以下に、本発明に係る照明装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記の実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
[実施形態1]
まず、実施形態1に係る照明装置について説明する。図1は、実施形態に係る照明装置が設けられた車両を示す図である。図2は、実施形態に係る照明装置の正面図である。図3は、実施形態に係る照明装置の断面部分拡大図である。図4は、実施形態1に係る照明装置の部分拡大斜視図である。図3は、図2におけるA−A断面の部分拡大図である。また、各図のX方向は、車両の幅方向である。X1方向は、運転席側の方向であり、X2方向は、助手席側の方向である。Y方向は、車両の前後方向であり、X方向と直交する方向である。Y1方向は、車両の前方向であり、Y2方向は、車両の後方向である。Z方向は、車両の上下方向であり、X方向およびY方向と直交する方向である。Z1方向は、車両の上方向であり、Z2方向は、車両の下方向である。
本実施形態における照明装置は、例えば車両に搭載される車室内照明装置1である。車室内照明装置1は、車両の運転席Dおよび助手席Pに別々に光を照射するものである。車室内照明装置1は、筐体2と、回路体3と、LED4と、仕切り板5と、レンズ6とを備える。
ここで、運転席Dおよび助手席Pは、図1に示すように、前方向から見て、幅方向において対称に位置する。運転席Dおよび助手席Pは、上方向から見て、車両の前方向に位置する。運転席Dおよび助手席Pよりさらに前方向に、フロントウィンドウ101が位置する。車室内照明装置1は、図1に示すように車室内の車室天井部100に取り付けられる。車室内照明装置1は、車室天井部100のうち、運転席Dと助手席Pの間、つまり車両の幅方向における中心部、かつフロントウィンドウ101近傍に取り付けられる。車室内照明装置1は、後述の複数のLED4D、4Pを備える。車室内照明装置1において、LED4Dは、幅方向に対し運転席D側に取り付けられ、LED4Pは助手席P側に取り付けられる。したがって、LED4Dからの光RDが運転席Dを含む運転席エリアDaを照射し、LED4Pからの光RPが助手席Pを含む助手席エリアPaを照射する。
筐体2は、後述の取付面23にLED4が取り付けられる取付部材である。筐体2は、図2および図3に示すように、内部に形成された収容空間部2aに回路体3、LED4および仕切り板5を収容し、レンズ6が筐体2に取り付けられる。筐体2は、後述の取付面23に対し、下方向に向かって回路体3、LED4、仕切り板5、レンズ6の順に各部材が積層される。筐体2は、筐体2を構成する壁部のうち、レンズ6と対向する固定壁21が車室内の車室天井部100に固定される。筐体2は、絶縁性の合成樹脂によって形成され、収容空間部2aに種々の電子部品を収容する。筐体2は、凸部22と、取付面23と、基準面Kとを備える。
凸部22は、図2に示すように、車室内照明装置1において、同形状の凸部22Dおよび凸部22Pが形成される。凸部22Dおよび凸部22Pは、上下方向から見て、幅方向に沿った同一線上にあり、車室内照明装置1において、凸部22Dは運転席D側に形成され、凸部22Pは助手席P側に形成される。つまり、凸部22Dが運転席エリアDaに対応するものであり、凸部22Pが助手席エリアPaに対応するものである。凸部22Dおよび凸部22Pは、上方向から見て、幅方向の中心に対し、対称に形成される。
凸部22Dは、図3および図4に示すように、取付面23から下方向に向かって突出して形成される。凸部22Dは、図4に示すように、取付面23から突出する3つの垂直面22a、22b、22cと、1つの傾斜面22dにより形成される。垂直面22a〜22cは、取付面23から、垂直に突出し下方向に向かって延在して形成される。垂直面22aおよび垂直面22cは、同形状、かつ対向する面である。垂直面22aおよび垂直面22cは、前後方向から見て、取付面23上に対し、幅方向に延在する1辺と下方向に延在する1辺との間に直角を有する直角三角形状に形成される。垂直面22bは、垂直面22aのうち下方向に延在する1辺、および垂直面22cのうち下方向に延在する1辺により形成される面である。垂直面22bは、幅方向から見て、先述の垂直面22aおよび垂直面22cの下方向に延在する1辺を対向する長辺とした矩形形状に形成される。傾斜面22dは、垂直面22aの直角三角形状の斜辺、および垂直面22cの直角三角形状の斜辺により形成される面である。傾斜面22dは、上下方向から見て、先述の垂直面22aおよび垂直面22cの斜辺を対向する長辺とした矩形形状に形成される。傾斜面22dは、取付面23に対し鋭角を成し、下方向に向かって傾斜する。凸部22Dは、傾斜面22dが、幅方向における運転席D側の斜め下方向に向かって傾斜するように配置される。ここで、車室内照明装置1が取り付けられる車両の幅方向における中心部に対し、斜め下方向には、運転席エリアDa、つまり運転席Dが位置する。したがって、傾斜面22dは、運転席Dに向かって傾斜するように配置される。不図示の凸部22Pも凸部22Dと同様に、凸部22Pのうち傾斜面が、助手席Pに向かって傾斜するように配置される。
取付面23は、図3に示すようにレンズ6と向かい合う面であり、筐体2の固定壁21において収容空間部2aに露出する面である。基準面Kは、筐体2に対し角度を有する面の基準となる面であり、本実施形態では、取付面23上において、幅方向および前後方向によって形成されている領域を基準面Kとする。取付面23は、基準面Kに対する角度が、取付部材である筐体2の形状変化に伴って変化する変化面24を有する。
変化面24は、筐体2において複数形成される。ここで、本実施形態における変化面24は、凸部22に形成される面である。また、変化面24は、基準面Kに対する角度が、取付部材である筐体2の形状変化に伴って変化する面であり、言い換えると、凸部22においては、凸部22を構成する各面が変化面24である。つまり、凸部22Dにおいては、凸部22Dを構成する各面、すなわち基準面Kに対し垂直な角度にある垂直面22a〜22c、および基準面Kに対して鋭角な角度で傾斜する傾斜面22dが、変化面24である。また、不図示の凸部22Pについても、凸部22Pを構成する各面が変化面24である。変化面24のうち、運転席Dに向かって傾斜を有する傾斜面22dにLED4が取り付けられる。つまり、LED4は、変化面24の少なくとも1つに取り付けられることとなる。また、不図示の凸部22Pについても同様であり、変化面24のうち、助手席Pに向かって傾斜を有する傾斜面にLED4が取り付けられる。
回路体3は、LED4および不図示の外部の電源と電気的に接続し、LED4に電源からの駆動電力を供給するものである。回路体3は、LED4の他、不図示の抵抗やコンデンサなど、各種の電子機器が実装される。回路体3は、図3および図4に示すように、導電性を有する金属粒子を添加した樹脂であり、ディスペンサーにより形成され、変化面24を含む取付面23に被着される。つまり、本実施形態において回路体3は、筐体2に直接被着されることとなる。回路体3のうち、傾斜面22dに、LED4に電力を供給するための一対の配線が被着される。不図示の凸部22P側においても、同様である。
ディスペンサーによる回路体3の形成について、簡単に説明する。回路体3は、ディスペンサーとディスペンサーに対応するステージとを備えた描画装置により形成される。ディスペンサーは、内部に充填した部材を、対象基板に吐出して実装面に被着させるものである。本実施形態では、充填する部材は回路体3を構成する導電性を有する金属粒子が添加された樹脂であり、対象基板は筐体2の固定壁21であり、実装面は取付面23である。ディスペンサーは、回路体3の原料を充填する充填部と、充填部と連通し、かつディスペンサーの外部と連通するノズルを有する。ステージには、回路体3の被着対象基板である筐体2が固定される。ディスペンサーおよびステージは、制御部と接続されている。制御部には、回路体3の形状に対応した回路描画のマッピング情報が設定されており、マッピング情報に従ってディスペンサーまたはステージを移動させる。ディスペンサーまたはステージは、互いに直交する3軸方向に移動することが可能である。作業員が描画装置を稼働させると、ディスペンサーは、ノズルの先端から充填された樹脂を筐体2の取付面23に吐出する。同時に、ディスペンサーまたはステージが制御部に設定されたマッピング情報に従い移動する。以上により、回路体3は、変化面24を含む取付面23に被着される。
LED4は、発光素子である。LED4は、電力が供給され、電流が流れて電圧が生じることで発光し、光を出射するものである。LED4は、平板状に形成された表面実装型のLEDである。LED4は、車室内照明装置1において複数設けられ、各LED4からの光を対象エリア、つまり運転席エリアDaおよび助手席エリアPaに照射する。LED4は、2以上の変化面24、つまり凸部22Dの傾斜面22dと、不図示の凸部22Pの傾斜面のそれぞれに1つが取り付けられる。LED4のうち、凸部22Dに取り付けられるLED4をLED4Dとし、凸部22Pに取り付けられるLED4をLED4Pとする。LED4Dからの光RDが運転席エリアDaを照射し、LED4Pからの光RPが助手席エリアPaを照射する。
LED4Dは、傾斜面22dに1つが取り付けられる。LED4Dは、発光面41と、発光面41と対向する実装面42とを備える。LED4Dは、実装面42が傾斜面22dと対向して、傾斜面22dに被着された回路体3による一対の配線と電気的に接続される。LED4Dは、回路体3から駆動電力が供給されることで発光し、発光面41から光を出射する。このとき、光軸Lの向きは、発光面41に対して直交する方向であり、そして、発光面41は、傾斜面22dに対して平行である。したがって、光軸Lは、傾斜面22dに対し、直交する方向、つまり運転席Dの方向を向く。これにより、運転席DがLED4Dからの光RDにより照射される。運転席DがLED4Dからの光RDにより照射されることについて、詳細に説明する。LED4Dが変化面24のうち傾斜面22dに取り付けられることにより、LED4Dの光軸Lの向きは、傾斜面22dに対して直交する方向、つまり運転席D側の斜め下方向を向く。これにより、LED4Dからの光RDは、運転席D側の斜め下方向に照射されることとなる。したがって、車両の幅方向における中心部に対し、LED4Dからの光RDにより、運転席D側の斜め下方向に位置するエリアである運転エリアDaが照射され、運転席Dが照射される。
不図示のLED4Pについても、LED4Dと同様に発光面41と実装面42とを備え、凸部22Pの傾斜面に少なくとも1つが取り付けられる。そして、LED4Pの発光面41から出射した光RPにより、助手席エリアPaが照射される。
仕切り板5は、取付面23上に配置された各部材などを、外部から見えないようにするものである。仕切り板5は、収容空間部2aにおいて固定壁21とレンズ6との間に配置される。仕切り板5は、前後方向から見て、幅方向に沿ってレンズ6と並行に設けられる。仕切り板5は、凸部22が形成されている位置に、下方向、つまり凸部22に向かって凹形状に形成される凹部51が形成される。仕切り板5の凹部51について、以下、凸部22Dに対応する凹部51Dを例にあげ説明する。
凹部51Dは、図3に示すように、前後方向から見て、凸部22Dの下方向側に、LED4Dに向かって突出する傾斜面を有する複数の傾斜板によって形成される。凹部51Dを構成する複数の傾斜板は、下方向側の面、つまりレンズ6側に露出する面に光を反射するような加工が施されている。これにより、後述の拡散板54Dを透過した光RDのうち、傾斜板に当たった光もレンズ6の方向に反射できる。複数の傾斜板のうち、LED4Dに対向して平行に位置する傾斜板が、拡散板取付板52Dである。拡散板取付板52Dは、図3に示すように、LED4Dの発光面41を直交方向に投影した位置に、貫通孔53Dが設けられる。貫通孔53Dは、LED4Dの発光面41から出射された光が通過するためのものである。拡散板取付板52Dは、拡散板54Dが取り付けられる。
不図示の凸部22Pにおいても同様に、仕切り板5は、凹部51Pが形成され、LED4Pと対向して平行に位置する拡散板取付板52Pを有し、拡散板取付板52Pには貫通孔53Pが設けられ、拡散板54Pが取り付けられる。拡散板54Dおよび拡散板54Pは、同一の拡散板である。
拡散板54Dは、すりガラスや透明な樹脂などであり、貫通孔53Dを通過したLED4Dの光RDを広域に拡散するためのものである。拡散板54Dは、図3に示すように、拡散板52Dのうちレンズ6と対向する側の面に、貫通孔53Dを塞ぐように取り付けられる。不図示の拡散板54Pについても拡散板54Dと同様であり、貫通孔53Pを塞ぐように拡散板52Pに取り付けられる。
レンズ6は、透明部材であり、LED4DおよびLED4P(以下、LED4)の光を筐体2の外部、つまり車室内に透過するものである。レンズ6は、図2および図3に示すように、Y方向から見て、筐体2の取付面23に積層された回路体3、LED4、仕切り板5をZ2方向に対して覆う位置に取り付けられる。レンズ6は、収容空間部2a側と反対側の面が車室内に露出する。
車室内照明装置1において、LED4からの光が対象エリアに照射される動作について、説明する。まず、運転席エリアDaに光を照射させる場合について説明する。搭乗者が運転席エリアDa、例えば運転席Dに光を照射させたいとき、車室内照明装置1の運転席D側の照明スイッチをONにする。車室内照明装置1がタッチパネル式である場合、搭乗者は、予め設定されたタッチ面のうち光を照射したい対象エリア、この場合運転席Dに対応するタッチ面の領域にタッチする。不図示のタッチ検出部は、搭乗者がタッチ面の当該エリアにタッチしたことを検出すると、不図示の制御部に信号を送信する。次に、制御部により回路体3を介してLED4Dに駆動電力が供給される。次に、LED4Dは、駆動電力が供給され電圧が生じることで発光し、発光面41から光軸Lが直交する方向に光を出射する。次に、発光面41から出射された光RDは、貫通孔53Dを通過し、拡散板54Dに入射する。次に、拡散板54Dによって拡散して出射された光RDは、レンズ6を透過する。また、このとき、拡散板54Dにより拡散され、凹部51Dの傾斜面に到達した光RDは、傾斜面の反射加工によりレンズ6に向かって反射されることで、レンズ6を透過する。レンズ6を透過した光RDは、車室内に出射し、運転席エリアDaが照射される。
搭乗者により、助手席エリアPa、例えば助手席Pに光を照射する場合についても、上記と同様である。LED4Pの発光面41から出射した光RPは、貫通孔53Pを通過し、拡散板54Pに入射し拡散して出射され、レンズ6を透過して車室内に出射し、助手席エリアPaが照射される。
以上のように、実施形態1にかかる車室内照明装置1は、取付面23に回路体3が被着され、取付面23が有する変化面24のうち少なくとも1つ、すなわち凸部22の傾斜面22dにLED4が取り付けられる。LED4は、回路体3から供給された駆動電力により光を出射することができる。傾斜面22dは、凸部22の形状変化に伴い、基準面Kに対する角度が変化する。したがって、照射する対象エリアが基準面Kに対して異なる方向にある場合でも、変化面24、つまり傾斜面22dの基準面Kに対する角度を変化させることで、発光素子から出射された光の方向、つまり発光面23に対し鉛直方向にある光軸Lを、対象エリア、つまり運転席エリアDaおよび助手席エリアPaの方向に向けることができる。これに対し、LED4からの光を運転席Dおよび助手席Pの方向に向けるための導光体を使用する場合、導光体は、取付面23に対向する端面から、導光体の屈曲部まで下方向に延在する領域、つまりLED4から入射した光を下方向に対して直進させる領域が形成される。そして、LED4から入射した光を導光体に入射させ、屈曲部により光の向かう方向を変更することで、運転席Dおよび助手席Pに光を照射する。車室内照明装置1は、このような導光体を用いずに、運転席エリアDaおよび助手席エリアPaの方向に向けることができるので、車室内照明装置1は、簡単な構成でLED4による光を対象エリアに照射させることができる。
また、車室内照明装置1は、上記のような導光体を用いないことにより、筐体2の上下方向の厚みを薄くすることができる。凸部22は、導光体に形成されるLED4からの光を直進させる形状を必要としない。したがって、凸部22のZ方向における高さは、導光体の上下方向における高さよりも小さくなる。これにより、車室内照明装置1は、取付面23に下方向に向かって突出する凸部22が形成されていても、筐体2の上下方向における厚みを薄くすることができる。
また、車室内照明装置1の回路体3は、導電性を有する金属粒子を添加した樹脂などにより形成されるので、取付面23に対してディスペンサーを用いる手段により被着することができる。したがって、車室内照明装置1は、回路体3を取付面23、つまり筐体2に直接被着することができるので、金属のバスバーにより形成される回路体と比較して基板を必要とせず、部品数を削減することができる。さらには、基板の上下方向の厚みの分、筐体2の上下方向の厚みを薄くすることができる。
また、金属のバスバーによる回路体は、取付面23のうち変化面24、つまり基準面Kに対して角度を有する面にも配索させたい場合は、バスバーに当該角度を有するように曲げ加工を施して対象面に接着する。これに対し、回路体3は、対象面への被着手段において、ディスペンサーなどを3軸方向に移動させることで、回路体3を変化面24に被着させることができる。したがって、回路体3自体に加工を必要としないので、基準面Kに対して角度を有する面に対しても回路体3の配索が容易である。また、例えば、回路体3を構成する各配線同士のスペースが密に形成されるような形状において、バスバーの場合は、薄い金属を板金して加工するため、加工性を考慮しなければならない。これに対し、回路体3は、直接配線を対象面に描画するだけでよい。したがって、回路体3が、各配線同士のスペースが密に形成される形状であっても容易に対象面に配索することができる。この結果、筐体2の小型化など、車室内照明装置1の生産における歩留まりを向上させることができる。
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る車室内照明装置1について説明する。実施形態2に係る車室内照明装置1は、凸部80の形状が凸部22と異なる点において、実施形態1の車室内照明装置1と異なる。詳細には、凸部22のLED4が取り付けられる1つの変化面24(傾斜面)が、基準面Kに対して角度が異なる複数の変化面81により構成される点で、実施形態1と異なる。図5は、実施形態2に係る照明装置の部分拡大斜視図である。
実施形態2の車室内照明装置1は、1つの凸部80に、基準面Kに対する角度が異なる複数の変化面81、およびLED4を備え、複数の光軸Lの向きを有する光で対象エリアを照射するものである。実施形態2においても、実施形態1と同様に、運転席D側の凸部80Dおよび助手席P側の凸部80Pは同形状であり、上方向から見て、幅方向に沿った同一線上に形成される。また、凸部80Dおよび凸部80Pは、前後方向に沿った車両中心に対し、対称に形成される。したがって、ここでは、運転席エリアDaに対応する凸部80Dについて、図5を用いて説明する。凸部80Dは、取付部材である筐体2の取付面23から下方向、つまりレンズ6側に向かって突出して形成される。凸部80Dは、図5に示すように、基準面Kに対する角度が異なる複数の変化面81が形成される。つまり、実施形態2における変化面81も、実施形態1と同様であり、変化面81は、凸部80Dに形成される面である。言い換えると、凸部80Dにおいては、凸部80Dを構成する各面は、変化面81である。変化面81のうち、複数の傾斜面80a、80b、80cに、それぞれLED4Dが取り付けられる。つまり、LED4は、2以上の変化面81に、それぞれ1以上取り付けられることとなる。傾斜面80a〜80cは、運転席D側の斜め下方向に向かって、つまり運転席Dに向かって配置され、互いに連結して形成される。
傾斜面80aは、取付面23と接触する面であり、傾斜面80a〜80cのうち、基準面Kに対して最も大きな角度、つまり最も急峻な傾斜を有する面である。また、傾斜面80aは、前後方向から見て、傾斜面80a〜80cのうち、最も運転席D側に位置する面である。傾斜面80bは、傾斜面80aと接触する面であり、基準面Kに対する角度が、傾斜面80aよりも小さな角度、つまりなだらかな傾斜を有する面である。傾斜面80cは、傾斜面80bと接触する面であり、傾斜面80a〜80cのうち、基準面Kに対して最も小さな角度、つまり基準面Kとほぼ平行に近い傾斜を有する面である。また、傾斜面80cは、前後方向から見て、傾斜面80a〜80cのうち、最も助手席P側、つまり車両の幅方向における中心部側に位置する面である。したがって、凸部80Dは、Y方向から見て、傾斜面80a〜80cにより円弧形状を有するように形成される。
傾斜面80aには、LED4Dとして、LED4aが取り付けられる。傾斜面80bには、LED4bが取り付けられる。傾斜面80cには、LED4cが取り付けられる。
不図示の凸部80Pについても、凸部80Dと同様に、Y方向から見て円弧形状を有するように傾斜面が形成され、かつ傾斜面は助手席Pに向かって配置され、それぞれにLED4が取り付けられる。
実施形態2における回路体3は、傾斜面80a〜80cを含む取付面23に被着される。回路体3のうち、傾斜面80a〜80cに亘り、各LED4a〜4cにそれぞれ電力を供給するための一対の配線と、さらに一対の配線の一方の配線から他方の配線の間に亘って形成される配線が、傾斜面80a〜80cのそれぞれに被着される。LED4a〜4cは、一対の配線の間に亘って形成される配線に、それぞれ実装される。したがって、LED4a〜4cは、並列関係に接続されることとなる。
LED4a〜4cが発光した場合、LED4a〜4cの各光軸Lは、それぞれの発光面41に対して直交する方向を向く。つまり、LED4a〜4cからの光軸Lは、前後方向から見て、凸部80Dの円弧形状に沿って、放射状に向くこととなる。これに伴い、LED4a〜4cによる各光RDは、円弧形状に沿って放射状に対象エリア、つまり運転席エリアDaを照射する。したがって、運転席エリアDaを、それぞれ基準面Kに対する角度の異なる複数の光RDによって照射することとなる。また、助手席エリアPaについても、運転席エリアDaと同様である。
以上により、実施形態2の車室内照明装置1は、取付面23に複数の凸部80が形成される。凸部80には、それぞれ基準面Kに対する角度が異なる複数の変化面81が形成されており、変化面81のうち、複数の傾斜面80a〜80cのそれぞれにLED4が1つ取り付けられる。これにより、実施形態2の車室内照明装置1は、各LED4(LED4a〜4c)を同時に発光させた場合は、複数の光軸Lの向きに伴う各LED4による各光RD、つまり基準面Kに対し異なる角度を有する光RDにより、対象エリアを照射することができる。また、各LED4を独立して発光させた場合は、各LED4に対応する区画された対象エリアごとに、光RDを照射することができ、スポット的に光を照射することができる。ここで、基準面KにLED4を取り付け、LED4からの光を基準面Kに対し異なる方向に向ける導光体を用いる構成では、それぞれ屈曲部の角度を変化させた複数の導光体の設置を必要とする。また、凸部の変化面のうち、LED4が取り付けられる変化面が1つの場合は、それぞれ基準面Kに対して、変化面の角度を異ならせた複数の凸部を形成する必要がある。これに対し、実施形態2の車室内照明装置1は、1つの凸部80に対し、それぞれ基準面Kに対して角度が異なる傾斜面80a〜80cを設ければよい。したがって、車室内照明装置1は、簡単な構成でLED4からの光を複数の対象エリアに照射することができる。さらに、1つの凸部80を設けるだけで良いことから、取付面23、つまり筐体2が大きくなることを抑制でき、車室内照明装置1が大きくなることを抑制できる。また、本実施形態2における回路体3も、取付面23に直接被着させることができる回路体である。したがって、凸部80のように、それぞれ基準面Kに対する角度を異ならせた複数の傾斜面80a〜80cや、回路体3が微細な配線を有する形状であっても、回路を形成して配索することを容易にすることができる。
[実施形態3]
次に、実施形態3に係る車室内照明装置1について説明する。実施形態3に係る車室内照明装置1は、凸部90の形状が凸部22と異なる点、および車室内照明装置1のうち凸部90が形成される位置において、実施形態1の車室内照明装置1と異なる。図6は、実施形態3に係る照明装置の部分拡大斜視図である。
実施形態3の車室内照明装置1は、1つの凸部90に、運転席エリアDaと助手席エリアPaに対応する複数のLED4を備えることで、1つの凸部90によって、運転席エリアDaと助手席エリアPaに、複数の光軸Lを含むLED4の光を照射するものである。凸部90は、車室内照明装置1の幅方向における中央部に設けられる。凸部90は、図6に示すように、取付面23から下方向に向かって突出して形成される。凸部90は、基準面Kに対する角度が異なる複数の変化面91により形成される。つまり、実施形態3における変化面91も、実施形態1および2と同様であり、変化面91は、凸部90に形成される面である。言い換えると、凸部90においては、凸部90を構成する各面が変化面91である。さらに、変化面91のうち、複数の傾斜面90a、90b、90c、90d、90e、90fに、それぞれLED4が取り付けられる。つまり、LED4は、2以上の変化面91に、それぞれ1以上取り付けられることとなる。傾斜面90a〜90cは運転席D側に配置され、傾斜面90d〜90fが助手席P側に配置される。傾斜面90a〜90fは、互いに連結して形成される。
実施形態2と同様に、傾斜面90a〜90cにおいて、傾斜面90aは、基準面Kに対して最も急峻な傾斜を有する面であり、傾斜面90cは、最もなだらかな傾斜を有する面である。傾斜面90d〜90fにおいては、基準面Kに対して傾斜面90dが最もなだらかな傾斜を有する面であり、傾斜面90fが最も急峻な傾斜を有する面である。したがって、凸部90は、前後方向から見て、傾斜面90a〜90fにより扇形状に形成され、かつ傾斜面90a〜90fは、扇形状の円弧部に対応して形成される。つまり、変化面91は、扇形状の凸部90において、円弧部に対応して形成されることとなる。言い換えると、凸部90は、前後方向から見て、実施形態2の凸部80Dと凸部80Pとを、車両の上下に沿った中心に対して、つまり、取付面23に対し下方向に沿って形成された変化面91(垂直面)において、互いに連結させた形状である。
傾斜面90a〜90fには、それぞれLED4が取り付けられる。本実施形態では、傾斜面90a〜90c、つまり運転席エリアDaに対応する面に取り付けられるLEDをLED4Dとする。また、傾斜面90d〜90f、つまり助手席エリアPaに対応する面に取り付けられるLEDをLED4Pとする。
実施形態3における回路体3は、傾斜面90a〜90fを含む取付面23に被着される。ここで、実施形態3の車室内照明装置1は、LED4からの光が運転席エリアDaおよび助手席エリアPaを別々に照射できるものである。したがって、回路体3のうち傾斜面90a〜90cに亘り形成される一対の配線、および傾斜面90f〜90dに亘り形成される別系統の一対の配線が、傾斜面90a〜90c、傾斜面90f〜90dのそれぞれに被着される。そして、LED4Dが、回路体3による一対の配線と電気的に接続される。さらに、実施形態3についても実施形態2と同様に、LED4Dが並列接続され、別系統にてLED4Pが並列接続される。
複数のLED4がそれぞれ発光した場合、実施形態2と同様であり、対象エリアを複数の光軸Lを含むLED4からの光により照射する。傾斜面90a〜90cに取り付けられたLED4Dが発光した場合は、運転席エリアDaが複数の光軸Lに伴う各LED4Dからの光RDにより照射される。ここで、傾斜面90cに取り付けられたLED4Dによる光について、詳細に説明する。傾斜面90cは、傾斜面90a〜90cのうち、最も下方向側に位置する面であり、取付面23、いわゆる基準面Kに対して、幅方向に沿って水平に近い角度に形成されている。また、凸部90は、車室内照明装置1の幅方向における中央部に形成されている。したがって、傾斜面90cは、車両の幅方向において、運転席Dと助手席Pの間のエリア、いわゆる車両の前方向における中央エリアを向いていることとなる。これにより、傾斜面90cに取り付けられたLED4Dによる光RDは、車両の前方向における中央エリアを照射する。傾斜面90d〜90fに取り付けられたLED4Pが発光した場合は、助手席エリアPaが複数の光軸Lを含むLED4Pからの光RPにより照射される。傾斜面90dに取り付けられたLED4Pの光RPは、傾斜面90cに取り付けられたLED4Dと同様に、車両の前方向における中央エリアを照射する。
以上により、実施形態3の車室内照明装置1は、取付面23に、凸部90が形成され、凸部90は、基準面Kと並行な方向、つまり前後方向から見た場合、扇形状に形成されている。さらに、凸部90を形成する変化面91のうち、傾斜面90a〜90fが、扇形状の円弧部に対応する。凸部90は、幅方向における中応部に形成される。これにより、傾斜面90a〜90cに取り付けられたLED4Dを発光させた場合は、LED4Dによる光RDは、運転席エリアDaを照射し、傾斜面90d〜90fに取り付けられたLED4Pを発光させた場合は、LED4Pによる光RPは、助手席エリアPaを照射する。このとき、回路体3は、各LED4Dを並列接続し、別系統にて各LED4Pを並列接続するように、取付面23に被着される。したがって、ここで、基準面KにLED4を取り付け、LED4からの光を基準面Kに対し異なる方向に向ける導光体を用いる構成では、少なくとも運転席エリアDaと助手席エリアPaの2箇所に対応するためのLED4および導光体の設置を必要とするのに対し、実施形態3の車室内照明装置1は、1つの凸部90で運転席エリアDaおよび助手席エリアPaを、それぞれLED4の光RD、RPにより照射することができる。また、同様の効果は、実施形態1および実施形態2の凸部に対しても同様であり、運転席Dに対応する凸部と、助手席に対応する凸部が設けられるのに対し、凸部90は、1つの凸部でよい。
また、実施形態3の車室内照明装置1は、扇形状の凸部90が、車室内照明装置1の幅方向における中央部に形成されるので、傾斜面90cおよび傾斜面90dに取り付けられるLED4DおよびLED4Pにより、運転席Dと助手席Pの間のエリア、いわゆる車両前方における中央エリアもLED4による光の対象エリアとすることができる。
なお、実施形態3における車室内照明装置1において、運転席エリアDaおよび助手席エリアPaに対し、LED4DおよびLED4Pからの光を別々に対象エリアに照射するのに加え、同時に対象エリアに照射できるようにしてもよい。これにより、LED4DおよびLED4Pからの光が同時に対象エリアに照射されることで、運転席Dと助手席Pの間のエリア、いわゆる車両の前方向における中央エリアを含む車両前方全体に、LED4からの光を照射することができる。
なお、実施形態2におけるLED4a〜4cは、それぞれ独立して発光させることができる構成にしてもよい。この場合、LED4a〜4cのそれぞれに対応した対象エリアが、LED4a〜4cによる各光RDにより照射される。例えばLED4cを発光させた場合は、凸部80が形成されている位置に対し下方向側が対象エリアである。つまり、LED4a〜4cを同時に発光させた際における、各光RDが照射する対象エリアに対し、LED4a〜4cに対応して細かく区画された対象エリアごとに、各光RDがスポット的に照射されることとなる。
なお、本実施形態に係る車室内照明装置1は、傾斜面22d、80a〜80cおよび90a〜90fに対し、LED4が1つ取り付けられているが、これに限定されるものではなく、例えば前後方向に沿って複数取り付けてもよい。これにより、車室内照明装置1は、車両における前後方向、例えば後部座席なども1つの凸部に取り付けられたLED4による光の対象エリアとすることができる。
なお、本実施形態に係る車室内照明装置1は、凸部80、凸部90を、車室天井部100において、幅方向に沿った同一線上に限らず、前後方向に複数形成したり、車両のドア近傍に設けるなど、光を照射させたい領域に対応して、複数形成されるものであってもよい。これにより、各凸部間で、基準面Kに対する角度が異なる変化面がそれぞれ形成されており、それぞれの変化面において、傾斜面にLED4が1以上取り付けられることとなる。この場合、例えば前後方向に凸部を複数形成した場合は、凸部に形成された、基準面Kに対する角度が異なる変化面、および変化面に取り付けられるLED4により、車両の前後方向、例えば後部座席などもLED4による光の対象エリアとすることができる。また、車両のドア近傍などに別途凸部を設けることで、例えば搭乗者が車両を乗り降りするときなどにおいて、スポット的に光を照射させることができる。
なお、本実施形態に係る車室内照明装置1は、凸部の代わりに、例えば取付面23において、少なくとも幅方向に対して対称に形成された、取付面23から上方向に凹んで形成される1つの湾曲面を有する変化面が形成されてもよい。この場合、幅方向に対して湾曲面の運転席D側、および助手席P側における両端部にLED4(LED4DおよびLED4P)が取り付けられる。この場合、例えば、運転席D側の端部に取り付けられたLED4Dは、助手席P側の方向に向かい、助手席P側の端部に取り付けられたLED4Pは、運転席D側の方向に向かう。つまり、LED4Dによって、助手席エリアPaが照射され、LED4Pによって運転席エリアDaが照射される。したがって、取付面23に凸部の代わりに1つの湾曲面が形成される構造であっても、車室内照明装置1は、運転席エリアDaおよび助手席エリアPaを、LED4による光の対象エリアとすることができる。
なお、本実施形態に係る車室内照明装置1の回路体3は、ディスペンサーにより形成されるものとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、印刷、蒸着、Molded Interconnect Device(MID)などにより形成されるものであってもよい。これらの手段により形成される回路体も、対象基板に対する形成時において、金属バスバーのように別体で形成された回路体を取付面23に取り付ける手段とは異なり、直接基板として筐体2に被着できるものである。したがって、車室内照明装置1の部品数を削減することができ、筐体2の鉛直方向の厚みを薄くすることができる。
なお、本実施形態に係る照明装置は、車室内照明装置1として説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、住宅の室内の天井など取り付けられる照明装置などであってもよい。