JP6909617B2 - 減圧乾燥装置 - Google Patents

減圧乾燥装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6909617B2
JP6909617B2 JP2017080486A JP2017080486A JP6909617B2 JP 6909617 B2 JP6909617 B2 JP 6909617B2 JP 2017080486 A JP2017080486 A JP 2017080486A JP 2017080486 A JP2017080486 A JP 2017080486A JP 6909617 B2 JP6909617 B2 JP 6909617B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solvent
substrate
chamber
vacuum drying
solvent collecting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017080486A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018059697A (ja
Inventor
明典 島村
明典 島村
林 輝幸
輝幸 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Electron Ltd
Original Assignee
Tokyo Electron Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Electron Ltd filed Critical Tokyo Electron Ltd
Priority to TW106131914A priority Critical patent/TWI666418B/zh
Priority to US15/719,166 priority patent/US10615378B2/en
Priority to KR1020170126324A priority patent/KR102023817B1/ko
Priority to CN201710899704.0A priority patent/CN107878044B/zh
Publication of JP2018059697A publication Critical patent/JP2018059697A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6909617B2 publication Critical patent/JP6909617B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/67Apparatus specially adapted for handling semiconductor or electric solid state devices during manufacture or treatment thereof; Apparatus specially adapted for handling wafers during manufacture or treatment of semiconductor or electric solid state devices or components ; Apparatus not specifically provided for elsewhere
    • H01L21/67005Apparatus not specifically provided for elsewhere
    • H01L21/67011Apparatus for manufacture or treatment
    • H01L21/67017Apparatus for fluid treatment
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/67Apparatus specially adapted for handling semiconductor or electric solid state devices during manufacture or treatment thereof; Apparatus specially adapted for handling wafers during manufacture or treatment of semiconductor or electric solid state devices or components ; Apparatus not specifically provided for elsewhere
    • H01L21/67005Apparatus not specifically provided for elsewhere
    • H01L21/67011Apparatus for manufacture or treatment
    • H01L21/67098Apparatus for thermal treatment
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/67Apparatus specially adapted for handling semiconductor or electric solid state devices during manufacture or treatment thereof; Apparatus specially adapted for handling wafers during manufacture or treatment of semiconductor or electric solid state devices or components ; Apparatus not specifically provided for elsewhere
    • H01L21/67005Apparatus not specifically provided for elsewhere
    • H01L21/67242Apparatus for monitoring, sorting or marking
    • H01L21/67248Temperature monitoring

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Drying Of Solid Materials (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Description

本発明は、チャンバ内に収納された基板上の溶液を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥装置に関する。
従来、有機EL(Electroluminescence)の発光を利用した発光ダイオードである有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)が知られている。かかる有機発光ダイオードを用いた有機ELディスプレイは、薄型軽量かつ低消費電力であるうえ、応答速度や視野角、コントラスト比の面で優れているといった利点を有していることから、次世代のフラットパネルディスプレイ(FPD)として近年注目されている。
有機発光ダイオードは、基板上の陽極と陰極の間に有機EL層を挟んだ構造を有している。有機EL層は、例えば陽極側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層が積層されて形成される。これらの有機EL層の各層(特に正孔注入層、正孔輸送層及び発光層)を形成するにあたっては、例えばインクジェット方式で有機材料の液滴を基板上に吐出するといった方法が用いられる。
インクジェット方式で基板上に吐出された有機材料中には、多量の溶媒が含まれている。そのため、溶媒を除去することを目的として、基板上の溶液を減圧状態で乾燥する減圧乾燥処理が行われている(特許文献1〜3参照)。
具体的には、特許文献1の乾燥装置は、真空引き可能な処理容器と、処理容器内で基板を支持する載置台と、載置台に支持される基板に対向して設けられ、基板上の有機材料膜から揮発する溶媒を捕集する溶媒捕集部と、を備えている。
この特許文献1の乾燥装置の溶媒捕集部は、基板の表面とほぼ平行に配置された金属製の捕集プレートを有し、該捕集プレートには貫通開口が形成されている。また、特許文献1の乾燥装置は、乾燥処理が終了した後、捕集プレートで捕集した溶媒を、再度気化させて捕集プレートから脱離させるための溶媒脱離装置を備えている。さらに特許文献1の乾燥装置は、捕集プレートの温度を調節するためにペルチェ素子等からなる温度調整装置を有する。
特許文献2の乾燥装置は、乾燥時に蒸発する溶液中の溶媒を吸着する多孔質の吸着部材が基板と対向するように配置されている。また、特許文献2では、基板上の溶液中の溶媒を吸着し乾燥させる乾燥装置とは別に、吸着部材を乾燥させる乾燥装置が設けられている。この別の乾燥装置では、吸着部材を載置する載置台に、温度制御のため温度制御部が設けられている。
特開2014−199806号公報 特開2010−169308号公報 特許第5701782号公報
ところで、溶媒捕集部に捕集/吸着された溶媒の脱離処理のための時間を含めた、乾燥装置における処理時間を短縮させるためには、溶媒捕集部での溶媒の捕集効率を向上させたり、溶媒捕集部からの溶媒の気化効率を向上させたりする必要がある。
しかしながら、特許文献1の乾燥装置では、溶媒捕集部すなわち捕集プレートでの溶媒の捕集効率や捕集プレートからの溶媒の気化効率を向上させるために、捕集プレートを冷却または加熱する温度調節装置を用いており、装置の構成が複雑である。
また、特許文献2に開示の技術においても、溶媒捕集部すなわち吸着部材からの溶媒の蒸発を促進させるために、基板を載置する載置台に温度制御部を用いているため、装置の構成が複雑である。さらに、特許文献2に開示の技術では、吸着部材を乾燥させるために、基板の乾燥装置とは別に乾燥装置を用いている。
特許文献3はこの点に関し何らの開示も示唆もしていない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板上の溶媒の減圧乾燥処理と溶媒捕集部からの溶媒の脱離処理の両方を行うものであり、上記減圧乾燥処理の時間と上記脱離処理の時間が短く、装置の構成が簡易な減圧乾燥装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は、チャンバ内に収納された基板上の溶液を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥装置であって、網状板からなると共に、前記基板から気化した前記溶液中の溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部を備え、前記溶媒捕集部は、前記チャンバ内において前記基板に対向するように設けられ、前記チャンバ内の圧力が、前記基板の温度における前記溶媒の蒸気圧以下に減圧された時点で、減圧に伴い断熱膨張された前記チャンバ内の気体により、当該溶媒捕集部の温度がその時点での前記チャンバの圧力における前記溶媒の露点以下にまで冷却され、前記基板上の溶液の溶媒の蒸発が完了するまでの間、当該溶媒捕集部の温度が各時点での前記チャンバ内の圧力における前記溶媒の露点以下に維持され、前記基板上の溶液の溶媒の蒸発が完了してから5分以内に、前記チャンバからの輻射熱により、当該溶媒捕集部の温度がその時点での前記チャンバの圧力における前記溶媒の露点以上となる、ことを特徴としている。
別な観点による本発明は、チャンバ内に収納された基板上の溶液を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥装置であって、網状板からなると共に、前記基板から気化した前記溶液中の溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部を備え、前記溶媒捕集部は、前記チャンバ内において前記基板に対向するように設けられ、前記網状板は、開口率が60%以上80%以下であり、1m当たりの熱容量が850J/K以下であり、前記チャンバを減圧状態にさせる排気装置に接続され、前記溶媒捕集部から前記排気装置に至る空間に設けられた別の溶媒捕集部と、を備え、前記別の溶媒捕集部は、前記溶媒捕集部に比べて低温とされ、前記溶媒捕集部に一時的に捕集された後に気化された溶媒を一時的に捕集する、ことを特徴としている。
さらに別な観点による本発明は、チャンバ内に収納された基板上の溶液を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥装置であって、網状板からなると共に、前記基板から気化した前記溶液中の溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部を備え、前記溶媒捕集部は、前記チャンバ内において前記基板に対向するように設けられ、前記基板から前記溶媒捕集部までの距離は、前記基板から前記溶媒捕集部の上部の構造物までの距離の40%以上60%以下であり、前記チャンバを減圧状態にさせる排気装置に接続され、前記溶媒捕集部から前記排気装置に至る空間に設けられた別の溶媒捕集部と、を備え、前記別の溶媒捕集部は、前記溶媒捕集部に比べて低温とされ、前記溶媒捕集部に一時的に捕集された後に気化された溶媒を一時的に捕集する、ことを特徴としている。
本発明によれば、簡単な装置構成で、基板上の溶媒の減圧乾燥処理と溶媒捕集部からの溶媒の脱離処理を短時間で行うことができる。また、本発明によれば、基板上の溶媒の乾燥時間を同一基板内において均一にすることができる。
本発明の第1の実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す図である。 溶媒捕集部の取り付け構造を説明するための図である。 図1の減圧乾燥装置を用いた減圧乾燥処理の説明図である。 基板Wに塗布される溶液の溶媒の蒸気圧曲線を示す図である。 減圧乾燥装置のチャンバ内の様子を示す図である。 溶媒捕集網を構成する網状板の好適な加工方法を説明する断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す図である。 発明の第5の実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す図である。 第1の参考実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。 冷却加熱機構を有する枯らし用捕集部の例を説明する図である。 第2の参考実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。 第3の参考実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。 実施例1での溶媒捕集網の中央付近の温度及びチャンバ内の圧力の時間変化を示す図である。 実施例1での溶媒捕集網の中央付近の温度及びチャンバ内の圧力の時間変化を示す図である。 実施例1での溶媒捕集網の中央付近の温度及びチャンバ内の圧力の時間変化を示す図である。 実施例1での溶媒捕集網の各部分における温度の時間変化及びチャンバ内の圧力の時間変化を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、以下に示す実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す図であり、図1(A)は減圧乾燥装置の構成の概略を示す断面図、図1(B)は減圧乾燥装置内の構成の概略を示す上面図である。図1(A)では後述の溶媒捕集部を支持するための構造体の図示は省略され、図1(B)では後述の天板等の図示は省略されている。図2は、溶媒捕集部の取り付け構造を説明するための図であり、図2(A)は減圧乾燥値内の部分側面図、図2(B)は減圧乾燥装置における溶媒捕集部の周囲の部分下面図である。
本実施形態に係る減圧乾燥装置は、基板上にインクジェット方式で塗布され溶液を、減圧状態で乾燥するものであり、本装置の処理対象の基板は例えば有機ELディスプレイ用のガラス基板である。
なお、本装置の処理対象の基板に塗布される溶液は、溶質と溶媒からなり、減圧乾燥処理の対象となる成分は主に溶媒である。溶媒に含まれる有機化合物としては、高沸点のものが多く、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(1,3-dimethyl-2-imidazolidinone、沸点220℃、融点8℃)、4−tert-ブチルアニソール(4-tert-Butylanisole、沸点222℃、融点18℃)、Trans−アネトール(Trans-Anethole、沸点235℃、融点20℃)、1,2−ジメトキシベンゼン(1,2-Dimethoxybenzene、沸点206.7℃、融点22.5℃)、2−メトキシビフェニル(2-Methoxybiphenyl、沸点274℃、融点28℃)、フェニルエーテル(Phenyl Ether、沸点258.3℃、融点28℃)、2−エトキシナフタレン(2-Ethoxynaphthalene、沸点282℃、融点35℃)、ベンジルフェニルエーテル(Benzyl Phenyl Ether、沸点288℃、融点39℃)、2,6−ジメトキシトルエン(2,6-Dimethoxytoluene、沸点222℃、融点39℃)、2−プロポキシナフタレン(2-Propoxynaphthalene、沸点305℃、融点40℃)、1,2,3−トリメトキシベンゼン(1,2,3-Trimethoxybenzene、沸点235℃、融点45℃)、シクロヘキシルベンゼン(cyclohexylbenzene、沸点237.5℃、融点5℃)、ドデシルベンゼン(dodecylbenzene、沸点288℃、融点-7℃)、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン(1,2,3,4-tetramethylbenzene、沸点203℃、融点76℃)等を挙げることができる。これらの高沸点有機化合物は、2種以上が組み合わされて溶液中に配合されている場合もある。
本実施形態に係る減圧乾燥装置は、図1に示すように、チャンバ10と、載置台20と、溶媒捕集部30と、を備え、排気装置40に接続されている。
チャンバ10は、気密に構成されるものであり、ステンレス等の金属材料から形成される。チャンバ10は、角筒状の本体部11と、本体部11の上側に取り付けられる天板12と、本体部11の下側に取り付けられる底板13と、を有する。
本体部11には、基板Wをチャンバ10内に搬入出するための不図示の搬入出口が設けられている。
天板12は、本体部11の上側の開口を塞ぐと共に、溶媒捕集部30を支持する。溶媒捕集部30の支持構造については後述する。
底板13は、本体部11の下側の開口を塞ぐものであり、底板13の上側の中央には載置台20が配設されている。また、底板13には、載置台20の外周を囲うように排気口スリット13aが設けられ、排気口スリット13aには排気管41を介して排気装置40が接続されている。この排気口スリット13aを介して、減圧乾燥装置1のチャンバ10内を減圧することができる。
載置台20は、基板Wが載置されるものである。載置台20には、基板Wの受け渡しを行う不図示の昇降ピンが設けられており、該昇降ピンは昇降機構により自在に上下動できる。
溶媒捕集部30は、基板W上にインクジェット方式により塗布された溶液から気化した溶媒を捕集するものであり、チャンバ10内の雰囲気中の溶媒濃度を調節するためのものである。
溶媒捕集部30は、開口が格子状に均一に形成された形状の薄板すなわち網状板から成る溶媒捕集プレート(以下、溶媒捕集網)31を有する。
溶媒捕集網31は、ステンレスやアルミ、銅、金といった金属材料等の熱伝導性の良い材料から形成される。より具体的には、例えば、溶媒捕集網31は、鋼板を冷間切延することにより製造されるエキスパンドメタルから構成される。溶媒捕集網31は、1枚のエキスパンドメタルから構成されてもよいが、本例では、複数枚のエキスパンドメタルを水平方向に並べて構成されるものとする。
溶媒捕集網31の厚さは例えば0.1mmである。また、溶媒捕集網31の水平方向の寸法は、基板Wの水平方向の寸法と略同一である。より具体的には、溶媒捕集網31を構成する複数枚のエキスパンドメタル全体の水平方向の寸法は、基板Wの水平方向の寸法と略同一である。ただし、溶媒捕集網31の水平方向の寸法は、気化した溶媒の吸着量を増やすために、基板Wの水平方向の寸法よりも大きくしてもよい。また、溶媒捕集網31の水平方向の寸法は、基板Wの中央の上部に該溶媒捕集網31を設置した場合に、チャンバ10内の蒸気濃度のバランスを制御するために、基板Wの水平方向の寸法よりも小さくしてもよい。
溶媒捕集網31の開口率は大きく例えば65%である。なお、開口率とは、(上面視における溶媒捕集網31の開口部の総面積)/(上面視における溶媒捕集網31の全面積)で与えられる。
溶媒捕集網31は、上述のように開口率が大きい網状であり且つ薄型であるため、1m当たりの熱容量が例えば372J/Kと低く、すなわち単位面積当たりの熱容量が例えば372J/K・mと低い。
この溶媒捕集網31は、溶媒捕集網31の上部の構造物であって溶媒捕集網31に最も近い天板12と基板Wとの間の位置に支持される。また、溶媒捕集網31は、基板Wと正対するように、すなわち基板Wと略平行となるように、天板12に支持される。
天板12による溶媒捕集網31の支持は、図2に示すように、枠体32と脚部33を介して行われる。以下、具体的に説明する。
溶媒捕集網31を構成するエキスパンドメタル31aはそれぞれ、角筒状の枠体32に溶接等により固定される。枠体32の外側に設けられた耳部32aを、天板12から下方向に延出する脚部33に、ネジ等を用いて固定することにより、エキスパンドメタル31aすなわち溶媒捕集網31が天板12に支持される。
なお、枠体32や脚部33はステンレス等の金属材料から成る。
また、枠体32や脚部33は基板Wとは溶媒捕集網31を間に挟んで反対側に位置している。したがって、溶媒捕集網31が基板W側においてその全面が均一に露出しているので、基板Wから溶媒捕集網31の方向への気化した溶媒の流れは枠体32や脚部33には阻害されない。ただし、気化した溶媒の流れをより均一にするためには、枠体32や脚部33の体積は小さいことが好ましい。
図1の説明に戻る。
排気装置40は、真空ポンプから構成され、具体的には、ターボ分子ポンプとドライポンプとが例えば上流側からこの順に直列に接続されて構成される。この排気装置40は、底板13の中心付近すなわち基板Wの中心付近の下部に配設されている。
排気管41の排気口スリット13aと排気装置40との間の部分には自動圧力制御バルブ(APC(Adaptive Pressure Control)バルブ)42が設けられている。減圧乾燥装置1では、排気装置40の真空ポンプを作動させた状態で、APCバルブ42の開度を調節することにより、減圧排気の際のチャンバ10内の真空度を制御することができる。
なお、減圧乾燥装置1は、チャンバ10内の圧力を測定する不図示の圧力計を有する。該圧力計での計測結果は電気信号としてAPCバルブ42に入力される。
また、減圧乾燥装置1は該装置1の不図示の制御部を備える。制御部は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、減圧乾燥装置1における減圧乾燥処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部にインストールされたものであってもよい。
続いて、減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理について図3及び図4を用いて説明する。図3は、減圧乾燥処理の説明図であり、図3(A)〜図3(D)は減圧乾燥処理の各工程におけるチャンバ10内の様子を説明する図である。図4は、基板Wに塗布される溶液の溶媒の蒸気圧曲線を示す図であり、横軸は温度、縦軸は圧力である。
減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理では、まず、インクジェット方式で処理液が塗布された基板Wを載置台20に載置する。この状態では、図3(A)に示すように、基板Wの温度も溶媒捕集網31の温度も室温の23℃である。また、基板Wを載置台20に載置した時点でのチャンバ10内の圧力は、大気圧(約10×10Pa)であり、図4に示すように、基板Wの温度である23℃における溶媒Sの飽和蒸気圧より大きいため、基板Wからの溶媒Sの蒸発速度は小さい。
次いで、排気装置40のドライポンプを作動させてチャンバ10内を減圧排気する。ドライポンプによる減圧排気はチャンバ10内の圧力が10Paとなるまで行う。
この減圧排気の際、断熱膨張によりチャンバ10内の気体は冷却される。このようにチャンバ10内の気体が冷却されたとしても、基板Wの温度は、該基板Wの熱容量が大きいこと等から、室温の23℃からほとんど変化しない。しかし、熱容量の小さい溶媒捕集網31の温度は低下する。具体的には、ドライポンプでの減圧排気が完了しチャンバ10内の圧力が10Paとなった時点では、図3(B)に示すように、溶媒捕集網31の温度は例えば8〜15℃まで低下する。
なお、図4の点P1に示すように、ドライポンプでの減圧排気終了時のチャンバ10内の圧力10Paは、基板Wの温度である23℃における溶媒Sの飽和蒸気圧より大きいため、ドライポンプでの減圧排気の終了時点でも蒸発速度は大きくない。
排気装置40のドライポンプによりチャンバ10内の圧力を10Paまで減圧排気した後、排気装置40のターボ分子ポンプを作動させてさらに減圧排気する。
該減圧排気により、図4の点P2に示すように、チャンバ10内の圧力が、基板Wの温度である23℃における溶媒の蒸気圧である0.2Pa以下となると、基板W上の溶媒Sの蒸発速度が大きくなる。
この際、溶媒捕集網31は前述のように減圧排気に伴って冷却されており、チャンバ10内の圧力が0.2Paまで減圧された時点で、溶媒捕集網31の温度は例えば図3(C)に示すように8〜15℃である。この8〜15℃は、図4の点P3からも明らかなように、0.2Paにおける溶媒の露点である23℃より小さい。
また、溶媒捕集網31の温度は、基板W上の溶媒Sの蒸発が完了するまでの間、各時点でのチャンバ10内の圧力における溶媒Sの露点以下に維持される。
したがって、基板Wから気化した溶媒は、溶媒捕集網31により高効率で捕集されるため、チャンバ10内の気体状の溶媒の濃度は低く維持される。したがって、基板W上の溶媒を速く除去することができる。
基板W上の溶媒Sの除去が完了した後も排気装置40のターボ分子ポンプでの排気を継続する。溶媒捕集網31により捕集された溶媒を該溶媒捕集網31から除去するためである。
上述のようにターボ分子ポンプでの排気を継続していくと、チャンバ10の天板12や基板W等からの輻射熱により、熱容量の小さい溶媒捕集網31の温度が上昇する。具体的には、基板W上の溶媒Sの蒸発が完了してから5分以内に、図4の点P4及び図3(D)に示すように、溶媒捕集網31の温度がその時点のチャンバ10の圧力(0.05Pa)における溶媒の露点以上である18〜23℃まで上昇する。したがって、溶媒捕集網31から溶媒を速く除去/脱離することができる。
なお、基板W上の溶媒Sの蒸発が完了してから溶媒捕集網31の温度がその時点のチャンバ10の圧力における溶媒の露点以上となるまでの時間は、5分以内であることが好ましい。5分より大きいと、溶媒捕集網31からの溶媒の脱離が完了するまでに長時間を要してしまい、タクトタイムが長くなってしまうからである。
また、基板W上の溶媒Sの蒸発が完了してから溶媒捕集網31の温度がその時点のチャンバ10の圧力における溶媒の露点以上となるまでの時間は、20秒以上であることが好ましい。基板W上の溶媒Sは蒸発開始から約10秒で乾燥が完了するため、溶媒捕集網31は少なくとも10秒以上、望ましくは20秒以上をかけて徐々に乾燥することが好ましい。20秒よりも短いと、溶媒捕集網31に吸着された溶媒が気化したときに該気化した溶媒により、基板W上の乾燥した塗布膜が溶けたり、気化した溶媒が基板Wに吸着されてしまうおそれがあるからである。
溶媒捕集網31の温度が上述のようにその時点のチャンバ10の圧力における溶媒の露点以上となってから所定時間が経過するまで、ターボ分子ポンプでの排気を継続することにより、溶媒捕集網31から溶媒を除去する溶媒捕集網31の乾燥工程が終了する。
溶媒捕集網31の乾燥工程終了後、排気装置40を停止する。その後、チャンバ10内の圧力を大気圧まで戻した後、基板Wをチャンバ10から搬出する。これで、減圧乾燥装置1での減圧乾燥処理が終了する。
このように、減圧乾燥装置1では、熱容量の小さい網状板を溶媒捕集部30に用いるので、減圧乾燥処理に際し溶媒捕集部30を冷却/加熱するために、別途機構を設ける必要がない。したがって、減圧乾燥装置1では、基板の乾燥に要する時間(以下、乾燥時間)と溶媒捕集網31の乾燥時間の両方を含めた処理時間を簡易な構成で短くすることができる。言い換えると、基板上の溶媒の減圧乾燥処理と溶媒捕集部30からの溶媒の脱離処理を簡易な構成で短時間で行うことができる。
また、減圧乾燥装置1では、基板の乾燥時間のさらなる短縮のため、上述のように、溶媒捕集網31の温度が、チャンバ10内の圧力が基板Wの温度すなわち室温における蒸気圧以下となった時点で、その時点での圧力における露点すなわち室温以下とされ、さらに、蒸発が完了するまでの間、各時点での圧力における露点以下とされる。
さらに、減圧乾燥装置1では、溶媒捕集網31の乾燥時間のさらなる短縮のため、上述のように、溶媒捕集網31の温度が、蒸発が完了した時から5分以内に、その時点での圧力における露点以上とされる。
なお、基板の乾燥時間は、同一基板内において均一となることが好ましい。溶媒捕集網31を設けない場合、基板Wの乾燥時間は同一基板内において均一とならず、基板Wの中心より角部の方が乾燥時間が短くなる。したがって、乾燥した角部が、その後中心部で蒸発した溶媒により溶けてしまうことがある。
減圧乾燥装置1では、溶媒捕集網31を設けることにより、乾燥時間が同一の基板W内において均一となる。
減圧乾燥装置1では乾燥時間が同一の基板W内において均一となるメカニズムを、図5を用いて説明する。図5は、減圧乾燥装置1のチャンバ10内の様子を示す図であり、図5(A)及び図5(B)はそれぞれ、溶媒捕集網31を設けていない場合と設けている場合の図である。また、図5のチャンバ10内の灰色の各線は等濃度線であり線が太いほど高濃度であることを示す。なお、以下の説明では、濃度が同一であれば基板W内の場所によらず蒸発速度が同一であり、溶媒捕集網31の温度は該網31内の場所によらず一様であるものとする。
フィックの第1法則によれば、拡散流速は濃度勾配に比例する。
溶媒捕集網31が設けられていない場合、上下方向に係る濃度勾配は、基板Wの上部面内において不均一となる。そのため、基板Wの上部において拡散流速は基板W面内で不均一となる。したがって、図5(A)に示すように、基板Wの上部において気体状の溶媒の濃度は不均一となり、同一の基板W内において乾燥時間にバラつきが生じる。
一方、溶媒捕集網31が基板Wと正対するように設けられている場合、上下方向に係る濃度勾配は、チャンバ10内の基板Wの上部面内において均一となる。そのため、基板Wの上部において拡散流速は基板W面内で均一となる。したがって、図5(B)に示すように、基板Wの上部において基板の溶媒の濃度は均一となり、同一の基板W内において乾燥時間も均一となる。
次に、溶媒捕集部30の溶媒捕集網31について詳述する。
上述の説明では、溶媒捕集網31は単位面積当たりの熱容量が例えば372J/K・mとした。しかし、溶媒捕集網31の単位面積当たりの熱容量は、上述のものに限られず、排気によるチャンバ10内の断熱膨張により該溶媒捕集網31の温度が低下すると共にチャンバ10等からの輻射熱により該溶媒捕集網31の温度が上昇すればよい。したがって、溶媒捕集網31の単位面積当たりの熱容量は106〜850J/K・m以下であればよい。なお、溶媒捕集網31の板厚が0.05mm、開口率が80%のときの単位面積当たりの熱容量が106J/K・mであり、溶媒捕集網31の板厚が0.2mm、開口率が60%のときの単位面積当たりの熱容量が850J/K・mである。
また、溶媒捕集網31は上述のように基板Wと天板12との間の位置に支持される。より具体的には、基板Wの上面と溶媒捕集網31の厚さ方向の中心までの距離が基板Wの上面からチャンバ10の天板12の下面までの距離の40〜60%となる位置に支持される。減圧排気時の気体の膨張率すなわち断熱膨張による冷却強度は、上下方向に係る位置によって異なり、上述の40〜60%となる位置では他に場所に比べ大きい。そのため、当該位置に支持することにより溶媒捕集網31を大きく冷却することができ、また、真空下でのチャンバ10から溶媒捕集網31への輻射熱による加熱はそれらの間の距離によらないため、基板Wからの溶媒を速く除去することができる。
図6は、溶媒捕集網31を構成する網状板の好適な加工方法を説明する断面図である。
網状の溶媒捕集網31は、上述したように、冷間切延法により加工されたエキスパンドメタルから成る。そのため、溶媒捕集網31は、図6(A)に示すように、縦断面において四角形となり上下面が平坦である。
一方、網状の溶媒捕集網31が、図6(B)に示すようにワイヤRを編み込むことにより形成された場合、ワイヤRは円筒断面である。また、編み込みによりワイヤRが重なる部分は陰になる。そのため、上述の編み込みの場合、上下からの輻射を均一に得ることができないので、溶媒捕集網31が温度上昇しにくい。したがって、溶媒捕集網31からの溶媒の除去に長時間を要する。さらに、ワイヤRを編み込む場合は、ワイヤR間の接触部の擦れによりパーティクルが発生しやすい。
また、溶媒捕集網31が、図6(C)に示すように、平板をパンチングし開口Hが形成され網状に形成された場合、縦断面において上下面が平坦とならない。そのため、溶媒捕集網31はチャンバ10の天板からの輻射熱を受け難く、溶媒捕集網31からの溶媒の除去に長時間を要する。また、パンチングにより加工される場合は尖部が形成されるためゴミが付着しやすい。さらに、パンチングで開口Hを形成する場合、開口率を大きくすることができないため、冷却時に真空引きによる気流が溶媒捕集網31内を拡散しながら通過することができにくく、溶媒捕集網31を冷却してもその効果を得にくい。
しかし、溶媒捕集網31がエキスパンドメタルから成る場合は、上述のように縦断面において四角形であり且つ上下面が平坦である。そのため、エキスパンドメタルから構成される溶媒捕集網31は、溶媒捕集網31はチャンバ10の天板からの輻射熱を受けやすいので、吸着した溶媒の除去を短時間で行うことができる。また、エキスパンドメタルで構成される場合、尖部が形成されず、ゴミが付着することもない。さらに、ワイヤの編み込みによる場合のような擦れもないため、パーティクルが発生することもない。さらにまた、エキスパンドメタルでは開口率を高くすることができるため、冷却したときに高効率で溶媒を捕集することができる。
なお、溶媒捕集網31は、冷間切延法で作製されたエキスパンドメタルに限られず、平板に切込みを入れて押し拡げて加工する方法で作製されたものであれば好適に用いることができる。
溶媒捕集網31の厚さは、上述の説明では0.1mmであるとしたが、0.05mm以上0.2mm以下であればよい。厚さが0.05mm以上であれば容易に加工することができ、また、厚さを0.2mm以下にすることにより、単位面積当たりの熱容量を抑え、溶媒の吸着率を高くすることができる。
また、溶媒捕集網31の開口率は、上述の説明では65%としたが、60%以上80%以下であればよい。開口率が60%以上であれば、溶媒捕集網31での溶媒の捕集効率を高くすることができ、開口率が80%以下であれば容易に加工することができる。
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。
図7の減圧乾燥装置1は、赤外線放射体50を備える。
赤外線放射体50は、板状部材であり、チャンバ10の天板12の下面側に、溶媒捕集網31と正対する形態で設けられる。赤外線放射体50は、赤外線を放射し、当該赤外線放射体50より低温となった溶媒捕集網31を加熱するものである。
この赤外線放射体50を設けることにより、溶媒捕集網31に吸着された溶媒を速く除去することができる。
赤外線放射体50は内部にヒータを有しており、基板から溶媒を蒸発させるときは、上記ヒータをOFFにし、溶媒捕集網31が赤外線放射体50により加熱されることがないようにする。なお、赤外線放射体50にヒータを設けるのは、溶媒捕集網31に同様のヒータを設けるのに比べて簡単に行うことができ、また、溶媒捕集網31に同様のヒータを直接設けると溶媒捕集部30の熱容量が増加し、減圧排気に伴った溶媒捕集網31の冷却等を行うことができないからである。
なお、赤外線放射体50は、板状部材に限定されず、例えば円筒状部材等でもよい。また、赤外線放射体50を黒体として作用させるために、赤外線放射体50に黒体化処理を施してもよい。黒体化処理とは、例えば黒体塗料を塗布する処理であり、赤外線放射体50自体を黒体材料で形成する処理も含む。黒体材料の場合、ヒータを有していなくても輻射率が大きいため溶媒捕集網31を加熱する効果が向上する。
(第3の実施形態)
図8は本発明の第3の実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す図であり、図8(A)は減圧乾燥装置の構成の概略を示す断面図、図8(B)は減圧乾燥装置内の構成の概略を示す上面図である。図8(A)では溶媒捕集部30を支持するための構造体の図示は省略され、図8(B)では天板12等の図示は省略されている。
図8の減圧乾燥装置1の底板60は、本体部11の下側の開口を塞ぐものであり、底板60の上側には載置台20が配設されている。また、底板60には、載置台20の外周に複数の開口60aが設けられている。本例では、開口60aは、載置台20の一辺に沿って3つ設けられ、上記一辺と対向する辺に沿って3つ設けられている。
開口60aは、排気管61を介して排気装置62が接続されている。この開口60aを介して、減圧乾燥装置1のチャンバ10内を減圧することができる。
排気装置62は、真空ポンプから構成され、具体的には、ターボ分子ポンプとドライポンプとが例えば上流側からこの順に直列に接続されて構成される。この排気装置62は、各開口60aに対して1つずつ配設されている。
排気管61にはAPCバルブ42が設けられている。
また、本実施形態の減圧乾燥装置1は、溶媒捕集部30を乾燥させるための別の溶媒捕集部70を備え、該別の溶媒捕集部70は、溶媒捕集部30に一時的に捕集された後に気化された溶媒を一時的に捕集するものであり、チャンバ10内の溶媒を枯らすためのものである。以下では、この別の溶媒捕集部70を枯らし用捕集部70と記載することがあり、また、溶媒捕集部30を基板乾燥用捕集部30と記載することがある。この枯らし用捕集部70は、基板W上の溶液の溶媒の蒸発が完了した後において基板乾燥用捕集部30に比べて低温とされることで、基板乾燥用捕集部30に一時的に捕集された後に気化された溶媒を一時的に捕集することができる。枯らし用捕集部70は、基板乾燥用捕集部30と寸法や形状が異なるが、その材料として基板乾燥用捕集部30と同様なものを用いてもよく、例えば、基板乾燥用捕集部30と同様に網状板から構成される溶媒捕集網(不図示)を有する。
枯らし用捕集部70は、基板乾燥用捕集部30から各排気装置62に至る空間にそれぞれ設けられている。具体的には、枯らし用捕集部70は、基板乾燥用捕集部30が配設された空間と排気装置62が配設された空間との間を開閉自在に塞ぐ塞ぎ部材としてのAPCバルブ42の下流に設けられている。より具体的には、枯らし用捕集部70は排気管61におけるAPCバルブ42の下流に設けられている。
続いて、本実施形態の減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理について説明する。
本実施形態の減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理のうち、基板Wの乾燥工程までの工程は、第1の実施形態の減圧乾燥装置1を用いた乾燥減圧処理のものと同様であるためその説明を省略する。
本実施形態の減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理では、第1の実施形態のものと同様に、基板Wの乾燥工程の際、チャンバ10内が減圧排気されることによりチャンバ10内の気体が断熱膨張され冷却される。このように冷却されたチャンバ10内の気体により、基板乾燥用捕集部30及び枯らし用捕集部70の温度が低下する。この際、枯らし用捕集部70は、その周囲において、冷却された気体の単位面積当たりの流量が基板乾燥用捕集部30の周囲より大きいため、基板乾燥用捕集部30に比べて低温となる。
基板Wから気化した溶媒は、枯らし用捕集部70の方が基板乾燥用捕集部30より温度が低いが、枯らし用捕集部70の方が基板Wから遠いため、基板乾燥用捕集部30により捕集される。
基板Wから気化した溶媒の基板乾燥用捕集部30での捕集を進め基板W上の溶媒の除去が完了した後も、排気装置62のターボ分子ポンプでの排気を継続する。基板乾燥用捕集部30により捕集された溶媒を該捕集部30から除去し該捕集部30を乾燥させるためである。この乾燥の際、枯らし用捕集部70の方が基板乾燥用捕集部30より温度が低いため、基板乾燥用捕集部30から気化した溶媒は枯らし用捕集部70により捕集されるので、基板乾燥用捕集部30周辺の気体状の溶媒の濃度は低く維持される。したがって、基板乾燥用捕集部30上の溶媒を速く除去し乾燥させることができる。
なお、上述のように基板W上の溶媒の除去が完了した後もターボ分子ポンプでの排気を継続していくと、第1の実施形態で説明したように、基板乾燥用捕集部30の温度が、チャンバ10の天板12や基板W等からの輻射熱により上昇するが、枯らし用捕集部70は、基板乾燥用捕集部30に比べて、天板12や基板W等から遠いため上記輻射熱による温度の上昇が緩い。したがって、枯らし用捕集部70と基板乾燥用捕集部30の温度差は広がるため、基板乾燥用捕集部30から溶媒を速く除去/脱離することができる。
基板乾燥用捕集部30から溶媒を除去する基板乾燥用捕集部30の乾燥工程は、例えば、排気装置62のターボ分子ポンプによる排気を所定時間行うことにより終了する。
基板乾燥用捕集部30の乾燥工程終了後、APCバルブ42を閉じる。これにより、チャンバ10内の基板Wが存在する空間と枯らし用捕集部70が存在する空間とを隔離することができる。
そして、チャンバ10内を大気パージし基板Wを搬入出する搬入出工程と枯らし用捕集部70を乾燥させる乾燥工程とを並行して行う。このように並行して行うことにより、本実施形態の減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理全体に要する時間を大幅に短縮することができる。
なお、枯らし用捕集部70は、排気装置62のターボ分子ポンプからの輻射熱で加熱されるように、排気管61に配設される。これにより、枯らし用捕集部70からの溶媒の気化を促進させることができるため、枯らし用捕集部70の乾燥が完了するまでの時間を短縮することができ、これにより、搬入出工程が完了するまでの間に、枯らし用捕集部70の乾燥を確実に完了させることができる。また、排気装置62のターボ分子ポンプからの輻射熱を利用するため、枯らし用捕集部70を加熱する手段が別途必要とならないので、減圧乾燥装置1の構成の複雑化及び減圧乾燥装置1の大型化を防ぐことができる。
(第4の実施形態)
図9は本発明の第4の実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す図であり、減圧乾燥装置の部分断面を示す。
上述の例では、本発明に係る「塞ぎ部材」としてAPCバルブ42を用いていたが、減圧乾燥装置1のチャンバ10内の圧力を精度良く調節する必要がないときは、「塞ぎ部材」には別のものを用いることができる。
図9の減圧乾燥装置1では、「塞ぎ部材」として、載置台20とチャンバ10の側壁11aとの間を例えばヒンジ式で開閉自在に塞ぐシャッター81を有する塞ぎ部材80がチャンバ10内に設けられている。塞ぎ部材80を用いることにより、APCバルブ42を用いる場合に比べて低コストで減圧乾燥装置1を作製することができる。
また、第3の実施形態では、塞ぎ部材としてのAPCバルブ42が排気管61に設けられていたが、本実施形態では、塞ぎ部材80がチャンバ10内に設けられている。したがって、塞ぎ部材の下流に配すべきである、枯らし用捕集部70を、チャンバ10内に配設することができ、すなわち、第3の実施形態に比べて基板乾燥用捕集部30の近くに配設することができる。枯らし用捕集部70を基板乾燥用捕集部30の近くに配設すると、基板乾燥用捕集部30から気化した溶媒を枯らし用捕集部70で効率よく捕集することができる。
さらに、枯らし用捕集部70は、第3の実施形態ではその表面が水平となるように設けられているが、本実施形態では、その表面が非水平かつ非垂直となるように傾けられて設けられている。そして、枯らし用捕集部70の最下部の下方であって底板90の上に、受け皿部91が設けられている。この受け皿部91は、枯らし用捕集部70に捕集され液体となった溶媒を受けるものであり、上記液体となった溶媒は、枯らし用捕集部70の傾いた面/傾斜面に沿って移動し、該捕集部70の最下部から受け皿部91に落下する。
受け皿部91で受けた液体状の溶媒は、気化され、排気装置62によりチャンバ10の外に排出されるように構成されている。このような構成において、受け皿部91は該受け皿部91を加熱する加熱機構により加熱可能となっており、そのため、受け皿部91で受けた液体状の溶媒の気化を促進させることができ、したがって、チャンバ10内の溶媒を速やかにチャンバ10外に排出することができる。
(第5の実施形態)
図10は本発明の第5の実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す図であり、減圧乾燥装置の部分断面を示す。
図10の減圧乾燥装置1では、「塞ぎ部材」として、載置台20とチャンバ10の天板12との間を開閉自在に塞ぐシャッター101を有する塞ぎ部材100がチャンバ10内に設けられている。シャッター101は鉛直方向に移動することにより、すなわち上下に移動することにより載置台20とチャンバ10の天板12との間を開閉自在に塞ぐ。塞ぎ部材100を用いることにより、第4の実施形態と同様な効果が得られるのに加えて、以下の効果が得られる。
すなわち、塞ぎ部材100を用いる構成では、枯らし用捕集部70の少なくとも一部を載置台20の上面より上側に位置させることができる。したがって、枯らし用捕集部70と基板乾燥用捕集部30との距離が近いので、基板乾燥用捕集部30から気化した溶媒を枯らし用捕集部70で効率よく捕集することができる。
また、本実施形態では、枯らし用捕集部70が鉛直方向に延在するように該枯らし用捕集部70を配設することができる。したがって、本実施形態は、第4の実施形態に比べて、チャンバ10の側壁11aと載置台20との距離を小さくすることができ、すなわち、チャンバ10の大型化を防ぐことができる。
なお、第4及び第5の実施形態においても、枯らし用捕集部70は、排気装置62のターボ分子ポンプからの輻射熱で加熱されるように配設される。
また、図9及び図10の例では、排気装置62に通ずる排気管61がチャンバ10の側壁11aに設けられているが、底板90に設けられていてもよい。ただし、排気装置62を側壁11aに設けることで、枯らし用捕集部70に大量に溜まった溶媒が、万が一液滴となって下方に落下しても、液滴が排気装置62内部に入らないため、排気装置62の破損リスクを非常に低くすることができる。
なお、受け皿部91を加熱する加熱機構は、基板乾燥用捕集部30に同様の加熱機構を設けるのに比べて非常に簡単に行うことができる。
また、第4及び第5の実施形態におけるシャッター81、101の開閉は、減圧乾燥装置1の前述の制御部により制御される。
なお、第4及び第5の実施形態の減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理は、第3の実施形態に係る減圧乾燥処理と略同じであるため、その説明は省略する。
以上の説明では、枯らし用捕集部70の乾燥工程と基板Wの搬入出工程とを同時に行っていたが、枯らし用捕集部70の乾燥工程の終了後に、基板Wの搬入出工程を行ってもよい。この場合は、APCバルブ42等の塞ぎ部材の下流側に枯らし用捕集部70に設ける必要はなく、上記塞ぎ部材の上流側に枯らし用捕集部70を設けてもよい。また、このように上流側に設ける場合も、塞ぎ部材と枯らし用捕集部70を排気装置62のターボ分子ポンプの近くに配し、該ポンプからの輻射熱により枯らし用捕集部70を加熱し、該捕集部70に捕集された溶媒を速やかに気化させ除去する。
なお、枯らし用捕集部70に速く溶媒を捕集させ、枯らし用捕集部70に捕集された溶媒を速く気化させ除去するために、減圧乾燥装置1の構成が複雑にならない範囲で、枯らし用捕集部70に冷却機構や加熱機構を組み込んでもよい。
(第1の参考実施形態)
図11は、第1の参考実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。なお、この図では、枯らし用捕集部については、該捕集部が設けられている位置のみを示している。
第3〜第5の実施形態では、基本的に、枯らし用捕集部70が該捕集部70を冷却及び/または冷却する冷却/加熱機構を有していなかったが、第1の参考実施形態に係る図11の減圧乾燥装置200は、枯らし用捕集部210が該捕集部210を冷却及び加熱する冷却加熱機構を有する。
図12は、冷却加熱機構を有する枯らし用捕集部210の例を説明する縦断面図である。
図12(A)の枯らし用捕集部210の冷却加熱機構は、冷却された冷媒と加熱された冷媒とを切替可能に流すことが可能な複数の冷媒管211を有する。各冷媒管211は、熱伝導性の良い材料から成り、例えば銅製である。複数の冷媒管211は側面視において中央が高くなる山型となるように配設され、各冷媒管211の上部には、溶媒を捕集する金属製のプレート212が溶接等により固定されている。各プレート212は、該プレート212に捕集され液体となった溶媒がプレート212に沿って外側に流れていくように、互いに一部が重なり合い、固定状態において非水平に傾けられている。この構造では、図示は省略するが、加熱機構を有する受け皿部(図9の符号91参照)を、枯らし用捕集部210の外側方に1つずつ設けることが好ましい
図12(B)の枯らし用捕集部210の冷却加熱機構は、複数の冷媒管211が側面視において中央が低くなる谷型となるように配設されている。冷媒管211の上部に固定されている各プレート212は、該プレート212に捕集され液体となった溶媒がプレート212に沿って内側に流れていくように、互いに一部が重なり合い、固定状態において非水平に傾けられている。この構造では、図示は省略するが、加熱機構を有する受け皿部(図9の符号91参照)を、枯らし用捕集部210の中央に1つ設けることが好ましい。
図12(C)の枯らし用捕集部210の冷却加熱機構は、複数の冷媒管211が側面視において平行に配設されており、この機構では、溶媒は冷媒管211に捕集され液体となる。また、この機構では、冷媒管211に捕集され液体となった溶媒を受ける側面視w字型の受け皿部213が、各冷媒管211の下部に溶接等により固定されている。
図12(D)の枯らし用捕集部210の冷却加熱機構は、複数の冷媒管211が側面視において平行に配設されており、これら冷媒管211に金属製の網状部材214が溶接等により固定されており、網状部材214等に溶媒が捕集される。
(第2の参考実施形態)
図13は、第2の参考実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。
図13の減圧乾燥装置200は、排気管61に冷却加熱機構としての冷媒管211が巻かれており、排気管61が枯らし用捕集部210として機能する。
以上の第1及び第2の参考実施形態では、枯らし用捕集部が冷却加熱機構を有するため、基板乾燥用捕集部を速やかに乾燥させると共に、枯らし用捕集部を速やかに乾燥させ、チャンバ内の溶媒の濃度を速やかに所望の値まで低下させることができる。
なお、以上の例では、冷媒管は、冷却された冷媒と加熱された冷媒とを切替可能に流すことが可能であったが、いずれか一方のみを流すものであってもよい。また、冷却加熱機構は、冷却された冷媒を流す冷媒管と加熱された冷媒を流す冷却管とを例えば交互に配したものであってもよい。
(第3の参考実施形態)
図14は、第3の参考実施形態に係る減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。
図14の減圧乾燥装置200は、冷却加熱機構を有する枯らし用捕集部210と、同じく冷却加熱機構を有する基板乾燥用捕集部220とを有するものである。基板乾燥用捕集部220の冷却加熱機構としては、従来と同様のものを採用することができる。この減圧乾燥装置200においても、減圧乾燥処理に要する時間を非常に短くすることができる。
以上の説明では、排気装置はターボ分子ポンプを有していたが、枯らし用捕集部の吸着能力がターボ分子ポンプの排気能力と同等である場合、排気装置がドライポンプのみを有する構成であってもよく、この構成であっても、基板乾燥完了までの時間を、ターボ分子ポンプを有する構成と同様にすることができる。排気装置がドライポンプのみを有する構成とする場合、基板Wの乾燥時に載置台20により基板Wの温度を加熱したり、また、枯らし用捕集部70を前述の塞ぎ部材の下流に設けておき基板乾燥用捕集部30の乾燥後に上記塞ぎ部材を閉じ、枯らし用捕集部70を加熱したりすることが好ましい。
(その他の実施形態)
本発明の実施の形態に係る減圧乾燥装置は、減圧排気時の溶媒捕集網の最低温度を冷却や加熱以外の方法で調節する温度調節機構を備えることが好ましい。減圧排気時の溶媒捕集網の最低温度を調節することにより、溶媒捕集網への溶媒の吸着効率すなわち基板の乾燥時間や、溶媒捕集網からの溶媒を除去するまでの時間を調節できるからである。
上述の温度調節機構は、例えば、APCバルブ(図1の符号42参照)の開度を調節してドライポンプでの排気速度を調節し、これにより溶媒捕集網の最低温度を調節するものである。しかし、温度調節機構は、この形態に限定されない。例えば、減圧排気時の断熱膨張による冷却強度は、チャンバの天板と基板との間のどの位置に溶媒捕集網が位置するかによって異なるので、基板の乾燥工程時に、基板の上下方向の位置を、載置台に設けられた昇降ピンにより調節することで、溶媒捕集網の最低温度を調節してもよい。また、溶媒捕集網の上下方向の位置を調節する機構を別途設け、この上下方向の位置調整により、溶媒捕集網の最低温度を調節してもよい。
実施例1は、図1の減圧乾燥装置1と同等の構成部材を有するものであり、インクジェット方式で溶液が塗布された2200mm×2500mmのガラス基板に対し減圧乾燥処理を行った。また、実施例1では、溶媒捕集部30の溶媒捕集網31として、2200mm×200mmのエキスパンドメタルを12枚並べて用いた。上記エキスパンドメタルの材質はステンレス(SUS316 BA)であり、網厚は0.1mm、開口率は65%、単位質量は0.61kg/mである。
また、実施例1では、溶媒捕集網31を基板Wとチャンバ10の天板12と間の中間位置に支持した。その際の支持構造は、チャンバ10の天板12の両端に設けられた脚部を有し、該脚部それぞれに設けられた、互いに平行となる長尺の支持部材(ステイ)を有し、該支持部材に各エキスパンドメタルをねじ止めにより固定するものである。
さらに、実施例1では、チャンバ10内の圧力が10Paになるまでドライポンプで減圧排気し、以降はターボ分子ポンプにより排気した。
比較例1は、溶媒捕集部30を有しておらず、溶媒捕集部30に係る構成以外の構成は実施例1と同様とした。
比較例2は、溶媒捕集網31と同様に溶媒を捕集する部材がパンチングメタルから成る。該パンチングメタルの水平方向の寸法は、実施例1と同様であるが、開口率は34%であり、厚さは0.2mmである。このパンチングメタルから成る溶媒捕集部材の体積は、エキスパンドメタルから成る溶媒捕集網31の体積を1とすると、3.6である。つまり、比較例2では、溶媒を捕集する部材の熱容量を実施例1より大きくした。溶媒を捕集する部材の構成を除き、比較例2と実施例1の構成は同様である。
比較例1では、基板の乾燥時間は、基板中央付近において103秒であり、基板の角部において92秒であった。
一方、実施例1では、基板の乾燥時間は、基板中央付近において、71秒であり、基板の角部において67秒であった。このように、実施例1では、比較例1に比べて、基板の乾燥時間が短くなり、また、同一基板内において乾燥時間が均一となることが認められた。なお、実施例1において、乾燥工程時における溶媒捕集網31の中央部分の最低温度は8℃であった。
それに対し、比較例2では、乾燥工程時における溶媒捕集部材の中央部分の最低温度は18℃であり、室温からの低下は認められた。しかし、基板の乾燥時間及びその均一性は比較例1と同様であった。このように、パンチングメタルから成る溶媒捕集部材による吸着効果は認められなかった。
図15〜図17は、実施例1での溶媒捕集網31の中央付近の温度及びチャンバ10内の圧力の時間変化を示す図である。図8〜図10において、横軸は時間、縦軸は温度または圧力である。
図15に示すように、実施例1では、溶媒捕集網31の中央付近の温度は、ドライポンプでの減圧排気に伴う断熱膨張により、8℃まで単調減少する。なお、8℃となったときのチャンバ10内の圧力は2×10Paである。
その後、溶媒捕集網31の中央付近の温度は、チャンバ10からの輻射熱等により、8℃から上昇していく。ただし、ドライポンプでの減圧排気からターボ分子ポンプでの減圧排気への切り替え後、チャンバ10内の圧力が、基板の温度すなわち室温温度における溶媒の蒸気圧(0.2Pa)に到達した時点T1でも、溶媒捕集網31の中央付近の温度は、当該時点T1でのチャンバ10内の圧力における露点すなわち室温以下の14℃である。
また、図16に示すように、基板上の溶媒の蒸発が完了する時点T2すなわちチャンバ10内の圧力が0.1Paになる時点まで、溶媒捕集網31の中央付近の温度は、各時点でのチャンバ10内の圧力における溶媒Sの露点以下に維持される。
基板W上の溶媒Sの蒸発が完了し、排気装置40のターボ分子ポンプでの排気を継続している間、図17に示すように、溶媒捕集網31の中央付近の温度は、チャンバ10の天板12からの輻射熱等により、上下動する。ただし、基板上の溶媒の蒸発が完了してから5分以内である排気開始から220秒後の時点T3で、溶媒捕集網31の温度がその時点T3のチャンバ10の圧力(0.03Pa)における溶媒の露点(15℃)以上である16℃まで上昇している。
図18は、実施例1での溶媒捕集網31の各部分における温度の時間変化及びチャンバ10内の圧力の時間変化を示す図である。図において、横軸は時間、縦軸は温度である。なお、以下の説明において、溶媒捕集網31の中央付近、長辺部分における中央付近、角部とはそれぞれ、図2(B)の点P11、P12、P13で示される部分である。
溶媒捕集網31の中央付近P11の温度は、図18に示すように、チャンバ10内の圧力が減圧されるとともに減少していく。
溶媒捕集網31の長辺部分における中央付近P12の温度や角部P13の温度も、チャンバ10内の圧力が減圧されるとともに減少していくが、これらの温度の減少率は、溶媒捕集網31の中央付近P11の温度に比べて小さく、特に、角部P13の温度は最低でも17℃である。このように溶媒捕集網31の温度が均一とならない理由としては、長辺部分における中央付近P12や角部P13付近では、減圧排気に伴う膨張率が小さく温度が低下しにくいことや、排気コンダクタンスの関係上、角部P13は長辺部分における中央付近P12に比べて膨張して冷えた空気が流れにくいこと等が考えられる。
上述のように溶媒捕集網31の温度分布が中央付近P11の温度が低く角部P13が高い分布である場合、減圧乾燥処理対象の基板の上面において気体状の溶媒の濃度が基板の中央付近で低くなり基板の角部において低くなるため、同一基板において、中心部分の方が角部に比べて乾燥時間が速くなり、乾燥時間が均一とならないと考えられる。しかし、実施例1では、前述のように乾燥時間が均一となっている。このように乾燥時間が均一となるのは、基板の乾燥時間は基板上面(上空)における気体状の溶媒の濃度が均一であっても、基板の中央付近に比べて基板の角部の方が速いからである。
本発明はインクジェット方式で溶液が塗布された基板に対し減圧乾燥を行う技術に有用である。
1…減圧乾燥装置
10…チャンバ
11…本体部
12…天板
13…底板
13a…排気口スリット
20…載置台
30…溶媒捕集部(基板乾燥用捕集部)
31…該溶媒捕集網
31…溶媒捕集網
31a…エキスパンドメタル
32…枠体
32a…耳部
33…脚部
40…排気装置
42…APCバルブ
50…赤外線放射体
50…当該赤外線放射体
70…別の溶媒捕集部(枯らし用捕集部)

Claims (21)

  1. チャンバ内に収納された基板上の溶液を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥装置であって、
    網状板からなると共に、前記基板から気化した前記溶液中の溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部を備え、
    前記溶媒捕集部は、
    前記チャンバ内において前記基板に対向するように設けられ、
    前記チャンバ内の圧力が、前記基板の温度における前記溶媒の蒸気圧以下に減圧された時点で、減圧に伴い断熱膨張された前記チャンバ内の気体により、当該溶媒捕集部の温度がその時点での前記チャンバの圧力における前記溶媒の露点以下にまで冷却され、
    前記基板上の溶液の溶媒の蒸発が完了するまでの間、当該溶媒捕集部の温度が各時点での前記チャンバ内の圧力における前記溶媒の露点以下に維持され、
    前記基板上の溶液の溶媒の蒸発が完了してから5分以内に、前記チャンバからの輻射熱により、当該溶媒捕集部の温度がその時点での前記チャンバの圧力における前記溶媒の露点以上となる、ことを特徴とする減圧乾燥装置。
  2. チャンバ内に収納された基板上の溶液を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥装置であって、
    網状板からなると共に、前記基板から気化した前記溶液中の溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部を備え、
    前記溶媒捕集部は、前記チャンバ内において前記基板に対向するように設けられ、
    前記網状板は、開口率が60%以上80%以下であり、1m当たりの熱容量が850J/K以下であり、
    前記チャンバを減圧状態にさせる排気装置に接続され、
    前記溶媒捕集部から前記排気装置に至る空間に設けられた別の溶媒捕集部と、を備え、
    前記別の溶媒捕集部は、前記溶媒捕集部に比べて低温とされ、前記溶媒捕集部に一時的に捕集された後に気化された溶媒を一時的に捕集する、ことを特徴とする減圧乾燥装置。
  3. 前記網状板は、その厚さが0.05mm以上0.2mm以下である、ことを特徴とする請求項2に記載の減圧乾燥装置。
  4. 前記網状板は、金属板を冷間切延することにより製造されるエキスパンドメタルである、ことを特徴とする請求項2または3に記載の減圧乾燥装置。
  5. 前記網状板は、ステンレス製である、ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の減圧乾燥装置。
  6. 前記基板から前記溶媒捕集部までの距離は、前記基板から前記チャンバの天板までの距離の40%以上60%以下である、ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の減圧乾燥装置。
  7. 前記チャンバ内に赤外線放射体が設けられている、ことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の減圧乾燥装置。
  8. チャンバ内に収納された基板上の溶液を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥装置であって、
    網状板からなると共に、前記基板から気化した前記溶液中の溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部を備え、
    前記溶媒捕集部は、前記チャンバ内において前記基板に対向するように設けられ、
    前記基板から前記溶媒捕集部までの距離は、前記基板から前記溶媒捕集部の上部の構造物までの距離の40%以上60%以下であり、
    前記チャンバを減圧状態にさせる排気装置に接続され、
    前記溶媒捕集部から前記排気装置に至る空間に設けられた別の溶媒捕集部と、を備え、
    前記別の溶媒捕集部は、前記溶媒捕集部に比べて低温とされ、前記溶媒捕集部に一時的に捕集された後に気化された溶媒を一時的に捕集する、ことを特徴とする減圧乾燥装置。
  9. 前記網状板は、その厚さが0.05mm以上0.2mm以下である、ことを特徴とする請求項8に記載の減圧乾燥装置。
  10. 前記網状板は、金属板を冷間切延することにより製造されるエキスパンドメタルである、ことを特徴とする請求項8または9に記載の減圧乾燥装置。
  11. 前記網状板は、ステンレス製である、ことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の減圧乾燥装置。
  12. 前記チャンバ内に赤外線放体が設けられていることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の減圧乾燥装置。
  13. 前記チャンバを減圧状態にさせる排気装置に接続され、
    前記溶媒捕集部から前記排気装置に至る空間に設けられた別の溶媒捕集部と、を備え、
    前記別の溶媒捕集部は、前記溶媒捕集部に比べて低温とされ、前記溶媒捕集部に一時的に捕集された後に気化された溶媒を一時的に捕集することを特徴とする請求項1に記載の減圧乾燥装置。
  14. チャンバを排気装置で減圧状態とすることにより前記チャンバ内に収納された基板上の溶液を乾燥させる減圧乾燥装置であって、
    前記チャンバ内において前記基板に対向するように設けられ、前記基板から気化した前記溶液中の溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部と、
    該溶媒捕集部から前記排気装置に至る空間に設けられた別の溶媒捕集部とを備え、
    前記別の溶媒捕集部は、前記溶媒捕集部に比べて低温とされ、前記溶媒捕集部に一時的に捕集された後に気化された溶媒を一時的に捕集することを特徴とする減圧乾燥装置。
  15. 前記別の溶媒捕集部は、当該別の溶媒捕集部を冷却する冷却部を有することを特徴とする請求項14に記載の減圧乾燥装置。
  16. 前記別の溶媒捕集部は、当該別の溶媒捕集部を加熱する加熱部を有することを特徴とする請求項14または15に記載の減圧乾燥装置。
  17. 前記排気装置は、ターボ分子ポンプを有し、
    前記別の溶媒捕集部は、前記ターボ分子ポンプからの輻射熱で加熱されることを特徴とする請求項14に記載の減圧乾燥装置。
  18. 前記溶媒捕集部が配設された空間と前記排気装置が設けられた空間との間を開閉自在に塞ぐ塞ぎ部材を備え、
    前記別の溶媒捕集部は、前記塞ぎ部材の下流に設けられていることを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載の減圧乾燥装置。
  19. 前記塞ぎ部材は、自動圧力制御バルブであり、前記チャンバと前記排気装置とを接続する排気管に設けられていることを特徴とする請求項18に記載の減圧乾燥装置。
  20. 前記チャンバは、前記基板を載置する載置台を底板上の中央に有し、
    前記塞ぎ部材は、前記載置台と前記チャンバの側壁との間を開閉自在に塞ぐシャッターを有することを特徴とする請求項18に記載の減圧乾燥装置。
  21. 前記チャンバは、前記基板を載置する載置台を底板上の中央に有し、
    前記塞ぎ部材は、前記載置台と前記チャンバの天板との間を開閉自在に塞ぐシャッターを有することを特徴とする請求項18に記載の減圧乾燥装置。
JP2017080486A 2016-09-30 2017-04-14 減圧乾燥装置 Active JP6909617B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
TW106131914A TWI666418B (zh) 2016-09-30 2017-09-18 減壓乾燥裝置
US15/719,166 US10615378B2 (en) 2016-09-30 2017-09-28 Reduced-pressure drying apparatus
KR1020170126324A KR102023817B1 (ko) 2016-09-30 2017-09-28 감압 건조 장치
CN201710899704.0A CN107878044B (zh) 2016-09-30 2017-09-28 减压干燥装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016192668 2016-09-30
JP2016192668 2016-09-30

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018059697A JP2018059697A (ja) 2018-04-12
JP6909617B2 true JP6909617B2 (ja) 2021-07-28

Family

ID=61907583

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017080486A Active JP6909617B2 (ja) 2016-09-30 2017-04-14 減圧乾燥装置

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6909617B2 (ja)
KR (1) KR102023817B1 (ja)
TW (1) TWI666418B (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6920131B2 (ja) * 2017-08-10 2021-08-18 東京エレクトロン株式会社 減圧乾燥装置
JP7076135B2 (ja) 2018-07-27 2022-05-27 株式会社Joled 有機el表示パネルの製造方法
JP7285125B2 (ja) * 2019-04-16 2023-06-01 東京エレクトロン株式会社 減圧乾燥装置
JP7214550B2 (ja) * 2019-04-19 2023-01-30 株式会社Screen Spe テック 乾燥装置
JP2020190405A (ja) * 2019-05-17 2020-11-26 東京エレクトロン株式会社 減圧乾燥装置及び溶媒捕集部材の製造方法
JP7316095B2 (ja) * 2019-05-21 2023-07-27 東京エレクトロン株式会社 減圧乾燥装置
CN111129360B (zh) * 2019-12-25 2023-02-07 Tcl华星光电技术有限公司 一种真空干燥装置及显示基板干燥方法
KR102623465B1 (ko) * 2020-11-27 2024-01-10 주식회사 선익시스템 기판 감압 건조 장치
WO2022234716A1 (ja) * 2021-05-06 2022-11-10 東京エレクトロン株式会社 減圧乾燥装置、減圧乾燥処理方法、減圧乾燥処理の所要時間の短縮方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS571782A (en) 1980-06-03 1982-01-06 Canon Inc Ink recovering apparatus for ink jet recorder
JP3874799B2 (ja) * 1995-09-18 2007-01-31 スリーエム カンパニー 被覆基材乾燥システム
JP4074593B2 (ja) * 2004-02-26 2008-04-09 東京エレクトロン株式会社 減圧乾燥装置及び減圧乾燥方法
JP4940857B2 (ja) 2006-09-26 2012-05-30 凸版印刷株式会社 有機機能性素子の製造方法
JP2010062115A (ja) * 2008-09-08 2010-03-18 Canon Inc 機能性膜の製造方法
JP2010169308A (ja) * 2009-01-22 2010-08-05 Panasonic Corp 乾燥装置
KR101994874B1 (ko) * 2013-03-14 2019-07-01 도쿄엘렉트론가부시키가이샤 건조 장치 및 건조 처리 방법
JP6328434B2 (ja) * 2013-03-14 2018-05-23 東京エレクトロン株式会社 乾燥装置及び乾燥処理方法
JP6114636B2 (ja) * 2013-06-06 2017-04-12 東京エレクトロン株式会社 乾燥装置及び乾燥処理方法
JP6189161B2 (ja) * 2013-09-27 2017-08-30 東京エレクトロン株式会社 乾燥装置、乾燥処理方法、基板ホルダ及び溶媒吸着シート

Also Published As

Publication number Publication date
KR102023817B1 (ko) 2019-11-04
TW201823652A (zh) 2018-07-01
JP2018059697A (ja) 2018-04-12
TWI666418B (zh) 2019-07-21
KR20180036593A (ko) 2018-04-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6909617B2 (ja) 減圧乾燥装置
JP6328434B2 (ja) 乾燥装置及び乾燥処理方法
KR101994874B1 (ko) 건조 장치 및 건조 처리 방법
CN107878044B (zh) 减压干燥装置
JPWO2008153039A1 (ja) 凍結真空乾燥装置、凍結真空乾燥方法
JP7316095B2 (ja) 減圧乾燥装置
US20080168777A1 (en) Cryostat for Transporting Cooled Equipment at a Cryogenic Temperature
KR102474469B1 (ko) 감압 건조 장치
JP6920131B2 (ja) 減圧乾燥装置
JP7285125B2 (ja) 減圧乾燥装置
JP2013206927A (ja) 基板乾燥装置
JP2020190405A (ja) 減圧乾燥装置及び溶媒捕集部材の製造方法
WO2022234716A1 (ja) 減圧乾燥装置、減圧乾燥処理方法、減圧乾燥処理の所要時間の短縮方法
JP2022172679A (ja) 減圧乾燥装置、減圧乾燥処理方法、減圧乾燥処理の所要時間の短縮方法
JP2022172691A (ja) 減圧乾燥装置、減圧乾燥処理方法、減圧乾燥処理の所要時間の短縮方法
JP2022172684A (ja) 減圧乾燥装置、減圧乾燥処理方法、減圧乾燥処理の所要時間の短縮方法
JP2021167696A (ja) 減圧乾燥装置及び減圧乾燥方法
JP4385394B2 (ja) クライオスタット
JP2022170308A (ja) 減圧乾燥装置及び減圧乾燥処理方法
JP2011196575A (ja) 光学素子の蒸気乾燥装置および方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190201

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210324

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210608

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210705

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6909617

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250