JP6906860B2 - ディスプレイ用接着剤 - Google Patents
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Description
光硬化性樹脂組成物は優れた硬化性を有すると共にアウトガスが少ない利点を有することが一般に知られている。しかしながら、光の届かない部分は硬化反応が進行しないことから、光硬化性樹脂組成物を用いる部分の設計の自由度に制限のあることが大きな欠点とされている。
例えば、遮光部において光によって充分に硬化していない液晶シール剤を、低温から速やかに反応させ、液晶汚染を抑えようという試みである。特許文献1及び2には、熱ラジカル重合開始剤を用いる方法が開示されている。また、特許文献3乃至5には、硬化促進剤として多価カルボン酸を用いる方法が開示されている。
また、多価カルボン酸を用いた場合は耐湿信頼性を損なう可能性があり、用途によっては使用できない場合もある。
また、特許文献7には、遮光部の形成面の外方側面側から紫外線を照射して、遮光部の樹脂の硬化を行う技術が開示されている。しかしながら、液晶表示装置の形状によっては、側面から紫外線を照射することが困難であるため、該方法には制限があった。
即ち
(1)成分(A)下記式(1)
(2)式(1)で表される化合物が、下記式(2)
(3)前記成分(B)が、成分(B−1)(メタ)アクリル化合物を含む前項(1)又は(2)に記載のディスプレイ用接着剤、
(4)前記成分(B−1)が、(メタ)アクリレートモノマーを含む前項(3)に記載のディスプレイ用接着剤、
(5)前記成分(B−1)が、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群より選択される一種以上の(メタ)アクリレートオリゴマーを含む前項(3)又は(4)に記載のディスプレイ用接着剤、
(6)前記成分(B)が、成分(B−2)エポキシ化合物を含む前項(1)乃至(5)の何れか一項に記載のディスプレイ用接着剤、
(7)成分(C)有機フィラー及び/又は成分(D)無機フィラーを含有する前項(1)及至(6)のいずれか一項に記載のディスプレイ用接着剤、
(8)前記成分(C)が、ウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子、及びシリコーン微粒子からなる群より選択される一種以上の有機フィラーを含む前項(7)に記載のディスプレイ用接着剤、
(9)更に、成分(E)シランカップリング剤を含有する前項(1)及至(8)のいずれか一項に記載のディスプレイ用接着剤、
(10)前項(1)乃至(9)のいずれか一項に記載のディスプレイ用接着剤の硬化物を含む光学部材、
(11)前項(10)に記載の光学部材を備えたタッチパネル、
(12)前項(1)乃至(9)のいずれか一項に記載のディスプレイ用接着剤を用いた液晶シール剤又は液晶表示セル用封止剤、及び
(13)前項(12)に記載の液晶シール剤の硬化物又は液晶表示セル用封止剤の硬化物を含む液晶表示セル、
に関する。
本発明のディスプレイ用接着剤が含有する光重合開始剤は、下記式(1)で表される化合物を含む。
式(1)のR1が表すアルコキシ基としては炭素数1乃至18のアルコキシ基であることが好ましく、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso−ペントキシ基、neo−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基及びn−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
式(1)のR1が表す有機基の具体例としての炭素数2乃至18のアルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基及び1−ブチニル基等が挙げられる。
式(1)のR1が表す有機基の具体例としての炭素数6乃至12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基及びトリル基等が挙げられ、炭素数6乃至10のアリール基であることが好ましい。
式(1)のR1が表す有機基の具体例としての炭素数7乃至18のアロイル基としては、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基及びフタロイル基等が挙げられる。
式(1)のR1が表す有機基の具体例としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
式(1)のR2乃至R6が表すアルコキシ基としては、式(1)のR1が表すアルコキシ基と同じものが挙げられる。
式(1)のR2乃至R6が表す有機基の具体例としてのアルキル基、アリール基及びアシル基としては、例えば、炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数6乃至20のアリール基及び炭素数1乃至20のアシル基と同じものが挙げられる。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であってもよい。例えば、R2乃至R6の2つ以上が結合して、R2乃至R6が結合しているベンゼン環上の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していてもよい。
また、式(1)のR2乃至R6としては、それらの2つ以上が結合して、R2乃至R6が結合しているベンゼン環上の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン又はインデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
式(2)のAが表すシクロアルキレン基とは、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環及びアダマンタン環等の飽和の環状炭化水素から2つの水素原子を除いた二価の連結基であり、1,3−シクロペンチレン基又は1,4−シクロヘキシレン基であることが好ましく、1,4−シクロヘキシレン基であることがより好ましい。
即ち、式(2)で表される化合物としては、下記式(3)で表される化合物がより好ましい。
式(1)で表される化合物に混合して用い得る光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュアー184;BASF製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173;BASF製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュアー2959;BASF製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(ダロキュアMBF;BASF製)等が挙げられる。
水素引抜型光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アクリドン、2−エチルアントラキノン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン等を挙げることができる。
更に、例えば国際公開2012/011220に記載されている分子内に反応性基を有するチオキサントン化合物も式(1)で表される化合物に混合して用いることができる。
また、後述するエポキシ化合物と組み合わせる場合等、式(1)で表される化合物を含む成分(A)から光照射により発生した塩基性化合物が硬化剤として用いられる場合の成分(A)の含有量は、ディスプレイ用接着剤の固形分中に通常0.1乃至95質量%、好ましくは0.5乃至60質量%である。
本発明のディスプレイ用接着剤は、成分(B)として光重合性化合物(以下、単に「成分(B)」ともいう。)を含有する。
成分(B)としては、光や熱等によって硬化する化合物であれば特に限定されないが、(B−1)(メタ)アクリル化合物であることが好ましい。成分(B−1)としては、例えば、(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリルエステル化合物及びエポキシ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
尚、本明細書において「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基」を意味する。
(メタ)アクリレートモノマーは、一分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート及び一分子中に複数個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートの何れでもよい。
一分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等の炭素数5〜25のアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチル(メタ)アクリレート、等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート、水酸基を有する炭素数5乃至7のアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ブトキシ化リン酸(メタ)アクリレート及びエチレンオキシド変性オクチルオキシ化リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラフルフリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
同様に、ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリブタジエン分子の末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する。ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーは「BAC−45」(大阪有機化学工業社製)等として入手することができる。
ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリスチレン換算の数平均分子量が1000乃至50,000のものが好ましく、25,000乃至45,000程度のものがより好ましい。
また、成分(B)としては、(B−2)エポキシ化合物であることも好ましい。
エポキシ化合物としては特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ化合物が好ましく、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やレゾルシンジグリシジルエーテルが好ましい。
本発明のディスプレイ用接着剤における成分(B)の含有量は、ディスプレイ用接着剤の固形分(溶剤を除く成分)中に通常5乃至80質量%、好ましくは5乃至70質量%、より好ましくは5乃至50質量%である。
本発明のディスプレイ用接着剤を液晶シール剤等の用途に用いる場合には、必要により成分(C)として有機フィラーを含有してもよい(以下、単に「成分(C)」ともいう。)。有機フィラーとしては、例えばウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子及びシリコーン微粒子が挙げられる。なおシリコーン微粒子としてはKMP−594、KMP−597、KMP−598(信越化学工業製)、トレフィルRTME−5500、9701、EP−2001(東レダウコーニング社製)が好ましく、ウレタン微粒子としてはJB−800T、HB−800BK(根上工業株式会社)、スチレン微粒子としてはラバロンRTMT320C、T331C、SJ4400、SJ5400、SJ6400、SJ4300C、SJ5300C、SJ6300C(三菱化学製)が好ましく、スチレンオレフィン微粒子としてはセプトンRTMSEPS2004、SEPS2063が好ましい。
これら有機フィラーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また2種以上を用いてコアシェル構造としても良い。これらのうち、好ましくは、アクリル微粒子、シリコーン微粒子である。
また、シリコーン微粒子としては、オルガノポリシロキサン架橋物粉体、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋物粉体等があげられる。また、複合シリコーンゴムとしては、上記シリコーンゴムの表面にシリコーン樹脂(例えば、ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂)を被覆したものがあげられる。これらの微粒子のうち、特に好ましいのは、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋粉末のシリコーンゴム又はシリコーン樹脂被覆直鎖ジメチルポリシロキサン架橋粉末の複合シリコーンゴム微粒子である。これらのものは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、好ましくは、ゴム粉末の形状は、添加後の粘度の増粘が少ない球状がよい。
本発明のディスプレイ用接着剤における成分(C)の含有量は、ディスプレイ用接着剤の固形分(溶剤を除く成分)中に通常50質量%以下、好ましくは5乃至40質量%である。
本発明のディスプレイ用接着剤を液晶シール剤等の用途に用いる場合には、必要により成分(D)として無機フィラーを含有してもよい(以下、単に成分(D)ともいう。)。無機フィラーとしては、シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムが挙げられるが、好ましくはシリカ、アルミナ、タルクである。これら無機フィラーは2種以上を混合して用いてもよい。
無機フィラーが大きすぎる場合には、狭ギャップの液晶表示セル製造時に上下のガラス基板の貼り合わせ時にギャップ形成がうまくできない等の不良要因となるため、その平均粒子径は2000nm以下が適当であり、好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。また平均粒子径の好ましい下限値は10nm程度であり、より好ましくは100nm程度である。粒子径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定することができる。
本発明のディスプレイ用接着剤における成分(D)の含有量は、ディスプレイ用接着剤の固形分(溶剤を除く成分)中に通常50質量%以下、好ましくは5乃至40質量%である。無機フィラーの含有量が50質量%を超える場合、フィラーの含有量が多すぎるために所望のセルギャップを形成できない恐れがある。
本発明のディスプレイ用接着剤は、成分(E)としてシランカップリング剤を添加して、接着強度や耐湿性の向上を図ることができる(以下、単に成分(E)ともいう。)。
成分(E)としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤はKBMシリーズ、KBEシリーズ等として信越化学工業株式会社等によって販売されている為、市場から容易に入手可能である。
本発明のディスプレイ用接着剤にお成分(E)の含有量は、ディスプレイ用接着剤の固形分(溶剤を除く成分)中に通常5質量%以下、好ましくは0.05乃至3質量%である。
本発明のディスプレイ用接着剤におけるこれら添加剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば何ら限定されるものではないが、ディスプレイ用接着剤の固形分(溶剤を除く成分)中に通常75質量%以下、好ましくは0.1乃至75質量%程度である。
本発明の光学部材の製造方法においては、下記工程1乃至3により、少なくとも2つの光学基材を貼り合わせされることが好ましい。尚、工程2の段階で十分な接着強度が確保できると判断される場合は、工程3を省くことも可能である。
(工程2)工程1で得られた光学基材の硬化物層の未硬化部分に対して、他の光学基材を貼り合わせるか、又は、工程1により得られた他の光学基材の硬化物層の未硬化部分を貼り合わせる工程。
(工程3)貼り合された光学基材における未硬化部分を有する硬化物層に、遮光部を有する光学基材を通して、紫外線を照射して、該硬化物層を硬化させる工程。
ここで、本発明のディスプレイ用接着剤は、2つ以上の基板を貼り合わせる際に、少なくとも一つの基板に対しては液状で塗布され、もう一方の基板に対しては液状又は未硬化部分を有する状態(半硬化状態)で貼り合わされた後、紫外線により硬化させる場合において、特に優れた接着効果を奏し、空気の介在を防ぐことができるため、このような場合に使用することが特に好ましい。
この方法は、液晶表示ユニット1と透明基板2を貼り合わせることにより光学部材を得る方法である。
液晶表示ユニット1は、電極を形成した一対の基板間に液晶材料が封入されたものに偏光板、駆動用回路、信号入力ケーブル、バックライトユニットが備わったものを言う。
透明基板2は、ガラス板、ポリメチルメタクリレート(PMMA)板、ポリカーボネート(PC)板、脂環式ポリオレフィンポリマー(COP)板等の透明基板である。
ここで、透明基板2は透明基板の表面上に黒色枠状の遮光部4を有するものを好適に使用でき、遮光部4はテープの貼付や塗料の塗布又は印刷等によって形成されている。尚、本発明においては遮光部4を有さないものにも適用できるが、以下の実施形態の説明では、遮光部4を備える場合を具体例として説明を行う。遮光部4を有さない場合には、「遮光部を有する透明基板」を「透明基板」と読み替えれば、そのまま遮光部を有さない場合の例と考えることができる。
まず、図1(a)に示すように、ディスプレイ用接着剤を、液晶表示ユニット1の表示面と遮光部を有する透明基板2の遮光部が形成されている面の表面に塗布する。塗布の方法としては、スリットコーター、ロールコーター、スピンコーター、スクリーン印刷法等が挙げられる。ここで、液晶表示ユニット1と遮光部を有する透明基板2の表面に塗布するディスプレイ用接着剤は同一であってもよいし、異なるディスプレイ用接着剤を用いても構わない。通常は両者が同じディスプレイ用接着剤であることが好ましい。
各ディスプレイ用接着剤の硬化物の膜厚は、貼り合せた後の樹脂硬化物層7が50乃至500μm、好ましくは50乃至350μm、更に好ましくは100乃至350μmとなるように調整される。ここで、遮光部を有する透明基板2の表面上に存在するディスプレイ用接着剤の硬化物層の膜厚はその膜厚にもよるが、通常、液晶表示ユニット1の表面上に存在するディスプレイ用接着剤の硬化物層の膜厚と同程度か又はそれよりも厚い方が好ましい。後記工程3において、紫外線を照射した後も、未硬化のまま残る部分を最小限にして、硬化不良の恐れをなくすためである。
本発明において、「未硬化」とは25℃環境下で流動性がある状態を示すものとする。また、紫外線照射後にディスプレイ用接着剤層を指で触り、指に液状成分が付着する場合は、未硬化部分を有するものと判断される。
紫外から近紫外の紫外線照射による硬化には、紫外から近紫外の光線を照射するランプであれば光源を問わない。例えば、低圧、高圧若しくは超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、(パルス)キセノンランプ、または無電極ランプ等が挙げられる。
ここで、上記照度比率となるように紫外線を照射する方法は、例えば、紫外から近紫外の光線を照射するランプとして、当該照度比率の条件を満たすランプを適用する方法や、ランプ自体が当該照度の条件を満たさない場合であっても、工程1の照射時において短波長の紫外線をカットする基材(例えば、短波紫外線カットフィルター、ガラス板、フィルム等)を使用することで、このような照度比率で照射することが可能となる。紫外線の照度比率を調整する基材としては特には限定されないが、例えば、短波紫外線カット処理が施されたガラス板、ソーダ石灰ガラス、PETフィルム等が挙げられる。尚、石英ガラス等の表面に凹凸処理を施した減衰板等はあまり効果的ではない。これらのものは、光を散乱させて照度を落とすため、320nm以下の短波長の照度を選択的に小さくすることには向かない。
一方、工程3を省略する場合においては、真空中または硬化を促進させる気体(例えば、窒素)を噴霧しながら硬化を行うことが好適に行える。これにより、工程3を省略したとしても、十分な接着を行うことが可能となる。
次に、未硬化部分同士が対向する形で、図1(b)に示すように、液晶表示ユニット1と遮光部4を有する透明基板2を貼り合せる。貼り合せは、大気中及び真空中のいずれでもできる。ここで、貼り合わせの際に気泡が生じることを防ぐためには、真空中で貼り合わせることが好適である。このように、液晶表示ユニット及び透明基板の各々に硬化部分及び未硬化部分を有するディスプレイ用接着剤層を設けてから貼り合わせると、接着力の向上を期待することができる。貼り合わせは、加圧、プレス等により行うことができる。
次に、図1(c)に示すように、透明基板2及び液晶表示ユニット1を貼り合せて得た光学部材に、遮光部4を有する透明基板2側から紫外線8を照射して、ディスプレイ用接着剤(塗布層)を硬化させる。紫外線の照射量は積算光量で約100乃至4000mJ/cm2が好ましく、特に好ましくは、200乃至3000mJ/cm2程度である。紫外乃至近紫外の光線照射による硬化に使用する光源については、紫外乃至近紫外の光線を照射するランプであれば光源を問わない。例えば、低圧、高圧若しくは超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、(パルス)キセノンランプ、または無電極ランプ等が挙げられる。こうして、図4に示すような光学部材を得ることができる。
また、実施形態の項に記載したディスプレイ用接着剤の塗布方法、樹脂硬化物の膜厚、紫外線照射の際の照射量及び光源、及び、ディスプレイ用接着剤層表面に酸素又は窒素、またはオゾンを吹きかけることによる未硬化部分の膜厚調整方法等はいずれも、上記実施形態にのみ適用されるものでは無く、本発明に含まれるいずれの製造方法にも適用できる。
(i)遮光部を有する光学基材が、遮光部を有する透明ガラス基板、遮光部を有する透明樹脂基板、及び遮光部と透明電極が形成してあるガラス基板からなる群から選ばれる少なくとも一つの光学基材であり、それと貼り合される光学基材が液晶表示ユニット、プラズマ表示ユニットおよび有機ELユニットからなる群から選ばれる少なくとも一つの表示ユニットであり、得られる光学部材が、該遮光部を有する光学基材を有する表示体ユニットである態様。
(ii)一方の光学基材が遮光部を有する保護基材であり、それと貼り合される他の光学基材がタッチパネル又はタッチパネルを有する表示体ユニットであり、少なくとも2つの光学基材が貼り合された光学部材が、遮光部を有する保護基材を有するタッチパネル又はそれを有する表示体ユニットである態様。
この場合、工程1においては、遮光部を有する保護基材の遮光部を設けられた面、又は、タッチパネルのタッチ面の何れか一方の面又はその両者に、前記のディスプレイ用接着剤を塗布するのが好ましい。
この場合、工程1において、遮光部を有する光学基材の遮光部が設けられた側の面、又は、表示体ユニットの表示面の何れか一方、又は、その両者に、前記のディスプレイ用接着剤を塗布するのが好ましい。
遮光部を有する光学基材の具体例としては、例えば、遮光部を有する表示画面用の保護板、又は、遮光部を有する保護基材を設けたタッチパネル等を挙げることが出来る。
遮光部を有する光学基材の遮光部が設けられた側の面とは、例えば、遮光部を有する光学基材が遮光部を有する表示画面用の保護板であるときは、該保護板の遮光部が設けられた側の面である。また、遮光部を有する光学基材が、遮光部を有する保護基材を有するタッチパネルであるときには、遮光部を有する保護基材は遮光部を有する面がタッチパネルのタッチ面に貼り合されることから、遮光部を有する光学基材の遮光部が設けられた側の面とは、該タッチパネルのタッチ面とは反対のタッチパネルの基材面を意味する。
光学基材の材質としては、様々な材料が使用できる。具体的には、PET、PC、PMMA、PCとPMMAの複合体、ガラス、COC、COP、プラスチック(アクリル樹脂等)等の樹脂が挙げられる。本発明に用いる光学基材、例えば透明板又はシートとしては、偏光板等のフィルム又はシートを複数積層したシート又は透明板、積層していないシート又は透明板、及び、無機ガラスから作成された透明板(無機ガラス板及びその加工品、例えばレンズ、プリズム、ITOガラス)等を使用することができる。
また、本発明に用いる光学基材は、上記した偏光板などの他、タッチパネル(タッチパネル入力センサー)又は下記の表示ユニット等の、複数の機能板又はシートからなる積層体(以下、「機能性積層体」とも言う。)を含む。
本発明に用いる光学基材として使用することができるタッチパネル表面の材質としては、ガラス、PET、PC、PMMA、PCとPMMAの複合体、COC、COPが挙げられる。
また、本発明の製造方法において、光学基材の一つとして液晶表示装置等の表示ユニットを使用し、他の光学基材として光学機能材料を使用することにより、光学機能材料付き表示体ユニット(以下、表示パネルともいう。)を製造することができる。上記の表示ユニットとしては、例えば、ガラスに偏光板を貼り付けてあるLCD、ELディスプレイ、EL照明、電子ペーパーやプラズマディスプレイ等の表示装置が挙げられる。また、光学機能材料としては、アクリル板、PC板、PET板、PEN板等の透明プラスチック板、強化ガラス、タッチパネル入力センサーが挙げられる。
(i)遮光部を有する光学基材と前記機能性積層体とを、本発明のディスプレイ用接着剤の硬化物を用いて貼り合わせた光学部材。
(ii)遮光部を有する光学基材が、遮光部を有する透明ガラス基板、遮光部を有する透明樹脂基板、及び、遮光物と透明電極が形成してあるガラス基板からなる群から選ばれる光学基材であり、機能性積層体が表示体ユニット又はタッチパネルである上記(i)に記載の光学部材。
(iii)表示体ユニットが液晶表示体ユニット、プラズマ表示体ユニットおよび有機EL表示ユニットのいずれかである上記(ii)に記載の光学部材。
(iv)遮光部を有する板状又はシート状の光学基材を、タッチパネルのタッチ面側の表面に本発明のディスプレイ用接着剤の硬化物を用いて貼り合わせたタッチパネル(又はタッチパネル入力センサー)。
(v)遮光部を有する板状又はシート状の光学基材を、表示体ユニットの表示画面上に本発明のディスプレイ用接着剤の硬化宇物を用いて貼り合わせた表示パネル。
(vi)遮光部を有する板状又はシート状の光学基材が、表示体ユニットの表示画面を保護するための保護基材又はタッチパネルである、上記(v)に記載の表示パネル。
(vii)ディスプレイ用接着剤が、前記(1)〜(18)のいずれか一項に記載のディスプレイ用接着剤である、上記(i)〜(vi)のいずれか一項に記載の光学部材、タッチパネル又は表示パネル。
特開2017−105749号公報の実施例6の記載に準じて、式(1)で表される化合物(A−1)を得た。
国際公開第2006/027982号の合成例1の記載に準じて、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンの反応物を得た。
レゾルシンジグリシジルエーテル樹脂140部をトルエン160部に溶解させ、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.48部を加え、60℃まで昇温した。その後、アクリル酸100部(グリシジルエーテル樹脂中のエポキシ基と等当量に相当)を加えて更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.96部を添加して、98℃で約50時間攪拌した。得られた反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、レゾルシンのエポキシアクリレート(B−1)を241部得た。
下記表1に示す割合で(A−1)、(B−1)及び(B−2)を混合し、90℃まで昇温した後に(C−1)を溶解させた。前記で得られた混合物を室温まで冷却し、(D−1)及び(E−1)を添加して攪拌した後、更に3本ロールミルで分散させた。前記で得られた組成物を金属メッシュ(635メッシュ)で濾過することにより本発明のディスプレイ用接着剤を得た。
(A−1)を合成例2で得られた2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンの反応物に変更した以外は実施例1に準じて、比較用の接着剤を得た。
実施例1及び比較例1で得られた各接着剤に4μmのグラスファイバー(日本電気硝子(株)社製)を1質量%添加、混合し、クロムのエッチング膜からなる50μmのラインと10μmのスペースが交互に設けられたガラス基板に塗布した後、対向基板としてブラックマトリクス基板を貼り合せて評価用のサンプルを得た。前記で得られサンプルに、ライン/スペースの設けられたガラス基板側からメタルハライドランプで3000mJ/cm2(100mW/cm2で30秒間)の紫外光を照射した後、各サンプルの硬化幅を顕微鏡で観察した。また、前記で得られた紫外線を照射した各サンプルに、更に120℃で1時間の加熱処理を施した後、各サンプルの硬化幅を顕微鏡で観察した。結果を表1に示した。
2 遮光部を有する透明基板
3 透明基板
4 遮光部
5 ディスプレイ用接着剤
6 未硬化部分を有する硬化物層
7 樹脂硬化物層
8 紫外線
Claims (12)
- 成分(A)下記式(1)
- 前記成分(B)が、成分(B−1)(メタ)アクリル化合物を含む請求項1又は2に記載のディスプレイ用接着剤。
- 前記成分(B−1)が、(メタ)アクリレートモノマーを含む請求項3に記載のディスプレイ用接着剤。
- 前記成分(B−1)が、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群より選択される一種以上の(メタ)アクリレートオリゴマーを含む請求項3又は4に記載のディスプレイ用接着剤。
- 成分(C)有機フィラー及び/又は成分(D)無機フィラーを含有する請求項1及至5のいずれか一項に記載のディスプレイ用接着剤。
- 前記成分(C)が、ウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子、及びシリコーン微粒子からなる群より選択される一種以上の有機フィラーを含む請求項6に記載のディスプレイ用接着剤。
- 更に、成分(E)シランカップリング剤を含有する請求項1及至7のいずれか一項に記載のディスプレイ用接着剤。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のディスプレイ用接着剤の硬化物を含む光学部材。
- 請求項9に記載の光学部材を備えたタッチパネル。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のディスプレイ用接着剤を用いた液晶シール剤又は液晶表示セル用封止剤。
- 請求項11に記載の液晶シール剤の硬化物又は液晶表示セル用封止剤の硬化物を含む液晶表示セル。
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