以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、本発明の海図画像表示装置の第1実施形態である魚群探知装置12の概略について説明する。図1は、その魚群探知装置12の構成を概略的に示す概略図である。図2は、魚群探知装置12が船舶11直下の水底の探知を行い、また、船舶11の位置情報を取得する状態を、船舶11の側面より示した模式図である。
魚群探知装置12は、船舶11に搭載され、超音波ビームTBの送受信によって船舶11直下の水中の魚群などの探知対象物を探知し、その探知画像を表示装置15に表示するものである。また、魚群探知装置12は、表示モードを海図表示モードに切り替えることにより、表示装置15に表示される画面の右側に表示される探知画像に加え、画面の左側に、船舶11周辺の海,湖,川,池等の海図画像を表示する。図1は、探知画像と海図画像とが表示装置15に表示された状態を示している。
さらに、魚群探知装置12は、超音波ビームTBの送受信によって、探知対象物の探知とあわせて、水底の状態の一例として、水面から水底までの水深(深度)dを測定可能に構成される。そして、船舶11が航行しながら魚群探知装置12により測定された海等における各地点の水底の水深dに基づいて、魚群探知装置12は、各位置における水底の水深dを、表示装置15に表示した海図画像上に色で示すように構成されている。この色が、本発明の「表示態様」の一例である。
魚群探知装置12の詳細構成について説明する。魚群探知装置12は、本体13と、本体13に設けられ使用者からの入力を受け付ける操作ボタン14と、本体13に一体形成された表示装置15と、超音波ビームTBを送受信する振動子16と、全地球測位システム用の人工衛星であるGPS衛星Sから送信された信号を受信するためのGPSアンテナ17とにより構成される。
振動子16は、船舶11に固着され、ケーブルによって本体13と電気的に接続されている。振動子16は、本体13から送信される信号に基づいて駆動され、超音波ビームTBを1つの方向(例えば、船舶11の真下方向)に送信(照射)する。また、振動子16は、探知対象物や、海底,湖底,川底,池底といった水底から反射された超音波ビームTBの反射波を受信し、その受信によって得られた受信信号を本体13へ送信する。
GPSアンテナ17は、船舶11上に固着され、ケーブルによって本体13と電気的に接続される。GPSアンテナ17によって、複数のGPS衛星Sから送信された信号が受信され、その受信信号が本体13へ送信される。
魚群探知装置12の本体13は、例えば船舶11の操舵室内に配置される。本体13は、振動子16が超音波ビームTBの反射波を受信することにより得られた受信信号を受信すると、その受信信号に基づいて探知画像を生成し、表示装置15にその探知画像を表示する。
また、本体13は、超音波ビームTBを送信してから、水底による反射波を受信するまでの時間に基づいて、水底の水深dを算出するとともに、複数のGPS衛星Sからの受信信号をGPSアンテナ17より受信し、その受信信号に基づいて船舶(自船)11の位置(緯度及び経度)を取得する。そして、本体13は、水底の水深dを算出した場合、そのときの船舶11の位置情報と算出した水底の水深dとを対応付けて、航跡データ22b(図3参照)として順次記憶する。
本体13は、表示モードが海図表示モードの場合に、船舶11周辺の海図画像を探知画像と併せて表示装置15に表示するとともに、航跡データ22bに基づいて、海図画像の各位置における水深dを、表示装置15に表示した海図画像上に色で示す。
次いで、図3を参照して、魚群探知装置12の電気的構成について説明する。図3は、魚群探知装置12の電気的構成を示したブロック図である。魚群探知装置12は、本体13内部に制御装置20を有している。制御装置20は、魚群探知装置12の動作を制御するものであり、CPU(Central Proccesing Unit)21と、フラッシュメモリ22と、RAM(Random Access Memory)23と、送受信回路31と、表示コントローラ32と、VRAM(Video RAM)33と、GPSインターフェイス回路(以下「GPS I/F」と称す)34とを有している。
CPU21には、フラッシュメモリ22,RAM23,送受信回路31,表示コントローラ32,GPS I/F34が接続され、また、制御装置20の外部から操作ボタン14(図1参照)が接続されている。送受信回路31には、振動子16(図1参照)が接続される。表示コントローラ32には、VRAM33及び表示装置15(図1参照)が接続される。GPS I/F34には、GPSアンテナ17(図1参照)が接続される。
CPU21は、フラッシュメモリ22に記憶されたプログラムデータ22aに従って、魚群探知装置12の動作を制御するための各種演算を実行する演算装置である。
フラッシュメモリ22は、プログラムデータ22aを記憶する他、固定値データ等を記憶するための書き換え可能な不揮発性のメモリである。RAM23は、書き換え可能な揮発性のメモリであり、CPU21によるプログラムの実行時に各種のデータを一時的に記憶する。なお、プログラムデータ22aや一部の固定値データは、フラッシュメモリ22ではなく、フラッシュメモリ22とは別に設けられ、書き換え不能な不揮発性のメモリ(例えば、マスクROM)に記憶されてもよい。
フラッシュメモリ22は、固定値データとして、上記した航跡データ22bの他、海図データ22c、水深色変換テーブル22d、魚探深度設定データ22eを少なくとも記憶する。海図データ22cは、魚群探知装置12の使用が想定される地域における海,湖,川,池等の海図を表示装置15に表示させるためのデータである。魚群探知装置12の表示モードが海図表示モードの場合、GPS衛星Sの受信信号に基づいて判断された船舶11の位置周辺の海図データ22cがCPU21によってフラッシュメモリ22より読み出される。そして、読み出された海図データ22cに基づいて、船舶11周辺の海図が表示装置15に表示される。
水深色変換テーブル22dは、海図表示モードにおいて表示装置15に表示される海図上の各位置の水底の水深dをその海図上にて色で表現する場合に、その水底の水深dに応じて、その位置における表示色を割り当てるためのテーブルである。ここで、図4を参照して、水深色変換テーブル22dの詳細について説明する。図4は、水深色変換テーブル22dの一例を模式的に示した模式図である。
図4に示す通り、水深色変換テーブル22dは、水底の水深dを表現する色のインデックス22d1として「0」〜「99」を用意し、各インデックス22d1に対応付けて、そのインデックス22d1で表示する色(表示色)を、赤(R)22d2、緑(G)22d3、青(B)22d4各々の明度で規定したものである。即ち、水深色変換テーブル22dは、水底の水深dを100のインデックス22d1に分け、各々のインデックス22d1に対応付ける形で、各々異なる表示色が指定される。なお、水底の水深dを分けるインデックス22d1の数は100でなくてもよく、任意の数であってよい。
水底の水深dと水深色変換テーブル22dの各インデックス22d1との対応付けは、魚群探知装置12において魚群探知が行われる範囲(深度)に基づいて、次のように行われる。即ち、水底の水深dを、魚群探知装置12にて行われる魚群探知の範囲から、水深色変換テーブル22dのインデックス22d1に対応付ける処理(以下、これを「スケーリング処理」と称す)が、次の(1)式により行われる。
Id=(d−Emin)×100/(Emax−Emin) ・・・(1)
ここで、Eminは、魚群探知装置12にて行われる魚群探知の範囲の最も浅い深度であり、Emaxは、その魚群探知の範囲の最も深い深度である。また、Idは、スケーリング処理を行った後の水底の水深dに対応するインデックス22d1の値である。なお、(1)式の右辺により得られた値は、小数点以下が切り捨てられる。
魚群探知装置12では、水底の水深dに対し、このスケーリング処理を行った後のインデックス22d1の値Idを用いて、水深色変換テーブル22dにおいてその値Idに対応付けられた表示色(RGB各色の明度で特定される色)を、その水底の水深dを表す表示色として設定する。
これにより、水底の水深dに対する表示色の配列の指定は、魚群探知の範囲の中で行われることになる。即ち、魚群探知の範囲の中で水底の水深dが複数のインデックス22d1に区切られ、そのインデックス22d1毎に異なる表示色が指定される。よって、魚群探知が行われる範囲の中で、表示色の諧調表現力を高く保つことができ、表示色を通して、水底の地形の変化を使用者に分かりやすく表現できる。
また、魚群探知の範囲が変更されると、それに応じて、インデックス22d1が割り当てられる水底の水深dの範囲も変更され、新たに設定された魚群探知の範囲の中で、表示色の諧調表現力を高く保つことができる。よって、様々な状況下であっても、表示色を通して、水底の地形の変化を使用者に分かりやすく表現できる。
水深色変換テーブル22dでは、インデックス22d1が「255」に対して、水底の水深dを色で海図画像に表示するのに合わせて表示する等深線の色を規定する。このインデックス22d1「101」には、表示色として「黒色」が対応付けられている。よって、海図画像には、水底の水深dを色で表示するときに等深線が「黒色」で表示される。
水深色変換テーブル22dでは、水底の水深dが、インデックス22d1が割り当てられる水底の水深の最小値(本実施形態では、魚群探知の範囲の深度の最小値Emin)よりも小さい場合、即ち、その水底の水深dが、インデックス22d1の「0」に対応する水底の水深よりも浅い場合に、その水底の水深dに対して、インデックス22d1として「101」を割り当てている。このインデックス22d1「101」には、表示色として「白色」が対応付けられている。つまり、海図画像上において、表示色として「白色」が表示された地点の水底の水深は、インデックス22d1が「0」に対応付けられた水底の水深dより浅い水深であり、かつ、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲外であることを意味する。
水深色変換テーブル22dでは、水底の水深dが、インデックス22d1が割り当てられる水底の水深の最大値(本実施形態では、魚群探知の範囲の深度の最大値Emax)よりも大きい場合、即ち、その水底の水深dが、インデックス22d1の「99」に対応する水底の水深よりも深い場合に、その水底の水深dに対して、インデックス22d1として「100」を割り当てている。このインデックス22d1「100」には、表示色として「黒色」が対応付けられている。つまり、海図画像上において、表示色として「黒色」が表示された地点の水底の水深は、インデックス22d1が「99」に対応付けられた水底の水深dより深い水深であり、かつ、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲外であることを意味する。
なお、水深色変換テーブル22dは、インデックス22d1が「102」〜「254」に対しては、表示色(RGB)が対応付けられておらず、未使用となっている。
ここで、図5を参照して、水底の水深dが、表示色の配列が行われた水底の水深の範囲外にある場合の本実施形態における表示色の指定についての効果を説明する。図5(a)は、従来の魚群探知装置における、水底の水深に応じて異なる表示色を表示した海図画像を示した図であり、図5(b)は、本実施形態の魚群探知装置12における、水底の水深に応じて異なる表示色を表示した海図画像を示した図である。
従来の魚群探知装置では、水底の水深に応じて異なる表示色で各位置の水底の水深を海図画像上に表示する場合、その表示色の配列が行われた水底の水深の範囲よりも小さい水底の水深に対しては、その表示色の配列の指定が行われた水底の水深の最小値に対して設定される表示色と同じ表示色(水深色変換テーブル22dのインデックス22d1の「0」に対応付けられた表示色)が設定された。また、その表示色の配列が行われた水底の水深の範囲よりも大きい水底の水深に対しては、その表示色の配列の指定が行われた水底の水深の最大値に対して設定される表示色と同じ表示色(水深色変換テーブル22dのインデックス22d1の「99」に対応付けられた表示色)が設定された。
これにより、例えば、図5(a)に示す通り、水底の水深が、表示色の配列が行われた水底の水深の範囲よりも深い所定の領域(最も密度の高いハッチが付された領域)において、表示装置15に表示される表示色に変化がない。よって、その所定の領域における水底の地形が大きく変化しているような場合であっても、その所定の領域において水底の地形がほとんど変化していないような印象を、使用者に与えてしまうおそれがあった。
これに対し、本実施形態の魚群探知装置12は、水底の水深dが、インデックス22d1の「0」に対応する水底の水深よりも浅い場合は、表示色として「白色」が指定され、水底の水深dが、インデックス22d1の「99」に対応する水底の水深よりも深い場合は、表示色として「黒色」が指定される。このように、これらの場合は、インデックス22d1の「0」〜「99」の配列の指定によって指定される表示色とは別の表示色が指定される。これにより、例えば、図5(b)に示す通り、水底の水深dが、表示色の配列が行われた水底の水深の範囲よりも深い所定の領域において、その所定の領域に指定された表示色(図5(b)の例では、黒色)によって、その所定の領域が、表示色の配列が行われた水底の水深の範囲外にあることを使用者に明確に示すことができる。よって、使用者がその所定の範囲から外れた水深の箇所において、水底の地形がほとんど変化していないと勘違いすることを抑制できる。
また、水底の水深dが、インデックス22d1の「0」に対応する水底の水深よりも浅い場合と、インデックス22d1の「99」に対応する水底の水深よりも深い場合とで、異なる色が指定される。これにより、所定の領域における水底の水深dが、表示色の配列が行われた水底の水深の範囲外にある場合に、それが浅い側と深い側とのどちらであるかを使用者に対して明確に示すことができる。また、このうち、浅い側が「白色」で表示され、深い側が「黒色」で表示されるため、浅い側と深い側とを使用者に対して直感的に且つ明確に示すことができる。
なお、本実施形態において、表示色の配列の指定が行われる魚群探知の範囲の最小値Eminは、魚群探知の精度を確保するために超音波ビームTBの送受信に最低限必要な時間tmin[秒]に基づいて、Emin=tmin×V(Vは、水中での音速[m/秒])で決定される距離である。
この最小値Eminは、魚群探知装置12の設計段階で予め決められた数値であり、固有データとしてフラッシュメモリ22に記憶されている。なお。最小値Eminは、プログラムデータ22aに埋め込まれていてもよい。また、最小値Eminは、超音波ビームTBの周波数や超音波ビームTBの送受信方向(俯角)等に応じて、変更されるものであってもよい。また、最小値Eminは、使用者が操作ボタン14を操作することによって設定できるように構成してもよい。また、最小値Eminは、0[m]に固定されるものであってもよい。
一方、表示色の配列の指定が行われる魚群探知の範囲の最大値Emaxは、使用者が、魚群探知に関わる設定の1つとして、操作ボタン14を操作することにより設定された値が用いられる。これにより、使用者により設定された魚群探知の範囲の最大値Emaxに応じた範囲でインデックス22d1が区切られ、その区切られたインデックス22d1毎に異なる表示色が指定されることになる。よって、使用者の意図が反映された範囲の中で、表示色を通して水底の地形の変化を精度よく表現できる。
この最大値Emaxは、使用者による設定に代えて、又は使用者による設定に加えて、船舶11が存在する位置に応じて設定されるものであってもよい。例えば、船舶11が遠浅の海上に存在する場合は、最大値Emaxを小さく設定し、船舶11が深海の上に存在にする場合は、最大値Emaxを大きく設定されるようにしてもよい。
図3に戻り、説明を続ける。魚探深度設定データ22eは、魚群探知装置12における魚群探知の範囲の最大値Emaxを設定するためのデータである。魚群探知装置12は、この魚探深度設定データ22eにて示される値を魚群探知の範囲の最大値(最大範囲)Emaxとして設定し、その範囲の中で探知対象物の探知が行われるよう制御する。また、魚探深度設定データ22eにて示される最大値Emaxは、表示色の配列の指定が行われる水底の水深dの最大値として用いられる。
使用者が操作ボタン14を操作して、魚群探知の範囲の最大値Emaxの設定を変更すると、変更後の魚群探知の範囲の最大値Emaxを示す値が、魚探深度設定データ22eとして設定される。そして、その変更後の魚群探知の範囲の最大値Emaxに基づいて、探知対象物の探知が行われ、また、水底の水深dに対する表示色の配列が行われる。
送受信回路31は、CPU21からの制御に基づいて振動子16を駆動して振動子16から超音波ビームTBを送信し、また、送信された超音波ビームTBの反射波を振動子16が受信することにより得られた受信信号の入力を受け付けるための回路である。送受信回路31は、振動子16から入力された受信信号をディジタル値化し、受信信号データとしてCPU21に接続されたRAM23に格納する。
表示コントローラ32は、CPU21からの制御に基づいて、表示装置15の表示を制御するものである。VRAM33は、海図画像等、表示装置15に表示すべき1フレーム分の画像を格納するためのフレームバッファが設けられたメモリである。
表示コントローラ32は、表示装置15に表示させる画像の描画の指示を受け付けると、フラッシュメモリ22に格納された海図データ22cや図示しない画像データを用いて、VRAM33のフレームバッファに対し、CPU21で指示された位置に指示のあった画像を描画する。そして、表示コントローラ32は、フレームバッファに描画された画像を読み出して、表示装置15に表示させる。
GPS I/F34は、GPSアンテナ17にて受信したGPS衛星Sからの信号をCPU21へ入力するものである。
次に、図6を参照して、CPU21が実行する海図画像生成処理の詳細について説明する。海図画像生成処理は、表示装置15に表示する海図画像を生成するための処理であり、表示モードが海図表示モードに設定された場合に、所定時間毎にCPU21により実行される。図6は、その海図画像生成処理を示すフローチャートである。
海図画像生成処理では、図6に示す通り、まず、平滑処理を実行する(S1)。この平滑処理では、表示装置15に表示される海図画像に含まれる各位置において測定された水底の水深dの値を航跡データ22bから読み出し、各々の位置における水底の水深dに対して空間フィルタを適用して、海図画像の各画素が示す位置における水底の水深dを算出する。
次いで、海図画像生成処理では、魚探設定深度抽出処理を実行する(S2)。この魚探設定深度抽出処理では、魚群探知装置12における魚群探知の範囲の最小値Eminと最大値Emaxを抽出する処理である。最小値Eminは、固定値データとして記憶されたフラッシュメモリ22より読み出す。また、最大値Emaxは、フラッシュメモリ22に記憶された魚探深度設定データ22eより抽出する。
次いで、海図画像生成処理では、水深情報スケーリング処理を実行する(S4)。この水深情報スケーリング処理では、表示装置15に表示される海図画像の各画素に対しS1の処理により算出された水底の水深dを、魚群探知装置12にて行われる魚群探知の範囲の中で、水深色変換テーブル22dにおけるインデックス22d1の「0」〜「99」に割り当てるため、上記した(1)式より、スケーリング処理を行った後のインデックスIdを算出する(S3)。
次いで、海図画像生成処理では、色割当処理を実行する(S4)。この色割当処理では、表示装置15に表示される海図画像の各画素に対し、その画素の水底の水深dに対してS4の処理により算出されたスケーリング処理を行った後のインデックスIdと、水深色変換テーブル22dとに基づいて、そのインデックスIdに対応付けられた表示色(RGB)を選定する。そして、その表示色を、その水底の水深dを表す表示色として、対応する画素に設定する。
これにより、水底の水深dに応じて異なる表示色が設定されるので、使用者に対して、海図画像に含まれる各位置における水底の地形を、その表示色を通して容易に把握させることができる。
また、S4の処理では、水底の水深dが、インデックス22d1の「0」に対応する水底の水深よりも浅い場合は、インデックス22d1の「101」に対応付けられた表示色「白色」を設定し、水底の水深dが、インデックス22d1の「99」に対応する水底の水深よりも深い場合は、インデックス22d1の「100」に対応付けられた表示色「黒色」を設定する。これにより、図5を参照して説明した通り、使用者が所定の範囲から外れた水深の箇所において、水底の地形がほとんど変化していないと勘違いすることを抑制できる。
海図画像生成処理では、その後、海図・海底地形画像合成処理を実行して(S6)、海図画像生成処理を終了する。海図・海底地形画像合成処理では、S5の処理により、各画素に設定された表示色によって海底の地形が示された海底地形画像を、対応する海図画像に合成する。この海底地形画像が合成された海図画像が、表示装置15に表示される。
以上説明した通り、第1実施形態における魚群探知装置12によれば、表示装置15に表示される海図画像の各位置における水底の水深dに対して、その水底の水深dに応じた表示色を割り当てる。このとき、表示色の配列の指定は、併せて実行される魚群探知の範囲の中で行われることになる。即ち、魚群探知の範囲の中で水底の水深dが複数のインデックス22d1に区切られ、そのインデックス22d1毎に異なる表示色が指定される。よって、魚群探知が行われる範囲の中で、表示色の諧調表現力を高く保つことができ、表示色を通して、水底の地形の変化を使用者に分かりやすく表現できる。
また、魚群探知の範囲が変更されると、それに応じて、異なる表示色が割り当てられる水底の水深dの範囲も変更され、新たに設定された魚群探知の範囲の中で、表示色の諧調表現力を高く保つことができる。よって、様々な状況下であっても、表示色を通して、水底の地形の変化を使用者に分かりやすく表現できる。
また、第1実施形態における魚群探知装置12によれば、水底の水深dが、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の最小値よりも小さい場合は、表示色として「白色」が指定され、水底の水深dが、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の最大値よりも大きい場合は、表示色として「黒色」が指定される。
これにより、所定の領域における水底の水深dが、表示色の配列が行われた水底の水深の範囲外にある場合に、その所定の領域に指定された表示(白色又は黒色)によって、その所定の領域が、表示色の配列が行われた水底の水深の範囲外にあることを使用者に明確に示すことができる。よって、使用者がその所定の範囲から外れた水深の箇所において、水底の地形がほとんど変化していないと勘違いすることを抑制できる。
次いで、図7及び図8を参照して、本発明の海図画像表示装置の第2実施形態である魚群探知装置12について説明する。第1実施形態の魚群探知装置12は、表示装置15に表示される海図画像の各位置における水底の水深dに対して、その水底の水深dに応じた表示色を割り当てる場合に、その表示色の配列の指定を、併せて実行される魚群探知の範囲の中で行う場合について説明した。これに対し、第2実施形態である魚群探知装置12は、その表示色の配列の指定を、表示装置15に表示される海図画像の範囲における、水底の水深dの最小値及び最大値の範囲の中で行う。
以下、第2実施形態の魚群探知装置12について、第1実施形態の魚群探知装置12と相違する点を中心に説明し、第1実施形態の魚群探知装置12と同一の構成及び処理については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7は、第2実施形態における魚群探知装置12の電気的構成を示したブロック図である。この魚群探知装置12の電気的構成において、第1実施形態の魚群探知装置12と相違する点は、RAM23に、水深最大値データ23a及び水深最小値データ23bを記憶する点である。
水深最大値データ23aは、表示装置15に表示される海図画像の範囲において、水底の水深dの最大値dmaxを示すデータである。水深最小値データ23bは、表示装置15に表示される海図画像の範囲において、水底の水深dの最小値dminを示すデータである。
魚群探知装置12は、図8を参照して説明する海図画像生成処理により表示装置15に表示させる海図画像を生成する度に、その海図画像に含まれる各位置の水底の水深dの中から、その最大値dmaxと最小値dminとを特定し、それぞれを水深最大値データ23a及び水深最小値データ23bとしてRAM23に格納する。本実施形態では、水底の水深dと水深色変換テーブル22dのインデックス22d1との対応付け(表示色の配列)を、この水深最大値データ23a及び水深最小値データ23bとに基づいて実行する。
次いで、図8を参照して、第2実施形態における海図画像生成処理について説明する。図8は、この海図画像生成処理を示すフローチャートである。この海図画像生成処理は、第1実施形態と同様に、表示装置15に表示する海図画像を生成するための処理であり、表示モードが海図表示モードに設定された場合に、所定時間毎にCPU21により実行される。
第2実施形態における海図画像生成処理では、第1実施形態の海図画像生成処理において実行される魚探深度設定抽出処理(図6のS2)に代えて、最小値・最大値探索処理を実行する(S11)。また、第2実施形態における海図画像生成処理では、第1実施形態の海図画像生成処理の水深情報スケーリング処理(図6のS3)とは異なる水深情報スケーリング処理を実行する(S12)。その他の処理は、第1実施形態の海図画像生成処理と同一の処理が行われる。
最小値・最大値探索処理(S11)では、S1の平滑処理が行われた、表示装置15に表示させる海図画像に含まれる各画素の水底の水深dの中から、水底の水深dの最大値dmax及び最小値dminを探索し、これらを水深最大値データ23a及び水深最小値データ23bとして、RAM23に格納する。
水深情報スケーリング処理(S12)では、水底の水深dを、表示装置15に表示させる海図画像に含まれる範囲の水底の水深d(最小値dmin〜最大値dmax)の範囲の中で、水深色変換テーブル22dにおけるインデックス22d1の「0」〜「99」に対応付ける処理である。その対応付けは、次の(2)式により行われる。
Id=(d−dmin)×100/(dmax−dmin) ・・・(2)
ここで、Idは、第1実施形態と同様に、スケーリング処理を行った後の水底の水深dに対応するインデックス22d1の値である。なお、(2)式の右辺により得られた値は、小数点以下が切り捨てられる。
その後に実行される色割当処理では、第1実施形態と同様に、水底の水深dに対し、このスケーリング処理後のインデックス22d1に対応する表示色を、水深色変換テーブル22dから選定する。そして、その表示色を、その水底の水深dを表す表示色として設定する。
この第2実施形態における魚群探知装置12によれば、水底の水深dに対する表示色の配列の指定は、表示装置15に表示される水底の水深dの範囲(dmin〜dmax)の中で行われることになる。即ち、表示装置15に表示される水底の水深dの範囲の中で水底の水深dが複数のインデックス22d1に区切られ、そのインデックス22d1毎に異なる表示色が指定される。よって、少なくとも海図画像において最も深い水底より遥かに深い水深や、最も浅い水底より遥かに浅い水深に対して、表示色の配列の指定が行われることを抑制できる。従って、表示装置15に表示される水底の水深dの範囲の中で、表示色の諧調表現力を高く保つことができ、表示色を通して、水底の地形の変化を使用者に分かりやすく表現できる。
また、表示装置15に表示される水底の水深dの範囲が変更されると、それに応じて、異なる表示色が割り当てられる水底の水深dの範囲も変更され、新たに設定された範囲の中で、表示色の諧調表現力を高く保つことができる。よって、様々な状況下であっても、表示色を通して、水底の地形の変化を使用者に分かりやすく表現できる。
その他、第2実施形態における魚群探知装置12は、第1実施形態における魚群探知装置12と同一の構成部分に基づいて、第1実施形態における魚群探知装置12と同様の作用効果を奏することができる。
次いで、図9〜図11を参照して、本発明の海図画像表示装置の第3実施形態である魚群探知装置12について説明する。第1及び第2実施形態の魚群探知装置12は、各位置における水底の水深dを、表示装置15に表示した海図画像上に色で示すものであった。これに対し、第3実施形態の魚群探知装置12は、各位置における底質を、表示装置15に表示した海図画像上に模様(テクスチャ)で示す。なお、底質が、本発明の水底の状態の一例であり、テクスチャが、本発明の表示態様の一例である。
以下、第3実施形態の魚群探知装置12について、第1及び実施形態の魚群探知装置12と相違する点を中心に説明し、第1及び第2実施形態の魚群探知装置12と同一の構成及び処理については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9は、第3実施形態における魚群探知装置12の電気的構成を示したブロック図である。第3実施形態における魚群探知装置12は、水底より反射した超音波ビームTBを振動子16にて受信すると、その反射強度から水底の硬さを数値化するとともに、複数のGPS衛星Sからの受信信号をGPSアンテナ17より受信し、その受信信号に基づいて船舶(自船)11の位置(緯度及び経度)を取得する。そして、制御装置20は、水底の硬さを数値化した場合に、そのときの船舶11の位置情報と数値化した水底の硬さとを対応付けて、航跡データ22bとして順次記憶する。なお、超音波ビームTBの送受信条件により、底質の測定値(水底の硬さの値)が大きく変わってくる。よって、一連の底質の計測を行っている間は、超音波ビームTBの送受信条件を変更しないように、制御装置20は、送受信条件のガード処理を行う。
制御装置20は、表示モードが海図表示モードの場合に、船舶11周辺の海図画像を探知画像と併せて表示装置15に表示するとともに、航跡データ22bに基づいて、海図画像の各位置における底質を、泥、砂、砂礫、岩、不明から判断し、表示装置15に表示した海図画像上に、対応するテクスチャで示す。
この魚群探知装置12の電気的構成において、第1及び第2実施形態の魚群探知装置12と相違する点は、フラッシュメモリ22にテクスチャデータ22gを有している点である。フラッシュメモリ22には、泥、砂、砂礫、岩、不明の異なる底質毎に、それぞれ対応するテクスチャデータ22gが用意され、格納されている。なお、底質が不明である場合は、泥、砂、砂礫、岩に対して用意されたいずれのテクスチャとも異なる、一面黒のテクスチャが用意される。
次に、図10及び図11を参照して、第3実施形態における海図画像生成処理について説明する。図10は、この海図画像生成処理を示すフローチャートである。図11は、海図画像を生成する場合に用いられるテクスチャと、マスクパターンと、それらによる画像合成処理とを説明する説明図である。
図10に示す海図画像生成処理は、第1及び第2実施形態と同様に、表示装置15に表示する海図画像を生成するための処理であり、表示モードが海図表示モードに設定された場合に、所定時間毎にCPU21により実行される。
海図画像生成処理では、図10に示す通り、まず、平滑処理を実行する(S21)。この平滑処理では、表示装置15に表示される海図画像に含まれる各位置において測定された水底の硬さの値を航跡データ22bから読み出し、各々の位置における水底の硬さに対して空間フィルタを適用して、海図画像の各画素が示す位置における水底の硬さを算出する。
次いで、海図画像生成処理では、ラベリング処理を実行する(S22)。海図画像生成処理では、泥、砂、砂礫、岩の各々に対して、対応する水底の硬さの範囲が予め定められている。このラベリング処理では、海図画像の各画素毎に、その画素が示す位置におけるS21の処理により算出された水底の硬さの値に基づいて、その水底の硬さが対応する底質を、泥、砂、砂礫、岩の中から割り当て、ラベリングする。水底の硬さの値が、泥、砂、砂礫、岩のいずれにも該当しない場合、このラベリング処理は、その画素における底質を「不明」とラベリングする。
なお、底質の測定を行った海域や、超音波ビームTBの送受信条件によって、水底の硬さの値に対する適切なラベリングの範囲が異なってくる。よって、水底の硬さの値に対する適切なラベリングの範囲が、海域や超音波ビームTBの送受信条件によって変更可能に構成される。この変更は、フラッシュメモリ22に、海域や超音波ビームTBの送受信条件に対応付けて、適切なラベリングの範囲を保存しておき、底質の計測が行われた海域や超音波ビームTBの送受信条件に対して、対応するラベリングの範囲を設定するようにしてもよい。また、使用者により、操作ボタン14が操作されることによって、ラベリングの範囲が調整できるようにしてもよい。
次いで、海図画像生成処理では、マスクパターン生成処理を行う(S23)。このマスクパターン生成処理では、S22の処理により海図画像の画素毎に行われたラベリングに基づいて、泥、砂、砂礫、岩、不明の各テクスチャ毎に、そのテクスチャに対応する底質がラベリングされた範囲以外をマスクするマスクパターンを生成する。図11には、そのマスクパターンの一例を示している。
次いで、テクスチャマスク処理を実行する(S24)。テクスチャマスク処理では、テクスチャ毎に、そのテクスチャに対してS23の処理にて生成されたマスクパターンにてマスクする。これにより、非マスク領域において、テクスチャが表示される画像が生成される。ここで、非マスク領域は、S23の処理により、対応するテクスチャの底質がラベリングされた画素の領域である。よって、図11に示される通り、そのテクスチャが表示される領域が、そのテクスチャに対応する底質の領域であることが示される。
海図画像生成処理では、その後、海図・底質画像合成処理を実行して(S25)、海図画像生成処理を終了する。海図・底質画像合成処理では、図11に示すように、S24の処理によりマスク処理された全底質(不明を含む)のテクスチャを対応する海図画像に合成する。この全底質のテクスチャが合成された海図画像が、表示装置15に表示される。
以上説明した通り、第3実施形態における魚群探知装置12によれば、表示装置15に表示される海図画像の各位置における底質を示すテクスチャが、海図画像に対して表示される。これにより、底質を使用者に判りやすく表現できる。
また、各底質に対して対応するテクスチャを用意し、テクスチャ毎に海図画像の各画素毎にラベリングされた底質に基づいてマスクパターンを生成してテクスチャをマスクすることで、そのテクスチャにて表示された領域が、対応する底質の領域であることを示す。これにより、グラフィックライブラリやアクセラレータの合成機能を利用して、高速な画像描画処理を可能とすることができる。
また、第3実施形態では、底質が不明である場合のテクスチャとして、泥、砂、砂礫、岩に対して用意されたいずれのテクスチャとも異なる一面黒のテクスチャが用意される。これにより、底質が不明な領域を、使用者に対して明確に示すことができる。また、そのテクスチャが一面黒であるので、その領域において底質が不明であることを直感的に使用者に伝えることができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記各実施形態は、いかに説明する変形例を含めて、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部又は複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部又は複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。また、上記各実施形態で挙げた数値やフィルタ、水底の水深dに対応させる表示色は一例であり、他の数値やフィルタ、表示色を採用することは当然可能である。
上記第1実施形態では、水底の水深dを、魚群探知装置12にて行われる魚群探知の範囲の中で、水深色変換テーブル22dにおいてインデックス22d1に割り当てる場合について説明した。これに対して、水深色変換テーブル22dにおいてインデックス22d1に割り当てる水底の水深dの範囲を、魚群探知が行われる範囲よりも所定の範囲だけ広くしてもよい。例えば、魚群探知が行われる深度の最大値Emax又は最小値Eminに対して、少なくとも一方を20%だけで広くしてもよい。両者とも20%だけ広くする場合、スケーリング処理後のインデックスIdは、上記(1)式に代えて、次の(3)式により算出すればよい。
Id=(d−0.8×Emin)×100/(1.2×Emax−0.8×Emin) ・・・(3)
なお、(3)式の右辺により得られた値は、小数点以下が切り捨てられる。
これにより、水底の水深dに対する表示色の配列の指定を、魚群探知の範囲よりも広い範囲の中で行うことができる。よって、魚群探知の範囲よりも広い範囲で、表示色を通して水底の地形の変化を使用者に分かりやすく表現できるので、使用者に対して、魚群探知の範囲を広げるか否かの判断を、容易に行わせることができる。
上記第2実施形態では、水底の水深dを、表示装置15に表示される海図画像の範囲における、水底の水深dの最小値dmin及び最大値dmaxの範囲の中で、水深色変換テーブル22dにおいてインデックス22d1に割り当てる場合について説明した。これに対して、水深色変換テーブル22dにおいてインデックス22d1に割り当てられる水底の水深dの範囲を、表示装置15に表示される海図画像の範囲における、水底の水深dの最小値dmin及び最大値dmaxの範囲よりも所定の範囲だけ広くしてもよい。例えば、表示装置15に表示される海図画像の範囲における、水底の水深dの最小値dmin及び最大値dmaxに対して、少なくとも一方を20%だけ広くしてもよい。両者とも20%だけ広くする場合、スケーリング処理後のインデックスIdは、上記(2)式に代えて、次の(4)式により算出すればよい。
Id=(d−0.8×dmin)×100/(1.2×dmax−0.8×dmin) ・・・(4)
なお、(4)式の右辺により得られた値は、小数点以下が切り捨てられる。
これにより、表示装置15に表示される海図画像がスクロールされ、その海図の範囲が変更された場合に、それまで表示されていた海図の中で最も浅い水底よりもさらに浅い水底が含まれるようになった場合や、最も深い水底よりもさらに深い水底よりもさらに深い水底が含まれるようになった場合であっても、その水底が所定の範囲内にあれば、表示色の配列の指定の変更を行わずに、それらの水底の深度を色で表現できる。
上記第1実施形態では、水底の水深dを、魚群探知装置12にて行われる魚群探知の範囲に基づいて、水深色変換テーブル22dにおいてインデックス22d1に割り当てる場合について説明したが、水底の水深dを、魚群探知装置12にて行われる魚群探知の範囲だけでなく、表示装置15に表示される海図画像の範囲における、水底の水深dの最小値dmin及び最大値dmaxの範囲にも基づいて、水深色変換テーブル22dにおいてインデックス22d1に割り当ててもよい。
例えば、表示装置15に表示される海図画像の範囲における水底の水深dの最小値dminが、魚群探知の範囲の最も浅い深度Eminがよりも小さい(浅い)場合は、インデックス22d1に割り当てる水底の水深dの範囲の最小値ddminをEminに設定し、表示装置15に表示される海図画像の範囲における水底の水深dの最小値dminが、魚群探知の範囲の最も浅い深度Emin以上(深い)場合は、インデックス22d1に割り当てる水底の水深dの範囲の最小値ddminをdminに設定する。一方、表示装置15に表示される海図画像の範囲における水底の水深dの最大値dmaxが、魚群探知の範囲の最も深い深度Emaxがよりも大きい(深い)場合は、インデックス22d1に割り当てる水底の水深dの範囲の最大値ddmaxをEmaxに設定し、表示装置15に表示される海図画像の範囲における水底の水深dの最大値dmaxが、魚群探知の範囲の最も深い深度Emax以下(浅い)場合は、インデックス22d1に割り当てる水底の水深dの範囲の最大値ddmaxをdmaxに設定する。そして、水底の水深dに対して、水深色変換テーブル22dにおいてインデックス22d1に割り当てる処理を、次の(5)式により行ってもよい。
Id=(d−ddmin)×100/(ddmax−ddmin) ・・・(5)
なお、(5)式の右辺により得られた値は、小数点以下が切り捨てられる。
これにより、魚群探知装置12にて行われる魚群探知の範囲の中に、表示装置15に表示される海図画像の範囲における、水底の水深dの最小値dmin及び最大値dmaxの少なくとも一方が含まれる場合は、その魚群探知の範囲の中に含まれる、水底の水深dの最小値dmin及び最大値dmaxを、表示色の配列が行われる水底の水深dの範囲の境界とすることができる。よって、水底の水深dが取りうる範囲に対して、表示色の諧調表現力をより高く保つことができ、水底の地形の変化をさらに使用者に分かりやすく表現できる。
上記第1及び第2実施形態では、水底の水深dが、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の最小値よりも小さい場合は、表示色として「白色」が指定され、水底の水深dが、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の最大値よりも大きい場合は、表示色として「黒色」が指定される場合について説明した。これに対し、水底の水深dが、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲外にある場合には、それが浅い側であるか深い側であるかにかかわらず、表示色として同一の色、例えば「黒色」が指定されるようにしてもよい。これにより、その同一の色で示された箇所が、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲外であることを、使用者に明確に示すことができる。特に、同一の色として「黒色」を指定する場合は、その「黒色」で示された箇所が、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲外であることを、使用者に直感的に且つ明確に示すことができる。
なお、水底の水深dが、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲外にある場合に、指定される表示色は必ずしも「黒色」である必要はなく「白色」であってもよい。また、表示色の配列により指定されうる表示色とは異なる表示色であればよい。
また、水底の水深dが、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲にある場合は、その表示色として非透過色を指定する一方、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の最小値よりも小さい場合と、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の最大値よりも大きい場合とのいずれか一方又は両方において、表示色として「透過色」を指定するようにしてもよい。この場合、水底の水深dが、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲外であった場合、見た目上、対応する位置において、水底の水深dを表す「色」が海図画像上に表示されず、海図データ22cの海図画像がそのまま表示装置15に表示される。これにより、使用者が、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲外にある水底の水深dを、海図画像より視認することはないので、海図画像を通して水底の地形をご認識してしまうことを抑制できる。
また、水底の水深dが表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲外にある場合の表示色を、使用者が操作ボタン14を操作して選択した表示色に設定してもよい。これにより、水底の水深dが表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲外にある場合の表示色を、使用者に好みに応じて変更できる。この場合、選択可能な表示色は、水底の水深dが表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲に対して指定されうる表示色(即ち、表示色の配列により指定されうる表示色)と異なる表示色とされてもよいし、表示色の配列により指定されうる表示色を含んでいてもよい。表示色の配列により指定されうる表示色が、水底の水深dが表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲外にある場合の表示色として設定されたとしても、その表示色は使用者が選択したものであるので、その表示色で表示された位置における水底の水深dが、表示色の配列の指定が行われた水底の水深の範囲外にあることを認識できる。
上記第3実施形態では、底質が不明である場合は、泥、砂、砂礫、岩に対して用意されたいずれのテクスチャとも異なる、一面黒のテクスチャが用意される場合について説明したが、別の色のテクスチャが用意されてもよい。また、一面透過色のテクスチャを用意してもよい。一面透過色のテクスチャを用意した場合、底質が不明な箇所では、見た目上、対応する位置において、底質を表すテクスチャが海図画像上に表示されず、海図データ22cの海図画像がそのまま表示装置15に表示される。これにより、使用者が、不明な底質を、海図画像より視認することはないので、海図画像を通して底質が明らかなところだけを認識できる。また、底質が不明である場合の表示態様を、使用者が操作ボタン14を操作して選択した表示態様に設定してもよい。これにより、底質が不明である場合の表示態様を使用者に好みに応じて選択できる。
上記各実施形態では、表示装置15に探知画像と併せて表示される海図画像に対して、水底の地形又は底質を表示する場合について説明したが、表示装置15に探知画像が表示されず、海図画像のみ、又は、海図画像と探知画像以外の何らかの画像とが一緒に、表示装置15に表示される場合に、その海図画像に対して、水底の地形又は底質を表示する場合についても、本発明を適用可能である。
上記各実施形態では、海図画像表示装置として魚群探知装置12を例示したがこれに限られるものではない。例えば、海図を表示して、船舶11が航行した軌跡である航跡を表示するプロッタ装置に対して、本発明を適用してもよい。また、1つの方向に送信される超音波ビームTBの送信方向を変化させながら、所定範囲にわたり水中や水底の探知を行うソナー型の魚群探知装置又はプロッタ装置に本発明を適用してもよい。