JP2022172684A - 減圧乾燥装置、減圧乾燥処理方法、減圧乾燥処理の所要時間の短縮方法 - Google Patents

減圧乾燥装置、減圧乾燥処理方法、減圧乾燥処理の所要時間の短縮方法 Download PDF

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Junji Oikawa
俊文 那須
Toshifumi Nasu
稔彦 植田
Toshihiko Ueda
順 佐竹
Jun Satake
輝幸 林
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Abstract

【課題】減圧乾燥処理における後処理工程の所要時間を短縮し、減圧乾燥処理全体の所要時間を短縮する。【解決手段】基板上の溶液を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥装置であって、減圧可能に構成され、前記基板を収容する処理容器と、排気装置に接続され、前記処理容器内を排気する排気ラインと、前記基板から気化し前記処理容器内に放出された前記溶液中の溶媒を捕集する溶媒捕集部と、物体が前記排気ラインを介して前記排気装置に進入することを防止する保護網と、前記溶媒捕集部を用いた減圧乾燥処理に伴い前記基板から気化し前記保護網に吸着された前記溶媒の、前記保護網からの脱離を促進させる促進機能と、を備える。【選択図】図10

Description

本開示は、減圧乾燥装置、減圧乾燥処理方法、減圧乾燥処理の所要時間の短縮方法に関する。
特許文献1には、基板に塗布された有機材料を減圧乾燥する減圧乾燥装置が開示されている。
特許文献2には、載置台に載置された基板と対向するように設けられ、基板から気化した溶液中の溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部を備える減圧乾燥装置が開示されている。
特開2017-73338号公報 特開2020-190405号公報
本開示にかかる技術は、減圧乾燥処理における後処理工程の所要時間を短縮し、減圧乾燥処理全体の所要時間を短縮する。
本開示の一態様は、基板上の溶液を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥装置であって、減圧可能に構成され、前記基板を収容する処理容器と、排気装置に接続され、前記処理容器内を排気する排気ラインと、前記基板から気化し前記処理容器内に放出された前記溶液中の溶媒を捕集する溶媒捕集部と、物体が前記排気ラインを介して前記排気装置に進入することを防止する保護網と、前記溶媒捕集部を用いた減圧乾燥処理に伴い前記基板から気化し前記保護網に吸着された前記溶媒の、前記保護網からの脱離を促進させる促進機能と、を備える。
本発明によれば、減圧乾燥処理における後処理工程の所要時間を短縮し、減圧乾燥処理全体の所要時間を短縮することができる。
第1形態に係る減圧乾燥装置内を概略的に示す横断面図である。 図1のA-A線断面図である。 図1のB-B線断面図である。 溶媒捕集部の部分拡大平面図である。 図1の減圧乾燥装置を用いた減圧乾燥処理の一例を説明するためのフローチャートである。 図1の減圧乾燥装置の溶媒捕集部に対し輻射率向上処理を施さなかった場合における、チャンバ内の圧力の時間変化を示す図である。 第1形態の変形例にかかる減圧乾燥装置の概略構成を示す横断面図である。 第1形態の他の変形例にかかる減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。 第1形態の他の変形例にかかる減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。 第2形態にかかる減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。 第2形態の変形例にかかる減圧乾燥装置が有する保護網の部分拡大平面図である。 保護網からの溶媒の脱離を促進させる促進機能を担う加熱部の他の例を説明するための部分拡大断面図である。 保護網からの溶媒の脱離を促進させる促進機能を担う加熱部の他の例を説明するための部分拡大断面図である。 第3形態にかかる減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。 ガス噴射部の他の例を説明するための断面図である。 溶媒捕集部を冷却する冷却部の他の例を説明するための断面図である。
従来、有機EL(Electroluminescence)の発光を利用した発光ダイオードである有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)が知られている。かかる有機発光ダイオードを用いた有機ELディスプレイは、薄型軽量かつ低消費電力であるうえ、応答速度や視野角、コントラスト比の面で優れているといった利点を有していることから、次世代のフラットパネルディスプレイ(FPD)として近年注目されている。
有機発光ダイオードは、基板上の陽極と陰極の間に有機EL層を挟んだ構造を有している。有機EL層は、例えば陽極側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層が積層されて形成される。これらの有機EL層の各層(特に正孔注入層、正孔輸送層及び発光層)を形成するにあたっては、例えばインクジェット方式で有機材料の液滴を基板上に離散的に配置された各色の画素に対応するバンクに吐出することにより、バンク内にその画素の有機材料の膜を塗布するといった方法が用いられる。
インクジェット方式で基板上に吐出された有機材料中には、多量の溶媒が含まれている。そのため、溶媒を除去することを目的として、基板上の溶液を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥処理が行われている。この減圧乾燥処理は、減圧可能に構成された処理容器や処理容器内に設けられた基板の載置台等を有する減圧乾燥装置を用いて行われる(特許文献1、2参照)。
また、特許文献2に開示の減圧乾燥装置では、載置台に載置された基板から気化した溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部を処理容器内に設けることで、基板上の溶媒を除去する溶媒除去工程、つまり、基板上の溶液を乾燥させる基板乾燥工程の所要時間を短縮させ、減圧乾燥処理の所要時間を短縮させている。
ところで、減圧乾燥処理全体の所要時間を短縮することが求められている。上述の溶媒捕集部を設けること等による基板乾燥工程の所要時間の短縮化は、減圧乾燥処理全体の所要時間の短縮に繋がるが、減圧乾燥処理には、上記基板乾燥工程後に、種々の工程(以下、後処理工程)があり、この後処理工程も、減圧乾燥処理の所要時間に影響がある。なお、後処理工程では、例えば、基板乾燥工程時に減圧乾燥装置の構成部材(例えば処理容器)に吸着された溶媒の脱離等が行われる。
本開示にかかる技術は、減圧乾燥処理における後処理工程の所要時間を短縮し、減圧乾燥処理全体の所要時間を短縮するものである。
以下、本開示にかかる減圧乾燥装置、減圧乾燥方法及び減圧乾燥処理の所要時間の短縮方法を、図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[第1形態]
<減圧乾燥装置>
図1~図3は、第1形態にかかる減圧乾燥装置の概略構成を示す図であり、図1は減圧乾燥装置内を概略的に示す横断面図、図2及び図3はそれぞれ、図1のA-A線断面図及びB-B線断面図である。図4は、後述の溶媒捕集部の部分拡大平面図である。
減圧乾燥装置1は、基板G上に例えばインクジェット方式で塗布された溶液を、減圧状態で乾燥するものである。また、減圧乾燥装置1の処理対象の基板Gは、例えば、有機ELディスプレイ用のガラス基板であり、その平面サイズが2.2m×2.7mである。
処理対象の基板Gに塗布されている溶液は、溶質と溶媒からなり、減圧乾燥処理の対象となる成分は主に溶媒である。溶媒に含まれる有機化合物としては、高沸点のものが多く、例えば、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(1,3-dimethyl-2-imidazolidinone、沸点220℃、融点8℃)、4-tert-ブチルアニソール(4-tert-Butylanisole、沸点222℃、融点18℃)、Trans-アネトール(Trans-Anethole、沸点235℃、融点20℃)、1,2-ジメトキシベンゼン(1,2-Dimethoxybenzene、沸点206.7℃、融点22.5℃)、2-メトキシビフェニル(2-Methoxybiphenyl、沸点274℃、融点28℃)、フェニルエーテル(Phenyl Ether、沸点258.3℃、融点28℃)、2-エトキシナフタレン(2-Ethoxynaphthalene、沸点282℃、融点35℃)、ベンジルフェニルエーテル(Benzyl Phenyl Ether、沸点288℃、融点39℃)、2,6-ジメトキシトルエン(2,6-Dimethoxytoluene、沸点222℃、融点39℃)、2-プロポキシナフタレン(2-Propoxynaphthalene、沸点305℃、融点40℃)、1,2,3-トリメトキシベンゼン(1,2,3-Trimethoxybenzene、沸点235℃、融点45℃)、シクロヘキシルベンゼン(cyclohexylbenzene、沸点237.5℃、融点5℃)、ドデシルベンゼン(dodecylbenzene、沸点288℃、融点-7℃)、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン(1,2,3,4-tetramethylbenzene、沸点203℃、融点76℃)等を挙げることができる。これらの高沸点有機化合物は、2種以上が組み合わされて溶液中に配合されている場合もある。
減圧乾燥装置1は、図1~図3に示すように、処理容器としてのチャンバ10を備えている。
チャンバ10は、減圧可能に構成された容器であり、例えばステンレス等の金属材料から形成される。チャンバ10には、基板Gが収容される。チャンバ10の内部には、基板Gが載置される載置台20や、後述の溶媒捕集部50が設けられている。また、チャンバ10は、側壁11と、天板12と、底板13と、を有する。
側壁11は、後述の溶媒捕集部50の厚さ方向(図1のZ方向)からみて、載置台20を囲繞するように設けられている。側壁11は、例えば角筒状を成し、上下に開口を形成する。
側壁11には、図3に示すようにX方向負側に、基板Gをチャンバ10に対して搬入出するための搬入出口11aが設けられている。搬入出口11aは、ゲートバルブ14により開閉可能となっている。ゲートバルブ14は後述の制御部Uにより制御される。
天板12は、側壁11により形成される上側の開口を塞ぐように、側壁11の上側に取り付けられている。
底板13は、側壁11により形成される下側の開口を塞ぐように、側壁11の下側に取り付けられている。底板13の上面中央には載置台20が配設されている。載置台20に対しては、載置台20と外部の搬送装置との間で基板Gを受け渡すためのリフタ(図示せず)が設けられている。このリフタは昇降機構(図示せず)により自在に昇降可能に構成されている。上記昇降機構は後述の制御部Uにより制御される。
また、底板13には、図1に示すように、載置台20の外周に沿って、複数の排気口13a、13bが設けられている。本例では、排気口13aは、載置台20のY方向負側の長辺に沿って2つ設けられ、載置台20のY方向正側の長辺に沿って2つ設けられている。また、本例では、排気口13bは、載置台20のX方向負側の短辺に沿って3つ設けられ、載置台20のX方向正側の短辺に沿って3つ設けられている。
排気口13aには、図2に示すように、チャンバ10内を減圧するための排気機構31が排気管32を介して接続されている。排気機構31は、チャンバ10内を排気するドライポンプ31aや、ドライポンプ31aによる排気の開始/停止を切り換える切換弁(図示せず)等を有する。排気口13a、排気機構31(具体的には排気機構31における排気管32とドライポンプ31aとを接続する部分)及び排気管32が、排気ライン30を構成する。排気ライン30は、ドライポンプ31aに接続され、チャンバ10内を排気するものである。
排気ライン30には保護網33が設けられている。保護網33は、物体が排気ライン30を介してドライポンプ31aに侵入することを防止し、ドライポンプ31aを保護する部材であり、網状に形成されている。保護網33の材料には例えばステンレスが用いられる。本例では、保護網33は、排気口13aのチャンバ10側端を覆うように設けられている。
排気口13bには、図3に示すように、排気機構41が排気管42を介して接続されている。排気機構41は、排気機構31によって減圧されたチャンバ10内をさらに減圧するものであり、チャンバ10内をさらに排気するターボ分子ポンプ41aや、ターボ分子ポンプ41aによる排気の開始/停止を切り換える切換弁(図示せず)等を有する。排気口13b、排気機構41(具体的には排気機構41における排気管42とターボ分子ポンプ41aとを接続する部分)及び排気管42が、排気ライン40を構成する。排気ライン40は、ターボ分子ポンプ41aに接続され、チャンバ10内を排気するものである。
排気ライン40には保護網43が設けられている。保護網43は、排気ライン40を介してターボ分子ポンプ41aに物体が侵入することを防止し、ターボ分子ポンプ41aを保護する部材であり、網状に形成されている。保護網43の材料には例えばステンレスが用いられる。本例では、保護網43は、排気口13bのチャンバ10側端を覆うように設けられている。
なお、保護網33、43は、基板Gにおける欠陥の原因となるパーティクル等の小さなものを捉えるものではなく、長さや直径等が例えば1mm以上の比較的大きな物体(例えばネジ等)を捉えるものである。
また、後述の溶媒捕集部50も、保護網33、43と同様、網状に形成されているが、保護網33及び保護網43の方が、網目部分の開口及び開口率が大きく、保護網33,43の開口は、例えば、1~5mm角である。
排気機構31、41は後述の制御部Uにより制御される。また、排気機構31、41による排気の調節等のため、チャンバ10内の圧力を測定する圧力計(図示せず)がチャンバ10に設けられている。
さらに、チャンバ10の内部には、溶媒捕集部50が設けられている。
溶媒捕集部50は、載置台20に載置された基板Gから気化した溶液中の溶媒を一時的に捕集するものである。溶媒捕集部50は、チャンバ10内における、載置台20に載置された基板Gの上方に、当該基板Gと対向するように設けられている。具体的には、溶媒捕集部50は、チャンバ10内において、載置台20に載置された基板Gと正対するように、すなわち、載置台20に載置された基板Gと略平行となるように、設けられている。
溶媒捕集部50は、網状の部材であり、より具体的には網板状の部材であり、図4に示すように、当該溶媒捕集部50の厚さ方向(図4のZ方向)に貫通する貫通孔50aを複数有する。貫通孔50aは、平面視(図3のZ方向視)において、溶媒捕集部50の全面に亘って、格子状に形成されている。
溶媒捕集部50の材料には、熱伝導性の良い材料、例えばステンレス等の金属材料が用いられる。また、溶媒捕集部50は薄く形成され、例えば、その厚さが0.05mm~0.2mmとなるように形成される。平面視において、溶媒捕集部50の寸法は、載置台20の寸法と略同一である。溶媒捕集部50は、その開口率が60%~90%と大きく、上述のように厚さが0.05~0.2mmであり薄いため、熱容量が小さい。したがって、チャンバ10内が減圧されチャンバ10内の気体が断熱膨張により冷却されたときに、その冷却された気体により、溶媒捕集部50は冷却される。なお、溶媒捕集部50の開口率は、(平面視における溶媒捕集部50の貫通孔50aの総面積)/(平面視における溶媒捕集部50の全面積)で与えられる。
さらに、溶媒捕集部50は、当該溶媒捕集部50の輻射率を向上させるための加工処理(以下、輻射率向上処理ということある。)が施されている。
輻射率向上処理は、例えば溶媒捕集部50を黒色化する処理である。より具体的には、例えば、溶媒捕集部50がステンレスから形成される場合、ステンレスを酸化する処理である。
また、輻射率向上処理は、金属材料から形成された溶媒捕集部50の表面に対する粗し処理である。粗し処理を施すことにより、金属材料から形成された溶媒捕集部50の表面に細かな凹凸が無数形成されるため、溶媒捕集部50の輻射率を高くすることができる。粗し処理は、例えばサンドペーパーを用いて行われる。
溶媒捕集部50は、例えば、ステンレス等から成る板材に、レーザ加工やプラズマエッチング等による孔あけ加工で、貫通孔50aを多数形成し、その後、輻射率向上処理を施すことで、作製される。なお、複数枚の網板状の部材を結合させて、1つの溶媒捕集部50としてもよい。
溶媒捕集部50は、図2及び図3に示すように、複数の支持部材60を介して底板13に支持されている。
各支持部材60は、鉛直方向に延びる部材であり、先端において溶媒捕集部50を支持する。各支持部材60の基端は、当該支持部材60を昇降させるための昇降機構(図示せず)に接続されている。昇降機構は、支持部材60の昇降のための駆動力を発生するモータ等の駆動源(図示せず)を有する。支持部材60を昇降させることにより、溶媒捕集部50を図2及び図3において実線で示される第1高さ位置と、第1高さ位置より高く図2及び図3において点線で示される第2高さ位置との間で、溶媒捕集部50を昇降させることができる。上記第1高さ位置(以下、「第1位置」と省略)は、基板G上から溶媒を除去するときの位置であり、上記第2位置(以下、「第2位置」と省略)は、載置台20と外部の搬送装置との間で基板Gを受け渡すときの位置である。
なお、支持部材60に対する昇降機構は後述の制御部Uにより制御される。
また、減圧乾燥装置1は、制御部Uを有する。この制御部は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、減圧乾燥装置1における減圧乾燥処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な非一時的な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから上記制御部にインストールされたものであってもよい。プログラムの一部または全ては専用ハードウェア(回路基板)で実現してもよい。
<減圧乾燥処理>
続いて、減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理の一例を説明するためのフローチャートである。図6は、減圧乾燥装置1の溶媒捕集部50に対し輻射率向上処理を施さなかった場合における、チャンバ10内の圧力の時間変化を示す図である。図6において、横軸は時間であり、縦軸は、チャンバ10内の圧力である。圧力については対数スケールで示されている。なお、以下の減圧乾燥処理は、制御部Uの制御の下、行われる。また、以下の例では、減圧乾燥処理の開始時において、基板Gが、チャンバ10内に既に搬入され、載置台20に載置されているものとする。
(S1:基板乾燥工程)
まず、載置台20に載置された基板G上の溶液が乾燥され、すなわち、上記基板G上の溶液中の溶媒が除去される。
具体的には、図6に示すように、チャンバ10内が減圧され、載置台20に載置された基板G上の溶媒が減圧状態で除去されていく。それと共に、チャンバ10内の減圧により、チャンバ10内の気体が断熱膨張し冷却され、当該気体により溶媒捕集部50が冷却され、当該溶媒捕集部50により、載置台20に載置された基板Gから気化した溶媒が一時的に捕集される。以下、この工程をより具体的に説明する。なお、この工程において、溶媒捕集部50の位置は、前述の第1位置である。
まず、ドライポンプ31aが作動されチャンバ10内が減圧排気される。ドライポンプによる減圧排気はチャンバ10内の圧力が例えば10Paとなるまで行われる。
この減圧排気の際、断熱膨張によりチャンバ10内の気体は冷却される。このようにチャンバ10内の気体が冷却されたとしても、基板Gの温度は、該基板Gの熱容量が大きいこと等から、この冷却された気体の影響を受けず、室温の23℃からほとんど変化しない。しかし、熱容量の小さい溶媒捕集部50は、減圧に伴って、断熱膨張により冷却された気体によって、冷却される。
その後、ターボ分子ポンプ41aが作動され、さらにチャンバ10内が減圧排気される。この減圧排気に伴って、溶媒捕集部50は前述の断熱膨張により冷却された気体によりさらに冷却され、その時点でのチャンバ10内の圧力における露点以下(例えば8~15℃)となる。
また、減圧排気によりチャンバ10の内部圧力が、基板G上の溶媒の蒸気圧を下回ると、基板G上の溶媒の気化が促進される。
気化した溶媒は、上述のようにして冷却された溶媒捕集部50に捕集され吸着される。このように捕集することにより、チャンバ10内の気体状の溶媒の濃度は低く維持される。したがって、基板G上の溶媒を速く除去することができる。
なお、この工程で気化した基板G上の溶媒は、溶媒捕集部50のみに吸着されるのではなく、チャンバ10(具体的にはチャンバ10の内壁面や保護網33、43)にも吸着される。
(S2:溶媒捕集部50及びチャンバ10の乾燥工程(枯らし工程))
基板G上の溶媒の除去が完了した後、溶媒捕集部50が昇温され、当該溶媒捕集部50が乾燥されると共に、チャンバ10が乾燥される。すなわち、基板G上の溶媒の除去が完了した後、溶媒捕集部50が昇温され当該溶媒捕集部50に吸着された溶媒が当該溶媒捕集部50から脱離されると共にチャンバ10に吸着された溶媒が当該チャンバ10から脱離される。
この工程は、例えば、溶媒捕集部50を天板12に近い第2位置に移動させつつ、ドライポンプ31aによる排気及びターボ分子ポンプ41aによる排気を継続することで行われる。これら排気を継続することで、例えば、図6に示すように、まず溶媒捕集部50の乾燥が完了した時T1にチャンバ10内の圧力が低下し、チャンバ10の乾燥が完了した時T2にチャンバ10内の圧力が低下する。したがって、例えば、チャンバ10内の圧力が、予め定められた、チャンバ10の乾燥が完了するときの圧力となったときに、このステップS2の枯らし工程は、終了となる。
このステップS2の枯らし工程において、上述した例と異なり溶媒捕集部50に輻射率向上処理が施されていない場合でも、溶媒捕集部50は、天板12からの輻射熱や基板Gからの輻射熱等を受けて、徐々に昇温する。ただし、溶媒捕集部50に輻射率向上処理を施しておくことで、天板12からの輻射熱等による溶媒捕集部50の昇温率が高くなる。したがって、溶媒捕集部50から溶媒を除去するのに要する時間を短縮することができ、ステップS2の枯らし工程の所要時間を短縮することができる。
(ステップS3:待機工程)
次のステップS4のパージ工程が開始されるまでの間、減圧乾燥装置1は待機状態とされる。この工程の間も、ドライポンプ31aによる排気及びターボ分子ポンプ41aによる排気は継続される。また、この工程でも溶媒捕集部50の温度は徐々に昇温する。
なお、この工程は省略してもよい。
(ステップS4:大気開放工程)
待機工程が終了すると、チャンバ10内の減圧状態が解除され、具体的には、チャンバ10内が大気圧に戻される。
より具体的には、例えば、ドライポンプ31aによる排気及びターボ分子ポンプ41aによる排気が停止されると共に、チャンバ10内に大気ガスが導入され、すなわち、チャンバ10内がパージされ、図6に示すようにチャンバ10内が大気圧に戻される。チャンバ10内が大気圧に戻る過程において、断熱圧縮によりチャンバ10内の気体が加熱され、この加熱された気体により、溶媒捕集部50は、昇温し、減圧乾燥処理開始時(具体的にはチャンバ10内の減圧を開始する時)より高温となる。
(ステップS5:溶媒捕集部50の冷却)
その後、溶媒捕集部50を減圧乾燥処理開始時の温度まで冷却させる。具体的には、例えば、溶媒捕集部50を放冷させる。
(ステップS6:基板Gの搬出入)
溶媒捕集部50の冷却後、基板Gがチャンバ10から搬出されると共に、次の基板Gが搬入される。
具体的には、溶媒捕集部50が前述の第2位置にある状態で、搬入出口11aが開状態とされ、載置台20に対して設けられたリフタ(図示せず)により、載置台20から外部の搬送装置に、乾燥された基板Gが受け渡される。次いで、上記搬送装置により基板Gがチャンバ10から搬出される。その後、上記搬送装置により次の基板Gがチャンバ10内搬入される。続いて、リフタにより、次の基板Gが、上記搬送装置から載置台20に受け渡され、載置台20上に載置される。そして、溶媒捕集部50が前述の第1位置に下降されると共に、搬入出口11aが閉状態とされる。
これで、1枚の基板Gに対する、減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理が完了し、続いて、次の基板Gに対して、上述と同様に減圧乾燥処理が行われる。
なお、ステップS5の溶媒捕集部50の冷却とステップS6の基板Gの搬出入とは並行して行ってもよい。
また、ステップS5において溶媒捕集部50を冷却する理由は以下の通りである。次の基板Gに対する減圧乾燥処理開始時(具体的にはチャンバ10内の減圧を開始する時)の溶媒捕集部50の温度が高いと、次の基板Gに対するステップS1の基板乾燥工程で、溶媒捕集部50の温度を充分に下げることができず、基板G上の溶液を迅速に乾燥させることができないから、である。
以上のように、第1形態では、溶媒捕集部50が、輻射率向上処理が施されている。
そのため、ステップS1の基板乾燥工程後のステップS2の枯らし工程において、溶媒捕集部50の温度を早期に昇温させることができ、ステップS1の基板乾燥工程で溶媒捕集部50に吸着された溶媒を、当該溶媒捕集部50から速く脱離させることができる。したがって、ステップS2の枯らし工程の所要時間を短縮することができる。よって、減圧乾燥処理工程における、ステップS2の枯らし工程を含むステップS1の基板乾燥工程より後の工程(すなわち後処理工程)の所要時間を、短縮することができ、減圧乾燥処理全体の所要時間を短縮することができる。
言い換えると、第1形態では、溶媒捕集部50の輻射率を向上させて、次の基板Gに対する減圧乾燥処理を開始するまでの時間すなわち後処理工程の時間を短縮させている。
なお、溶媒捕集部50を作製するにあたり、輻射率を向上させるための加工処理は、溶媒捕集部50全体に均一に行ってもよいし、溶媒捕集部50を平面視で複数の領域に区画したときに、領域毎に加工度合いが互いに異なってもよい。
例えば、溶媒捕集部50において、チャンバ10内の断熱膨張した気体により最も冷却される領域は、平面視で中央の領域であるため、当該中央の領域の輻射率向上処理による加工度合いを、他の領域に比べて、大きくしてもよい。
[第1形態の変形例]
図7は、第1形態の変形例にかかる減圧乾燥装置の概略構成を示す横断面図である。
溶媒捕集部50の材料には、基本的に、ステンレス等、導電性材料が用いられる。このように、溶媒捕集部50が導電性材料から形成されている場合、図7に示すように、溶媒捕集部50に通電し当該溶媒捕集部50を加熱する通電部70を設けてもよい。
通電部70は、例えば、溶媒捕集部50に電力を供給する電源71と、電源71と溶媒捕集部50とを接続する配線72とを有する。
このように通電部70を設け、ステップS2の枯らし工程において溶媒捕集部50に通電することで、当該枯らし工程における溶媒捕集部50の昇温率をさらに高くし、溶媒捕集部50からの溶媒の脱離を促進させることができる。したがって、ステップS2の枯らし工程の所要時間をさらに短縮することができる。
図8は、第1形態の他の変形例にかかる減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。
図8に示すように、チャンバ10内に熱媒流路としての熱媒管80を設けてもよい。熱媒管80は、溶媒捕集部50と天板12との間に設けられ、より具体的には、第2位置とされた溶媒捕集部50と天板12との間に設けられる。また、熱媒管80は、平面視で、溶媒捕集部50の略全体を覆うように設けられる。そして、熱媒管80には、チャンバ10の外部に設けられたチラーユニット(図示せず)から供給された高温の熱媒が通流する。
このような熱媒管80を設け、ステップS2の枯らし工程において熱媒管80に高温の熱媒を流すことで、当該枯らし工程における溶媒捕集部50の昇温率をさらに高くし、溶媒捕集部50からの溶媒の脱離を促進させることができる。したがって、ステップS2の枯らし工程の所要時間をさらに短縮することができる。
図9は、第1形態の他の変形例にかかる減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。
図9に示すように、溶媒捕集部50に赤外線を照射し当該溶媒捕集部50を加熱する赤外線照射部としての赤外線光源90を設けてもよい。赤外線光源90は例えばハロゲンランプである。赤外線光源90は、例えば、溶媒捕集部50の側方に設けられ、赤外線光源90の光軸は、水平とされる。また、赤外線光源90は、例えば、X方向正側とX方向負側の両方に設けられる。なお、赤外線光源90は、X方向正側とX方向負側の両方それぞれに、Y方向に沿って複数設けられていてもよい。
このような赤外線光源90を設け、ステップS2の枯らし工程において赤外線光源90から溶媒捕集部50に赤外線を照射することで、当該枯らし工程における溶媒捕集部50の昇温率をさらに高くし、溶媒捕集部50からの溶媒の脱離を促進させることができる。したがって、ステップS2の枯らし工程の所要時間をさらに短縮することができる。
ステップS2の枯らし工程では、上述のように、天板12からの輻射熱により溶媒捕集部50は昇温する。したがって、ステップS2の枯らし工程における溶媒捕集部50の昇温率をさらに高くするため、天板12の少なくとも内壁面を黒色化処理してもよい。天板12の黒色化処理は、例えば天板12の材料にアルミが用いられる場合、アルマイト処理である。
また、以上の例では、ステップS2の枯らし工程における溶媒捕集部50の位置を第2の位置とした。第2位置は、前述のように、載置台20と外部の搬送装置との間で基板Gを受け渡すときの位置であり、溶媒捕集部50の昇温に最適な位置でない場合もある。この場合は、ステップS2の枯らし工程における溶媒捕集部50の位置を、例えば、第2位置よりも天板12に近い位置としてもよい。これにより、天板12からの輻射熱による溶媒捕集部50の昇温をさらに促進させるようにしてもよい。
[第2形態]
<減圧乾燥装置>
図10は、第2形態にかかる減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。
第2形態にかかる減圧乾燥装置は、溶媒捕集部50に、第1形態と同様に輻射率向上処理が施されていてもよいし施されていなくてもよく、また、上述の第1形態の変形例にかかる構成の少なくともいずれか1つが設けられていてもよい。
前述のように、第1形態にかかる減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理において、基板Gから気化した溶媒は、溶媒捕集部50のみに吸着されるのではなく、チャンバ10の内壁面や保護網33、43にも吸着される。特に、ドライポンプ31aに対する保護網33は、チャンバ10内が減圧されたときに断熱膨張した気体が大量に通過するため、他の部分に比べて低温となるので、溶媒の吸着量も多い。また、保護網33は、ステンレスという比較的熱伝導率が高い材料から形成されており、昇温されにくい。
そこで、図10の減圧乾燥装置1aは、第1形態にかかる減圧乾燥装置と異なり、保護網から溶媒の脱離を促進させる促進機能を備え、具体的には、ドライポンプ31aに対する保護網からの脱離を促進させる促進機能を備える。
図10の例では、減圧乾燥装置1aは、ドライポンプ31aに対する保護網100がステンレスより熱伝導率が高い材料から形成されることにより、上記促進機能を備える。
ステンレスより熱伝導率が高い材料とは例えばアルミニウム、銅、銀等である。
<減圧乾燥処理>
図10の減圧乾燥装置1aを用いた減圧乾燥処理は、図1~図3に示した減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理と同様であり、前述のステップS1~ステップS6を含む。
以上のように、第2形態では、減圧乾燥装置1aが、保護網100から溶媒の脱離を促進させる促進機能を備える。そのため、ステップS2の枯らし工程において、保護網33から溶媒を迅速に除去させることができる。したがって、ステップS2の枯らし工程の所要時間を短縮することができる。よって、減圧乾燥処理における、ステップS2の枯らし工程を含む後処理工程の所要時間を、短縮することができ、減圧乾燥処理全体の所要時間を短縮することができる。
言い換えると、第2形態では、保護網33からの溶媒の脱離を促進させて、次の基板Gに対する減圧乾燥処理を開始するまでの時間すなわち後処理工程の時間を短縮させている。
[第2形態の変形例]
図11は、第2形態の変形例にかかる減圧乾燥装置が有する保護網の部分拡大平面図である。
以下に説明するように、第2形態にかかる減圧乾燥装置に、ドライポンプ31aに対する保護網を加熱する加熱部を設け、上記保護網からの脱離を促進させる促進機能が、加熱部による上記保護網の加熱により、上記脱離を促進させてもよい。
図11のドライポンプ31aに対する保護網110は、当該保護網110からの溶媒の脱離を促進させる促進機能を担う加熱部として、熱媒流路110aがその内部に形成されている。
保護網110は、チャンバ10から排気される気体を通過させるための貫通孔110bが格子状に配設されている。熱媒流路110aは、平面視で、貫通孔110bの配設状態に対応した形状を有する。
このように保護網110に熱媒流路110aを設け、ステップS2の枯らし工程において、熱媒流路110aに高温の熱媒を流すことでも、当該枯らし工程における保護網110からの溶媒の除去を迅速に行うことができる。
図12は、保護網からの溶媒の脱離を促進させる促進機能を担う加熱部の他の例を説明するための部分拡大断面図である。
図12の例では、ドライポンプ31aに対する保護網33からの溶媒の脱離を促進させる促進機能を担う加熱部として、保護網33に設置され保護網33を直接加熱する直接加熱部120が設けられている。直接加熱部120は、例えば、保護網33と同様、網状の部材であり、抵抗ヒータ線(図示せず)がその内部に設けられており、排気口13a内に、保護網33に接するように設けられる。
このように直接加熱部120を設け、ステップS2の枯らし工程において、直接加熱部120により保護網33を加熱することでも、当該枯らし工程における保護網33からの溶媒の除去を迅速に行うことができる。
図13は、保護網からの溶媒の脱離を促進させる促進機能を担う加熱部の他の例を説明するための部分拡大断面図である。
図13の例では、排気口13aには、チャンバ10内を減圧するための排気機構31が排気管131を介して接続されている。排気口13a、排気機構31(具体的には排気機構31における排気管131とドライポンプ31aとを接続する部分)及び排気管131が、排気ライン130を構成する。排気ライン130は、ドライポンプ31aに接続され、チャンバ10内を排気するものである。
排気ライン130には、前述の保護網33と同様の保護網132が設けられている。ただし、保護網132は、保護網33と異なり、排気管131内に設けられている。
また、図13の例では、保護網132からの溶媒の脱離を促進させる促進機能を担う加熱部133が、排気管131の外側に設けられている。加熱部133は、排気管131を加熱することにより保護網132を加熱する。加熱部133は、例えば抵抗加熱ヒータである。
このように加熱部133を設け、ステップS2の枯らし工程において、加熱部133により保護網132を加熱することでも、当該枯らし工程における保護網132からの溶媒の除去を迅速に行うことができる。
なお、ターボ分子ポンプ41aに対する保護網は、ターボ分子ポンプ41aによる排気がドライポンプ31aによる排気の後に開始されるため、断熱膨張し冷却された気体の通過量が、ドライポンプ31aに対する保護網33に比べ少ない。そのため、ターボ分子ポンプ41aに対する保護網は、ドライポンプ31aに対する保護網に比べ、低温とならず、溶媒の吸着量は少ない。したがって、第2形態にかかる減圧乾燥装置も、ターボ分子ポンプ41aに対する保護網からの溶媒の脱離を促進させる促進機能を備えていない。ただし、ターボ分子ポンプ41aに対する保護網からの溶媒の脱離を促進させる促進機能も備えられていてもよい。
以上の例では、ドライポンプ31aに対する排気ラインと、ターボ分子ポンプ41aに対する排気ラインとを別に設けていたが、ドライポンプ31aとターボ分子ポンプ41aを直列に接続し、両ポンプに対する排気ラインは共通としてもよい。
[第3形態]
<減圧乾燥装置>
図14は、第3形態にかかる減圧乾燥装置の概略構成を示す縦断面図である。
第3形態にかかる減圧乾燥装置は、溶媒捕集部50に、第1形態と同様に輻射率向上処理が施されていてもよいし施されていなくてもよく、また、上述の第1形態の変形例にかかる構成の少なくともいずれか1つが設けられていてもよい。さらに、第3形態にかかる減圧乾燥装置は、第2形態と同様に、ドライポンプ31aに対する保護網からの溶媒の脱離を促進させる促進機能を備えていてもよい。
前述のように、第1形態にかかる減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理において、チャンバ10内の減圧状態が解除されると(具体的にはチャンバ10内が大気圧に戻されると)、断熱圧縮によりチャンバ10内の気体が加熱され、この加熱された気体により、溶媒捕集部50が、減圧乾燥処理開始時より高温となる。
そこで、図14の減圧乾燥装置1bは、第1形態にかかる減圧乾燥装置と異なり、チャンバ10内の減圧状態を解除した際に昇温した溶媒捕集部50を冷却する冷却部を備える。
図14の例では、減圧乾燥装置1bは、上記冷却部として、溶媒捕集部50を冷却する冷却ガスを噴射するガス噴射部200を備える。
ガス噴射部200は、例えば、溶媒捕集部50の上方から当該溶媒捕集部50に向けて冷却ガスを噴射する。ガス噴射部200は、例えばX方向に延びる配管201を有する。配管201は、チャンバ10内における、溶媒捕集部50と天板12との間に設けられ、より具体的には、第2位置とされた溶媒捕集部50と天板12との間に設けられる。また、配管201は、下方に向けて冷却ガスを噴射する噴射口(図示せず)を下部に有する。例えば、配管201は、Y方向に沿って複数設けられる。これにより、溶媒捕集部50全体を冷却することができる。ガス噴射部200は、チャンバ10の外部に設けられた冷却ガス源から供給された冷却ガスを、配管201の噴射口(図示せず)を介して、溶媒捕集部50に向けて噴射する。冷却ガスは、例えばNガス等の不活性ガスである。
<減圧乾燥処理>
図14の減圧乾燥装置1bを用いた減圧乾燥処理は、図1~図3に示した減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理と基本的に同様であり、前述のステップS1~ステップS5を含み、前述のステップS6の溶媒捕集部50の冷却工程の具体的な内容が異なる。図1~図3に示した減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理では、ステップS6の工程において、溶媒捕集部50を放射冷却させていた。それに対し、図14の減圧乾燥装置1bを用いた減圧乾燥処理では、ガス噴射部200により溶媒捕集部50を積極的に冷却する。
以上のように、第3形態では、減圧乾燥装置1bが、溶媒捕集部50を冷却する冷却部を備える。そのため、ステップS6の溶媒捕集部50の冷却工程において、溶媒捕集部50を、減圧乾燥処理開始時の温度まで、迅速に冷却することができる。したがって、ステップS6の溶媒捕集部50の冷却工程の所要時間を短縮することができる。よって、減圧乾燥処理減圧乾燥処理における、ステップS6の溶媒捕集部50の冷却工程を含む後処理工程の所要時間を、短縮することができ、減圧乾燥処理全体の所要時間を短縮することができる。
言い換えると、第3形態では、チャンバ10内の減圧状態を解除した際に昇温した溶媒捕集部50を冷却することにより、次の基板Gに対する減圧乾燥処理を開始するまでの時間すなわち後処理工程の時間を短縮させている。
[ガス噴射部の変形例]
図15は、ガス噴射部の他の例を説明するための断面図である。
図15の例のガス噴射部は、溶媒捕集部50の側方から当該溶媒捕集部50に受けて冷却ガスを噴射する。このガス噴射部は、溶媒捕集部50の側方に設けられたガス噴射口210を有する。ガス噴射口210は例えば側壁11に設けられている。また、ガス噴射口210は、例えば、X方向正側とX方向負側の両方それぞれに、Y方向に沿って複数設けられている。ガス噴射口210の高さ位置は、前述の第2位置である。ガス噴射口210は、チャンバ10の外部に設けられた冷却ガス源から供給された冷却ガスを、溶媒捕集部50に向けて噴射する。
このようなガス噴射口210を有する冷却部を用いても、ステップS6の溶媒捕集部50の冷却工程において、溶媒捕集部50を、減圧乾燥処理開始時の温度まで、迅速に冷却することができる。
図16は、溶媒捕集部50を冷却する冷却部の他の例を説明するための断面図である。
図16の例では、溶媒捕集部50を冷却する冷却部として、チャンバ10内に送風する送風部220が設けられている。
送風部220は、ファンフィルタユニット(FFU)221と配管222とを有する。
送風部220は、例えば、側壁11における搬入出口11aとは反対側に接続されている。側壁11における搬入出口11aとは反対側(図のX方向正側)に、すなわち、側壁11における搬入出口11aと対向する部分に、開口11bが設けられている。開口11bは、第2位置に対応する高さ位置に設けられている。この開口11bに対して、FFU221が配管22を介して接続されている。
送風部220は、FFU221を用いて、開口11bを介して、搬入出口11aの方向に送風し、溶媒捕集部50を冷却する。言い換えると、送風部220は、FFU221からの清浄気体を、開口11bを介してチャンバ10内に送り込み、送り込んだ清浄気体により、第2位置にある溶媒捕集部50を冷却する。また、送風部220は、FFU221からの清浄気体により、チャンバ10内に、溶媒捕集部50に沿った層流を形成する。
なお、開口11bはゲートバルブ230により開閉可能となっている。FFU221及びゲートバルブ230は制御部Uにより制御される。
送風部220は、ステップS6の溶媒捕集部50の冷却工程において、チャンバ10の開口11bを開状態としてから用いられる。また、送風部220は、ステップS6の溶媒捕集部50の冷却工程において、チャンバ10の搬入出口11aを開状態としてから用いられる。
上述のような送風部220を用いても、ステップS6の溶媒捕集部50の冷却工程において、溶媒捕集部50を、減圧乾燥処理開始時の温度まで、迅速に冷却することができる。
また、送風部220を用い、溶媒捕集部50に沿った層流で、当該溶媒捕集部50を冷却することで、不必要な部分(例えば載置台20等)が冷却されるのを抑制することができる。
さらに、送風部220からの送風により溶媒捕集部50を冷却する際に、チャンバ10の搬入出口11aを開状態とし、送風部220から搬入出口11aに向けて送風した気体で溶媒捕集部50を冷却することで、送風部220からの気体が、チャンバ10内から搬入出口11aを介してスムーズに排出される。したがって、送風部220からの気体によりチャンバ10内のパーティクルが舞い上がるのを抑制することができる。
今回開示された形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
1a 減圧乾燥装置
10 チャンバ
30 排気ライン
31a ドライポンプ
33 保護網
100 保護網
110 保護網
110a 熱媒流路
120 直接加熱部
130 排気ライン
133 加熱部
G 基板

Claims (11)

  1. 基板上の溶液を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥装置であって、
    減圧可能に構成され、前記基板を収容する処理容器と、
    排気装置に接続され、前記処理容器内を排気する排気ラインと、
    前記基板から気化し前記処理容器内に放出された前記溶液中の溶媒を捕集する溶媒捕集部と、
    物体が前記排気ラインを介して前記排気装置に進入することを防止する保護網と、
    前記溶媒捕集部を用いた減圧乾燥処理に伴い前記基板から気化し前記保護網に吸着された前記溶媒の、前記保護網からの脱離を促進させる促進機能と、を備える、減圧乾燥装置。
  2. 前記保護網がステンレスより熱伝導率が高い材料から形成されることで前記促進機能を備える、請求項1に記載の減圧乾燥装置。
  3. 前記保護網を加熱する加熱部を有し、
    前記促進機能は、前記加熱部による前記保護網の加熱により、前記脱離を促進させる、請求項1または2に記載の減圧乾燥装置。
  4. 前記排気ラインは、前記処理容器に設けられた排気口に接続された排気管を有し、
    前記保護網は、前記排気管に設けられ、
    前記加熱部は、前記排気管の外側に設けられ、前記排気管を加熱することにより前記保護網を加熱する、請求項3に記載の減圧乾燥装置。
  5. 前記加熱部は、前記保護網に設けられた熱媒流路を有する、請求項3または4に記載の減圧乾燥装置。
  6. 前記加熱部は、前記保護網に設置され前記保護網を直接加熱する直接加熱部を有する、請求項3~5のいずれか1項に記載の減圧乾燥装置。
  7. 前記溶媒捕集部は、当該溶媒捕集部の輻射率を向上させるための加工処理が施されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の減圧乾燥装置。
  8. 前記処理容器内の減圧状態を解除した際に昇温した前記溶媒捕集部を冷却する冷却部をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の減圧乾燥装置。
  9. 減圧乾燥装置を用いて、基板上の溶液を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥処理方法であって、
    前記減圧乾燥装置は、
    減圧可能に構成され、前記基板を収容する処理容器と、
    排気装置に接続され、前記処理容器内を排気する排気ラインと、
    前記基板から気化し前記処理容器内に放出された前記溶液中の溶媒を捕集する溶媒捕集部と、
    物体が前記排気ラインを介して排気装置に進入することを防止する保護網と、
    前記保護網を加熱する加熱部と、を備え、
    前記処理容器内を減圧し、当該処理容器内の気体を断熱膨張により冷却し、冷却された前記気体により前記溶媒捕集部を冷却し、冷却された前記溶媒捕集部により、載置台に載置された前記基板から気化し前記処理容器内に放出された前記溶媒を、一時的に捕集し、前記基板を乾燥させる工程と、
    前記乾燥させる工程後、前記乾燥させる工程で前記保護網に吸着された溶媒を脱離させる工程と、を含み、
    前記脱離させる工程において、前記加熱部により前記保護網を加熱し、前記保護網からの前記溶媒の脱離を促進させる工程と、を含む、減圧乾燥処理方法。
  10. 請求項9に記載の減圧乾燥処理方法を減圧乾燥装置によって実行させるように、当該減圧乾燥装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを記憶した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
  11. 減圧乾燥処理に伴い基板から気化し、排気ラインに設けられた排気装置を保護する保護網に吸着された前記基板上の溶液中の溶媒の、前記保護網からの脱離を促進させ、次の基板に対する前記減圧乾燥処理を開始するまでの時間を短縮する方法。
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