JP6911397B2 - 荷電粒子線露光用マスクおよびその製造方法 - Google Patents
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ステンシル型の荷電粒子線露光用マスクとしては、荷電粒子線を透過しない薄板部に所望の開口部を設けたマスクが使用される。このようなマスクとして、例えば、厚みが1μm程度であり平面視形状が細長い形状である薄板部の長手方向の寸法を10mm程度までとしたステンシル型のマスク(特許文献1)、薄板部に数nm〜数μmの寸法の開口を所望の配列で設けたステンシル型のマスク(特許文献2)等が開示されている。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、安定した使用が可能な荷電粒子線露光用マスクと、このような荷電粒子線露光用マスクを安定的に製造可能な製造方法を提供することを一目的とする。
本発明の他の態様として、前記補強部が前記開口部の周縁から離間する距離は1μm以上であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記ラウンド形状の曲率半径は、1μm〜100μmの範囲内であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記薄板部と、前記支持部および前記補強部とは、エッチング選択性のある材料からなるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記薄板部は、窒化シリコン、炭化シリコン、ガリウム砒素、ダイヤモンドライクカーボン、サファイア又は金属からなる層であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記基板は、酸化シリコン層を介してシリコン層が積層されたSOI基板であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記積層基板は、エッチング選択性のある2種以上の材料を積層してなる基板であるような構成とした。
本発明の荷電粒子線露光用マスクの製造方法は、製造工程における薄板部の変形、破損を防止して、安定的な製造を可能とする。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
本明細書等において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値のそれぞれを下限値及び上限値として含む範囲であることを意味する。
本明細書等において、「フィルム」、「シート」、「板」等の用語は、呼称の相違に基づいて相互に区別されない。例えば、「板」は、「シート」、「フィルム」と一般に呼ばれ得るような部材をも含む概念である。
本発明の荷電粒子線露光用マスクについて説明する。
図1は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの一実施形態を示す平面図であり、図2は、図1に示される荷電粒子線露光用マスクのI−I線における部分拡大断面図である。図1および図2において、荷電粒子線露光用マスク11は、パターン領域13に複数の開口部14を有する薄板部12と、この薄板部12の一方の面12aであってパターン領域13の外側を支持する枠形状の支持部15と、薄板部12の一方の面12aのパターン領域13内であって各開口部14の周縁14pから離間した領域に、当該開口部14を囲むように位置する補強部17を備えている。荷電粒子線露光用マスク11を構成する薄板部12は、厚みが0.1μm〜30μmの範囲であり、また、補強部17は、支持部15と連続している。尚、図1では、パターン領域13の周囲を一点鎖線で示している。また、図1では、開口部14を省略している。
荷電粒子線露光用マスク11の支持部15は、パターン領域13の外側を囲み、かつ、薄板部12の面12aを支持可能な枠形状とされる。SOI基板を使用している荷電粒子線露光用マスク11では、支持部15はSOI基板を構成する単結晶シリコン基板15aと酸化シリコン層15bとの積層からなる。この支持部15は、酸化シリコン層15bが、薄板部12の一方の面12aであってパターン領域13の外側に固着しており、これにより薄板部12を支持している。
荷電粒子線露光用マスク11を構成する補強部17は、薄板部12の一方の面12aのパターン領域13内であって、各開口部14の周縁14pから離間した領域に、当該開口部14を囲むように位置している。この補強部17が開口部14の周縁14pから離間する距離Lは、1μm以上であることが好ましく、1.2μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが特に好ましく、後述する荷電粒子線露光用マスクの製造における孔部64とレジストパターン85の開口85aとのアライメント等を考慮すると、10μm以上が更に好ましい。また、距離Lの上限は隣接する開口部14間に存在する薄板部12の大きさに応じて設定することができ、例えば、100μm以下、好ましくは50μm以下とすることができる。補強部17が開口部14の周縁14pから離間する距離Lが1μm未満であると、荷電粒子線が開口部14を透過する効率が低下するおそれがある。また、距離Lが100μmを超えると、補強部17による薄板部12の有効な補強が得られず、荷電粒子線露光用マスク11に作用する応力が開口部14周辺の薄板部12に作用することを阻止できない場合があり得る。尚、補強部17が開口部14の周縁14pから離間する距離Lは、全ての開口部14において、また、1個の開口部14の周囲全域において、同じであってよい。また、パターン領域13における開口部14の存在位置に応じて距離Lが異なるもの、1個の開口部14の周囲において距離Lが異なるものであってもよい。
このような補強部17は、開口部14を囲むように位置するとともに、パターン領域13の外側に位置している支持部15と連続している。このため、荷電粒子線露光用マスク11に応力等が作用しても、荷電粒子線露光用マスク11に歪みが生じることが抑制され、薄板部12の変形、開口部14の破損等を防止することができる。また、補強部17は、薄板部12に荷電粒子線が衝突して発生した熱を外部に逃がす放熱作用も発現する。
図3は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を示す平面図であり、図4は、図3に示される荷電粒子線露光用マスクのII−II線における断面図である。図3および図4において、荷電粒子線露光用マスク21は、矩形のパターン領域23(図3に一点鎖線で示す)に複数の矩形の開口部24を有する薄板部22と、この薄板部22の一方の面22aであってパターン領域23の外側を支持する枠形状の支持部25と、薄板部22の一方の面22aのパターン領域23内であって各開口部24の周縁24pから離間した領域に、当該開口部24を囲むように位置する補強部27を備えている。また、荷電粒子線露光用マスク21を構成する薄板部22は、厚みが0.1μm〜30μmの範囲であり、補強部27は、支持部25と連続している。尚、荷電粒子線露光用マスク21の外郭寸法と開口部24の寸法の比、開口部24の数等は便宜的に記載したものである。また、図3では、各開口部24の周縁24pから離間して位置する補強部27の輪郭を鎖線で示している。
薄板部22のパターン領域23に位置する矩形の開口部24は、4列×3行で碁盤の目となるように配列している。そして、この開口部24の周縁24pから距離Lだけ離間した位置に、補強部27の輪郭(図3に鎖線で示す)が位置している。補強部27が開口部24の周縁24pから離間する距離Lは、上記と同様に、1μm以上であることが好ましく、1.2μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが特に好ましく、距離Lの上限は、例えば、100μm、好ましくは50μmとすることができる。また、距離Lは、全ての開口部24において、また、1個の開口部24の周囲全域において、同じであってよい。さらに、パターン領域23における開口部24の存在位置に応じて距離Lが異なるもの、1個の開口部24の周囲において距離Lが異なるものであってもよい。
尚、開口部24の配列は、碁盤の目に限定されるものではない。図5は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を示す平面図であり、図6は、図5に示される荷電粒子線露光用マスクのIII−III線における断面図である。図5および図6において、荷電粒子線露光用マスク21′は、パターン領域23に位置する開口部24において、Y軸方向の3個の開口部24からなる配列群が、X軸方向に4列隣接しており、隣接する各配列群がY軸方向に距離yずれている他は、上述の荷電粒子線露光用マスク21と同様である。したがって、同じ部材には同じ部材番号を付している。このような荷電粒子線露光用マスク21′においても、荷電粒子線露光用マスク21′に歪みが生じることが抑制され、薄板部22の変形、開口部24の破損等が防止される。
このような補強部37は、パターン領域33の周縁部で支持部35と連続している。したがって、荷電粒子線露光用マスク31に応力等が作用しても、荷電粒子線露光用マスク31に歪みが生じることが抑制され、薄板部32の変形、開口部34の破損等を防止することができる。また、補強部37は、薄板部32に荷電粒子線が衝突して発生した熱を外部に逃がす放熱作用も発現する。
また、荷電粒子線露光用マスクでは、補強部は、開口部を囲む部位の平面視の輪郭形状に存在する角部がラウンド形状であってもよい。図12は、このようなラウンド形状を、上述の荷電粒子線露光用マスク21の開口部24、補強部27を例として説明するための図である。図12(A)は、矩形の開口部24の周縁24pから距離L離間した領域に、当該開口部24を囲むように位置する補強部27を、斜線を付して示している。この図12(A)では、補強部27の開口部24を囲む部位の平面視の輪郭形状(鎖線で示している)に、角部27cが4箇所存在している。一方、図12(B)では、補強部27は、開口部24を囲む部位の平面視の輪郭形状(鎖線で示している)において、4箇所の角部がラウンド形状27rとなっている。
このように、補強部において、開口部を囲む部位の平面視の輪郭形状の角部をラウンド形状とすることにより、荷電粒子線露光用マスク21に大きな応力等が作用し、荷電粒子線露光用マスク21に歪みが若干生じても、ラウンド形状27r,37rとなっている部位において歪み応力が緩和され、薄板部22,32の変形、開口部24,34の破損等を防止することができる。
次に、本発明の荷電粒子線露光用マスクの製造方法について説明する。
図19、図20は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの製造方法の一実施形態を説明するための工程図であり、上述の荷電粒子線露光用マスク21を例としたものである。
本実施形態では、荷電粒子線露光用マスクを形成するための基板61として、支持基板65aと、支持基板65aに積層された酸化シリコンを含むボックス層65bと、このボックス層65b上に配置された厚みが1μm〜30μmの範囲内である単結晶シリコン層62と、を有するSOI基板を準備する。そして、この基板61の単結晶シリコン層62にパターン領域63を画定し、また、基板61の主面61a、および、これに対向する主面61bにハードマスク材料層71を形成する。すなわち、基板61を構成する単結晶シリコン層62上にハードマスク材料層71aを形成し、支持基板65a上にハードマスク材料層71bを形成する(図19(A))。
ハードマスク材料層71a,71bとしては、例えば、酸化シリコンや、クロム、アルミニウム等の金属材料を使用することができ、ボックス層65bと同じエッチャントでエッチングできるものが好適である。以降、ハードマスク材料層71a,71bとして、ボックス層65bと同じ酸化シリコンを使用したプロセスについて説明する。
次に、ハードマスク材料層71aにレジストパターン75を形成する(図19(B))。このレジストパターン75は、パターン領域63内に所望の開口75aを有している。
また、単結晶シリコン層62のエッチングは、ウェットエッチングまたはドライエッチングによって行うことができる。ウェットエッチングによって単結晶シリコン層62をエッチングする場合、KOH水溶液、エチレンジアミン・ピロカテコール(EDP)、または、4メチル水酸化アンモニウム(TMAH)を使用することができる。一方、ドライエッチングによって単結晶シリコン層62をエッチングする場合、4フッ化炭素(CF4)、六フッ化硫黄(SF6)、臭化水素(HBr)を使用したドライエッチングを行うことができる。
樹脂層81は、孔部64を保護する目的、および、後工程で支持基板65aをエッチングする際の歪みを抑制する目的で形成される。したがって、樹脂層81は一定の剛性を得るのに十分な厚みで形成することが好ましく、具体的には樹脂層81の厚みは5μm〜30μmの範囲で適宜設定することができる。このような樹脂層81は、図示例では、基板全域に亘って形成されているが、少なくともパターン領域63に形成されていればよい。樹脂層81の形成では、レジスト等として用いられる公知の樹脂を使用することができ、溶媒に溶けた樹脂材料の溶液をスピンコート法等により塗布し、熱処理を行うことにより樹脂層81を形成することができる。樹脂層81の厚みは、樹脂材料や添加剤の濃度調整により溶液の粘度を調整し、さらに溶液塗布時の基板の回転速度を調整することで制御することができる。一度の塗布で所望の厚みを得ることができない場合は、樹脂層が所望の厚みになるまで塗布と硬化を複数回繰り返してもよい。
このレジストパターン85は、孔部64に対向する位置に開口85aを有している。この開口85aは、エッチング方法、エッチング条件、基板61の材質等を考慮して、後述する補強部67′を形成するのに適した開口寸法、開口形状を備えたものとする。
また、支持基板65aのエッチングは、単結晶シリコン層62のエッチングと同様に、ウェットエッチングまたはドライエッチングによって行うことができる。
また、上記の樹脂層81を除去する工程は、補強部67′間に露出するボックス層65bをエッチングして孔部64を露出させた後に実施してもよい。
まず、基板61の一方の主面61aにパターン領域63を画定し、また、基板61の主面61aにハードマスク材料層71aを形成し、基板61の主面61bにハードマスク材料層71bを形成する。ハードマスク材料層71a,71bは、基板61をエッチングする際にエッチングレジストとして機能する材料を用いて形成する。次に、ハードマスク材料層71aにレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとしてハードマスク材料層71aをエッチングしてハードマスク71′aを形成し、このハードマスク71′aをマスクとして基板61をエッチングする(図21(A))。このエッチングにより、基板61に孔部64を形成する。この孔部64の深さは、上述の荷電粒子線露光用マスク21の薄板部22の厚みと同等以上の深さとする。
上述の荷電粒子線露光用マスクの製造方法の実施形態は例示であり、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。
12,22,32,42…薄板部
13,23,33,43…パターン領域
14,24,34,44…開口部
14p,24p,34p、44p…開口部の周縁
15,25,35,45…支持部
17,27,37,47…補強部
61…基板
63…パターン領域
64…孔部
64a…孔部の開口部の周縁
65,65′…支持部
67,67′…補強部
Claims (14)
- パターン領域に複数の開口部を有し、厚みが0.1μm〜30μmの範囲内である薄板部と、
前記薄板部の一方の面であって前記パターン領域の外側を支持する枠形状の支持部と、
前記薄板部の前記一方の面の前記パターン領域内であって前記開口部の周縁から離間した領域に、前記開口部を囲むように位置するとともに前記支持部と連続している補強部と、を備え、
前記補強部の一部が、前記薄板部に連続していない荷電粒子線露光用マスク。 - 前記補強部は、全ての前記開口部の周縁から離間した領域に前記開口部を囲むよう位置する請求項1に記載の荷電粒子線露光用マスク。
- 前記補強部が前記開口部の周縁から離間する距離は、1μm以上である請求項1または請求項2に記載の荷電粒子線露光用マスク。
- 前記補強部における前記開口部を囲む部位の平面視の輪郭形状に存在する角部がラウンド形状である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の荷電粒子線露光用マスク。
- 前記ラウンド形状の曲率半径は、1μm〜100μmの範囲内である請求項4に記載の荷電粒子線露光用マスク。
- 前記ラウンド形状の曲率半径は、前記補強部が前記開口部の周縁から離間する距離に等しい請求項4または請求項5に記載の荷電粒子線露光用マスク。
- 前記薄板部と、前記支持部および前記補強部とは、エッチング選択性のある材料からなる請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の荷電粒子線露光用マスク。
- 前記薄板部は、シリコンからなる層であり、
前記補強部は、酸化シリコンからなる層とシリコンからなる層との複合体であって、前記薄板部側から前記酸化シリコンからなる層および前記シリコンからなる層の順に位置する請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の荷電粒子線露光用マスク。 - 前記薄板部は、窒化シリコン、炭化シリコン、ガリウム砒素、ダイヤモンドライクカーボン、サファイア又は金属からなる層である請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の荷電粒子線露光用マスク。
- 基板の一主面にパターン領域を画定し、前記パターン領域の前記基板に孔部を形成する工程と、
前記孔部を被覆するように前記基板上に樹脂層を形成する工程と、
前記基板の前記一主面と対向する主面側から、前記孔部が露出するまで前記基板を所望のパターンでエッチングして、前記パターン領域の外側に位置する枠形状の支持部と、前記パターン領域内であって、露出した前記孔部の開口部の周縁から離間した領域に前記開口部を囲むように位置するとともに、前記支持部と連続している補強部とを形成するとともに、露出した前記孔部の深さを0.1μm〜30μmの範囲内で所望の深さとする工程と、
前記樹脂層を除去する工程と、を有し、
前記補強部の一部が前記薄板部に連続しないように前記補強部を形成する荷電粒子線露光用マスクの製造方法。 - 前記樹脂層の厚みは、5μm〜30μmの範囲内とする請求項10に記載の荷電粒子線露光用マスクの製造方法。
- 前記基板は、酸化シリコン層を介してシリコン層が積層されたSOI基板である請求項10または請求項11に記載の荷電粒子線露光用マスクの製造方法。
- 前記基板は、シリコン、シリコン化合物、化合物半導体、炭素、サファイアおよび金属からなる群より選択される1種からなる基板または2種以上を積層してなる積層基板である請求項10または請求項11に記載の荷電粒子線露光用マスクの製造方法。
- 前記積層基板は、エッチング選択性のある2種以上の材料を積層してなる基板である請求項13に記載の荷電粒子線露光用マスクの製造方法。
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