以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、スクリーン印刷システム、スクリーン印刷装置、検査装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図3、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図3における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図3における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図2における上下方向)が示される。Z方向は、スクリーン印刷装置が水平面上に設置された場合の上下方向または直交方向である。
まず図1を参照して、部品実装システム1について説明する。部品実装システム1は、スクリーン印刷装置M1、検査装置M2、部品実装装置M3,M4の各装置を連結し、各装置を通信ネットワーク2によって接続して全体を管理コンピュータ3によって制御する構成となっている。
スクリーン印刷装置M1は、パターン孔が設けられたマスクプレートを介して基板Bに形成されたランドL(電極)に粒状のはんだSaに溶剤を混ぜ合わせてペースト状にしたクリームはんだ(以下、「ペーストS」と称す。)(図5(b)参照)をスクリーン印刷により転写する機能を有する。検査装置M2は、スクリーン印刷後の基板Bの各ランドLにスクリーン印刷されたペーストSを検査カメラによって撮像して転写されたペーストSのペースト量を計測するなど、ペーストSの印刷状況を検査する機能を有する。部品実装装置M3,M4は、実装ヘッドによって部品供給部から部品をピックアップし、ペーストSが転写された基板Bの実装位置に移送搭載する機能を有する。
このように、部品実装システム1は、検査装置M2と部品実装装置M3,M4を備え、基板BにペーストS(クリームはんだ)をスクリーン印刷して部品を搭載する。部品搭載後の基板はリフロー工程に送られ、クリームはんだを融解して基板Bに搭載された部品の部品端子を基板BのランドLとはんだ接合させることにより実装基板が製造される。
次に図2、図3を参照して、スクリーン印刷装置M1の構造を説明する。スクリーン印刷装置M1は、パターン孔4hが設けられたマスクプレート4を周回する枠体5に展張したマスクMを介して基板BにペーストSをスクリーン印刷する装置である。パターン孔4hは、基板Bに形成されたランドL(電極)の形状、位置(図3参照)に対応して、マスクプレート4に形成されている。スクリーン印刷装置M1は、基板保持移動ユニット6、スキージユニット7、カメラユニット8、クリーニングユニット9及びペースト供給装置(図示省略)を備えている。
基板保持移動ユニット6は、基台10上に設けられており、基板Bの保持及び移動を行う。マスクMは、基板保持移動ユニット6に保持された基板Bの上方に水平姿勢で保持されている。スキージユニット7は、マスクMの上方に設けられている。カメラユニット8は、マスクMの下方に設けられている。ペースト供給装置は、スキージユニット7と一体に設けられており、マスクプレート4上にペーストSを供給する。
次に、スクリーン印刷装置M1が備える各部の詳細について順に説明する。図2において、基板保持移動ユニット6は、XYθ移動機構11、ベーステーブル12、第1昇降テーブル13、及び第2昇降テーブル14が、基台10上に下方から順に設けられている。ベーステーブル12は、XYθ移動機構11によって水平面内で移動し、Z軸回りにθ回転する。第1昇降テーブル13は、第1昇降テーブル昇降モータ13mによってベーステーブル12に対して昇降する。第2昇降テーブル14は、第2昇降テーブル昇降モータ14mによって第1昇降テーブル13に対して昇降する。
第1昇降テーブル13の上方には、第2昇降テーブル14を貫通して上方に延びる一対のコンベア支持部材15が設けられている。一対のコンベア支持部材15は、X方向に延びてY方向に対向配置された一対の搬送コンベア16を支持している。一対の搬送コンベア16は、基板Bの両端部を下方から支持してX方向に搬送する。第2昇降テーブル14の上面には、下受け部材17が設けられている。一対の搬送コンベア16の上方には、X方向に延びてY方向に対向配置された一対のクランプ部材18が設けられている。一対のクランプ部材18は、クランプ部材開閉シリンダ18sの作動によってY方向に開閉し、下受け部材17によって支持された基板Bの両端部を挟んで保持(クランプ)する。
図2において、スキージユニット7は、X方向に延びて設けられたスキージベース19の下方にY方向に対向配置された2つのスキージ20を備えている。スキージベース19は、スキージユニット移動機構(図示省略)によってY方向に移動する。2つのスキージ20は、スキージベース19に設けられたスキージ昇降シリンダ21によってスキージベース19に対して個別に昇降する。スキージユニット7は、ペーストSが供給されたマスクプレート4上に一のスキージ20を下降させて当接させて一のY方向(以下、「往路方向」と称す。)に移動させる往路方向のスキージ動作を実行する。また、スキージユニット7は、同様に他のスキージ20を一のY方向とは反対の他のY方向(以下、「復路方向」と称す。)に移動させる復路方向のスキージ動作を実行する。
図2、図3において、カメラユニット8は、マスクプレート4を下方から撮像する撮像視野を上方に向けたマスク認識カメラ22と、基板Bを上方から撮像する撮像視野を下方に向けた基板認識カメラ23を有している。カメラユニット8は、カメラユニット8をX方向に移動させるX軸移動機構(図示省略)を備えるX方向に延びたヘッドX軸テーブル24に移動自在に装着されている。X軸テーブル24は、X軸テーブル24をY方向に移動させるY軸移動機構(図示省略)を備えるY方向に延びたヘッドY軸テーブル25に移動自在に結合されている。カメラユニット8は、X軸移動機構とY軸移動機構を駆動させることにより、マスクプレート4と基板Bの間をXY方向に水平移動してマスクプレート4と基板Bを同時に認識する。
次に図2〜4を参照して、クリーニングユニット9の構成について説明する。クリーニングユニット9はヘッドX軸テーブル24に装着されており、Y軸移動機構を駆動させることにより、マスクプレート4の下方をY方向に移動する。クリーニングユニット9には、未使用のクリーニングペーパ26を巻回したペーパロール27Aと、使用済みのクリーニングペーパ26を巻回したペーパロール27Bおよび拭取ヘッド28が配設されている。ペーパロール27Aから引き出されたクリーニングペーパ26は、複数のガイドローラ29によって導かれて、拭取ヘッド28の上面の押付面を周回して、ペーパロール27Bに巻き取られる。
拭取ヘッド28は、ヘッド昇降機構30によって自在に昇降する(矢印a)。拭取ヘッド28の上面はマスクプレート4の下面に当接して吸引する吸引面となっており、吸引面に設けられた吸引孔28aには真空吸引源(図示省略)が接続されている。クリーニングユニット9では、真空吸引源を動作させることにより、吸引孔28aから真空吸引しながらマスクプレート4に付着したペーストを吸引する吸引クリーニングが実行される。
図4において、クリーニングユニット9には、拭取ヘッド28に供給されるクリーニングペーパ26に、マスクプレート4に付着したペーストSを溶かす溶剤を含むクリーニング液を塗布するクリーニング液塗布部31が配設されている。クリーニングユニット9では、クリーニング液塗布部31によってクリーニング液をクリーニングペーパ26に塗布することにより、マスクプレート4に付着したペーストSを溶かしながら拭き取る湿式クリーニングが実行される。なお、湿式クリーニングでも、吸引クリーニングと同様に吸引孔28aから真空吸引しながらマスクプレート4の下面を拭くようにしてもよい。
次に図5を参照して、スクリーン印刷装置M1におけるスクリーン印刷工程について説明する。図5(a)において、基板Bの上面にはランドL(1),L(2),L(3)が形成されている。基板Bの上面において、ランドL以外の領域には、絶縁体であるレジストRが形成されている。レジストRの上面の一部には、回路記号や部品名などがインクGによって印刷されている。基板Bは、マスクプレート4の下方に位置合わせされている。マスクプレート4には、ランドL(1),L(2),L(3)に対応して、パターン孔4h(1),4h(2),4h(3)が形成されている。
スクリーン印刷工程では、まず、基板Bがマスクプレート4に位置合わせされ(位置合わせ工程)、下受け部材17によって持ち上げられて(矢印b)マスクプレート4の下面に当接する(基板当接工程)。図5(b)において、次いで下降させてマスクプレート4上に当接させたスキージ20をY方向に摺動させながら(矢印c)、マスクプレート4上に供給されたペーストSをパターン孔4hに押し込むスキージ動作が行われる(スキージング工程)。図5(c)において、次いで基板Bを下降させながら(矢印d)、基板Bをマスクプレート4より剥離させる(版離れ工程)。これによって、基板BのランドL上にペーストSが転写(スクリーン印刷)される。
図5(a)において、パターン孔4h(3)の周囲には、前のスクリーン印刷工程において付着したペーストSが残っている。そのため、図5(c)において、ランドL(3)に転写されたペーストS(3)には、転写されたペースト量が過多で所定の範囲より広がる「にじみ」が発生している。図5(c)において、版離れ後のマスクプレート4のパターン孔4h(1)の内壁には、スキージング工程において充填されたペーストS(1)の一部がランドL(1)に転写されずに残っている。そのため、ランドL(1)に転写されたペーストS(1)には、転写されたペースト量が過少で所定の範囲より狭い「かすれ」が発生している。
次に図6を参照して、検査装置M2によるスクリーン印刷後の基板Bにおける転写されたペーストSの印刷状態の検査結果の例を説明する。図6は、検査装置M2の検査作業部63(図8参照)が備える検査カメラによって撮像された、図5(c)に示すスクリーン印刷後の基板BのランドL(1),L(2),L(3)付近の撮像画像32を示している。基板Bにおいて、ランドL(1),L(2),L(3)の周囲はレジストRに覆われている。なお、便宜上、レジストR上に印刷されたインクGの表示は省略されている。
ランドL(2)上に転写されたペーストS(2)は、所定の基準範囲内にある。しかしながら、ランドL(1)上に転写されたペーストS(1)は所定の基準範囲より少なくて「かすれ」が発生している。また、ランドL(3)上に転写されたペーストS(3)は所定の基準範囲より多くて「にじみ」が発生している。
次に図7を参照して、スクリーン印刷装置M1におけるマスククリーニング工程について説明する。図7(a)において、マスクプレート4には、パターン孔4hの内壁や周囲にペーストSが付着している。マスククリーニング工程では、まず、未使用のクリーニングペーパ26を上面の押付面に周回させた拭取ヘッド28を、マスクプレート4の下方に移動させる(ヘッド準備工程)。この際、湿式クリーニングを実行する場合は、クリーニング液塗布部31によってクリーニング液を塗布させたクリーニングペーパ26を拭取ヘッド28の押付面に周回させる。
図7(b)において、次いでヘッド昇降機構30によって拭取ヘッド28を上昇させて(矢印e)、クリーニングペーパ26をマスクプレート4の下面に当接させる(ヘッド当接工程)。図7(c)において、次いでY軸移動機構によって拭取ヘッド28をY方向に移動させながら(矢印f)、マスクプレート4に付着しているペーストSを拭取る(ペースト拭取り工程)。この際、吸引クリーニングを実行する場合は、真空吸引源によって吸引孔28aより吸引しながら拭取ヘッド28を移動させる。図7(d)において、次いでヘッド昇降機構30によって拭取ヘッド28を下降させて(矢印g)、拭取ヘッド28をスクリーン印刷時に干渉しない位置まで退避させる(ヘッド退避工程)。
上記のように、スクリーン印刷装置M1において、基板保持移動ユニット6、スキージユニット7、カメラユニット8、ペースト供給装置、X軸移動機構及びY軸移動機構は、パターン孔4hが設けられたマスクプレート4に基板Bを当接させ、マスクプレート4上にペーストSを供給してスキージ20を摺動させることにより、パターン孔4hを介して基板BにペーストSを転写するスクリーン印刷を実行する印刷作業部53(図8参照)を構成する。また、クリーニングユニット9及びY軸移動機構は、マスクプレート4に付着したペーストSを拭取るマスククリーニング(吸引クリーニング、湿式クリーニング)を実行するクリーニング作業部54(図8参照)を構成する。
次に図8を参照して、部品実装システム1の制御系の構成について説明する。以下では、スクリーン印刷に関係する構成(スクリーン印刷システム)について説明し、部品実装装置M3,M4における部品実装に関する構成の説明は省略する。管理コンピュータ3は、管理制御部41、管理記憶部42、入力部43、表示部44、通信部45を備えている。入力部43は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力デバイスであり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部44は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部43による操作のための操作画面などの各種情報を表示する。通信部45は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介してスクリーン印刷装置M1、検査装置M2との間で信号、データの授受を行う。
管理制御部41はCPUなどの演算装置であり、管理記憶部42が記憶する情報に基づいて部品実装システム1(スクリーン印刷システム)を管理する。管理記憶部42は記憶装置であり、部品データ42a、基板データ42b、実装位置データ42cなどを記憶する。部品データ42aには、部品実装システム1において基板Bに実装される部品の種類、形状などのデータが含まれる。基板データ42bには、部品実装システム1において作業される基板Bに関する情報であり、基板Bのサイズ、各ランドLのサイズ・位置(XY座標)、各ランドLに転写されるペーストSの目標となる目標ペースト量などが含まれる。実装位置データ42cには、基板Bに実装される部品の種類と実装位置のXY座標などのデータが含まれる。
図8において、スクリーン印刷装置M1は、印刷制御部51、印刷記憶部52、印刷作業部53、クリーニング作業部54、通信部55を備えている。通信部55は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3、検査装置M2との間で信号、データの授受を行う。印刷制御部51はCPUなどの演算装置であり、印刷記憶部52に記憶された各種のデータを参照して、印刷作業部53を制御してスクリーン印刷を実行させる。印刷制御部51は、内部処理機能として第1のクリーニング実行処理部51a、第2のクリーニング実行処理部51b、印刷枚数カウント部51c、印刷検査結果取得部51d、停止時間計測部51eを備えている。
印刷記憶部52は記憶装置であり、基板情報52a、カウント数データ52b、設定数データ52c、印刷検査結果情報52dなどを記憶する。基板情報52aは、管理記憶部42が記憶する基板データ42bに含まれるスクリーン印刷装置M1において作業対象となる基板Bにスクリーン印刷するために必要な基板Bのサイズなどの情報が、管理コンピュータ3より送信されて記憶されている。
第1のクリーニング実行処理部51aは、クリーニング作業部54を制御して、後述する第1のカウント数N1が第1の設定数(例えば5枚)に達した場合に第1のマスククリーニングとして吸引クリーニングを実行させる。また、第1のクリーニング実行処理部51aは、クリーニング作業部54を制御して、第2のカウント数N2が第2の設定数(例えば15枚)に達した場合に、第1のマスククリーニングとは種類の異なる第2のマスククリーニングとして湿式クリーニングを実行させる。
このように、第1のクリーニング実行処理部51aは、カウント数(第1のカウント数N1、第2のカウント数N2)が所定の設定数(第1の設定数、第2の設定数)に達した場合にマスククリーニングを実行させる。なお、第1の設定数、第2の設定数は、要求されるスクリーン印刷精度や生産性などを考慮して決定されて設定数データ52cに記憶されている。
第2のクリーニング実行処理部51bは、クリーニング作業部54を制御して、カウント数(第1のカウント数N1、第2のカウント数N2)に依存しない後述する所定の事象が発生した場合に第3のマスククリーニングとして吸引クリーニングを実行させる。なお、第1のマスククリーニング、第2のマスククリーニング、第3のマスククリーニングは、吸引クリーニングや湿式クリーニングに限定されることはない。例えば、第2のマスククリーニングとして、吸引クリーニングを2回連続して実行するようにしてもよい。
印刷枚数カウント部51cは、マスククリーニングが実行されてから印刷作業部53がスクリーン印刷した基板Bの枚数をカウントする。具体的には、印刷枚数カウント部51cは、第1のマスククリーニング(吸引クリーニング)が実行されてしてからスクリーン印刷された基板Bの枚数を第1のカウント数N1としてカウントする。また、印刷枚数カウント部51cは、第2のマスククリーニング(湿式クリーニング)が実行されてしてからスクリーン印刷された基板Bの枚数を第2のカウント数N2としてカウントする。
そして、印刷枚数カウント部51cは、第2のクリーニング実行処理部51bが第3のマスククリーニング(吸引クリーニング)を実行し、または、第1のクリーニング実行処理部51aが第1のマスククリーニング(吸引クリーニング)を実行させると、第1のカウント数N1を初期化する。また、印刷枚数カウント部51cは、第1のクリーニング実行処理部51aが第2のマスククリーニング(湿式クリーニング)を実行させると、第1のカウント数N1と第2のカウント数N2を初期化する。
このように、第1のクリーニング実行処理部51aは、スクリーン印刷された基板Bの印刷枚数に依存するマスククリーニング(以下、「インターバルマスククリーニング」と称す。)を実行させる。また、第2のクリーニング実行処理部51bは、スクリーン印刷された基板Bの印刷枚数に依存しないマスククリーニング(以下、「非インターバルマスククリーニング」と称す。)を実行させる。
ここで図9(a)を参照して、スクリーン印刷された基板Bのカウント数とインターバルマスククリーニングの具体例について説明する。この例では、第1の設定数は5枚、第2の設定数は15枚、第2のクリーニング実行処理部51bがマスククリーニングを実行させるカウント数に依存しない所定の事象は発生していないとする。また、第1のカウント数N1、第2のカウント数N2は、基板B(1)に対するスクリーン印刷が実行される前に初期化されているとする。
印刷枚数カウント部51cは、印刷作業部53によって基板Bにスクリーン印刷がされる毎に第1のカウント数N1と第2のカウント数N2を1ずつ増加させる。基板B(5)に対するスクリーン印刷が実行されて、第1のカウント数N1が第1の設定数の5枚に達すると(第2のカウント数N2は5枚)、第1のクリーニング実行処理部51aは、吸引クリーニング(第1のマスククリーニング)を実行させる。そして、印刷枚数カウント部51cは、第1のカウント数N1を初期化する。
図9(a)において、基板B(10)に対するスクリーン印刷が実行されて、再び第1のカウント数N1が第1の設定数の5枚に達すると(第2のカウント数N2は10枚)、吸引クリーニング(第1のマスククリーニング)が実行されて、第1のカウント数N1が初期化される。基板B(15)に対するスクリーン印刷が実行されて、第2のカウント数N2が第2の設定数の15枚に達すると、第1のクリーニング実行処理部51aは湿式クリーニング(第2のマスククリーニング)を実行させる。この時、第1のカウント数N1も第1の設定数の5枚に達しているが、第1のクリーニング実行処理部51aは第2のマスククリーニングを優先して実行する。その後、印刷枚数カウント部51cは第1のカウント数N1と第2のカウント数N2を初期化する。
図8において、検査装置M2は、検査制御部61、検査記憶部62、検査作業部63、通信部64を備えている。検査制御部61はCPUなどの演算装置であり、検査記憶部62に記憶された各種のデータを参照して、検査作業部63を制御してスクリーン印刷後の基板BにおけるペーストSの印刷状態を検査する印刷検査を実行させる。検査制御部61は、内部処理機能として印刷状態判断部61aを備えている。
検査記憶部62は記憶装置であり、基板情報62a、検査結果情報62bなどを記憶する。基板情報62aは、管理記憶部42が記憶する基板データ42bに含まれる検査装置M2において作業対象となる基板Bの印刷検査を実行するために必要な各ランドLのサイズ・位置(XY座標)、各ランドLに転写されるペーストSの目標ペースト量などの情報が、管理コンピュータ3より送信されて記憶されている。
印刷状態判断部61aは、印刷検査の結果取得されたペーストSの位置、転写されたペースト量に基づいて、基板Bに転写されたペーストSの印刷状態を判断する。例えば印刷状態判断部61aは、ペーストSの位置がマスクプレート4に設けられたパターン孔4hとは無関係な位置にある場合や、ランドLに転写されたペーストSのペースト量が所定の基準範囲より少ない「かすれ」や所定の基準範囲より多い「にじみ」が発生している場合に、印刷不良と判断する。印刷状態判断部61aによる判断結果は、印刷検査された基板B、ランドLと紐付けられて検査結果情報62bとして検査記憶部62に記憶される。
図8において、スクリーン印刷装置M1の印刷検査結果取得部51dは、検査装置M2から検査結果情報62bを取得して印刷検査結果情報52dとして記憶させる。すなわち、印刷検査結果取得部51dは、スクリーン印刷後の基板BにおけるペーストSの印刷状態を検査した結果を取得する。第2のクリーニング実行処理部51bは、取得された検査結果が印刷不良である場合、吸引クリーニング(第3のマスククリーニング)を実行させる。すなわち、第2のクリーニング実行処理部51bにおけるカウント数に依存しない所定の事象は、検査結果が印刷不良であることである。
停止時間計測部51eは、スクリーンン印刷が実行されてから次のスクリーン印刷が実行されるまでの停止時間を計測する。第2のクリーニング実行処理部51bは、スクリーン印刷が実行される際に計測されている停止時間が所定の時間を超過していると、吸引クリーニング(第3のマスククリーニング)を実行させる。すなわち、第2のクリーニング実行処理部51bにおけるカウント数に依存しない所定の事象は、停止時間が所定の時間を超過することである。これにより、例えば、下流側の部品実装装置M3,M4において実装不良が発生してスクリーン印刷装置M1でのスクリーン印刷が長時間停止していた場合に、マスクプレート4をマスククリーニングしてからスクリーン印刷を再開させることで、印刷不良を未然に防止することができる。
ここで図9(b)を参照して、インターバルクリーニングに加えて非インターバルマスククリーニングも発生している具体例について説明する。この例では、第1の設定数は5枚、第2の設定数は15枚とする。また、第2のクリーニング実行処理部51bが非インターバルマスククリーニングを実行させるカウント数に依存しない事象は、印刷不良の発生と停止時間の超過の発生とする。第1のカウント数N1、第2のカウント数N2は、基板B(21)に対するスクリーン印刷が実行される前に初期化されているとする。
印刷枚数カウント部51cは、印刷作業部53によって基板Bにスクリーン印刷がされる毎に第1のカウント数N1と第2のカウント数N2を1ずつ増加させる。基板B(23)に対するスクリーン印刷が実行されて、第1のカウント数N1と第2のカウント数N2がそれぞれ3枚に達した時に、検査装置M2によって印刷不良が検出されている。そこで、第2のクリーニング実行処理部51bは吸引クリーニング(第3のマスククリーニング)を実行させ、印刷枚数カウント部51cは第1のカウント数N1を初期化する。基板B(28)に対するスクリーン印刷が実行されて、第1のカウント数N1が第1の設定数の5枚に達すると(第2のカウント数N2は8枚)、吸引クリーニング(第1のマスククリーニング)が実行されて、第1のカウント数N1が初期化される。
図9(b)において、基板B(32)に対するスクリーン印刷が実行されて、第1のカウント数N1が4枚、第2のカウント数N2が12枚に達した時に、印刷停止によって停止時間の超過が発生している。そこで、第2のクリーニング実行処理部51bは吸引クリーニング(第3のマスククリーニング)を実行させ、印刷枚数カウント部51cは第1のカウント数N1を初期化する。基板B(35)に対するスクリーン印刷が実行されて、第2のカウント数N2が第2の設定数の15枚に達すると(第1のカウント数N1は3枚)、第1のクリーニング実行処理部51aは湿式クリーニング(第2のマスククリーニング)を実行させる。その後、印刷枚数カウント部51cは第1のカウント数N1と第2のカウント数N2を初期化する。
次に図10〜12のフローに沿って、図9(b)を参照しながら、検査装置M2と、検査装置M2から検査結果を取得するスクリーン印刷装置M1を備えるスクリーン印刷システムによるスクリーン印刷方法について説明する。スクリーン印刷装置M1では、常に停止時間が計測されている。すなわち、スクリーン印刷方法は、スクリーン印刷が実行されてから次のスクリーン印刷が実行されるまでの停止時間を計測する停止時間計測工程を含んでいる。
図10において、第2のクリーニング実行処理部51bは、スクリーン印刷が実行される前に、停止時間が所定の時間を超過したか否かを判断する(ST1:停止時間判断工程)。停止時間が所定の時間を超過している場合(ST1においてYes)、非インターバルマスククリーニングが実行され(ST2:第2のクリーニング工程)、再び、停止時間判断工程(ST1)が実行される。停止時間が所定の時間を超過していない場合(ST1においてNo)、スクリーン印刷装置M1に印刷対象の基板B(21)が搬入される(ST3:基板搬入工程)。なお、停止時間判断工程(ST1)は、基板搬入工程(ST3)の後に実行してもよい。
次いで基板BにペーストSを印刷するスクリーン印刷が実行される(ST4:スクリーン印刷工程)。図9(b)では、基板B(21)に対するスクリーン印刷が実行される前に停止時間が所定の時間を超過しておらず(ST1においてNo)、基板B(21)を搬入(ST3)してスクリーン印刷が実行される(ST4)。
図10において、次いで印刷枚数カウント部51cは、第1のカウント数N1と第2のカウント数N2にそれぞれ1を加算してカウント数データ52bを更新させる(ST5:印刷枚数カウント工程)。すなわち、スクリーン印刷工程(ST4)においてスクリーン印刷された基板Bの枚数として第1のカウント数N1と第2のカウント数N2がカウントされる。図9(b)において、基板B(21)に対するスクリーン印刷が実行された後、第1のカウント数N1が1枚に、第2のカウント数N2が1枚にそれぞれ更新される(ST5)。
図10において、次いでスクリーン印刷後の基板Bが検査装置M2に搬送されて、印刷検査が実行される(ST6:印刷検査工程)。次いで印刷検査結果取得部51dによって、スクリーン印刷後の基板B(21)におけるペーストSの印刷状態を検査した検査結果が取得される(ST7:印刷検査結果取得工程)。次いで第2のクリーニング実行処理部51bは、取得された検査結果が印刷不良か否かを判断する(ST8:印刷不良判断工程)。検査結果が印刷不良である場合(ST8においてYes)、第2のクリーニング工程(ST2)(非インターバルマスククリーニング)が実行される。
図9(b)において、検査装置M2が基板B(23)にスクリーン印刷されたペーストSの印刷状態を検査した結果、印刷不良が検出されている(ST8においてYes)。そこで、基板B(24)に対するスクリーン印刷が実行される前に、第2のクリーニング工程(ST2)(非インターバルマスククリーニング)が実行される。また、基板B(32)に対するスクリーン印刷が実行された後、基板B(33)に対するスクリーン印刷が実行されるまでの間に印刷停止が発生して停止時間が所定の時間を超過している(ST1においてYes)。そこで、基板B(33)に対するスクリーン印刷が実行される前に、第2のクリーニング工程(ST2)(非インターバルマスククリーニング)が実行される。
このように、印刷不良や停止時間の超過などカウント数に依存しない所定の事象が発生した場合に、第2のクリーニング工程(ST2)が実行されてマスククリーニング(非インターバルマスククリーニング)が実行される。
図10において、検査結果が印刷不良ではない場合(ST8においてNo)、第1のクリーニング実行処理部51aは、第1のカウント数N1が第1の設定数に達したか、または、第2のカウント数N2が第2の設定数に達したかを判断する(ST9:カウント数判断工程)。第1のカウント数N1または第2のカウント数N2のいずれかが設定数に達している場合(ST9においてYes)、インターバルマスククリーニングが実行される(ST10:第1のクリーニング工程)。すなわち、カウント数(第1のカウント数N1、第2のカウント数N2)が所定の設定数(第1の設定数、第2の設定数)に達した場合に、マスククリーニング(インターバルマスククリーニング)が実行される。
図10において、第1のクリーニング工程(ST10)においてインターバルマスククリーニングが実行されると、次いで停止時間判断工程(ST1)が実行される。第1のカウント数N1および第2のカウント数N2のいずれも設定数に達していない場合(ST9においてNo)、インターバルマスククリーニングが実行されることなく停止時間判断工程(ST1)が実行される。
図9(b)において、基板B(28)に対するスクリーン印刷が実行されると、第1のカウント数N1が第1の設定数(5枚)に達するため(ST9においてYes)、第1のクリーニング工程(ST10)(インターバルマスククリーニング)が実行される。また、基板B(35)に対するスクリーン印刷が実行されると、第2のカウント数N2が第2の設定数(15枚)に達するため(ST10においてYes)、第1のクリーニング工程(ST10)(インターバルマスククリーニング)が実行される。
次に図11のフローに沿って、第1のクリーニング工程(ST10)(インターバルマスククリーニング)の詳細について説明する。まず、第1のクリーニング実行処理部51aは、第2のカウント数N2が第2の設定数(15枚)に達したか否かを判断する(ST11)。第2のカウント数N2が第2の設定数に達している場合(ST11においてYes)、第1のクリーニング実行処理部51aは、第2のマスククリーニング(湿式クリーニング)を実行させる(ST12:第2のマスククリーニング工程)。次いで印刷枚数カウント部51cは、第1のカウント数N1と第2のカウント数N2をそれぞれ初期化する(ST13:第2のカウント数初期化工程)。
図9(b)において、第2のカウント数N2は、基板B(35)に対するスクリーン印刷後に、第2の設定数(15枚)に達している(ST11においてYes)。そこで、湿式クリーニングが実行され(ST12)、第1のカウント数N1と第2のカウント数N2がそれぞれ初期化される(ST13)。
図11において、第2のカウント数N2が第2の設定数に達していない場合(ST11においてNo)、第1のカウント数N1が第1の設定数(5枚)に達していることになる。そこで、第1のクリーニング実行処理部51aは、第1のマスククリーニング(吸引クリーニング)を実行させる(ST14:第1のマスククリーニング工程)。次いで印刷枚数カウント部51cは、第1のカウント数N1を初期化する(ST15:第1のカウント数初期化工程)。
図9(b)において、第1のカウント数N1は、基板B(28)に対するスクリーン印刷後に、第1の設定数(5枚)に達している(ST11においてNo)。そこで、吸引クリーニングが実行され(ST14)、第1のカウント数N1が初期化される(ST15)。
このように、第1のクリーニング工程(ST10)において、第1のカウント数N1が第1の設定数(5枚)に達した場合に第1のマスククリーニング(吸引クリーニング)が実行され(ST14)、第2のカウント数N2が第1の設定数より大きな第2の設定数(15枚)に達した場合に第1のマスククリーニングとは種類の異なる第2のマスククリーニング(湿式クリーニング)が実行される(ST12)。
そして、第1のクリーニング工程(ST10)において第1のマスククリーニング(吸引クリーニング)が実行されると(ST14)、第1のカウント数N1が初期化される(ST15)。また、第1のクリーニング工程(ST10)において第2のマスククリーニング(湿式クリーニング)が実行されると(ST12)、第1のカウント数N1と第2のカウント数N2が初期化される(ST13)。
次に図12のフローに沿って、第2のクリーニング工程(ST2)(非インターバルマスククリーニング)の詳細について説明する。この時点で、第2のクリーニング実行処理部51bによって、カウント数に依存しない事象が発生していると判断されている。そこで、第2のクリーニング実行処理部51bは、第3のマスククリーニング(吸引クリーニング)を実行させる(ST21:第3のマスククリーニング工程)。次いで印刷枚数カウント部51cは、第1のカウント数N1を初期化する(ST22:第3のカウント数初期化工程)。
図9(b)において、基板B(23)および基板B(32)に対するスクリーン印刷後、カウント数に依存しない事象が発生していると判断されており(ST8においてYes、ST1においてYes)、吸引クリーニングが実行され(ST21)、第1のカウント数N1が初期化される(ST22)。このように、第2のクリーニング工程(ST2)において第3のマスククリーニングが実行されると(ST21)、第1のカウント数N1が初期化される(ST22)。
上記のように、第1のクリーニング工程(ST10)、または、第2のクリーニング工程(ST2)が実行されると、カウント数(第1のカウント数N1、第2のカウント数N2)が初期化される。なお上記に示す例では、第2のマスククリーニング工程(ST2)において実行される第3のマスククリーニング(ST21)は、第1のマスククリーニング工程(ST10)において実行される第1のマスククリーニング(ST14)と同じ種類の吸引クリーニングである。しかしながら、第1のマスククリーニングと第3のマスククリーニングは必ずしも同じ種類である必要はない。
第1のマスククリーニング工程(ST10)において実行される第1のマスククリーニング(ST14)、第2のマスククリーニング(ST12)、第2のマスククリーニング工程(ST2)において実行される第3のマスククリーニング(ST21)において実行されるマスククリーニングの種類は、適宜選択可能である。
上記説明したように、スクリーン印刷装置M1は、印刷作業部53と、印刷枚数カウント部51cと、カウント数(第1のカウント数N1、第2のカウント数N2)が所定の設定数(第1の設定数、第2の設定数)に達した場合にインターバルマスククリーニングを実行させる第1のクリーニング実行処理部51aと、カウント数に依存しない所定の事象が発生した場合に非インターバルマスククリーニングを実行させる第2のクリーニング実行処理部51bと、を備えている。そして、第1のクリーニング実行処理部51a、または、第2のクリーニング実行処理部51bによってマスククリーニングが実行されると、印刷枚数カウント部51cはカウント数を初期化している。
これによって、印刷不良などカウント数に依存しない事象が発生して非インターバルマスククリーニングを実行させた場合でも、カウント数に依存する次のインターバルマスククリーニングまでの間隔を適切に設定することができる。これにより、生産性を低下させずに効率的にマスククリーニングを実行することができる。
なお、スクリーン印刷システムは、スクリーン印刷装置M1が備える第1のクリーニング実行処理部51a、第2のクリーニング実行処理部51b、印刷枚数カウント部51c、印刷検査結果取得部51d、停止時間計測部51eを、管理コンピュータ3が備えるようにしてもよい。この場合、管理コンピュータ3において、いつマスククリーニングを実行させるかを判断し、判断結果に基づいて、スクリーン印刷装置M1においてマスククリーニングが実行される。