以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1、図2及び図3に示すスクリーン印刷機1は、実装基板生産用の電子部品実装ラインを構成する電子部品実装用装置の一種であり、基板2を搬入してその基板2の表面に設けられた電極3上に半田ペーストや導電性ペースト等のペーストPst(図3参照)を転写するスクリーン印刷を行った後、その基板2を下流側の電子部品実装機(図示せず)等に搬出する動作を連続実行するものである。以下、説明の便宜上、このスクリーン印刷機1における基板2の搬送方向をX軸方向(図1の紙面左右方向)、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向(図1の紙面上下方向)とし、上下方向をZ軸方向とする。また、Y軸方向をスクリーン印刷機1の前後方向、X軸方向をスクリーン印刷機1の横(左右)方向とする。更に、前後方向のうち、スクリーン印刷機1のオペレータOP(図1)がスクリーン印刷機1に対して作業を行う側(図1の紙面下方)をスクリーン印刷機1の前方、その反対側(図1の紙面上方)をスクリーン印刷機1の後方とする。
図1、図2及び図3において、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基台11上に設けられた基板保持移動ユニット12、基板保持移動ユニット12の基板2の搬送方向(X軸方向)の上流側(図1の紙面左側)に設けられた基板搬入コンベア13、基板保持移動ユニット12の基板2の搬送方向の下流側(図1の紙面右側)に設けられた基板搬出コンベア14、基板保持移動ユニット12の上方に設けられた金属製の薄板材料から成るプレート状のマスク15、前後一対のスキージ16及びカメラユニット17を備えている。
図2及び図3において、基板保持移動ユニット12は、水平移動部21、昇降部22、コンベア部23、下受け部24、前後一対の基板端部支持部材25及び基板保持部26から成る。
図2及び図3において、水平移動部21は、Yテーブル駆動モータMyの作動によって基台11に対してY軸方向に移動するYテーブル21a、Xテーブル駆動モータMxの作動によってYテーブル21aに対してX軸方向に移動するXテーブル21b、Xテーブル21bに対してZ軸回りに回転するθテーブル21c、θテーブル21cの上面に固定されたベーステーブル21d及びベーステーブル21dの上面から上方に延びて設けられた複数の昇降テーブルガイド21eから成る。
図2及び図3において、昇降部22は、水平移動部21の複数の昇降テーブルガイド21eにガイドされてベーステーブル21dに対して昇降する昇降テーブル22a、昇降テーブル22aの上面から上方に延びて設けられた複数の下受け部昇降ガイド22b及び昇降テーブル22aの上面に設けられた前後の昇降フレーム22cから成る。
図3及び図4(a),(b)において、コンベア部23は昇降フレーム22cに支持されて昇降テーブル22aとともにベーステーブル21dに対して昇降する前後一対のベルトコンベア支持部材31と、各ベルトコンベア支持部材31に支持されてX軸方向に送り動作をする前後一対のベルトコンベア32から成り、これら前後のベルトコンベア32が同期して作動することにより、基板2のX軸方向への搬送がなされる。
図5(a),(b)に示すように、ベルトコンベア支持部材31は前後のベルトコンベア32のY軸方向の外側を上下方向に延びた垂直部31aと、垂直部31aの下端からベルトコンベア32の下方をY軸方向の内側に延びた水平部31bを有しており、水平部31bの下面のX軸方向の両端部には、下方に延出した複数(ここでは2つ)の延出部31cが形成されている。各延出部31cの内面(前後のベルトコンベア支持部材31が向き合う側の面)にはこの延出部31cの内面と微小間隔をあけてX軸方向に延びる複数の爪部31dが設けられており、これら複数の爪部31dと延出部31cの内面とによって上下方向に延びた溝部31eが形成されている。
図4(a)及び図5(a)において、各基板端部支持部材25はX軸方向かつ垂直方向に延びた横長矩形形状の薄板部材から成り、図5(a),(b)に示すように、X軸方向の両端の2つの垂直端面(基板2の搬送方向の上流側の上流側垂直端面33aと基板2の搬送方向の下流側の下流側垂直端面33b)及び2つの水平端面(上端面33c及び下端面33d)が形成された本体部33と、本体部33の下端面33dから下方に延びた2つの下方延出部34を備えている。
各基板端部支持部材25は、ベルトコンベア支持部材31に形成された2つの溝部31eのそれぞれに下方延出部34を上方から嵌入させており、各基板端部支持部材25はこれら2つの下方延出部34をベルトコンベア支持部材31の2つの溝部31eにガイドされた状態で、ベルトコンベア支持部材31に対して上下方向に移動(昇降)することができるようになっている。
ここで、図4(b)及び図5(a),(b)に示すように、ベルトコンベア支持部材31の水平部31bの内面側の端部には複数の突起状のストッパ31fが水平方向に突出して設けられており、これら複数のストッパ31fには基板端部支持部材25の本体部33の下端面33dが上方から当接し得るようになっている。基板端部支持部材25は、2つの下方延出部34の下端に何物も接触していない状態では、自重によって本体部33の下端面33dがストッパ31fに上方から当接し、ベルトコンベア支持部材31に対する最下方位置に位置した状態となる(図4(b)及び図5(b)参照)。
前後のベルトコンベア支持部材31はそれぞれ前後の昇降フレーム22cにY軸方向に移動自在に取り付けられており、一方の(ここでは後方の)昇降フレーム22cに取り付けられたコンベア離反近接モータ35が駆動されると、図示しないリンク機構を介して、前後のベルトコンベア支持部材31が互いに反対の方向に(すなわちY軸方向に離反又は近接する方向に)移動するようになっている。
また、前後の昇降フレーム22cのうち、前方の昇降フレーム22cは昇降テーブル22aに固定して設けられる一方、後方の昇降フレーム22cは昇降テーブル22aに対してY軸方向に移動自在に設けられており、後方の昇降フレーム22cの後方に昇降テーブル22aに固定して設けられたモータ取り付けブラケット36(図3)に取り付けられたコンベア間隔変更モータ37を駆動することにより、図示しないリンク機構を介して、後方の昇降フレーム22cを前方の昇降フレーム22cに対してY軸方向に離間又は近接させることができる。この前方の昇降フレーム22cに対する後方の昇降フレーム22cの離間又は近接動作により、後方のベルトコンベア支持部材31を前方のベルトコンベア支持部材31に対して離反又は近接させることができ、スクリーン印刷の対象とする基板2の幅方向(Y方向)の寸法に応じて前後のベルトコンベア32の間隔を調節することができる。
ここで、各基板端部支持部材25はベルトコンベア支持部材31の溝部31e内に嵌入しており、ベルトコンベア支持部材31に対するY軸方向の移動は拘束されているので、コンベア離反近接モータ35の作動により、或いはコンベア間隔変更モータ37の作動により前後のベルトコンベア支持部材31の間隔が変更されると、これに応じて前後の基板端部支持部材25の間隔も変更される。
なお、前後の昇降フレーム22cの前後の(Y軸方向の)間隔が固定された状態(スクリーン印刷の対象とする基板2の幅方向寸法に応じて前後のベルトコンベア32の間隔が調節された状態)では、前後のベルトコンベア支持部材31を最も近接させたときの前後のベルトコンベア32の間隔は基板2の幅方向寸法よりも小さくなるようになっている(図3及び後述する図13(a)参照)。また、前後のベルトコンベア支持部材31を最も離間させたときの前後のベルトコンベア32の間隔は基板2の幅方向寸法よりも大きくなるがが、前後の基板端部支持部材25の間隔は基板2の幅方向寸法よりは小さくなるようになっている(後述する図14(b)参照)。
図4(a),(b)において、前後のベルトコンベア支持部材31に対して昇降自在な各基板端部支持部材25の本体部33の上流側垂直端面33aは、ベルトコンベア支持部材31に取り付けられたベルトコンベア32の基板2の搬送方向の上流側の端部32aよりも基板2の搬送方向の上流側(図4(b)では紙面左側)に位置している。また、各基板端部支持部材25の本体部33の上流側垂直端面33bは、ベルトコンベア支持部材31に取り付けられたベルトコンベア32の基板2の搬送方向の下流側の端部32bよりも基板2の搬送方向の下流側(図4(b)では紙面右側)に位置している。
図2及び図3において、下受け部24は、コンベア部23の下方において、下受け部昇降ガイド22bにガイドされて昇降する下受けユニット支持テーブル24a及び下受けユニット支持テーブル24aの上面に設けられた下受けユニット24bから成る。下受けユニット24bは上方に延びて設けられた複数のピン部材24cを有しており、下受けユニット支持テーブル24aと一体となって昇降テーブル22aに対して昇降し、複数のピン部材24cの上端をコンベア部23上の基板2に下方から接触させてその基板2の中央部を支持する。
図3及び図4(a)において、基板保持部26は、前後のベルトコンベア支持部材31それぞれの上部にY軸方向に移動自在に設けられた前後一対のクランプ部材26aから成る(図1も参照)。これら前後のクランプ部材26aは、昇降フレーム22cに取り付けられたクランプ部材作動モータ38(図3)を作動させることにより、図示しないリンク機構を介して互いに反対の方向に(すなわちY軸方向に開閉する方向に)移動させることができ、前後のベルトコンベア32によって両端部が支持された基板2をその幅方向(Y軸方向)からクランプして保持し、またその保持の解除をすることができる。
図1及び図4(a)において、基板搬入コンベア13及び基板搬出コンベア14はそれぞれ、基板保持移動ユニット12のコンベア部23と同様に前後一対のベルトコンベア13a,14aから成る。基板搬入コンベア13は、スクリーン印刷機1の外部から投入された基板2を搬入して基板保持移動ユニット12のコンベア部23に受け渡し、基板搬出コンベア14は、基板保持移動ユニット12のコンベア部23から受け渡された基板2をスクリーン印刷機1の外部に搬出する。
このように、基板搬入コンベア13、基板保持移動ユニット12のコンベア部23及び基板搬出コンベア14は基板2の搬送を行う基板搬送路39(図1)として機能する。また、基板保持移動ユニット12のコンベア部23は基板搬送路39の一部を構成し、一対のベルトコンベア32により基板2の両端部を下方から支持してその基板2の搬入を行うものとなっている。
図4(a),(b)において、各ベルトコンベア支持部材31それぞれの基板2の搬送方向(X軸方向)の上流側(図4では紙面左側)の端部には、基板進入規制部材40が設けられている。基板進入規制部材40は、基板搬送路39の上流側に延びた水平延出部40aと、水平延出部40aの端部から下方に延びた垂直延出部40bを有した逆L字型形状を有しており、垂直延出部40bは、基板搬入コンベア13とコンベア部23との間のX軸に直交する垂直面内(YZ面内)に位置している。
図1及び図2において、基台11上には基板搬入コンベア13及び基板搬出コンベア14をそれぞれY軸方向に跨ぐ一対の門型フレーム41が設けられており、これら一対の門型フレーム41によってマスクホルダ42が支持されている。マスクホルダ42は、門型フレーム41に両端が取り付けられて基板保持移動ユニット12が備える基板保持部26の上方をX軸方向に延びて配置された前後一対のガイド部材43と、一対のガイド部材43上をY軸方向に延びて設けられた左右一対のマスク支持レール44とから成る。マスク15はマスクホルダ42が備える左右一対のマスク支持レール44によって左右両端が支持されて基板保持移動ユニット12の上方に水平姿勢に保持される(図6も参照)。
図1及び図6において、マスク15は平面視において矩形の枠状部材から成るマスク枠15wによって四辺が支持されており、マスク枠15wによって囲まれた矩形の領域には、基板2上の複数の電極3に対応した多数のパターン孔15aが設けられている。すなわちマスク15は、基板2の電極3の配置に応じて形成された多数のパターン孔15aを有したものとなっている。
図1において、基板2の対角位置には2つ一組の基板側位置決め用マークmkが設けられている。一方、図6において、マスク15には、基板側位置決め用マークmkに対応して配置された2つ一組のマスク側位置決め用マークMKが設けられている。これら基板側位置決め用マークmkとマスク側位置決め用マークMKが上下に合致する状態で基板2をマスク15に接触させると、基板2の電極3とマスク15のパターン孔15aは上下に合致した状態となる。
図1及び図2において、一対の門型フレーム41には、X軸方向に延びたX軸ステージ45の両端部がY軸方向にスライド自在に支持されている。X軸ステージ45上にはカメラ支持ステージ46がX軸方向に移動自在に設けられており、カメラ支持ステージ46には前述のカメラユニット17が取り付けられている。カメラユニット17は、撮像視野を下方に向けた第1カメラ17aと撮像視野を上方に向けた第2カメラ17bを備えている(図3)。
図1及び図2において、一対の門型フレーム41にはX軸方向に延びたスキージベース47の両端が支持されており、スキージベース47は門型フレーム41に沿ってY軸方向に往復移動自在となっている。
図2及び図3において、スキージベース47の上面の中央部のY軸方向に対向する位置には2つのスキージ昇降シリンダ48がピストンロッド48aを下方に向けて設けられており、これら2つのスキージ昇降シリンダ48のピストンロッド48aはそれぞれ、スキージベース47を上下方向に貫通して延びている。各スキージ昇降シリンダ48のピストンロッド48aの下端部にはX軸方向に延びたスキージホルダ49が取り付けられており、各スキージホルダ49には前述のスキージ16が保持されている。各スキージ16は、スキージホルダ49に沿ってX軸方向に延びた「へら」状の部材から成る。
スキージ昇降シリンダ48のピストンロッド48aを上下方向に作動させると、ピストンロッド48aの下端にスキージホルダ49を介して取り付けられたスキージ16が、スキージベース47に対して(したがってマスク15に対して)昇降する。
基板2の搬送を行う基板搬送路39としての基板搬入コンベア13、基板保持移動ユニット12におけるコンベア部23及び基板搬出コンベア14の各動作は、制御装置50(図7)が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送路作動機構51(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
基板保持移動ユニット12が備える前後のベルトコンベア支持部材31の互いの離反又は近接動作は、制御装置50が前述のコンベア離反近接モータ35(図7も参照)の作動制御を行うことによってなされ、前方のベルトコンベア支持部材31に対する後方のベルトコンベア支持部材31の離反又は近接動作は、制御装置50が前述のコンベア間隔変更モータ37(図7も参照)の作動制御を行うことによってなされる。また、前後のクランプ部材26aによる基板2のクランプ(保持)動作は、制御装置50が前述のクランプ部材作動モータ38(図7も参照)の作動制御を行うことによってなされる。
基板保持移動ユニット12が備える下受け部24の昇降による基板2の下受け動作は、制御装置50が図示しないアクチュエータ等から成る下受け部昇降機構52(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
基板保持移動ユニット12による基板2の水平面内方向への移動動作は、制御装置50が、基台11に対するYテーブル21aのY軸方向への移動、Yテーブル21aに対するXテーブル21bのX軸方向への移動及びXテーブル21bに対するθテーブル21cの(すなわちベーステーブル21dの)Z軸回りの回転動作を行わせる、前述のYテーブル駆動モータMyやXテーブル駆動モータMxを含むアクチュエータ等から成る水平面内方向移動機構53(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
また、基板保持移動ユニット12による基板2の上下方向への移動動作は、制御装置50が、ベーステーブル21dに対する昇降テーブル22aの昇降動作を行わせる図示しないアクチュエータ等から成る上下方向移動機構54(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
カメラユニット17の水平面内での移動動作、すなわち一対の門型フレーム41に対するX軸ステージ45のY軸方向への移動動作及びX軸ステージ45に対するカメラ支持ステージ46のX軸方向への移動動作の各制御は、制御装置50が図示しないアクチュエータから成るカメラユニット移動機構55(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
カメラユニット17を構成する第1カメラ17aは、制御装置50に制御されて、基板保持移動ユニット12が備える基板保持部26によって保持された基板2の基板側位置決め用マークmkの撮像を行い、第2カメラ17bは、制御装置50に制御されて、マスク15に設けられたマスク側位置決め用マークMKの撮像を行う。第1カメラ17aの撮像によって得られた画像データと第2カメラ17bの撮像によって得られた画像データはともに制御装置50に入力される(図7)。
前後のスキージ16をY軸方向に往復移動させるスキージベース47の作動制御は、制御装置50が図示しないアクチュエータ等から成るスキージベース移動機構56(図7)の制御を行うことによってなされる。また、各スキージ16のスキージベース47に対する昇降動作は、制御装置50がスキージベース47の上部に取り付けられた前述の2つのスキージ昇降シリンダ48の作動制御を行うことによってなされる。
図4(b)、図8(a),(b)、図9(a),(b)及び図10(a),(b)において、昇降テーブル22aはベーステーブル21dに対する(ベーステーブル21dを基準とした)下降位置P1と上昇位置P2との間で昇降が自在であり、下受け部24は昇降テーブル22aに対する(昇降テーブル22aを基準とした)下降位置Q1と上昇位置Q2との間で昇降が自在である。ここで、図4(b)、図8(a),(b)、図9(a),(b)及び図10(a),(b)では、昇降テーブル22aの上面の下降位置を符号P1、上昇位置の符号P2で示しており、下受け部24の上端(複数のピン部材24cの上端)の下降位置を符号Q1、上昇位置を符号Q2で示している。また、昇降テーブル22aの上面の昇降範囲を範囲R1で示し、下受け部24の上端の昇降範囲を範囲R2で示している。
図8(a)は、昇降テーブル22aがベーステーブル21dに対する下降位置P1に位置し、下受け部24が昇降テーブル22aに対する下降位置Q1に位置した状態を示しており、図8(b)及び図9(a)は、昇降テーブル22aがベーステーブル21dに対する下降位置P1に位置し、下受け部24が昇降テーブル22aに対する下降位置Q1と上昇位置Q2との間の位置に位置した状態を示している。図9(b)は昇降テーブル22aがベーステーブル21dに対する下降位置P1に位置し、かつ下受け部24が昇降テーブル22aに対する上昇位置Q2に位置した状態を示している。
また、図10(a)は、下受け部24が昇降テーブル22aに対する上昇位置Q2に位置し、かつ、昇降テーブル22aがベーステーブル21dに対する下降位置P1と上昇位置P2との間の位置に位置した状態を示しており、図10(b)は、下受け部24が昇降テーブル22aに対する上昇位置Q2に位置し、かつ、昇降テーブル22aがベーステーブル21dに対する上昇位置P2に位置した状態を示している。
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、その動作手順において、下受け部24は昇降テーブル22aがベーステーブル21dに対する下降位置P1に位置しているときにのみ昇降作動をする。したがって、昇降テーブル22aがベーステーブル21dに対して昇降するときには、下受け部24は必ず昇降テーブル22aに対する上昇位置Q2に位置した状態となっている。
図8(a)に示すように、昇降テーブル22aがベーステーブル21dに対する下降位置P1に位置し、かつ下受け部24が昇降テーブル22aに対する下降位置Q1に位置した状態(この状態を待機状態と称する)では、下受け部24(下受けユニット支持テーブル24a)は基板端部支持部材25の下方延出部34に接触しておらず、基板端部支持部材25は自重によって本体部33の下端面33dをベルトコンベア支持部材31のストッパ31fに上方から当接させた状態となっている。この待機状態では、基板端部支持部材25の本体部33の上端面33cは(したがって基板端部支持部材25の本体部33の上流側垂直端面33aは)、基板搬入コンベア13から(すなわち基板搬送路39の上流側から)基板保持移動ユニット12のコンベア部23に進入する基板2の搬送面Sよりも下方に位置しており、コンベア部23は基板搬入コンベア13が搬入した基板2を受け取ることができる。
次に、図11のフローチャート及び図12〜図18の説明図を加えてスクリーン印刷機1の動作手順を説明する。スクリーン印刷機1の制御装置50は、基板保持移動ユニット12を上記のような待機状態にしたうえで、図示しない検知手段によって、スクリーン印刷機1の上流側に設置された他の装置等(図示せず)から基板搬入コンベア13に基板2が投入されたことを検知したら、基板搬入コンベア13とコンベア部23を連動作動させてスクリーン印刷機1内に基板2を搬入し(図12(a)中に示す矢印A)、更に、図示しない検知手段により、コンベア部23が搬入する基板2が所定の搬送停止位置に到達したことを検知したところでコンベア部23の作動を停止させて、基板2を静止させる(図12(b)、図13(a)及び図8(a)。図11のステップST1に示す基板搬入工程)。
制御装置50は、上記の基板搬入工程が終了したら、前後のクランプ部材26aを閉作動させて、コンベア部23上の基板2をY軸方向からクランプ(保持)する(図13(b)。図中に示す矢印B1)。そして、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対する下降位置P1に位置させたまま、下受け部24を昇降テーブル22aに対する下降位置Q1から上昇させる(図13(c)及び図14(a)中に示す矢印C1)。そうすると、下受け部24(下受けユニット支持テーブル24a)が前後の基板端部支持部材25それぞれの下方延出部34に下方から当接し(図13(c)及び図8(b))、下受け部24の上端と前後の基板端部支持部材25それぞれの上端面33cとが同一の高さとなる。
下受け部24が前後の基板端部支持部材25それぞれの下方延出部34に下方から当接した後、下受け部24が更に昇降テーブル22aに対して上昇すると、前後の基板端部支持部材25はそれぞれ下受け部24によって押し上げられ、下受け部24とともに前後のベルトコンベア支持部材31に対して上昇する。そして、更に下受け部24が昇降テーブル22aに対して上昇すると、下受け部24の上端は前後のベルトコンベア32によって両端部が支持された基板2の中央部の下面に、また前後の基板端部支持部材25の上端面33cは基板2の下面の両端部にそれぞれ下方から当接する(図14(a)及び図9(a))。
制御装置50は、下受け部24の上端が基板2の中央部に当接し、前後の基板端部支持部材25それぞれの上端面33cが基板2の両端部に当接する高さまで下受け部24が上昇したら、下受け部24の上昇作動を一旦停止させる。そして、コンベア離反近接モータ35の作動制御を行って、前後のベルトコンベア支持部材31を互いに離反する方向に移動させ(図14(b)中に示す矢印D1)、前後のベルトコンベア32を基板2の両端部の外側に外すとともに、前後の基板端部支持部材25をそれまで前後のベルトコンベア32が基板2を支持していた部分に移動させ、基板2の両端部が前後の基板端部支持部材25のみによって支持されるようにする(図14(b)。ベルトコンベア支持部材離反工程)。
制御装置50は、ベルトコンベア支持部材離反工程が終了したら、下受け部24を上昇させて(図14(c)中に示す矢印C2)、下受け部24及び前後の基板端部支持部材25によって、基板2の上面が前後のクランプ部材26aの上面と同じ高さになるまで基板2を押し上げる。このとき下受け部24は昇降テーブル22aに対する上昇位置Q2まで上昇した状態となる。これにより基板2はその両端部を前後のクランプ部材26aに対して摺動させながら上昇し、両端部が前後のベルトコンベア32から上方に離間して、基板2は下受け部24及び前後の基板端部支持部材25によって持ち上げ支持された状態となる(図14(c)及び図9(b)。図11のステップST2示す基板支持工程)。
この基板支持工程が終了した状態(昇降テーブル22aがベーステーブル21dに対する下降位置P1に位置し、かつ、下受けユニット24bが昇降テーブル22aに対する上昇位置Q2に位置した状態)では、図9(b)に示すように、基板搬入コンベア13から(すなわち基板搬送路39の上流側から)基板保持移動ユニット12のコンベア部23に進入する基板2と当接する位置(搬送面Sを上下に横切る位置)に基板端部支持部材25が位置する。このため、基板支持工程の終了後、昇降テーブル22aがベーステーブル21dに対する下降位置P1に位置し、かつ、下受け部24が昇降テーブル22aに対する上昇位置Q2に位置した状態となっている間、誤って基板2が基板搬入コンベア13から(すなわち基板搬送路39の上流側から)基板保持移動ユニット12のコンベア部23に進入してくることを防止することができる。
制御装置50は、上記の基板支持工程が終了したら、カメラユニット移動機構55の作動制御を行い(X軸ステージ45をY軸方向に移動させるとともに、カメラ支持ステージ46をX軸方向に移動させ)、第1カメラ17aを基板2に設けられた基板側位置決め用マークmkの直上に位置させて、第1カメラ17aに基板側位置決め用マークmkの撮像を行わせて基板2の位置を検出し(図15(a)。図11のステップST3に示す基板位置検出工程)、次いで、第2カメラ17bをマスク15に設けられたマスク側位置決め用マークMKの直下に位置させ、第2カメラ17bにマスク側位置決め用マークMKの撮像を行わせてマスク15の位置の検出を行う(図15(b)。図11のステップST4に示すマスク位置検出工程)。
制御装置50は、上記のマスク位置検出工程が終了したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21の作動制御を行って基板保持部26を(したがって基板2を)水平面内方向に移動させ、基板側位置決め用マークmkとマスク側位置決め用マークMKが上下に対向するようにして、マスク15に対する基板2の水平面内方向の位置決めを行う(図11のステップST5に示す位置決め工程)。
この位置決め工程では、制御装置50は、基板側位置決め用マークmkとマスク側位置決め用マークMKが上下に合致した状態となるように、基板2をマスク15に対して位置決めする。
制御装置50は、上記の位置決め工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して上昇させ(図15(c)中に示す矢印E1)、コンベア部23及び基板2を下方から支持した状態の下受け部24を一体に上昇させることにより、基板2の被印刷面である上面をマスク15の下面に接触させる(図15(c)及び図10(b)。図11のステップST6に示す接触工程)。このとき昇降テーブル22aはベーステーブル21dに対する上昇位置P2まで上昇した状態となり、基板2はマスク15に下面から接触してスキージ16によるペーストPstの転写作業が行われる所定の位置に位置する。これにより基板2の電極3とマスク15のパターン孔15aは上下に合致した状態となる。
この接触工程が終了した状態(下受け部24が昇降テーブル22aに対する上昇位置Q2に位置し、かつ、昇降テーブル22aがベーステーブル21dに対する上昇位置P2に位置した状態)では、図10(b)に示すように、ベルトコンベア支持部材31に設けられた基板進入規制部材40は、基板搬送路39の上流側から基板保持移動ユニット12のコンベア部23に進入する基板2と当接する位置(搬送面Sを上下に横切る位置)に位置する。このため、接触工程の後のスキージ16によるペーストPstの転写作業を実行している間、誤って基板2が基板搬入コンベア13から(すなわち基板搬送路39の上流側から)基板保持移動ユニット12のコンベア部23に進入してくることを防止することができる。
制御装置50は、上記の接触工程が終了したら、スクリーン印刷機1の動作を一時中断したうえで、基台11に設けられたディスプレイ装置57(図7)を介した画像表示により、オペレータOPにペーストPstの供給を促す。オペレータOPは、現在マスク15上に残っているペーストPstを目視し、そのペーストPstの量に基づいてペーストPstの供給(補充)を行うべきかどうかの判断を行い、ペーストPstの供給を行うべきと判断したときには、別途用意したペースト供給シリンジ60(図16(a))により、マスク15上にペーストPstの供給を行う。そして、ペーストPstの供給が終わったら、基台11に設けられた動作再開ボタン58(図7)の操作を行う。オペレータOPは、ペーストPstの供給が不要と判断した場合においても、動作再開ボタン58の操作を行う。
制御装置50は上記接触工程の後、前述の動作再開ボタン58の操作信号の出力に基づいて、オペレータOPによって動作再開ボタン58が操作されたか否かの判断を行う(図11のステップST7に示す判断工程)。そして制御装置50は、オペレータOPによって動作再開ボタン58が操作されたと判断したときには、スクリーン印刷機1の動作中断を解除し、2つのスキージ16のうちの一方を下降させてマスク15の上面に当接させ、スキージベース47をY軸方向に移動させることによってスキージ16をマスク15上で摺動させ(図16(b)中に示す矢印F)、マスク15のパターン孔15aを介して基板2の電極3にペーストPstを転写させる(図11のステップST8に示すペースト転写工程)。そして制御装置50は、スキージ16の摺動が終了したら、マスク15に当接させたスキージ16を上昇させ、マスク15の上面から離間させる。
ここで、前方のスキージ16(図16における紙面左側のスキージ16)については、前方のクランプ部材26aの上面領域から後方のクランプ部材26aの上面領域までマスク15上を後方(図16における紙面右側。矢印Fの方向)に移動させるようにし、後方のスキージ16(図16における紙面右側のスキージ16)については、後方のクランプ部材26aの上面領域から前方のクランプ部材26aの上面領域までマスク15上を前方(図16における紙面左側。矢印Fとは反対の方向)に移動させるようにする。
制御装置50は、上記のペースト転写工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して下降させ(図17(a)中に示す矢印E2)、マスク15から基板2を離間させて版離れを行う(図17(a)。図11のステップST9に示す版離れ工程)。これによりペーストPstが基板2の電極3上に印刷された状態となる。
制御装置50は、上記の版離れ工程を行ったら、コンベア離反近接モータ35の作動制御を行って、前後のベルトコンベア支持部材31を互いに近接する方向に移動させ(図17(b)中に示す矢印D2)、前後のベルトコンベア32が基板2の両端部の直下に位置するようにする(図17(b)。ベルトコンベア支持部材近接工程)。
制御装置50は、前後のベルトコンベア32が基板2の両端部の直下に位置するようにしたら、クランプ部材26aを開作動させて(図17(c)中に示す矢印B2)、基板2のクランプを解除して基板2が下受け部24及び前後の基板端部支持部材25によって支持されるようにしたうえで、下受け部24を昇降テーブル22aに対して下降させる(図18(a),(b),(c)中に示す矢印C3)。そうすると、先ず基板2の両端部が前後のベルトコンベア32に載置され(図18(a))、次いで下受け部24の上端及び前後の基板端部支持部材25の上端面33cが基板2の下面から下方に離間する(図18(b))。そして、更に昇降テーブル22aが下降すると、前後の基板端部支持部材25の下端面33dがベルトコンベア支持部材31のストッパ31fに上方から当接してそれ以上の下降が規制され、昇降テーブル22aがベーステーブル21dに対する下降位置Q1に位置した状態では、前後の基板端部支持部材25は昇降テーブル22aの上面から離間した状態となる(図18(c))。これにより基板保持部26による基板2の支持が解除される(図11のステップST10に示す基板支持解除工程)。
制御装置50は、基板2の支持を解除したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21を作動させ、基板搬出コンベア13に対するコンベア部23の位置調整を行ったうえで、コンベア部23と基板搬出コンベア14を連動作動させ、コンベア部23上の基板2を基板搬出コンベア14に受け渡してそのまま基板2をスクリーン印刷機1の外部に搬出する(図11のステップST11示す基板搬出工程)。
制御装置50は、基板2を搬出したら、他にスクリーン印刷を施す基板2があるかどうかの判断を行う(図11のステップST12に示す判断工程)。その結果、他にスクリーン印刷を施す基板2があった場合にはステップST1に戻って新たな基板2の搬入を行い、他にスクリーン印刷を施す基板2がなかった場合には一連のスクリーン印刷作業を終了する。
以上説明したように、本実施の形態における電子部品実装用装置としてのスクリーン印刷機1は、前後一対のベルトコンベア32により基板2の両端部を下方から支持して基板2の搬入を行うコンベア部23と、コンベア部23の下方を上昇し、コンベア部23により搬入された基板2の中央部を下方から支持する下受け部24と、コンベア部23の前後一対のベルトコンベア32の間に設けられてコンベア部23に対して昇降自在であり、上昇する下受け部24によって押し上げられてコンベア部23により搬入された基板2の両端部を下方から支持する前後一対の基板端部支持部材25と、下受け部24及び前後一対の基板端部支持部材25により支持された基板2に対して電子部品実装用の作業(ペーストPstの転写作業)を行う作業装置としてのスキージ16とを備え、下受け部24及び前後一対の基板端部支持部材25によって基板2が支持された状態において、基板搬送路39の上流側からコンベア部23に進入する基板2と当接する位置に前後一対の基板端部支持部材25が位置するようになっている。
また、本実施の形態における電子部品実装用装置としてのスクリーン印刷機1によるスクリーン印刷方法は、コンベア部23の前後一対のベルトコンベア32により基板2の両端部を下方から支持して基板2の搬入を行う工程(ステップST1の基板搬入工程)と、コンベア部23の下方で下受け部24を上昇させてコンベア部23により搬入した基板2の中央部を下方から支持するとともに、コンベア部23の前後一対のベルトコンベア32の間に設けられてコンベア部23に対して昇降自在な前後一対の基板端部支持部材25を下受け部24によって押し上げて前後一対の基板端部支持部材25により基板2の両端部を下方から支持する工程(ステップST2の基板支持工程)と、下受け部24及び前後一対の基板端部支持部材25により支持した基板2に対して作業装置としてのスキージ16により電子部品実装用の作業(ペーストPstの転写作業)を行う工程(ステップST8のペースト転写工程)を含むスクリーン印刷機1による作業方法であって、下受け部24及び前後一対の基板端部支持部材25によって基板2を支持した状態において、基板搬送路39の上流側からコンベア部23に進入する基板2と当接する位置に前後一対の基板端部支持部材25を位置させるようになっている。
このように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1(スクリーン印刷方法)では、下受け部24及び一対の基板端部支持部材25によって基板2が支持されている状態において、基板搬送路39の上流側からコンベア部23に進入する基板2と当接する位置に一対の基板端部支持部材25が位置するようになっているので、作業の実行中にコンベア部23に他の基板2が進入することを確実に防止することができる。
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、一対のベルトコンベア32が互いに離反又は近接する動作に伴って一対の基板端部支持部材25が離反又は近接するようになっており、本実施の形態におけるスクリーン印刷方法では、一対のベルトコンベア32が互いに離反又は近接する動作に伴って一対の基板端部支持部材25を離反又は近接させるようになっているので、スクリーン印刷の対象とする基板2の幅方向(Y方向)の寸法に応じて前後一対のベルトコンベア32の間隔を調節したときであっても、基板2の進入を確実に防止することができる。
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、コンベア部23及び基板2を下方から支持した状態の下受け部24を一体に上昇させてスキージ16による基板2に対する作業(ペーストPstの転写作業)が行われる所定の位置(マスク15に下方から接触する位置)に基板2を位置させる昇降部としての昇降テーブル22aと、コンベア部23を構成する一対のベルトコンベア支持部材31のそれぞれに設けられ、昇降テーブル22aにより基板2が上記所定の位置に位置された状態で、基板搬送路39の上流側からコンベア部23に進入する基板2と当接する位置に位置する基板進入規制部材40を備えたものとなっており、本実施の形態におけるスクリーン印刷方法では、下受け部24及び一対の基板端部支持部材25により基板2の両端部を下方から支持した後、コンベア部23及び下受け部24を一体に上昇させてスキージ16による基板2に対するペーストPstの転写作業が行われる所定の位置(マスク15に下方から接触する位置)に基板2を位置させる工程(ステップST6の接触工程)を含み、基板2を上記所定の位置に位置させた状態で、基板搬送路39の上流側からコンベア部23に進入する基板2と当接する位置に、コンベア部23に設けられた基板進入規制部材40を位置させるようになっているので、スキージ16によるペーストPstの転写作業を実行している間、誤って基板2が基板搬入コンベア13から(すなわち基板搬送路39の上流側から)基板保持移動ユニット12のコンベア部23に進入してくることを防止することができる。
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、基板進入規制部材はL字型形状をした部材であったが、その形状は任意である。また、上述の実施の形態では、本発明が適用される電子部品実装用装置としてスクリーン印刷機1を示したが、下受け部24及び一対の基板端部支持部材25により支持された基板2に対して電子部品実装用の作業を行う作業装置を備えたものであればスクリーン印刷機でなくてもよく、例えば、下受け部24及び一対の基板端部支持部材25により支持された基板2に対して電子部品実装作業を行う作業装置としての装着ヘッドを備えた電子部品実装機等であってもよい。