本発明について、以下具体的に説明する。
本明細書において、炭素原子を単に“C”で、水素原子を“H”で、酸素原子を“O”で、イオウ原子を“S”で、また窒素原子を“N”で表すことがある。またカルボニル基を単に“−C(O)−”で、カルボキシル基を“−COO−”で、スルフィニル基を“−S(O)−”で、スルホニル基を“−S(O)2−で、エーテル結合を“−O−”で、チオエーテル結合を“−S−”で表すことがある(この場合の“−”は結合を表す)。
本明細書中、炭素数1〜4個のアルキルとは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及びそれらの異性体[ノルマル(n)、イソ(iso)、セカンダリー(sec)、ターシャリー(t)など]を示す。
本明細書中、炭素数2〜6個のアシルとは、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、及びそれらの異性体を示す。
本明細書中、炭素数1〜4個のアルコキシとは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びそれらの異性体を示す。
本明細書中、ハロゲンとしては、フルオロ(−F)、クロロ(−Cl)、ブロモ(−Br)、又はヨード(−I)を示す。
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキレン、アルケニレン、及びアルキニレンには直鎖状のもの及び分枝鎖状のものが含まれる。さらに、二重結合、環、又は縮合環に基づく異性体(E又はZ異性体、あるいはシス又はトランス異性体)、不斉炭素の存在などに基づく異性体(R−又はS−異性体、α−又はβ−配置に基づく異性体、エナンチオマー、あるいはジアステレオマーなど)、旋光性を有する光学活性体(D−又はL−体、又はd−又はl−体)、クロマトグラム分離による極性の違いに基づく異性体(高極性体又は低極性体)、平衡化合物、回転異性体、又はこれら任意の割合の混合物、あるいはラセミ混合物はすべて本発明に含まれる。
本明細書においては、特に断らない限り、当業者にとって明らかなように記号
は紙面の向こう側(すなわちα−配置)に結合していることを表し、記号
は紙面の手前側(すなわちβ−配置)に結合していることを表し、記号
はα−配置又はβ−配置のいずれか、あるいはそれらの混合物であることを表し、記号
はα−配置及びβ−配置の混合物であることを表す。
以下、式(1)で示される化合物又はその塩について詳細に説明する。
R1としては、−H又はハロゲンが例示される。別の態様としては、−H、−Cl、又は−Brが例示される。さらに別の態様としては、−Hが例示される。
Ar
1としては、−F及びメチルからなる群より選択される1〜3個の同一又は異なった置換基で置換されていてもよい、G
1群より選択されるいずれかの置換基(但し、
を除く)が例示される。
ここで、G
1群は
からなる群(a、bは結合向きを示す)である。
前記−F及びメチルからなる群の別の態様としては、−Fが例示され、されに別の態様としてはメチルが例示される。
Ar
1の別の態様としては、
からなる群より選択されるいずれかの置換基が例示される。
Ar
1のさらに別の態様としては、
からなる群より選択されるいずれかの置換基が例示される。
Ar1が、−F及びメチルからなる群より選択される1〜3個の同一又は異なった置換基で置換されている場合、別の態様としては−F及びメチルからなる群より選択される1又は2個の同一又は異なった置換基で置換されていることが例示され、さらに別の態様としては1個の−F又はメチルで置換されていることが例示される。無置換であることも好ましい態様の一つである。
Ar
2としては、シアノ、−Cl、メチル、メトキシ、及びフェニルからなる群より選択される1〜3個の同一又は異なった置換基で置換されていてもよい、G
2群より選択されるいずれかの置換基(但し、
を除く)が例示される。
ここでG2群は、フェニル、チエニル、フリル、及びチアゾリルからなる群である。
前記シアノ、−Cl、メチル、メトキシ、及びフェニルからなる群の別の態様としては、シアノが例示される。
G2群の別の態様としては、チエニル及びフリルからなる群が例示される。
G
2群のさらに別の態様としては、チエニルが例示される。
Ar
2の別の態様としては、
からなる群より選択されるいずれかの置換基が例示される。
Ar
2のさらに別の態様としては、
からなる群より選択されるいずれかの置換基が例示される。
Ar
2のさらに別の態様としては、
からなる群より選択されるいずれかの置換基が例示される。
Ar
2のさらに別の態様としては、
からなる群より選択されるいずれかの置換基が例示される。
Ar2が、シアノ、−Cl、メチル、メトキシ、及びフェニルからなる群より選択される1〜3個の同一又は異なった置換基で置換されている場合、別の態様としてはシアノ、−Cl、メチル、メトキシ、及びフェニルからなる群より選択される1又は2個の同一又は異なった置換基で置換されていることが例示され、さらに別の態様としては1個のシアノ、−Cl、メチル、メトキシ、又はフェニルで置換されていることが例示される。無置換であることも好ましい態様の一つである。
本発明に包含される具体的化合物として、以下の化合物が例示される。
また、本発明に包含される具体的化合物の別の態様として、以下の化合物が例示される。
本明細書において、「式(1)で示される化合物」としては、式(1)で示される遊離状の化合物として一般的には理解される。またその塩としては以下の塩が挙げられる。
すなわち、式(1)で示される化合物の塩としては、その種類は特に限定されず、酸付加塩又は塩基付加塩のいずれであってもよく、分子内対イオンの形態をとっていてもよい。特に医薬の有効成分とする際には、その塩としては薬学的に許容される塩が好ましい。本明細書において、医薬としての使用に関連して開示される場合には、式(1)で示される化合物の塩としては、薬学的に許容される塩であると通常は理解される。酸付加塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、又はリン酸等の無機酸との酸付加塩、或いはギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、マレイン酸、フマル酸、アスパラギン酸、又はグルタミン酸等の有機酸との酸付加塩が含まれる。塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基との塩基付加塩、メチルアミン、2−アミノエタノール、アルギニン、リジン、又はオルニチン等の有機塩基との塩基付加塩などを例示することができる。もっとも、塩の種類はこれらに限定されることはなく、当業者が適宜選択可能であることは言うまでもない。
本発明の化合物は水和物の形態を含む。また、本発明の化合物は無水物の形態も含む。
本発明の化合物は溶媒和物の形態を含む。また、本発明の化合物は無溶媒和物の形態も含む。
本発明の化合物は結晶の形態を含む。また、本発明の化合物は非晶質の形態も含む。
より具体的に記載すると、本発明の化合物は「式(1)で示される化合物」の無水物かつ無溶媒和物、又はその水和物及び/若しくは溶媒和物を含み、或いはさらにそれらの結晶を含む。
また、本発明の化合物は「式(1)で示される化合物の塩」の無水物かつ無溶媒和物、又はその塩の水和物及び/若しくは溶媒和物を含み、或いはさらにそれらの結晶を含む。
本発明の化合物は「式(1)で示される化合物」の薬学的に許容されるプロドラッグも含む場合がある。薬学的に許容されるプロドラッグとは、加溶媒分解により又は生理学的条件下で、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等に変換され得る基を有する化合物である。例えば、水酸基及びアミノ基についてプロドラッグを形成する基としては、例えばアシル基、アルコキシカルボニル基が例示される。また、カルボキシル基についてプロドラッグを形成する基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、又はジエチルアミノ基が例示される。
例えば相当するハロゲン化物等のプロドラッグ化試薬を用いて、本発明の化合物における水酸基及びアミノ基から選択される1以上の任意の基に、常法に従い適宜プロドラッグを形成する基を導入した後、所望に応じ、適宜常法に従い単離精製することにより製造することができる。また、本発明の化合物におけるカルボキシル基に、相当するアルコール又はアミン等のプロドラッグ化試薬を用いて、常法に従い適宜プロドラッグを形成する基を導入することもできる。
本発明の化合物は不斉炭素を有する場合がある。これらの不斉炭素の立体は特に限定されず、S配置又はR配置のいずれか、あるいは両者の混合物であってもよい。これらの不斉炭素に基づく純粋な形態の光学活性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などはいずれも本発明の化合物に含まれる。
特に式(1)における“*”で示される不斉炭素において、その立体配置は特に限定されることはないが、以下で示す立体配置は好ましい態様の一つである。
上記立体配置は、Ar
1がG
1群におけるベンゼン環の場合はS配置、Ar
1がG
1群におけるチオフェン環の場合はR配置である。
<本発明の化合物の製造方法>
本発明の化合物は、文献には記載されていない新規化合物である。本発明の化合物は、例えば下記の方法により製造できるが、本発明の化合物の製造方法は下記の方法に限定されるものではない。
それぞれの反応において、反応時間は特に限定されないが、後述の分析手段により反応の進行状態を容易に追跡できるため、目的物の収量が最大となる時点で終了すればよい。また、それぞれの反応は必要により、例えば、窒素気流下またはアルゴン気流下などの不活性ガス雰囲気下で行うことができる。それぞれの反応において、保護基による保護及びその後の脱保護が必要な場合は、後述の方法を利用することにより適宜反応を行うことができる。
本発明において用いられる保護基としては次のようなものが挙げられる。すなわち、カルボキシル基(−COOH)に対する保護基、水酸基(−OH)に対する保護基、アルキニルに対する保護基およびアミノ基(−NH2)に対する保護基などが挙げられる。
カルボキシルに対する保護基としては、例えば炭素数1〜4個のアルキル、炭素数2〜4個のアルケニル、炭素数1〜4個のアルコキシで置換された炭素数1〜4個のアルキル、1〜3個のハロゲンで置換された炭素数1〜4個のアルキルなどが挙げられ、具体的にはメチル、エチル、t−ブチル、アリル、メトキシエチル、トリクロロエチルなどが挙げられる。
水酸基に対する保護基としては、例えば、炭素数1〜4個のアルキル、炭素数2〜4個のアルケニル、炭素数1〜4個のアルコキシで置換された炭素数1〜4個のアルキル、1〜3個のハロゲンで置換された炭素数1〜4個のアルキル、3個の同一又は異なる炭素数1〜4個のアルキルあるいはフェニルにより置換されたシリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、プロパルギル、トリメチルシリルエチルなどが挙げられ、具体的には、メチル、エチル、t−ブチル、アリル、メトキシメチル(MOM)、メトキシエチル(MEM)、トリクロロエチル、フェニル、メチルフェニル、クロロフェニル、ベンジル、メチルベンジル、クロロベンジル、ジクロロベンジル、フルオロベンジル、トリフルオロメチルベンジル、ニトロベンジル、メトキシフェニル、N−メチルアミノベンジル、N,N−ジメチルアミノベンジル、フェナシル、トリチル、1−エトキシエチル(EE)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフリル、プロパルギル、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、アセチル(Ac)、ピバロイル、ベンゾイル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、又は2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)などが挙げられる。
アルキニルに対する保護基としてはトリメチルシリルや2−ヒドロキシ−2−プロピルなどが挙げられる。
アミノ基に対する保護基としては、例えばベンジル、メチルベンジル、クロロベンジル、ジクロロベンジル、フルオロベンジル、トリフルオロメチルベンジル、ニトロベンジル、メトキシフェニル、N−メチルアミノベンジル、N,N−ジメチルアミノベンジル、フェナシル、アセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、ベンゾイル、アリルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル(Boc)、1−メチル−1−(4−ビフェニル)エトキシカルボニル(Bpoc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル、ベンジルオキシメチル(BOM)、又は2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEM)などが挙げられる。
保護基は、製造工程の途中、あるいは最終段階において製造と同時、又は順次に、脱保護化することにより目的化合物に変換することができる。保護・脱保護反応は、公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons 刊(2007年版)に記載の方法などに準じて行えばよいが、例えば、以下に示す(1)〜(6)に挙げた方法などにより実施することができる。
(1)アルカリ加水分解による脱保護反応は、例えば極性溶媒中塩基と反応せしめることで行われる。ここで用いる塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、又はカリウムt−ブトキシドなどのアルカリ金属塩基や、トリエチルアミンなどの有機塩基が挙げられる。これらの使用量は反応物に対し、アルカリ金属塩基の場合、通常は1〜20倍モル量、好ましくは1〜10倍モル量が例示され、また、有機塩基の場合、1倍モル〜大過剰量が例示される。反応溶媒は、通常、反応を妨げない不活性媒体、好ましくは極性溶媒中で反応せしめることが好ましい。極性溶媒としては水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、又はジオキサン等が挙げられ、必要に応じてこれらを混合して用いることができる。反応温度は、例えば−10℃〜溶媒の還流温度までの適当な温度が選択される。反応時間はアルカリ金属塩基を用いた場合、通常は0.5〜72時間で、好ましくは1〜48時間が例示され、有機塩基を用いた場合、通常は5時間〜14日間が例示されるが、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により反応経過を追跡することが可能であるから、通常は目的化合物の収量が最大となるところで適宜反応を終了させればよい。
(2)酸性条件下での脱保護反応は、例えば有機溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、又はアニソール等)中、有機酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、又はp−トルエンスルホン酸等)、ルイス酸(三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素、臭化アルミ、または塩化アルミ等)又は無機酸(塩酸、又は硫酸等)若しくはこれらの混合物(臭化水素/酢酸等)中、−10〜100℃の温度で行なわれる。また添加剤としてエタンチオール、又は1,2−エタンジチオールなどを添加する方法もある。
(3)加水素分解による脱保護反応は、例えば溶媒[エーテル系(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、又はジエチルエーテル等)、アルコール系(メタノール、又はエタノール等)、ベンゼン系(ベンゼン、又はトルエン等)、ケトン系(アセトン、又はメチルエチルケトン等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、アミド系(ジメチルホルムアミド等)、エステル系(酢酸エチル等)、水、酢酸、又はそれらの2種類以上の混合溶媒等]中、触媒(パラジウム炭素粉末、酸化白金(PtO2)、活性化ニッケル等)の存在下、常圧又は加圧下の水素ガス、ギ酸アンモニウム、又はヒドラジン水和物などの水素源存在下、−10〜60℃での温度で行なわれる。
(4)シリル基の脱保護反応は、例えば水と混和しうる有機溶媒(テトラヒドロフラン、又はアセトニトリル等)中、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド等を用いて、−10〜60℃の温度で行なわれる。
(5)金属を用いた脱保護反応は、例えば酸性溶媒(酢酸、pH4.2〜7.2の緩衝液又はそれらの溶液とテトラヒドロフラン等の有機溶媒との混合液)中、粉末亜鉛の存在下、超音波をかけるか、又は超音波をかけないで、−10〜60℃の温度で行なわれる。
(6)金属錯体を用いた脱保護反応は、例えば有機溶媒(ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジオキサン、又はエタノール等)、水又はそれらの混合溶媒中、トラップ試薬(水素化トリブチルスズ、トリエチルシラン、ジメドン、モルホリン、ジエチルアミン、又はピロリジン等)、有機酸(酢酸、ギ酸、又は2−エチルヘキサン酸等)及び/又は有機酸塩(2−エチルヘキサン酸ナトリウム、又は2−エチルヘキサン酸カリウム等)の存在下、ホスフィン系試薬(トリフェニルホスフィン等)の存在下又は非存在下、金属錯体[テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、又は塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)等]を用いて、−10〜60℃の温度で行なわれる。
式(1)で示される本発明の化合物は、例えば下記の反応経路に従って製造することが可能である。下記スキーム中、「STEP」とは工程を意味し、例えば「STEP1−1」とは工程1−1であることを示している。
工程1−1
式(1)で示される化合物は、式(2)[式(2)中、「Pro
1」は式(1)におけるカルボキシルの保護基を示す。]で示される化合物において、保護基Pro
1を脱保護することにより製造することができる。脱保護反応は、公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons 刊(2007年版)に記載の方法などに準じて行えばよい。
Pro
1は上記のカルボキシルの保護基であれば特に限定されないが、例えば炭素数1〜4個のアルキルが挙げられる。
工程1−2
式(2)で示される化合物は式(3)[式(3)中、「Pro2」は式(1)における水酸基の保護基を示す。「Pro1」は前記と同義である。]で示される化合物において、保護基を脱保護することにより製造することができる。脱保護反応は、公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons 刊(2007年版)に記載の方法などに準じて行えばよい。
Pro2は上記の水酸基の保護基であれば特に限定されないが、式(5)中のTMSと選択的に脱保護を行うために、Pro2はTMS以外であることが好ましい。Pro2としては、例えばtert−ブチル基、MOM基、MEM基、THP基、アセチル基、又はTBDMS基が挙げられる。
工程1−3
式(3)で示される化合物は式(4)[式(4)中、「Pro1」、「Pro2」は前記と同義である。]で示される化合物と、式(11)[式(11)中、「hal1」はブロモまたはヨードを示す]で示される化合物を、塩基及びパラジウム触媒の存在下カップリングすることによって製造される。式(4)で示される化合物と式(11)で示される化合物との反応に際して、式(11)で示される化合物の使用量は、式(4)で示される化合物に対して1/5から20当量用いることができ、好ましくは1/2当量から10当量であり、より好ましくは1当量から5当量である。但し、式(4)で示される化合物の純度、収率、精製効率等を考慮して式(11)で示される化合物の使用量を適宜設計すればよい。
塩基としては、例えば炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸カリウムなどを使用することができ、好ましくは炭酸セシウムである。塩基の使用量は原料となる式(4)で示される化合物に対して当量ないし過剰量使用することができ、例えば1当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量である。
パラジウム触媒としては、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(メチルジフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ―o―トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、塩化ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウムなど、市販されている触媒をそのまま反応系中に加えてもよいし、酢酸パラジウムやトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどと任意の配位子から別途調製、単離した触媒を加えてもよい。また、酢酸パラジウムやトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどと任意の配位子を混合することによって反応系中で実際に反応に関与すると考えられる触媒を調製してもよい。パラジウムの価数は0であっても+2であってもよい。特に、塩化ビス(アセトニトリル)パラジウムが好ましい例として挙げられる。
任意の配位子からパラジウム触媒を調製する場合に使用される配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、1,1’− ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2' −ジメチルアミノ−1,1’−ビフェニル、2− (ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2− (ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、キサントフォス、トリ(tert−ブチル)ホスフィンなどのホスフィン配位子が例示される。又は、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル、1,2,3,4,5−ペンタメチル−1’(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセン)なども例示されるが、好ましくは2−ジシクロヘキシル−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルが挙げられる。
用いるパラジウム触媒の当量数は、等量であっても触媒量であってもよいが、原料化合物に対して0.01mol%以上が好ましく、特に0.10−50.0mol% がより好ましい。反応に用いる溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、キシレン、トルエン、1,4−ジオキサン、又はテトラヒドロフランなどが挙げられ、アセトニトリルが好ましい例として挙げられる。また、これらの溶媒を2種以上混合して用いることもできる。反応温度は通常−40℃から100℃で行うことができ、好ましくは−20℃から60℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から48時間が例示され、1時間から24時間が好ましい例として挙げられる。
工程1−4
式(4)で示される化合物は、式(5)[式(5)中「Pro1」、「Pro2」は前記と同義である。]で示される化合物において、TMSを選択的に脱保護することにより製造することができる。脱保護反応は、公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons 刊(2007年版)に記載の方法などに準じて行えばよい。
具体的には、例えば式(5)で示される化合物を、有機溶媒中無機塩基を作用させることによって製造できる。無機塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸カリウムなどを使用することができ、好ましくは炭酸カリウムである。塩基の使用量は、原料となる式(5)で示される化合物に対して当量ないし過剰量使用することができ、例えば1当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量である。反応に用いる溶媒としては、メタノール、エタノールが挙げられ、メタノールが好ましい例として挙げられる。反応温度は通常−20℃から60℃で行うことができ、好ましくは0℃から40℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から48時間が例示され、1時間から24時間が好ましい例として挙げられる。
工程1−5
式(5)で示される化合物は式(6)[式(6)中、「Pro1」、「Pro2」は前記と同義である。式(6)中、「hal2」はブロモまたはヨードを示す。]で示される化合物と、式(13)で示される化合物とを、無機塩基存在下、有機溶媒中でカップリングすることにより製造できる。工程1−3と同様の方法に従って製造することができるが、その際、式(13)で示される化合物の使用量は、式(6)で示される化合物に対して1/5から20当量用いることができ、好ましくは1/2当量から10当量であり、より好ましくは1当量から5当量である。
工程1−6
式(6)で示される化合物は式(7)[式(7)中、「Pro1」、「hal2」は前記と同義である。]で示される化合物の水酸基を保護することで製造できる。水酸基の保護反応は、公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons 刊(2007年版)に記載の方法などに準じて行えばよい。水酸基の保護基としては、前記の水酸基の保護基であれば特に限定されないが、例えばtert−ブチル基、MOM基、MEM基、THP基、アセチル基、又はTBDMS基などを用いることができる。
工程1−7
式(7)で示される化合物は、式(9)で示される化合物[式(9)中、「Pro1」、「hal2」は前記と同義である。]に、有機溶媒中還元剤を作用させることによって製造できる。還元剤としては、例えばナトリウムボロヒドリド、リチウムボロヒドリド、トリアセトキシボロヒドリド、シアノボロヒドリドなどが使用でき、好ましくはナトリウムボロヒドリドである。還元剤の使用量は原料となる式(9)で示される化合物に対して1/4当量から過剰量使用することができ、例えば1/4当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量である。反応に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はそれらとテトラヒドロフランとの混媒が挙げられ、メタノールが好ましい例として挙げられる。反応温度は通常−20℃から60℃で行うことができ、好ましくは0℃から40℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から48時間が例示され、1時間から24時間が好ましい例として挙げられる。
工程1−8
式(9)で示される化合物は、式(10)で示される化合物[式(10)中、「Pro1」は前記と同義である。]に式(14)で示される化合物[式(14)中、「hal2」は前記と同義である。]を作用させることによって製造できる。式(14)で示される化合物の使用量は、原料となる式(10)で示される化合物に対して当量から過剰量使用することができ、例えば当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量である。反応に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はそれらと水との混媒が挙げられ、エタノールが好ましい例として挙げられる。反応温度は通常0℃から120℃で行うことができ、好ましくは40℃から100℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から48時間が例示され、1時間から24時間が好ましい例として挙げられる。
工程1−9
式(3)で示される化合物は、式(6)[式(6)中、「Pro
1」、「Pro
2」、「hal
2」は前記と同義である。]で示される化合物と、一般式(12)で示される化合物から、工程1−3と同様の方法に従って製造することができる場合もある。その際、式(12)で示される化合物の使用量は、式(6)で示される化合物に対して1/5から20当量用いることができ、好ましくは1/2当量から10当量であり、より好ましくは1当量から5当量である。
工程1−10
式(2)で示される化合物は、式(8)[式(8)中、「Pro
1」は前記と同義である。]で示される化合物から、工程1−7と同様の方法に従って製造することができる場合もある。
工程1−11
式(8)で示される化合物は、式(9)[式(9)中、「Pro
1」は前記と同義である。]で示される化合物のうち「hal
2」がヨウ素原子であるものと、式(12)で示される化合物を、塩基、銅触媒、及びパラジウム触媒の存在下カップリングすることによって製造される。式(9)で示される化合物と式(12)で示される化合物との反応に際して、式(12)で示される化合物の使用量は、式(9)で示される化合物に対して1/5から20当量用いることができ、好ましくは1/2当量から10当量であり、より好ましくは1当量から5当量であるが、式(8)で示される化合物の純度、収率、精製効率等を考慮して適宜設計すればよい。
塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、モルホリン、ピペリジン、ピリジンなどを使用することができ、好ましくはジエステルアミンである。塩基の使用量は原料となる式(9)で示される化合物に対して当量ないし過剰量使用することができ、例えば1当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量である。
銅触媒としては、例えばヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)などが挙げられ、好ましくはヨウ化銅(I)である。
用いる銅触媒の当量数は、等量であっても触媒量であってもよいが、原料化合物に対して0.01mol%以上が好ましく、特に0.10−50.0mol% がより好ましい。
パラジウム触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(メチルジフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ―o―トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、塩化ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウムなど市販されている触媒をそのまま反応系中に加えてもよいし、酢酸パラジウムやトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどと任意の配位子から別途調製、単離した触媒を加えてもよい。また、酢酸パラジウムやトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどと任意の配位子を混合することによって反応系中で実際に反応に関与すると考えられる触媒を調製してもよい。パラジウムの価数は0であっても+2であってもよい。特に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい例として挙げられる。任意の配位子からパラジウム触媒を調製する場合、工程1−3で例示した配位子と同様の配位子を使用することができる。
用いるパラジウム触媒の当量数は、等量であっても触媒量であってもよいが、原料化合物に対して0.01mol%以上が好ましく、特に0.10−50.0mol% がより好ましい。
反応に用いる溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、キシレン、トルエン、1,4−ジオキサン、又はテトラヒドロフランなどが挙げられ、また無溶媒で反応を行うこともできる。好ましい例として無溶媒が挙げられる。反応温度は通常−40℃から100℃で行うことができ、好ましくは−20℃から60℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から48時間が例示され、1時間から24時間が好ましい例として挙げられる。
工程1−12
式(8)で示される化合物は、式(10)[式(10)中、「Pro
1」は前記と同義である。]で示される化合物と、式(15)で示される化合物から、工程1−8と同様の方法に従って製造することができる場合もある。
工程2−1
式(10)で示される化合物は、式(A1)[式(A1)中、「Pro1」は前記と同義である。]で示される化合物に、有機溶媒中塩基を作用させることによって製造できる。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸カリウムなどを使用することができ、好ましくは炭酸水素ナトリウムである。塩基の使用量は原料となる式(10)で示される化合物に対して当量ないし過剰量使用することができ、例えば1当量から20当量が例示され、好ましくは1当量から10当量である。添加剤としてヨウ化ナトリウムを使用することができ、使用量は原料となる式(10)で示される化合物に対して当量ないし過剰量使用することができ、例えば1当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量である。反応に用いる有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、またはこれらの混媒が挙げられ、アセトニトリルが好ましい例として挙げられる。反応温度は通常0℃から100℃で行うことができ、好ましくは20℃から60℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から48時間が例示され、1時間から24時間が好ましい例として挙げられる。
工程2−2
式(A1)で示される化合物は式(A2)[式(A2)中、「Pro1」は前記と同義である。]で示される化合物において、保護基を脱保護することにより製造することができる。脱保護反応は、公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons 刊(2007年版)に記載の方法などに準じて行えばよい。
工程2−3
式(A2)で示される化合物は式(A3)[式(A3)中、「Pro1」は前記と同義である。]で示される化合物に、塩基の存在下、クロロチオギ酸(2−クロロエチル)などのクロロチオギ酸エステルを作用させて製造することができる。使用するクロロチオギ酸エステルは、原料となる式(A2)で示される化合物に対して当量から過剰量使用することができ、例えば1当量から5当量が例示され、好ましくは1当量から2当量である。使用する塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、ジイソプロピルエチルアミン、またはトリエチルアミンなどを使用することができ、好ましくは炭酸水素ナトリウムである。反応に用いる溶媒としては、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリルなどがあげられ、好ましくはジクロロメタンである。反応温度は0℃から100℃で行うことができ、好ましくは10℃から30℃である。反応時間は特に限定されないが、通常1時間から24時間が例示され、2時間から4時間が好ましい例として挙げられる。
工程2−4
式(A3)で示される化合物は、式(A4)[式(A4)中、「Pro1」は前記と同義である。]で示される化合物に塩基の存在下、t−ブトキシカルボニルヒドラジンを作用させて製造することができる。使用する塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、ジイソプロピルエチルアミン、またはトリエチルアミンなどを使用することができ、好ましくは炭酸水素ナトリウムである。塩基の使用量は原料となる式(A4)で示される化合物に対して1当量から20当量が例示され、好ましくは3当量から5当量である。添加剤として、ヨウ化ナトリウムなどを使用することができる。反応に用いる溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、またはN−メチルピロリドンなどを使用することができ、アセトニトリルが好ましい例として挙げられる。反応温度は通常室温から150℃で行うことができ、好ましくは70℃から100℃である。反応時間は特に限定されないが、3時間から36時間が例示され、6時間から18時間が好ましい例として挙げられる。
工程2−5
式(A4)で示される化合物は、式(A5)[式(A5)中、「Pro1」は前記と同義である。]で示される化合物の水酸基をブロモに置き換えることで製造することができる。ブロモへの置換反応は、例えばトリフェニルホスフィンなどの存在下において、四臭化炭素またはN-ブロモコハク酸イミドなどを作用させて行うことができる。トリフェニルホスフィンの使用量は、原料である式(A5)で示される化合物に対して1当量から5当量が例示され、好ましくは1当量から2当量である。また、四臭化炭素などの使用量は、原料である式(A5)で示される化合物に対して1当量から5当量が例示され、好ましくは1当量から2当量である。反応に用いる溶媒としては、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、又はアセトニトリルなどがあげられ、好ましくはジクロロメタンである。反応温度は通常−20℃から40℃で行うことができ、好ましくは−10℃から10℃である。反応時間は特に限定されないが、通常3時間から36時間が例示され、12時間から20時間が好ましい例として挙げられる。
工程2−6
式(A5)で示される化合物は、式(A6)で示される化合物の水酸基の保護基を脱保護することによって製造することができる。脱保護は、公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons 刊(2007年版)に記載の方法などに準じて行えばよい。
工程2−6
式(A5)で示される化合物は、式(A6)で示される化合物のカルボン酸をエステルに変換し、且つ、水酸基の保護基を脱保護することによって製造することができる。反応は酸の存在下、アルコール溶媒中で進行させることができる。反応に使用する酸としては、硫酸、塩化水素、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸などが挙げられ、好ましくは硫酸が挙げられる。溶媒としてはメタノール、またはエタノールなどを使用することができ、メタノールが好ましい例として挙げられる。反応温度は通常室温から140℃で行うことができ、好ましくは50℃から80℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、2時間から24時間が例示され、8時間から16時間が好ましい例として挙げられる。
工程2−7
式(A6)で示される化合物は、式(A7)で示される化合物に、強塩基を作用させた後に、二酸化炭素などを作用させて製造することができる。強塩基としては、ジイソプロピルリチウムアミド、またはリチウムヘキサメチルジシラジドなどのリチウムアミドなどを用いることができ、また、R1が水素の場合は、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、またはn−プロピルリチウムなどの低級アルキルリチウムも用いることができ、ジイソプロピルリチウムアミドを用いることが好ましい。強塩基の使用量は、原料である式(A7)で示される化合物に対して1当量から3当量が例示され、好ましくは1当量から2当量である。反応に用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサンなどがあげられ、好ましくはテトラヒドロフランである。強塩基との反応温度は通常−100℃から−20℃で行うことができ、好ましくは−80℃から−60℃である。続く二酸化炭素などとの反応は、通常−40℃から40℃で行うことができ、好ましくは−20℃から10℃である。強塩基との反応時間は特に限定されないが、通常0.2時間から3時間が例示され、0.5時間から1時間が好ましい例として挙げられる。二酸化炭素等との反応時間は特に限定されないが、通常0.5時間から24時間が例示され、0.75時間から2時間が好ましい例として挙げられる。
工程2−8
式(A7)で示される化合物は、式(A8)で示される化合物の水酸基をTBDMSで保護することにより製造することができる。水酸基の保護は工程1−6と同様の方法を用いて行うことができる。
なお、式(A8)におけるR1がHの化合物は市販の化合物(2−(チオフェン−2−イル)エタノール:東京化成社製)である。従って、式(A8)におけるR1がHである場合、以下の工程は不要である。
工程2−9
式(A8)で示される化合物は、式(A9)[式(A9)中、「Pro3」は式(A8)におけるカルボキシルの保護基を示す。]で示される化合物のエステル基を還元することによって製造することができる。つまり、Pro3としては、例えば炭素数1〜4個のアルキルを使用することができる。
還元剤としては、例えば水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化リチウムトリエチルボランなどを用いることができ、好ましくは水素化リチウムアルミニウムである。還元剤の使用量は原料となる式(A9)で示される化合物に対して例えば0.5モル当量から5モル当量の使用が例示され、好ましくは1モル当量から2モル当量である。
反応に用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエンまたはこれらの混媒が挙げられ、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルが好ましい例として挙げられる。反応温度は通常−10℃から20℃で行うことができ、好ましくは−5℃から5℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.08時間から0.5時間が例示され、0.15時間から0.3時間が好ましい例として挙げられる。
工程2−10
式(A9)で示される化合物は、式(A10)で示される化合物を例えば酸の存在下アルコール中で加溶媒分解することによって製造することができる。酸としては硫酸、メタンスルホン酸、又は塩化水素などを使用することができ、好ましくは硫酸である。硫酸の使用量は、原料となる式(A10)で示される化合物に対して0.0001モル当量から0.005モル当量が例示され、好ましくは0.0002モル当量から0.001モル当量である。溶媒として用いるアルコールとしては、例えばエタノール、メタノール、n−プロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどを使用することができる。反応時間は特に限定されないが、通常6時間から48時間が例示され、16時間から24時間が好ましい例として挙げられる。
工程2−11
式(A10)で示される化合物は、式(A11)で示される化合物に青酸塩を作用させることにより製造することができる。青酸塩としては、例えばシアン化ナトリウム、シアン化カリウムなどを用いることができる。青酸塩の使用量は原料である式(A10)で示される化合物に対して1当量から5当量が例示され、好ましくは1当量から2当量である。反応に用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、又はN,N−ジメチルホルムアミドなどを使用することができ、アセトニトリルとジメチルスルホキシドの混媒が好ましい例として挙げられる。反応温度は通常0℃から60℃で行うことができ、好ましくは10℃から40℃である。反応時間は特に限定されないが、0.5時間から20時間が例示され、2時間から6時間が好ましい例として挙げられる。
工程2−12
式(A11)で示される化合物は、式(A12)で示される化合物の水酸基をブロモに変換することによって製造することができる。ブロモへの変換は工程2−5と同様に行えばよい。
工程2−13
式(A12)で示される化合物は、式(A13)で示される市販の化合物のカルボキシル基を水酸基に還元することによって製造することができる。還元剤としては、例えばボラン−ジメチルスルフィド、ボラン−テトラヒドロフランなどを使用することができ、好ましくはボラン−テトラヒドロフランである。還元剤の使用量は原料となる式(A13)で示される化合物に対して、1モル当量から5モル当量が例示され、好ましくは1モル当量から2モル当量である。
反応に用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどを使用することができ、テトラヒドロフランが好ましい例として挙げられる。反応温度は通常0℃から60℃で行うことができ、好ましくは10℃から40℃である。反応時間は特に限定されないが、4時間から24時間が例示され、10時間から18時間が好ましい例として挙げられる。
なお、式(A13)で示される市販の化合物としては、例えば3−クロロチオフェン−2−カルボン酸又は3−ブロモチオフェン−2−カルボン酸などが例示され、例えばシグマアルドリッチ社から購入することができる。
工程3−1
式(15)で示される化合物は、式(W1)で示される化合物に、有機溶媒中ビニル化試薬を作用させることによって製造できる。ビニル化試薬としては、例えば臭化ビニルマグネシウム、塩化ビニルマグネシウム又はビニルリチウムなどを使用することができ、好ましくは臭化ビニルマグネシウム又は塩化ビニルマグネシウムである。臭化ビニルマグネシウム及び塩化ビニルマグネシウムは、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルまたはトルエン溶液として使用することができ、好ましくはテトラヒドロフラン溶液である。ビニル化試薬の使用量は原料となる式(W1)で示される化合物に対して当量ないし過剰量使用することができ、例えば1当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量である。反応に用いる溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンまたはこれらの混媒が挙げられ、テトラヒドロフラン又は1,2−ジメトキシエタンが好ましい例として挙げられる。反応温度は通常−78℃から0℃で行うことができ、好ましくは−50℃から0℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から24時間が例示され、1時間から12時間が好ましい例として挙げられる。
工程3−2
式(W1)で示される化合物は、式(W2)[式(W2)中、「hal
2」は前記と同義である。]で示される化合物と、式(12)で示される化合物から、工程1−3と同様の方法に従って製造することができる。その際、式(12)で示される化合物の使用量は、式(W2)で示される化合物に対して1/5から20当量用いることができ、好ましくは1/2当量から10当量であり、より好ましくは1当量から5当量である。
工程3−3
式(W2)で示される化合物は、式(W3)[式(W3)中、「hal
2」は前記と同義である。]で示される化合物に、有機溶媒中N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩を塩基および脱水縮合剤の存在下で反応させることによって製造することができる。式(W3)で示される化合物とN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩との反応に際して、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩の使用量は、式(W3)で示される化合物に対して当量ないし過剰量使用することができ、例えば1当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量であるが、式(W3)で示される化合物の純度、収率、精製効率等を考慮して適宜設計すればよい。
塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、又はN,N−ジメチル−4−アミノピリジンなどを使用することができ、好ましくはジイソプロピルエチルアミンである。塩基の使用量は、原料となる式(W3)で示される化合物の当量とN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩の当量の和に対して当量ないし過剰量使用することができ、例えば1当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量である。
脱水縮合剤としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド−p−トルエンスルホン酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルホスホニウム)ヘキサフルオロリン酸塩、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩などを使用することができ、好ましくは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。脱水縮合剤の使用量は、原料となる式(W3)で示される化合物の当量に対して当量ないし過剰量使用することができ、例えば1当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量である。
活性化剤としてN,N−ジメチル−4−アミノピリジンなどを添加することができる。活性化剤の使用量は原料となる式(W3)で示される化合物の当量に対して触媒量から過剰量使用することができ、例えば0.01当量から5当量が例示され、好ましくは0.1当量から1当量である。
反応に用いる溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、キシレン、トルエン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、又はテトラヒドロフランなどが挙げられ、ジクロロメタンが好ましい例として挙げられる。また、これらの溶媒を2種以上混合して用いることもできる。反応温度は通常0℃から100℃で行うことができ、好ましくは20℃から60℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から48時間が例示され、1時間から24時間が好ましい例として挙げられる。
工程3−4
式(14)で示される化合物は、式(W2)[式(W2)中、「hal
2」は前記と同義である。]で示される化合物から、工程3−1と同様の方法に従って製造することができる。
工程3−5
式(W3)で示される化合物は、式(W4)[式(W4)中、「hal2」は前記と同義である。]で示される化合物を希硫酸中加熱することによって製造できる。反応に用いる希硫酸は、濃硫酸または希硫酸を適宜希釈して用いることができ、その濃度は例えば0.1モル/リットルから15モル/リットルが例示され、好ましくは1モル/リットルから10モル/リットルである。希硫酸の使用量は、式(W4)で示される化合物に対して過剰量使用することができ、収率、精製効率等を考慮して適宜設計すればよい。反応温度は通常20℃から100℃で行うことができ、好ましくは60℃から100℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から48時間が例示され、1時間から24時間が好ましい例として挙げられる。
また、式(W3)で示される化合物のうち、3−ブロモフェニル酢酸、3−ヨードフェニル酢酸、3−ブロモ−4−フルオロフェニル酢酸は市販の化合物であり、東京化成社から入手可能である。2−(4−ブロモチオフェン−2−イル)−酢酸は市販の化合物であり、APOLLO社から入手可能である。
工程3−6
式(W4)で示される化合物は、式(W5)[式(W5)中、「hal2」は前記と同義である。]で示される化合物にシアン化合物を作用させることによって製造できる。シアン化合物としてはシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅などを使用することができ、好ましくはシアン化ナトリウム、シアン化カリウムである。シアン化合物の使用量は原料となる式(W5)で示される化合物に対して当量から過剰量使用することができ、例えば1当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量である。反応に用いる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、水、またはこれらの混媒などが挙げられ、エタノールと水の2対1の比率での混媒が好ましい例として挙げられる。反応温度は通常0℃から100℃で行うことができ、好ましくは20℃から100℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から24時間が例示され、1時間から12時間が好ましい例として挙げられる。
工程3−7
式(W5)で示される化合物は、式(W6)[式(W6)中、「hal2」は前記と同義である。]で示される化合物を臭素化することによって製造できる。臭素化剤としてはN−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインが挙げられ、好ましくはN−ブロモスクシンイミドである。臭素化剤の使用量は原料となる式(W6)で示される化合物に対して当量から過剰量使用することができ、例えば1当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量である。臭素化剤とともに添加する活性化剤としては過酸化ベンゾイル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリルが挙げられ、好ましくは過酸化ベンゾイルである。活性化剤の使用量は原料となる式(W6)で示される化合物の当量対して触媒量から過剰量使用することができ、例えば0.01当量から2当量が例示され、好ましくは0.05当量から1当量である。反応に用いる溶媒としては、例えば四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、またはこれらの混媒などが挙げられ、四塩化炭素が好ましい例として挙げられる。反応温度は通常20℃から90℃で行うことができ、好ましくは60℃から90℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から24時間が例示され、1時間から12時間が好ましい例として挙げられる。
なお、式(W6)で示される化合物としては、2−ブロモ−1,4−ジメチルベンゼン又は1−ブロモ−3,5−ジメチルベンゼンなどが例示され、これらは市販の化合物として、例えば東京化成社から購入することができる。
工程3−8
式(12)で示される化合物は、式(W7)で示される化合物にα−ジアゾホスホネート化合物を無機塩基とともに作用させることによって製造できる。α−ジアゾホスホネート化合物と無機塩基の組み合わせとして例えば、ジメチル(ジアゾメチル)ホスホネートとカリウムtertブトキシド、ジメチル(ジアゾメチル)ホスホネートとナトリウムtertブトキシド、ジメチル(1−ジアゾ−2−オキソプロピル)ホスホネートと炭酸カリウム、またはジメチル(1−ジアゾ−2−オキソプロピル)ホスホネートと炭酸ナトリウムが挙げられ、好ましくはジメチル(1−ジアゾ−2−オキソプロピル)ホスホネートと炭酸カリウムである。α−ジアゾホスホネートの使用量は原料となる式(W7)で示される化合物に対して当量から過剰量使用することができ、例えば1当量から10当量が例示され、好ましくは1当量から5当量である。無機塩基の使用量は使用するα−ジアゾホスホネートに対して当量から過剰量使用することができ、例えば1当量から5当量が例示され、好ましくは1当量から3当量である。反応に用いる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、またはこれらの混媒などが挙げられ、メタノールが好ましい例として挙げられる。反応温度は通常−20℃から80℃で行うことができ、好ましくは0℃から60℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から24時間が例示され、1時間から12時間が好ましい例として挙げられる。
また、式(12)で示される化合物のうち、3−エチニルチオフェン、2−エチニルチオフェンは市販の化合物であり、東京化成社から入手可能である。
工程3−9
式(W7)で示される化合物のうち、4−フェニルチオフェン−3−カルボアルデヒドは、4−ホルミルチオフェン−3−ボロン酸とブロモベンゼンを、塩基及びパラジウム触媒の存在下、溶媒中で反応させることにより製造できる。
パラジウム触媒の例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(メチルジフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、塩化ビス(ジフェニルホスフィノフエロセン)パラジウムなど市販されている触媒をそのまま反応系中に加えてもよいし、酢酸パラジウムやトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどと任意の配位子から別途調製、単離した触媒を加えてもよい。また、酢酸パラジウムやトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどと任意の配位子を混合することによって反応系中で実際に反応に関与すると考えられる触媒を調製してもよい。パラジウムの価数は0であっても+2であってもよい。特に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II) などが好ましい例として挙げられる。
任意の配位子からパラジウム触媒を調製する場合に使用される配位子としては、トリフリルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−ジメチルアミノ−1,1’−ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2− (ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ) −1,1’−ビナフチル、キサントフォス、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル、2−ジシクロヘキシル−2’−4’−6’−トリイソプロピルビフェニル、1,2,3,4,5−ペンタメチル−1’−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン)などのホスフィン配位子が例示されるが、好ましくは2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルなどが挙げられる。
用いるパラジウム触媒の当量数は、等量であっても触媒量であってもよいが、原料化合物に対して0.01mol%以上が好ましく、特に0.10−50.0mol%%がより好ましい。塩基としては、例えばナトリウムt e r t−ブトキシド、炭酸セシウム、リン酸カリウムなどが挙げられ、好ましくはリン酸カリウムが挙げられる。用いる塩基の当量数は等量であっても過剰量であってもよく、例えば1当量から5当量が例示され、好ましくは1当量から3当量である。反応に用いる溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、などのエーテル系溶媒、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、n−ブタノール、水、またはこれらの混媒などが挙げられ、n−ブタノールと水の5対1の混媒が好ましい例として挙げられる。反応温度は通常−20℃から120℃で行うことができ、好ましくは0℃から100℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5時間から48時間が例示され、1時間から24時間が好ましい例として挙げられる。
本発明の化合物の製造方法はここに記載された方法に限定されるものではない。例えば本発明の化合物は、その前駆体となる化合物の置換基を通常の化学文献等に記載の反応を一つ又は複数を組み合わせ、修飾・変換することにより製造することができる。
本発明の化合物のうち、不斉炭素を含む化合物の製造法の例としては、不斉還元による製造方法、不斉炭素にあたる部分があらかじめ光学活性である市販の(あるいは公知の方法又は公知の方法に準じて調製可能な)原料化合物を用いる方法などが挙げられる。また本発明の化合物又はその前駆体を常法により光学的に活性な異性体として分離する方法もある。その方法としては、例えば光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるもの、光学活性な試薬と塩を形成して分別結晶化等を用いて分離した後、該塩の形成を解除する古典的な光学分別結晶法、又は光学活性な試薬と縮合し生成するジアステレオマーを分離精製した後、再び分解する方法などがある。前駆体を分離し光学活性体とした場合、その後に先に示した製造法を実施することにより光学的に活性な本発明の化合物を製造することができる。
本発明の化合物のうち、化合物中にカルボキシル基、フェノール性水酸基、あるいはテトラゾール環などの酸性官能基を含む場合、公知の手段によって薬学的に許容される塩(例えばナトリウム等との無機塩又はトリエチルアミン等との有機塩)とすることも可能である。例えば、無機塩を得る場合、本発明の化合物を所望の無機塩に対応する少なくとも1当量の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などを含有する水中に溶解することが好ましい。該反応には、メタノール、エタノール、アセトン、又はジオキサンなどの水混和性の不活性有機溶媒を混和してもよい。例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムを用いることによりナトリウム塩の溶液が得られる。
また、本発明の化合物のうち、化合物中に含まれるアミノ基と、あるいはそれ以外に塩基性官能基を含む場合、又はそれ自体塩基性の性質を持つ芳香環(例えばピリジン環など)を含む場合、それらを公知の手段によって薬学的に許容される塩(例えば塩酸等の無機酸との塩又は酢酸等の有機酸との塩)とすることも可能である。例えば、無機酸との塩を得る場合、本発明の化合物を所望の少なくとも1当量の無機酸を含有する水溶液に溶解することが好ましい。該反応には、メタノール、エタノール、アセトン、又はジオキサンなどの水混和性の不活性有機溶媒を混合してもよい。例えば、塩酸を用いることにより塩酸塩の溶液が得られる。
固形塩が所望の場合、該溶液を蒸発させるか、又はさらにn−ブタノール、エチルメチルケトンなどのようなある程度極性のある水混和性有機溶媒を加え、その固形塩を得ればよい。
本発明に記載の種々の化合物は、公知の方法、例えば、各種クロマトグラフィー(カラム、フラッシュカラム、薄層、高速液体)により精製を行うことができる。
本発明の化合物のある態様はEP4作動活性を有しており、EP4作動薬として使用することができる。つまり、本発明の化合物のある態様は、EP4受容体作動に関連する疾患の予防及び/又は治療ための医薬として使用することができる。EP4受容体作動に関連する疾患について詳述すれば、EP4受容体作動に関連する疾患は、EP4受容体作動により奏功する疾患であり、より具体的には、骨芽細胞内cAMP産生量を上昇させることにより予防及び/又は治療可能な疾患であれば特に限定されない。
EP4作動活性は、例えば以下に示す方法により測定することができる。すなわち、ヒトEP4受容体発現細胞におけるcAMP産生の亢進を確認する方法が挙げられる。また、別の態様として、ラット骨髄細胞において、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤の存在下でcAMP産生の亢進を介した骨形成促進作用を確認する方法が挙げられる。さらに、別の態様として、ヒトEP4受容体への結合活性を確認する方法が挙げられる。cAMP産生の亢進を介した骨形成促進作用を確認する方法としては、具体的には以下の試験例1に記載の方法が例示される。
試験例1に記載の方法により確認できるEP4作動活性としては、10nM以下が例示され、1nM以下であることが好ましく、0.6nM以下であることがより好ましく、0.3nM以下であることがさらに好ましく、0.1nM以下であることが特に好ましく、0.05nM以下であることが最も好ましい。
本発明の化合物のある態様は、EP4に対する高い特異性(選択性)を示す。EP4に対する選択性は、例えば、ヒトEP1、EP2、及びEP3受容体の中から適宜選択し、それぞれを発現させた細胞を使って作動薬活性測定及び受容体結合試験を行い、IC50値(本発明の化合物が[3H]PGE2とレセプターの結合を50%抑制する濃度)又はKi値の比率を算出することで評価することができる。具体的には試験例2に記載の方法が例示される。
IC50値の比率(倍)=各受容体に対するIC50/EP4に対するIC50
Ki値の比率(倍)=各受容体に対する解離定数Ki/EP4に対する解離定数Ki
副作用を回避する観点では、本発明の化合物のある態様がEP4に対して高い選択性を示すことが好ましい。例えば、IC50値又はKi値の比率が10倍以上であることが例示され、100倍以上であることが好ましく、1000倍以上であることがより好ましく、3000倍以上であることがさらに好ましく、10000倍以上であることが特に好ましい。
本発明の化合物のある態様はEP4受容体に選択的に作用又は結合し、EP1受容体、EP2受容体、及びEP3受容体の他、DP受容体、FP受容体、IP受容体、TP受容体、PPARα受容体、PPARδ受容体、PPARγ受容体、S1P受容体(例えばS1P1受容体、S1P2受容体、S1P3受容体など)、LTB4受容体(例えばBLT1、BLT2など)、LPA受容体(例えばLPA1受容体、LPA2受容体、LPA3受容体など)、又はカンナビノイド受容体(例えばCB1受容体、CB2受容体など)に対して作用又は結合せず、或いはEP4受容体に対する作用又は結合よりも弱く作用又は結合することも好ましい。
EP4受容体作動に関連する疾患は、EP4受容体作動により奏功する疾患であれば特に限定されないが、具体的には、例えば骨折又は骨欠損が例示される。
本発明の化合物のある態様は、後述する試験例で示される通り、骨形成促進作用を有しており、医薬の有効成分として有用である。とりわけ、本発明の化合物のある態様は、骨折又は骨欠損の治療及び/又は治癒促進に使用され、骨折の治療及び/又は治癒促進に使用されることが好ましい。別の態様として、骨欠損の治療及び/又は治癒促進に使用されることが好ましい。
本発明の医薬のある態様が骨折又は骨欠損の治療及び/又は治癒促進に有用であることは、例えば閉鎖骨折モデル、または、長管骨の部分/大部分欠損モデルにより確認することができる。具体的には試験例5に記載の方法が例示される。
本発明の医薬のある態様は、全身性に骨密度増加及び骨強度増加作用を示し、又は局所的な骨誘導/骨再生を促進する作用を示すことが期待し得る。本発明の化合物のある態様が有する骨形成促進作用は、例えばラットなどの実験動物又はヒトから採取され培養された骨髄細胞を用いて、形成される石灰化骨様結節数や骨芽細胞の分化マーカーであるアルカリホスファターゼ活性などを指標として評価することができる。また疾患モデル動物、例えば坐骨神経切除及び卵巣摘出術を施した骨量減少症モデルラットなどを用いて、四肢骨の骨密度や骨強度などを指標に評価することができる。またラットの長管骨閉鎖骨折モデルや観血的手術による骨切りモデル、または任意の範囲に骨欠損を作製したモデルなどにより骨形成や骨癒合率、修復骨の骨強度などを指標に評価することができる。
骨折とは、外力を受けて骨が部分的あるいは完全に離断または変形した状態を言う。骨組織が損傷を受けた患者であれば部位は特に限定されず、例えば顔面骨(眼窩骨、頬骨、下顎骨)、体幹骨(肋骨、骨盤骨、頚椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨)、上肢骨(肩甲骨、鎖骨、上腕骨、肘、橈骨、尺骨、舟状骨、有鉤骨、中手骨、指節骨)、下肢骨(股関節、大腿骨、脛骨、腓骨、足関節、踵骨、舟状骨、中足骨)などであり、対象となる骨はどの部位においても適用することができる。また、骨組織の損傷の形態は特に限定されず、骨折(完全骨折、不全骨折、単純骨折、粉砕骨折など)、また外科的治療手段の一つとして適応される骨切り術や骨延長手術において意図的に切断された骨の癒合促進も含まれる。また、骨粗鬆症を原因疾患とする大腿骨頸部骨折、脊椎椎体圧迫骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折なども上記骨折の範囲に含まれる。
骨欠損とは、骨腫瘍、骨髄炎、外傷、慢性関節疾患、骨折後の遷延治癒、又は人工関節のゆるみなど種々の骨の疾患そのものや、その治療において病変部を外科的に切除することにより、骨に欠損を生じた状態を言う。骨欠損を余儀なくされた患者であれば部位は特に限定されず、例えば顔面骨(眼窩骨、頬骨、下顎骨)、体幹骨(肋骨、骨盤骨、頚椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨)、上肢骨(肩甲骨、鎖骨、上腕骨、肘、橈骨、尺骨、舟状骨、有鉤骨、中手骨、指節骨)、下肢骨(股関節、大腿骨、脛骨、腓骨、足関節、踵骨、舟状骨、中足骨)などであり、対象となる骨はどの部位においても適用することができる。また、骨欠損の形態は特に限定されず、例えば骨の中間部分が広範囲に欠損した状態や粉砕骨折などによって骨が部分的に欠損している状態など、いかなる骨欠損の形態も含まれる。
本発明の医薬のある態様は、外科的治療行為の際に骨癒合促進剤として使用することが可能である。例えば医療行為として例示される脊椎(頚椎・胸椎・腰椎)固定術、変性側弯症手術、関節置換術、脊柱管拡大術、骨切り術、骨延長術、頭蓋欠損補填術、頭蓋形成術、骨性支持による腸骨スペーサー固定術、異種間骨移植術、同種間骨移植術、自家骨移植術、又は骨移植代替療法、さらに原発性悪性腫瘍又は骨転移巣の外科摘出後の骨修復術及び/又は骨再建術などへの適用が可能である。
本発明の医薬のある態様は、骨形成促進薬として用いることが好ましい。また、本発明の医薬のある態様は、骨折又は骨欠損の治療及び/又は治癒促進に用いることがより好ましい。さらに、本発明の医薬のある態様は、骨折の予防及び/又は治療に用いることが大変好ましい。なお、本発明における予防及び/又は治療のための医薬の範囲には、場合により病状の進行を阻止又は抑制するための医薬が包含されることは当業者に容易に理解できる。
本発明の医薬のある態様は、式(1)で示される化合物又は薬学的に許容されるその塩を有効成分として含む医薬として調製することができるが、例えばプロドラッグとして投与された化合物又は薬学的に許容されるその塩が生体内で代謝を受けて式(1)で表される化合物又は薬学的に許容されるその塩を生成する場合も、本発明の医薬の範囲に包含される。
本発明の医薬のある態様の投与経路は特に限定されないが、例えば、経口投与、皮下投与、皮内投与、筋肉注射、静脈内投与、経鼻投与、経膣内投与、経直腸内投与、又は患部への局所投与などから適宜選択することができる。患部への局所投与は好ましい投与経路の一つである。
本発明の医薬としては、式(1)で示される化合物又は薬学的に許容されるその塩をそのまま用いてもよいが、式(1)で示される化合物又は薬学的に許容されるその塩に1種又は2種以上の薬学的に許容される担体を添加して医薬組成物を調製して投与することが好ましい。また、本発明の医薬の有効成分としては式(1)で示される化合物又は薬学的に許容されるその塩の水和物又は溶媒和物を用いてもよい。
上記医薬組成物の製剤化のための剤形としては、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、懸濁剤、カプセル剤、吸入剤、又は注射剤等が挙げられ、その製造のためには、これらの製剤に応じた各種担体が使用される。例えば、経口剤の担体としては、賦形剤、結合剤、滑沢剤、流動性促進剤、又は着色剤を挙げることができる。吸入剤としては、医薬組成物の粉末又は、医薬組成物を溶剤に溶かし又は懸濁した薬液をそのまま吸入するか、又はアトマイザーやネブライザーと呼ばれる噴霧器を用いて霧状にして吸入する方法などが挙げられる。また、注射剤等とする場合には、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、プロピレングリコール、又はポリエチレングリコール等を使用することができる。さらに必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤、等張化剤、又は無痛化剤等を加えてもよい。本発明の化合物をシクロデキストリンに包接させた包接化合物を調製して本発明の医薬として用いてもよい。
本発明の医薬のある態様を投与する際には、適切な剤形を適宜選択して、適切な経路で投与すればよい。例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、懸濁剤、又はカプセル剤等の形で経口投与することができる。また、吸入剤の形で経気道的に投与することができる。また、点滴を含む注射剤の形で皮下、皮内、血管内、筋肉内、又は腹腔内に投与することができる。さらには、舌下剤又は坐剤等の形で経粘膜的に投与することができ、ゲル剤、ローション剤、軟膏剤、クリーム、又はスプレー等の形で経皮的に投与することができる。また持続性製剤、例えば徐放性注射剤や埋め込み製剤(例えば、フィルム製剤など)として投与することができる。
本発明の医薬のある態様を局所に投与する場合には、骨折部位などの局所に直接投与することができる。そのような場合には化合物を適切な非親水性溶媒と共に局所に直接注射するか、又は生体内分解性高分子重合物などの適当な担体に配合し、棒状、針状、球状、フィルム状などに整形した状態、あるいは軟膏、クリーム、又はゲル状の形態、さらには徐放性製剤の形態の医薬として、骨折部位などの局所に包埋又は注入して使用することも可能である。生体内分解性高分子重合物としては、例えば、脂肪酸ポリエステル(α−ヒドロキシカルボン酸類、ヒドロキシジカルボン酸類、乳酸カプロラクトン、バレロラクトンなどの1種以上の重合物若しくは共重合物、又はこれらの混合物)若しくはその誘導体(ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びポリエチレングリコールのブロック重合物など)、ポリ−α−シアノアクリル酸エステル、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸、ポリアルキレンオキサレート、ポリオルソエステル、ポリオルソカーボネート、ポリカーボネート類、ポリアミノ酸類、ヒアルロン酸エステル類、ポリスチレン基、ポリメタアクリル酸、アクリル酸とメタアクリル酸の共重合物、ポリアミノ酸、デキンステアレート、エチルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロース、無水マレイン酸系共重合物、エチレンビニールアセテート系共重合物、ポリビニールアセテート、ポリアクリルアミド、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、骨粉、又は骨セメントなどが挙げられる。
生体内分解性高分子重合物は1種でもよく、また2種以上の共重合物、あるいは複合体や単なる混合物でもよく、重合の形式もランダム、ブロック、グラフトの何れでもよい。
また本発明の医薬のある態様を適当な溶媒又は適当な担体と共に、生体適合性に優れた素材(金属、カルシウム、セラミックス、高分子材料など)からなる人工骨(インプラント)や骨補填材料(ハイドロキシアパタイト、β−リン酸三カルシウムなど)などに塗布又は吸着させることによって、又はその中に包埋させることによって局所に投与することも可能である。
本発明の医薬のある態様の投与期間は特に限定されないが、疾患の臨床症状が発現していると判断される期間に投与することを原則とし、数週間から1年間継続することが一般的である。但し、病態に応じてさらに投与期間を延長することも可能であり、あるいは臨床症状の回復後もさらに継続して投与することも可能である。さらに臨床症状が発現していない状態であっても臨床医の判断で予防的に投与することもできる。本発明の医薬のある態様の投与量は特に限定されないが、例えば骨折部位などの局所に本発明の医薬を直接投与する場合には、一般的には成人1回あたり0.01〜1000μgの有効成分を投与することができる。その場合の投与頻度は6ヶ月に1回から連日投与が可能であり、好ましくは1回/3ヶ月から1回/月、若しくは1回/週である。
1日及び/又は1回投与量、投与期間、投与頻度は患者の年齢、体重、身体的健康度、及び治療すべき疾患の種類や重篤度、投与経路、剤型(担体の持つ有効成分の徐放性など)などの条件に応じて適宜増減させてよい。
本発明の医薬のある態様を骨折又は骨欠損の治療/又は治癒促進、或いは骨折の予防及び/又は治療に用いる場合には、本発明の医薬のある態様を、骨活性化薬、骨形成促進薬、骨吸収抑制薬、骨代謝改善薬、性ホルモン製剤、及びカルシウム製剤からなる群から選ばれる1又は2種以上の薬剤と同時に、又は時間を変えて併用することができる。さらに本発明の医薬のある態様は、上記に例示した薬剤とともにいわゆる合剤として調製して投与することも可能である。該合剤としては、典型的な組成物のように活性成分の完全な混合物としての投与形態のみならず、各活性成分を配した複数の容器から別々に投与する非混合的組み合わせによる投与形態、キット、パッケージングも包含している。
本発明の医薬のある態様と併用できる骨活性化薬としては、例えば、calcitriol、alfacalcidol、OCT、2MD、又はED−71などのビタミンD又はビタミンD誘導体が挙げられ、骨形成促進薬としては、例えば、menatetrenone、teriparatide、somatropin、insulin−like growth factor−I(IGF−I)、Bone Morphogenetic Proteins(BMPs)、basic Fibroblast growth factor(bFGF)、Transforming growth factor−β(TGF−β)、EP2作動薬、LRP5作動薬、抗SOST抗体、GSK−3阻害剤、Dkk1阻害剤、Calcilytics、又はgrowth hormone secretagoguesなどが挙げられ、骨吸収抑制薬としては、例えば、elcatonin、calcitonin salmon、etidronate、pamidronate、clodronate、alendronate、incadronate、risedronate、minodronate、ibandronate、カテプシンK阻害薬、osteoprotegerin、又は抗RANKL抗体などが挙げられ、骨代謝改善薬としては、例えば、fluoride、strontium ranelate、又はipriflavoneなどが挙げられ、性ホルモン製剤としては、例えば、estriol、estradiol、conjugated estrogen、progesterone、medroxyprogesterone、testosterone、metyltestosterone、mestanolone、stanozolol、metenolone、nandrolone、選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM:raloxifen、lasofoxifene、bazedoxifene、ospemifene、arzoxifene、CHF4227、PSK−3471など)、又は選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARM)などが挙げられ、カルシウム製剤としては、例えば、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、又はL−アスパラギン酸カルシウムなどが挙げられる。さらに将来的に創製される各種の骨疾患用薬剤と併用することもできる。これらの併用薬は、臨床的に意義のある組み合わせであれば何ら限定されるものではない。
本発明の化合物のある態様は、安全性(各種毒性や安全性薬理)や薬物動態性能等に優れた化合物を含んでおり、例えば以下に示す方法によって医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
安全性に関連する試験としては、例えば以下に列記するものを含むが、この例示に限定されるものではない。細胞毒性試験(HL60細胞や肝細胞を使った試験など)、遺伝毒性試験(Ames試験、マウスリンフォーマTK試験、染色体異常試験、小核試験など)、皮膚感作性試験(ビューラー法、GPMT法、APT法、LLNA試験など)、皮膚光感作性試験(Adjuvant and Strip法など)、眼刺激性試験(単回点眼、短期連続点眼、反復点眼など)、心血管系に対する安全性薬理試験(テレメトリー法、APD法、hERG阻害評価法など)、中枢神経系に対する安全性薬理試験(FOB法、Irwinの変法など)、呼吸系に対する安全性薬理試験(呼吸機能測定装置による測定法、血液ガス分析装置による測定法など)、一般毒性試験、生殖発生毒性試験などが含まれる。
また、薬物動態性能に関する試験としては、例えば以下に列記するものを含むが、この例示に限定されるものではない。チトクロームP450酵素の阻害あるいは誘導試験、細胞透過性試験(CaCO-2細胞やMDCK細胞などを使った試験)、薬物トランスポーター ATPase assay、経口吸収性試験、血中濃度推移測定試験、代謝試験(安定性試験、代謝分子種試験、反応性試験など)、溶解性試験(濁度法による溶解度試験など)などが含まれる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば細胞毒性試験を行うことにより確認できる。細胞毒性試験としては、各種培養細胞例えばヒト前白血病細胞であるHL-60細胞、肝臓細胞の初代単離培養細胞やヒト末梢血から調製した好中球画分などを用いる方法が挙げられる。以下に述べる方法により本試験を実施できるが、この記載にのみ限定されるものではない。細胞を105個から107個/mlの細胞懸濁液として調製し、0.01mLから1mLの懸濁液をマイクロチューブあるいはマイクロプレートなどに分注する。そこに化合物を溶解させた溶液を細胞懸濁液の1/100倍量から1倍量添加し、化合物の終濃度が例えば0.001μMから1000μMになるような細胞培養液中で、37℃、5%CO2下で30分から数日間培養する。培養終了後、細胞の生存率をMTT法あるいはWST-1法(Ishiyama, M., et al., In Vitro Toxicology, 8, p.187, 1995)などを使い評価する。細胞に対する化合物の細胞毒性を測定することで、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば遺伝毒性試験を行うことにより確認できる。遺伝毒性試験としては、Ames試験、マウスリンフォーマTK試験、染色体異常試験や小核試験などが挙げられる。Ames試験とは、指定された菌種のサルモネラ菌や大腸菌などを用いて、化合物を混入させた培養皿上などで菌を培養することにより、突然復帰変異を判定する方法(1999年医薬審第1604号 「遺伝毒性試験ガイドライン」より II-1.遺伝毒性試験などを参照のこと)である。また、マウスリンフォーマTK試験とは、マウスリンパ種L5178Y細胞のチミジンキナーゼ遺伝子を標的とした遺伝子突然変異能検出試験(1999年医薬審第1604号 「遺伝毒性試験ガイドライン」より II-3. マウスリンフォーマTK試験;Clive, D. et al., Mutat. Res., 31,pp.17-29, 1975;Cole, J., et al., Mutat.Res., 111,pp.371-386, 1983などを参照のこと)である。また、染色体異常試験とは、哺乳類培養細胞と化合物を共存培養したのち、細胞を固定化し、染色体の染色、観察を行うことで、染色体の異常をおこす活性を判定する方法(1999年医薬審第1604号 「遺伝毒性試験ガイドライン」より II-2. ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験などを参照のこと)である。さらにまた、小核試験とは染色体異常に起因する小核形成能を評価するものであり、げっ歯類を用いる方法(in vivo 試験)(1999年 医薬審第1604号 「遺伝毒性試験ガイドライン」より II-4. げっ歯類を用いる小核試験;Hayashi,M. et al., Mutat.Res., 312, pp.293-304, 1994;Hayashi,M. et al., Environ.Mol. Mutagen., 35, pp.234-252, 2000)や培養細胞を用いる方法(invitro試験)(Fenech, M. et al., Mutat.Res., 147, pp.29-36, 1985;Miller,B., et al., Mutat. Res., 392, pp.45-59,1997)などがある。これらのいずれか1つ又は2つ以上の方法を用いて、化合物の遺伝毒性を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば皮膚感作性試験を行うことにより確認できる。皮膚感作性試験には、モルモットを用いた皮膚感作性試験として、ビューラー法(Buehler, E. V. Arch.Dermatol., 91, pp.171-177, 1965)、GPMT法(マキシマイゼーション法(Magnusson, B. etal., J. Invest. Dermatol., 52, pp.268-276, 1969))あるいはAPT法(アジュバント&パッチ法(Sato, Y. et al., Contact Dermatitis, 7, pp.225-237, 1981))などがある。さらにまた、マウスを使った皮膚感作性試験としてLLNA(Local Lymph node assay)法(OECD Guideline for the testing of chemicals 429, skin sensitization 2002;Takeyoshi, M. et al., Toxicol. Lett., 119(3),pp.203-8, 2001;Takeyoshi, M. et al., J. Appl.Toxicol., 25(2), pp.129-34, 2005)などがある。これらのいずれか1つ又は2つ以上の方法を用いて、化合物の皮膚感作性を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば皮膚光感作性試験を行うことにより確認できる。皮膚光感作性試験としては、モルモットを用いた皮膚光感作性試験(「医薬品 非臨床試験ガイドライン解説 2002」 薬事日報社 2002年刊 1-9:皮膚光感作性試験などを参照のこと)などが挙げられ、その方法としてはAdjuvant and Sトリp 法(Ichikawa,H. et al., J. Invest. Dermatol., 76, pp.498-501, 1981)、Harber法(Harber, L.C., Arch. Dermatol.,96, pp.646-653, 1967)、horio 法(Horio, T., J. Invest. Dermatol., 67,pp.591-593, 1976)、Jordan 法(Jordan,W.P., Contact Dermatitis, 8, pp.109-116, 1982)、Kochever法(Kochever, I.E. et al., J. Invest. Dermatol., 73,pp.144-146, 1979)、Maurer法(Maurer,T.et al., Br. J. Dermatol., 63, pp.593-605, 1980)、Morikawa法(Morikawa,F. et al., "Sunlight and man", Tokyo Univ. Press, Tokyo, pp.529-557, 1974)、Vinson法(Vinson,L.J., J. Soc. Cosm. Chem., 17, pp.123-130,1966)などが挙げられる。これらのいずれか1つ又は2つ以上の方法を用いて、化合物の皮膚光感作性を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば眼刺激性試験を行うことにより確認できる。眼刺激性試験としては、ウサギ眼、サル眼などを用いた単回点眼試験法(1度だけ点眼)、短期連続点眼試験法(短時間に複数回一定間隔で点眼)や反復点眼試験法(数日から数十日間にわたり断続的に繰り返し点眼)などが挙げられ、点眼後の一定時間の眼刺激症状を改良ドレイズスコア(Fukui,N. et al., Gendai no Rinsho, 4 (7), pp.277-289, 1970)などに従い評価する方法がある。これらのいずれか1つ又は2つ以上の方法を用いて、化合物の眼刺激性を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば心血管系に対する安全性薬理試験を行うことにより確認できる。心血管系に対する安全性薬理試験としては、テレメトリー法(無麻酔下での化合物投与による心電図、心拍数、血圧、血流量などへの影響を測定する方法(菅野茂、局博一、中田義禮 編 基礎と臨床のための動物の心電図・心エコー・血圧・病理学検査 平成15年刊 丸善(株)))、APD法(心筋細胞活動電位持続時間を測定する方法(Muraki, K. et al., AM. J. Physiol., 269, H524-532,1995;Ducic, I. et al., J. Cardiovasc. Pharmacol., 30(1), pp.42-54, 1997))、hERG阻害評価法(パッチクランプ法(Chachin, M. et al., Nippon Yakurigaku Zasshi, 119, pp.345-351, 2002)、Binding assay法(Gilbert, J.D. et al., J. Pharm. Tox. Methods, 50,pp.187-199, 2004)、Rb+ efflex assay 法(Cheng, C.S. et al., Drug Develop. Indust. Pharm., 28, pp.177-191,2002)、Membrane potential assay 法(Dorn, A. et al., J. Biomol. Screen., 10, pp.339-347, 2005)など)などが挙げられる。これらのいずれか1つ又は2つ以上方法を用いて、化合物の心血管系に対する作用を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば中枢神経系に対する安全性薬理試験を行うことにより確認できる。中枢神経系に対する安全性薬理試験としては、FOB法(機能観察総合評価法(Mattson,J. L . et al., J.American College of Technology, 15 (3), pp.239-254, 1996))、Irwinの変法(一般症状及び行動観察を評価する方法(Irwin, S. Comprehensive Observational Assessment (Berl.) 13, pp.222-257, 1968)などが挙げられる。これらのいずれか1つ又は2つ以上の方法を用いて、化合物の中枢神経系に対する作用を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば呼吸系に対する安全性薬理試験を行うことにより確認できる。呼吸系に対する安全性薬理試験としては、呼吸機能測定装置による測定法(呼吸数、1回換気量、分時換気量等を測定)(Drorbaugh,J.E. et al., Pediaトリcs, 16,pp.81-87, 1955;Epstein,M.A. et al., Respir.Physiol.,32, pp.105-120, 1978)や血液ガス分析装置による測定法(血液ガス、ヘモグロビン酸素飽和度などを測定)(Matsuo, S. Medicina, 40, pp.188- , 2003)などが挙げられる。これらのいずれか1つ又は2つ以上の方法を用いて、化合物の呼吸系に対する作用を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば一般毒性試験を行うことにより確認できる。一般毒性試験とは、ラットやマウスなどのげっ歯類あるいはサル、イヌ等非げっ歯類を用いて、適当な溶媒に溶解あるいは懸濁した化合物を単回あるいは反復(複数日間)で経口投与あるいは静脈内投与などすることにより、投与動物の一般状態の観察、臨床化学的変化や病理学的な組織変化などを評価する方法である。これらの方法を用いて、化合物の一般毒性を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば生殖発生毒性試験を行うことにより確認できる。生殖発生毒性試験とは、ラットやマウスなどのげっ歯類あるいはサル、イヌ等非げっ歯類を用いて化合物の生殖発生過程における悪影響の誘発を検討する試験(「医薬品 非臨床試験ガイドライン解説 2002」 薬事日報社 2002年刊 1-6:生殖発生毒性試験 などを参照のこと)である。生殖発生毒性試験としては、受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験、出生前及び出世後の発生並びに母体の機能に関する試験、胚・胎児発生に関する試験(2000年医薬審第1834号 別添「医薬品毒性試験法ガイドライン」より [3]生殖発生毒性試験)などを参照のこと)などが挙げられる。これらの試験方法を用いて、化合物の生殖発生毒性を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えばチトクロームP450酵素の阻害あるいは誘導試験(Gomez-Lechon,M.J. et al., Curr. Drug Metab. 5(5), pp.443-462, 2004)を行うことにより確認できる。チトクロームP450酵素の阻害あるいは誘導試験としては、例えば、細胞から精製あるいは遺伝子組み換え体を用いて調製した各分子種のチトクロームP450酵素又はヒトP450発現系ミクロソームを用いて、試験管内でその酵素活性を化合物が阻害するかを測定する方法(Miller, V.P. et al., Ann.N.Y.Acad.Sci., 919, pp.26-32, 2000)、ヒト肝ミクロゾームや細胞破砕液を用いて各分子種のチトクロームP450酵素の発現や酵素活性の変化を測定する方法(Hengstler, J.G. etal., Drug Metab. Rev., 32, pp.81-118, 2000)、あるいは化合物を曝露したヒト肝細胞からRNAを抽出し、mRNA発現量をコントロールと比較して化合物の酵素誘導能を調べる方法(Kato,M. et al., Drug Metab. Pharmacokinet., 20(4), pp.236-243, 2005)などが挙げられる。これらのいずれか1つ又は2つ以上の方法を用いて、化合物のチトクロームP450の酵素阻害や酵素誘導に対する作用を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば細胞透過性試験を行うことにより確認できる。細胞透過性試験としては、例えばCaCO-2細胞を用いて試験管内細胞培養系で化合物の細胞膜透過能を測定する方法(Delie,F. et al., Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst., 14,pp. 221-286, 1997;Yamashita, S. et al., Eur. J. Pham. Sci., 10, pp.195-204, 2000;Ingels, F.M. et al., J. Pham. Sci., 92, pp.1545-1558, 2003)、あるいはMDCK細胞を用いて試験管内細胞培養系で化合物の細胞膜透過能を測定する方法(Irvine,J.D. et al., J. Pham. Sci., 88, pp.28-33, 1999)などが挙げられる。これらのいずれか1つ又は2つ以上の方法を用いて、化合物の細胞透過性を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えばATP-Binding Cassette(ABC)トランスポーターとして薬物トランスポーター ATPase assayを行うことにより確認できる。薬物トランスポーター ATPase assayとしては、P-glycoprotein (P-gp) バキュロウィルス発現系を用いて化合物がP-gpの基質か否かを調べる方法(Germann, U. A., MethodsEnzymol., 292, pp.427-41, 1998)などが挙げられる。また、例えばSolute Carrier Transporter(SLC)トランスポーターとしてアフリカツメガエル (Xenopus laevis) より採取した卵母細胞 (Oocytes)を用いた輸送試験を行うことにより確認できる。輸送試験としては、OATP2発現Oocytesを用いて化合物がOATP2の基質か否かを調べる方法(Tamai I. et. al., PharmRes. 2001 Sep;18(9):1262-1269)などが挙げられる。これらの方法を用いて、化合物のABCトランスポーター又はSLCトランスポーターに対する作用を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば経口吸収性試験を行うことにより確認できる。経口吸収性試験としては、げっ歯類、サル、あるいはイヌなどを用い、一定量の化合物を適当な溶媒に溶解あるいは懸濁し、経口投与後の血中濃度を経時的に測定し、化合物の経口投与による血中移行性をLC−MS/MS法(原田健一ら 編 「生命科学のための最新マススペクトロメトリー」 講談社サイエンティフィク 2002年刊など)を使い評価する方法などが挙げられる。これらの方法を用いて、化合物の経口吸収性を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば血中濃度推移測定試験を行うことにより確認できる。血中濃度推移測定試験としては、げっ歯類、サル、あるいはイヌなどに化合物を経口的あるいは非経口的(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、経皮、点眼又は経鼻など)に投与した後の化合物の血中での濃度の推移をLC−MS/MS法(原田健一ら編、「生命科学のための最新マススペクトロメトリー」 講談社サイエンティフィク 2002年刊など)を使い測定する方法などが挙げられる。これらの方法を用いて、化合物の血中濃度推移を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。特に非経口投与のうち局所投与の場合、副作用を回避する観点から、本発明の化合物のある態様は投与後の血中濃度が低いものであることが好ましい場合がある。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば代謝試験を行うことにより確認できる。代謝試験としては、血中安定性試験法(ヒトあるいは他の動物種の肝ミクロソーム中での化合物の代謝速度からin vivo での代謝クリアランスを予測する方法(Shou, W. Z. etal., J. Mass Spectrom., 40(10), pp.1347-1356, 2005;Li,C. et al., Drug Metab. Dispos., 34(6), 901-905, 2006)などを参照のこと)、代謝分子種試験法、反応性代謝物試験法などが挙げられる。これらのいずれか1つ又は2つ以上の方法を用いて、化合物の代謝プロファイルを明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば溶解性試験を行うことにより確認できる。水に対する溶解性の評価は、酸性条件、中性条件、又は塩基性条件下で確認する方法が例示され、さらに胆汁酸の有無による溶解性の変化を確認することも含まれる。溶解性試験としては、濁度法による溶解度試験法(Lipinski, C.A. et al., Adv.Drug Deliv. Rev., 23, pp.3-26, 1997;Bevan, C.D. et al., Anal.Chem., 72, pp.1781-1787, 2000)などが挙げられる。これらの方法を用いて、化合物の溶解性を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
本発明の化合物のある態様が医薬の有効成分として有用であることは、例えば上部消化管障害、腎機能障害等を調べることにより確認できる。上部消化管に対する薬理試験としては、絶食ラット胃粘膜傷害モデルを用いて、胃粘膜に対する作用を調べることができる。腎機能に対する薬理試験としては、腎血流量・糸球体濾過量測定法[生理学 第18版(分光堂)、1986年、第17章]などが挙げられる。これらのいずれか1つ又は2つ以上方法を用いて、化合物の上部消化管、腎機能に対する作用を明らかにすることにより、医薬の有効成分としての有用性を確認できる。
以下、本発明を実施例、参考例、製剤例、及び試験例(以下、「実施例等」と呼ぶことがある。)によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例等に限定されるものではない。
実施例等中、薄層ク口マトグラフィー(TLC) はPrecoated silica gel 60 F254(メルク社製、製品番号5715−1M) を使用した。クロロホルムメタノール(1:0〜1:1)、アセトニトリル:酢酸:水(200:1:1〜100:4:4) 、又は、酢酸エチル:ヘキサン(1:0〜1:1) により展開後、UV(254nm又は又は365nm)照射、ヨウ素溶液、過マンガン酸カリウム水溶液、リンモリブデン酸(エタノール溶液)等による呈色により確認した。
有機溶媒の乾燥には無水硫酸マグネシウムあるいは無水硫酸ナトリウムを使用した。
カラムクロマトグラフィーには山善社製マルチプレップYFLC又は、MORITEX社製2chパラレル精製装置「Purif−α2(50F)」を用いた。カラムはマルチプレップYFLCの場合、山善社製ウルトラパックSi−40A、40B又は40Dのいずれかを使用し、Purif−α2(50F)の場合、MORITEX社製PurifPack−Siシリーズを使用した。
フラッシュカラムクロマトグラフィーはシリ力ゲル60N(球状、中性、40−100μm、関東化学社製)を使用した。
分取薄層クロマトグラフィー(以下、PTLCと呼ぶことがある。)はPLCプレートsilica gel 60 F254、 20×20cm、層厚2mm、濃縮ゾーン(4cm)付(メルク社製、製品番号13793−1M)を試料の量に応じて1枚又は数枚使用して行った。
HPLC精製については、日本Waters社製の分取精製装置を用い、カラムはDevelosil C−30−UG−5(野村化学社製)等を、溶出液は0.1%酢酸の含有した水−アセトニトリル溶媒を用いた。
HPLCを用いて精製した場合には、特に断らない限り、凍結乾燥法により溶媒を除去し目的化合物を得た。核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定には、Gemini−300(FT−NMR,Varian社)又はAL−300(FT−NMR,JEOL社製)を用いた。溶媒は特に記載しない限り、重クロロホルムを用い、化学シフトはテトラメチルシラン(TMS)を内部標準として用い、δ(ppm)で、また結合定数はJ(Hz)で示した。
LCMSについては液体クロマトグラフ質量分析スペクトル(LC−MS)にてマススペクトルを測定した。特に断らない限り、質量分析装置としてシングル四重極型質量分析装置UPLC/SQDシステム(Waters社製)を用い、エレクトロスプレー(ESI)法により測定した。液体クロマトグラフィー装置はWaters社製Acquity Ultra Performance LCシステムを使用した。分離カラムはACQUITY UPLC BEH C18 1×50mm 1.7μm(Waters社製)を用いた。
但し、以下のFLC−1のLC条件においては、質量分析装置としてシングル四重極型質量分析装置Platform−LC(Waters社製)を用い、エレクトロスプレー(ESI)法により測定した。また、液体クロマトグラフィー装置はGILSON社製306 PUMPシステムを使用した。さらに、分離カラムはDevelosil C30−UG−5 50×4.6mm(野村化学社製)を用いた。
LC条件について特に記載のある実施例または参考例については、下記の溶媒条件にて測定されていることを示す。またm/zはマススペクトルのデータ(MH+、M+NH4+又はMH−を併せて記載)を示す。
(LC−1)流速0.6mL/分、A液=水[0.1%(v/v)酢酸含有]、B液=アセトニトリル[0.1%(v/v)酢酸含有]として、0分から2.0分までB液を5〜90%(v/v)直線グラジェント、2.0分から2.5分までB液を90〜98%(v/v)直線グラジェントで溶出する条件で測定した。
(LC−6)流速0.6mL/分、A液=水[0.1%(v/v)酢酸含有]、B液=アセトニトリル[0.1%(v/v)酢酸含有]として、0分から2.0分までB液を70〜90%(v/v)直線グラジェント、2.0分から2.5分までB液を90〜98%(v/v)直線グラジェントで溶出する条件で測定した。
(NLC−1)流速0.6mL/分、A液=10mM酢酸アンモニウム水溶液、B液=アセトニトリルとして、0分から2.0分までB液を5〜90%(v/v)直線グラジェント、2.0分から2.5分までB液を90〜98%(v/v)直線グラジェントで溶出する条件で測定した。
(NLC−6)流速0.6mL/分、A液=10mM酢酸アンモニウム水溶液、B液=アセトニトリルとして、0分から2.0分までB液を70〜90%(v/v)直線グラジェント、2.0分から2.5分までB液を90〜98%(v/v)直線グラジェントで溶出する条件で測定した。
(FLC−1)流速2mL/分、A液=水[0.1%(V/V)酢酸含有]、B液=アセトニトリル[0.1%(V/V)酢酸含有]として、0分から5分までB液を5〜98%(V/V)直線グラジエント、5分から6分までB液を98%(V/V)に保持、6分から6.01分までB液を98〜5%(V/V)まで直線グラジエント、6.01分から7.5分まで5%(V/V)に保持する溶出条件で測定した。
キラルLCについては高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて保持時間を測定した。キラルLC条件について特に記載のある実施例または参考例については、下記の測定条件にて測定されていることを示す。
(キラルLC−1)分離カラムとしてCHIRALCEL OD−H 4.6×250mm 5μm(ダイセル社製)を用い、流速0.6mL/分でA液=n−ヘキサン、B液=エタノールとして、B液を5%(v/v)アイソクラティックで溶出する条件で測定した。
(キラルLC−2)分離カラムとしてCHIRALCEL OJ−H 4.6×250mm 5μm(ダイセル社製)を用い、流速1.0mL/分で0.1%(v/v)のトリフルオロ酢酸を添加したエタノールで溶出する条件で測定した。
使用した試薬の製造元については、製造元を以下の略号で示す場合がある:
東京化成社製:TCI、シグマアルドリッチ社製:ALDRICH、関東化学社製:KANTO、和光純薬社製:WAKO、Maybridge社製:MAYBRIDGE、APOLLO社製:APOLLO、Combi−Blocks社製:COMBI−BLOCKS、高砂香料社製:TAKASAGO、JhonsonMatthey社製:JOHNSON、日本化学工業社製:日本化学、日本エンバイロケミカルズ社製:日本エンバイロケミカルズ
文中の略号は下記の意味を示す。
n:ノルマル、i:イソ、s:セカンダリ一、t: ターシャリ一、c: シクロ、Me: メチル、Et:エチル、Pr:プロピル、Bu:ブチル、Pen::ペンチル、Hex:ヘキシル、Hep:ヘプチル、Ph:フェニル、Bn:ベンジル、Py:ピリジル、Ac:アセチル、CHO:ホルミル、COOH:力ルボキシル、NO2:ニト口、DMA:ジメチルアミノ、NH2:アミノ、CF3:トリフルオロメチル、F:フルオ口、Cl:クロロ、Br:ブロモ、OMe:メトキシ、OH:ヒドロキシ、TFA:トリフルオ口アセチル、SO2:スルホニル、CO:力ルボニル、THF:テトラヒド口フラン、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシド、DME:ジメトキシエタン
各置換基の前に付与した数字は置換位置を示す。芳香環の略号の前にハイフンで付与した数字はその芳香環の置換位置を示す。化合物名又は構造式中に記された(S)とは、対象となる不斉炭素がS配置であることを示し、(R)とはR配置であることを示す。また、不斉炭素を有する化合物であって(R)又は(S)の表示がない場合には、(R)体と(S)体が任意の比率で混在する混合物であることを示す。該化合物として、(R)体と(S)体のラセミ混合物であってもよい。
実施例化合物の合成工程において脱保護が必要な場合は、公知の方法、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons 刊(2007年版)に記載の方法などに準じて行った。
参考例A−2:tert-ブチルジメチル(2-(チオフェン-2-イル)エトキシ)シラン(中間体A−2)
2−(チオフェン−2−イル)エタノール(4g:TCI)のN,N−ジメチルホルムアミド(312mL)溶液に、氷冷下イミダゾール(4.3g)、tert−ブチルジメチルクロロシラン(7.05g)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(763mg)を順次加え室温で2.75時間撹拌した。反応混合溶液に酢酸エチルを加え、1mol/L塩酸、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄後、有機相を乾燥した。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(7.32g)を得た。
(中間体A−2 Rf(TLC)=0.70(ヘキサン:酢酸エチル=4:1))
参考例A−3:5-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)チオフェン-2-カルボン酸(中間体A−3)
中間体A−2(7.15g)のテトラヒドロフラン(111mL)溶液を窒素雰囲気下で−78℃まで冷却した。反応混合溶液にn−ブチルリチウム(2.6mol/Lヘキサン溶液,14.3mL:KANTO)を滴下しそのまま0.75時間撹拌した。反応混合溶液を−5℃まで加温した後、ドライアイス(125g)を少量ずつ加え、添加終了後さらに0.75時間撹拌した。反応混合溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、室温にて撹拌した。酢酸エチルを加え抽出し、有機相を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水にて順次洗浄後乾燥した。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(9.03g)を得た。
(中間体A−3 LCMS:m/z287.0(MH
+);保持時間:1.35分;LC条件:NLC−1)
参考例A−4:メチル 5-(2-ヒドロキシエチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体A−4)
中間体A−3(9.03g)のメタノール(64mL)溶液を0℃に冷却し、濃硫酸(3.2mL)を少量ずつ添加し、そのまま5分撹拌した。反応混合溶液を70℃まで加熱し24時間撹拌した後、0℃に冷却し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を反応液の液性が中性になるまで少量ずつ加えた。酢酸エチルを加え抽出し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて順次洗浄後乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(4.61g)を得た。
(中間体A−4 Rf(TLC)=0.33(ヘキサン:酢酸エチル=1:1))
参考例A−5:メチル 5-(2-ブロモエチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体A−5)
中間体A−4(4.61g)のジクロロメタン(200mL)溶液にトリフェニルホスフィン(9.8g)を加えた後0℃に冷却した。反応混合溶液に四臭化炭素(12.3g)を少量ずつ加え、室温まで昇温させた後13.5時間撹拌した。反応混合溶液を減圧し溶媒を留去した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(5.4g)を得た。
(中間体A−5 Rf(TLC)=0.70(ヘキサン:酢酸エチル=1:1))
参考例A−6:tert-ブチル2-(2-(5-(メトキシカルボニル)チオフェン-2-イル)エチル)ヒドラジンカルボキシレート(中間体A−6)
中間体A−5(6.2g)のアセトニトリル(125mL)溶液にtert-ブチルカルバザート(16.5g:TCI)、炭酸水素ナトリウム(10.5g)、ヨウ化ナトリウム(700mg)を順次加え90℃で13時間撹拌した。反応混合溶液を0℃に冷却し、酢酸エチル(155mL)を加え1mol/L塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄後、有機相を乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(5.1g)を得た。
(中間体A−6 LCMS:m/z301.1(MH
+);保持時間:1.42分;LC条件:NLC−1)
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)7.64(1H,d,J=4.0Hz),6.87(1H,d,J=4.0Hz),3.86(3H,s),3.18(2H,t,J=7.2Hz),3.02(2H,t,J=7.2Hz),2.60−1.90(2H,br),1.64(9H,s)
参考例B−3:S-(2-クロロエチル)カルボクロリドチオエート(中間体B−3)
アルゴン雰囲気下エチレンスルフィド(320g:TCI)とピリジン(4.3mL)の混合溶液を氷浴にて冷却し、トリホスゲン(474g:TCI)を少量ずつ添加し、そのまま4時間撹拌した。反応混合溶液を減圧蒸留(0.7kPa〜0.8kPa,50℃〜52℃)で精製し、標記化合物(281g)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)3.72(2H,t,J=7.0Hz),3.30(2H,t,J=7.0Hz)
参考例Z−1:tert-ブチル2-(((2-クロロエチル)チオ)カルボニル)-2-(2-(5-(メトキシカルボニル)チオフェン-2-イル)エチル)ヒドラジンカルボキシレート (中間体Z−1)
中間体A−6(140.3g)のジクロロメタン(660mL)溶液に水(330mL)、炭酸水素ナトリウム(78.09g)を加え10分間撹拌した後、反応混合溶液の内温を20℃〜25℃に保ちながら中間体B−3(81.71g)を少量ずつ加えた。そのまま1時間撹拌した後、有機相を飽和食塩水で洗浄し、乾燥した。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(199.5g)を得た。
(中間体Z−1 Rf(TLC)=0.43(ヘキサン:酢酸エチル=2:1))
参考例Z−2:メチル 5-(2-(1-(((2-クロロエチル)チオ)カルボニル)ヒドラジニル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−2)
中間体Z−1(199g)に4mol/L塩化水素ジオキサン溶液(800mL)を加え室温で18時間撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、ジクロロメタン(6L)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2L)を加え抽出した。有機相を飽和食塩水(2L)で洗浄し乾燥させた後、減圧下溶媒を留去して標記化合物(172g)を得た。
(中間体A−4 Rf(TLC)=0.49(ヘプタン:酢酸エチル=1:1))
参考例Z−3:メチル 5-(2-(2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−3)
中間体Z−2(172g)のアセトニトリル(3.4L)溶液に炭酸水素ナトリウム(223g)、ヨウ化ナトリウム(397g)を順次加え、75℃にて15時間撹拌した。さらに83℃にて15時間撹拌した後、室温まで冷却した。反応混合溶液をろ紙を用いてろ過し、ろ紙上の残渣をアセトニトリル(1L)で洗浄し、ろ液と合わせて減圧濃縮した。濃縮後の残渣にジクロロメタン(3L)を加えた後、ろ紙を用いてろ過し、ろ紙上の残渣をジクロロメタン(1L)で洗浄し、ろ液と合わせて減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製した後減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(1L)に加温溶解後、ヘプタンを添加し氷冷した。析出した固体をろ取し、標記化合物(97g)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)7.64(1H,d,J=3.8Hz),6.88(1H,d,J=3.8Hz),3.86(3H,s),3.85(2H,t,7.0Hz),3.30(2H,t,J=7.0Hz),3.25−3.17(4H,m),3.16(2H,t,J=7.0Hz)
参考例C−2:2-(3-ブロモフェニル)-N-メトキシ-N-メチルアセトアミド(中間体C−2)
ジイソプロピルエチルアミン(800mL)のジクロロメタン(1.8L)溶液を氷冷し、3-ブロモフェニル酢酸(313g:TCI)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン・塩酸塩(284g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(334g)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(18g)を順次加え、室温にて12.5時間撹拌した。反応混合溶液に水(630mL)とジクロロメタン(630mL)を加えた後、2mol/L塩酸(630mL)で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(630mL)、飽和食塩水(630mL)でそれぞれ1回ずつ順次洗浄した。有機相を乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、標記化合物(372g)を得た。
(中間体C−2 LCMS:m/z257.9(MH
+);保持時間:1.37分;LC条件:NLC−1)
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)7.46−7.44(1H,m),7.39−7.36(1H,m),7.25−7.15(2H,m),3.74(2H,s),3.64(3H,s),3.20(3H,s)
参考例C−3:1-(3-ブロモフェニル)ブタ-3-エン-2-オン(中間体C−3)
中間体C−2(104.2g)のテトラヒドロフラン(2.1L)溶液を窒素雰囲気下で−45℃まで冷却した。反応混合溶液に臭化ビニルマグネシウム(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液,605mL:Aldrich)を30分かけて加え、0℃まで昇温した後1.5時間撹拌した。反応混合溶液を氷水(1L)と2mol/L塩酸(1L)を混ぜたものに加え、1分間撹拌した。イソプロピルエーテル(2L)を加え抽出し、有機相を1mol/L塩酸(1L)、水(1L)、飽和食塩水(1L)で順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(92.1g)を得た。
(中間体C−3 Rf(TLC)=0.74(ヘプタン:酢酸エチル=2:1))
参考例C−2−2:2-(3-イオドフェニル)-N-メトキシ-N-メチルアセトアミド(中間体C−2−2)
中間体C−2−2は、参考例C−2に記載の方法に準じ、3−ブロモフェニル酢酸の代わりに3−ヨードフェニル酢酸(2.85g)を用いることにより合成し、標記化合物(3.07g)を得た。
(中間体C−2−2 Rf(TLC)=0.42(ヘキサン:酢酸エチル=1:2))
なお、前記の方法に準じて化合物を合成する場合、当業者の常識に照らし、使用する原料の等量に応じて使用する試薬量、溶媒量、反応時間等を適宜変更することができる。以下、同様である。
参考例C−3−2:1-(3-イオドフェニル)ブタ-3-エン-2-オン(中間体C−3−2)
中間体C−3−2は、参考例C−3に記載の方法に準じ、中間体C−2の代わりに中間体C−2−2(100mg)を用いることにより合成し、標記化合物(58.7mg)を得た。
(中間体C−3−2 Rf(TLC)=0.60(ヘキサン:酢酸エチル=1:2))
参考例Z−4:メチル 5-(2-(4-(4-(3-ブロモフェニル)-3-オキソブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−4)
中間体Z−3(44.4g)のエタノール(444mL)溶液に中間体C−3(92.1g)を加え110℃で40時間撹拌した。反応混合溶液を減圧し溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(75.9g)を得た。
(中間体Z−4 LCMS:m/z511.2(MH
+);保持時間:1.75分;LC条件:NLC−1)
参考例Z−4−2:メチル 5-(2-(4-(4-(3-イオドフェニル)-3-オキソブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−4−2)
中間体Z−4−2は、参考例Z−4に記載の方法に準じ、中間体C−3の代わりに中間体C−3−2(680.2mg)を用いることにより合成し、標記化合物(120.1mg)を得た。
(中間体Z−4−2 Rf(TLC)=0.50(ヘキサン:酢酸エチル=1:2),
LCMS:m/z559.0(MH
+);保持時間:1.84分;LC条件:LC−1)
参考例Z−5:メチル 5-(2-(4-(4-(3-ブロモフェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−5)
中間体Z−4(75.7g)のメタノール(1.14L)溶液を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(7.47g)を少量ずつ加えた。0℃で1時間撹拌した後、希塩酸を反応混合溶液の液性が中性になるまで少量ずつ加えた。減圧下有機溶媒を留去した後、酢酸エチル(2L)を加え0℃に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1L)を少量ずつ添加し5分間撹拌した。有機相を抽出し乾燥させた後、減圧下溶媒を留去し、標記化合物(71.0g)を得た。
(中間体Z−5 LCMS:m/z513.15(MH
+);保持時間:1.70分;LC条件:LC−1)
参考例Z−14:メチル 5-(2-(2-オキソ-4-(3-オキソ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−14)
中間体Z−4−2(86.6mg)にジエチルアミン(78μL)、3−エチニルチオフェン(21μL)、ヨウ化銅(I)(0.8mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.1mg)を順次加え室温で2時間撹拌した。さらにジエチルアミン(600μL)、ヨウ化銅(I)(1.5mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.0mg)を順次加え室温で12時間撹拌した。反応混合溶液にジエチルエーテル、1mol/L塩酸(0.5mL)を加え、有機相を1mol/L塩酸(1mL)で5回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(0.5mL)で1回順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(31.7mg)を得た。
(中間体Z−14 Rf(TLC)=0.12(ヘキサン:酢酸エチル=1:2),
LCMS:m/z539.1(MH
+);保持時間:1.95分;LC条件:LC−1)
参考例Z−17:メチル 5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−17)
中間体Z−17は、参考例Z−5に記載の方法に準じ、中間体Z−4の代わりに中間Z−14(31.7mg)を用いることにより合成し、標記化合物(31.8mg)を得た。
(中間体Z−17 LCMS:m/z541.1(MH
+);保持時間:1.90分;LC条件:LC−1)
実施例1:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−17(31.8mg)のテトラヒドロフラン(884μL)溶液に水(221μL)、2mol/L水酸化リチウム水溶液(442μL)を加え50℃で17.5時間撹拌した。反応混合溶液を0℃に冷却し、2mol/L塩酸(660uL)を加えた後、酢酸エチルで抽出した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(22.7mg)を得た。
(LCMS:m/z527.2(MH
+);保持時間:1.68分;LC条件:LC−1)
参考例A−10:(3-ブロモチオフェン-2-イル)メタノール(中間体A−10)
3−ブロモチオフェン−2−カルボン酸(3.0g:Aldrich)のテトラヒドロフラン(46mL)溶液を窒素ガス雰囲気下で0℃に冷却し、ボラン・テトラヒドロフラン錯体の1mol/Lテトラヒドロフラン溶液(26.1mL)を15分かけて滴下した後、室温で21.5時間撹拌した。反応混合溶液を0℃に冷却し、氷水、1mol/L塩酸、酢酸エチルを加え撹拌した。減圧下有機溶媒を留去した後、酢酸エチルを加え、1mol/L塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(2.87g)を得た。
(中間体A−10 Rf(TLC)=0.42(ヘキサン:酢酸エチル=2:1))
参考例A−11:3-ブロモ-2-(ブロモメチル)チオフェン (中間体A−11)
中間体A−10(7.14g)のジクロロメタン(169mL)溶液を0℃に冷却し、トリフェニルホスフィン(13.3g)、四臭化炭素(13.45g)を加え室温で2.75時間撹拌した。反応混合溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、減圧下有機溶媒を留去した。酢酸エチルを加えた後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し乾燥させた。減圧下有機溶媒を留去した後、得られた残渣にヘキサン:酢酸エチル=8:1の混媒を加え懸濁液としたものを、シリカゲルを敷いたろ紙でろ過した。ろ液を減圧下溶媒留去し、標記化合物(9.70g)を得た。
(中間体A−11 Rf(TLC)=0.64(ヘキサン:酢酸エチル=8:1))
参考例A−12:2-(3-ブロモチオフェン-2-イル)アセトニトリル(中間体A−12)
中間体A−11(9.70g)にジメチルスルホキシド(28mL)、アセトニトリル(140mL)を加え0℃に冷却した後、シアン化ナトリウム(2.15g)を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え撹拌した後、減圧下溶液を濃縮した。セライトを敷いたろ紙で溶液をろ過し、セライト上の残渣を酢酸エチルにて洗浄した。ろ液と洗液を混合し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて順次洗浄し乾燥させた。減圧下有機溶媒を留去した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(3.89g)を得た。
(中間体A−12 Rf(TLC)=0.18(ヘキサン:酢酸エチル=8:1))
参考例A−13:エチル 2-(3-ブロモチオフェン-2-イル)アセテート(中間体A−13)
中間体A−12(3.89g)のエタノール(32.3mL)溶液に水(0.4mL)を加え0℃に冷却した後、濃硫酸(5.63mL)を少量ずつ添加した。反応混合溶液を85℃で115時間撹拌した後、0℃に冷却し、液性が中性になるまで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。酢酸エチルを加え撹拌した後、減圧下溶液を濃縮した。溶液に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(4.40g)を得た。
(中間体A−13 Rf(TLC)=0.33(ヘキサン:酢酸エチル=8:1))
参考例A−14:2-(3-ブロモチオフェン-2-イル)エタノール(中間体A−14)
中間体A−13(4.40g)のテトラヒドロフラン(88.5mL)溶液を窒素ガス雰囲気下0℃に冷却し、リチウムアルミニウムヒドリド(672mg)を加え0.6時間撹拌した。反応混合溶液に氷水、1mol/L塩酸、酢酸エチルを加え撹拌した後、1mol/L塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(2.69g)を得た。
(中間体A−14 Rf(TLC)=0.23(ヘキサン:酢酸エチル=4:1))
参考例A−2−2:(2-(3-ブロモチオフェン-2-イル)エトキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(中間体A−2−2)
中間体A−2−2は、参考例A−2に記載の方法に準じ、2−(チオフェン−2−イル)エタノールの代わりに中間体A−14(2.69g)を用いることにより合成し、標記化合物(3.93g)を得た。
(中間体A−2−2 Rf(TLC)=0.76(ヘキサン:酢酸エチル=4:1))
参考例A−3−2:4-ブロモ-5-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)チオフェン-2-カルボン酸(中間体A−3−2)
中間体A−3−2は、参考例A−3に記載の方法に準じ、中間体A−2の代わりに中間体A−2−2(293mg)を、n−ブチルリチウム(2.6mol/L ヘキサン溶液:KANTO)の代わりにリチウムジイソプロピルアミド(1.09mol/L ヘキサン−テトラヒドロフラン溶液,928μL:KANTO)を用いることにより合成し、標記化合物(339mg)を得た。
(中間体A−3−2 Rf(TLC)=0.12(ヘキサン:酢酸エチル=1:1))
参考例A−4−2:メチル 4-ブロモ-5-(2-ヒドロキシエチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体A−4−2)
中間体A−4−2は、参考例A−4に記載の方法に準じ、中間体A−3の代わりに中間体A−3−2(377mg)を用いることにより合成し、標記化合物(217mg)を得た。
(中間体A−4−2 Rf(TLC)=0.53(ヘキサン:酢酸エチル=1:1))
参考例A−5−2:メチル 4-ブロモ-5-(2-ブロモエチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体A−5−2)
中間体A−5−2は、参考例A−5に記載の方法に準じ、中間体A−4の代わりに中間体A−4−2(217mg)を用いることにより合成し、標記化合物(315mg)を得た。
(中間体A−5−2 Rf(TLC)=0.44(ヘキサン:酢酸エチル=8:1))
参考例A−6−2:tert-ブチル2-(2-(3-ブロモ-5-(メトキシカルボニル)チオフェン-2-イル)エチル)ヒドラジンカルボキシレート(中間体A−6−2)
中間体A−6−2は、参考例A−6に記載の方法に準じ、中間体A−5の代わりに中間体A−5−2(315mg)を用いることにより合成し、標記化合物(168mg)を得た。
(中間体A−5−2 Rf(TLC)=0.48(ヘキサン:酢酸エチル=1:1))
参考例Z−1−2:tert-ブチル2-(2-(3-ブロモ-5-(メトキシカルボニル)チオフェン-2-イル)エチル)-2-(((2-クロロエチル)チオ)カルボニル)ヒドラジンカルボキシレート(中間体Z−1−2)
中間体A−6−2(1.98g)のジクロロメタン(13.1mL)溶液に炭酸水素ナトリウム(880mg)を加え0℃に冷却した後、中間体B−3(993mg)を少量ずつ加えた。室温で0.5時間撹拌した後、反応混合溶液に水と酢酸エチルを加え、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(796mg)を得た。
(中間体Z−1−2 Rf(TLC)=0.53(トルエン:酢酸エチル=8:1))
参考例Z−2−2:メチル 4-ブロモ-5-(2-(1-(((2-クロロエチル)チオ)カルボニル)ヒドラジニル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−2−2)
中間体Z−1−2(796mg)に4mol/L塩化水素ジオキサン溶液(7.5mL)を加え室温で17.6時間撹拌した。反応混合溶液に酢酸エチル、5mol/l水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、溶液が塩基性になるまで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた後、減圧下溶媒を留去して標記化合物(594mg)を得た。
(中間体Z−2−2 Rf(TLC)=0.42(トルエン:酢酸エチル=8:1))
参考例Z−3−2:メチル 4-ブロモ-5-(2-(2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−3−2)
中間体Z−2−2(594mg)のアセトニトリル(14.9mL)溶液に炭酸水素ナトリウム(626mg)、ヨウ化ナトリウム(1.12g)を順次加え、85℃にて120時間撹拌した。反応混合溶液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水を加えて抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた後、減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(374mg)を得た。
(中間体Z−3−2 Rf(TLC)=0.13(ヘキサン:酢酸エチル=2:1))
参考例C−4:N-メトキシ-N-メチル-2-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)アセトアミド(中間体C−4)
中間体C―2−2(1.0g)のアセトニトリル(26mL)溶液に塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム(43mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(243mg)、炭酸セシウム(2.1g)、3−エチニルチオフェン(650μL)を順次加え、窒素ガス雰囲気下60℃で14時間撹拌した。セライトを敷いたろ紙で反応混合溶液をろ過し、セライト上の残渣を酢酸エチルにて洗浄した。ろ液と洗液を混合し、減圧下有機溶媒を留去した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(850mg)を得た。
(中間体C−4 Rf(TLC)=0.40(ヘキサン:酢酸エチル=1:1),
LCMS:m/z286.13(MH
+);保持時間:1.70分;LC条件:LC−1)
参考例Z−14−2:メチル 4-ブロモ-5-(2-(2-オキソ-4-(3-オキソ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−14−2)
中間体C−4(117mg)の1,2−ジメトキシエタン(2.3mL)溶液を窒素雰囲気下で0℃まで冷却した。反応混合溶液に臭化ビニルマグネシウム(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液,620μL:Aldrich)を加え、3時間撹拌した。反応混合溶液に2mol/L塩酸を加え1分間撹拌した。酢酸エチルを加え抽出し、乾燥させた後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣にエタノール(3mL)、水(3mL)、Z−3−2(100mg)を加え110℃で18時間撹拌した。反応混合溶液に飽和食塩水、クロロホルムを加え抽出し、有機相を乾燥させた後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(156.1mg)を得た。
(中間体Z−14−2 LCMS:m/z617.2(MH
+);保持時間:2.08分;LC条件:LC−1)
実施例2:4-ブロモ-5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−14−2(156.1mg)のメタノール(3mL)溶液を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(17.3mg)を少量ずつ加えた。0℃で1時間撹拌した後、希塩酸を反応混合溶液の液性が中性になるまで少量ずつ加えた。減圧下有機溶媒を留去した後、酢酸エチル(2L)を加え0℃に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1L)を少量ずつ添加し5分間撹拌した。有機相を抽出し乾燥させた後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣にテトラヒドロフラン(4.6mL)、メタノール(4.6mL)、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(4.6mL)を加え室温で3時間撹拌した。反応混合溶液を0℃に冷却し、2mol/L塩酸を加えた後、酢酸エチルで抽出し乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、標記化合物(140mg)を得た。
(LCMS:m/z605.1(MH
+);保持時間:1.78分;LC条件:LC−1)
参考例Z−14−3:メチル 5-(2-(2-オキソ-4-(3-オキソ-4-(3-(チオフェン-2-イルエチニル)フェニル)ブチル)-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−14−3)
中間体Z−14−3は、参考例Z−14に記載の方法に準じ、3−エチニルチオフェンの代わりに2−エチニルチオフェン(33.6mg:MAYBRIDGE)を用いることにより合成し、標記化合物(32.9mg)を得た。
(中間体Z−14−3 LCMS:m/z539.0(MH
+);保持時間:2.00分;LC条件:LC−1)
実施例3:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-2-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−14−3(32.9mg)のメタノール(0.6mL)溶液を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(3.6mg)を少量ずつ加えた。0℃で1.5時間撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、希塩酸(1.5mL)を加えた。溶液の液性が中性になるまで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。酢酸エチルで抽出し乾燥させた後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣にテトラヒドロフラン(920μL)、水(230μL)、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(460μL)を加え50℃で14時間撹拌した。反応混合溶液を0℃に冷却し5.5時間静置した後、2mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出し乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣を液体クロマトグラフィー(アセトニトリル/水)で精製し、標記化合物(3.6mg)を得た。
(LCMS:m/z527.0(MH
+);保持時間:1.79分;LC条件:LC−1)
参考例Z−6:メチル 5-(2-(4-(4-(3-ブロモフェニル)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−6)
中間体Z−5(1.0g)のN,N−ジメチルホルムアミド(19.5mL)溶液にイミダゾール(265mg)、tert−ブチルジメチルクロロシラン(596mg)を加え30℃で15時間撹拌した。反応混合溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄した後、乾燥し減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(1.16g)を得た。
(中間体Z−6 LCMS:m/z627.0(MH
+);保持時間:2.53分;LC条件:LC−1)
参考例Z−21:メチル 5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-((トリメチルシリル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−21)
中間体Z−6(300mg)のアセトニトリル(15.3mL)溶液に塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム(12.4mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(68.3mg)、炭酸セシウム(311mg)、エチニルトリメチルシラン(331μL)を順次加え、窒素ガス雰囲気下60℃で19時間撹拌した。反応混合溶液にエチニルトリメチルシラン(199μL)、塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム(6.2mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(34.1mg)、炭酸セシウム(187mg)を加え60℃で3.75時間撹拌した。反応混合溶液を減圧下溶媒留去した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(245mg)を得た。
(中間体Z−21 LCMS:m/z645.4(MH
+);保持時間:2.35分;LC条件:LC−6)
参考例Z−22:メチル 5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-エチニルフェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−22)
中間体Z−21(225mg)のメタノール溶液(3.6mL)に炭酸カリウム(50mg)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合溶液をろ過し、ろ紙上の残渣をメタノールで洗浄した洗液とともに濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(198mg)を得た。
(中間体Z−22 LCMS:m/z573.3(MH
+);保持時間:1.37分;LC条件:LC−6)
実施例4:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-((4-メチルチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
[工程a]
メチル 5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-((4-メチルチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−7−4)
中間体Z−22(10mg)のアセトニトリル(280μmL)溶液に塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム(0.5mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(2.5mg)、炭酸セシウム(6.8mg)、3−ブロモ−4−メチルチオフェン(9.3mg:TCI)を順次加え、窒素ガス雰囲気下60℃で4時間撹拌した。反応混合溶液をセライトを敷いたろ紙でろ過し、セライト上の残渣を酢酸エチルにて洗浄した。ろ液と洗液を混合し、水、飽和食塩水で順次洗浄した後乾燥した。減圧下溶媒を留去した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(7.4mg)を得た。
(中間体Z−7−4 LCMS:m/z699.4(MH
+);保持時間:2.18分;LC条件:LC−6)
[工程b]
5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-((4-メチルチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−7−4(7.4mg)のテトラヒドロフラン(390μL)溶液を0℃に冷却し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/L テトラヒドロフラン溶液:33μL)を加え、室温で2.5時間撹拌した。反応混合溶液にメタノール(390μL)、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(390μL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合溶液に、2mol/L塩酸(100μL)、水(400μL)を加え、酢酸エチル(1mL)で5回抽出した後、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、標記化合物(4.9mg)を得た。
(LCMS:m/z541.2(MH+);保持時間:1.74分;LC条件:LC−1)
実施例5:5-(2-(4-(4-(3-((2-クロロチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例4に記載の方法に準じ、3−ブロモ−4−メチルチオフェンの代わりに3−ブロモ−2−クロロチオフェン(20.7mg:TCI)を用いることにより合成し、標記化合物(12.9mg)を得た。
(LCMS:m/z561.1(MH
+);保持時間:1.77分;LC条件:LC−1)
実施例6:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-((5-メチルチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
[工程a]
メチル 5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-((5-メチルチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート (中間体Z−7−6)
中間体Z−22(20mg)のアセトニトリル(1120μL)溶液に塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム(0.9mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(5.0mg)、炭酸セシウム(13.7mg)、3−ブロモ−5−メチルチオフェン(18.5mg:TCI)を順次加え、窒素ガス雰囲気下60℃で4時間撹拌した。反応混合溶液をセライトを敷いたろ紙でろ過し、セライト上の残渣をクロロホルム:メタノール=9:1の混媒にて洗浄した。ろ液と洗液を混合し、減圧下溶媒を留去した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(16.2mg)を得た。
(中間体Z−7−6 LCMS:m/z699.4(MH
+);保持時間:2.20分;LC条件:LC−6)
[工程b]
5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-((5-メチルチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−7−6(16.2mg)のテトラヒドロフラン(850μL)溶液を0℃に冷却し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/L テトラヒドロフラン溶液:73μL)を加え、室温で2.5時間撹拌した。反応混合溶液に1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(66μL)を加え、室温で5時間撹拌した。反応混合溶液に、1mol/L塩酸(500μL)を加え、酢酸エチル(1mL)で5回抽出した後、飽和食塩水(500μL)で洗浄し乾燥させた。減圧下溶媒を留去し標記化合物(22.1mg)を得た。
(LCMS:m/z541.2(MH+);保持時間:1.76分;LC条件:LC−1)
実施例7:5-(2-(4-(4-(3-((4-シアノチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例6に記載の方法に準じ、3−ブロモ−5−メチルチオフェンの代わりに4−ブロモチオフェン−3−カルボニトリル(18.9mg:COMBI−BLOCKS)を用いることにより合成し、標記化合物(3.8mg)を得た。
(LCMS:m/z552.1(MH
+);保持時間:1.52分;LC条件:LC−1)
実施例8:5-(2-(4-(4-(3-((2-シアノチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例6に記載の方法に準じ、3−ブロモ−5−メチルチオフェンの代わりに3−ブロモチオフェン−2−カルボニトリル(18.9mg:APOLLO)を用いることにより合成し、標記化合物(5.5mg)を得た。
(LCMS:m/z552.2(MH
+);保持時間:1.56分;LC条件:LC−1)
実施例9:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チアゾール-4-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例6に記載の方法に準じ、3−ブロモ−5−メチルチオフェンの代わりに4―ブロモチアゾール(17.2mg:ALDRICH)を用いることにより合成し、標記化合物(14.3mg)を得た。
(LCMS:m/z528.2(MH
+);保持時間:1.38分;LC条件:LC−1)
実施例10:5-(2-(4-(4-(3-(フラン-3-イルエチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例6に記載の方法に準じ、3−ブロモ−5−メチルチオフェンの代わりに3―ブロモフラン(15.4mg:TCI)を用いることにより合成し、標記化合物(13.2mg)を得た。
(LCMS:m/z511.2(MH
+);保持時間:1.57分;LC条件:LC−1)
実施例11:5-(2-(4-(4-(3-(フラン-2-イルエチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例6に記載の方法に準じ、3−ブロモ−5−メチルチオフェンの代わりに2―ブロモフラン(14.8mg:ALDRICH)を用いることにより合成し、標記化合物(4.5mg)た。
(LCMS:m/z511.2(MH
+);保持時間:1.58分;LC条件:LC−1)
実施例12:5-(2-(4-(4-(3-((5-シアノチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
[工程a]
メチル 5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-((5-シアノチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−7−12)
中間体Z−22(14mg)のアセトニトリル(400μL)溶液に塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム(0.7mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(3.6mg)、炭酸セシウム(12.3mg)、4−ブロモチオフェン−2−カルボニトリル(18.9mg:COMBI−BLOCKS)を順次加え、窒素ガス雰囲気下60℃で6時間撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(6.4mg)を得た。
(中間体Z−7−12 LCMS:m/z680.4(MH
+);保持時間:1.71分;LC条件:LC−6)
[工程b]
5-(2-(4-(4-(3-((5-シアノチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−7−12(6.4mg)のテトラヒドロフラン(330μL)溶液を0℃に冷却し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/L テトラヒドロフラン溶液:28μL)を加え、室温で4時間撹拌した。反応混合溶液に1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(30μL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合溶液に、1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した後、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、標記化合物(0.7mg)を得た。
(LCMS:m/z552.2(MH+);保持時間:1.60分;LC条件:LC−1)
実施例13:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チアゾール-2-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例6に記載の方法に準じ、4−ブロモチオフェン−2−カルボニトリルの代わりに2―ブロモチアゾール(16.5mg:TCI)を用いることにより合成し、標記化合物(0.4mg)を得た。
(LCMS:m/z528.2(MH
+);保持時間:1.43分;LC条件:LC−1)
実施例14:5-(2-(4-(4-(3-((3-シアノチオフェン-2-イル)エチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
[工程a]
メチル 5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-((3-シアノチオフェン-2-イル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−7−14)
中間体Z−22(16mg)のアセトニトリル(1mL)溶液に塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム(0.7mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(4.0mg)、炭酸セシウム(10.9mg)、2−ブロモチオフェン−3−カルボニトリル(15.7mg:MAYBRIDGE)を順次加え、窒素ガス雰囲気下60℃で18時間撹拌した。反応混合溶液をセライトを敷いたろ紙でろ過し、セライト上の残渣をクロロホルム:メタノール=9:1の混媒にて洗浄した。ろ液と洗液を混合し、減圧下溶媒を留去した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(7.9mg)を得た。
(中間体Z−7−14 LCMS:m/z680.5(MH
+);保持時間:2.52分;LC条件:LC−1)
[工程b]
5-(2-(4-(4-(3-((3-シアノチオフェン-2-イル)エチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−7−14(7.9mg)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を0℃に冷却し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/L テトラヒドロフラン溶液:0.5mL)を加え、室温で18時間撹拌した。反応混合溶液にメタノール(0.5mL)、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.5mL)を加え、室温で2.5時間撹拌した。反応混合溶液に、1mol/L塩酸を加え、酢酸エチル抽出し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、標記化合物(3.0mg)を得た。
(LCMS:m/z552.0(MH+);保持時間:1.57分;LC条件:LC−1)
実施例15:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(フェニルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例14に記載の方法に準じ、2−ブロモチオフェン−2−カルボニトリルの代わりにブロモベンゼン(12.3mg:TCI)を用いることにより合成し、標記化合物(2.4mg)を得た。
(LCMS:m/z521.0(MH
+);保持時間:1.71分;LC条件:LC−1)
実施例16:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-((2-メトキシフェニル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例14に記載の方法に準じ、2−ブロモチオフェン−2−カルボニトリルの代わりに1−ブロモ−2−メトキシベンゼン(14.7mg:WAKO)を用いることにより合成し、標記化合物(1.6mg)を得た。
(LCMS:m/z551.3(MH
+);保持時間:1.64分;LC条件:LC−1)
参考例A−10−2:(3-クロロチオフェン-2-イル)メタノール(中間体A−10−2)
3−クロロチオフェン−2−カルボン酸(4.47g:ALDRICH)のテトラヒドロフラン(88.1mL)溶液を窒素ガス雰囲気下で0℃に冷却し、ボラン・テトラヒドロフラン錯体の1mol/Lテトラヒドロフラン溶液(49.7mL)を滴下した後、室温で22時間撹拌した。反応混合溶液を0℃に冷却しメタノール、水、酢酸エチルを加え撹拌した。減圧下有機溶媒を留去した後、酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(4.62g)を得た。
(中間体A−10−2 Rf(TLC)=0.40(ヘキサン:酢酸エチル=2:1))
参考例A−11−2:3-クロロ-2-(ブロモメチル)チオフェン(中間体A−11−2)
中間体A−10−2(4.62g)のジクロロメタン(110mL)溶液を0℃に冷却し、トリフェニルホスフィン(10.8g)、四臭化炭素(10.9g)を加え室温で1時間撹拌した。反応混合溶液に水、飽和食塩水、酢酸エチルを加えた撹拌した後、減圧下有機溶媒を留去した。酢酸エチルを加えた後、飽和食塩水で順次洗浄し乾燥させた。減圧下有機溶媒を留去した後、得られた残渣にヘキサン:酢酸エチル=9:1の混媒を加えて懸濁液としたものを、シリカゲルを敷いたろ紙でろ過した。ろ液を減圧下溶媒留去し、標記化合物(9.09g)を得た。
(中間体A−11−2 Rf(TLC)=0.56(ヘキサン:酢酸エチル=8:1))
参考例A−12−2:2-(3-クロロチオフェン-2-イル)アセトニトリル(中間体A−12−2)
中間体A−11−2(9.09g)にジメチルスルホキシド(42mL)、アセトニトリル(126mL)を加え0℃に冷却した後、シアン化ナトリウム(2.46g)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合溶液に水、飽和食塩水、酢酸エチルを加え撹拌した後、減飽和食塩水で洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(3.41g)を得た。
(中間体A−12−2 Rf(TLC)=0.20(ヘキサン:酢酸エチル=8:1))
参考例A−13−2:エチル 2-(3-クロロチオフェン-2-イル)アセテート(中間体A−13−2)
中間体A−12−2(3.41g)のエタノール(36mL)溶液に水(0.46mL)を加え0℃に冷却した後、濃硫酸(6.3mL)を少量ずつ添加した。反応混合溶液を85℃で88時間撹拌した後、0℃に冷却し、液性が中性になるまで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。酢酸エチルを加え撹拌した後、減圧下溶液を濃縮した。溶液に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(4.56g)を得た。
(中間体A−13−2 Rf(TLC)=0.31(ヘキサン:酢酸エチル=8:1))
参考例A−14−2:2-(3-クロロチオフェン-2-イル)エタノール(中間体A−14−2)
中間体A−13−2(4.56g)のテトラヒドロフラン(108mL)溶液を窒素ガス雰囲気下0℃に冷却し、リチウムアルミニウムヒドリド(1.48g)を加え0.7時間撹拌した。反応混合溶液に水、ジエチルエーテル、1mol/L塩酸を加え撹拌した後、1mol/L塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(3.67g)を得た。
(中間体A−14−2 Rf(TLC)=0.13(ヘキサン:酢酸エチル=4:1))
参考例A−2−3:(2-(3-クロロチオフェン-2-イル)エトキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン (中間体A−2−3)
中間体A−2−3は、参考例A−2に記載の方法に準じ、2−(チオフェン−2−イル)エタノールの代わりに中間体A−14−2(3.67g)を用いることにより合成し、標記化合物(4.29g)を得た。
(中間体A−2−3 Rf(TLC)=0.61(ヘキサン:酢酸エチル=4:1))
参考例A−3−3:4-クロロ-5-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)チオフェン-2-カルボン酸(中間体A−3−3)
中間体A−3−3は、参考例A−3に記載の方法に準じ、中間体A−2の代わりに中間体A−2−3(3.03g)を用いることにより合成し、標記化合物(3.41g)を得た。
(中間体A−3−3 Rf(TLC)=0.11(ヘキサン:酢酸エチル=4:1))
参考例A−4−3:メチル 4-クロロ-5-(2-ヒドロキシエチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体A−4−3)
中間体A−4−3は、参考例A−4に記載の方法に準じ、中間体A−3の代わりに中間体A−3−3(4.35g)を用いることにより合成し、標記化合物(2.23g)を得た。
(中間体A−4−3 Rf(TLC)=0.38(ヘキサン:酢酸エチル=1:1))
参考例A−5−3:メチル 4-クロロ-5-(2-ブロモエチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体A−5−3)
中間体A−5−3は、参考例A−5に記載の方法に準じ、中間体A−4の代わりに中間体A−4−3を(2.23g)用いることにより合成し、標記化合物(3.18g)を得た。
(中間体A−5−3 Rf(TLC)=0.52(ヘキサン:酢酸エチル=2:1))
参考例A−6−3:tert-ブチル2-(2-(3-クロロ-5-(メトキシカルボニル)チオフェン-2-イル)エチル)ヒドラジンカルボキシレート(中間体A−6−3)
中間体A−6−3は、参考例A−6に記載の方法に準じ、中間体A−5の代わりに中間体A−5−3(3.18g)を用いることにより合成し、標記化合物(3.29g)を得た。
(中間体A−5−3 Rf(TLC)=0.24(ヘキサン:酢酸エチル=2:1))
参考例Z−1−3:tert-ブチル2-(2-(3-クロロ-5-(メトキシカルボニル)チオフェン-2-イル)エチル)-2-(((2-クロロエチル)チオ)カルボニル)ヒドラジンカルボキシレート(中間体Z−1−3)
中間体Z−1−3は、参考例Z−1−2に記載の方法に準じ、中間体A−6−2の代わりに中間体A−6−3(1.79g)を用いることにより合成し、標記化合物(2.36g)を得た。
(中間体Z−1−3 Rf(TLC)=0.24(ヘキサン:酢酸エチル=4:1))
参考例Z−2−3:メチル 4-クロロ-5-(2-(1-(((2-クロロエチル)チオ)カルボニル)ヒドラジニル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−2−3)
中間体Z−2−3は、参考例Z−2−2に記載の方法に準じ、中間体Z−1−2の代わりに中間Z−1−3(2.36g)を用いることにより合成し、標記化合物(1.73g)を得た。
(中間体Z−2−3 Rf(TLC)=0.69(ヘキサン:酢酸エチル=1:1))
参考例Z−3−3:メチル 4-クロロ-5-(2-(2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−3−3)
中間体Z−3−3は、参考例Z−3−2に記載の方法に準じ、中間体Z−2−2の代わりに中間Z−2−3(1.73g)を用いることにより合成し、標記化合物(1.04g)を得た。
(中間体Z−3−3 Rf(TLC)=0.23(ヘキサン:酢酸エチル=1:1))
参考例Z−4−3:メチル 4-クロロ-5-(2-(4-(4-(3-イオドフェニル)-3-オキソブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−4−3)
中間体Z−4−3は、参考例Z−4に記載の方法に準じ、中間体Z−3の代わりに中間体Z−3−3(0.30g)を、中間体C−3の代わりに中間体C−3−2(参考例C−3−2に記載の方法において、原料C−2−2を2.56g使用して製造、取得された中間体C−3−2全量)を用いることにより合成し、標記化合物(0.64g)を得た。
(中間体Z−4−3 Rf(TLC)=0.31(ヘキサン:酢酸エチル=1:1))
参考例Z−14−4:メチル 4-クロロ-5-(2-(2-オキソ-4-(3-オキソ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−14−4)
中間体Z−4−3(429mg)にジエチルアミン(3.62mL)、3−エチニルチオフェン(93μL)、ヨウ化銅(I)(13.8mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(41.8mg)を順次加え窒素ガス雰囲気下室温で3.5時間撹拌した。反応混合溶液に1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機相を飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、標記化合物(290.4mg)を得た。
(中間体Z−14−4 LCMS:m/z573.2(MH
+);保持時間:2.03分;LC条件:LC−1)
参考例Z−17−17:メチル 4-クロロ-5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−17−17)
中間体Z−14−4(290mg)のメタノール(5mL)溶液にテトラヒドロフラン(1mL)を加えた後0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(28.8mg)を少量ずつ加えた。室温で1.6時間撹拌した後、水を加え、さらに1規定塩酸を反応混合溶液の液性が弱酸性になるまで少量ずつ加えた。酢酸エチルで2回抽出した後、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、標記化合物(183mg)を得た。
(中間体Z−17−17 LCMS:m/z575.2(MH
+);保持時間:1.98分;LC条件:LC−1)
実施例17:4-クロロ-5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−17−17(183mg)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液にメタノール(2mL)を加えた後0℃に冷却し、水(2.38mL)、4mol/L水酸化リチウム水溶液(2.38mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合溶液に水を加え、さらに2規定塩酸を反応混合溶液の液性が弱酸性になるまで少量ずつ加えた。酢酸エチルで2回抽出した後、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、標記化合物(129mg)を得た。
(LCMS:m/z561.25(MH
+);保持時間:1.72分;LC条件:LC−1)
参考例C−1:2-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)アセトニトリル(中間体C−1)
2−ブロモ−1,4−ジメチルベンゼン(2g:TCI)の四塩化炭素(21.6mL)溶液にN−ブロモスクシンイミド(1.06g)、過酸化ベンゾイル(56.7mg)を加え85℃で1.5時間撹拌した。反応混合溶液にN−ブロモスクシンイミド(1.06g)、過酸化ベンゾイル(56.7mg)を加え、85℃でさらに4.5時間で撹拌した。反応混合溶液を室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、ろ紙上の残渣をジクロロメタンにて洗浄した。ろ液と洗液を混合し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣にエタノール(10.8mL)、水(5.4mL)、シアン化カリウム(2.1g)を加え100℃で5時間撹拌した。反応混合溶液を室温まで冷却し、酢酸エチルで抽出した後、有機相を乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(576mg)を得た。
(中間体C−1 Rf(TLC)=0.58(ヘキサン:酢酸エチル=2:1))
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)7.51(1H,s),7.24(1H,d,J=7.5Hz),7.18(1H,d,J=7.5Hz),3.70(2H,s),2.40(3H,s)
参考例C−2−4:2-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-N-メトキシ-N-メチルアセトアミド(中間体C−2−4)
中間体C−1(300mg)に水(7.1mL)を加え0℃に冷却し、濃硫酸(5.7mL)を少量ずつ加えた後、105℃で15時間撹拌した。反応混合溶液を室温に冷却した後、酢酸エチルを加え抽出した。水相にヘキサンを加え抽出した後、さらにジエチルエーテルで抽出した。得られた有機相を混合し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣にN,N−ジメチルホルムアミド(14.3mL)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン・塩酸塩(557mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(821mg)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(17mg)、ジイソプロピルエチルアミン(1.2mL)を順次加え、室温にて17時間撹拌した。反応混合溶液にジエチルエーテルを加えた後、1mol/L塩酸で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(221mg)を得た。
(中間体C−2−4 LCMS:m/z272.3(MH
+);保持時間:1.57分;LC条件:LC−1)
参考例Z−4−4:メチル 5-(2-(4-(4-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-3-オキソブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−4−4)
中間体C−2−4(142.6mg)のジメトキシエタン(2.85mL)溶液を窒素雰囲気下で0℃まで冷却した。反応混合溶液に臭化ビニルマグネシウム(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液,790μL:ALDRICH)を加え、4時間撹拌した。反応混合溶液に2mol/L塩酸を加え、1分間撹拌した。酢酸エチルを加え抽出し、有機相を乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣にエタノール(3mL)、水(3mL)、中間体Z−3(100mg)を加え、110℃で終夜撹拌した。反応混合溶液に飽和食塩水を加え、クロロホルムで抽出した。有機相を乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(151.9mg)を得た。
(中間体Z−4−4 LCMS:m/z525.1(MH
+);保持時間:1.87分;LC条件:LC−1)
参考例Z−6−4:メチル 5-(2-(4-(4-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−6−4)
中間体Z−4−4(152mg)のメタノール(2.9mL)溶液にテトラヒドロフラン(5mL)を加え、0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(16.4mg)を加えた。0℃で1時間撹拌した後、希塩酸を反応混合溶液の液性が弱酸性になるまで少量ずつ加えた。減圧下有機溶媒を留去した後、酢酸エチルを加え抽出し、有機相を乾燥させた後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣に、N,N−ジメチルホルムアミド(1.4mL)、イミダゾール(98mg)、tert−ブチルジメチルクロロシラン(131mg)を順次加え室温で終夜撹拌した。反応混合溶液に2mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出うした。有機相を水、飽和食塩水で順次洗浄後、乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(165.7mg)を得た。
(中間体Z−6−4 LCMS:m/z641.2(MH
+);保持時間:2.02分;LC条件:LC−6)
参考例Z−7−18:メチル 5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(4-メチル-3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−7−18)
中間体Z−7−18は、参考例C−4に記載の方法に準じ、中間体C−2−2の代わりに中間体Z−6−4(20.0mg)を用いることにより合成し、標記化合物(23.4mg)を得た。
(中間体Z−7−18 LCMS:m/z669.3(MH
+);保持時間:2.25分;LC条件:LC−6)
実施例18:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(4-メチル-3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−7−18(23.4mg)のテトラヒドロフラン(0.93mL)溶液を0℃に冷却し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/L テトラヒドロフラン溶液:93μL)を加え、室温で1.5時間撹拌した。反応混合溶液にテトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/L テトラヒドロフラン溶液:93μL)を加え、室温でさらに1.5時間撹拌した。反応混合溶液にメタノール(0.93mL)、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.93mL)を加え、室温で終夜撹拌した。反応混合溶液に、1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、標記化合物(17.3mg)を得た。
(LCMS:m/z541.2(MH
+);保持時間:1.74分;LC条件:LC−1)
参考例C−1−2:2-(3-ブロモ-5-メチルフェニル)アセトニトリル(中間体C−1−2)
中間体C−1−2は、参考例C−1に記載の方法に準じ、2−ブロモ−1,4−ジメチルベンゼンの代わりに1−ブロモ−3,5−ジメチルベンゼン(4.00g:TCI)を用いることにより合成し、標記化合物(2.34g)を得た。
(中間体C−1−2 Rf(TLC)=0.64(ヘキサン:酢酸エチル=2:1))
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)7.31(1H,m),7.28(1H,m),7.09(1H,m),3.69(2H,s),2.35(3H,s)
参考例C−2−5:2-(3-ブロモ-5-メチルフェニル)-N-メトキシ-N-メチルアセトアミド(中間体C−2−5)
中間体C−2−5は、参考例C−2−4に記載の方法に準じ、中間体C−1の代わりに中間体C−1−2(500mg)を用いることにより合成し、標記化合物(553mg)を得た。
(中間体C−2−5 LCMS:m/z272.3(MH
+);保持時間:1.57分;LC条件:LC−1)
参考例Z−4−5:メチル 5-(2-(4-(4-(3-ブロモ-5-メチルフェニル)-3-オキソブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート (中間体Z−4−5)
中間体Z−4−5は、参考例Z−4−4に記載の方法に準じ、中間体C−2−4の代わりに中間体C−2−5(142.6mg)を用いることにより合成し、標記化合物(149.9mg)を得た。
(中間体Z−4−5 LCMS:m/z525.1(MH
+);保持時間:1.88分;LC条件:LC−1)
参考例Z−6−5:メチル 5-(2-(4-(4-(3-ブロモ-5-メチルフェニル)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−6−5)
中間体Z−6−5は、参考例Z−6−4に記載の方法に準じ、中間体Z−4−4の代わりに中間体Z−4−5(149.9mg)を用いることにより合成し、標記化合物(163.0mg)を得た。
(中間体Z−6−5 LCMS:m/z641.3(MH
+);保持時間:2.00分;LC条件:LC−6)
参考例Z−7−19:メチル 5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-メチル-5-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−7−19)
中間体Z−7−19は、参考例C−4に記載の方法に準じ、中間体C−2−2の代わりに中間体Z−6−5(20mg)を用いることにより合成し、標記化合物(19.2mg)を得た。
(中間体Z−7−19 LCMS:m/z669.3(MH
+);保持時間:2.25分;LC条件:LC−6)
実施例19:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-メチル-5-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例18に記載の方法に準じ、中間体Z−7−18の代わりに中間体Z−7−19(19.2mg)を用いることにより合成し、標記化合物(13.5mg)を得た。
(LCMS:m/z541.2(MH
+);保持時間:1.74分;LC条件:LC−1)
参考例C−2−6:2-(3-ブロモ-4-フルオロフェニル)-N-メトキシ-N-メチルアセトアミド(中間体C−2−6)
2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)酢酸(500mg)のジクロロメタン(43mL)溶液に、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン・塩酸塩(419mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(494mg)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(26mg)、ジイソプロピルエチルアミン(1.2mL)を順次加え、室温にて終夜撹拌した。反応混合溶液を減圧下溶媒留去し、酢酸エチルを加えた後、1mol/L塩酸、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(449mg)を得た。
(中間体C−2−6 LCMS:m/z276.2(MH
+);保持時間:1.37分;LC条件:LC−1)
参考例Z−4−6:メチル 5-(2-(4-(4-(3-ブロモ-4-フルオロフェニル)-3-オキソブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−4−6)
中間体Z−4−6は、参考例Z−4−4に記載の方法に準じ、中間体C−2−4の代わりに中間体C−2−6(450.5mg)を用いることにより合成し、標記化合物(562.8mg)を得た。
(中間体Z−4−6 LCMS:m/z529.1(MH
+);保持時間:1.78分;LC条件:LC−1)
参考例Z−6−6:メチル 5-(2-(4-(4-(3-ブロモ-4-フルオロフェニル)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−6−6)
中間体Z−6−6は、参考例Z−6−4に記載の方法に準じ、中間体Z−4−4の代わりに中間体Z−4−6(562.8mg)を用いることにより合成し、標記化合物(719.7mg)を得た。
(中間体Z−6−6 LCMS:m/z645.3(MH
+);保持時間:1.64分;LC条件:LC−6)
参考例Z−7−20:メチル 5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(4-フルオロ-3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート (中間体Z−7−20)
中間体Z−7−20は、参考例C−4に記載の方法に準じ、中間体C−2−2の代わりに中間体Z−6−6(15.0mg)を用いることにより合成し、標記化合物(15.3mg)を得た。
(中間体Z−7−20 LCMS:m/z673.4(MH
+);保持時間:1.87分;LC条件:LC−6)
実施例20:5-(2-(4-(4-(4-フルオロ-3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−7−20(15.3mg)のテトラヒドロフラン(345μL)溶液を0℃に冷却し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/L テトラヒドロフラン溶液:69μL)を加え、室温で4時間撹拌した。反応混合溶液にテトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/L テトラヒドロフラン溶液:70μL)、テトラヒドロフラン(350μL)を加え、室温でさらに2.5時間撹拌した。反応混合溶液にメタノール(345μL)、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(345μL)を加え、室温で終夜撹拌した。反応混合溶液に、1mol/L塩酸、酢酸エチルを加え抽出した後、有機相を1mol/L塩酸で洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣を陰イオン交換樹脂で精製し、標記化合物(15.3mg)を得た。
(LCMS:m/z545.2(MH
+);保持時間:1.67分;LC条件:LC−1)
参考例X−1:4-フェニルチオフェン-3-カルボアルデヒド(中間体X−1)
(4−ホルミルチオフェン−3−イル)ボロン酸(0.5g:COMBI−BLOCKS)のn−ブタノール(32mL)溶液にブロモチオフェン(1.0mL:TCI)、水(6.4mL)、酢酸パラジウム(36mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(132mg)、リン酸カリウム(1.36g)を順次加え、窒素ガス雰囲気下95℃で終夜撹拌した。反応混合溶液にジエチルエーテルを加えた後、水で洗浄し乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(445mg)を得た。
(中間体X−1 LCMS:m/z189.0(MH
+);保持時間:1.54分;LC条件:LC−1)
参考例X−2:3-エチニル-4-フェニルチオフェン(中間体X−2)
ジメチル(1−ジアゾ−2−オキソプロピル)ホスホネート(727mg:TCI)のメタノール(14.9mL)溶液に中間体X−1(445mg)を加え0℃に冷却した。反応混合溶液に炭酸カリウム(686mg)を少量ずつ加え、室温で終夜撹拌した。反応混合溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を乾燥させた後、減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(384mg)を得た。
(中間体X−2 LCMS:m/z185.1(MH
+);保持時間:1.81分;LC条件:LC−1)
参考例Z−7−21:メチル 5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-((4-フェニルチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−7−21)
中間体Z−7−21は、参考例C−4に記載の方法に準じ、中間体C−2−2の代わりに中間体Z−6(15.0mg)を、3−エチニルチオフェンの代わりに中間体X−2(9.4mg)を用いることにより合成し、標記化合物(15.2mg)を得た。
(中間体Z−7−21 LCMS:m/z731.21(MH
+);保持時間:2.41分;LC条件:LC−6)
実施例21:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-((4-フェニルチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例18に記載の方法に準じ、中間体Z−7−18の代わりに中間体Z−7−21(15.2mg)を用いることにより合成し、標記化合物(5.7mg)を得た。
(LCMS:m/z603.0(MH
+);保持時間:1.87分;LC条件:LC−1)
参考例T−2:2-(4-ブロモチオフェン-2-イル)-N-メトキシ-N-メチルアセトアミド(中間体T−2)
2-(4-ブロモチオフェン-2−イル)酢酸(1.0g)のジクロロメタン(9mL)溶液を0℃に冷却し、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン・塩酸塩(882mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(1.04g)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(55mg)、ジイソプロピルエチルアミン(3.38mL)、次いでジイソプロピルエチルアミン(0.35mL)を加え、室温で41時間撹拌した。反応液を濃縮後、酢酸エチルと水を加え、1mol/L塩酸を加えて分配し、さらに酢酸エチルで2回抽出する。1mol/L塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、標記化合物(891mg)を得た。
(中間体T−2 LCMS:m/z264.2,266(MH
+);保持時間:1.36分;LC条件:LC-1)
参考例T−3:1-(4-ブロモチオフェン-2-イル)-4-(メトキシ(メチル)アミノ)ブタン-2-オン (中間体T−3)
中間体T−2(200mg)の1,2−ジメトキシエタン(7mL)溶液を窒素雰囲気下で0℃に冷却した。反応混合溶液に臭化ビニルマグネシウム(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液,1.1mL:ALDRICH)を滴下し、同温度で2時間50分撹拌した。0℃のまま1mol/L塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム乾燥後、減圧下濃縮し標記化合物(172.8mg)を得た。
(中間体T−3 LCMS:m/z292.1,294(MH
+);保持時間:1.55分;LC条件:LC-1)
参考例T−4:メチル 5-(2-(4-(4-(4-ブロモチオフェン-2-イル)-3-オキソブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート (中間体T−4)
中間体T−3(172.8mg)及び中間体Z−3(181mg)をエタノール(5mL)に溶解し、水(5mL)を加えて105℃で16.5時間撹拌した。飽和食塩水を水で薄めた溶液に反応液を注ぎ、クロロホルムで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(112.0mg)を得た。
(中間体T−4 LCMS:m/z517.0,519.1(MH
+);保持時間:1.76分;LC条件:LC-1)
参考例T−5:メチル 5-(2-(4-(4-(4-ブロモチオフェン-2-イル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体T−5)
中間体T−4(112mg)のメタノール(2mL)溶液を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(12.3mg)を少量ずつ加えた。室温で3時間撹拌したのち、反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム乾燥後溶媒を減圧下で留去し標記化合物(99.6mg)を得た。
(中間体T−5 LCMS:m/z519.08,521.08(MH
+);保持時間:1.70分;LC条件:LC−1)
参考例T−6:メチル 5-(2-(4-(3-アセトキシ-4-(4-ブロモチオフェン-2-イル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体T−6)
中間体T−5(95.7mg)のジクロロメタン(1.8mL)溶液を0℃に冷却し、無水酢酸(348μL)及びピリジン(741μL)を加え、室温で17時間撹拌した後、無水酢酸(348μL)を加えてさらに4時間、室温で撹拌した。反応液に水を加えた後、クロロホルムで3回抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し標記化合物を得た。
(中間体T−6 LCMS:m/z561.1,563.1(MH
+);保持時間:1.89分;LC条件:LC−1)
実施例22:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(4-(チオフェン-3-イルエチニル)チオフェン-2-イル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
[工程a]
メチル 5-(2-(4-(3-アセトキシ-4-(4-(チオフェン-3-イルエチニル)チオフェン-2-イル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体T−7)
中間体T−6(17.5mg)のアセトニトリル(1mL)溶液に塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム(1.2mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(6.7mg)、炭酸セシウム(13.2mg)、3−エチニルチオフェン(5.6μL)を順次加え、アルゴンガス雰囲気下60℃で17時間撹拌した。セライトを敷いたろ紙で反応混合溶液をろ過し、セライト上の残渣を酢酸エチルにて洗浄した。ろ液と洗液を混合し、減圧下溶媒を留去した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体T−6と標記化合物との混合物(18.6mg)を得た。得られた混合物のアセトニトリル(2mL)溶液に塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム(1.2mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(6.7mg)、炭酸セシウム(13.2mg)、3−エチニルチオフェン(6.14μL)を順次加え、アルゴンガス雰囲気下60℃で19時間撹拌した。セライトを敷いたろ紙で反応混合溶液をろ過し、セライト上の残渣を酢酸エチルにて洗浄した。ろ液と洗液を混合し、減圧下溶媒を留去した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物と(14.2mg)を得た。
(中間体T−7 LCMS:m/z589.1(MH
+);保持時間:2.03分;LC条件:LC−1)
[工程b]
5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(4-(チオフェン-3-イルエチニル)チオフェン-2-イル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体T−7(14.2mg)のテトラヒドロフラン(0.36mL)溶液に、1mol/L水酸化リチウム水溶液(0.36mL)を加え、室温で終夜撹拌した。反応混合溶液を0℃に冷やし、1mol/L塩酸(0.36mL)を加えた。混合物を水で希釈しクロロホルムで3回抽出した後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、標記化合物(3.5mg)を得た。
(LCMS:m/z533.0(MH+);保持時間:1.64分;LC条件:LC−1)
実施例23:(S)-5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
[工程a]
(S)-メチル 5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−17−S)
中間体Z−17(592mg)を、キラルカラムを装着したHPLCで分取(HPLC装置:日本Waters社製分取精製装置、キラルカラム:CHIRALCEL AD−H(ダイセル社製)、溶出液:エタノール、流速:0.5mL/分、保持時間:14.91分)し、標記化合物(194.2mg)を得た。
[工程b]
(S)-5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例1に記載の方法に準じ、中間体Z−17の代わりに中間体Z−17−S(41.4mg)を用いることにより合成し、標記化合物(31.8mg)を得た。
(LCMS:m/z527.2(MH+);保持時間:1.68分;LC条件:LC−1)
参考例U:(S)-メチル5-(2-(4-(4-(3-ブロモフェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体U)
中間体Z5(1g)を、キラルカラムを装着したHPLCで分取(HPLC装置:日本Waters社製分取精製装置、キラルカラム:CHIRALCEL OJ−H(ダイセル社製)、溶出液:メタノール、流速:0.5mL/分、保持時間:20.72分)し、標記化合物(309mg)を得た。
参考例V−1:(S)-メチル5-(2-(4-(4-(3-ブロモフェニル)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体V−1)
参考例Z−6に記載の方法に準じ、中間体Z−5の代わりに中間体U(299.3mg)を用いることにより合成し、標記化合物(333.9mg)を得た。
(中間体V−1 LCMS:m/z627.35、629.35(MH
+);保持時間:1.79分;LC条件:NLC−1)
参考例V−2:(S)-メチル5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-((トリメチルシリル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体V−2)
参考例Z−21に記載の方法に準じ、中間体Z−6の代わりに中間体V−1(333.9mg)を用いることにより合成し、標記化合物(91.3mg)を得た。
(中間体V−2 LCMS:m/z645.49(MH
+);保持時間:2.38分;LC条件:NLC−6)
参考例V−3:(S)-メチル5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-エチニルフェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体V−3)
参考例Z−22に記載の方法に準じ、中間体Z−21の代わりに中間体V−2(91.3mg)を用いることにより合成し、標記化合物(91.6mg)を得た。
(中間体V−3 LCMS:m/z573.45(MH
+);保持時間:1.41分;LC条件:NLC−6)
実施例24:(S)-5-(2-(4-(4-(3-((2-シアノチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
[工程a]
(S)-メチル5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-((2-シアノチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−24−1)
中間体V−3(50.6mg)のアセトニトリル(1mL)溶液に塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム(2.0mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(11.2mg)、炭酸セシウム(51.1mg)、3−ブロモチオフェン−2−カルボニトリル(73.8mg)を順次加え、窒素ガス雰囲気下60℃で0.75時間撹拌した。反応混合溶液をセライトを敷いたろ紙でろ過し、セライト上の残渣をクロロホルム:メタノール=9:1の混媒にて洗浄した。ろ液と洗液を混合し、減圧下溶媒を留去した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(10.1mg)を得た。
(中間体Z−24−1 LCMS:m/z680.44(MH
+);保持時間:1.73分;LC条件:NLC−6)
[工程b]
(S)-メチル5-(2-(4-(4-(3-((2-シアノチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−24−2)
中間体Z−24−1(10.1mg)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液をにテトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/L テトラヒドロフラン溶液:44.6μL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合溶液をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(9.3mg)を得た。
(中間体Z−24−2 LCMS:m/z566.35(MH
+);保持時間:1.77分;LC条件:NLC−6)
[工程c]
(S)-5-(2-(4-(4-(3-((2-シアノチオフェン-3-イル)エチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−24−2(9.3mg)のテトラヒドロフラン(400μL)溶液に1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(197μL)を加え、室温で60時間撹拌した。反応混合溶液に、1mol/L塩酸(400μL)を加え、クロロホルムで3回抽出した後、飽和食塩水で洗浄し乾燥させた。減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム)で精製し、標記化合物(7.5mg)を得た。
(LCMS:m/z552.30.2(MH+);保持時間:1.23分;LC条件:NLC−1)
実施例25:(S)-5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チアゾール-4-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
[工程a]
(S)-メチル5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-(チアゾール-4-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−25−1)
実施例24の工程a記載の方法に準じ、3−ブロモチオフェン−2−カルボニトリルの代わりに4−ブロモチアゾール(28.6μL)を用いることにより合成し、標記化合物(21.0mg)を得た。
(中間体Z−25−1 LCMS:m/z656.43(MH+);保持時間:1.37分;LC条件:NLC−1)
[工程b]
(S)-5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チアゾール-4-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−25−1(21.0mg)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液をにテトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/L テトラヒドロフラン溶液:92.6μL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応混合溶液をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製することにより得た中間体(12.2mg)のテトラヒドロフラン(540μL)及びメタノール(270μL)の溶液に、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(270μL)を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合溶液に、1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで5回抽出した後、飽和食塩水で洗浄し乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(12.5mg)を得た。
(LCMS:m/z528.29(MH+);保持時間:1.08分;LC条件:NLC−1)
実施例26:(S)-5-(2-(4-(4-(3-(フラン-3-イルエチニル)フェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例25に記載の方法に準じ、4−ブロモチアゾールの代わりに3−ブロモフラン(31.2mg)を用いることにより合成した後、カラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム)で精製し、標記化合物(5.1mg)を得た。
(LCMS:m/z511.35(MH
+);保持時間:1.23分;LC条件:NLC−1)
参考例Z−27:(E)-メチル5-(2-(4-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(3-(2-(チオフェン-3-イル)ビニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−27)
中間体Z−6(50.0mg)の1,4−ジオキサン(637μL)溶液に(E)−4,4,5,5−テトラメチル−2−(2−(チオフェン−3−イル)ビニル)−1,3,2−ジオキサボロレン(22.6mg:ALDRICH)、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5.6mg)、炭酸ナトリウム(21.1mg)、水(199μL)を順次加え、窒素ガス雰囲気下85℃で11時間撹拌した。反応混合溶液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥させた後、減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(44.5mg)を得た。
(中間体Z−27 LCMS:m/z657.3(MH
+);保持時間:1.93分;LC条件:LC−6)
実施例27:(E)-5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(2-(チオフェン-3-イル)ビニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例18に記載の方法に準じ、中間体Z−7−18の代わりに中間体Z−27(24.8mg)を用いることにより合成し、標記化合物(17.8mg)を得た。
(LCMS:m/z529.1(MH
+);保持時間:1.63分;LC条件:LC−1)
参考例Z−14−5:メチル 4-クロロ-5-(2-(2-オキソ-4-(3-オキソ-4-(3-(ピリジン-2-イルエチニル)フェニル)ブチル)-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−14−5)
中間体Z−4−3(100mg)にジエチルアミン(850μL)、2−エチニルピリジン(22.8μL)、ヨウ化銅(I)(2.9mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.9mg)を順次加え窒素ガス雰囲気下室温で15.5時間撹拌した。反応混合溶液を酢酸エチルで希釈した後、溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(トルエン/アセトニトリル)で精製し、標記化合物(47.6mg)を得た。
(中間体Z−14−5 LCMS:m/z570.425(MH
+);保持時間:4.86分;LC条件:FLC−1))
実施例28:4-クロロ-5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(ピリジン-2-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−14−5(47.6mg)のメタノール(840μL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(4.8mg)を少量ずつ加えた。室温で0.5時間撹拌した後、水、酢酸エチルを加え、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去した後、テトラヒドロフラン(640μL)、メタノール(640μL)、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(640μL)を加えた。反応混合溶液を室温で1.8時間撹拌した後、0℃に冷却し、2mol/L塩酸(640μ)を少量ずつ加えた。反応混合溶液に酢酸エチルを加え、有機相を飽和食塩水で洗浄し、乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(トルエン/エタノール/酢酸)で精製し、標記化合物(15.0mg)を得た。
(LCMS:m/z556.023(MH
+);保持時間:4.49分;LC条件:FLC−1)
参考例Z−29−1:2-tert-ブチル 1-(2-クロロエチル) 1-(2-(5-(メトキシカルボニル)チオフェン-2-イル)エチル)ヒドラジン-1,2-ジカルボキシレート(中間体Z−29−1)
中間体A−6(5.0g)のアセトニトリル(165mL)溶液に炭酸カリウム(0.46g)を加え、0℃に冷却した。クロロギ酸2-クロロエチル(2.07mL)をゆっくり加え、同温度で1時間撹拌した。反応液に水を加えて室温にし、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、減圧下で溶媒を留去し、標記化合物(8.34g)を得た。
(中間体Z−29−1 LCMS:m/z307.14、309.11(MH
+−Boc);保持時間:1.64分;LC条件:LC−1)
参考例Z−29−2:tert-ブチル3-(2-(5-(メトキシカルボニル)チオフェン-2-イル)エチル)-2-オキソ-1,3,4-オキサジアジナン-4-カルボキシレート(中間体Z−29−2)
中間体Z−29−1(8.34g)のDMF(140mL)溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(55%、0.87g)を、30分かけて少しずつ加え、2時間撹拌した。室温にして、1時間撹拌後、再び0℃で水素化ナトリウム(55%、0.1g)を加えたのち、室温で15時間撹拌した。0℃に冷却して水を加え、酢酸エチルで4回抽出した。有機相を水で2回、飽和食塩水で1回洗浄し、乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(1.75g)を得た。
(中間体Z−29−2 LCMS:m/z371.3(MH
+);保持時間:1.51分;LC条件:LC−1)
参考例Z−29−3:メチル 5-(2-(2-オキソ-1,3,4-オキサジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−29−3)
中間体Z−29−2(1.75g)のジクロロメタン(25mL)溶液を0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(12.5mL)を加え、室温で1時間撹拌した。0℃に冷却し、5M水酸化ナトリウム水溶液で中和したのち、クロロホルムで3回抽出した。有機相を水で洗浄後、乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。シリカゲルショートカラム(クロロホルム、次いで酢酸エチル)で精製後、析出した固体をジエチルエーテルで洗浄し、標記化合物(0.90g)を得た。
(中間体Z−29−3 LCMS:m/z271.2(MH
+);保持時間:0.94分;LC条件:LC−1)
参考例Z−29−4:メチル 5-(2-(4-(4-(3-イオドフェニル)-3-オキソブチル)-2-オキソ-1,3,4-オキサジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−29−4)
中間体C−2−2(250mg)のDME(5mL)溶液を窒素気流下0℃に冷却し、臭化ビニルマグネシウム(1M溶液、1.2mL)を滴下し、同温度で2時間撹拌した。2M塩酸を加えて酸性にした後、水を加えて酢酸エチルで3回抽出した。有機相を水で2回洗浄し、乾燥後減圧下で溶媒を留去した。
中間体Z−29−3(110.7mg)と水(3.3mL)を入れたフラスコに、上で得られた残渣のエタノール(3.3mL)溶液を加え、外温110℃で15時間撹拌した。室温にした後、水に反応液を注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(126.2mg)を得た。
(中間体Z−29−4 LCMS:m/z541.2(MH
+);保持時間:1.66分;LC条件:LC−1)
参考例Z−29−5:メチル 5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-イオドフェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-オキサジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−29−5)
中間体Z−29−4(58.1mg)のメタノール(1mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(6.1mg)を加え、室温で1時間撹拌した。水を加えて、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、乾燥後減圧下で溶媒留去し、標記化合物(61.4mg)を得た。
(中間体Z−29−5 LCMS:m/z545.2(MH
+);保持時間:1.60分;LC条件:LC−1)
参考例Z−29−6:メチル 5-(2-(4-(3-アセトキシ-4-(3-イオドフェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-オキサジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−29−6)
中間体Z−29−5(61.4mg)をジクロロメタン(2mL)に溶解し、無水酢酸(0.27mL)とピリジン(0.23mL)を加えて室温で5.5時間撹拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで3回抽出した。有機相を水で洗浄し、乾燥後減圧下で溶媒留去した。残渣をショートカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(71.8mg)を得た。
(中間体Z−29−6 LCMS:m/z587.26(MH
+);保持時間:1.82分;LC条件:LC−1)
参考例Z−29−7:メチル 5-(2-(4-(3-アセトキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-オキサジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−29−7)
参考例Z−14に記載の方法に準じ、中間体Z−4−2の代わりに中間体Z−29−6(71.8mg)を用いることにより合成し、標記化合物(66.4mg)を得た。
(中間体Z−29−7 LCMS:m/z567.36(MH
+);保持時間:1.94分;LC条件:LC−1)
実施例29:5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-オキサジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
実施例22の工程bに記載の方法に準じ、中間体T−7の代わりに中間体Z−29−7(66.4mg)を用いることにより合成し、標記化合物(45.6mg)を得た。
(LCMS:m/z509.2(MH
+);保持時間:1.53分;LC条件:LC−1)
参考例D−2:メチル 4-(3-ブロモフェニル)-3-オキソブタノエート(中間体D−2)
マロン酸モノメチルカリウム(0.885kg)にTHF(4.077kg)、塩化マグネシウム(0.47kg)を加え、50℃で10分撹拌した。3-ブロモフェニル酢酸(1.005kg)のTHF(2.023kg)溶液にカルボニルジイミダゾール(0.801kg)のDMF(4.025kg)溶液を添加し室温で1時間撹拌した反応液を、これに加えた。さらにTHF(0.508kg)を加え50℃で30分撹拌した。反応混合液を室温まで冷却し、酢酸エチル(8.071kg)を加え20%クエン酸水溶液(6.032kg)で2回洗浄した後、減圧下溶媒を留去し濃縮液(2.358kg)を得た。これに酢酸エチル(1.011kg)を加え中間体D−2を含む溶液(3.369kg)を得た。中間体D−2を含む溶液を、同様の操作にて得られたものを混合し、これ(6.770kg)に酢酸エチル(6.063kg)を加え、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(10.055kg)、塩化ナトリウム(0.506kg)を加え洗浄した。さらに5%炭酸水素ナトリウム水溶液(10.054kg)、塩化ナトリウム(0.503kg)を加え洗浄した。さらに20%食塩水(10.064kg)で洗浄し、酢酸エチル(1.01kg)を加えた後、減圧下溶媒を留去し、標記化合物(2.52kg)を得た。
(LCMS:m/z268.9,270.9(MH
−);保持時間:1.44分;LC条件:NLC−1)
参考例D−3:メチル (S)-4-(3-ブロモフェニル)-3-ヒドロキシブタノエート(中間体D−3)
中間体D−2(2.52kg)にメタノール(14.325kg)、水(0.237kg)、[NH2Me2][(RuCl((S)-dm-segphos))2(u-Cl)3](82.46g:TAKASAGO)を加え、水素雰囲気下60℃で6時間撹拌した後、減圧下溶媒を留去した。トルエン(20.70kg)、QuadraSil AP(0.60kg:JOHNSON)を加え60℃で1時間撹拌した後、反応混合液を濾過し、濾物をトルエン(2.066kg)で洗浄した。濾液を減圧下で溶媒留去し濃縮液(5.68kg)とした後、10℃でn−ヘプタン(1.22kg)を15分かけて滴下、さらに5℃でn−ヘプタン(1.22kg)を50分かけて滴下した。反応混合液をそのまま5℃で45分撹拌した後、濾過した。濾物をn−ヘプタン(0.48kg)、トルエン(0.24kg)の混合液で洗浄し、瀘物を乾燥させ、標記化合物(1.923kg)を得た。
(LCMS:m/z273.0,275.1(MH
+);保持時間:1.36分;LC条件:NLC−1)
(キラルLC:保持時間:21.1分;LC条件:キラルLC−1)
参考例D−35:メチル (S)-3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブタノエート(中間体D−35)
中間体D−3(558g)にアセトニトリル(1386g)、炭酸セシウム(665.7g)、X−Phos(48.7g:日本化学)、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロリド(13.28g:TCI)を加え、窒素雰囲気下3−エチニルチオフェン(287.3g)のアセトニトリル(277.2g)溶液を30分かけて滴下した。反応混合液を40℃で30分撹拌した後、60℃で90分撹拌した。反応混合液を室温まで冷却し、トルエン(1208.3g)、水(3488.2g)を加え20分撹拌した後、セライトを用いて濾過した。瀘物をトルエン(2416.3g)で洗浄し、濾液を10分撹拌した後、有機層と水層に分かれるまで静置し、水層を除いた。有機層を水(2232.3g)で洗浄した後、減圧下溶媒を留去し、標記化合物(753.9g)を得た。
(LCMS:m/z301.2(MH
+);保持時間:1.65分;LC条件:NLC−1)
参考例D−50:メチル (S)-3-((2-メトキシエトキシ)メトキシ)-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブタノエート(中間体D−50)
中間体D−35(753.5g)に窒素雰囲気下トルエン(2588.1g)、ジイソプロピルエチルアミン(334.3g)、2-メトキシエトキシメチルクロリド(322.2g)を加え80℃で150分撹拌した。反応混合液を冷却し、水(3107.7g)を加え10分撹拌した後濾過した。瀘物をトルエン(1031.6g)で洗浄し、濾液が有機層と水層に分かれるまで静置し、水層を除いた。有機層を水(2071.9g)で洗浄した後、減圧下溶媒を留去し、中間体D−50を含む油状物質(915.8g)を得た。この中間体D−50を含む油状物質(915.4g)にメタノール(2310.7g)、活性炭 白鷺A(292.3g:日本エンバイロケミカルズ)を加え室温で1時間撹拌した後、濾紙を用いて濾過した。瀘物をメタノール(928.8g)で洗浄した後、濾液を孔径0.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、瀘物をメタノール(464.2g)で洗浄した。濾液を濃縮し、トルエン(2479.1g)、QuadraSil MTU(349.6g:JOHNSON)を加え40℃で1時間撹拌した後、濾紙を用いて濾過した。瀘物をトルエン(1008.0g)で洗浄した後、濾液を孔径0.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、瀘物をトルエン(503.8g)で洗浄した。濾液を減圧下濃縮し、標記化合物(710.9g)を得た。
(LCMS:m/z406.2(M+NH4
+);保持時間:1.88分;LC条件:NLC−1)
参考例D−60:(S)-3-((2-メトキシエトキシ)メトキシ)-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブタナール(中間体D−60)
中間体D−50(355.3g)に窒素雰囲気下トルエン(2740.1g)を加え−83℃に冷却した。ここにジイソブチルアルミニウムヒドリドの1mol/Lトルエン溶液(571.6g)を90分かけて滴下した。反応混合液に1mol/L塩酸(1884.1g)を加え室温で1時間撹拌し、トルエン(64.3g)を加え10分撹拌した後、有機層と水層に分かれるまで静置し、水層を除いた。有機層を1mol/L塩酸(1004.9g)、1%炭酸水素ナトリウム水溶液(1997.8g)、水(1978.1g)で順次洗浄した後、孔径0.5μmのメンブレンフィルターで濾過した。瀘物をトルエン(214.3g)で洗浄し、標記化合物(248.5g)を含むトルエン溶液(4061.0g)を得た。
(LCMS:m/z376.2(M+NH4
+);保持時間:1.80分;LC条件:NLC−1)
参考例Z−70:メチル (S)-5-(2-(4-(3-((2-メトキシエトキシ)メトキシ)-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−70)
中間体Z−3(286.3g)に窒素雰囲気下トルエン(1959.6g)、酢酸(474.5g)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(498.5g)を加えた。中間体D−60(460.28g)を含むトルエン溶液(7927.0g)を減圧下で溶媒留去し中間体D−60濃縮液(1503.9g)とし、これを室温で50分かけて添加した。トルエン(245g)を加え2時間撹拌した後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(7326.6g)、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(7327.2g)、水(7071.4g)で順次洗浄した。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(903.8g)を得た。
(LCMS:m/z629.29(MH
+);保持時間:2.05分;LC条件:NLC−1)
参考例Z−17−S:メチル (S)-5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボキシレート(中間体Z−17−S)
中間体Z−70(903.5g)にメタノール(4293.5g)、活性炭 白鷺A(90.35g:日本エンバイロケミカルズ)を加え、40℃で1時間撹拌した後、反応混合液を濾過し、濾物をメタノール(715.1g)で洗浄した。濾液に36%塩酸(588.6g)を加え40℃で6時間撹拌した後、トルエン(2406.8g)を加え、室温まで冷却した。反応混合液を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(9765.4g)、水(1685.1g)で順次洗浄した後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物(471.6g)を得た。
(LCMS:m/z541.19(MH
+);保持時間:1.87分;LC条件:NLC−1)
実施例30:(S)-5-(2-(4-(3-ヒドロキシ-4-(3-(チオフェン-3-イルエチニル)フェニル)ブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)チオフェン-2-カルボン酸
中間体Z−17−S(469.5g)にTHF(2393.3g)、活性炭 白鷺A(94.0g:日本エンバイロケミカルズ)を加え、室温で1時間撹拌した後、反応混合液を濾過し、濾物をTHF(1597.1g)で洗浄した。濾液にTHF(378.9g)、メタノール(1421.8g)、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(1728.2g)を加え17時間撹拌した。反応混合液にトルエン(2331.5g)、水(1346.5g)を加えて撹拌し、有機層と水層に分かれるまで静置し、有機層を除いた。水層にトルエン(2332g)、THF(1596g)、メタノール(710g)の混合液を加えて撹拌し、有機層と水層に分かれるまで静置し、有機層を除いた。その後同様にトルエン、THF、メタノールの混合液での洗浄を3回行った。水層にトルエン(4663.3g)を加えて撹拌し、有機層と水層に分かれるまで静置し、有機層を除いた。水層に1mol/L塩酸をpHが7.0になるまで加えた後、酢酸エチル(2425.9g)を加え、さらにpHが2.2になるまで1mol/L塩酸を加え10分撹拌した後、有機層と水層に分かれるまで静置し、水層を除いた。有機層に酢酸エチル(1347.1g)、水(897.5g)を加え10分撹拌した後、有機層と水層に分かれるまで静置し、水層を除いた。有機層を減圧下で溶媒留去し標記化合物を含む残渣(358.6g)を得た。この標記化合物を含む残渣(358.3g)にメタノール(1860.0g)活性炭 白鷺A(47.6g:日本エンバイロケミカルズ)を加え、室温で1時間撹拌した後、孔径0.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、瀘物をメタノール(2231.2g)で洗浄した。濾液に活性炭 白鷺A(188.6g:日本エンバイロケミカルズ)を加え、室温で1時間撹拌した後、濾紙で濾過し、瀘物をメタノール(1490.5g)で洗浄した。濾液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、瀘物をメタノール(743.7g)で洗浄した。濾液に活性炭 白鷺A(94.0g:日本エンバイロケミカルズ)を加え、室温で1時間撹拌した後、濾液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、瀘物をメタノール(2231.2g)で洗浄した。濾液に活性炭 白鷺A(94.1g:日本エンバイロケミカルズ)を加え、室温で1時間撹拌した後、濾液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、瀘物をメタノール(742.9g)で洗浄した。濾液を減圧下で溶媒留去し、標記化合物(160.1g)を得た。
(LCMS:m/z527.2(MH
+);保持時間:1.26分;LC条件:NLC−1)
(キラルLC:保持時間:21.3分;LC条件:キラルLC−2)
なお、本実施例30は実施例23と同じ化合物を意味する。
比較例1:4-(2-(4-(4-(3-ブロモフェニル)-3-ヒドロキシブチル)-2-オキソ-1,3,4-チアジアジナン-3-イル)エチル)安息香酸
国際公開第WO2006/080323号(特許文献8)に記載の実施例IAH-H072の製造方法により、標記化合物を得ることができる。
製剤例1
Poly(lactic−co−glycolic acid)(RESOMER RG504、Evonik Industries社製)2.0gにジクロロメタン20mLを加え、超音波洗浄器を用いて溶解し、さらに、実施例23の化合物1.6mgを加えて溶解させた。この溶液を、ホモミクサー(プライミクス株式会社製、MARK II)を用いて3,000rpmで撹拌した0.1%ポリビニルアルコール水溶液300mL中に徐々に加え、室温で10分間撹拌し、o/wエマルジョンを得た。このo/wエマルジョンを室温で16時間撹拌し、ジクロロメタンを揮発させ、油層を固化させた後、遠心分離機を用いて遠心分離(3,000rpm、20℃、15分間)した。上清を除去した後、0.1%(w/v)Tween80溶液で分散し、53μmおよび20μmの篩を用いて篩過し、20μmの篩上に残った試料を遠心分離(3,000rpm、20℃、15分間)した。上清を除去した後、精製水を加えて再び遠心分離(3,000rpm、20℃、15分間)し、上清を除去した。沈殿物を−80℃で凍結後、減圧乾燥(48時間)させることによって、薬物封入率0.06%の薬物含有マイクロスフェア1.2gを得た。
製剤例2
Poly(lactic−co−glycolic acid)(RESOMER RG504、Evonik Industries社製)2.0gにジクロロメタン20mLを加え、超音波洗浄器を用いて溶解し、さらに、実施例23の化合物20mgを加えて溶解させた。この溶液を、ホモミクサー(プライミクス株式会社製、MARK II)を用いて3,000rpmで撹拌した0.1%ポリビニルアルコール水溶液300mL中に徐々に加え、室温で10分間撹拌し、o/wエマルジョンを得た。このo/wエマルジョンを室温で16時間撹拌し、ジクロロメタンを揮発させ、油層を固化させた後、遠心分離機を用いて遠心分離(3,000rpm、20℃、15分間)した。上清を除去した後、0.1%(w/v)Tween80溶液で分散し、53μmおよび20μmの篩を用いて篩過し、20μmの篩上に残った試料を遠心分離(3,000rpm、20℃、15分間)した。上清を除去した後、精製水を加えて再び遠心分離(3,000rpm、20℃、15分間)し、上清を除去した。沈殿物を−80℃で凍結後、減圧乾燥(48時間)させることによって、薬物封入率0.8%の薬物含有マイクロスフェア1.3gを得た。
製剤例3
Poly(lactic−co−glycolic acid)(RESOMER RG504、Evonik Industries社製)2.0gにジクロロメタン20mLを加え、超音波洗浄器を用いて溶解し、さらに、実施例23の化合物124mgを加えて溶解させた。この溶液を、ホモミクサー(プライミクス株式会社製、MARK II)を用いて3,000rpmで撹拌した0.1%ポリビニルアルコール水溶液300mL中に徐々に加え、室温で10分間撹拌し、o/wエマルジョンを得た。このo/wエマルジョンを室温で16時間撹拌し、ジクロロメタンを揮発させ、油層を固化させた後、遠心分離機を用いて遠心分離(3,000rpm、20℃、15分間)した。上清を除去した後、0.1%(w/v)Tween80溶液で分散し、53μmおよび20μmの篩を用いて篩過し、20μmの篩上に残った試料を遠心分離(3,000rpm、20℃、15分間)した。上清を除去した後、精製水を加えて再び遠心分離(3,000rpm、20℃、15分間)し、上清を除去した。沈殿物を−80℃で凍結後、減圧乾燥(48時間)させることによって、薬物封入率3.7%の薬物含有マイクロスフェア1.1gを得た。
<試験例1 EP4作動活性の測定>
本発明の化合物のEP4受容体アゴニスト活性を調べるために、ヒトEP4受容体を安
定発現させたHEK293を用いてcAMPの産生の測定を行った。
(1) 測定方法
Refseq Databaseを利用し、ProstaglandinE Receptorを検索した結果、ヒトEP4(NM_000958)受容体の遺伝子情報が得られた。これらの配列情報をもとに、ヒトcDNAを鋳型としたPCR法により、常法に従ってヒトEP4受容体遺伝子のクローニングを行い、ヒトEP4受容体を安定発現させたHEK293を樹立した。凍結保存した該細胞を解凍して使用する場合、10%FBSおよび50単位のペニシリン、ストレプトマイシン含有のDulbecco’sModified Eagle’s Medium(以下、Dulbecco’s Modified Eagle’s MediumをDMEMと略すことがある)培地を用いて一定期間(1〜2週間程度)内で3回以上の継代を行った細胞を用いた。継代培養した該細胞をpoly−D−Lysineコーティングの96穴プレートに2×104〜2.5×104個/wellで播種し、1日間培養した。各wellの培地を吸引除去後、DMEM80μLを加え、37℃で15分間インキュベートした。その後、PGE2または試験化合物(最終濃度の5倍濃度)入りのassaymedium(100mM HEPES、1mM IBMXを含むDMEM)20μLを添加して反応を開始し、37℃で30分間反応させた後、培地を吸引除去し、cAMPScreen Kit(Applied Biosystems社製)に含まれるAssay/Lysis Buffer 100μLを添加して反応を停止させた。その後、37℃で30分間インキュベートしたものをcAMP定量用サンプルとし、cAMPScreen Kitに記載された方法に準じ、サンプル中のcAMP量を定量した。化合物濃度とcAMP量の非線形回帰により、cAMPを最大増加量の50%まで上昇させるのに必要な化合物の濃度(EC50値)を、KaleidaGraphを用いて算出した。
(2) 測定結果
表1に示す通り、本発明の化合物は優れたEP4作動活性を示した。特に本発明の化合物に近似する公知化合物である比較例1(Comparative Example 1)に対しても優れたEP4作動活性を示した。
なお、EP4作動活性を複数回測定した化合物については、必要に応じそれらの平均値を示した。また、表中のExp.No.は実施例番号を示す。
<試験例2 ヒトEP受容体発現細胞を使った受容体結合試験>
各EP受容体サブタイプへの選択性を評価するため、ヒトEP2、ヒトEP3、及びヒトEP4受容体を安定発現させた細胞膜に対する試験化合物の[3H]PGE2結合阻害活性の測定を行った。
(1)測定方法
Prostaglandin E Receptor EP2、EP3、EP4の膜画分は、それぞれMerck Millipore社のHTS185M、HTS092M、HTS142Mを10.0μg protein/tube使用した。該膜画分を試験化合物及び[3H]PGE2を含む反応液(250μL/tube)と共に25℃で60分間インキュベートした。[3H]PGE2の最終濃度は、EP2測定系では2.56nmol/L、EP3測定系では1.54nmol/L、EP4測定系では1.24nmol/Lとした。反応後、セルハーベスターで膜画分をろ紙に回収し、ろ紙を測定バイアルビンに移し、液体シンチレーションカウンターで測定した。
非特異的結合は過剰量(10μM)非標識PGE2の存在下での結合として求めた。試験化合物による[3H]PGE2結合阻害活性の測定は、試験化合物を各種濃度で添加して行った。なお、反応には次のバッファーを用いた。
EP2用バッファー;5mmol/L MgCl2、1mmol/L CaCl2及び0.2%BSAを含む50mmol/L HEPES−NaOH(pH7.4)
EP3用バッファー;10mmol/L MgCl2及び1mmol/L EDTAを含む50mmol/L Tris−HCl(pH7.4)
EP4用バッファー;5mmol/L MgCl2、1mmol/L CaCl2及び0.2%BSAを含む50mmol/L HEPES−NaOH(pH7.4)
試験化合物の[3H]PGE2結合阻害活性についてdose-response curveを作成し、試験化合物が、[3H]PGE2とレセプターの結合を50%抑制する濃度(IC50値)を算出した。
(2)測定結果
表2に示す通り、本発明の化合物は優れたEP4選択性を示した。
なお、表中のExp.No.は実施例番号を示す。
<試験例3 ラット大腿骨における新生骨形成作用>
本発明の化合物の骨形成促進作用を調べるために、ラット大腿骨に化合物を作用させて、形成された新生骨を評価した。
(1)測定方法
8週齢の雌性SDラット(日本チャールスリバー社)に、3種混合麻酔(塩酸メデトミジン、ミダゾラム、酒石酸ブトルファノール)下に横臥位に保定した。バリカンで左大腿部の毛を刈り、70%エタノールで消毒した後、試験化合物をin situ固化ゲル溶液、具体的にはPoly(lactic−co−glycolic acid)(RESOMER RG502H、Evonik Industries社製)/poly(lactic−co−glycolic acid)−polyethylene glycol block copolymer(5050 DLG mPEG 5000、Lakeshore Biomaterials社製)/N−methyl−2−pyrroridone(Wako社製)(47%/3%/50%重量比)に溶解、充填した1mLシリンジに21G注射針を連結し、経皮的に大腿四頭筋から大腿骨骨幹部中心付近の骨膜まで針を刺入した。その後、大腿四頭筋と骨膜の間に試験化合物量として100μg、投与ボリュームとして50μLを注入し、注射針を引き抜いた。対照群には前述のin situ固化ゲル溶液を単独で投与した。薬液投与から1週間後に、動物に3種混合麻酔を施し、仰臥位に固定して放血させることにより安楽死させた。左大腿骨を摘出、筋肉などの周囲組織を除去し、骨塩量測定装置DCS−600EX(ALOKA社製)にて大腿骨全体の骨塩量を測定し、次にそれを長軸に沿って3等分割して真ん中部位(骨幹部)の骨塩量を評価した。各群6例で試験を実施した。
(2)測定結果
本発明の代表的化合物投与群では、対照群に比して左大腿骨骨幹部の骨塩量が増加した(表3〜5)。一方、薬液投与を施していない右大腿骨骨幹部の骨塩量に影響はなかった。この結果から本発明の化合物は局所投与による骨形成促進剤として有用であることが確認された。またいずれの化合物投与群でも死亡例はなく、PGE2投与によりみられる副作用も観察されず、本発明の化合物は安全に投与できることが示された。
なお、試験結果は試験毎に記載した。
<試験例4 イヌ大腿骨における新生骨形成作用>
本発明の化合物の骨形成促進作用を調べるために、試験化合物を含有するマイクロスフェアをイヌの大腿骨近傍に投与することの影響について、投与後に形成された新生骨を測定することにより骨形成促進作用を評価した。
(1)測定方法
9から11月齢の雌性ビーグル犬(北山ラベル株式会社)に、塩酸ケタミン(ケタラール500mg,第一三共プロファーマ株式会社)およびキシラジン(セラクタール2%注射液,バイエル薬品株式会社)の1:1混合液を約0.5mL/kg投与して麻酔を行い、維持麻酔に吸入麻酔器IMPAC6(VetEquip Inc)による日本薬局方イソフルラン(エルカイン,マイラン製薬株式会社)を用いた。右後肢の大腿骨周辺を刈毛、消毒した後、1mLの注射シリンジと21Gの注射針を用いて、大腿骨骨幹部の骨膜周囲に試験化合物(実施例23)を含有するマイクロスフェア(製剤例1又は製剤例2に記載の方法に準じて製造された)をCMC溶液に懸濁したマイクロスフェア懸濁液350μLを経皮的に投与した。試験化合物の投与量は、0.01、0.1、1.0、10、または100μg/siteとし、それぞれに相当する量の上記マイクロスフェアを用いた。対照群として、試験化合物を含有しないマイクロスフェアを350μLのCMC溶液に懸濁した薬液を単独で投与した。薬液投与から4週間後に、動物をペントバルビタールナトリウム(ソムノペンチル)麻酔下で放血させることにより安楽死させた。左右の大腿骨を摘出した後、10%中性緩衝ホルマリン液に浸漬して保存した。大腿骨の骨塩量は、DiscoveryX線骨密度測定装置(東洋メディック株式会社製)にて測定した。各群4例で試験を実施した。
(2)測定結果
上記マイクロスフェア懸濁液をイヌの大腿骨骨幹部に投与して4週間後、対照群に比して、試験化合物の投与量として1.0μg、10μg、および100μgの投与によって投与量依存的に大腿骨の骨塩量が増加した(表6)。この結果から本態様化合物は局所投与による骨形成促進剤として有用であることが確認された。また、いずれの投与群でも死亡例はなく、PGE2投与により通常見られる副作用も観察されず、本態様化合物を含有する上記マイクロスフェア製剤は安全に投与できることが示された。
<試験例5 ラット大腿骨閉鎖骨折モデルにおける骨折治癒促進作用>
本発明の化合物の骨折治癒促進作用を調べるために、試験化合物を含有するマイクロスフェアをラット大腿骨閉鎖骨折モデルの骨折部位に注射することの影響について確認した。
(1)測定方法
13週齢の雌性SDラット(日本SLC社)を、3種混合麻酔(塩酸メデトミジン、ミダゾラム、酒石酸ブトルファノール)下に横臥位に保定した。バリカンで左膝から大腿部にかけて毛を刈り、日局ポピドンヨード(動物用イソジン液、明治製菓ファルマ株式会社;1mL中日局ポビドンヨード20mg)で消毒した後、膝部位の皮膚および膝蓋骨側部の内側広筋を切開し、膝蓋骨を大腿骨頭よりずらした。露出した大腿骨頭の顆間窩に先端にドリルビットを取り付けた穿孔器をあて、手動で回転させることにより穿孔した。その穴からあらかじめ長さ31mmに切断した直径1.2mmのキルシュナー鋼線(ミズホ株式会社)を大腿骨の髄腔内に挿入した。その後、小型卓上万能試験機(EZ Test、(株)島津製作所)の3点曲げ試験治具に左大腿部を固定し、力学的負荷を加えることにより大腿骨骨幹部を閉鎖骨折させた。骨折導入の成否は、軟X線発生装置(M−100W、ソフテックス(株))およびデジタルX線センサー(NX−04、(株)アールエフ)によりレントゲン像で大腿骨骨幹部に完全な横骨折が得られていることにより確認した。試験化合物(実施例23)を含有するマイクロスフェア(製剤例3に記載の方法に準じて製造された)をCMC溶液に懸濁して得たマイクロスフェア懸濁液のうち、投与ボリュームとして100μL(試験化合物量として100あるいは300μgを含有)を、骨折部に注入した。対照群として前述の試験化合物を含有しないマイクロスフェアを100μLのCMC溶液に懸濁した薬液を単独で投与した。骨折1、2、3週後において、イソフルラン麻酔下に軟X線を撮影し、X線撮像の仮骨部位の面積をImage Jを用いて定量した。骨折4週間後に、3種混合麻酔下に軟X線を撮影した後、仰臥位に固定して放血させることにより安楽死させ、左大腿骨を摘出した。骨折4週後の軟X線撮像について、盲検下に仮骨の連続性の有無を確認することによって骨癒合を判定した。大腿骨サンプルは骨強度試験の実施まで冷凍保存し、試験当日は骨強度測定装置(MZ−500S、(株)マルトー)を用いてねじり強度を測定した。
なお、ラットをイヌに代え、本試験の方法に準じて行うことも可能である。
(2)測定結果
試験化合物投与群では、対照群に比し、骨折2週後以降、骨折仮骨面積の増加が認められ(表7)、骨折25日後にX線画像によって判定した骨癒合率が明らかに改善していた(表8)。また、試験合物投与群から摘出された骨折4週後の大腿骨では、対照群に比し、ねじり試験による骨強度(最大回転力)の増加が認められた(表8)。この結果から、本態様化合物は骨折治癒過程において、骨癒合の促進剤として有用であることが確認された。またいずれの化合物投与群でも死亡例はなく、PGE2投与により通常見られる副作用も観察されず、本態様化合物を含有する上記マイクロスフェア製剤は安全に投与できることが示された。
<試験例6 イヌ腰椎後側方固定モデルにおける骨癒合促進作用>
本発明の化合物の脊椎固定における骨癒合促進作用を調べるために、イヌの腰椎後側方固定モデルを用い、自家骨移植の際に試験化合物を含有するマイクロスフェアを混合することの影響について確認した。
(1)測定方法
12ヶ月から13ヶ月齢の雄性ビーグル犬(北山ラベス株式会社)に対して、塩酸ケタミン(ケタラール500mg、第一三共プロファーマ株式会社)およびキシラジン(セラクタール2%注射液、バイエル薬品株式会社)の1:1混合液を約0.5mL/kgの用量で投与して麻酔導入した後、日本薬局方イソフルラン(エルカイン、マイラン製薬株式会社)を吸入麻酔器IMPAC6(VetEquip Inc)で吸入させることにより麻酔状態を維持した。動物を腹臥位に固定し、左右にある上後腸骨棘から腸骨稜の周辺および腰背部の広い範囲の被毛を刈毛し、日局ポピドンヨード(動物用イソジン液、明治製菓ファルマ株式会社;1mL中日局ポビドンヨード20mg)および消毒用エタノール液(和光純薬工業株式会社)で消毒した。メスを用いて上後腸骨棘から腸骨稜に沿って皮膚および軟部組織を切開した後、腸骨稜を覆う筋肉を骨膜下に剥離して腸骨稜を露出した。ロンジュールおよび骨鋏を用いて左右それぞれの腸骨およそ2gを採取し、圧迫止血を行った。採取した腸骨は軟部組織を剥離した後、骨鋏で細かく砕き、1mm大のチップ状にして左右それぞれ2gの移植骨を作製した。次に、腰背部の棘突起に沿って皮膚をメスで切開し、左右の腰背筋膜を切開した後、多烈筋・最長筋の筋膜間を剥離、切開しながら第4および第5腰椎の横突起を露出した。横突起に付着する軟部組織を剥離した後に、横突起表面の皮質骨を電気ドリル(OS−40MV2、長田電機工業株式会社)でデコルチケーションして骨移植母床を作製した。先に作製した移植骨(2g)は、試験化合物(実施例23)10、30、または100μgに相当する量のマイクロスフェア(製剤例1に記載の方法に準じて製造された)を800μLのCMC溶液に懸濁したマイクロスフェア懸濁液と十分に混合し、左右の第4および第5腰椎の横突起および横突起間の移植骨母床に埋植した。自家骨埋植後は、腰背筋膜、皮下組織、および皮膚を縫合し、術部を消毒した。手術12週間後にペントバルビツール酸ナトリウム(ソムノペンチル、共立製薬株式会社)の過剰投与(30mg/kg)による安楽死の後、腰椎を摘出した。盲検下に第4および第5において徒手による可動性確認(Manural Palpation)による骨癒合の判定およびSoftexM−60型(ソフテックス株式会社)を用いた軟X線撮影を1方向から行った。軟X線撮像から表9の評価基準に従い各画像を1名が盲検下に評価した。各群5例で試験を実施した。
(2)測定結果
腰椎標本を取り出して軟X線像から石灰化の程度により骨形成を評価したところ、試験化合物を含有しないマイクロスフェアを自家移植腸骨に混合した対照群では5例中5例において第4−第5腰椎間に可動性を認め、軟X線像において横突起間の石灰化を認めなかった。一方、試験化合物を含有する上記マイクロスフェア投与群では、10、30、または100μgの各投与量において、各群5例中1例で第4−第5腰椎間に可動性ありと判定されたが、それぞれ残りの4例はいずれも可動性無しと判定された。軟X線像において、いずれの投与量においても第4−第5腰椎横突起間に骨形成の促進および骨性の連続性を認めた、すなわち連続性スコアが2点以上であった。また、そのスコアは投与量依存的に増加した(表10 順に2.4±0.5、2.6±0.5、2.8±0.4)。
この結果から、本態様化合物は、自家骨移植による脊椎固定術において、骨癒合の促進剤として有用であることが確認された。なお、いずれの投与群でも死亡例はなく、PGE2投与により通常見られる副作用も観察されず、本態様化合物を含有する上記マイクロスフェアは、脊椎固定手術において安全に投与できることが示された。