JP2010062115A - 機能性膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】種々の機能性膜の製造において、形状及び膜厚のばらつきを低減した製造方法を提供する。
【解決手段】機能性膜の形成材料を含む液体を第1の基板上に付与して乾燥させて前駆体膜を形成し、第1の基板を露点まで降温させることによって該前駆体膜に吸湿させた後、第2の基板を対向配置させた状態で第1の基板を昇温させることによって、前駆体膜に含まれる水分を第2の基板に凝集させて該前駆体膜を再乾燥させる。
【選択図】図4

Description

本発明は、電子放出素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子などを複数備えた表示装置における薄膜状の構成部材やカラーフィルターなどの製造に用いることができる機能性膜の製造方法に関する。
従来、表面伝導型電子放出素子の主要な構成部材である導電性膜の製造方法として、例えば特許文献1に示されるように、インクジェット法が知られている。
当該方法は、先ず基板上に設けられた互いに対向する素子電極間に、インクジェット法を用いて、導電性膜の形成成分を含む液滴を付与し、乾燥させて前駆体膜とする。その後、この前駆体膜に加熱処理(焼成処理)を施して、素子電極間に跨る導電性膜を形成する。この導電性膜形成後、素子電極間にフォーミングと呼ばれる通電処理を施すことで、該導電性膜に電子放出部である亀裂を形成する。さらに、亀裂形成後に素子電極間に電圧を印加すると、亀裂又は亀裂付近から電子を放出させることができる。通常、フォーミング後に活性化処理や安定化処理を施して、表面伝導型電子放出素子を得ることができる。
特開平9−69334号公報
上記したインクジェット法による導電性膜の製造方法においては、基板上に付与された液滴は、インクジェット装置内の湿度ばらつき、風速分布、描画された基板内での位置、描画順、液滴間の相互干渉等、様々な要因の影響を受け、その乾燥速度が異なる。溶質を含んだ溶液はその乾燥速度の違いによって乾燥後の形状が異なってくる。この現象はエッジビード現象、コーヒーリング現象等の名称で広く世の中に知られた現象である。
即ち、図8(a)に示すように乾燥速度が遅い場合は、基板51上の導電性膜52の中央部が盛り上がり、周縁部に向かって薄くなる断面形状をなす。また乾燥速度が速い場合は図8(b)に示すように導電性膜52’の周縁部が厚く、中央に向かって薄くなる断面形状をなす。
このような導電性膜の形状ばらつきは、基板内での素子の抵抗ばらつきとなってしまう。そのため、前記フォーミング処理に適した抵抗値範囲からはずれてしまいフォーミング処理が行えない場合や、或いはフォーミング処理ができたとしても電子放出特性の低い素子が形成されるなど素子特性にばらつきを生じる場合があった。
また、1素子内で考えてみても、乾燥が遅すぎる場合の周縁部、乾燥が速すぎる場合の中央部では局所的に電気抵抗が高くなり、前記フォーミングの際に作られる亀裂が途切れてしまうという問題を引き起こす。
また、これらの基板内における膜の形状のばらつき、及び1素子内での膜の膜厚ばらつきは、電子放出素子における導電性膜以外の薄膜においても、微視的な形状のばらつきを生じさせているものであって、種々の問題を引き起こす可能性がある。
本発明の課題は、上記問題を解決し、種々の機能性膜の製造において、形状及び膜厚のばらつきを低減した製造方法を提供することにある。
本発明は、第1の基板の上に、機能性膜の形成材料を含む液体を複数箇所付与し、乾燥させて親水性の前駆体膜を形成する前駆体膜形成工程と、
一定の雰囲気内において、
上記第1の基板を露点以下まで下げて上記前駆体膜に吸湿させる吸湿工程と、
上記第1の基板の前駆体膜を配置した側に、間隙を介して温度制御機能を有する第2の基板を対向配置し、第1の基板を上記第2の基板より高い温度にまで上げて吸湿した前駆体膜を乾燥させる再乾燥工程と、
を有することを特徴とする機能性膜の製造方法。
本発明においては、下記の構成を好ましい態様として含む。
上記再乾燥工程において、第2の基板の温度は第1の基板の昇温前後で一定とする。
上記再乾燥工程において、第1の基板の温度を上げた後、第2の基板を第1の基板より低い温度に下げる。
上記再乾燥工程において、第1の基板の温度を第2の基板の温度より高くした後は両基板の温度差を一定に保持する。
本発明においては、前駆体膜に吸湿させて一旦液化した後、基板上の全ての前駆体膜を同じ条件で再乾燥させることができるため、形状、膜厚が均一化された機能性膜を得ることができる。よって、複数の電子放出素子或いはEL素子を備えた画像表示装置において、素子間の特性にむらがなく、また、カラーフィルターにおいては、画素間の輝度むらがなく、高画質な画像表示が可能となる。
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
尚、以下では電子放出素子を備えた画像表示装置を例に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。上述した通り、本発明は、カラーフィルターの複数の画素の形成や、EL素子の、ホール輸送層、両性輸送層、電子輸送層などの各輸送層の形成にも好ましく適用される。
本発明の機能性膜の製造方法は、前駆体膜形成工程、吸湿工程、再乾燥工程を有しており、吸湿工程及び再乾燥工程は、図1に例示する薄膜形状制御装置において行われる。図1は、係る装置の構成を模式的に示す図であり、図中、1は複数の前駆体膜を有する基板(第1の基板)、3はブース、4はブース3内の温湿度を一定に保つための温湿度制御装置、5は基板1をブース3内に搬入出するための開口である。また、6は昇降温ステージで、内部に温水・冷水を流す配管7を備えている。配管7は温度制御装置8に接続されており、配管7内を流れる流水は温度制御装置8に組み込まれたシーケンサーにより、予め作成してあるプログラムに応じて水温を制御し、昇降温ステージ6の表面温度を制御することが可能となっている。
さらに、9は温度制御機能を有する基体(第2の基板)であり、昇降温ステージ6同様、内部に温度制御装置8に接続された配管10を備えている。該基体9は、温度制御装置8によって温度制御された温調水を流すことにより、その表面温度を制御することが可能となっている。尚、温度制御装置8は温度制御回路を複数系統備えており、昇降温ステージ6と基体9はそれぞれ独立の温度制御が可能となっている。
本発明においては、先ず、基板1上に機能性膜の形成材料を含む液体(溶液又は分散液)を複数箇所付与し、乾燥させて親水性の前駆体膜を形成する(前駆体膜形成工程)。係る工程は、前記したインクジェット法により行われるが、同様の前駆体膜を形成することができる方法であれば、インクジェット法以外の手法を用いてもかまわない。
図7に、本発明に係る前駆体膜形成工程において、機能性膜の形成材料を含む液体をインクジェット法により基板上に付与する液体付与機構の一例を模式的に示す。
図7において、46は吐出ノズル47を備えた吐出ヘッド、48は基板1を載置する基板ステージ、49は制御コンピュータ、45はインクジェット制御・駆動機構、41は位置検出機構、42は基板1上の液体付与位置を示す。
インクジェットの方式には、ピエゾ方式や加熱発泡(バブルジェット(登録商標))方式などが含まれる。前記ピエゾ方式とは、インクジェットの一方式であって、圧電体に電圧を印加した時の変形力を利用して、液体小滴の形成と射出を行う方式である。また、前記バブルジェット(登録商標)方式とは、同じくインクジェットの一方式であって、液体を小空間で加熱した際の突沸の力を利用して、液体小滴の形成と射出を行う方式である。
前述のように、基板ステージ48上の基板1の上方の吐出ヘッド46に設けられた吐出ノズル47から、前記機能性膜の形成材料を含む液体が液滴として吐出され、基板1上に付着される。その際に、吐出ヘッド46は、インクジェット制御・駆動機構45により、基板ステージ48に設けられた位置検出機構41及びステージ駆動機構(不図示)と連動して、吐出ヘッド46(吐出ノズル47)と基板1が所定の位置関係となった時に液滴を吐出する。これらの一連の制御は制御コンピュータ49によって行われる。これによって、基板1上に予め定められた液滴付与位置42に液滴を付着させることができる。尚、液滴を放出する吐出ノズル47は、1つでも複数でも可能である。
上記のようにして基板1に液体を付与した後、この液体は乾燥処理され、基板1上に親水性の前駆体膜が形成される。
図7に示される液体付与機構は、図示しない環境管理装置により所定温度、所定湿度又は所定の有機溶媒蒸気圧の環境下に保持されていることが好ましい。
前駆体膜が形成された基板1は、開口5よりブース3内に搬入し、昇降温ステージ6上に載置し、一定の雰囲気内で吸湿工程、再乾燥工程を行う。係る工程について、図2,図3を用いて説明する。
図2(a)は基板1投入前の薄膜形状制御装置の構成を模式的に示す断面図である。図中、6は図1で示した昇降温ステージであり、11は基板1を昇降するための基板昇降ピン、12は基体9を載置するための基体載置ピンである。
薄膜形状制御装置内の温湿度は、温湿度制御装置4を備えたブース3により囲まれているため、一定の雰囲気に保たれている。
図2(b)は前駆体膜13が形成された基板1を開口5よりブース3内に搬入し、基板昇降ピン1を下げ昇降温ステージ6上に載置した後、昇降温ステージ6の温度をブース3内の温湿度に対する露点まで冷却、保持した状態を示している。
基板1の表面には前駆体膜が形成されているが、基板1の表面を撥水処理した後に前駆体膜13を形成することにより、基板1の表面は親水領域と撥水領域とが形成されている。即ち、前駆体膜13が存在している領域が親水領域、それ以外の部分が撥水領域である。
昇降温ステージ6の温度をブース3内の温湿度に対する露点以下まで冷却すると、基板1の表面には水分が結露するが、結露は親水面である前駆体膜13上に選択的に起こり、乾燥していた前駆体膜13は液滴状態となって基板1の上に存在することとなる。
図3(c)は前駆体膜13が十分に水分を取り込み液滴となった後、一定温度に制御された基体9を基体載置ピン12上に設置し、間隙を介して基板1に対向配置させた後、昇降温ステージ6の温度を一定の昇温速度で昇温させた状態を示す図である。
基板1と基体9の距離は、装置内の気流影響、乾燥時の液滴間の相互干渉を防ぐためになるべく近接させることが好ましい。具体的には機械的な精度も考慮して0.5〜3mmが好ましい。
ここで液滴となった前駆体膜13が乾燥する際のメカニズムについて説明する。
図4(a)は本発明の第1の実施形態における、基板1の表面温度と基体9の表面温度の変化を示すグラフである。同図においてグラフの縦軸は温度、横軸は時間を表す。Aは基板1の表面温度、Bは基体9の表面温度、Cは基板1の温度と基体9の両基板の温度差を表す。
t1は基体9を基板1の対向、近接する位置に設置した時刻、t2は基板1が昇温され、基体9の温度より高い温度になった時刻を示す。
t2以前(A<B)では、基板1と基体9間に作られる空間は飽和水蒸気圧以下の状態であり、基板1からの水分蒸発は起こらない。
t2以降(A>B)になると、基板1と基体9間に作られる空間は飽和水蒸気圧以上となり、基板1から水分が蒸発し、基体9表面に凝縮される。基板1から基体9への水分移動は、基板1に対し鉛直方向に発生するため、基板1と基体9の距離が十分に近い場合は、液滴間で相互干渉することなく行われる。またこの乾燥速度=凝縮速度は温度差Cの大きさにより決定される。従って再乾燥後の前駆体膜13の周縁部が薄すぎる場合、即ち乾燥速度が遅すぎる場合は温度差Cを大きくすればよく、また中央部が薄すぎる場合、即ち乾燥速度が速すぎる場合は温度差Cを小さくすればよい。
図4(b)は本発明の第2の実施形態における、基板1の表面温度と基体9の表面温度の変化を示す別のグラフである。図4(a)同様、グラフの縦軸は温度、横軸は時間を表す。Aは基板1の表面温度、Bは基体9の表面温度、Cは基板1の温度と基体9の温度差を表す。
t1は基体9を基板1の対向、近接する位置に設置した時刻、t2は基体9の温度を下げ、基板1の温度より低い温度になった時刻を示す。
前述したように、t2以降(A>B)になると、基板1と基体9間に作られる空間は飽和水蒸気圧以上となり、基板1から水分が蒸発し、基体9表面に凝縮されることは同様である。先の実施形態では、基体9の温度を基板1の昇温前後で一定としていたが、本例では基板1の温度を上げ、且つ、基体9の温度を下げることにより温度差Cを作っている。この温度差Cの大きさにより乾燥速度=凝縮速度が決定されることも同様である。
図3(d)は基板1から基体9へ、所定の乾燥速度で水分14を移動させ、前駆体膜13の形状を整えた後、基体載置ピン12を突き上げ、基体9を基板1から十分に離れた位置に移動させた状態を示す図である。
このようにして整形された前駆体膜13の形状は、基板1をブース3から取りだした後も維持される。この後、必要に応じて焼成等の処理を施して機能性膜を得る。
次に、本発明を表面伝導型電子放出素子の導電性膜の製造に適用した例について説明する。
図5は、本発明が適用される表面伝導型電子放出素子の一例の構成を示す模式図で、図5(a)は平面図、図5(b)は(a)におけるA−A’断面図である。
上記図1において、1は基板、22及び23は素子電極、24は導電性膜、25は亀裂である。
基板1としては、石英ガラス、Naなどの不純物含有量を低減させたガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法などによりSiO2を積層した積層板、アルミナなどのセラミックス板などを用いることができる。
基板1上に設けられる素子電極22,23の材料としては、一般的な導電性材料が用いられる。例えば、Ni、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pdなどの金属或いはそれらの合金、Pd、As、Ag、Au、RuO2、Pd−Agなどの金属が挙げられる。また、金属酸化物とガラスなどから構成される印刷導体や、In23−SnO2などの透明導電体、ポリシリコンなどの半導体材料などから適宜選択することもできる。
素子電極22,23の間隔、長さ、導電性膜4の形状などは、得られる電子放出素子の用途などに応じて適宜設計される。
素子電極2,3の間隔は、好ましくは数千Åから数百μmであり、より好ましくは素子電極22,23間に印加する電圧などを考慮して1μmから100μmの範囲である。また、素子電極22,23の長さは、好ましくは電極の抵抗値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲である。さらに、素子電極22,23の膜厚は、好ましくは数百Åから数μm、より好ましくは100Åから1μmの範囲である。
尚、図1においては、基板1上に素子電極22,23、導電性膜24の順に順次積層したものとなっているが、基板1上に導電性膜24、素子電極22,23の順に積層したものとすることもできる。
導電性膜24は、前記した本発明の機能性膜の製造方法によって製造される導電性を有する薄膜である。この導電性膜24を構成する材料としては、例えば、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pbなどの金属、PdO、SnO2、In23、PbO、Sb23などの金属酸化物を挙げることができる。また、HfB2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB4、GdB4などの金属硼化物、TiN、ZrN、GfNなどの金属窒化物、TiC、ZrC、GfC、TaC、SiC、WCなどの金属炭化物、Si、Geなどの半導体、カーボンなどを用いることもできる。
亀裂25は、導電性膜24の一部に形成された高抵抗の部位であり、導電性膜24の膜厚、膜質、材料、通電フォーミングなどの製法に依存して形成される。亀裂25の内部には、1000Å以下の粒径の導電性微粒子が含まれることもある。この導電性微粒子は、導電性膜4を構成する材料の元素の一部、或いは全ての元素と同様の元素を含有するものとなる。また、亀裂25及びその近傍の導電性膜24には、炭素又は炭素化合物が含まれることもある。
本発明の機能性膜の製造方法は、係る素子の導電性膜24の形成に好ましく適用される。
先ず、基板1を、洗剤、純水、有機溶剤により十分に洗浄した後、真空蒸着法、スパッタ法などにより、素子電極材料を基板1上に堆積し、例えばフォトリソグラフィー技術により、該基板1上に図5の素子電極22,23を形成する。素子電極22,23を形成した基板1を、図7に例示した基板ステージ48の所定の位置に載置し、基板1の上方の吐出ヘッド46の吐出ノズル47から基板1上の液体付与位置42へ、導電性膜24の構成材料を含む液体を吐出し、基板1上に付着させる。液体の付与は、基板1表面での液体の拡散や流れを防止するため、基板1の表面に撥水処理を施した後に行うことが好ましい。
上記基板1に付与する液体としては、例えば、水や有機溶剤に前述の導電性膜24の構成成分である金属などを溶解又は分散した液体が挙げられる。また、導電性膜24の構成成分である金属などを含む有機金属の溶液なども使用できる。具体的には、例えば、水75質量%、イソプロピルアルコール25質量%の溶媒に有機パラジウム錯体を溶解させた溶液が挙げられる。
基板1上に付与された液体は乾燥され、前駆体膜13が形成される。該基板1は、前記したように、図1に例示した装置に搬送され、図2乃至図4で説明した吸湿工程、再乾燥工程を経て前駆体膜13が整形される。
その後基板1を加熱処理し、前駆体13に含まれる有機成分を除去し、図5に示す導電性膜24を形成する。そして、この導電性膜24に、フォーミングにより亀裂25を形成する。
ところで、本発明の方法により得られる導電性膜24は、基板1全面に渡って適切な乾燥速度を与えられて形成されたものであるため、形状のばらつきが小さく、また局所的に膜厚が薄く、電子放出部5である亀裂が形成されにくい領域もない。よって、電子放出特性のばらつきも小さい。
フォーミング後は、必要に応じて、有機ガス存在下で素子電極22,23間に電圧を印加し、亀裂25及び/又はその付近に炭素を付着させる活性化処理や、高真空下で素子電極22,23間に駆動電圧よりも高い電圧を印加する安定化処理を施す。これらにより、所望の電子放出特性を有する表面伝導型電子放出素子を再現性良く製造することができる。
次に、本発明の機能性膜の製造方法が適用される他の例として、有機EL素子について説明する。
(実施例1)
図6に模式的に示される構成のマトリクス状配線(列方向配線31と行方向配線33)及び素子電極22,23を形成した基板1を製造した。製造手順を、図1乃至図3,図6,図7を参照しつつ説明する。
(1)絶縁性の基板1としてガラス基板を用い、有機溶剤により充分に洗浄後、120℃で乾燥させた。この基板1上に、Pt膜により、電極幅500μm、電極間ギャップ20μmの一対の素子電極22,23を、240列、720行として計172800組を行列状に形成し、各素子電極22,23に各々配線を接続した。この配線としては、列方向配線31と行方向配線33とを層間絶縁層32を介して交差配置したマトリクス配線を採用した。
(2)前記基板1をアルカリ洗浄液にて洗浄後、シラン系撥水処理剤を用いて、表面処理を行った。
(3)その後、前記基板1を、温度25℃、湿度45%に設定された恒温湿チャンバー内に置かれた図7の基板ステージ48上に吸着させ、液体付与位置42の位置合せなどを行った。
(4)吐出ヘッド46に、導電性膜24を生成させるための成分を含有した溶液をインクとして注入した。溶液としては、有機パラジウム含有溶液を使用した。
(5)基板ステージ48を+X方向にスキャンニングさせながら、位置検出機構41及びインクジェット制御・駆動機構45により、吐出ノズル46に設計上の吐出タイミングで吐出信号を送って液体を吐出させた。これにより、基板1の素子電極22,23間に、有機パラジウム含有溶液を付与した。
(6)付与した溶液を基板1上で常温乾燥させ、前駆体膜13を得た。この状態で基板1上の前駆体膜13の膜厚を光干渉式膜厚計を用いて計測した。膜厚評価は、膜の端部から5μmの範囲を有効エリア外とし、残りの部分の平均膜厚を計算し、膜厚の対平均誤差を算出した。上記のようにして形成した前駆体膜13の有効エリアは85μmであり平均膜厚は50nm、各前駆体膜13の膜厚ばらつきは±20%であった。
(7)前駆体膜13を形成した基板1を、温湿度制御装置4により、温度24℃、湿度40%の雰囲気に制御された、図1に示す薄膜形状制御装置の開口5より投入し、図2(a)に示す基板載置ピン11にのせた。この時、薄膜形状制御装置内雰囲気の露点は9.7℃であった。
(8)基板載置ピン11を下げ、基板1を昇降温ステージ6の上に置いた。昇降温ステージ6の配管7に温度制御装置8により冷却された温調水を流し、−1℃/minの降温速度で昇降温ステージ6の温度を9.5℃まで冷却し、そのまま10分間保持した。
(9)温度制御装置8からの温調水により24℃に制御された基体9を基体載置ピン12上に置き、基板1の上方1mmの位置に設置した。
(10)昇降温ステージ6に流れる温調水の温度を上げ、昇降温ステージ6を10℃/minの速度で上昇させ、34℃で3分保持した。
(11)その後基体載置ピン12を突き上げ、基体9を基板1から十分離した後、基板1を薄膜形状制御装置より取り出した。
(12)基板1上の前駆体膜13の膜厚を上記(6)の工程と同様にして計測した。その結果、再乾燥させた前駆体膜13の有効エリアは84μmであり、平均膜厚は45nm、各前駆体膜13の膜厚ばらつきは±5%であった。
(13)基板1を350℃で30分間加熱し、酸化パラジウム膜による導電性膜24を得た。
(14)素子電極22,23の間に電圧を印加し、導電性膜24に対し、フォーミングを行って亀裂25を形成し、更に活性化を行うことにより、電子放出効率の高い亀裂25とした。全ての素子について観察したところ、亀裂25が途切れた素子はなく、表面伝導型電子放出素子の導電性膜24の膜形状の面内均一性、及び素子内膜厚均一性を高める手段として、本発明の有効性が確認された。
(実施例2)
(1)実施例1と同様の手順で基板1の素子電極22,23間に、有機パラジウム含有溶液を付与した。
(2)基板1上に付与した溶液を常温乾燥させ、前駆体膜13を得た。この状態で基板1上の前駆体膜13の膜厚を実施例1の(6)の工程と同様にして計測した結果、前駆体膜13の有効エリアは86μmであり、平均膜厚は52nm、各前駆体膜13の膜厚ばらつきは±21%であった。
(3)前駆体膜13を形成した基板1を、温湿度制御装置4により、温度24℃、湿度40%の雰囲気に制御された、図1に示す薄膜形状制御装置の開口5より投入し、図2(a)に示す基板載置ピン11にのせた。この時、薄膜形状制御装置内雰囲気の露点は9.7℃であった。
(4)基板載置ピン11を下げ、基板1を昇降温ステージ6の上に置いた。昇降温ステージ6の配管7に温度制御装置8により冷却された温調水を流し、−1℃/minの降温速度で昇降温ステージ6の温度を9.5℃まで冷却し、そのまま10分間保持した。
(5)温度制御装置8からの温調水により30℃に制御された基体9を基体載置ピン12上に置き、基板1の上方1mmの位置に設置した。
(6)昇降温ステージ6に流れる温調水の温度を上げ、昇降温ステージ6を5℃/minの速度で上昇させ、25℃で保持させた。
(7)基体9に流れる温調水の温度を下げ、−10℃/minの速度で基体9の温度を下げ、15℃で3分間保持した。
(8)その後基体載置ピン12を突き上げ、基体9を基板1から十分離した後、基板1を薄膜形状制御装置より取り出した。
(9)基板1上の前駆体膜13の膜厚を実施例1の(6)の工程と同様にして計測した結果、前駆体膜13の有効エリアは84μm、平均膜厚は46nm、各前駆体膜13の膜厚ばらつきは±5%であった。
(10)基板1を350℃で30分間加熱し、酸化パラジウム膜による導電性膜24を得た。
(11)素子電極22,23の間に電圧を印加し、導電性膜24に対し、フォーミングを行って亀裂を形成し、更に活性化を行うことにより、電子放出効率の高い亀裂25とした。全ての素子について観察したところ、亀裂25が途切れた素子はなく、表面伝導型電子放出素子の導電性膜24の膜形状の面内均一性、及び素子内膜厚均一性を高める手段として、本発明の有効性が確認された。
本発明に用いられる薄膜形状制御装置の一例の構成を模式的に示す図である。 本発明の製造方法の工程の説明図である。 本発明の製造方法の工程の説明図である。 本発明の第1の実施形態における基板の表面温度と基体の表面温度の変化を示すグラフである。 本発明が適用される表面伝導型電子放出素子の一例の模式図である。 実施例で作製した複数の電子放出素子を有する基板の構成を模式的に示す図である。 本発明において用いられるインクジェット法により基板上に液体を付与する液体付与機構を模式的に示す図である。 乾燥速度の違いによる導電性膜の形状の違いを示す模式図である。
符号の説明
1 基板
3 ブース
4 温湿度制御装置
5 開口
6 昇降温ステージ
7,10 配管
9 基体
11 基板昇降ピン
12 基体昇降ピン
13 前駆体膜
14 水分

Claims (4)

  1. 第1の基板の上に、機能性膜の形成材料を含む液体を複数箇所付与し、乾燥させて親水性の前駆体膜を形成する前駆体膜形成工程と、
    一定の雰囲気内において、
    上記第1の基板を露点以下まで下げて上記前駆体膜に吸湿させる吸湿工程と、
    上記第1の基板の前駆体膜を配置した側に、間隙を介して温度制御機能を有する第2の基板を対向配置し、第1の基板を上記第2の基板より高い温度にまで上げて吸湿した前駆体膜を乾燥させる再乾燥工程と、
    を有することを特徴とする機能性膜の製造方法。
  2. 上記再乾燥工程において、第2の基板の温度は第1の基板の昇温前後で一定とする請求項1に記載の機能性膜の製造方法。
  3. 上記再乾燥工程において、第1の基板の温度を上げた後、第2の基板を第1の基板より低い温度に下げる請求項1に記載の機能性膜の製造方法。
  4. 上記再乾燥工程において、第1の基板の温度が第2の基板の温度より高くなるようにした後は両基板の温度差を一定に保持する請求項1乃至3のいずれかに記載の機能性膜の製造方法。
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