以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1、図2及び図3に示すスクリーン印刷機1は、実装基板生産用の電子部品実装ラインを構成する電子部品実装用装置の一種であり、基板2を搬入してその基板2の表面に設けられた電極3上に半田ペーストや導電性ペースト等のペーストPst(図3参照)を転写するスクリーン印刷を行った後、その基板2を下流側の電子部品実装機(図示せず)等に搬出する動作を連続実行するものである。以下、説明の便宜上、このスクリーン印刷機1における基板2の搬送方向をX軸方向(図1の紙面左右方向)、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向(図1の紙面上下方向)とし、上下方向をZ軸方向とする。また、Y軸方向をスクリーン印刷機1の前後方向、X軸方向をスクリーン印刷機1の横(左右)方向とする。更に、前後方向のうち、スクリーン印刷機1のオペレータOP(図1)がスクリーン印刷機1に対して作業を行う側(図1の紙面下方)をスクリーン印刷機1の前方、その反対側(図1の紙面上方)をスクリーン印刷機1の後方とする。
図1、図2及び図3において、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基台11上に設けられた基板保持移動ユニット12、基板保持移動ユニット12の上方に設けられた金属製の薄板材料から成るプレート状のマスク13、前後一対のスキージ14及びカメラユニット15を備えている。
図2及び図3において、基板保持移動ユニット12は、水平移動部21、昇降部22、コンベア部23及び基板保持部24から成る。
図2及び図3において、水平移動部21は、Yテーブル駆動モータMyの作動によって基台11に対してY軸方向に移動するYテーブル21a、Xテーブル駆動モータMxの作動によってYテーブル21aに対してX軸方向に移動するXテーブル21b、Xテーブル21bに対してZ軸回りに回転するθテーブル21c、θテーブル21cの上面に固定されたベーステーブル21d及びベーステーブル21dの上面から上方に延びて設けられた複数の昇降テーブルガイド21eから成る。
図2及び図3において、昇降部22は、水平移動部21の複数の昇降テーブルガイド21eにガイドされてベーステーブル21dに対して昇降する昇降テーブル22a及び昇降テーブル22aの上面から上方に延びて設けられた複数の下受けユニット昇降ガイド22bから成る。
図3において、コンベア部23は下受けユニット昇降ガイド22bの上端に取り付けられて昇降テーブル22aとともにベーステーブル21dに対して昇降する前後一対のベルトコンベア支持部材23aと、各ベルトコンベア支持部材23aに支持されてX軸方向に送り動作をする前後一対のベルトコンベア23bから成っており、これら前後のベルトコンベア23bが同期して作動することにより、基板2のX軸方向への搬送がなされる。
図2及び図3において、基板保持部24は、コンベア部23が備える前後のベルトコンベア支持部材23aそれぞれの上部にY軸方向に移動自在に設けられた前後一対のクランプ部材24a(図1も参照)、コンベア部23の下方において、下受けユニット昇降ガイド22bにガイドされて昇降する下受けユニット支持テーブル24b及び下受けユニット支持テーブル24bの上面に設けられた下受けユニット24cから成る。下受けユニット24cは、下受けユニット支持テーブル24bとともに昇降テーブル22aに対して昇降することにより、コンベア部23上の基板2を下方から支持する。前後のクランプ部材24aは、前後のベルトコンベア23bによって両端部が支持され、下受けユニット24cによって下面が支持された基板2のY軸方向の両側部を基板2の外方から挟んでクランプする。
図1及び図2において、基板保持移動ユニット12を構成するコンベア部23のX軸方向の両側(基板2の搬送方向の上流側と下流側)の位置には、スクリーン印刷機1の外部(図1及び図2の紙面左側)から投入された基板2を搬送(搬入)してコンベア部23に受け渡す基板搬入用コンベア25と、コンベア部23から受け渡された基板2をスクリーン印刷機1の外部(図1及び図2の紙面右側)に搬送(搬出)する基板搬出用コンベア26が備えられている。
図1及び図2において、基台11上には基板搬入用コンベア25及び基板搬出用コンベア26をそれぞれY軸方向に跨ぐ一対の門型フレーム28が設けられており、これら一対の門型フレーム28によってマスクホルダ30が支持されている。マスクホルダ30は、門型フレーム28に両端が取り付けられて基板保持移動ユニット12が備える基板保持部24の上方をX軸方向に延びて配置された前後一対のガイド部材31と、一対のガイド部材31上をY軸方向に延びて設けられた左右一対のマスク支持レール32とから成る。マスク13はこのマスクホルダ30が備える左右一対のマスク支持レール32によって左右両端が支持されて基板保持移動ユニット12の上方に水平姿勢に保持されている(図4も参照)。
図1及び図4において、マスク13は平面視において矩形の枠状部材から成るマスク枠13wによって四辺が支持されており、マスク枠13wによって囲まれた矩形の領域には、基板2上の複数の電極3に対応した多数のパターン孔13aが設けられている。すなわちマスク13は、基板2の電極3の配置に応じて形成された多数のパターン孔13aを有したものとなっている。
図1において、基板2の対角位置には2つ一組の基板側位置決め用マークmkが設けられている。一方、図4において、マスク13には、基板側位置決め用マークmkに対応して配置された2つ一組のマスク側位置決め用マークMKが設けられている。これら基板側位置決め用マークmkとマスク側位置決め用マークMKが上下に合致する状態で基板2をマスク13に接触させると、基板2の電極3とマスク13のパターン孔13aは上下に合致した状態となる。
図1及び図2において、一対の門型フレーム28には、X軸方向に延びたX軸ステージ41の両端部がY軸方向にスライド自在に支持されている。X軸ステージ41上にはカメラ支持ステージ42がX軸方向に移動自在に設けられており、カメラ支持ステージ42には前述のカメラユニット15が取り付けられている。カメラユニット15は、撮像視野を下方に向けた第1カメラ15aと撮像視野を上方に向けた第2カメラ15bを備えている(図3)。
また、図1及び図2において、一対の門型フレーム28にはX軸方向に延びたスキージベース60の両端が支持されており、スキージベース60は門型フレーム28に沿ってY軸方向に往復移動自在となっている。このスキージベース60には前述の一対のスキージ14がY軸方向に対向して設けられている。
図2及び図3において、スキージベース60の上面の中央部のY軸方向に対向する位置には2つのスキージ昇降シリンダ61がピストンロッド61aを下方に向けて設けられている。これら2つのスキージ昇降シリンダ61のピストンロッド61aはそれぞれ、スキージベース60を上下方向に貫通して延びており、その下端部にはX軸方向に延びたスキージホルダ62が取り付けられており、各スキージホルダ62には前述のスキージ14が保持されている。各スキージ14は、スキージホルダ62に沿ってX軸方向に延びた「へら」状の部材から成る。
スキージ昇降シリンダ61がピストンロッド61aを上下方向に作動させると、ピストンロッド61aの下端にスキージホルダ62を介して取り付けられたスキージ14が、スキージベース60に対して(したがってマスク13に対して)昇降する。
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1において、基板2の搬送を行う基板搬送路としての基板搬入用コンベア25、基板保持移動ユニット12におけるコンベア部23及び基板搬出用コンベア26の各動作は、制御装置80(図5)が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送路作動機構81(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
基板保持移動ユニット12による基板2の保持動作は、制御装置80が、クランプ部材24aによる基板2のクランプ動作を行わせる図示しないアクチュエータ等から成るクランプ部材作動機構82(図5)と、下受けユニット支持テーブル24bの(すなわち下受けユニット24cの)昇降動作を行わせる図示しないアクチュエータ等から成る下受けユニット昇降機構83(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
基板保持移動ユニット12による基板2の水平面内方向への移動動作は、制御装置80が、基台11に対するYテーブル21aのY軸方向への移動、Yテーブル21aに対するXテーブル21bのX軸方向への移動及びXテーブル21bに対するθテーブル21cの(すなわちベーステーブル21dの)Z軸回りの回転動作を行わせる、前述のYテーブル駆動モータMyやXテーブル駆動モータMxを含むアクチュエータ等から成る水平面内方向移動機構84(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
また、基板保持移動ユニット12による基板2の上下方向への移動動作は、制御装置80が、ベーステーブル21dに対する昇降テーブル22aの昇降動作を行わせる図示しないアクチュエータ等から成る上下方向移動機構85(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
カメラユニット15の水平面内での移動動作、すなわち一対の門型フレーム28に対するX軸ステージ41のY軸方向への移動動作及びX軸ステージ41に対するカメラ支持ステージ42のX軸方向への移動動作の各制御は、制御装置80が図示しないアクチュエータから成るカメラユニット移動機構86(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
前後のスキージ14をY軸方向に往復移動させるスキージベース60の作動制御は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成るスキージベース移動機構87(図5)の制御を行うことによってなされる。また、各スキージ14のスキージベース60に対する昇降動作は、制御装置80がスキージベース60の上部に取り付けられた前述の2つのスキージ昇降シリンダ61の作動制御を行うことによってなされる。
制御装置80は、基板保持移動ユニット12によって基板2に接触されたマスク13上でスキージ14を摺動させるときは、2つのスキージ14のうちの一方のスキージ昇降シリンダ61のピストンロッド61aを下動させてそのピストンロッド61aに取り付けられたスキージ14を下降させ(図6(a)中に示す矢印A1)、スキージ14をマスク13の上面に当接させたうえでスキージベース移動機構87の作動制御を行ってスキージベース60をY軸方向に移動させる(図6(b)中に示す矢印B)。そして、マスク13上でのスキージ14の摺動が終了したら、制御装置80はスキージ14をマスク13に当接させた側のスキージ昇降シリンダ61のピストンロッド61aを上動させてスキージ14を上昇させ(図6(c)中に示す矢印A2)、そのスキージ14をマスク13の上面から離間させる。
ここで、前方のスキージ14(図3における紙面左側のスキージ14)については、前方のクランプ部材24aの上面領域に当接させてそこから後方のクランプ部材24aの上面領域までマスク13上を後方(図3における紙面右側)に移動させるようにし、後方のスキージ14(図3における紙面右側のスキージ14)については、後方のクランプ部材24aの上面領域に当接させてそこから前方のクランプ部材24aの上面領域までマスク13上を前方(図3における紙面左側)に移動させるようにする。これによりマスク13上に供給されたペーストPstがマスク13のパターン孔13a内に充填され、そのパターン孔13aを介してペーストPstが基板2の電極3上に転写される。
カメラユニット15を構成する第1カメラ15aは、制御装置80に制御されて、基板保持移動ユニット12が備える基板保持部24によって保持された基板2の基板側位置決め用マークmkの撮像を行い、第2カメラ15bは、制御装置80に制御されて、マスク13に設けられたマスク側位置決め用マークMKの撮像を行う。第1カメラ15aの撮像によって得られた画像データと第2カメラ15bの撮像によって得られた画像データはともに制御装置80に入力される(図5)。
制御装置80は記憶手段としての記憶部80a(図5)を備えており、この記憶部80aには、スキージ14がマスク13上で摺動した場合に(図6(a)→図6(b)→図6(c))、マスク13がスキージ14との間の摩擦等によってスキージ14に引き摺られて移動する移動距離Δがマスク移動距離として記憶されている。このマスク移動距離(以下、マスク移動距離Δと表記する)は、図6(a)及び図6(c)それぞれの拡大図に示すように、基板側位置決め用マークmkとマスク側位置決め用マークMKが上下に合致するように基板2をマスク13に接触させた状態からスキージ14をマスク13上で摺動させた場合の、基板側位置決め用マークmkとマスク側位置決め用マークMKの間の離間距離δに相当する。
なお、このマスク移動距離Δの値は通常、マスク13に対するスキージ14の移動方向によって異なる場合があるため、記憶部80aには、マスク移動距離Δがスキージ14のマスク13に対する移動方向ごとに(すなわち、前方のスキージ14によりペーストPstの転写を行う場合と、後方のスキージ14によりペーストPstを行う場合とに分けて)に記憶されている。
次に、図7のフローチャート及び図8〜図14の説明図を加えてスクリーン印刷機1の動作手順を説明する。スクリーン印刷機1の制御装置80は、図示しない検知手段によって、スクリーン印刷機1の上流側に設置された他の装置等(図示せず)から基板搬入用コンベア25に基板2が投入されたことを検知したら、基板搬入用コンベア25とコンベア部23を連動作動させてスクリーン印刷機1内に基板2を搬入し(図8(a)中に示す矢印C)、更に、図示しない検知手段により、コンベア部23が搬入する基板2が所定の搬送停止位置に到達したことを検知したところでコンベア部23の作動を停止させて、基板2を静止させる(図8(b)。図7のステップST1に示す基板搬入工程)。
制御装置80は、上記の基板搬入工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対する下降位置に位置させたまま、下受けユニット24cを(下受けユニット支持テーブル24bを)昇降テーブル22aに対して上昇させ(図9(a)中に示す矢印D1)、下受けユニット24cの上端が基板2の下面に下方から当接したところで下受けユニット24cの上昇を停止させて(図9(a))、コンベア部23上の基板2の両側部を一対のクランプ部材24aによりクランプする(図9(b)。図中に示す矢印E1)。そして、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対する下降位置に位置させたまま、下受けユニット24cを更に昇降テーブル22aに対して上昇させて、下受けユニット24cで基板2を押し上げる(図10(a)。図中に示す矢印D2)。これにより基板2はY軸方向の両端をクランプ部材24aに対して摺動させながら上昇し(基板2はコンベア部23の両ベルトコンベア23bから上方に離間する)、下受けユニット24cが昇降テーブル22aに対する上昇位置に位置して基板2の上面が両クランプ部材24aの上面とほぼ同じ高さになったところで、制御装置80は、下受けユニット24cの押し上げを停止させる。これにより基板保持部24により基板2が保持された状態となる(図10(a)。図7のステップST2に示す基板保持工程)。
制御装置80は、上記の基板保持工程が終了したら、カメラユニット移動機構86の作動制御を行い(X軸ステージ41をY軸方向に移動させるとともに、カメラ支持ステージ42をX軸方向に移動させ)、第1カメラ15aを基板2に設けられた基板側位置決め用マークmkの直上に位置させて、第1カメラ15aに基板側位置決め用マークmkの撮像を行わせて基板2の位置を検出し(図10(b)。図7のステップST3に示す基板位置検出工程)、次いで、第2カメラ15bをマスク13に設けられたマスク側位置決め用マークMKの直下に位置させ、第2カメラ15bにマスク側位置決め用マークMKの撮像を行わせることによって、スキージ14をマスク13上で摺動させる前のマスク13の位置の検出を行う(図11(a)。図7のステップST4に示すマスク位置検出工程)。
制御装置80は、上記の基板位置検出工程とマスク位置検出工程が終了したら、記憶部80aに記憶されたマスク移動距離Δのデータを読み出す(図7のステップST5に示すマスク移動距離読み出し工程)。
なお、前述のように、記憶部80aにはマスク移動距離Δがスキージ14のマスク13に対する移動方向ごとに記憶されており、制御装置80は、基板2をマスク13に接触させる際、スキージ14のマスク13に対する移動方向に応じたマスク移動距離Δを記憶部80aから読み出すようにする。すなわち制御装置80は、前方スキージ14をマスク13の後方に移動させてペーストPstの転写を行うときには、前方スキージ14をマスク13の後方に移動させた場合におけるマスク移動距離Δのデータを読み出し、後方スキージ14をマスク13の前方に移動させてペーストPstの転写を行うときには、後方スキージ14をマスク13の前方に移動させた場合におけるマスク移動距離Δのデータを読み出すようにする。
制御装置80は、上記のマスク移動距離読み出し工程が終了したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21の作動制御を行って基板保持部24を(したがって基板2を)水平面内方向に移動させ、マスク13に対する基板2の水平面内方向の位置決めを行う(図7のステップST6に示す位置決め工程)。
この位置決め工程では、制御装置80は、基板側位置決め用マークmkがマスク側位置決め用マークMKよりも、ステップST5で読み出したマスク移動距離Δだけ、スキージ14のマスク13に対する移動方向にずれた状態となるように、すなわち、基板2の電極3がマスク13のパターン孔13aよりもマスク移動距離Δだけスキージ14のマスク13に対する移動方向にずれた状態となるように、基板2をマスク13に対して位置決めする。
制御装置80は、上記の位置決め工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して上昇させ(図11(b)中に示す矢印F1)、基板2の被印刷面である上面をマスク13の下面に接触させる(図11(b)。図7のステップST7に示す接触工程)。これにより基板側位置決めマークmkはマスク側位置決めマークMKよりも、記憶部80aから読み出したマスク移動距離Δだけスキージ14のマスク13に対する移動方向にずれた状態で接触した状態となり(図12(a)の拡大図参照)、しがたって基板2とマスク13は、基板2の電極3がマスク13のパターン孔13aよりもマスク移動距離Δだけスキージ14のマスク13に対する移動方向にずれた状態で上下に接触した状態となる。
制御装置80は、上記の接触工程が終了したら、スクリーン印刷機1の動作を一時中断したうえで、基台11に設けられたディスプレイ装置88(図5)を介した画像表示により、オペレータOPにペーストPstの供給を促す。オペレータOPは、現在マスク13上に残っているペーストPstを目視し、そのペーストPstの量に基づいてペーストPstの供給(補充)を行うべきかどうかの判断を行い、ペーストPstの供給を行うべきと判断したときには、別途用意したペースト供給シリンジ90(図13(a))により、マスク13上にペーストPstの供給を行う。そして、ペーストPstの供給が終わったら、基台11に設けられた動作再開ボタン89(図5)の操作を行う。オペレータOPは、ペーストPstの供給が不要と判断した場合においても、動作再開ボタン89の操作を行う。
制御装置80はステップST7の後、前述の動作再開ボタン89の操作信号の出力に基づいて、オペレータOPによって動作再開ボタン89が操作されたか否かの判断を行う(図7のステップST8に示す判断工程)。そして制御装置80は、オペレータOPによって動作再開ボタン89が操作されたと判断したときには、スクリーン印刷機1の動作中断を解除し、2つのスキージ14のうちの一方のスキージ14をマスク13上で摺動させることによって(図13(b)及び図12(b)中に示す矢印B)、マスク13上のペーストPstを基板2に転写させる(図12(a)→図12(b)→図12(c)。図7のステップST9に示すペースト転写工程)。
制御装置80は、上記のペースト転写工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して下降させ(図14(a)中に示す矢印F2)、マスク13から基板2を離間させて版離れを行う(図14(a)。図7のステップST10に示す版離れ工程)。これによりペーストPstが基板2の電極3上に印刷された状態となる。
このように本実施の形態において基板保持移動ユニット12は、基板2を移動させて基板2のマスク13への接触及び基板2のマスク13からの離間を行う基板移動手段として機能し、制御装置80は、基板保持移動ユニット12及びスキージ14の作動制御を行う制御手段として機能する。
上記のペースト転写工程では、スキージ14がマスク13上で摺動することによって、(図12(a)→図12(b)→図12(c))、マスク13がスキージ14に引き摺られて移動距離Δだけスキージ14のマスク13に対する移動方向に移動するが、ステップST6の位置決め工程及びステップST7の接触工程で、記憶部80aに記憶されたマスク移動距離Δだけ基板2の電極3がマスク13のパターン孔13aよりもスキージ14のマスク13に対する移動方向にずれた状態で基板2がマスク13に接触されるようになっているので、スキージ14がマスク13上を摺動した後には基板2の電極3とマスク13のパターン孔13aが上下に合致することになり(図12(c)の拡大図に示すように、基板側位置決めマークmkとマスク側位置決めマークMKも上下に合致する)、版離れを電極3とパターン孔13aが上下に合致した状態で行うことができる。
制御装置80は、上記の版離れ工程が終了したら、第2カメラ15bをマスク13に設けられたマスク側位置決め用マークMKの直下に位置させ、第2カメラ15bにマスク側位置決め用マークMKの撮像を行わせることによって、スキージ14をマスク13上で摺動させた後のマスク13の位置の検出を行う(図14(b)。図7のステップST11に示すマスク位置検出工程)。そして、制御装置80の移動距離算出部80b(図5)は、ステップST4で検出したマスク13の位置(スキージ14をマスク13上で摺動させる前のマスク13の位置)と、ステップST11で検出したマスク13の位置(スキージ14をマスク13上で摺動させた後のマスク13の位置)とに基づいて、今回(現在)スクリーン印刷の対象としている基板2についてのマスク移動距離Δを算出する(図7のステップST12に示すマスク移動距離算出工程)。このマスク移動距離算出工程で算出したマスク移動距離Δのデータは記憶部80aに記憶され(図7のステップST13に示すマスク移動距離記憶工程)、次回スクリーン印刷の対象とする基板2のマスク13に対するマスク移動距離読み出し工程(ステップST5)において読み出される。
すなわち本実施の形態において、制御装置80は、記憶部80aから読み出して得られるマスク移動距離Δだけ基板2の電極3がマスク13のパターン孔13aよりもスキージ14のマスク13に対する移動方向にずれた状態で基板2がマスク13に接触するように基板保持移動ユニット12を作動させ、基板2が接触されたマスク13上でスキージ14が摺動するようにスキージ14を作動させて基板2の電極3にペーストPstを転写させた後、基板2がマスク13から離間するように基板保持移動ユニット12及びスキージ14を作動させるようになっている。
また、本実施の形態において、第2カメラ15b及び制御装置80の移動距離算出部80bは、スキージ14がマスク13上で摺動する前後でマスク13の位置を検出してマスク移動距離Δを計測する移動距離計測手段として機能し(ステップST4、ステップST11及びステップST12)、この移動距離計測手段により計測されたマスク13の移動距離Δがマスク移動距離Δとして記憶部80aに記憶されるようになっている(ステップST13)。
制御装置80は、上記の版離れ工程を行ったら、クランプ部材24aを作動させて基板2のクランプを解除したうえで(図15(a)中に示す矢印E2)、下受けユニット24cを(下受けユニット支持テーブル24bを)昇降テーブル22aに対して下降させ(図15(b)中に示す矢印D3)、基板2をコンベア部23上に降ろす(図15(b))。これにより基板保持部24による基板2の保持が解除される(図7のステップST14に示す基板保持解除工程)。
制御装置80は、基板2の保持を解除したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21を作動させ、基板搬出用コンベア26に対するコンベア部23の位置調整を行ったうえで、コンベア部23と基板搬出用コンベア26を連動作動させ、コンベア部23上の基板2を基板搬出用コンベア26に受け渡してそのまま基板2をスクリーン印刷機1の外部に搬出する(図7のステップST15に示す基板搬出工程)。
制御装置80は、基板2を搬出したら、他にスクリーン印刷を施す基板2があるかどうかの判断を行う(図7のステップST16に示す判断工程)。その結果、他にスクリーン印刷を施す基板2があった場合にはステップST1に戻って新たな基板2の搬入を行い、他にスクリーン印刷を施す基板2がなかった場合には一連のスクリーン印刷作業を終了する。
以上説明したように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、スキージ14がマスク13上で摺動した場合にマスク13がスキージ14に引き摺られて移動する移動距離Δがマスク移動距離Δとして記憶部80aに記憶されており、制御装置80は、記憶部80aから読み出して得られるマスク移動距離Δだけ基板2の電極3がマスク13のパターン孔13aよりもスキージ14のマスク13に対する移動方向にずれた状態で基板2がマスク13に接触するように基板保持移動ユニット12を作動させ、基板2が接触されたマスク13上でスキージ14が摺動するようにスキージ14を作動させて基板2の電極3にペーストPstを転写させた後、基板2がマスク13から離間するように基板保持移動ユニット12及びスキージ14を作動させるようになっている。
そして、このスクリーン印刷機1によるスクリーン印刷方法は、記憶部80aから読み出して得られるマスク移動距離Δだけ基板2の電極3がマスク13のパターン孔13aよりもスキージ14のマスク13に対する移動方向にずれた状態で基板2がマスク13に接触されるように基板保持移動ユニット12を作動させる工程(ステップST6の位置決め工程及びステップST7の接触工程)と、基板2が接触されたマスク13上でスキージ14が摺動するようにスキージ14を作動させて基板2の電極3にペーストPstを転写させる工程(ステップST9の転写工程)と、電極3にペーストPstを転写させた基板2がマスク13から離間するように基板保持移動ユニット12を作動させる工程(ステップST10の版離れ工程)とを含むものとなっている。
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1及びこのスクリーン印刷機1におけるスクリーン印刷方法によれば、電極3とパターン孔13aとはスキージ14によるマスク13上での摺動が終了した時点で上下に合致した状態となり、版離れはこのように電極3とパターン孔13aとが上下に合致した状態でなされるので印刷不良が発生しにくく、基板2へのペーストPstの印刷精度を高めることができる。
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1(スクリーン印刷方法)では、記憶部80aにはマスク移動距離Δがスキージ14のマスク13に対する移動方向ごとに記憶されており、制御装置80は、基板2がマスク13に接触されるように基板保持移動ユニット12を作動させる際(基板2がマスク13に接触されるように基板保持移動ユニット12が作動される際)、スキージ14のマスク13に対する移動方向に応じたマスク移動距離Δを記憶部80aから読み出すようになっているので、マスク移動距離Δがマスク13に対するスキージ14の移動方向によって異なる場合がある場合であっても、版離れ時に基板2の電極3とマスク13のパターン孔13aとを上下に合致させる精度を高めることができる。
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1(スクリーン印刷方法)では、スキージ14がマスク13上で摺動する前後でマスク13の位置を検出してマスク13の移動距離Δを計測する移動距離計測手段(第2カメラ15b及び制御装置80の移動距離算出部80b)を備え、この移動距離計測手段により計測されたマスク13の移動距離Δがマスク移動距離Δとして記憶部80aに記憶されるようになっている(記憶部80aに記憶されるマスク移動距離Δが、スキージ14がマスク13上で摺動する前後でマスク13の位置を検出して計測されたマスク13の移動距離Δである)ので、常に最新のマスク移動距離Δを用いて基板2のマスク13に対する位置決めをすることができ、版離れ時に基板2の電極3とマスク13のパターン孔13aとを上下に合致させる精度をより一層高めることができる。