JP2021167696A - 減圧乾燥装置及び減圧乾燥方法 - Google Patents

減圧乾燥装置及び減圧乾燥方法 Download PDF

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Toshifumi Nasu
稔彦 植田
Toshihiko Ueda
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Abstract

【課題】基板上の溶液中の溶媒を短時間で乾燥させる。
【解決手段】基板上の溶液を減圧下で乾燥させる減圧乾燥装置であって、前記基板が載置される載置台と、厚さ方向に貫通する貫通孔を複数有し、前記載置台に載置された前記基板と対向するように設けられ、当該基板から気化した前記溶液中の溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部材と、減圧可能に構成され、且つ、前記載置台及び前記溶媒捕集部材が内部に設けられる容器であり、前記厚さ方向からみて前記載置台を囲繞する側壁を有する処理容器と、前記厚さ方向からみたときに、前記処理容器内における前記側壁と前記溶媒捕集部材との間を塞ぐように前記溶媒捕集部材を囲繞し、且つ、前記溶媒捕集部材と同一平面上に設けられた囲繞部材と、を備え、前記囲繞部材は、前記厚さ方向からみて前記溶媒捕集部材より外側の部分を前記処理容器内の気体が通過するときの圧力損失を増加させる。
【選択図】図2

Description

本開示は、減圧乾燥装置及び減圧乾燥方法に関する。
特許文献1には、基板の表面に塗布された有機材料膜中の溶媒を除去して乾燥させる乾燥装置であって、真空引き可能な処理容器と、処理容器内の気体を排気する排気口と、処理容器内で基板を支持する支持部材と、有機材料膜から揮発する溶媒を捕集する溶媒捕集部と、を備えたものが開示されている。溶媒捕集部は、支持部材に支持される基板に対向して設けられた複数の貫通開口を有する一枚または複数枚の金属プレートを有している。また、特許文献1に開示の乾燥装置は、溶媒の捕集を促進する捕集促進装置として、金属プレートを冷却する冷却装置を有している。
特開2014−199806号公報
本開示にかかる技術は、基板上の溶液中の溶媒を短時間で乾燥させる。
本開示の一態様は、基板上の溶液を減圧下で乾燥させる減圧乾燥装置であって、前記基板が載置される載置台と、厚さ方向に貫通する貫通孔を複数有し、前記載置台に載置された前記基板と対向するように設けられ、当該基板から気化した前記溶液中の溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部材と、減圧可能に構成され、且つ、前記載置台及び前記溶媒捕集部材が内部に設けられる容器であり、前記厚さ方向からみて前記載置台を囲繞する側壁を有する処理容器と、前記厚さ方向からみたときに、前記処理容器内における前記側壁と前記溶媒捕集部材との間を塞ぐように前記溶媒捕集部材を囲繞し、且つ、前記溶媒捕集部材と同一平面上に設けられた囲繞部材と、を備え、前記囲繞部材は、前記厚さ方向からみて前記溶媒捕集部材より外側の部分を前記処理容器内の気体が通過するときの圧力損失を増加させる。
本発明によれば、基板上の溶液中の溶媒を短時間で乾燥させることができる。
本実施形態に係る減圧乾燥装置の構成の概略を示す断面図である。 本実施形態にかかる減圧乾燥装置内を概略的に示す上面図である。 溶媒捕集部材の部分拡大平面図である。 減圧乾燥装置内の一部を概略的に示す図である。 溶媒捕集部材の周囲の部分を概略的に示す下面図である。 チャンバ内の気体の流れを説明するための図である。 チャンバ内の気体の流れを説明するための図である。 囲繞部材の他の例を説明するための図である。 図8の囲繞部材を用いた場合における、チャンバ内の気体の流れを説明するための図である。 囲繞部材の別の例を説明するための図である。 図10の囲繞部材を用いた場合における、チャンバ内の気体の流れを説明するための図である。
従来、有機EL(Electroluminescence)の発光を利用した発光ダイオードである有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)が知られている。かかる有機発光ダイオードを用いた有機ELディスプレイは、薄型軽量かつ低消費電力であるうえ、応答速度や視野角、コントラスト比の面で優れているといった利点を有していることから、次世代のフラットパネルディスプレイ(FPD)として近年注目されている。
有機発光ダイオードは、基板上の陽極と陰極の間に有機EL層を挟んだ構造を有している。有機EL層は、例えば陽極側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層が積層されて形成される。これらの有機EL層の各層(特に正孔注入層、正孔輸送層及び発光層)を形成するにあたっては、例えばインクジェット方式で有機材料の液滴を基板上に離散的に配置された各色の画素に対応するバンクに吐出することにより、バンク内にその画素の有機材料の膜を塗布するといった方法が用いられる。
インクジェット方式で基板上に吐出された有機材料中には、多量の溶媒が含まれている。そのため、溶媒を除去することを目的として、基板上の溶液を減圧状態で乾燥する減圧乾燥処理が行われている。
特許文献1には、減圧乾燥処理を行う減圧乾燥装置として、支持部材に支持される基板に対向して設けられた複数の貫通開口を有する一枚または複数枚の金属プレートで、基板上の有機材料膜から揮発する溶媒を捕集するものが開示されている。また、特許文献1には、溶媒の捕集効率を向上させるため、上述の金属プレートを冷却する冷却装置を設けることが開示されている。
また、特許文献1に開示されているような、貫通孔を複数有する溶媒捕集部材を、より簡易な構成で冷却し、溶媒捕集効率を向上させるため、以下のような方法が考えられている。すなわち、溶媒捕集部材の熱容量を小さくし、処理容器内が減圧されたときの断熱膨張により冷却された処理容器内の気体で、溶媒捕集部材を冷却する方法である。基板上の溶媒の乾燥に要する時間は、上述の方法等で溶媒捕集部材を冷却することで短縮できるものの、さらに短縮することが求められている。
そこで、本開示にかかる技術は、基板上の溶液中の溶媒をより短時間で乾燥させる。より具体的には、本開示にかかる技術は、基板上の溶液中の溶媒の乾燥を、簡易な構成で且つより短時間で行う。
以下、本実施形態にかかる減圧乾燥装置及び減圧乾燥方法を、図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1及び図2は、本実施形態にかかる減圧乾燥装置の概略構成を示す図であり、図1は減圧乾燥装置の構成の概略を示す断面図、図2は減圧乾燥装置内を概略的に示す上面図である。図1及び図2では後述の溶媒捕集部材を支持するための構造体の図示は省略されている。図3は、溶媒捕集部材の部分拡大平面図である。図4及び図5は、溶媒捕集部材の取り付け構造を説明するための図であり、図4は減圧乾燥装置内の一部を概略的に示す側面図、図5は溶媒捕集部材の周囲の部分を概略的に示す下面図である。
減圧乾燥装置1は、基板W上に例えばインクジェット方式で塗布された溶液を、減圧状態で乾燥するものである。また、減圧乾燥装置1の処理対象の基板Wは、例えば、有機ELディスプレイ用のガラス基板であり、その平面サイズが2.2m×2.7mである。
処理対象の基板Wに塗布されている溶液は、溶質と溶媒からなり、減圧乾燥処理の対象となる成分は主に溶媒である。溶媒に含まれる有機化合物としては、高沸点のものが多く、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(1,3-dimethyl-2-imidazolidinone、沸点220℃、融点8℃)、4−tert-ブチルアニソール(4-tert-Butylanisole、沸点222℃、融点18℃)、Trans−アネトール(Trans-Anethole、沸点235℃、融点20℃)、1,2−ジメトキシベンゼン(1,2-Dimethoxybenzene、沸点206.7℃、融点22.5℃)、2−メトキシビフェニル(2-Methoxybiphenyl、沸点274℃、融点28℃)、フェニルエーテル(Phenyl Ether、沸点258.3℃、融点28℃)、2−エトキシナフタレン(2-Ethoxynaphthalene、沸点282℃、融点35℃)、ベンジルフェニルエーテル(Benzyl Phenyl Ether、沸点288℃、融点39℃)、2,6−ジメトキシトルエン(2,6-Dimethoxytoluene、沸点222℃、融点39℃)、2−プロポキシナフタレン(2-Propoxynaphthalene、沸点305℃、融点40℃)、1,2,3−トリメトキシベンゼン(1,2,3-Trimethoxybenzene、沸点235℃、融点45℃)、シクロヘキシルベンゼン(cyclohexylbenzene、沸点237.5℃、融点5℃)、ドデシルベンゼン(dodecylbenzene、沸点288℃、融点-7℃)、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン(1,2,3,4-tetramethylbenzene、沸点203℃、融点76℃)等を挙げることができる。これらの高沸点有機化合物は、2種以上が組み合わされて溶液中に配合されている場合もある。
減圧乾燥装置1は、図1に示すように、処理容器としてのチャンバ10と、載置台20と、を備え、排気装置30に接続されている。
チャンバ10は、減圧可能に構成された容器であり、例えばステンレス等の金属材料から形成される。チャンバ10の内部には、載置台20や、後述の溶媒捕集部材40及び囲繞部材50が設けられている。また、チャンバ10は、側壁11と、天板12と、底板13とを有する。
側壁11は、図2に示すように、後述の溶媒捕集部材40の厚さ方向(図2のZ方向)からみて、載置台20を囲繞するように設けられている。側壁11は、例えば角筒状を成し、上下に開口を形成する。
天板12は、側壁11により形成される上側の開口を開閉自在に、側壁11の上側に取り付けられている。また、天板12は、後述の溶媒捕集部材40を支持する。
底板13は、側壁11により形成される下側の開口を塞ぐように、側壁11の下側に取り付けられている。底板13の上面中央には載置台20を支持する支持部材21が配設されている。また、底板13には、2つの排気口13aが、間に支持部材21を挟む形態で、装置幅方向(図のX方向)に沿って設けられている。排気口13aには排気管31を介して排気装置30が接続されている。この排気口13aを介して、減圧乾燥装置1のチャンバ10内を減圧することができる。
載置台20は、基板Wが載置されるものであり、支持部材21を介してチャンバ10の底板13の上面に支持されている。載置台20に対しては、載置台20への基板Wの受け渡しを行うための昇降ピン(図示せず)が設けられている。この昇降ピンは昇降機構(図示せず)により自在に上下動可能に構成されている。
排気装置30は、真空ポンプから構成され、具体的には、例えばターボ分子ポンプとドライポンプとが上流側からこの順に直列に接続されて構成される。
排気管31における各排気口13aと排気装置30との間の部分には自動圧力制御バルブ(APC(Adaptive Pressure Control)バルブ)32が設けられている。減圧乾燥装置1では、排気装置30の真空ポンプを作動させた状態で、APCバルブ32の開度を調節することにより、減圧排気の際のチャンバ10内の真空度を制御することができる。
なお、APCバルブ32による上記真空度の制御のため、チャンバ10内の圧力を測定する圧力計(図示せず)が減圧乾燥装置1に設けられている。この圧力計での計測結果は電気信号としてAPCバルブ32に入力される。
また、減圧乾燥装置1は、制御部(図示せず)を有する。この制御部は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、減圧乾燥装置1における減圧乾燥処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、当該記憶媒体から上記制御部にインストールされたものであってもよい。プログラムの一部または全ては専用ハードウェア(回路基板)で実現してもよい。
さらに、減圧乾燥装置1は、溶媒捕集部材40を有する。
溶媒捕集部材40は、載置台20に載置された基板Wから気化した溶液中の溶媒を一時的に捕集するものであり、チャンバ10内において上記基板Wと対向するように設けられている。溶媒捕集部材40をチャンバ10内に設けることにより、当該チャンバ10内の雰囲気中の溶媒濃度を調節することができる。
溶媒捕集部材40は、平板状の部材であり、図3に示すように、当該溶媒捕集部材40の厚さ方向(図3のZ方向)に貫通する貫通孔40aを複数有する。貫通孔40aは、平面視(図3のZ方向視)において、溶媒捕集部材40の全面に亘って、格子状に形成されている。
溶媒捕集部材40は、ステンレスやアルミ、銅といった金属材料等の熱伝導性の良い材料から成る板材に、例えばレーザ加工やプラズマエッチング等による孔あけ加工で、貫通孔40aを多数形成することで、作製される。溶媒捕集部材40を構成する、上述の孔あけ加工で貫通孔40aが多数形成された板材の枚数は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。
なお、溶媒捕集部材40は薄く、その厚さは例えば0.05mm〜0.2mmである。平面視において、溶媒捕集部材40の寸法は、載置台20の寸法と略同一である。溶媒捕集部材40は、その開口率が60%〜90%と大きく、上述のように厚さが0.05〜0.2mmであり薄いため、熱容量が小さい。なお、溶媒捕集部材40の開口率は、(平面視における溶媒捕集部材40の貫通孔40aの総面積)/(平面視における溶媒捕集部材40の全面積)で与えられる。
溶媒捕集部材40は、図1に示すように、当該溶媒捕集部材40の上部の構造物であって溶媒捕集部材40に最も近い構造物である天板12と載置台20上の基板Wとの間の位置に支持される。また、溶媒捕集部材40は、載置台20上の基板Wと正対するように、すなわち載置台20上の基板Wと略平行となるように、天板12に支持される。なお、溶媒捕集部材40は、天板12と載置台20上の基板Wとの間における中間の位置、具体的には、基板Wまでの距離が例えば75mmとなる位置に支持される。
天板12による溶媒捕集部材40の支持は、図4及び図5に示すように、枠体41と脚部42を介して行われる。例えば、溶媒捕集部材40を角筒状の枠体41に溶接等により固定し、枠体41の外側に設けられた耳部41aを、天板12から下方(図のZ方向負方向)に延出する脚部42に、ネジ等を用いて固定することにより、溶媒捕集部材40が天板12に支持される。なお、溶媒捕集部材40は、載置台20上の基板Wと対向する領域に枠体41が位置しないように、すなわち、平面視において載置台20上の基板Wと枠体41とが重なる部分がないように、支持される。
枠体41や脚部42は例えばステンレス等の金属材料から形成される。
また、枠体41や脚部42は基板Wとは溶媒捕集部材40を間に挟んで反対側に位置している。したがって、基板W側から見て、溶媒捕集部材40が枠体41や脚部42に覆われていないため、基板Wから溶媒捕集部材40の方向への気化した溶媒の流れは枠体41や脚部42には阻害されない。
さらに、減圧乾燥装置1は、図1及び図2に示すように、溶媒捕集部材40とは別体として構成された、囲繞部材50を有する。
囲繞部材50は、平面視において、すなわち、溶媒捕集部材40の厚さ方向(図2のZ方向)からみて、チャンバ10内における側壁11と溶媒捕集部材40との間を塞ぐように溶媒捕集部材40を囲繞する部材である。また、囲繞部材50は、溶媒捕集部材40と同一平面上に設けられている。具体的には、囲繞部材50及び溶媒捕集部材40は共に板状部材であるところ、囲繞部材50は、例えば、溶媒捕集部材40と互いに平行になり且つ板厚方向の中心が溶媒捕集部材40と一致するように、設けられている。
この囲繞部材50は、チャンバ10内の減圧時に、平面視において、すなわち、溶媒捕集部材40の厚さ方向(図2のZ方向)からみて、溶媒捕集部材40より外側の部分を、チャンバ10内の気体が上記厚さ方向に通過するときの、圧力損失を増加させる。具体的には、囲繞部材50は、上記圧力損失を言わば100%とし、チャンバ10内の減圧時に、溶媒捕集部材40より上側(図2のZ方向正側)の気体が溶媒捕集部材40より下側(図2のZ方向負側)に移動するときに、必ず溶媒捕集部材40を通過するように、チャンバ10内の気流を制御する。
囲繞部材50は、溶媒捕集部材40の厚さ方向(図2のZ方向)に貫通する貫通孔が形成されていない板状部材、すなわち、無孔板である。囲繞部材50を構成する無孔板の枚数は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよく、図の例では4枚である。
また、囲繞部材50の材料には、SUS等の金属材料が用いられる。これにより、囲繞部材50の溶媒耐性を良好にすることができる。
なお、囲繞部材50の厚さは、例えば、溶媒捕集部材40と略同一である。ただし、囲繞部材50を溶媒捕集部材40より厚くしても薄くしてもよい。
囲繞部材50は、例えば、チャンバ10の側壁11に、支持部材(図示せず)を介して支持される。
続いて、減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理について、図6及び図7を用いて説明する。図6及び図7は、チャンバ10内の気体の流れを説明するための図である。
(基板搬入工程)
減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理では、まず、チャンバ10内に基板Wが搬入される。具体的には、チャンバ10の天板12が開閉され、インクジェット方式で溶液が塗布された基板Wが、チャンバ10内の載置台20に載置される。
(基板W上の溶媒の除去工程)
次いで、載置台20に載置された基板W上の溶液中の溶媒が除去される。具体的には、チャンバ10内が減圧され、チャンバ10内の気体が断熱膨張により冷却され、当該気体により溶媒捕集部材40が冷却され、当該溶媒捕集部材40により、載置台20に載置された基板Wから気化した溶液中の溶媒が一時的に捕集される。以下、この工程をより具体的に説明する。
まず、排気装置30のドライポンプが作動されチャンバ10内が減圧排気される。ドライポンプによる減圧排気はチャンバ10内の圧力が例えば10Paとなるまで行われる。
この減圧排気の際、断熱膨張によりチャンバ10内の気体は冷却される。このようにチャンバ10内の気体が冷却されたとしても、基板Wの温度は、該基板Wの熱容量が大きいこと等から、この冷却された気体の影響を受けず、室温の23℃からほとんど変化しない。しかし、熱容量の小さい溶媒捕集部材40は、この冷却された気体により、冷却される。
その後、排気装置30のターボ分子ポンプが作動され、さらにチャンバ10内が減圧排気される。この減圧排気に伴って、上述と同様に溶媒捕集部材40は冷却され、その時点でのチャンバ10内の圧力における露点以下(例えば8〜15℃)となる。
このように冷却された溶媒捕集部材40により、基板W上の溶媒が捕集される。
なお、溶媒捕集部材40の温度は、基板W上の溶媒の蒸発が完了するまでの間、各時点でのチャンバ10内の圧力における溶媒の露点以下に維持される。
そのため、基板Wから気化した溶媒が、溶媒捕集部材40により高効率で捕集されるので、チャンバ10内の気体状の溶媒の濃度は低く維持される。したがって、基板W上の溶媒を速く除去することができる。
ここで、チャンバ10内の減圧排気の際、本実施形態と異なり、図6に示すように、チャンバ10内に囲繞部材50が設けられていない場合を考える。この場合、溶媒捕集部材40より上側(図6のZ方向正側)の、断熱膨張により冷却された気体は、下側の排気口13aを介してチャンバ10外に排出されるときに、点線矢印で示すように溶媒捕集部材40を通過することもあるが、実線矢印で示すように溶媒捕集部材40より平面視外側の部分を通過しやすい。なぜならば、溶媒捕集部材40より平面視外側の部分を通過するときに比べて、溶媒捕集部材40を通過するときの方が、圧力損失が大きいから、である。
それに対し、本実施形態では、溶媒捕集部材40より平面視外側の部分を、チャンバ10内の気体が、溶媒捕集部材40の厚さ方向に通過するときの、圧力損失が増加するように、チャンバ10内に囲繞部材50が設けられている。そのため、図7に示すように、溶媒捕集部材40より上側(図のZ方向正側)の、断熱膨張により冷却された気体は、排気口13aを介してチャンバ10外に排出されるときに、溶媒捕集部材40を確実に通過する(実線矢印参照)。つまり、囲繞部材50は、気流制御板として機能し、チャンバ10内の気流を制御し、チャンバ10内の気体が溶媒捕集部材40を確実に通過するようにする。したがって、囲繞部材50を設けることにより、チャンバ10内の、断熱膨張により冷却された気体で、溶媒捕集部材40を効率的に冷却することができるため、溶媒捕集部材40をより低温にしたり、溶媒捕集部材40をより高速で冷却したりすることができる。
(溶媒捕集部材40の乾燥工程)
基板W上の溶媒の除去が完了した後、溶媒捕集部材40により捕集された溶媒を該溶媒捕集部材40から除去する、溶媒捕集部材40の乾燥工程が行われる。
この工程は、例えば、基板W上の溶媒の除去が完了した後も、排気装置30のターボ分子ポンプでの排気を継続することで行われる。ターボ分子ポンプが作動されてから所定の時間が経過するまで、ターボ分子ポンプでの排気が継続されると、溶媒捕集部材40の乾燥工程が終了となる。
(基板搬出)
その後、チャンバ10から基板Wが搬出される。具体的には、まず、排気装置30が停止され、チャンバ10内の圧力が大気圧まで戻された後、チャンバ10の天板12が開閉され、基板Wがチャンバ10から搬出される。
これで、減圧乾燥装置1を用いた減圧乾燥処理が終了する。
以上のように、本実施形態では、減圧乾燥装置1が、基板Wが載置される載置台20と、厚さ方向に貫通する貫通孔40aを複数有し、載置台20に載置された基板Wと対向するように設けられ、基板Wから気化した溶液中の溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部材40と、を備える。また、減圧乾燥装置1が、減圧可能に構成され、且つ、載置台20及び溶媒捕集部材40が内部に設けられる容器であり、上記厚さ方向からみて載置台20を囲繞する側壁11を有するチャンバ10を備える。さらに、減圧乾燥装置1が、上記厚さ方向からみたときに、チャンバ10内における側壁11と溶媒捕集部材40との間を塞ぐように溶媒捕集部材40を囲繞し、且つ、溶媒捕集部材40と同一平面上に設けられた囲繞部材50を備える。そして、囲繞部材50が、上記厚さ方向からみて溶媒捕集部材40より外側の部分をチャンバ10内の気体が上記厚さ方向に通過するときの圧力損失を増加させている。そのため、本実施形態によれば、チャンバ10内の断熱膨張により冷却された気体が、排気されるときに、溶媒捕集部材40をより確実に通過する。したがって、上記冷却された気体で、溶媒捕集部材40を効率的に冷却することができ、溶媒捕集部材40をより低温にしたり、溶媒捕集部材40をより高速で冷却したりすることができるので、基板上の溶液中の溶媒をより短時間で乾燥させることができる。また、より短時間で乾燥させることができるため、乾燥時間の基板面内でのばらつきを低減することができる。さらに、本実施形態では、溶媒捕集部材40を効率的に冷却するために必要な構成は、板状部材である囲繞部材50のみであり、チャンバ10の外部に設けられたガス供給源からの冷却ガスを噴き付けること等が不要である。つまり、本実施形態によれば、簡易な構成で、溶媒捕集部材を効率的に冷却することができ、基板を高速で乾燥させることができる。
図8は、囲繞部材の他の例を説明するための図である。図9は、図8の囲繞部材を用いた場合における、チャンバ10内の気体の流れを説明するための図である。
前述の囲繞部材50は、無孔板であり、溶媒捕集部材40とは別体として構成されていた。
それに対し、図8の囲繞部材100は、溶媒捕集部材40と同様に、溶媒捕集部材40の厚さ方向(図のZ方向)に貫通する貫通孔100aを複数有する板状部材であり、溶媒捕集部材40とは一体に形成されている。そして、囲繞部材100と溶媒捕集部材40とでは、その厚さ方向(図のZ方向)からみて、貫通孔40a、100aの大きさ及び貫通孔40a、100aのピッチが同じである。つまり、溶媒捕集部材40と囲繞部材100との一体物は、溶媒捕集部材40を大面積化したものと言える。平面視において、溶媒捕集部材40と囲繞部材100との一体物によって、チャンバ10内の空間全体は覆われている。言い換えると、溶媒捕集部材40と囲繞部材100との一体物の面積は、チャンバ10内の空間の断面積と略同等されている。上記一体物の面積、具体的には、例えば、上記断面積の85%以上とされる。
囲繞部材100が設けられていた場合も、囲繞部材100が設けられていない場合に比べて、溶媒捕集部材40より平面視外側の部分を、チャンバ10内の気体が、溶媒捕集部材40の厚さ方向に通過するときの、圧力損失が増加する。また、囲繞部材100には貫通孔100aが形成されている。したがって、溶媒捕集部材40より上側(図9のZ方向正側)の、断熱膨張により冷却された気体は、排気口13aを介してチャンバ10外に排出されるときに、以下のように移動する。すなわち、図9において実線矢印で示すように、上記気体は、排気されるときに囲繞部材100を通過する場合もあるが、同様な割合で、溶媒捕集部材40を通過する。したがって、囲繞部材100を設けることにより、チャンバ10内の、断熱膨張により冷却された気体で、溶媒捕集部材40を効率的に冷却することができるため、溶媒捕集部材40をより低温にしたり、より高速で冷却したりすることができる。
また、平面視において、溶媒捕集部材40と囲繞部材100との一体物で、チャンバ10内の空間全体が覆われているため、整流効果も作用し、溶媒捕集部材40が面内均一で冷却される。言い換えると、平面視において、溶媒捕集部材40と囲繞部材100との一体物で、チャンバ10内全体を覆うことで、チャンバ10内の上部から流れるガスが、溶媒捕集部材40の空気抵抗(圧力損失)により、溶媒捕集部材を面内均一に通ることになり、冷却効果が均一化される。したがって、乾燥時間の基板面内でのばらつきを抑えることができる。
なお、溶媒捕集部材40と囲繞部材100との一体物は、ステンレスやアルミ、銅といった金属材料等の熱伝導性の良い材料から成る板材に、例えばレーザ加工やプラズマエッチング等による孔あけ加工で、貫通孔40a、100aを多数形成することで、作製される。
図10は、囲繞部材の別の例を説明するための図である。図11は、図10の囲繞部材を用いた場合における、チャンバ10内の気体の流れを説明するための図である。
囲繞部材110は、図8の囲繞部材100と同様、溶媒捕集部材40の厚さ方向(図のZ方向)に貫通する貫通孔110aを複数有する板状部材であり、溶媒捕集部材40とは一体に形成されている。ただし、囲繞部材110は、図8の囲繞部材100と以下の点で異なる。
囲繞部材100は、溶媒捕集部材40の厚さ方向(図のZ方向)からみて、すなわち、平面視で、貫通孔の大きさ及び貫通孔のピッチが同じであった。したがって、チャンバ10内の気体が囲繞部材100を通過するときの圧力損失と、チャンバ10内の気体が溶媒捕集部材40を通過するときの圧力損失とが同じであった。
それに対し、図10の囲繞部材110は、チャンバ10内の気体が囲繞部材110を通過するときの圧力損失が、チャンバ10内の気体が溶媒捕集部材40を通過するときの圧力損失よりも大きくなるように、貫通孔110aが形成されている。例えば、平面視において、囲繞部材110の貫通孔110a同士の接続部分の幅と、溶媒捕集部材40の貫通孔40a同士の接続部分の幅とが等しく、且つ、貫通孔110aが貫通孔40aよりも小さくなるように、貫通孔110aが形成されている。これに代えて、平面視において、貫通孔110aの大きさと貫通孔40aの大きさが等しく、且つ、貫通孔110a同士の接続部分の幅が、貫通孔40a同士の接続部分の幅よりも大きくなるように、貫通孔110aが形成されていてもよい。
囲繞部材110が設けられていた場合も、囲繞部材110が設けられていない場合に比べて、溶媒捕集部材40より平面視外側の部分を、チャンバ10内の気体が、溶媒捕集部材40の厚さ方向に通過するときの、圧力損失が増加する。また、囲繞部材110には貫通孔110aが形成されている。したがって、溶媒捕集部材40より上側(図9のZ方向正側)の、断熱膨張により冷却された気体は、排気口13aを介してチャンバ10外に排出されるときに、以下のように移動する。すなわち、図11において実線矢印で示すように、上記気体の大部分は、排気されるときに、囲繞部材110を通過せずに、溶媒捕集部材40を通過する。言い換えると、上記気体は溶媒捕集部材40に集中させられ排気される。したがって、囲繞部材110を設けることにより、チャンバ10内の、断熱膨張により冷却された気体で、溶媒捕集部材40を効率的に冷却することができるため、基板Wに近い溶媒捕集部材40を、より低温にして溶媒捕集能力を向上させたり、より高速で冷却したりすることができる。
なお、溶媒捕集部材40と囲繞部材110との一体物は、ステンレスやアルミ、銅といった金属材料等の熱伝導性の良い材料から成る板材に、例えばレーザ加工やプラズマエッチング等による孔あけ加工で、貫通孔40a、110aを多数形成することで、作製される。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
1 減圧乾燥装置
10 チャンバ
11 側壁
20 載置台
40 溶媒捕集部材
40a 貫通孔
50、100、110 囲繞部材
W 基板

Claims (6)

  1. 基板上の溶液を減圧下で乾燥させる減圧乾燥装置であって、
    前記基板が載置される載置台と、
    厚さ方向に貫通する貫通孔を複数有し、前記載置台に載置された前記基板と対向するように設けられ、当該基板から気化した前記溶液中の溶媒を一時的に捕集する溶媒捕集部材と、
    減圧可能に構成され、且つ、前記載置台及び前記溶媒捕集部材が内部に設けられる容器であり、前記厚さ方向からみて前記載置台を囲繞する側壁を有する処理容器と、
    前記厚さ方向からみたときに、前記処理容器内における前記側壁と前記溶媒捕集部材との間を塞ぐように前記溶媒捕集部材を囲繞し、且つ、前記溶媒捕集部材と同一平面上に設けられた囲繞部材と、を備え、
    前記囲繞部材は、前記厚さ方向からみて前記溶媒捕集部材より外側の部分を前記処理容器内の気体が通過するときの圧力損失を増加させる、減圧乾燥装置。
  2. 前記囲繞部材と前記溶媒捕集部材とは別体であり、
    前記囲繞部材は、前記厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されていない、無孔板である、請求項1に記載の減圧乾燥装置。
  3. 前記溶媒捕集部材と前記囲繞部材とは一体に形成されている、請求項1に記載の減圧乾燥装置。
  4. 前記囲繞部材は、前記厚さ方向に貫通する貫通孔を複数有し、
    前記溶媒捕集部材と前記囲繞部材とで、前記厚さ方向からみて、前記貫通孔の大きさ及び前記貫通孔のピッチが同じである、請求項3に記載の減圧乾燥装置。
  5. 前記囲繞部材は、前記厚さ方向に貫通する貫通孔を複数有し、
    前記処理容器内の気体が前記囲繞部材を通過するときの圧力損失が、前記処理容器内の気体が前記溶媒捕集部材を通過するときの圧力損失よりも大きくなるように、前記囲繞部材の前記貫通孔は形成されている、請求項3に記載の減圧乾燥装置。
  6. 減圧乾燥装置を用いて、基板上の溶液を減圧下で乾燥させる減圧乾燥方法であって、
    前記減圧乾燥装置は、
    前記基板が載置される載置台と、
    厚さ方向に貫通する貫通孔を複数有し、前記載置台に載置された前記基板と対向するように設けられた溶媒捕集部材と、
    前記載置台及び前記溶媒捕集部材が内部に設けられる容器であり、前記厚さ方向からみて前記載置台を囲繞する側壁を有する処理容器と、
    前記厚さ方向から見たときに、前記処理容器内における前記側壁と前記溶媒捕集部材との間を塞ぐように前記溶媒捕集部材を囲繞し、且つ、前記溶媒捕集部材と同一平面上に設けられた囲繞部材と、を備え、
    前記減圧乾燥方法は、
    前記処理容器内を減圧し、当該処理容器内の気体を断熱膨張により冷却し、冷却された前記気体により前記溶媒捕集部材を冷却し、冷却された前記溶媒捕集部材により、前記載置台に載置された前記基板から気化した前記溶液中の溶媒を一時的に捕集する工程を有する、減圧乾燥方法。
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