JP6911397B2 - 荷電粒子線露光用マスクおよびその製造方法 - Google Patents

荷電粒子線露光用マスクおよびその製造方法 Download PDF

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本開示は、荷電粒子線露光用マスクに係り、特に荷電粒子線を透過しない薄板部に所望の開口部を設けた荷電粒子線露光用マスクとその製造方法に関する。
半導体装置等の集積回路の微細化および高集積化に伴い、フォトリソグラフィ法に替わって、電子線やイオンビーム等の荷電粒子線を用いた荷電粒子線リソグラフィ法がパターン形成に使用されている。荷電粒子線リソグラフィ法には、荷電粒子線露光装置を用いて露光対象物に荷電粒子線を直接描画する方式と、荷電粒子線露光装置と露光対象物との間にステンシル型の荷電粒子線露光用マスクを介在させてパターン露光する方式がある。
ステンシル型の荷電粒子線露光用マスクとしては、荷電粒子線を透過しない薄板部に所望の開口部を設けたマスクが使用される。このようなマスクとして、例えば、厚みが1μm程度であり平面視形状が細長い形状である薄板部の長手方向の寸法を10mm程度までとしたステンシル型のマスク(特許文献1)、薄板部に数nm〜数μmの寸法の開口を所望の配列で設けたステンシル型のマスク(特許文献2)等が開示されている。
特開2009−274347号公報 特開2013−12682号公報
しかし、従来のステンシル型の荷電粒子線露光用マスクを構成する薄板部は、機械的強度が低いものである。したがって、製造工程における応力や基板の歪みの影響、あるいは、洗浄時の水圧の影響を受けて、薄板部が変形してしまう問題が発生する。このような問題は、薄板部の平面視形状の面積が大きくなるほど顕著となる。例えば、上述の特許文献1、特許文献2に記載の従来のステンシル型のマスクであっても、製造工程における薄板部の変形、破損が生じ易く、安定的に製造することは困難であった。また、使用に際しても、応力の作用により薄板部の変形、破損が生じ易いという問題があった。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、安定した使用が可能な荷電粒子線露光用マスクと、このような荷電粒子線露光用マスクを安定的に製造可能な製造方法を提供することを一目的とする。
このような目的を達成するために、本発明の一実施形態としての荷電粒子線露光用マスクは、パターン領域に複数の開口部を有し、厚みが0.1μm〜30μmの範囲内である薄板部と、前記薄板部の一方の面であって前記パターン領域の外側を支持する枠形状の支持部と、前記薄板部の前記一方の面の前記パターン領域内であって前記開口部の周縁から離間した領域に、前記開口部を囲むように位置するとともに前記支持部と連続している補強部と、を備え、前記補強部の一部が、前記薄板部に連続していないような構成とした。
本発明の他の態様として、前記補強部は、全ての前記開口部の周縁から離間した領域に前記開口部を囲むよう位置するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記補強部が前記開口部の周縁から離間する距離は1μm以上であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記補強部における前記開口部を囲む部位の平面視の輪郭形状に存在する角部がラウンド形状であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記ラウンド形状の曲率半径は、1μm〜100μmの範囲内であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記ラウンド形状の曲率半径は、前記補強部が前記開口部の周縁から離間する距離に等しいような構成とした。
本発明の他の態様として、前記薄板部と、前記支持部および前記補強部とは、エッチング選択性のある材料からなるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記薄板部は、シリコンからなる層であり、前記補強部は、酸化シリコンからなる層とシリコンからなる層との複合体であって、前記薄板部側から前記酸化シリコンからなる層および前記シリコンからなる層の順に位置するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記薄板部は、窒化シリコン、炭化シリコン、ガリウム砒素、ダイヤモンドライクカーボン、サファイア又は金属からなる層であるような構成とした。
本発明の一実施形態としての荷電粒子線露光用マスクの製造方法は、基板の一主面にパターン領域を画定し、前記パターン領域の前記基板に孔部を形成する工程と、前記孔部を被覆するように前記基板上に樹脂層を形成する工程と、前記基板の前記一主面と対向する主面側から、前記孔部が露出するまで前記基板を所望のパターンでエッチングして、前記パターン領域の外側に位置する枠形状の支持部と、前記パターン領域内であって、露出した前記孔部の開口部の周縁から離間した領域に前記開口部を囲むように位置するとともに、前記支持部と連続している補強部とを形成するとともに、露出した前記孔部の深さを0.1μm〜30μmの範囲内で所望の深さとする工程と、前記樹脂層を除去する工程と、を有し、前記補強部の一部が前記薄板部に連続しないように前記補強部を形成するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記樹脂層の厚みは、5μm〜30μmの範囲内とするような構成とした。
本発明の他の態様として、前記基板は、酸化シリコン層を介してシリコン層が積層されたSOI基板であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記基板は、シリコン、シリコン化合物、化合物半導体、炭素、サファイアおよび金属からなる群より選択される1種からなる基板または2種以上を積層してなる積層基板であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記積層基板は、エッチング選択性のある2種以上の材料を積層してなる基板であるような構成とした。
本発明の荷電粒子線露光用マスクは、薄板部の変形、破損が生じ難く、安定した使用が可能である。
本発明の荷電粒子線露光用マスクの製造方法は、製造工程における薄板部の変形、破損を防止して、安定的な製造を可能とする。
図1は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの一実施形態を示す平面図である。 図2は、図1に示される荷電粒子線露光用マスクのI−I線における部分拡大断面図である。 図3は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を示す平面図である。 図4は、図3に示される荷電粒子線露光用マスクのII−II線における断面図である。 図5は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を示す平面図である。 図6は、図5に示される荷電粒子線露光用マスクのIII−III線における断面図である。 図7は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を示す平面図である。 図8は、図7に示される荷電粒子線露光用マスクのIV−IV線における断面図である。 図9は、図7に示される荷電粒子線露光用マスクのV−V線における断面図である。 図10は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を示す平面図である。 図11は、図10に示される荷電粒子線露光用マスクのVI−VI線における断面図である。 図12は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を説明するための図である。 図13は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を説明するための図である。 図14は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を説明するための図である。 図15は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を示す平面図である。 図16は、図15に示される荷電粒子線露光用マスクのVII−VII線における断面図である。 図17は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を示す平面図である。 図18は、図17に示される荷電粒子線露光用マスクのVIII−VIII線における断面図である。 図19は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。 図20は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。 図21は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの製造方法の他の実施形態を説明するための工程図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
本明細書等において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値のそれぞれを下限値及び上限値として含む範囲であることを意味する。
本明細書等において、「フィルム」、「シート」、「板」等の用語は、呼称の相違に基づいて相互に区別されない。例えば、「板」は、「シート」、「フィルム」と一般に呼ばれ得るような部材をも含む概念である。
[荷電粒子線露光用マスク]
本発明の荷電粒子線露光用マスクについて説明する。
図1は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの一実施形態を示す平面図であり、図2は、図1に示される荷電粒子線露光用マスクのI−I線における部分拡大断面図である。図1および図2において、荷電粒子線露光用マスク11は、パターン領域13に複数の開口部14を有する薄板部12と、この薄板部12の一方の面12aであってパターン領域13の外側を支持する枠形状の支持部15と、薄板部12の一方の面12aのパターン領域13内であって各開口部14の周縁14pから離間した領域に、当該開口部14を囲むように位置する補強部17を備えている。荷電粒子線露光用マスク11を構成する薄板部12は、厚みが0.1μm〜30μmの範囲であり、また、補強部17は、支持部15と連続している。尚、図1では、パターン領域13の周囲を一点鎖線で示している。また、図1では、開口部14を省略している。
図示例の荷電粒子線露光用マスク11は、単結晶シリコン基板上に酸化シリコン層(埋め込み酸化シリコン層;ボックス層ともいう)が配置され、当該酸化シリコン層上に薄板部の単結晶シリコン層が配置されたSOI(Silicon on Insulator)基板を使用して製造されたものであり、SOI基板の薄板部の単結晶シリコン層にパターン領域13が画定されている例である。したがって、荷電粒子線露光用マスク11の薄板部12の材質は単結晶シリコンとなる。また、荷電粒子線露光用マスク11にSOI基板を使用しない場合には、基板としては、シリコン基板、窒化シリコン、炭化シリコン、酸化シリコン等のシリコン化合物基板、ガリウム砒素等の化合物半導体基板、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素基板、サファイア基板、ステンレスやアルミニウム、クロム等の金属基板を使用することができ、また、これらの基板材質を含む所望の材質の中から選択した複合材質からなる積層体を基板として使用することができる。したがって、薄板部12の材質、厚みは、使用する基板に対応したものとなる。例えば、薄板部12の材質が単結晶シリコンである場合、薄板部12の厚みは、例えば、1μm〜30μmとなり、また、薄板部12の材質が窒化シリコンである場合は、例えば、0.1μm〜1μmとなり、炭化シリコンである場合は、例えば、0.1μm〜3μmとなり、ダイヤモンドライクカーボンである場合は、例えば、0.1μm〜2μmとなる。
図示例では、荷電粒子線露光用マスク11の外郭形状が矩形であり、また、薄板部12に画定されているパターン領域13も矩形とされているが、矩形に限定されるものではない。また、薄板部12がパターン領域13に備える開口部14の開口形状、配設位置、寸法は、荷電粒子線露光用マスク11の使用目的に応じて適宜設定することができる。
荷電粒子線露光用マスク11の支持部15は、パターン領域13の外側を囲み、かつ、薄板部12の面12aを支持可能な枠形状とされる。SOI基板を使用している荷電粒子線露光用マスク11では、支持部15はSOI基板を構成する単結晶シリコン基板15aと酸化シリコン層15bとの積層からなる。この支持部15は、酸化シリコン層15bが、薄板部12の一方の面12aであってパターン領域13の外側に固着しており、これにより薄板部12を支持している。
荷電粒子線露光用マスク11にSOI基板を使用していない場合には、上記のように、基板としてシリコン基板、窒化シリコン、炭化シリコン、酸化シリコン等のシリコン化合物基板、ガリウム砒素等の化合物半導体基板、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の炭素基板、サファイア基板、ステンレスやアルミニウム、クロム等の金属基板を使用することができる。また、これらの基板材質を含む所望の材質の中から選択した複合材質からなる積層体を基板として使用することができる。積層体は、薄板部12を構成するための層と、支持部15および補強部17を構成する層とが、選択性のあるエッチングを行うことが可能であり、薄板部12が自立薄膜(メンブレン)となり、上記の15bに相当する部材が存在しない場合であっても、薄板部12は開口部14を有する状態を維持可能であればよく、例えば、積層体を2層構造とすることができる。
また、薄板部12を構成するための層と、支持部15および補強部17を構成する層との間にエッチング選択性をもたせるために、積層体を3層以上の構造としてもよい。積層体が3層構造の場合、上記の部材12に相当する基板と部材15bに相当する基板との間にエッチング選択性が存在し、また、上記の部材15aに相当する基板と部材15bに相当する基板との間にエッチング選択性が存在するように、組み合わせを設定することができる。例えば、下記の表1に示すような材質の組み合わせを挙げることができる。尚、本発明において、異なる層、材料間においてエッチング選択性があるとは、同一条件でエッチングを行ったときに、エッチング速度に相違が生じる場合があることを意味する。
Figure 0006911397
したがって、支持部15の材質は、使用する基板に対応したものとなる。このような支持部15の厚み(図2に示される矢印a方向の厚み)は、支持部15の材質、枠形状の平面視の寸法等を考慮して設定することができ、例えば、100μm〜800μm、好ましくは200μm〜400μmの範囲で適宜設定することができる。
荷電粒子線露光用マスク11を構成する補強部17は、薄板部12の一方の面12aのパターン領域13内であって、各開口部14の周縁14pから離間した領域に、当該開口部14を囲むように位置している。この補強部17が開口部14の周縁14pから離間する距離Lは、1μm以上であることが好ましく、1.2μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが特に好ましく、後述する荷電粒子線露光用マスクの製造における孔部64とレジストパターン85の開口85aとのアライメント等を考慮すると、10μm以上が更に好ましい。また、距離Lの上限は隣接する開口部14間に存在する薄板部12の大きさに応じて設定することができ、例えば、100μm以下、好ましくは50μm以下とすることができる。補強部17が開口部14の周縁14pから離間する距離Lが1μm未満であると、荷電粒子線が開口部14を透過する効率が低下するおそれがある。また、距離Lが100μmを超えると、補強部17による薄板部12の有効な補強が得られず、荷電粒子線露光用マスク11に作用する応力が開口部14周辺の薄板部12に作用することを阻止できない場合があり得る。尚、補強部17が開口部14の周縁14pから離間する距離Lは、全ての開口部14において、また、1個の開口部14の周囲全域において、同じであってよい。また、パターン領域13における開口部14の存在位置に応じて距離Lが異なるもの、1個の開口部14の周囲において距離Lが異なるものであってもよい。
SOI基板を使用している荷電粒子線露光用マスク11では、補強部17は、支持部15と同様に、SOI基板を構成する単結晶シリコン17aと酸化シリコン17bとの積層からなる。補強部17の厚み(図2に示される矢印a方向の厚み)は、支持部15の厚みと同等であってよい。また、補強部17は、支持部15よりも薄いものであってもよく、さらに、補強部17の厚みがパターン領域13における存在位置に応じて異なるものであってもよい。
このような補強部17は、開口部14を囲むように位置するとともに、パターン領域13の外側に位置している支持部15と連続している。このため、荷電粒子線露光用マスク11に応力等が作用しても、荷電粒子線露光用マスク11に歪みが生じることが抑制され、薄板部12の変形、開口部14の破損等を防止することができる。また、補強部17は、薄板部12に荷電粒子線が衝突して発生した熱を外部に逃がす放熱作用も発現する。
次に、具体的な開口部形状を挙げながら、本発明の荷電粒子線露光用マスクを説明する。
図3は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を示す平面図であり、図4は、図3に示される荷電粒子線露光用マスクのII−II線における断面図である。図3および図4において、荷電粒子線露光用マスク21は、矩形のパターン領域23(図3に一点鎖線で示す)に複数の矩形の開口部24を有する薄板部22と、この薄板部22の一方の面22aであってパターン領域23の外側を支持する枠形状の支持部25と、薄板部22の一方の面22aのパターン領域23内であって各開口部24の周縁24pから離間した領域に、当該開口部24を囲むように位置する補強部27を備えている。また、荷電粒子線露光用マスク21を構成する薄板部22は、厚みが0.1μm〜30μmの範囲であり、補強部27は、支持部25と連続している。尚、荷電粒子線露光用マスク21の外郭寸法と開口部24の寸法の比、開口部24の数等は便宜的に記載したものである。また、図3では、各開口部24の周縁24pから離間して位置する補強部27の輪郭を鎖線で示している。
荷電粒子線露光用マスク21も、荷電粒子線露光用マスク11と同様に、SOI基板を使用した例としている。したがって、荷電粒子線露光用マスク21を構成する薄板部22、支持部25、補強部27は、荷電粒子線露光用マスク11を構成する薄板部12、支持部15、補強部17と同様とすることができる。
薄板部22のパターン領域23に位置する矩形の開口部24は、4列×3行で碁盤の目となるように配列している。そして、この開口部24の周縁24pから距離Lだけ離間した位置に、補強部27の輪郭(図3に鎖線で示す)が位置している。補強部27が開口部24の周縁24pから離間する距離Lは、上記と同様に、1μm以上であることが好ましく、1.2μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが特に好ましく、距離Lの上限は、例えば、100μm、好ましくは50μmとすることができる。また、距離Lは、全ての開口部24において、また、1個の開口部24の周囲全域において、同じであってよい。さらに、パターン領域23における開口部24の存在位置に応じて距離Lが異なるもの、1個の開口部24の周囲において距離Lが異なるものであってもよい。
このような補強部27は、開口部24を囲む格子形状であり、パターン領域23の周縁部では、支持部25と連続している。したがって、荷電粒子線露光用マスク21に応力等が作用しても、荷電粒子線露光用マスク21に歪みが生じることが抑制され、薄板部22の変形、開口部24の破損等を防止することができる。また、補強部27は、薄板部22に荷電粒子線が衝突して発生した熱を外部に逃がす放熱作用も発現する。
尚、開口部24の配列は、碁盤の目に限定されるものではない。図5は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を示す平面図であり、図6は、図5に示される荷電粒子線露光用マスクのIII−III線における断面図である。図5および図6において、荷電粒子線露光用マスク21′は、パターン領域23に位置する開口部24において、Y軸方向の3個の開口部24からなる配列群が、X軸方向に4列隣接しており、隣接する各配列群がY軸方向に距離yずれている他は、上述の荷電粒子線露光用マスク21と同様である。したがって、同じ部材には同じ部材番号を付している。このような荷電粒子線露光用マスク21′においても、荷電粒子線露光用マスク21′に歪みが生じることが抑制され、薄板部22の変形、開口部24の破損等が防止される。
図7は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの他の実施形態を示す平面図であり、図8は、図7に示される荷電粒子線露光用マスクのIV−IV線における断面図、図9は、図7に示される荷電粒子線露光用マスクのV−V線における断面図である。図7〜図9において、荷電粒子線露光用マスク31は、矩形のパターン領域33(図7に一点鎖線で示す)に複数のT字形の開口部34を有する薄板部32と、この薄板部32の一方の面32aであってパターン領域33の外側を支持する枠形状の支持部35と、薄板部32の一方の面32aのパターン領域33内であって各開口部34の周縁34pから離間した領域に、当該開口部34を囲むように位置する補強部37を備えている。また、荷電粒子線露光用マスク31を構成する薄板部32は、厚みが0.1μm〜30μmの範囲であり、補強部37は、支持部35と連続している。尚、荷電粒子線露光用マスク31の外郭寸法と開口部34の寸法の比、開口部34の数等は便宜的に記載したものである。また、図7では、各開口部34の周縁34pから離間して位置する補強部37の輪郭を鎖線で示している。
荷電粒子線露光用マスク31も、荷電粒子線露光用マスク11と同様に、SOI基板を使用した例としている。したがって、荷電粒子線露光用マスク31を構成する薄板部32、支持部35、補強部37は、荷電粒子線露光用マスク11を構成する薄板部12、支持部15、補強部17と同様とすることができる。
図示例では、T字形の開口部34は薄板部32のパターン領域33に12個配列されており、この開口部34の周縁34pから距離Lだけ離間した位置に、補強部37の輪郭(図7に鎖線で示す)が位置している。補強部37が開口部34の周縁34pから離間する距離Lは、上記と同様に、1μm以上であることが好ましく、1.2μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが特に好ましく、距離Lの上限は、例えば、100μm、好ましくは50μmとすることができる。また、距離Lは、全ての開口部34において、また、1個の開口部34の周囲全域において、同じであってよい。さらに、パターン領域33における開口部34の存在位置に応じて距離Lが異なるもの、1個の開口部34の周囲において距離Lが異なるものであってもよい。
このような補強部37は、パターン領域33の周縁部で支持部35と連続している。したがって、荷電粒子線露光用マスク31に応力等が作用しても、荷電粒子線露光用マスク31に歪みが生じることが抑制され、薄板部32の変形、開口部34の破損等を防止することができる。また、補強部37は、薄板部32に荷電粒子線が衝突して発生した熱を外部に逃がす放熱作用も発現する。
上述の荷電粒子線露光用マスクの実施形態では、薄板部22,32がパターン領域23,33に有する開口部24,34の形状が1種であったが、本発明の荷電粒子線露光用マスクは、異なる形状の開口部を有するものであってもよい。図10は、このような本発明の荷電粒子線露光用マスクの一実施形態を示す平面図であり、図11は、図10に示される荷電粒子線露光用マスクのVI−VI線における断面図である。図10および図11において、荷電粒子線露光用マスク41は、矩形のパターン領域43(図10に一点鎖線で示す)に開口形状が円形、矩形、三角形の3種の開口部44を有する薄板部42と、この薄板部42の一方の面42aであってパターン領域43の外側を支持する枠形状の支持部45と、薄板部42の一方の面42aのパターン領域43内であって各開口部44の周縁44pから離間した領域に、当該開口部44を囲むように位置する補強部47を備えている。パターン領域43には、開口形状が円形、矩形、三角形の3個の開口部44がY軸方向に配列した配列群が、X軸方向に5列隣接して存在している。そして、隣接する各配列群がY軸方向に距離yずれた状態で位置している。このような開口部44を有する薄板部42は、厚みが0.1μm〜30μmの範囲であり、補強部47は、支持部45と連続している。尚、荷電粒子線露光用マスク41の外郭寸法と開口部44の寸法の比、開口部44の数等は便宜的に記載したものである。また、図10では、各開口部44の周縁44pから離間して位置する補強部47の輪郭を鎖線で示している。
荷電粒子線露光用マスク41も、荷電粒子線露光用マスク11と同様に、SOI基板を使用した例としている。したがって、荷電粒子線露光用マスク41を構成する薄板部42、支持部45、補強部47は、荷電粒子線露光用マスク11を構成する薄板部12、支持部15、補強部17と同様とすることができる。
また、荷電粒子線露光用マスクでは、補強部は、開口部を囲む部位の平面視の輪郭形状に存在する角部がラウンド形状であってもよい。図12は、このようなラウンド形状を、上述の荷電粒子線露光用マスク21の開口部24、補強部27を例として説明するための図である。図12(A)は、矩形の開口部24の周縁24pから距離L離間した領域に、当該開口部24を囲むように位置する補強部27を、斜線を付して示している。この図12(A)では、補強部27の開口部24を囲む部位の平面視の輪郭形状(鎖線で示している)に、角部27cが4箇所存在している。一方、図12(B)では、補強部27は、開口部24を囲む部位の平面視の輪郭形状(鎖線で示している)において、4箇所の角部がラウンド形状27rとなっている。
また、図13は、上記のラウンド形状を、上述の荷電粒子線露光用マスク31の開口部34、補強部37を例として説明するための図である。図13(A)は、T字形の開口部34の周縁34pから距離L離間した領域に、当該開口部34を囲むように位置する補強部37を、斜線を付して示している。この図13(A)では、補強部37の開口部34を囲む部位の平面視の輪郭形状(鎖線で示している)に、角部37cが8箇所存在している。一方、図13(B)では、補強部37は、開口部34を囲む部位の平面視の輪郭形状(鎖線で示している)において、8箇所の角部がラウンド形状37rとなっている。
このようなラウンド形状27r,37rの曲率半径は、例えば、1μm〜100μm、好ましくは1μm〜50μmの範囲で適宜設定することができる。このような曲率半径は、開口部24,34の開口形状における角部の内角に応じて曲率半径を設定することができ、例えば、内角が小さい場合には曲率半径を小さく、内角が大きい場合には曲率半径を大きく設定することができる。また、曲率半径を、開口部24,34の周縁24p,34pから補強部27,37までの距離Lと等しいものとしてもよい。この場合、距離Lと等しいとは、0.9L〜1.1Lの範囲を意味する。
このように、補強部において、開口部を囲む部位の平面視の輪郭形状の角部をラウンド形状とすることにより、荷電粒子線露光用マスク21に大きな応力等が作用し、荷電粒子線露光用マスク21に歪みが若干生じても、ラウンド形状27r,37rとなっている部位において歪み応力が緩和され、薄板部22,32の変形、開口部24,34の破損等を防止することができる。
また、荷電粒子線露光用マスクは、隣接する開口部の間隔が大きい場合、開口部を囲む補強部の平面視の輪郭形状を円形、楕円形等の曲線形状とすることができる。図14は、このような曲線形状を、上述の荷電粒子線露光用マスク31の開口部34、補強部37(斜線を付して示している)を例として説明するための図である。図14では、開口部34を囲む補強部37の平面視の輪郭形状(鎖線で示している)が、T字形の開口部34を囲む円形となっている。この場合、円形の輪郭形状とT字形の開口部34との最小離間距離Lmin、最大離間距離Lmaxが、上述の距離Lの範囲となることが好ましいが、これに限定されるものではない。
さらに、荷電粒子線露光用マスクは、周囲が補強部で囲まれていない開口部を備えるものであってもよい。図15は、このような態様を、上述の荷電粒子線露光用マスク21を例として説明するための平面図であり、図16は、図15に示される荷電粒子線露光用マスクのVII−VII線における断面図である。図15、図16において、荷電粒子線露光用マスク21″は、パターン領域23に位置する開口部24において、中央の2個の開口部24が、周囲を補強部27で囲まれていない、すなわち、当該2個の開口部24間には、補強部27が存在しない他は、上述の荷電粒子線露光用マスク21と同様である。したがって、同じ部材には同じ部材番号を付している。このように、周囲を補強部27で囲まれていない開口部24の位置、数、存在密度は、荷電粒子線露光用マスク21″において歪みを生じることが抑制される範囲で適宜設定することができる。
さらにまた、荷電粒子線露光用マスクは、支持部と連続するが、薄板部とは連続しない補強部を備えるものであってもよい。図17は、このような態様の荷電粒子線露光用マスクを説明するための平面図であり、図18は、図17に示される荷電粒子線露光用マスクのVIII−VIII線における断面図である。図17、図18において、荷電粒子線露光用マスク51は、パターン領域53に複数の開口部54を有する薄板部52と、この薄板部52の一方の面52aにおけるパターン領域53の外側を支持する枠形状の支持部55と、平面視において薄板部52のパターン領域53内で、各開口部54の周縁54pから離間し、当該開口部54を囲むように位置する補強部57とを備える。また、荷電粒子線露光用マスク51を構成する薄板部52は、厚みが0.1μm〜30μmの範囲である。補強部57は、テーパー形状の側面57aを有し、支持部55に連続するものの、薄板部52には連続しない。なお、補強部57における薄板部52側に位置する端部と、薄板部52の一方の面52aとの間の距離は、薄板部52の変形等が生じない程度に補強部57により補強されている限りにおいて特に制限されるものではない。
図17、図18に示される荷電粒子線露光用マスク51においては、パターン領域53内に位置する全ての補強部57が薄板部52に連続していないが、このような態様に限定されるものではなく、パターン領域53内に位置する少なくとも一部の補強部57が薄板部52に連続していなければよい。例えば、パターン領域53内に位置する4行×5列の開口部54のうち、当該パターン領域53の中央に位置する2行×3列の開口部54を囲む補強部57が薄板部52に連続しておらず、その周囲に位置する開口部54を囲む補強部57は薄板部52に連続する態様であってもよいし、その逆、すなわち、中央に位置する開口部54を囲む補強部57が薄板部52に連続し、その周囲に位置する開口部54を囲む補強部57は薄板部52に連続しない態様であってもよい。
上述の荷電粒子線露光用マスクの実施形態は例示であり、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば、開口部の形状、配置等は上述の実施形態に限定されるものではなく、荷電粒子線露光用マスクの使用目的に応じて適宜設定することができる。
また、本発明の荷電粒子線露光用マスクは、ステンシル型の荷電粒子線露光用マスクとして荷電粒子線露光装置と露光対象物との間に介在させてパターン露光に供することができるが、荷電粒子線露光用マスクの外郭寸法、形状、およびパターン領域の寸法、形状、開口部の寸法、形状等を適切なものとすることにより、荷電粒子線露光装置の鏡筒内に配設するアパーチャとして使用することも可能である。したがって、本発明の荷電粒子線露光用マスクは、荷電粒子線露光装置と露光対象物との間にステンシル型の荷電粒子線露光用マスクとともに、荷電粒子線露光装置を構成するアパーチャも包含するものである。
[荷電粒子線露光用マスクの製造方法]
次に、本発明の荷電粒子線露光用マスクの製造方法について説明する。
図19、図20は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの製造方法の一実施形態を説明するための工程図であり、上述の荷電粒子線露光用マスク21を例としたものである。
本実施形態では、荷電粒子線露光用マスクを形成するための基板61として、支持基板65aと、支持基板65aに積層された酸化シリコンを含むボックス層65bと、このボックス層65b上に配置された厚みが1μm〜30μmの範囲内である単結晶シリコン層62と、を有するSOI基板を準備する。そして、この基板61の単結晶シリコン層62にパターン領域63を画定し、また、基板61の主面61a、および、これに対向する主面61bにハードマスク材料層71を形成する。すなわち、基板61を構成する単結晶シリコン層62上にハードマスク材料層71aを形成し、支持基板65a上にハードマスク材料層71bを形成する(図19(A))。
基板61の厚みは、特に制限はないが、例えば、100μm〜800μmの範囲の厚みの基板を使用することができ、基板の加工性を考慮すると、基板61の厚みは200μm〜400μmの範囲が好ましい。
ハードマスク材料層71a,71bとしては、例えば、酸化シリコンや、クロム、アルミニウム等の金属材料を使用することができ、ボックス層65bと同じエッチャントでエッチングできるものが好適である。以降、ハードマスク材料層71a,71bとして、ボックス層65bと同じ酸化シリコンを使用したプロセスについて説明する。
次に、ハードマスク材料層71aにレジストパターン75を形成する(図19(B))。このレジストパターン75は、パターン領域63内に所望の開口75aを有している。
次いで、レジストパターン75をマスクとしてハードマスク材料層71aをエッチングしてハードマスク71′aを形成し、このハードマスク71′aをマスクとして単結晶シリコン層62をエッチングする(図19(C))。このエッチングでは、ボックス層65bがエッチングストッパーとして作用し、単結晶シリコン層62に開口部が形成される。これにより、基板61に孔部64が形成され、この孔部64の深さは単結晶シリコン層62の厚みに対応し、1μm〜30μmの範囲内となる。したがって、後工程において、支持基板65aをエッチングし、さらに、露出したボックス層65bを除去して、孔部64が支持基板65a側に露出した段階で、孔部64の深さは1μm〜30μmの範囲内で所望の深さとなっている。
ハードマスク材料層71aのエッチングは、ウェットエッチングまたはドライエッチングによって行うことができる。ウェットエッチングによって酸化シリコンであるハードマスク材料層71aをエッチングする場合、エッチャントとしてフッ化水素酸又はフッ化水素酸を含む薬液を使用することができる。一方、ドライエッチングによって酸化シリコンであるハードマスク材料層71aをエッチングする場合、トリフルオロメタン(CHF3)ガスや六フッ化エタン(C26)ガスを使用したドライエッチングを行うことができる。ドライエッチングは異方性を有するため、ほぼ設計値通りのサイズのパターンを形成することができる。
また、単結晶シリコン層62のエッチングは、ウェットエッチングまたはドライエッチングによって行うことができる。ウェットエッチングによって単結晶シリコン層62をエッチングする場合、KOH水溶液、エチレンジアミン・ピロカテコール(EDP)、または、4メチル水酸化アンモニウム(TMAH)を使用することができる。一方、ドライエッチングによって単結晶シリコン層62をエッチングする場合、4フッ化炭素(CF4)、六フッ化硫黄(SF6)、臭化水素(HBr)を使用したドライエッチングを行うことができる。
次に、孔部64を被覆するように樹脂層81を形成し、また、ハードマスク材料層71bにレジストパターン85を形成する(図20(A))。
樹脂層81は、孔部64を保護する目的、および、後工程で支持基板65aをエッチングする際の歪みを抑制する目的で形成される。したがって、樹脂層81は一定の剛性を得るのに十分な厚みで形成することが好ましく、具体的には樹脂層81の厚みは5μm〜30μmの範囲で適宜設定することができる。このような樹脂層81は、図示例では、基板全域に亘って形成されているが、少なくともパターン領域63に形成されていればよい。樹脂層81の形成では、レジスト等として用いられる公知の樹脂を使用することができ、溶媒に溶けた樹脂材料の溶液をスピンコート法等により塗布し、熱処理を行うことにより樹脂層81を形成することができる。樹脂層81の厚みは、樹脂材料や添加剤の濃度調整により溶液の粘度を調整し、さらに溶液塗布時の基板の回転速度を調整することで制御することができる。一度の塗布で所望の厚みを得ることができない場合は、樹脂層が所望の厚みになるまで塗布と硬化を複数回繰り返してもよい。
このレジストパターン85は、孔部64に対向する位置に開口85aを有している。この開口85aは、エッチング方法、エッチング条件、基板61の材質等を考慮して、後述する補強部67′を形成するのに適した開口寸法、開口形状を備えたものとする。
次いで、レジストパターン85をマスクとしてハードマスク材料層71bをエッチングしてハードマスク71′bを形成し、このハードマスク71′bをマスクとして支持基板65aをエッチングする(図20(B))。このエッチングでも、ボックス層65bがエッチングストッパーとして作用する。これにより、パターン領域63の外側に位置する枠形状の支持部65′と、パターン領域63内であって、単結晶シリコン層62に形成した孔部64の開口部の周縁64aから離間した領域に、この開口部を囲むように位置するとともに、支持部65′と連続している補強部67′と、を形成する。このような支持基板65aのエッチングにより補強部67′間に露出したボックス層65bは、孔部64を露出するために、後工程において、基板61の主面61b側からエッチングする。
ハードマスク材料層71bのエッチングは、ハードマスク材料層71aのエッチングと同様に、ウェットエッチングまたはドライエッチングによって行うことができる。
また、支持基板65aのエッチングは、単結晶シリコン層62のエッチングと同様に、ウェットエッチングまたはドライエッチングによって行うことができる。
次に、樹脂層81とレジストパターン85を除去する(図20(C))。樹脂層81とレジストパターン85の除去は、有機溶媒を用いてもよく、また、酸素プラズマ処理等のアッシングを用いてもよい。有機溶媒としては、例えば、レジストリムーバを使用することができる。レジストリムーバを用いて樹脂層81とレジストパターン85を除去した後に、露出されたハードマスク71′a,71′b、および、孔部64の開口に露出したボックス層65bの表面に残留した有機物を除去するためにSPM洗浄を行ってもよい。SPM洗浄は、硫酸過酸化水素水洗浄ともいい、例えば、H22:H2SO4=3:1で混合した薬液を70℃〜80℃に加熱して使用する例を挙げることができ、強力な酸化作用を利用して有機物の除去に効果がある洗浄方法である。SPM洗浄の後はIPA乾燥によって基板を乾燥してもよい。このような樹脂層81とレジストパターン85の除去は、同一工程で行ってもよく、それぞれ別の工程で行ってもよい。
次いで、ボックス層65bをエッチングして孔部64を露出する。本実施形態では、このように露出された孔部64の深さは、上記のように、単結晶シリコン層62の厚みに対応したものであり、1μm〜30μmの範囲内で所望の深さとなっている。ボックス層65bのエッチングは、ハードマスク材料層71aのエッチングと同様に、ウェットエッチングまたはドライエッチングによって行うことができる。このボックス層65bのエッチングと同時に、ハードマスク71′bを除去してもよい。また、このボックス層65bのエッチングと同時に、ハードマスク71′aとハードマスク71′bを除去してもよい。
また、上記の樹脂層81を除去する工程は、補強部67′間に露出するボックス層65bをエッチングして孔部64を露出させた後に実施してもよい。
このようなハードマスク71′a,71′b、ボックス層65bの除去により、図3、図4に示されるような荷電粒子線露光用マスク21が得られる。このように製造された荷電粒子線露光用マスク21に対して、SPM洗浄、APM洗浄、および、フッ酸洗浄を行うことができる。また、洗浄後はIPA乾燥によってマスクを乾燥してもよい。ここで、APM洗浄は、アンモニア過酸化水素水洗浄ともいい、例えば、アンモニア(NH4OH):H22:H2O=1:2:5で混合した薬液を70℃〜80℃に加熱して使用する例を挙げることができ、有機物の除去および不溶性のパーティクルの除去に効果がある洗浄方法である。このような洗浄において、荷電粒子線露光用マスク21は、補強部27により歪みの発生が抑制され、薄板部22の変形、開口部24の破損等が防止される。
なお、図17、図18に示される荷電粒子線露光用マスク51は、図20(B)に示される、支持基板65aをエッチングする工程におけるエッチング条件を適宜調整する以外は、上述した製造方法(図19、図20参照)と同様の方法により製造される。
上述の荷電粒子線露光用マスクの製造方法では、基板としてSOI基板を使用しているが、使用する基板はSOI基板に限定されず、例えば、シリコン基板、窒化シリコン、炭化シリコン、酸化シリコン等のシリコン化合物基板、ガリウム砒素等の化合物半導体基板、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素基板、サファイア基板、ステンレスやアルミニウム、クロム等の金属基板を使用することができ、また、これらの基板材質を含む所望の材質の中から選択した複合材質からなる積層体を基板として使用することができる。複合材質からなる積層体を基板として使用する場合、積層体としては、荷電粒子線露光用マスク21の薄板部22を構成するための層と、支持部25および補強部27を構成する層とが、選択性のあるエッチングを行うことが可能であり、形成した薄板部22が自立薄膜(メンブレン)であり、薄板部22が開口部24を有する状態を維持可能であればよく、例えば、2層構造とすることができる。また、薄板部22を構成するための層と、支持部25および補強部27を構成する層との間にエッチング選択性をもたせるために、積層体を3層以上の構造としてもよい。このような積層体を使用する場合、積層体を構成する層のエッチング選択性に応じたエッチング条件を設定することにより、上述のSOI基板を使用した場合と同様にして、荷電粒子線露光用マスクを製造することができる。尚、本発明において、異なる層、材料間においてエッチング選択性があるとは、同一条件でエッチングを行ったときに、エッチング速度に相違が生じる場合があることを意味する。
図21は、本発明の荷電粒子線露光用マスクの製造方法の他の実施形態を説明するための工程図である。この実施形態は、基板としてSOI基板に替えてシリコン基板、シリコン化合物基板、化合物半導体基板、炭素基板、サファイア基板、金属基板等の単一材質からなる基板を使用した例である。
まず、基板61の一方の主面61aにパターン領域63を画定し、また、基板61の主面61aにハードマスク材料層71aを形成し、基板61の主面61bにハードマスク材料層71bを形成する。ハードマスク材料層71a,71bは、基板61をエッチングする際にエッチングレジストとして機能する材料を用いて形成する。次に、ハードマスク材料層71aにレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとしてハードマスク材料層71aをエッチングしてハードマスク71′aを形成し、このハードマスク71′aをマスクとして基板61をエッチングする(図21(A))。このエッチングにより、基板61に孔部64を形成する。この孔部64の深さは、上述の荷電粒子線露光用マスク21の薄板部22の厚みと同等以上の深さとする。
次に、孔部64を被覆するように樹脂層81を形成し、また、ハードマスク材料層71bにレジストパターン85を形成する。このレジストパターン85は、孔部64に対向する位置に開口85aを有している。その後、レジストパターン85をマスクとしてハードマスク材料層71bをエッチングしてハードマスク71′bを形成し、このハードマスク71′bをマスクとして基板61をエッチングする(図21(B))。このエッチングは、孔部64が露出し、かつ、孔部64の深さDが0.1μm〜30μmの範囲内で所望の深さとなるように実施する。これにより、パターン領域63の外側に位置する枠形状の支持部65と補強部67を形成する。補強部67は、パターン領域63内であって、露出した孔部64の開口部の周縁64aから離間した領域に、孔部64の開口部を囲むように位置する。
次いで、樹脂層81とレジストパターン85を除去し、さらに、ハードマスク71′a,71′bを除去する(図21(C))。これにより、図3、図4に示されるような荷電粒子線露光用マスク51が得られる。
上述の荷電粒子線露光用マスクの製造方法の実施形態は例示であり、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。
荷電粒子線の照射、露光を用いる工程を有する種々の製造工程に利用可能である。
11,21,21′,21″,31,41,51…荷電粒子線露光用マスク
12,22,32,42…薄板部
13,23,33,43…パターン領域
14,24,34,44…開口部
14p,24p,34p、44p…開口部の周縁
15,25,35,45…支持部
17,27,37,47…補強部
61…基板
63…パターン領域
64…孔部
64a…孔部の開口部の周縁
65,65′…支持部
67,67′…補強部

Claims (14)

  1. パターン領域に複数の開口部を有し、厚みが0.1μm〜30μmの範囲内である薄板部と、
    前記薄板部の一方の面であって前記パターン領域の外側を支持する枠形状の支持部と、
    前記薄板部の前記一方の面の前記パターン領域内であって前記開口部の周縁から離間した領域に、前記開口部を囲むように位置するとともに前記支持部と連続している補強部と、を備え
    前記補強部の一部が、前記薄板部に連続していない荷電粒子線露光用マスク。
  2. 前記補強部は、全ての前記開口部の周縁から離間した領域に前記開口部を囲むよう位置する請求項1に記載の荷電粒子線露光用マスク。
  3. 前記補強部が前記開口部の周縁から離間する距離は、1μm以上である請求項1または請求項2に記載の荷電粒子線露光用マスク。
  4. 前記補強部における前記開口部を囲む部位の平面視の輪郭形状に存在する角部がラウンド形状である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の荷電粒子線露光用マスク。
  5. 前記ラウンド形状の曲率半径は、1μm〜100μmの範囲内である請求項4に記載の荷電粒子線露光用マスク。
  6. 前記ラウンド形状の曲率半径は、前記補強部が前記開口部の周縁から離間する距離に等しい請求項4または請求項5に記載の荷電粒子線露光用マスク。
  7. 前記薄板部と、前記支持部および前記補強部とは、エッチング選択性のある材料からなる請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の荷電粒子線露光用マスク。
  8. 前記薄板部は、シリコンからなる層であり、
    前記補強部は、酸化シリコンからなる層とシリコンからなる層との複合体であって、前記薄板部側から前記酸化シリコンからなる層および前記シリコンからなる層の順に位置する請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の荷電粒子線露光用マスク。
  9. 前記薄板部は、窒化シリコン、炭化シリコン、ガリウム砒素、ダイヤモンドライクカーボン、サファイア又は金属からなる層である請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の荷電粒子線露光用マスク。
  10. 基板の一主面にパターン領域を画定し、前記パターン領域の前記基板に孔部を形成する工程と、
    前記孔部を被覆するように前記基板上に樹脂層を形成する工程と、
    前記基板の前記一主面と対向する主面側から、前記孔部が露出するまで前記基板を所望のパターンでエッチングして、前記パターン領域の外側に位置する枠形状の支持部と、前記パターン領域内であって、露出した前記孔部の開口部の周縁から離間した領域に前記開口部を囲むように位置するとともに、前記支持部と連続している補強部とを形成するとともに、露出した前記孔部の深さを0.1μm〜30μmの範囲内で所望の深さとする工程と、
    前記樹脂層を除去する工程と、を有し、
    前記補強部の一部が前記薄板部に連続しないように前記補強部を形成する荷電粒子線露光用マスクの製造方法。
  11. 前記樹脂層の厚みは、5μm〜30μmの範囲内とする請求項10に記載の荷電粒子線露光用マスクの製造方法。
  12. 前記基板は、酸化シリコン層を介してシリコン層が積層されたSOI基板である請求項10または請求項11に記載の荷電粒子線露光用マスクの製造方法。
  13. 前記基板は、シリコン、シリコン化合物、化合物半導体、炭素、サファイアおよび金属からなる群より選択される1種からなる基板または2種以上を積層してなる積層基板である請求項10または請求項11に記載の荷電粒子線露光用マスクの製造方法。
  14. 前記積層基板は、エッチング選択性のある2種以上の材料を積層してなる基板である請求項13に記載の荷電粒子線露光用マスクの製造方法。
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