F1)によって中和されたカルボキシル基を、酸性化合物(E)を加え、pHを中性または酸性にすることによって、樹脂を疎水性化せしめて行われる。使用される酸性化合物(E)としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸の如き無機酸類;蟻酸、酢酸、プロピオン酸の如き有機酸類などが挙げられるが、排水中の有機物が少なく、かつ、酸析効果も大きい塩酸などの無機酸が好ましい。pHは、3〜6の範囲が好ましいが、カーボンブラックまたは有機顔料によっては酸によって分解されるものもあり、このようなカーボンブラックまたは有機顔料の場合には、pH4〜7の範囲で酸析することもできる。ただし、樹脂あるいは架橋剤がエポキシ基を有する場合、塩酸や有機酸はエポキシ基と反応するので酸性化合物としての使用は好ましくなく、そのような場合には、燐酸などが好ましく用いることができ、pHも5〜7程度が好ましい。酸析を行う前に、系に存在する有機溶剤を減圧蒸留などで除くことも好ましい。
【0092】
酸析後、必要に応じて、濾過および水洗を行って分散カーボンブラックまたは有機顔料の含水ケーキを製造する。濾過は、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離など公知の方法が採用できる。
【0093】
この含水ケーキは、乾燥させることなく、含水した状態のままで塩基性化合物(F2)を用いてカルボキシル基を再中和することによって、カーボンブラックまたは有機顔料粒子が凝集することなく、微細な状態を保持したままで水性媒体中に再分散される。塩基性化合物(F2)は、被塗物の耐水性などを考慮すると、アンモニア、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミンの如き揮発性アミン化合物が好ましい。
【0094】
次に、本発明における架橋について述べる。
【0095】
架橋が、自己架橋の場合、再中和後の水性分散体の状態での架橋が行われる
【0096】
カルボキシル基とエポキシ基による自己架橋、水酸基とN−アルコキシメチルアミド基による自己架橋、加水分解性アルコキシシラン基による自己架橋は、前述した如き条件で架橋することができ、より速やかに架橋を行うために、適宜、架橋触媒を使用することができる。
【0097】
ラジカル重合性不飽和基による自己架橋の場合は、過硫酸カリ、過硫酸アンモニアなどの水溶性の重合開始剤を添加して、さらには、重合をレドックス系にして、50〜90℃程度の温度で架橋することができる。
【0098】
一方、架橋が架橋剤(C)を使用して行われる場合には、架橋剤の配合は、使用する樹脂、酸析前の水性分散体、酸析後の含水ケーキの、樹脂が固着した顔料(A)を水性媒体に再分散させる工程(2)またはそれより前の任意の時期のいずれに配合することもできるが、架橋は、再中和後の水性分散体の状態である。しかしながら、顔料のより微細な水性分散体を得るためには、次のような、架橋剤、配合方法、架橋方法によるのが好ましい。
【0099】
架橋剤(C)は、水に無限大に溶解するもの、適度な親水性を有しているもの、完全に疎水性のものであっても、いずれも使用することができる。完全に疎水性のものは、カルボキシル基および架橋性官能基を有する樹脂(B)と混合して水に分散することによって、粒子内に取り込むことができる。
【0100】
これらの架橋剤(C)の中でも好ましい架橋剤としては、水に無限大に溶解するものではなく、かつ、完全に疎水性のものでもなく、適度な親水性を有しているものが挙げられる。水に無限大に溶解するものでは、架橋剤が水性媒体中に一部溶解しているため、分散粒子間での架橋が無視できず、粗大粒子が発生する危険性があり、また、完全に疎水性のものでは、水性媒体中に良好に分散できず、やはり、粗大粒子が発生する危険性がある。本発明における架橋剤(C)の親水性度は、10〜2,000%なる範囲の水トレランスを有するものであるのが好ましく、20〜1,000%なる範囲のものがより好ましい。
【0101】
水トレランスとは、次の測定によるものである。
【0102】
樹脂溶液の5gを100ccの三角フラスコに計り取り、25℃で撹拌しながらイオン交換水を滴下し、液が濁ってきて新聞の字が読めなくなるときの滴下水の量を、樹脂に対する%で表わす。例えば、イオン交換水が10ccの時は、水トレランスは200%になる。
【0103】
架橋剤(C)を配合する段階は、カーボンブラックまたは有機顔料との混練前に、使用樹脂溶液に配合することが好ましい。樹脂(B)の溶液と架橋剤(C)との混合溶液でもって、有機溶剤系でカーボンブラックまたは有機顔料(A)を混練してから水に分散する場合も、あるいは、混合溶液を水に分散してからカーボンブラックまたは有機顔料(A)を混練する場合のいずれであっても、架橋剤(C)は樹脂(B)によってカプセル化されて水に分散した状態になり、架橋は専ら粒子内部でのみ起こるので、粗大な粒子が発生しなくなる。
【0104】
架橋時期は、前記したようにカーボンブラックまたは有機顔料の水性分散体(1a)を得た後であればいつでもよいが、酸析を行うための酸性化合物(E)の添加前、あるいは、再中和後の水性分散体での架橋が好ましく、再中和後の水性分散体での架橋が最も好ましい。
【0105】
架橋は、常圧下50〜100℃での加熱による架橋が好ましいが、場合により、加圧下100〜150℃程度で架橋することもできる。架橋触媒を使用することも推奨できる。
【0106】
かかる架橋剤(C)としては、例えば、アミノ樹脂、分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物が挙げられる。
【0107】
アミノ樹脂は、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などが代表的なもので、ホルムアルデヒドでメチロール化した後、メタノールやブタノールでエーテル化されたものである。
【0108】
エポキシ基を2個以上有する化合物は、エポキシ樹脂と称する各種のポリグリシジルエーテル類、ポリグリシジルエステル類、および、グリシジルメタアクリレートなどのエポキシ基を有する重合性モノマーを共重合したビニル系共重合体などである。
【0109】
樹脂(B)と架橋剤(C)との配合割合は、固形分比でもって、概ね、50:50〜95:5の範囲が好ましく、70:30〜90:10の範囲が特に好ましい。
【0110】
このようにして得られる水性顔料分散体は、体積平均粒子径が10〜500nmなる範囲にあるものが好ましい。体積平均粒子径が500nmよりも大きいと、被塗物の光沢や、発色性、着色力の良いものが得られなくなる傾向にあるので好ましくなく、また、10nmよりも小さくすることは非常に困難で現実的ではない。
【0111】
このようにして得られる水性顔料分散体は、各種の水性着色剤組成物、例えば、水性塗料、水性インキ、捺染剤などに配合して使用される。
【0112】
【実施例】
以下、実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、『重量部』及び『重量%』をそれぞれ表わす。
【0113】
また、本発明における分子量は、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)により測定したものであり、体積平均粒子径は、「UPA−150」(日揮装社製のレーザードップラー式粒度分布計)により測定したものである。
【0114】
(合成例1)[カルボキシル基および水酸基を有するビニル系共重合体の合成]滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置および還流冷却管を備えた3リットルの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン1,000部を仕込んで78℃まで昇温した後、スチレン100部、n−ブチルメタクリレート538部、n−ブチルアクリレート104部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート150部、メタクリル酸108部およびターシャリブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製の「パーブチル オー」)80部からなる混合液を4時間をかけて滴下し、同温度にて8時間反応させた。反応終了後に、メチルエチルケトンを加えて、不揮発分が50%になるように調整して、樹脂固形分での酸価が70(以下、酸価は樹脂固形分での値で表す。)で、数平均分子量が6,000の樹脂溶液Aを得た。
【0115】
(合成例2)[カルボキシル基および水酸基を有するビニル系共重合体の合成]合成例1において、使用するモノマー及び重合開始剤を、スチレン100部、n−ブチルメタクリレート454部、n−ブチルアクリレート143部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート150部、メタクリル酸153部およびターシャリブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート20部に変更した以外は、合成例1と同様にして、樹脂固形分での酸価が100で、数平均分子量が16,000の樹脂溶液Bを得た。
【0116】
(合成例3)[カルボキシル基およびエポキシ基を有するビニル系共重合体の合成]
合成例1において、使用するモノマー及び重合開始剤を、スチレン100部、n−ブチルメタクリレート476部、n−ブチルアクリレート116部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート150部、グリシジルメタクリレート50部、メタクリル酸108部およびターシャリブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート80部に変更した以外は、合成例1と同様にして、樹脂固形分での酸価が70で、数平均分子量が10,500の樹脂溶液Cを得た。
【0117】
(合成例4)[カルボキシル基およびN−ブトキシメチルアミド基を有するビニル系共重合体の合成]
合成例1において、メチルエチルケトン1,000部に代えて、メチルエチルケトン800部及びイソプロピルアルコール200部を用い、使用するモノマー及び重合開始剤を、スチレン100部、n−ブチルメタクリレート459部、n−ブチルアクリレート83部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート150部、N−ブトキシメチルメタクリルアミド100部、メタクリル酸108部およびターシャリブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート80部に変更した以外は、合成例1と同様にして、樹脂固形分での酸価が70で、数平均分子量が8,000の樹脂溶液Dを得た。
【0118】
(合成例5)[重合性不飽和基を有するビニル系共重合体の合成]
滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置および還流冷却管を備えた3リットルの四つ口フラスコに、合成例1で得た樹脂溶液A190部、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート5部および「スワノックスBHT」(星光化学工業株式会社製の重合禁止剤)0.05部とを仕込んで、70℃にて3時間反応させた。反応終了後に、メチルエチルケトンを加えて、不揮発分が50%になるように調整して、樹脂固形分での酸価が67で、数平均分子量が7,000の樹脂溶液Eを得た。
【0119】
(合成例6)[カルボキシル基および水酸基を有するポリエステル樹脂の合成]脱水管、温度計、窒素ガス導入管および撹拌装置を備えた2リットルの四つ口フラスコに、「カージュラ E−10」(シェル化学工業株式会社製の合成脂肪酸のグリシジルエステル)100部、アジピン酸241部、ヘキサヒドロ無水フタル酸376部、ネオペンチルグリコール195部、トリメチロールプロパン165部およびジブチル錫ジオキサイド0.5部を仕込み、脱水しながら5時間をかけて190℃まで昇温させた後、同温度にて脱水縮合反応を行った。サンプリングを行って酸価を測定し、目標酸価が60となるように反応を終了し、降温してからメチルエチルケトンを加えて不揮発分が65%となるように希釈して、酸価が61で、数平均分子量が2,200で、重量平均分子量が30,000で、樹脂固形分当たりの水酸基価が60なる樹脂溶液Fを得た。
【0120】
(合成例7)[カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂の合成]
温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置および還流冷却管を備えた3リットルの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン900部、ジメチロールプロピオン酸129部、「プラクセル 212」(ダイセル化学工業株式会社製のポリラクトンジオール)521部およびイソホロンジイソシアネート350部を仕込み、78℃で2時間反応させた後、ジブチル錫ジラウレート0.1部を加えて、更に同温度で4時間反応させた。反応終了後、反応混合物を30℃まで降温させた後、エチレンジアミン5.8部およびメチルエチルケトン106部から成る溶液を仕込んで、1時間反応を行ない、酸価が54で、数平均分子量が12,000なる樹脂溶液Gを得た。
【0121】
(実施例1)
(1)水性媒体中で有機顔料を混練する顔料分散工程
樹脂溶液A12.8部(固形分で6.4部)を、ジメチルエタノールアミン0.71部を用いて中和した後、「ニカラック MX−041」(三和ケミカル工業株式会社製のメチルエーテル化メラミン樹脂)2.29部(固形分で1.6部)を混合した。この混合溶液中に、「ファストゲン・スーパー・マルーン(Fastogen Super Maroon)PSK」(大日本インキ化学工業株式会社製のペリレン系顔料)の顔料分が16%である水性スラリー50部(顔料分で8部)を撹拌しながら加えた。
【0122】
(2)酸析工程
分散試料に水(本明細書では、すべてイオン交換水を使用)を加えて倍に希釈し、ディスパーで撹拌しながら、1規定塩酸水溶液を樹脂が不溶化して有機顔料に固着するまで加えた。この時のpHは概ね3〜5であった。
【0123】
(3)濾過および水洗工程
樹脂が固着した有機顔料を吸引濾過し、次いで、洗液のpHが6を越えるようになるまでイオン交換水で水洗して含水ケーキを得た。
【0124】
(4)中和および水性媒体への再分散工程
含水ケーキが流動するようになるまで水を加え、ディスパーで撹拌しながら、ジメチルエタノールアミンの10%水溶液を、分散体のpHが8.5〜9.5になるまで加えた後、そのまま1時間撹拌を継続した。再分散体に、水を加えて、不揮発分が20%に調整した。
【0125】
(5)架橋工程
再分散体に、「ナキュアー(Nacure)2500X」(楠本化成株式会社製の架橋触媒)を樹脂固形分に対して0.5%加え、95℃にて1時間架橋反応を行って、水性顔料分散体(A−1)を得た。
【0126】
(比較例1)
樹脂溶液A16部(固形分で8部)を、ジメチルエタノールアミン0.80部を用いて中和した溶液中に、「ファストゲン・スーパー・マルーンPSK」の顔料分が16%である水性スラリー50部(顔料分で8部)を撹拌しながら加えた後、脱溶剤を行った。これに、水を加えて不揮発分が20%と成るように調整して、水性顔料分散体(a−1)を得た。
【0127】
(比較例2)樹脂溶液A16部(固形分で8部)を、ジメチルエタノールアミン0.80部を用いて中和した溶液中に、「ファストゲン・スーパー・マルーンPSK」の顔料分が16%である水性スラリー50部(顔料分で8部)を撹拌しながら加えた後、分散試料に水を加えて倍に希釈し、ディスパーで撹拌しながら、1規定塩酸水溶液を樹脂が不溶化して有機顔料に固着するまで加えた。この時のpHは概ね3〜5であった。
【0128】
次に、樹脂が固着した有機顔料を吸引濾過し、次いで、洗液のpHが6を越えるようになるまでイオン交換水で水洗して含水ケーキを得た。
【0129】
含水ケーキが流動するようになるまで水を加え、ディスパーで撹拌しながら、ジメチルエタノールアミンの10%水溶液を、分散体のpHが8.5〜9.5になるまで加えた後、そのまま1時間撹拌を継続した。再分散体に、水を加えて、不揮発分が20%に調整して、水性顔料分散体(a−2)を得た。
【0130】
(比較例3)
実施例1において、顔料分散工程で得た分散試料に対して、脱溶剤を行った後、架橋させた以外は、実施例1と同様にして水性顔料分散体(a−3)を得た。
【0131】
(実施例2)
(1)顔料分散工程
樹脂溶液B14.4部(固形分で7.2部)、「ファストゲン・スーパー・マルーンPSK」粉末8部およびメチルエチルケトン40部を、平均径が1.5mmのガラスビーズ130部とともに250ccガラスビンに仕込み、ペイントシェーカーにより4時間混練した。
【0132】
次に、この混練物に、「CR−5L」(大日本インキ化学工業株式会社製の親水性エポキシ樹脂)0.8部およびメチルエチルケトン24部を加えて撹拌した後、濾過によりガラスビーズを除いた。
【0133】
ジメチルエタノールアミン1.2部および水100部からなる水溶液中に、この分散液87.2部を、ディスパーで撹拌しながら投入して、分散試料を得た。
【0134】
(2)酸析工程
分散試料に水を加えて倍に希釈し、ディスパーで撹拌しながら、1規定燐酸水溶液を樹脂が不溶化して有機顔料に固着するまで加えた。この時のpHは5であった。
【0135】
(3)濾過および水洗工程
樹脂が固着した有機顔料を吸引濾過し、次いで、洗液のpHが6を越えるようになるまでイオン交換水で水洗して含水ケーキを得た。
【0136】
(4)中和および水性媒体への再分散工程
含水ケーキが流動するようになるまで水を加え、ディスパーで撹拌しながら、ジメチルエタノールアミンの10%水溶液を、分散体のpHが8.5〜9.5になるまで加えた後、そのまま1時間撹拌を継続した。再分散体に、水を加えて、不揮発分が20%に調整した。
【0137】
(5)架橋工程
再分散体を、95℃にて1時間架橋反応を行って、水性顔料分散体(B−1)を得た。
【0138】
(比較例4)
実施例2において、樹脂溶液Bの使用量を16部とし、エポキシ樹脂を使用せず、1規定燐酸水溶液に代えて、1規定塩酸水溶液を用いた以外は、実施例2と同様にして、水性顔料分散体(b−1)を得た。
【0139】
(比較例5)
実施例2において、顔料分散工程で得た分散試料に対して、脱溶剤を行った後、架橋させた以外は、実施例2と同様にして水性顔料分散体(b−2)を得た。
【0140】
(実施例3)
実施例1において、メラミン樹脂を使用せず、樹脂溶液Aに代えて、樹脂溶液C16部(固形分で8部)を使用し、ジエチルエタノールアミンの使用量を0.80部とし、1規定塩酸水溶液に代えて、1規定燐酸水溶液を使用してpH5と成るまで酸析し、「ナキュアー 2500X」を使用せずに架橋反応を95℃で1時間行った以外は、実施例1と同様にして、自己架橋型水性顔料分散体(C−1)を得た。
【0141】
(実施例4)
実施例1において、メラミン樹脂を使用せず、樹脂溶液Aに代えて、樹脂溶液D16部(固形分で8部)を使用し、架橋反応を120℃にて1時間行った以外は、実施例1と同様にして、自己架橋型水性顔料分散体(D−1)を得た。
【0142】
(実施例5)
実施例1において、メラミン樹脂を使用せず、樹脂溶液Aに代えて、樹脂溶液E16部(固形分で8部)を使用し、「ナキュアー 2500X」に代えて、過硫酸アンモニアを樹脂固形分に対して0.5%使用し、架橋反応を90℃で3時間行った以外は、実施例1と同様にして、自己架橋型水性顔料分散体(E−1)を得た。
【0143】
(実施例6)
(1)顔料分散工程
樹脂溶液F12.8部(固形分で6.4部)、「ファストゲン・ブルー(Fastogen Blue)FGF」(大日本インキ化学工業株式会社製の銅フタロシアニン顔料)粉末8部およびメチルエチルケトン40部を、平均径が1.5mmのガラスビーズ130部とともに250ccガラスビンに仕込み、ペイントシェーカーにより4時間混練した。
【0144】
次に、この混練物に、「ニカラック MX−041」2.29部(固形分で1.6部)、「ナキュアー 2500X」0.04部およびメチルエチルケトン24部を加えて撹拌した後、濾過によりガラスビーズを除いた。
【0145】
ジメチルエタノールアミン0.65部および水100部からなる水溶液中に、この分散液87.13部を、ディスパーで撹拌しながら投入し、次いで、減圧で脱溶剤を行って、分散試料を得た。
【0146】
(2)酸析工程〜架橋工程
この分散試料を用い、架橋工程で「ナキュアー 2500X」を使用せずに架橋反応を95℃で1時間行った以外は、実施例1と同様に、順次、酸析工程、濾過および水洗工程、中和および水性媒体への再分散工程、架橋工程を行って、水性顔料分散体(F−1)を得た。
【0147】
(実施例7)
実施例6の顔料分散工程で得られた分散試料を用い、架橋反応を95℃で2時間行った後、実施例1と同様に、順次、酸析工程、濾過および水洗工程、中和および水性媒体への再分散工程を行って、水性顔料分散体(F−2)を得た。
【0148】
(比較例6)
(1)顔料分散工程
樹脂溶液F16部(固形分で8部)、「ファストゲン・ブルー(Fastogen Blue)FGF」粉末8部およびメチルエチルケトン40部を、平均径が1.5mmのガラスビーズ130部とともに250ccガラスビンに仕込み、ペイントシェーカーにより4時間混練した。
【0149】
次に、この混練物に、メチルエチルケトン24部を加えて撹拌した後、濾過によりガラスビーズを除いた。
【0150】
ジメチルエタノールアミン0.8部および水100部からなる水溶液中に、この分散液88部を、ディスパーで撹拌しながら投入し、次いで、減圧で脱溶剤を行って、分散試料を得た。
【0151】
(2)酸析工程〜中和および水性媒体への再分散工程
この分散試料を用い、架橋工程を行わなかった以外は、実施例1と同様に、順次、酸析工程、濾過および水洗工程、中和および水性媒体への再分散工程を行って、水性顔料分散体(f−1)を得た。
【0152】
(比較例7)
実施例6において、酸析工程を行わなかった以外は、実施例6と同様にして水性顔料分散体(f−2)を得た。
【0153】
(実施例8)
(1)顔料分散工程
樹脂溶液G7.2部(固形分で3.6部)をジメチルエタノールアミン0.31部で中和した後、「CR−5L」0.4部を混合し、撹拌しながら水43.1部を滴下して水性分散体とした。
【0154】
この水性分散体に「シムラー・ファスト・レッド(Symuler Fast Red)4195」(大日本インキ化学工業株式会社製の不溶性アゾ顔料)8部およびガラスビーズ130部を加えて、ペイントシェーカーで4時間混練した後、濾過によりガラスビーズを除いて分散試料を得た。
【0155】
(2)酸析工程
分散試料に水を加えて倍に希釈し、ディスパーで撹拌しながら、1規定燐酸水溶液を樹脂が不溶化して有機顔料に固着するまで加えた。この時のpHは5であった。
【0156】
(3)濾過および水洗工程
樹脂が固着した有機顔料を吸引濾過し、次いで、洗液のpHが6を越えるようになるまでイオン交換水で水洗して含水ケーキを得た。
【0157】
(4)中和および水性媒体への再分散工程
含水ケーキが流動するようになるまで水を加え、ディスパーで撹拌しながら、10%アンモニア水を、分散体のpHが8.5〜9.5になるまで加えた後、そのまま1時間撹拌を継続した。再分散体に、水を加えて、不揮発分が20%に調整した。
【0158】
(5)架橋工程
再分散体を、95℃にて1時間架橋反応を行って、分散用樹脂/有機顔料の比が固形分比で1/2である水性顔料分散体(G−1)を得た。
【0159】
(比較例8)実施例8において、「CR−5L」を使用せずに樹脂溶液G8部(固形分で4部)を使用して有機顔料を混練し、次いで、酸析を行い、濾過および水洗後にアンモニア水で中和して水に分散させて、分散用樹脂/有機顔料の比が固形分比で1/2である非架橋の水性顔料分散体(g−1)を得た。
【0160】
(比較例9)実施例8において、樹脂溶液Gをアンモニア水で中和し、酸析を行わずに、脱溶剤を行ってから架橋して、分散用樹脂/有機顔料の比が固形分比で1/2である水性顔料分散体(g−2)を得た。
【0161】
以上のようにして得た各種水性顔料分散体の構成を以下の表1にまとめて示した。
【0162】
【表1】
Figure 0003864321
【0163】
上表中、PSKは「ファストゲン・スーパー・マルーンPSK」を、FGFは「ファストゲン・ブルーFGF」を、4195は「シムラー・ファスト・レッド4195」をそれぞれ表わす。
【0164】
(実施例9)
Figure 0003864321
の割合になるように配合し、水を加えて不揮発分が24%になるように希釈して、水溶性焼き付けアクリル樹脂塗料を調製した。
【0165】
この塗料を、「BT−144処理鋼板」(日本パーカーライジング社製の燐酸亜鉛処理鋼板)に膜厚が20±2μmとなるように、バーコーターを用いて塗装し、10分セッティング後、150℃にて20分間焼き付けを行って、試験片を作製した。
【0166】
また、この塗料を、コロナ放電処理PETフィルムに膜厚が10±1μmとなるように、バーコーターを用いて塗装し、10分セッティング後、150℃にて20分間焼き付けを行って、試験片を作製した。
【0167】
(比較例10〜12)
実施例9において、水性顔料分散体(A−1)に代えて、水性顔料分散体(a−1)、(a−2)または(a−3)をそれぞれ使用した以外は、実施例9と同様にして、水溶性焼き付けアクリル樹脂塗料を調製し、試験片を作製した。
【0168】
(実施例10)
実施例9において、水性顔料分散体(A−1)に代えて、水性顔料分散体(B−1)を使用した以外は、実施例9と同様にして、水溶性焼き付けアクリル樹脂塗料を調製し、試験片を作成した。
【0169】
(比較例13および14)
実施例9において、水性顔料分散体(A−1)に代えて、水性顔料分散体(b−1)または(b−2)をそれぞれ使用した以外は、実施例9と同様にして、水溶性焼き付けアクリル樹脂塗料を調製し、試験片を作成した。
【0170】
(実施例11〜13)
実施例9において、水性顔料分散体(A−1)に代えて、水性顔料分散体(C−1)、(D−1)または(E−1)をそれぞれ使用した以外は、実施例9と同様にして、水溶性焼き付けアクリル樹脂塗料を調製し、試験片を作成した。
【0171】
(実施例14および15)
実施例9において、「ウオーターゾール S−751」に代えて、「ウオーターゾール S−212」(大日本インキ化学工業株式会社製の不揮発分65%の焼き付け塗料用水溶性ポリエステル樹脂)43部(固形分で28部)を使用し、水性顔料分散体(A−1)に代えて、水性顔料分散体(F−1)または(F−2)をそれぞれ使用した以外は、実施例9と同様にして水溶性ポリエステル樹脂焼き付け塗料を調製し、試験片を作製した。
【0172】
(比較例15および16)
実施例14において、水性顔料分散体(F−1)に代えて、水性顔料分散体(f−1)または(f−2)をそれぞれ使用した以外は、実施例14と同様にして水溶性ポリエステル樹脂焼き付け塗料を調製し、試験片を作製した。
【0173】
(実施例16)
Figure 0003864321
となるように配合し、エタノール10部を加えて、不揮発分が20%の水性インキを調製した。
【0174】
このインキを、コロナ放電処理PETフィルム上にNo.7のバーコーターを用いて塗装した後、60℃で1分間乾燥させて試料を作製した。
【0175】
(比較例17および18)
実施例16において、水性顔料分散体(G−1)に代えて、水性顔料分散体(g−1)または(g−2)をそれぞれ使用した以外は、実施例16と同様にして、水性インキを調製し、試料を作製した。
【0176】
(実施例17)
まず、捺染糊を、以下のようにして調製した。
「リュウダイW Reducer Conc 500」 50部
(大日本インキ化学工業株式会社製の増粘剤)
ミネラルターペン 650部
水 300部
をビーカーに計り取り、ホモミキサーで30分間撹拌して調製した。
【0177】
次に、以下のように配合して捺染剤を調製した。
水性顔料分散体(A−1) 1.0部(顔料分0.1部)
水 1.0部
上記捺染糊 16.0部
「リュウダイW Fixer 756K−1」2.0部
(大日本インキ化学工業株式会社製のアクリル樹脂エマルジョン)
をビーカーに計り取り、ホモミキサーで30分間撹拌して捺染剤を調製した。
【0178】
標準品としての捺染剤は、次のようにして調製した。
カラーベースの調製
「ファストーゲン・スーパー・マルーンPSK」 15.0部
「エマルゲン 911」(花王社製の界面活性剤) 7.2部
水 77.8部
を、平均径1.5mmのガラスビーズ130gと共に、250ccのガラスビンに秤量し、ペイントシェーカーで用いて4時間混練してカラーベースを調製した。
【0179】
次に、
上記カラーベース 0.67部(顔料分0.1部)
水 1.33部
捺染糊 16.00部
「リュウダイW Fixer 756K−1」 2.00部
をビーカーに計り取り、ホモミキサーで30分間撹拌して標準捺染剤を調製した。
【0180】
このようにして調製した捺染剤を、90メッシュスクリーンを用いて綿サテン上にドクターを用いて展色し、120℃で5分間乾燥させて試験布とした。
【0181】
(比較例19〜21)
実施例17において、水性顔料分散体(A−1)に代えて、水性顔料分散体(a−1)、(a−2)または(a−3)をそれぞれ用いた以外は、実施例17と同様にして、捺染剤を調製し、試験布を作製した。
【0182】
(実施例18)
実施例17において、水性顔料分散体(A−1)に代えて、水性顔料分散体(B−1)を用いた以外は、実施例17と同様にして、捺染剤を調製し、試験布を作製した。
【0183】
(比較例22および23)
実施例17において、水性顔料分散体(A−1)に代えて、水性顔料分散体(b−1)または(b−2)をそれぞれ用いた以外は、実施例17と同様にして、捺染剤を調製し、試験布を作製した。
【0184】
<評価>
(1)体積平均粒子径
各実施例および各比較例で得た水性顔料分散体の調製直後、および、室温で30日放置後の体積平均粒子径を、「UPA−150」(日揮装社製のレーザードップラー式粒度分布計)を用いて測定した。その結果を表2にまとめて示した。
【0185】
【表2】
Figure 0003864321
【0186】
表2に示した結果から、本発明の製造方法で得た水性顔料分散体は、製造直後及び製造後30日経過後において、粒子径の大きさがほぼ一定であるから分散安定性に優れていることが理解できる。一方、比較例1、3、5、7および9で得た水性顔料分散体は、酸析を行っていないので、分散安定性が良くなく、また、比較例2、6および8で得た水性顔料分散体は、酸析を行っているので、分散安定性に優れているが、架橋剤を用いて架橋していないので、後述するように、塗膜の耐水性に劣るものである。
【0187】
(2)焼き付け塗料における評価
実施例9〜15および比較例10〜16で得た塗料について、以下の評価を行った。水溶性アクリル樹脂焼き付け塗料の結果を表3に、水溶性ポリエステル樹脂焼き付け塗料の結果を表4にまとめて示した。
【0188】
・光沢:「BT−144処理鋼板」に塗装したものを、60°鏡面光沢で測定した。
【0189】
・発色性:PETフィルムに塗装したものを、目視で判定した。
評価基準
◎:色の濃度、隠蔽性が高い。
【0190】
○:色の濃度、隠蔽性がやや劣る。
△:色の濃度、隠蔽性がかなり劣る。
×:色の濃度、隠蔽性がかなり劣り、鮮鋭性も低い。
【0191】
・耐水性:「BT−144処理鋼板」に塗装したものを、温度50℃の水に浸漬し、96時間後にブリスターの発生具合を目視にて判定した。
評価基準
◎:全く異常なし。
【0192】
○:わずかにブリスターの発生が認められた。
△:かなりのブリスターの発生が認められた。
×:試験片の全面にブリスターが発生した。
【0193】
【表3】
Figure 0003864321
【0194】
【表4】
Figure 0003864321
【0195】
表3及び表4に示した結果から、本発明の製造方法で得た水性顔料分散体を用いた塗料は、光沢、発色性および耐水性に優れていることが理解できる。
【0196】
(3)水性インキにおける評価
実施例16および比較例17〜18で得た水性インキについて、以下の評価を行った。その結果を表5にまとめて示した。
【0197】
・光沢:60°鏡面光沢
・発色性:焼き付け塗料の場合と同じ評価
・耐水性:大平理化工業株式会社製のラビングテスター試験機を用いて、0.1kgの荷重を掛けて水を含浸したフェルトで10回ラビングを行った。
【0198】
評価基準
◎:フェルトに全く色が付かない。
○:フェルトがわずかに着色した。
【0199】
△:フェルトがかなり着色し、試験片からインクが一部剥離した。
×:フェルトが著しく着色し、試験片からインクが剥離した。
【0200】
【表5】
Figure 0003864321
【0201】
表5に示した結果から、本発明の製造方法で得た水性顔料分散体を用いた水性インキは、光沢および発足性に優れていることが理解できる。
【0202】
(4)捺染剤における評価
実施例17〜18および比較例19〜23で得た捺染剤について、以下の評価を行った。その結果を表6にまとめて示した。
・着色力:分光光度計にて着色力を測定し、乳化剤で分散した標準捺染剤を塗布した試験布の着色力を100%ととして、実施例および比較例の着色力を%で表示する。
・耐水性:大平理化工業株式会社製のラビングテスター試験機を用いて、1kgの荷重を掛けて水を含浸したフェルトで50回ラビングを行った。
【0203】
評価基準
◎:フェルトに全く色が付かない。
○:フェルトがわずかに着色した。
【0204】
△:フェルトがかなり着色し、試験片の色落ちが認められた。
×:フェルトが著しく着色し、試験片がかなり色落ちをした。
【0205】
【表6】
Figure 0003864321
【0206】
表6に示した結果から、本発明の製造方法で得た水性顔料分散体を用いた捺染剤は、着色力および耐水性に優れていることが理解できる。
【0207】
【発明の効果】
本発明の製造方法に従って得られる水性顔料分散体は、酸析することにより、貯蔵安定性に優れ、また、水性塗料、水性インキおよび捺染剤に使用した時、光沢、発色性および着色力にも優れ、さらに、架橋することによって、耐水性が優れたものになるという、極めて実用性の高いものである。

Claims (13)

  1. カーボンブラックまたは有機顔料(A)と、カルボキシル基および架橋性官能基を有する樹脂(B)とを用い、該樹脂(B)のカルボキシル基を塩基性化合物(F1)で中和することにより親水性化してなるカーボンブラックまたは有機顔料の水性分散体(1a)を、酸性化合物(E)を用いてpHを中性または酸性とすることによって樹脂(B)を析出させてカーボンブラックまたは有機顔料に固着させる工程(1)、次いで、樹脂(B)のカルボキシル基を塩基性化合物(F2)を用いて中和することにより、樹脂(B)が固着したカーボンブラックまたは有機顔料を水性媒体に再分散させる工程(2)からなり、かつ、樹脂(B)が固着したカーボンブラックまたは有機顔料(A)を水性媒体に再分散させる工程(2)またはそれより前の任意の時期に架橋剤(C)を配合する水性顔料分散体の製造方法であって、しかも、樹脂(B)が固着したカーボンブラックまたは有機顔料を水性媒体に再分散させる工程(2)後に、樹脂(B)の架橋性官能基と架橋剤(C)とを反応させて架橋させることを特徴とする水性顔料分散体の製造方法。
  2. 顔料の水性分散体(1a)として、顔料(A)と樹脂(B)とを有機溶剤媒体中で混練し、混練する前または混練した後に架橋剤(C)を配合し、さらに、混練する前および/または混練した後に樹脂(B)のカルボキシル基の少なくとも一部を塩基性化合物(F1)を用いて中和することにより、水性媒体に分散して得られた顔料の水性分散体を用いる請求項1記載の製造方法。
  3. 顔料の水性分散体(1a)として、顔料(A)と、塩基性化合物(F1)を用いてカルボキシル基を中和した樹脂(B)と、架橋剤(C)とを水性媒体中で混合および/または混練して得られた顔料の水性分散体を用いる請求項1記載の製造方法。
  4. 樹脂(B)が、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂である請求項1、2または3記載の製造方法。
  5. 樹脂(B)のカルボキシル基に基づく酸価が、30〜120KOHmg/樹脂固形分1gの範囲にある請求項1、2、3または4記載の製造方法。
  6. 樹脂(B)の架橋性官能基がカルボキシル基であって、架橋剤(C)がアミノ樹脂および分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物から成る群から選ばれる架橋剤、または樹脂(B)の架橋性官能基が水酸基であって、架橋剤(C)がアミノ樹脂である請求項1、2、3、4または5記載の製造方法。
  7. カーボンブラックまたは有機顔料(A)と、カルボキシル基および自己架橋性官能基を有する樹脂(D)とを用い、該樹脂(D)のカルボキシル基を塩基性化合物(F1)で中和することにより親水性化してなるカーボンブラックまたは有機顔料の水性分散体(1b)を、酸性化合物(E)を用いてpHを中性または酸性とすることによって樹脂(D)を析出させてカーボンブラックまたは有機顔料に固着させる工程(1)、次いで樹脂(D)のカルボキシル基を塩基性化合物(F2)を用いて中和することにより、樹脂(D)が固着したカーボンブラックまたは有機顔料(A)を水性媒体に再分散させる工程(2)からなる水性顔料分散体の製造方法であって、しかも、樹脂(D)が固着したカーボンブラックまたは有機顔料を水性媒体に再分散させる工程(2)後に、樹脂(D)を自己架橋させることを特徴とする水性顔料分散体の製造方法。
  8. 顔料の水性分散体(1b)として、顔料(A)と樹脂(D)とを有機溶剤媒体中で混練し、混練する前および/または混練した後に樹脂(D)のカルボキシル基の少なくとも一部を塩基性化合物(F1)を用いて中和することにより、水性媒体に分散して得られた顔料の水性分散体(1b)を用いる請求項7記載の製造方法。
  9. 顔料(A)と、塩基性化合物(F1)を用いてカルボキシル基を中和した樹脂(D)とを水性媒体中で混合および/または混練して得られた顔料の水性分散体(1b)を用いる請求項7記載の製造方法。
  10. 樹脂(D)が、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂である請求項7、8または9記載の製造方法。
  11. 樹脂(D)のカルボキシル基に基づく酸価が、30〜120KOHmg/樹脂固形分1gの範囲にある請求項7、8、9または10記載の製造方法。
  12. 樹脂(D)の自己架橋性官能基が、(1)1分子内にカルボキシル基およびエポキシ基を有するもの、(2)1分子内に水酸基およびN−アルコキシメチルアミド基を有するもの、または(3)ラジカル重合性不飽和基である請求項7、8、9、10または11記載の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1つに記載の製造方法によって製造された水性顔料分散体を含有してなることを特徴とする水性着色剤組成物。
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