[第1実施例]
図1を参照して、この発明の一実施例である画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置であって、帯電、露光、現像、転写および熱定着というプロセスを経ることによって、用紙(記録媒体)の表面上および裏面上に多色または単色の画像を形成(印刷)する。
この第1実施例では、画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。ただし、画像形成装置100は、複合機に限定される必要はなく、複写機、プリンタおよびファクシミリのいずれかであってもよい。また、画像形成装置100は、カラー機であってもよいし、モノクロ機であってもよい。
先ず、画像形成装置100の基本構成について概略的に説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、画像読取部14および画像形成部30等を備える装置本体12を含む。
画像読取部14は、画像形成部30の上方に配置される。この画像読取部14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)24が設けられる。また、図示は省略するが、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる印刷開始指示等の入力操作を受け付けるタッチパネルおよび操作ボタン等を含む操作部が設けられる。
また、画像読取部14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取ユニット26が内蔵される。画像読取ユニット26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
画像形成部30は、露光装置32、現像器34、感光体ドラム36、感光体クリーナユニット38、帯電器40、転写ユニット42および定着ユニット(定着部)44等を備え、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ52に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部14で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
なお、画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器34、感光体ドラム36、感光体クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の静電潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された像担持体であり、帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる部材である。また、露光装置32は、レーザダイオード(LD)およびポリゴンミラー等を備えたレーザスキャニングユニットとして構成され、感光体ドラム36の下方に配置される。露光装置32は、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。現像器34は、感光体ドラム36上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、感光体クリーナユニット38は、現像および画像転写後における感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去する。
転写ユニット42は、中間転写ベルト54、駆動ローラ56、従動ローラ58、4つの中間転写ローラ60および2次転写ローラ62などを備え、感光体ドラム36の上方に配置される。なお、転写ユニット42は、必ずしも中間転写ベルト54を備える必要はなく、感光体ドラム36上のトナー像が用紙に直接転写される構成を採用することもできる。
中間転写ベルト54は、可撓性を有する無端状のベルトであって、カーボンブラック等の導電性材料を適宜配合した合成樹脂またはゴム等によって形成される。中間転写ベルト54は、駆動ローラ56および従動ローラ58によって懸架され、その外周面が感光体ドラム36の外周面に当接するように配置される。そして、中間転写ベルト54は、駆動ローラ56の回転駆動に伴い、所定方向に周回移動する。
駆動ローラ56は、図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。従動ローラ58は、中間転写ベルト54の周回移動に伴って回転すると共に、中間転写ベルト54に一定の張力を与えて中間転写ベルト54の弛みを防止する。
中間転写ローラ60は、中間転写ベルト54を挟んで各感光体ドラム36と対向する位置のそれぞれに配置される。画像形成時には、中間転写ローラ60に所定の電圧(1次転写電圧)が印加されることによって、感光体ドラム36と中間転写ベルト54との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用により、感光体ドラム36の外周面に形成されたトナー像が中間転写ベルト54の外周面に転写される。
2次転写ローラ62は、駆動ローラ56との間で中間転写ベルト54を押圧するように設けられる。画像形成時には、2次転写ローラ62に所定の電圧(2次転写電圧)が印加されることによって、中間転写ベルト54と2次転写ローラ62との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用により、中間転写ベルト54と2次転写ローラ62との間の転写ニップ域を用紙が通過する間に、中間転写ベルト54の外周面に形成されたトナー像が用紙に転写(2次転写)される。
定着ユニット44は、ヒートローラ64および加圧ローラ66を備え、2次転写ローラ62の上方に配置される。ヒートローラ64は、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラ64と加圧ローラ66との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
このような装置本体12の内部には、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50からの用紙をレジストローラ68、2次転写ローラ62および定着ユニット44を経由させて排紙トレイ52に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。ただし、レジストローラ68、2次転写ローラ62および定着ユニット44が上下方向に並んで配置される。このため、第1実施例の第1用紙搬送路L1は、用紙を縦方向に搬送する縦搬送路である。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、表面側の印刷が終了して定着ユニット44を通過した後の用紙を、2次転写ローラ62の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。この第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に対して補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ70が適宜設けられる。
装置本体12において片面印刷を行う際には、用紙は、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から1枚ずつ第1用紙搬送路L1に導かれ、搬送ローラ70によってレジストローラ68まで搬送される。そして、レジストローラ68によって、用紙の先端と中間転写ベルト54上の画像情報の先端とが整合するタイミングで用紙が2次転写ローラ62(転写ニップ部)に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット44(定着ニップ部)を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融して固着されて、排紙トレイ52上に用紙が排出される。
一方、両面印刷を行う際には、表面側の印刷が終了して定着ユニット44を通過した用紙の後端部が排紙トレイ52近傍の搬送ローラ70まで到達したとき、この搬送ローラ70を逆回転させることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路L2に導かれる。第2用紙搬送路L2に導かれた用紙は、搬送ローラ70によって第2用紙搬送路L2を搬送されて、レジストローラ68の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に導かれる。この時点で用紙の表裏は反転されるので、その後、レジストローラ68を経て、2次転写ローラ62および定着ユニット44を用紙が通過することによって、用紙の裏面側に印刷が行われる。
また、装置本体12の内部には、排気装置10が設けられる。排気装置10は、定着ユニット44の上方に配置される。
図2は図1の画像形成装置100が備える排気装置10を前面上部から見た斜視図である。図3はダクト取付部材90を取り付けた状態の排気装置10を背面下部から見た斜視図である。図4はダクト取付部材90を外した状態の排気装置10を背面下部から見た斜視図である。図5は排気装置10の第1通気路130を示す概略断面図である。図6は排気装置10の第2通気路140を示す概略断面図である。図7は排気装置10の内部構造を画像形成装置100の右側面部から見た概略断面図である。図8は図7VIII-VIII断面図である。なお、図2においては、ダクト本体80の天壁を省略した断面図である。
図2ないし図4に示すように、排気装置10は、ダクト本体80、ダクト取付部材90第1ファン110、第2ファン112、第1フィルタ114および第2フィルタ116を含む。
ダクト本体80およびダクト取付部材90が一体となって排気ダクトを構成し、この排気ダクトには、第1通気路130および第1通気路130に並行する第2通気路140が形成される。第1通気路130および第2通気路140は、筒状に形成され、定着ユニット44からの空気を通す第1吸気口92aおよび第2吸気口94aを有し、空気を装置本体12の外部に導く。
第1通気路130には、第1ファン110が設けられ、第2通気路140には、第2ファン112が設けられる。定着ユニット44の周辺の空気は、第1ファン110および第2ファン112によって第1通気路130および第2通気路140に吸引され、第1通気路130および第2通気路140を通って装置本体12(画像形成装置100)の外部に排出される。このため、排気装置10では、定着ユニット44側が空気の流れ(空気流)の上流側となり、装置本体12の排気口側が空気流の下流側となる。
第1通気路130および第2通気路140は、空気の流れの方向において複数の空間に分割される。第1実施例では、第1通気路130および第2通気路140は、空気流の上流側から順に、吸気空間808,810、圧縮空間848,850、排気空間を含む。
詳細は後述するが、吸気空間808,810は、ダクト取付部材90およびダクト本体80によって形成され、圧縮空間848,850、排気空間は、ダクト本体80の内部に形成される。
ダクト取付部材90は、たとえば金属プレート(板金)である。ダクト取付部材90は、装置本体12に取り付けられ、ダクト取付部材90の上側にダクト本体80がねじ等の固定部材によって取り付けられる。
また、ダクト取付部材90には、第1開口端92および第2開口端94が設けられる。第1開口端92および第2開口端94は、互いに離れた位置(異なる位置)に配置される。具体的には、第1開口端92および第2開口端94は、前後方向(ヒートローラ64および加圧ローラ66の軸方向)に並んで配置される。第1開口端92は、第2開口端94よりも前面側の所定の位置に配置される。この第1開口端92によって、第1吸気口92aが形成される。また、第2開口端94は、第1開口端92が配置される第1位置から離れた位置に配置される。この第2開口端94によって、第2吸気口94aが形成される。したがって、第2吸気口94aは、第1吸気口92aから離れた位置に配置される。また、第1吸気口92aは、前後方向における定着ユニット44の中央部よりも前面側に配置される。また、第2吸気口94aは、前後方向における定着ユニット44の中央部よりも背面側に配置される。
これらの第1吸気口92a(第1開口端92)および第2吸気口94a(第2開口端94)は、定着ユニット44の周辺に配置される。たとえば、第1吸気口92aおよび第2吸気口94aは、定着ユニット44の略真上に位置する。具体的には、第1吸気口92aおよび第2吸気口94aは、定着ユニット44の定着ニップ部の略真上に位置する。あるいは定着ニップ後から略鉛直方向に延びた紙搬送路の略真上にある。
ダクト本体80は、たとえば合成樹脂からなる部材である。ダクト本体80は、複数の部分で構成される。具体的には、ダクト本体80は、空気流の上流側から順に、吸気部800、圧縮部840およびフィルタ保持部880を含む。
吸気部800は、ダクト取付部材90とともに、吸気空間808,810を形成する。また、圧縮部840は、圧縮空間848,850を形成し、フィルタ保持部880は、排気空間を形成する。以下、各部分の詳細な構造について説明する。
図4ないし図6に示すように、吸気部800は、ダクト本体80の最も前面側に形成される。吸気部800は、流路形成部802および境界壁804を含む。流路形成部802は、天壁802aおよび側壁802bを含む。天壁802aは、前後略水平方向に延びる板状の部材である。この天壁802aは、吸気部800の上側を封止する。また、天壁802aの一部は、ダクト本体80の前面側の天壁を構成する。側壁802bは、上側の端部(上端縁)が天壁802aに接続され、下方に延びる。側壁802bの下側の端部(下端縁)は、ダクト取付部材90がダクト本体80に取り付けられた場合に、ダクト取付部材90に当接(密着)する。
このため、吸気部800の天壁802a、吸気部800の側壁802bおよびダクト取付部材90によって区画され、上下方向に延びる空間806が形成される。図4および図7から分かるように、空間806は、境界壁804によって前面側と背面側に仕切られる。境界壁804よりも前面側の空間が第1通気路130の一部である第1吸気空間808となり、境界壁804よりも背面側の空間が第2通気路140の一部である第2吸気空間810となる。
ただし、境界壁804は、前後方向において、第1開口端92および第2開口端94の間に配置される。したがって、図3に示すように、第1吸気空間808は、第1吸気口92aによって定着ユニット44の周辺に連通され、第2吸気空間810は、第2吸気口94aによって定着ユニット44の周辺に連通される。
また、第1吸気空間808の流路断面積(側壁802bおよび境界壁804によって区画される第1吸気空間808の前後左右方向の大きさ)は、第1吸気口92aの開口面積よりも大きく設定される。また、第2吸気空間810の流路断面積(側壁802bおよび境界壁804によって区画される第2吸気空間810の前後左右方向の大きさ)は、第2吸気口94aの開口面積よりも大きく設定される。
また、図4ないし図6に示すように、吸気部800には、第1ファン110および第2ファン112が設けられる。
第1ファン110は、第1吸気空間808に設けられる。ただし、第1ファン110は、第1吸気空間808の最上部(天面側)に配置される。つまり、第1ファン110は、第1吸気空間808の先端部(ダクト取付部材90との当接部)とは間隔を隔てて配置される。具体的には、第1ファン110は、境界壁804よりも前面側の流路形成部802の天壁802aに取り付けられる。また、第1ファン110は、前後方向において、第1吸気空間808の背面側に配置される。さらに、第1ファン110は、左右方向において、第1吸気空間808の左側に配置される。
第2ファン112は、第2吸気空間810に設けられる。ただし、第2ファン112は、第2吸気空間810の最上部(天面側)に配置される。つまり、第2ファン112は、第2吸気空間810の先端部底面(ダクト取付部材90との当接部)とは間隔を隔てて配置される。具体的には、第2ファン112は、境界壁804よりも背面側の流路形成部802の天壁802aに取り付けられる。また、第2ファン112は、前後方向において、第2吸気空間810の背面側に配置される。さらに、第2ファン112は、左右方向において、第1ファン110の反対側(第2吸気空間810の右側)に配置される。
第1ファン110および第2ファン112は、複数のブレード(羽根)を有する遠心ファンであり、たとえばシロッコファン(多翼ファン)またはターボファンである。第1ファン110および第2ファン112は、複数のブレードの回転軸方向が、上下方向に設定される。このため、第1ファン110および第2ファン112は、下側の空間から空気を吸引(吸気)して、水平方向に空気を遠心力で圧送(排出)する。
ただし、前面側(第1吸気空間808)に設けられる第1ファン110は、背面側(第2吸気空間810)に設けられる第2ファン112よりも大型のファンである。第1通気路は第2通気路よりも長く通気抵抗が高いので、このように第1ファンを第2ファンより大型化することによって第2通気路の排気流量と同じ排気流量を確保できる。
また、第1ファン110の排気方向および第2ファン112の排気方向は、背面側に設定される。このため、第1吸気空間808および第2吸気空間810における空気流の方向は、第1ファン110および第2ファン112によって垂直に曲げられる。
図5に示すように、流路形成部802の背面側の側壁には、第1ファン110の排気口に対応するように第3開口端816が形成される。第3開口端816によって、第1連通口816aが形成される。この第1連通口816aによって、第1吸気空間808は、後述する第1圧縮空間848に連通される。
また、図6に示すように、流路形成部802の背面側の側壁には、第2ファン112の排気口に対応するように第4開口端818が形成される。第4開口端818によって、第2連通口818aが形成される。この第2連通口818aによって、第2吸気空間810は、後述する第2圧縮空間850に連通される。
図2、図5および図6に示すように、圧縮部840は、吸気部800の下流側(背面側)に形成される。圧縮部840は、空間形成部842および境界壁844を含む。空間形成部842は、天壁842a、底壁842b、第1側壁842cおよび第2側壁842dを含む。天壁842a、底壁842b、第1側壁842cおよび第2側壁842dのそれぞれは、前後方向に延びる板状の部材である。天壁842aは、圧縮部840の上側を封止する。底壁842bは、天壁842aに対向するように設けられ、圧縮部840の下側を封止する。第1側壁842cは、天壁842aの右側の周縁と、底壁842bの右側の周縁とを接続する。第2側壁842dは、天壁842aの左側の周縁と、底壁842bの左側の周縁とを接続する。
このため、天壁842a、底壁842b、第1側壁842cおよび第2側壁842dによって区画され、前後方向に延びる筒状の空間が形成される。この空間は、境界壁844によって、左側と右側に仕切られる。境界壁844よりも左側の空間が第1通気路130の一部である第1圧縮空間848となり、境界壁844よりも右側の空間が第2通気路140の一部である第2圧縮空間850となる。
ただし、上述したように、第1吸気空間808は、第2吸気空間810よりも上流側(前面側)に配置される。このため、第1圧縮空間848は、第2圧縮空間850よりも長い。
また、第1圧縮空間848および第2圧縮空間850のそれぞれの流路断面積は、第1ファン110および第2ファン112の排気口の開口面積よりも大きい。また、第2圧縮空間850の前後方向の大きさ(長さ)は、第2ファン112の前後方向の大きさよりも大きい。このため、第2圧縮空間850は、第2ファン112から圧送される空気を受け入れるための充分な容積(容量)を有する。第1圧縮空間848は、第2圧縮空間850よりも長いので、さらに大きな容積(容量)を有する。
さらに、図8に示すように、第1圧縮空間848の前面側の一部は、第2吸気空間810の左上に重なる。このため、第1圧縮空間848と第2吸気空間810とが上下方向において重なる部分では、第2吸気空間810の上側の幅が狭くなる。ただし、第2吸気空間810の下側の部分は、第1圧縮空間848と上下に重ならないので、左右方向の幅が狭くならない。このため、第2吸気空間810は、下側の部分においては、左右方向の全体を吸気空間として使用することができる。つまり、第2吸気空間810をできるだけ大きく設定することができる。
さらに、図2、図5および図6に示すように、第1圧縮空間848および第2圧縮空間850は、空気流の下流側に行くにつれて(前面側から背面側に行くにつれて)、流路断面積が大きくなる。つまり、第1圧縮空間848および第2圧縮空間850は、空気の流路を拡幅し、第1ファン110および第2ファン112から排出された空気を整流および昇圧するディフューザ部として機能する。
空間形成部842の天壁842aは、略水平方向に設けられる。一方、空間形成部842の底壁842bは、前面側から背面側に行くにつれて下り勾配となる傾斜部を含む。したがって、第1圧縮空間848および第2圧縮空間850は、前面側から背面側に行くにつれて、上下方向の幅が大きくなる。
また、第1側壁842cおよび第2側壁842dのそれぞれは、前面側から背面側に行くにつれて境界壁844から左右方向に離れるように傾斜する傾斜部を含む。したがって、第1圧縮空間848および第2圧縮空間850は、前面側から背面側に行くにつれて、左右方向の幅が大きくなる。
以上のように、第1圧縮空間848および第2圧縮空間850は、前面側から背面側に行くにつれて、上下方向および左右方向の幅が大きくなるので、流路断面積が大きくなる。
図2、図5、図6および図7に示すように、フィルタ保持部880は、圧縮部840よりも下流側(背面側)に形成される。フィルタ保持部880は、流路空間形成部882および境界壁884を含む。空間形成部882は、前後方向に延びる筒状の部材であり、空間形成部842に連続して設けられる。空間形成部882の内部には、断面略矩形状の空間(排気空間)が形成される。
排気空間は、境界壁884によって、左側と右側に仕切られる。境界壁884よりも左側の空間が第1通気路130の一部である第1排気空間となり、境界壁884よりも右側の空間が第2通気路140の一部である第2排気空間となる。
境界壁884の前端縁は、圧縮部840の境界壁844の後端縁に当接(密着)する。このため、第1排気空間の前端部は、第1圧縮空間848に連通され、第2排気空間の前端部は、第2圧縮空間850に連通される。また、第1排気空間および第2排気空間のそれぞれの後端部は、装置本体12の背面側の排気口に接続される。このため、第1排気空間および第2排気空間は、装置本体12の排気口によって装置本体12の外部に連通される。
ただし、第1排気空間の流路断面積と、第2排気空間の流路断面積とは略同じである。また、第1排気空間の流路断面積は、第1圧縮空間848の背面側の端部における流路断面積と略同じである。さらに、第2排気空間の流路断面積は、第2圧縮空間850の背面側の端部における流路断面積と略同じである。
以上のように、第1通気路130および第2通気路140が形成される。図5に示すように、第1通気路130では、第1吸気口92aが空気の入口(第1吸気口)となり、第1排気空間の後端部が空気の出口(第1排気口)となる。また、図6に示すように、第2通気路140では、第2吸気口94aが空気の入口(第2吸気口)となり、第2排気空間の後端部が空気の出口(第2排気口)となる。
ただし、第1吸気口92aは、前面側に配置され、第2吸気口94aは、背面側に配置される。したがって、第1通気路130は、定着ユニット44の周辺の前面側の空気を装置本体12の外部へ導く。また、第2通気路140は、定着ユニット44の周辺の背面側の空気を装置本体12の外部へ導く。
図2ないし図6に示すように、フィルタ保持部880には、第1排気空間(第1通気路130)に設けられる第1フィルタ(第1通気路用フィルタ)114と、第2排気空間(第2通気路140)に設けられる第2フィルタ(第2通気路用フィルタ)116が保持される。
また、フィルタ保持部880は、第1排気空間および第2排気空間に亘って設けられるルーバ892を含む。そして、図5および図6からわかるように、第1通気路用フィルタ114および第2通気路用フィルタ116は、ルーバ892の背面側に接するように配置される。つまり、ルーバ892は、第1通気路用フィルタ114および第2通気路用フィルタ116の前後方向の位置決め部材としても機能する。
ただし、第1通気路用フィルタ114および第2通気路用フィルタ116のそれぞれは、背面側の端部の位置が、フィルタ保持部880の流路空間形成部882の背面側の端縁と同じ位置か、少し前面側に位置するように配置される。このため、第1通気路用フィルタ114および第2通気路用フィルタ116のそれぞれは、その全体がフィルタ保持部880に収容される。
第1通気路用フィルタ114は、第1種類のフィルタ1140と、第2種類のフィルタ1142とを含む。
また、第2通気路用フィルタ116は、第1種類のフィルタ1160と、第2種類のフィルタ1162とを含む。
第1種類のフィルタ1140,1160は、たとえば、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compound)またはオゾンなどを捕集するためのVOC用の捕集フィルタである。
第2種類のフィルタ1142、1162は、超微粒子(UFP)を捕集するためのUFP用の捕集フィルタである。
第2種類のフィルタ(UFP用フィルタ)1142,1162は、粒径が0.1μm以下の超微粒子を捕集するため、第1種類のフィルタ(VOC用フィルタ)1140,1160よりも密度が高く設定される。すなわち、UFP用フィルタ1142,1162は、VOC用フィルタ1140,1160よりもフィルタ性能が高く、通気抵抗が大きい。また、UFP用フィルタ1142,1162の前後方向の大きさ(厚み)は、VOC用フィルタ1140,1160の前後方向の大きさ(厚み)よりも大きく設定される。
第1実施例の排気装置10では、VOC用フィルタ1140,1160は、UFP用フィルタ1142,1162の上流側(前面側)に配置される。
第1実施例の排気装置10における空気の流れを、第1通気路130を例に挙げて、図5を参照して具体的に説明する。なお、第1通気路130と第2通気路140とは、空気の流れについては同じであるので、以下に説明することは、第2通気路140でも同様である。
第1通気路130では、第1ファン110が作動されると、第1ファン110の下方の第1吸気空間808から空気が第1ファン110に吸引される。このとき、第1吸気空間808が負圧になる。このため、定着ユニット44の周辺の空気は、第1吸気口92aを通って第1吸気空間808(第1通気路130)に吸引されて、さらに第1ファン110に吸引される。
また、第1ファン110に吸引された空気は、第1連通口816aを通って、第1圧縮空間848に排出される。そして、第1圧縮空間848に排出された空気は、第1排気空間に流入し、第1通気路用フィルタ114を通過して、装置本体12の外部に排出される。
上述したように、第1通気路用フィルタ114は、通気抵抗が大きいUFP用フィルタ1142を含む。このため、第1排気空間に流入した空気が第1通気路用フィルタ114を通過する際に、空気流の流速が低下し、第1通気路用フィルタ114を通過して装置本体12の外部に排出される空気の流量(排気流量)が低下してしまう。つまり、第1ファン110よりも空気流の下流側(排気側)において、排気流量が低下してしまう。
しかしながら、第1実施例では、第1ファン110として静圧(空気を送り出す力)が高い遠心ファンを用いるので、第1ファン110よりも排気側において排気流量が低下したとしても、さらに空気を圧縮して送り込むことができる。これによって第1通気路用フィルタ114の入口側の空気が圧縮され、第1通気路用フィルタ114の入口側の空気圧が高くなるので(入口と出口間に圧力差ができ)排気流量が低下することなく大量の空気を第1通気路用フィルタ114に通過させることができる。すなわち、通気抵抗の高いUFPを捕集するための専用フィルタであっても大量の空気を通過させることができるので、定着ユニット44の周辺から吸引される吸気流量の低下を防ぐことができる。このため、定着ユニット44の周辺で発生するUFPを効率よく捕集し、画像形成装置100の外部へUFPが漏れて放出されることを防止できる。
また、第1実施例では、第1ファン110と第1通気路用フィルタ114の間に第1圧縮空間848を設けることで、第1通気路用フィルタ114の上流側空間において空気を大量に効果的に圧縮することができるので、第1通気路用フィルタ114の直前の空気を効果的に圧縮し、(外気より)高圧にすることができる。このため、より安定して十分な空気を第1通気路用フィルタ114に通過させることができるようになり、ひいては定着ユニット44の周辺から吸引される吸気流量の低下を防ぐことができる。さらに、第1圧縮空間848では、空気流の下流側に行くにつれて流路断面積が大きくなるので、第1圧縮空間848に送り込まれる空気に乱れが生じないので一様な流速で第1通気路用フィルタ114に空気を送り込むことができ、第1通気路用フィルタ114でムラなく効率的にUFPや微粒子を回収できる。
さらに、第1実施例では、第1ファン110および第2ファン112の下方の空間を第1吸気空間808および第2吸気空間810として広く利用できるので、流路抵抗が下がり、大量の空気を吸引することができる。このため、定着ユニット44の周辺から吸引される吸気流量の低下を防ぐことができる。
また、第1実施例によれば、定着ユニット44の周辺において、第1吸気口92aおよび第1吸気口92aから離れた位置に配置される第2吸気口94aから定着ユニット44の周辺の空気が吸引されるので、定着ユニット44の周辺の空気を万遍なく吸引することができる。
さらに、第1実施例によれば、第1圧縮空間848と、第2圧縮空間850とが、左右に並んで配置されるので、排気装置10における上下方向のスペースを有効に使用することができる。したがって、第1圧縮空間848および第2圧縮空間850の上下方向の大きさをできるだけ大きく設定することができる。
さらにまた、第1実施例によれば、第1圧縮空間848(第1通気路130)の一部が、第2吸気空間810(第2通気路140)の上側に配置されるので、排気装置10における上下方向のスペースを有効に使用することができる。また、第2吸気空間810の下側は、第1圧縮空間848と上下方向において重ならないので、第1吸気空間808と同程度の体積にすることができる。
なお、第1実施例では、第1通気路130および第2通気路140の2つの通気路が形成されるようにしたが、これに限定される必要は無く、第3の通気路を設けてもよいし、第1の通気路しかなくてもよい。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置100は、第3ファン118および第4ファン120をさらに備えるようにした以外は、第1実施例の画像形成装置100と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
図9は第2実施例における排気装置10を前面上部から見た斜視図である。図9に示すように、第2実施例の排気装置10では、ルーバ892の前面側に、第3ファン118および第4ファン120が設けられる。
第3ファン118は、第1排気空間(第1通気路130)に設けられる。また、第4ファン120は、第2排気空間(第2通気路140)に設けられる。つまり、第3ファン118は、第1圧縮空間848の下流側に設けられ、第4ファン120は、第2圧縮空間850の下流側に設けられる。
具体的には、第3ファン118および第4ファン120のそれぞれは、排気空間に設けられたルーバ892に前面側から当接するように配置される。つまり、第3ファン118および第4ファン120のそれぞれは、空気流の方向において、第1通気路用フィルタ114および第2通気路用フィルタ116の直前に配置される。
第3ファン118および第4ファン120は、軸流ファンであり、たとえばプロペラファンである。第3ファン118および第4ファン120は、ファンの回転軸方向が、前後方向に設定される。また、第3ファン118の排気方向および第4ファン120の排気方向は、背面側に設定される。したがって、第3ファン118および第4ファン120は、第1ファン110および第2ファン112から圧送された空気を、第1通気路用フィルタ114および第2通気路用フィルタ116に送る。
この第2実施例によれば、第3ファン118および第4ファン120が設けられるので、第1圧縮空間848および第2圧縮空間850で圧縮された空気を第1通気路用フィルタ114および第2通気路用フィルタ116に均一に空気を送り込むことができる。したがって、第1通気路用フィルタ114および第2通気路用フィルタ116を通過して装置本体12の外部に排出される排気流量を増大させることができ、定着ユニット44の周辺から吸引される吸気流量の低下を防ぐことができる。
[第3実施例]
第3実施例の画像形成装置100は、本体側通気路150が形成される以外は、第1実施例の画像形成装置100と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
図10は第3実施例における第2通気路140および本体側通気路150を示す概略断面図である。図10に示すように、第3実施例の画像形成装置100では、第4ファンの上流側部に、第2圧縮空間850からとは別の本体側通気路150が形成される。この本体側通気路150は、図示は省略するが、たとえば画像形成装置100の背面側に形成される。具体的には、本体側通気路150は、画像形成部30に含まれる複数のコンポーネントを支持するための支持フレームと、装置本体12の側壁との間に形成される。
この本体側通気路150は、定着ユニット44の背面側空間の空気を吸引するための冷却通気路である。
この本体側通気路150の上側部は、第2通気路140の底壁842bで形成されている。より具体的には、本体側通気路150の上側の端部は、流路空間形成部882の底面に形成された第3連通口882aに接続される。
この第3実施例によれば、本体側通気路150が、第4ファン120よりも空気流の上流側に接続されるので、定着ユニット44の上部の空間以外からも空気を吸引でき、UFP等の物質を更に効率よく吸引できる。また、第4ファン120を、本体側通気路150における排気ファンとして機能させることができるので、排気装置10の構成を簡単にし、部品点数を削減でき、ひいては製造コストを低減できる。また、第3ファン118の上流側に本体側通気路150と同様な別の本体側通気路を設けてもよい。
また、第3実施例によれば、本体側通気路150が、第2通気路用フィルタ116よりも空気流の上流側に接続されるので、本体側通気路150を流れる空気にVOC、オゾンまたはUFPが含まれる場合であっても、第2通気路用フィルタ116でVOC、オゾンまたはUFPを捕集することができる。また、本体側通気路150は、第1通気路用フィルタ114の上流側に接続されてもよい。
さらに、第3実施例の画像形成装置100では、吸気部800の流路形成部802の天壁802aに、第5開口端820および第6開口端852が形成される。第5開口端820は、第1ファン110に対応する(当接する)位置に形成される。第6開口端852は、第2ファン112に対応する(当接する)位置に形成される。また、第5開口端820は、第1ファン110の回転軸を中心に形成され、第1ファン110の外形よりも少し小さく形成される。同様に、第6開口端852は、第2ファン112の回転軸を中心に形成され、第2ファン112の外形よりも少し小さく形成される。
このようにすれば、第5開口端820によって形成される第4連通口820aから第1ファン110を駆動させるモータ部の熱が放熱するので、第1ファン110の駆動モータが蓄熱して焼損することを防止できる。同様に、第6開口端852によって形成される第5連通口852aから第2ファン112を駆動させるモータ部の発熱を放熱することができる。
また、図示は省略するが、吸気部800の流路形成部802の天壁802aと、第1ファン110との間には、第5開口端820および第6開口端852を囲むようにシーリング部材が挟持され、空気が漏れないようになっている。
[第4実施例]
第4実施例の画像形成装置100は、ヒータ72を備える以外は、第1実施例の画像形成装置100と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
図11は第4実施例における画像形成装置100の概略構成を示す図解図である。図11に示すように、第4実施例の画像形成装置100では、画像形成部30は、ヒータ72を備える。
ヒータ72は、第1用紙搬送路L1の定着ユニット44の用紙搬送方向の下流側に配置される。上述したように、第1用紙搬送路L1は、用紙を縦方向に搬送する縦搬送路である。このため、ヒータ72は、定着ユニット44の上方に配置される。
ただし、ヒータ72は、排紙トレイ52近傍の搬送ローラ70よりも、用紙搬送方向の上流側に配置される。また、ヒータ72は、定着ユニット44の用紙搬送方向の下流側において第1用紙搬送路L1から第2用紙搬送路L2が分岐する位置よりも、用紙搬送方向の上流側に配置される。このため、ヒータ72は、定着ユニット44と排気装置10との間に設けられる。このことは、ヒータ72は、排気ダクトに吸引される空気の流れの途中に配置されるとも言える。
ヒータ72は、定着ユニット44の下流側に設けられた用紙搬送ガイド74の裏側に配置される。用紙搬送ガイド74は、トナー像が定着されて搬送される用紙を案内する部材である。図示は省略するが、用紙搬送ガイド74は、複数のガイドリブとガイドリブを根元で接続支持する底板部に通気孔を有する。ガイドリブと通気孔とは、用紙の幅方向に交互に配置されている。また、ガイドリブと通気孔とは、用紙搬送方向に縦長に形成されている。
このヒータ72は、たとえば電気ヒータであり、図示しない電源から電力が供給されることによって発熱する(例えば室温+5〜20度程度)。ヒータ72は、用紙搬送ガイド74の通気孔を介して、定着ユニット44の下流側の用紙搬送路空間の空気を加熱するので、この空間の相対湿度を低くすることができる。すなわち定着部で未定着トナー画像が形成された用紙が加熱された時に発生するVOCと結合する水分量を減らすことができるので、VOCと空気中の水分が結合して発生するといわれるUFPの発生量を抑制することができる。
以上のように、第4実施例では、UFPの発生量が抑制されるので、UFP用フィルタ1142,1162を省略もしくは小型化することもできる。このようにすれば、排気装置10の構成を簡単にし、部品点数を削減でき、ひいては製造コストを低減できる。
なお、第4実施例に示した態様は、第2実施例および第3実施例にも組み合わせて採用することが可能である。
また、上述の実施例で挙げた具体的な数値、構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。