JP6891086B2 - イソシアヌレートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イソシアヌレートの製造方法に関する。
ポリウレタン樹脂は、通常、ポリイソシアネートと活性水素基含有化合物との反応により製造されており、例えば、塗料、接着剤、エラストマーなどとして、各種産業分野において広範に使用されている。
ポリウレタン樹脂の製造に用いられるポリイソシアネートとして、例えば、キシリレンジイソシアネートを、イソシアヌレート化触媒の存在下においてイソシアヌレート化反応させて得られるポリイソシアヌレート組成物が提案されている。また、このようなポリイソシアヌレート組成物の製造においては、イソシアヌレート化触媒の触媒失活剤を添加することも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、触媒失活剤としては、例えば、パラトルエンスルホンアミドなどが知られている。
国際公開WO2015/133493パンフレット
一方、特許文献1に記載の方法では、工業生産性の観点から、キシリレンジイソシアネートをイソシアヌレート化反応させた後、薄膜蒸留などによってイソシアヌレートと未反応のキシリレンジイソシアネートとを分離し、未反応のキシリレンジイソシアネートを回収して、再度、イソシアヌレート化反応させることが検討される。
しかしながら、特許文献1に記載の方法において、触媒失活剤としてパラトルエンスルホンアミドを添加すると、薄膜蒸留などによってイソシアヌレートと未反応のキシリレンジイソシアネートとを分離するときに、それら両方にパラトルエンスルホンアミドが含有される。
このような場合、イソシアヌレートおよび未反応のキシリレンジイソシアネートは、貯蔵安定性に優れる。
一方、回収された未反応のキシリレンジイソシアネートを、再度、イソシアヌレート化反応させる場合、パラトルエンスルホンアミドによってイソシアヌレート化反応が阻害される場合があり、イソシアヌレート化効率が低下する場合がある。
本発明は、回収成分の安定性に優れ、さらに、回収成分を再利用する場合の反応効率にも優れるイソシアヌレートの製造方法である。
本発明[1]は、キシリレンジイソシアネートを含む原料成分を、イソシアヌレート化触媒の存在下においてイソシアヌレート化反応させることにより、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートと、未反応のキシリレンジイソシアネートとを含むイソシアヌレート反応液を得る反応工程と、前記イソシアヌレート反応液から、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを含有する製品成分と、未反応のキシリレンジイソシアネートを含有する回収成分とを分離する分離工程と、前記回収成分を前記反応工程に供する再利用工程とを備え、前記回収成分が、キシリレンジイソシアネートおよび酸成分を含有し、前記酸成分の含有割合が、塩化水素換算値として、前記回収成分の総量に対して、20ppm以上である、イソシアヌレートの製造方法を含んでいる。
また、本発明[2]は、前記反応工程の後、かつ、前記分離工程の前に、前記イソシアヌレート反応液に対して500ppm以上の添加割合になるように、前記イソシアヌレート反応液に、リン酸および/またはスルホン酸、あるいは、そのエステルを添加する反応停止工程を備える、上記[1]に記載のイソシアヌレートの製造方法を含んでいる。
本発明のイソシアヌレートの製造方法では、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート化反応の後、分離工程において得られる回収成分は、未反応のキシリレンジイソシアネートと、所定割合の酸成分とを含有している。
そのため、回収成分は、安定性に優れ、さらに、再度、イソシアヌレート化反応に供される場合におけるイソシアヌレート化反応効率にも優れる。
その結果、本発明のイソシアヌレートの製造方法では、優れた効率でイソシアヌレートを製造することができる。
(1)原料成分
本発明のイソシアヌレートの製造方法では、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを製造する。
このイソシアヌレートの製造方法では、まず、キシリレンジイソシアネートを含む原料成分を、準備する(準備工程)。
原料成分は、必須成分としてキシリレンジイソシアネートを含んでいる。
キシリレンジイソシアネート(以下、XDIと表記する場合がある。)は、構造異性体として、1,2−XDI(o−XDI)、1,3−XDI(m−XDI)、1,4−XDI(p−XDI)を含んでいる。XDIの構造異性体は、単独使用または2種類以上併用されてもよい。
XDIとして、好ましくは、1,3−XDIおよび1,4−XDIが挙げられ、より好ましくは、1,3−XDIが挙げられる。
また、原料成分は、貯蔵安定性および反応性の観点から、好ましくは、酸成分を含んでいる。換言すれば、原料成分は、好ましくは、キシリレンジイソシアネートおよび酸成分を含有するキシリレンジイソシアネート組成物であり、より好ましくは、本質的に、キシリレンジイソシアネートおよび酸成分からなるキシリレンジイソシアネート組成物である。
原料成分が酸成分を含有していれば、後述する触媒失活剤などの貯蔵安定剤を含有していなくとも、貯蔵安定性に優れる。さらに、酸成分は、触媒失活剤よりもイソシアヌレート化反応の阻害効果が低いため、上記の原料成分は、イソシアヌレート化反応効率にも優れる。
酸成分としては、特に制限されず、例えば、塩化水素(塩酸)、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、例えば、スルホン酸、酢酸などの有機酸などが挙げられる。これらは単独使用または2種類以上併用することができる。酸成分として、好ましくは、無機酸が挙げられ、より好ましくは、塩化水素が挙げられる。
酸成分の含有割合は、特に制限されないが、原料成分の総量に対して、例えば、10ppm以上、好ましくは、20ppm以上、より好ましくは、30ppm以上、さらに好ましくは、40ppm以上であり、例えば、100ppm以下、好ましくは、80ppm以下、より好ましくは、75ppm以下、さらに好ましくは、70ppm以下である。
なお、酸成分の含有割合は、JIS K−1603−2:2007に準拠して、塩化水素換算値(すなわち、酸度)として測定される(以下同様)。
また、酸成分の含有割合(酸度)は、例えば、キシリレンジイソシアネートを含む原料成分に、塩化水素など公知の酸や、高酸度のキシリレンジイソシアネート(例えば、酸度が2000ppm以上のキシリレンジイソシアネート組成物など)を添加することによって、調整することができる。
なお、このような酸成分は、イソシアヌレート化反応(後述)に対して、負触媒として作用する。
また、原料成分は、本質的に、後述する触媒失活剤などの、貯蔵安定剤を含有していない。
触媒失活剤(貯蔵安定剤)の含有割合は、原料成分の総量に対して、例えば、10ppm以下、好ましくは、1ppm以下、より好ましくは、0.1ppm以下、とりわけ好ましくは、0ppmである。
また、原料成分の、キシリレンジイソシアネート純度(すなわち、原料成分の総量に対する、XDI(単量体)の含有割合)は、例えば、98.0質量%以上、好ましくは、98.5以上、より好ましくは、99.0質量%以上であり、通常、100質量%未満である。
(2)イソシアヌレート化反応
本発明のイソシアヌレートの製造では、上記の原料成分を、イソシアヌレート化触媒の存在下においてイソシアヌレート化反応させる(反応工程)。
イソシアヌレート化触媒としては、イソシアヌレート化に有効な触媒であれば、特に限定されず、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドやその有機弱酸塩、例えば、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウムなどのトリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドやその有機弱酸塩、例えば、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸などのアルキルカルボン酸のアルカリ金属塩、例えば、上記アルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛などの金属塩、例えば、アルミニウムアセチルアセトン、リチウムアセチルアセトンなどのβ−ジケトンの金属キレート化合物、例えば、塩化アルミニウム、三フッ化硼素などのフリーデル・クラフツ触媒、例えば、チタンテトラブチレート、トリブチルアンチモン酸化物などの種々の有機金属化合物、例えば、ヘキサメチルシラザンなどのアミノシリル基含有化合物などが挙げられる。
具体的には、例えば、Zwitter ion型のヒドロキシアルキル第4級アンモニウム化合物などが挙げられ、より具体的には、例えば、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート、N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム・ヘキサノエート、トリエチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム・ヘキサデカノエート、トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム・フェニルカーボネート、トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム・フォーメートなどが挙げられる。
これらイソシアヌレート化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
イソシアヌレート化触媒として、好ましくは、テトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドが挙げられ、さらに好ましくは、テトラブチルアンモニウムのハイドロオキサイドが挙げられる。
イソシアヌレート化触媒の使用形態は、特に制限されず、イソシアヌレート化触媒の固形分を直接使用してもよく、また、イソシアヌレート化触媒を有機溶媒に溶解させた触媒溶液を使用してもよい。
好ましくは、イソシアヌレート化触媒は、触媒溶液として使用される。
触媒溶液において、有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、アルキルエステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなど)、グリコールエーテルエステル類(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、極性非プロトン類(例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなど)などが挙げられる。有機溶媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
有機溶媒のなかでは、好ましくは、グリコールエーテルエステル類が挙げられ、さらに好ましくは、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートが挙げられる。
触媒溶液の固形分濃度(イソシアヌレート化触媒の含有割合)は、例えば、60.0質量%以下、好ましくは、50.0質量%以下である。
そして、この方法では、原料成分にイソシアヌレート化触媒を一括添加または分割添加して、混合・分散させて、次いで、原料成分中のキシリレンジイソシアネート(単量体)を、イソシアヌレート化反応させる。
イソシアヌレート化触媒(固形分換算)の添加割合は、原料成分100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.005質量部以上、例えば、0.1質量部以下、好ましくは、0.05質量部以下である。
イソシアヌレート化触媒の添加割合が上記下限以上であれば、原料成分を確実にイソシアヌレート化反応させることができる。イソシアヌレート化触媒の添加割合が上記上限以下であれば、原料成分にイソシアヌレート化触媒を添加したときに、ゲルの発生を安定して抑制できる。
このイソシアヌレート化反応は、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、常圧(大気圧)下において実施される。イソシアヌレート化反応の反応条件として、反応温度は、例えば、室温(例えば、25℃)以上、好ましくは、40℃以上、より好ましくは、60℃以上、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下であり、反応時間は、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上、さらに好ましくは、2時間以上、例えば、12時間以下、好ましくは、10時間以下、さらに好ましくは、8時間以下である。
これにより、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートと、未反応のキシリレンジイソシアネート(単量体)とを含むイソシアヌレート反応液を得ることができる。
また、上記のイソシアヌレート化反応においては、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、助触媒(例えば、有機亜リン酸エステルなど)などの公知の添加剤を添加することができる。
添加剤として、好ましくは、酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられ、衛生性の観点から、好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、具体的には、例えば、2,6?ジ(tert-ブチル)?4?メチルフェノール(別名:ジブチルヒドロキシトルエン、以下、BHTと略する場合がある。)、[3−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルオキシ]−2,2−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルオキシメチル]プロピル]3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(イルガノックス1010、チバ・ジャパン社製、商品名)、オクタデシル3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオナート(イルガノックス1076、チバ・ジャパン社製、商品名)、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチルエステル(イルガノックス1135、チバ・ジャパン社製、商品名)、ビス[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)プロピオン酸]エチレンビスオキシビスエチレン(イルガノックス245、チバ・ジャパン社製、商品名)などが挙げられる。
これら酸化防止剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
酸化防止剤として、衛生性の観点から、好ましくは、BHTを除くヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられ、より好ましくは、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(イルガノックス1076、チバ・ジャパン社製、商品名)が挙げられる。
なお、添加剤を添加するタイミングは、特に制限されず、イソシアヌレート化反応前の原料成分に添加してもよく、また、イソシアヌレート化反応中のイソシアヌレート反応液に添加してもよく、さらには、イソシアヌレート化反応後のイソシアヌレート反応液に添加してもよい。好ましくは、イソシアヌレート化反応前の原料成分に添加する。
添加剤の添加割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、上記のイソシアヌレート化反応では、製品成分(後述)の粘度を調整するため、必要によりアルコール類を配合することができる。
アルコール類を配合するには、例えば、まず、原料成分とアルコール類とをウレタン化反応させ、次いで、そのウレタン反応液に上記したイソシアヌレート化触媒を添加して、原料成分(アルコール類との反応生成物を含む。)をイソシアヌレート化反応させた後、必要により未反応のキシリレンジイソシアネートを除去する。
具体的には、まず、キシリレンジイソシアネートを含む原料成分とアルコール類とを混合してウレタン化反応させる。
アルコール類として、例えば、1価アルコール(例えば、炭素数1〜20の直鎖状の1価アルコール、炭素数1〜20の分岐状の1価アルコールなど)、2価アルコール(例えば、炭素数2〜20の直鎖状の2価アルコール、炭素数3〜20の分岐状の2価アルコール、炭素数6〜20の脂環族の2価アルコールなど)、3価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなど)、4価以上のアルコール(例えば、テトラメチロールメタン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトールなど)などが挙げられる。
また、アルコール類は、分子中に1つ以上のヒドロキシ基を有していれば、それ以外の分子構造は、本発明の優れた効果を阻害しない限り、特に制限されない。例えば、アルコール類は、分子中に、エステル基、エーテル基、シクロヘキサン環、芳香環などを有することもできる。
アルコール類のなかでは、好ましくは、2価アルコール、さらに好ましくは、炭素数3〜20の分岐状の2価アルコールが挙げられる。炭素数3〜20の分岐状の2価アルコールとして、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール(別名:1,3−ブタンジオール)、1,2−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどが挙げられ、好ましくは、1,3−ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)が挙げられる。
アルコール類は、単独使用または2種類以上併用されてもよい。
アルコール類の配合割合は、原料成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、さらに好ましくは、1質量部以上、例えば、40質量部以下、好ましくは、20質量部以下、さらに好ましくは、10質量部以下である。
また、アルコール類のヒドロキシ基に対する、原料成分のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、例えば、5以上、好ましくは、10以上、さらに好ましくは、20以上、通常、1000以下である。
このような原料成分とアルコール類との混合は、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、常圧(大気圧)下において実施される。混合条件として、混合温度は、例えば、室温(例えば、25℃)以上、好ましくは、40℃以上、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下であり、混合時間は、例えば、3分間以上、好ましくは、12分間以上、例えば、10時間以下、好ましくは、6時間以下である。
次いで、得られたウレタン反応液に、上記した配合割合で上記したイソシアヌレート化触媒を添加し、原料成分(アルコール類との反応生成物を含む。)をイソシアヌレート化反応させる。なお、イソシアヌレート化反応における反応条件は、上記と同様である。
これにより、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートと、未反応のキシリレンジイソシアネート(単量体)とを含むイソシアヌレート反応液を得ることができる。
また、反応工程において、転化率が目標値(例えば、10%以上、好ましくは、20%以上、例えば、40%以下)に到達した後に触媒失活剤が添加されることで、イソシアヌレート化反応が停止される(反応後添加工程、反応停止工程)。
触媒失活剤としては、例えば、リン酸化合物、スルホン酸化合物、スルホンアミド化合物などが挙げられる。
リン酸化合物としては、例えば、リン酸、リン酸エステルなどが挙げられる。リン酸エステルとしては、例えば、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸プロピル、リン酸ブチル、リン酸ジプロピル、リン酸ブトキシエチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸(C12〜18)アルキル、リン酸イソトリデシル、リン酸オレイル、リン酸テトラコシル、リン酸エチレングリコール、リン酸2−ヒドロキシエチルメタクリレート、リン酸ジブチルなどが挙げられる。
スルホン酸化合物としては、例えば、スルホン酸、スルホン酸エステルなどが挙げられる。スルホン酸としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などが挙げられる。スルホン酸エステルとしては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸メチル、ドデシルベンゼンスルホン酸エチル、ドデシルベンゼンスルホン酸プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸ブチルなどのドデシルベンゼンスルホン酸アルキルエステル、例えば、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸プロピル、パラトルエンスルホン酸ブチルなどのパラトルエンスルホン酸アルキルエステルなどが挙げられる。
スルホンアミド化合物としては、例えば、芳香族スルホンアミド類(例えば、ベンゼンスルホンアミド、ジメチルベンゼンスルホンアミド、スルファニルアミド、o−およびp−トルエンスルホンアミド、ヒドロキシナフタレンスルホンアミド、ナフタレン−1−スルホンアミド、ナフタレン−2−スルホンアミド、m−ニトロベンゼンスルホンアミド、p−クロロベンゼンスルホンアミドなど)、脂肪族スルホンアミド類(例えば、メタンスルホンアミド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジメチルエタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド、N−メトキシメタンスルホンアミド、N−ドデシルメタンスルホンアミド、N−シクロヘキシル−1−ブタンスルホンアミド、2−アミノエタンスルホンアミドなど)などが挙げられる。
また、触媒失活剤としては、上記のほか、例えば、モノクロル酢酸、ベンゾイルクロリドなども挙げられる。
これら触媒失活剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、触媒失活剤は、上記イソシアヌレート反応液に対して、貯蔵安定剤としても作用する。
触媒失活剤として、好ましくは、リン酸化合物および/またはスルホン酸化合物が挙げられる。換言すれば、触媒失活剤として、好ましくは、リン酸および/またはスルホン酸、あるいは、そのエステルが挙げられる。
これらを使用することにより、後述する分離工程において、イソシアヌレートを含む製品成分(後述)に、触媒失活剤(貯蔵安定剤)を含有させることができ、製品成分の貯蔵安定性の向上を図ることができる。さらに、上記の触媒失活剤を用いると、後述する分離工程において、未反応のキシリレンジイソシアネートを含む回収成分(後述)に、触媒失活剤(貯蔵安定剤)が混入することを抑制できる。そのため、反応性に優れた回収成分を得ることができ、後述するように、回収成分を反応工程に再利用することができる。
このような観点から、触媒失活剤として、さらに好ましくは、スルホン酸が挙げられ、とりわけ好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。
触媒失活剤の使用形態は、特に制限されず、触媒失活剤の有効成分を直接使用してもよく、また、触媒失活剤を上記の有機溶媒に溶解させた触媒失活剤溶液を使用してもよい。好ましくは、触媒失活剤溶液を使用する。
触媒失活剤を、触媒失活剤溶液として使用する場合、有機溶媒として、好ましくは、グリコールエーテルエステル類が挙げられ、さらに好ましくは、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートが挙げられる。
また、触媒失活剤の有効成分濃度(触媒失活剤の含有割合)は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
また、触媒失活剤の添加割合(有効成分換算)は、イソシアヌレート反応液の総量に対して、例えば、400ppm以上、好ましくは、500ppm以上、より好ましくは、600ppm以上であり、例えば、3000ppm以下、好ましくは、1000ppm以下、より好ましくは、800ppm以下である。
触媒失活剤の添加割合が上記範囲であれば、後述する分離工程において、イソシアヌレートを含む製品成分(後述)に、触媒失活剤(貯蔵安定剤)を含有させることができ、製品成分の貯蔵安定性の向上を図ることができる。さらに、上記の触媒失活剤を用いると、後述する分離工程において、未反応のキシリレンジイソシアネートを含む回収成分(後述)に、触媒失活剤(貯蔵安定剤)が混入することを抑制できる。そのため、反応性に優れた回収成分を得ることができ、後述するように、回収成分を反応工程に再利用することができる。
また、得られるイソシアヌレート反応液は、好ましくは、酸成分を含有する。
イソシアヌレート反応液における酸成分の含有割合(酸度)は、イソシアヌレート反応液の総量に対して、例えば、50ppm以上、好ましくは、70ppm以上であり、例えば、200ppm以下、好ましくは、150ppm以下である。
イソシアヌレート反応液の酸度が上記範囲であれば、後述する分離工程において得られる回収成分の酸度を、所定の範囲に調整することができ、再利用性に優れた回収成分を得ることができる。
なお、この方法では、必要に応じて、上記のイソシアヌレート反応液に、塩化水素など公知の酸や、高酸度のキシリレンジイソシアネート(例えば、酸度が2000ppm以上のキシリレンジイソシアネート組成物など)を添加することによって、酸度を調整することもできる。
(3)ゲル化抑制
また、上記のイソシアヌレート化反応では、イソシアヌレート化反応の初期において、キシリレンジイソシアネートが急激に反応して、反応容器の表面などに膜状ゲルを生じる場合がある。
そこで、反応初期におけるゲルの発生を抑制するため、必要に応じて、上記の反応工程の前に、原料成分に上記した触媒失活剤を添加することができる(反応前添加工程)。
触媒失活剤としては、例えば、上記したリン酸化合物、上記したスルホン酸化合物、上記したスルホンアミド化合物、モノクロル酢酸、ベンゾイルクロリドなどが挙げられる。
これら触媒失活剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
反応前添加工程において添加する触媒失活剤と、上記の反応後添加工程において添加する触媒失活剤とは、同一種類であってもよく、また、異なる種類であってもよい。
好ましくは、反応前添加工程において添加する触媒失活剤と、反応後添加工程において添加する触媒失活剤とは、同一種類である。
また、反応前添加工程において添加する触媒失活剤として、好ましくは、リン酸化合物および/またはスルホン酸化合物が挙げられる。換言すれば、触媒失活剤として、好ましくは、リン酸および/またはスルホン酸、あるいは、そのエステルが挙げられる。
触媒失活剤の使用形態は、特に制限されず、触媒失活剤の有効成分を直接使用してもよく、また、触媒失活剤を上記の有機溶媒に溶解させた触媒失活剤溶液を使用してもよい。好ましくは、触媒失活剤溶液を使用する。
触媒失活剤溶液において、触媒失活剤の有効成分濃度(触媒失活剤の含有割合)は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
触媒失活剤の添加割合(有効成分換算)は、特に制限されないが、原料成分の総量に対して、例えば、10ppm以上、好ましくは、50ppm以上、より好ましくは、60ppm以上であり、例えば、200ppm以下、好ましくは、100ppm以下、より好ましくは、90ppm以下である。
イソシアヌレート化反応の前に、所定量の触媒失活剤を原料成分に添加することにより、反応初期において、イソシアヌレート化反応が急激に進行することを抑制でき、ゲルの発生を抑制できる。
また、この方法では、好ましくは、まず、イソシアヌレート化反応の前に触媒失活剤を添加し(反応前添加工程)、イソシアヌレート化反応させた後、さらに、得られるイソシアヌレート反応液に触媒失活剤を添加する(反応後添加工程)。
このような場合、反応後添加工程では、上記したように、イソシアヌレート反応液に対して所定量となるように、触媒失活剤を添加する。
なお、イソシアヌレート反応液に対する触媒失活剤の添加割合と、イソシアヌレート反応液中の触媒失活剤の含有割合とは、明確に区別される。すなわち、反応前添加工程で添加した触媒失活剤と、反応後添加工程で添加した触媒失活剤とが、イソシアヌレート反応液に含有される。
反応後添加工程における触媒失活剤の添加割合(原料成分に対する触媒失活剤の添加割合(ppm))は、反応前添加工程における触媒失活剤の添加割合(イソシアヌレート反応液に対する触媒失活剤の添加割合(ppm))に対して、例えば、2倍以上、好ましくは、2倍以上、より好ましくは、5倍以上であり、例えば、30倍以下、好ましくは、20倍以下、より好ましくは、15倍以下である。
触媒失活剤の添加割合の比率が上記範囲であれば、とりわけ効率よくゲルの発生を抑制することができる。また、イソシアヌレート反応液中の触媒失活剤の総含有割合が調整されるため、後述する分離工程において、製品成分(後述)に触媒失活剤を含有させることができ、製品成分の貯蔵安定性の向上を図ることができる。さらに、回収成分(後述)に、触媒失活剤(貯蔵安定剤)が混入することを抑制できる。そのため、反応性に優れた回収成分を得ることができ、後述するように、回収成分を反応工程に再利用することができる。
(4)分離
そして、このイソシアヌレートの製造方法では、上記のイソシアヌレート化反応終了後において、イソシアヌレート反応液から、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを含有する製品成分と、未反応のキシリレンジイソシアネートを含有する回収成分とを、それぞれ分離する(分離工程)。
製品成分は、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート(主としてキシリレンジイソシアネートの3量体を含有し、さらに、キシリレンジイソシアネートの5量体、7量体などを含有する、イソシアヌレート組成物)と、上記の触媒失活剤とを含有する組成物である。
また、回収成分は、未反応のキシリレンジイソシアネートと、酸成分とを含有する組成物であり、好ましくは、本質的に、未反応のキシリレンジイソシアネートと、酸成分とからなる組成物である。
これら製品成分と回収成分とを分離する方法としては、特に制限されないが、例えば、薄膜蒸留装置が用いられる。
薄膜蒸留における蒸留条件としては、蒸留温度が、例えば、120℃以上、好ましくは、150℃以上であり、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。また、蒸留圧力(絶対圧力)が、例えば、1PaA以上であり、例えば、60PaA以下である。
また、水蒸気圧(ゲージ圧)が、例えば、0.1MPaG以上、好ましくは、0.5MPaG以上であり、例えば、3MPaG以下、好ましくは、1MPaG以下である。
また、イソシアヌレート反応液のフィード量が、例えば、10kg/hr以上、好ましくは、100kg/hr以上であり、例えば、1000kg/hr以下、好ましくは、500kg/hr以下である。
これにより、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを含有する製品成分が、高沸点成分として分離される。
製品成分のイソシアネート基濃度は、例えば、15質量%以上、好ましくは、16質量%以上、例えば、22質量%以下、好ましくは、21質量%以下である。
また、製品成分のイソシアネートモノマー濃度(未反応のキシリレンジイソシアネートの濃度)は、例えば、5質量%以下、好ましくは、2質量%以下、さらに好ましくは、1質量%以下である。
また、製品成分には、必要により、上記した有機溶媒を適宜の割合で添加して、固形分濃度を調整することができる。
製品成分の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、100質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。
また、製品成分には、イソシアヌレート化反応において添加した触媒失活剤が、貯蔵安定剤として含有される。
触媒失活剤(貯蔵安定剤)の含有割合は、製品成分の総量に対して、例えば、400ppm以上、好ましくは、500ppm以上であり、例えば、2500ppm以下、好ましくは、2000ppm以下である。
触媒失活剤(貯蔵安定剤)の含有割合が上記範囲であれば、製品成分は貯蔵安定性に優れる。
なお、必要により、分離された製品成分に、上記した触媒失活剤(貯蔵安定剤)をさらに添加して、含有割合を上記範囲に調整することもできる。
また、製品成分には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば、可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤(上記のスルホンアミド化合物など)、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤などを添加することができる。
(5)再利用
上記の分離工程では、未反応のキシリレンジイソシアネート(単量体)を含有する回収成分が、低沸点成分として分離される。より具体的には、分離される回収成分は、未反応のキシリレンジイソシアネート(単量体)と、酸成分と(さらに、必要により配合される有機溶媒と)を含有する。
回収成分における酸成分の含有割合(酸度)は、回収成分の総量に対して、20ppm以上、好ましくは、30ppm以上、より好ましくは、40ppm以上であり、80ppm以下、好ましくは、75ppm以下、より好ましくは、70ppm以下である。
なお、必要に応じて、上記の回収成分に、塩化水素など公知の酸や、高酸度のキシリレンジイソシアネート(例えば、酸度が2000ppm以上のキシリレンジイソシアネート組成物など)を添加することによって、酸度を調整することができる。
また、回収成分は、本質的に、触媒失活剤(貯蔵安定剤)を含有していない。
具体的には、触媒失活剤(貯蔵安定剤)として、リン酸および/またはスルホン酸、あるいは、そのエステルを用いることにより、上記の分離工程において、製品成分に触媒失活剤(貯蔵安定剤)を含有させ、一方、回収成分に触媒失活剤(貯蔵安定剤)を含有させないことができる。
触媒失活剤(貯蔵安定剤)の含有割合は、回収成分の総量に対して、例えば、10ppm以下、好ましくは、1ppm以下、より好ましくは、0.1ppm以下、とりわけ好ましくは、0ppmである。
また、回収成分の、キシリレンジイソシアネート純度(すなわち、回収成分の総量に対する、XDI(単量体)の含有割合)は、例えば、97.0質量%以上、好ましくは、98.0以上、より好ましくは、99.0質量%以上であり、通常、100質量%未満である。
回収成分は、上記したように、所定割合で酸成分を含有するため、上記した触媒失活剤(貯蔵安定剤)を含有していなくとも、貯蔵安定性に優れる。さらに、酸成分は、触媒失活剤よりもイソシアヌレート化反応の阻害効果が低いため、上記の回収成分は、イソシアヌレート化反応効率にも優れる。そのため、回収成分は、上記のイソシアヌレート化反応において、好適に用いることができる。
そこで、このイソシアヌレートの製造方法では、上記の分離工程で得られる回収成分を、イソシアヌレート化反応における原料成分として、反応工程に供する(再利用工程)。
回収成分を再利用する場合、回収成分を単独で原料成分として反応工程に供してもよく、また、回収成分と、新規に調製されたキシリレンジイソシアネート組成物との混合物を、原料成分として反応工程に供してもよい。好ましくは、回収成分と、新規に調製されたキシリレンジイソシアネート組成物との混合物を、原料成分として反応工程に供する。
このような場合の混合割合は、特に制限されないが、例えば、回収成分と、新規に調製されたキシリレンジイソシアネート組成物との総量100質量部に対して、回収成分が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。また、新規に調製されたキシリレンジイソシアネート組成物が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。
また、好ましくは、回収成分と、新規に調製されたキシリレンジイソシアネート組成物との混合割合は、得られる混合物(原料成分)の酸成分の含有割合(酸度)が、上記の所定範囲となるように、調整される。
(6)作用・効果
上記したイソシアヌレートの製造方法では、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート化反応の後、分離工程において得られる回収成分は、触媒失活剤を本質的に含有せず、未反応のキシリレンジイソシアネートと、所定割合の酸成分とを含有している。
そのため、回収成分は、安定性に優れ、さらに、再度、イソシアヌレート化反応に供される場合におけるイソシアヌレート化反応効率にも優れる。
その結果、上記したイソシアヌレートの製造方法では、優れた効率でイソシアヌレートを製造することができる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
実施例1
1,3−キシリレンジイソシアネート(m−XDI、三井化学社製)に塩化水素を添加して、酸度(JIS K−1603−2:2007に準拠)を50ppmに調整した。これにより、所定酸度のXDI組成物からなる原料成分を得た(準備工程)。
窒素雰囲気下、XDI組成物787.470質量部と、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、商品名:イルガノックス1076、チバ・ジャパン社製)0.161質量部とを、60℃〜65℃において混合した。
次いで、その混合物に、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA、触媒失活剤)のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液(有効成分濃度50質量%)を添加した。添加量は、DDBSAが0.064質量部(添加割合が、原料成分の総量に対して80ppm)となるように、調整した(反応前添加工程)。
次いで、その混合物に1,3−ブタンジオール15.726質量部を、70℃〜75℃において添加して混合し、ウレタン化反応させた。
次いで、得られたウレタン反応液に、テトラブチルアンモニウムのハイドロオキサイド(イソシアヌレート化触媒、TBAOH(37%メタノール溶液))のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液(固形分濃度3.7質量%)を添加した。添加量は、TBAOH(37%メタノール溶液)が0.803質量部(有効成分として0.3質量部)となるように、調整した。
次いで、ウレタン反応液を混合しながら、70℃〜75℃において、転化率が30%に到達するまで、XDIをイソシアヌレート化反応させた(反応工程)。
次いで、得られたイソシアヌレート反応液に、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA、触媒失活剤)のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液(有効成分濃度50質量%)を添加し、イソシアヌレート化反応を停止させた。添加量は、DDBSAが0.415質量部(DDBSAの添加割合が、イソシアヌレート反応液に対して500ppm)となるように、調整した(反応停止工程、反応後添加工程)。
次いで、得られたイソシアヌレート反応液を、さらに、70〜75℃で30分撹拌した。次いで、酸度を調整するため、予め調製した高酸度(酸度2400ppm)のXDI組成物を、イソシアヌレート反応液に20.562質量部添加し、30分撹拌した後、50℃以下まで冷却した。
次いで、得られたイソシアヌレート反応液を薄膜蒸留(圧力:〜60PaA、水蒸気圧:0.7MPaG、温度:170℃、フィード量:200kg/hr)して、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを含有する製品成分と、未反応のキシリレンジイソシアネートを含有する回収成分とを、それぞれ分離した(分離工程)。
そして、得られた製品成分には、酢酸エチル(EA)を添加して固形分濃度を75質量%に調整し、パラトルエンスルホンアミド0.333質量部(耐熱安定剤)を添加した。
一方、得られた回収成分の酸度は、50ppmであった。
その後、得られた回収成分を、原料成分として使用し、再度、上記の操作を繰り返した。これにより、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを含有する製品成分を、再度得た。
実施例2〜12および比較例1〜8
反応停止工程(反応後添加工程)において添加する触媒失活剤の添加割合を、表1〜4に記載の値に変更し、また、その後に添加する高酸度(酸度2400ppm)のXDI組成物の添加割合を変更して、回収成分の酸度を表1〜4に記載の値に調整した以外は、実施例1と同様に操作した。
比較例9
反応停止工程(反応後添加工程)において、DDBSAに代えて、パラトルエンスルホンアミド(PASAM)を用いた以外は、実施例1と同様に操作した。
<評価>
1.回収成分の安定性
回収成分を、40℃において2ヶ月保存し、その外観を目視で観察した。そして、ダイマー化、ナイロン化、ゲル化などに由来する濁りの発生の有無を評価した。評価の基準を下記する。
○:濁りが発生しなかった。
×:濁りが発生した。
2.回収成分の反応性
回収成分を原料成分として使用した反応において、イソシアヌレート化触媒を添加し、温度調整した後、転化率が30%に到達するまでの時間を確認することにより、イソシアヌレート化反応の進行の度合いを評価した。評価の基準を下記する。
○:5時間以内に転化率が30%に達した。
×:5時間が経過しても転化率が30%に達しなかった。
3.製品成分の反応性
製品成分を170℃で1時間保持し、ゲル化の発生の有無を評価した。評価の基準を下記する。
○:ゲル化が発生しなかった。
×:ゲル化が発生した。
Figure 0006891086
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Claims (2)

  1. キシリレンジイソシアネートを含む原料成分を、イソシアヌレート化触媒の存在下においてイソシアヌレート化反応させることにより、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートと、未反応のキシリレンジイソシアネートとを含むイソシアヌレート反応液を得る反応工程と、
    前記イソシアヌレート反応液から、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートを含有する製品成分と、未反応のキシリレンジイソシアネートを含有する回収成分とを分離する分離工程と、
    前記回収成分を前記反応工程に供する再利用工程と
    を備え、
    前記回収成分が、キシリレンジイソシアネートおよび酸成分を含有し、
    前記酸成分の含有割合が、塩化水素換算値として、前記回収成分の総量に対して、20ppm以上100ppm以下である
    ことを特徴とする、イソシアヌレートの製造方法。
  2. 前記反応工程の後、かつ、前記分離工程の前に、
    前記イソシアヌレート反応液に対して500ppm以上の添加割合になるように、前記イソシアヌレート反応液に、リン酸および/またはスルホン酸、あるいは、そのエステルを添加する反応停止工程を備える
    ことを特徴とする、請求項1に記載のイソシアヌレートの製造方法。
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