JP3826395B2 - 自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物及び自動車用、船舶用内装材の製造方法 - Google Patents

自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物及び自動車用、船舶用内装材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物及び自動車用、船舶用内装材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内装材としては、表皮材、裏面材、心材、補強材、接着剤、含浸剤、その他合成樹脂等を用いて製造している。例えば、特開平6−210786号公報には、内装材料として、成形性を有する基材と、該基材の両面又は片面に積層される繊維層と、該繊維層状に貼付される表皮材とからなり、該繊維層は該基材の成形温度よりも低い融点を有する熱可塑性繊維及び/又は熱可塑性樹脂バインダーを含んでいることを特徴としている。この公報では、基材としてポリウレタン発泡体にジイソシアネートを含浸させ、補強材としてガラス繊維を用いている。また、特開平7−132573号公報では内装材料として、起毛布等の基材にポリウレタンミクロポーラス層、ポリウレタン接着層、ポリウレタン表皮層等からなっている。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のこのような方法で得られる自動車用、船舶用内装材は、成形時間に長時間を要するため生産性が低下したり、自動車用、船舶用内装材の硬度が低い等の問題点があるため、その改善が要望されいる。このような性能を有する自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物はこれまで得られていなかった。
【0004】
本発明者等は、従来の問題点を改善するため鋭意研究検討を重ねた結果、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物として、ポリイソシアネートと特定の添加剤からなる組成物を使用することにより、上記問題点を改善できることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、ポリイソシアネート(A)、整泡剤(B)、消泡剤(C)からなり、(A)がポリメリックMDI又はその誘導体を含有することを特徴とする、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物である。
【0006】
また、本発明は、多孔質基材に前記自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物を含浸させた後、触媒又は触媒と水を噴霧し、85〜150℃で10〜150秒間熱圧着することを特徴とする自動車用、船舶用内装材の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物に用いられるポリイソシアネート(A)は、ポリメリックMDI、ポリメリックMDIのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート、前記ポリメリックMDI系ポリイソシアネートと活性水素基含有化合物と反応させて得られたイソシアネート基末端プレポリマーを含有するものである。
【0008】
本発明において「ポリメリックMDI」とは、アニリンとホルマリンとの縮合反応によって得られる縮合混合物(ポリアミン)をホスゲン化等によりアミノ基をイソシアネート基に転化することによって得られる、縮合度の異なる有機イソシアネート化合物の混合物を意味し、縮合時の原料組成比や反応条件を変えることによって、最終的に得られるポリメリックMDIの組成を変えることができる。本発明に用いられるポリメリックMDIは、イソシアネート基への転化後の反応液、又は反応液から溶媒の除去、又は一部MDIを留出分離した缶出液、反応条件や分離条件等の異なった数種の混合物であってもよい。また、イソシアネート基の一部をビウレット、アロファネート、カルボジイミド、オキサゾリドン、アミド、イミド等に変性したものであってもよい。なお、ポリメリックMDIは、ベンゼン環及びイソシアネート基を各2個有するジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと略称する)を含有することになる。
【0009】
本発明に用いられるポリメリックMDIは、MDI含有量が1〜80質量%であり、かつポリメリックMDI中のMDIにおいて、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以後4,4′−MDIと略称する)以外の異性体含有量は0.1〜70質量%であることが好ましい。ポリメリックMDIのMDI含有量が少なすぎる場合は含浸剤組成物の粘度が高くなり、取り扱い性が低下しやすい。また、MDI含有量が多すぎる場合は、得られる自動車用、船舶用内装材の強度が低下しやすい。MDIの4,4′−MDI以外の異性体含有量が少なすぎる場合は、含浸剤組成物の冬期の貯蔵安定性が低下しやすい。4,4′−MDI以外の異性体含有量が多すぎる場合は、熱圧着時間が長くなり生産性が低下しやすい。なお、ポリメリックMDIのMDI含有量やMDIの異性体構成比はゲルパーミエーションクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーによって得られる各ピークの面積百分率を基に検量線から求めることができる。
【0010】
また、得られる自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物の貯蔵安定性と反応性の面から、用いるポリメリックMDIの酸度は0.001〜0.2質量%が好ましく、更に好ましくは0.003〜0.15質量%である。酸度が0.001%未満の場合は、含浸剤組成物が貯蔵中に増粘しやすく、0.2%を超えると熱圧着時間が長くなり生産性が低下しやすい。
【0011】
なお、「酸度」とは、室温でアルコールと反応し遊離する酸成分を塩化水素に換算して示した値であり、JIS K1603(1985)によって測定される値である。
【0012】
また、本発明に用いられるポリメリックMDIの平均官能基数は2.3以上であり、好ましくは官能基数が2.3〜3.1である。イソシアネート含量は、28〜33質量%であり、好ましくは28.5〜32.5質量%である。
【0013】
更に、前記ポリメリックMDIのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートも用いることができる。
【0014】
イソシアヌレート化は、ポリメリックMDIにイソシアヌレート化触媒及び助触媒を添加して、温度を100℃以下、好ましくは20〜70℃で反応させることで得られる。反応温度が100℃以上となると、イソシアヌレート体の高分子体が生成しやすいため、相溶性が低下したりゲル化したりすることがある。好適なイソシアヌレート化触媒量及び反応温度を選択することにより、イソシアヌレート化反応は逐次的に進行するため、従来の製造装置により容易に実施することができる。また、反応停止時のイソシアネート含量を調節することによって、得られるイソシアヌレート環の含有量及び粘度を自由に調節することができる。本発明に用いられるイソシアヌレート変性ポリイソシアネートは、イソシアヌレート化前の全イソシアネート基の20質量%以下、好ましくは0.5〜10質量%をイソシアヌレート基としたものが好ましい。
【0015】
イソシアヌレート化反応の触媒としては、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N′,N″−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロートリアジン、オクチル酸カリウムとジエチレングリコールの混合物、3級アミンとオクチル酸カリウムとジエチレングリコールの混合物、カリウムフェノラート、ナトリウムメトキシド等のフェノラート、アルコラート、更に特に有効な2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4−ビス(ジメミルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ジメチルアミノトリメチルシランフェノール、トリエチルアミンジアザビシクロウンデセン、ナフテン酸鉛、オクテン酸鉛等が挙げられる。イソシアヌレート化触媒の使用量は、その触媒の活性度によって異なるが、反応系の0.0001〜2質量%が好ましい。
【0016】
イソシアヌレート化反応の助触媒としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられる。亜リン酸エステルとしては、亜リン酸ジエステルと亜リン酸トリエステルを挙げることができる。亜リン酸ジエステルの例としては、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等が挙げられる。亜リン酸トリエステルの例としては、トリエチルホスファイト、トリプチルホスファイト、トリス(β−クロロエチル)フォスフェート、トリス(β−クロロプロピル)フォスフェート等が挙げられる。助触媒の使用量は、反応系の0.0001〜10質量%が好ましい。
【0017】
イソシアヌレート化反応を停止させるために、イソシアヌレート化停止剤を用いるのが好ましい。この停止剤としては、酸性化合物を使用することができる。例えば、リン酸、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリクレシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリフチル、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ジナフタレンモノスルホン酸、ジナフタレンジスルホン酸、ジノニルナフタレンモノスルホン酸、ベンゾイルクロライド、アセチルクロライド等及びこれらの類似化合物が挙げられる。イソシアヌレート化の停止剤は、その触媒量に対して0.3〜5.0倍当量を用いるのが好ましく、0.8〜3.0倍当量を用いるのが更に好ましい。イソシアヌレート化の停止剤は反応系に添加することにより、反応液が濁ることなく反応生成物の安定化をはかるとができる。また、停止剤としてリン酸を使用すると、自動車用、船舶用内装材の難燃性を向上させることができる。
【0018】
本発明では、ポリメリックMDI及び/又はイソシアヌレート変性ポリメリックMDIと活性水素基含有化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを用いることができる。
【0019】
イソシアネート基末端プレポリマーを得るのに用いられる活性水素基含有化合物としては、低分子モノオール類、低分子ポリオール類、低分子アミノアルコール類、低分子モノアミン類、低分子ポリアミン類、水酸基含有ポリエーテル類、水酸基含有ポリエステル類、水酸基含有ポリカーボネート類等が挙げられる。活性水素基含有化合物は、単独又は2種類以上併用することができる。
【0020】
低分子モノオール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
【0021】
低分子ポリオール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等が挙げられる。
【0022】
低分子アミノアルコール類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン等が挙げられる。
【0023】
低分子モノアミン類としては、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン等が挙げられる。
【0024】
低分子ポリアミン類としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジエチルトリアミン、ジブチルトリアミン、ジプロピレントリアミン等が挙げられる。
【0025】
水酸基含有ポリエーテル類としては、低分子モノオール類、低分子ポリオール類、低分子アミノアルコール類、低分子モノアミン類、低分子ポリアミン類、フェノール、アルキル置換フェノール、ビスフェノールA、チオールの単独又は混合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド類、スチレンオキサイド等のエポキサイド類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等の単独又は併用し、公知の方法で付加重合して得られるものが挙げられる。
【0026】
水酸基含有ポリエステル類、水酸基含有ポリアミド−エステル類としては、前記低分子ポリオール類、低分子アミノアルコール類、低分子ポリアミン類の単独又は混合物と、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、o−フタル酸、i−フタル酸、t−フタル酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸とを公知の方法で重縮合して得られるものが挙げられる。
【0027】
水酸基含有ポリカーボネート類としては、前記低分子ポリオール類の単独又は混合物と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート、ホスゲン等とを公知の方法で重縮合して得られるものが挙げられる。
【0028】
これらの活性水素基含有化合物では、得られるポリイソシアネートの粘度等を考慮するとポリオールが好ましく、特に低分子ポリオールがもっとも好ましい。
【0029】
本発明では必要に応じて、前述のポリメリックMDI系以外のポリイソシアネートを用いることができ、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。また、これらのポリメリック体やこれらのイソシアネートと、前述の活性水素基含有化合物とを反応させて得られるウレタン化物、ウレア化物、アロファネート化物、ビウレット化物、カルボジイミド化物、ウレトンイミン化物、ウレトジオン化物、イソシアヌレート化物等が挙げられる。また、更にこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0030】
本発明に用いられる整泡剤(B)は、耐熱性のあるシリコーン系整泡剤が好ましく、例えば、日本ユニカー製のL−5340、SZ−1642、ゴールドシュミット製B−8451、東レダウコーニングシリコーン製のSF−2964、同SF−2936F等を挙げられる。このような界面活性剤の使用量は、ポリイソシアネート組成物100質量部に対して0.0001〜5質量%である。
【0031】
本発明に用いられる消泡剤(C)は、耐熱性のあるシリコーン系消泡剤が好ましく、例えば、信越化学工業のKF−6001、KF−96、GE東芝シリコーンのTSF−451、TSF−4751等を挙げることができる。このような消泡剤の使用量は、ポリイソシアネート組成物100質量部に対して0.0001〜2質量%である。
【0032】
本発明に用いられる整泡剤は、液の安定性を向上させ−5℃以下の寒冷地においても結晶、沈殿物等の発生がなく安定である。また系全体の相溶性を向上させ、組成全体のバランスをとり、反応性を向上させ、得られる内装材の寸法安定性、難燃性等の物性を向上させることができる。また、消泡剤は、生産工程におけるポリイソシアネート組成物中の泡を消すことから、基材へのより均一なポリイソシアネートの含浸が可能になり、得られる自動車用、船舶用内装材の高強度化につながる。
【0033】
また必要に応じて、本発明の自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物には、反応性調節のため触媒を添加しておくことができる。この触媒としては、エステル交換触媒、ウレタン化触媒、ブロックイソシアネート解離触媒、イソシアヌレート化触媒等として一般的に知られているものを含み、具体的には、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート等の錫系触媒、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N,N,N´,N´−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N−メチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(以下DBUと略称する)、これらアミン系触媒のボラン塩、DBUフェノール塩、DBUオクチル酸塩、DBU炭酸塩等の各種アミン塩系触媒、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、酢酸カリウム等のカルボキシレート類、トリエチルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のトリアルキルホスフィン類、ナトリウムメトキシド等のアルコキシド類等が挙げられる。添加量は、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物に対して1質量%以下が好ましい。
【0034】
また、本発明の自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、可塑剤、顔料・染料、抗菌剤・抗カビ剤等の公知の各種添加剤や助剤を添加することもできる。
【0035】
本発明の自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物は、含浸剤として多孔質基材の強度を向上させる他、例えば表皮材、裏面材、補強材等を用いる場合は、これらと多孔質基材との間の界面における結合剤としての効果が追加される。また、フィラー等の充填剤を用いる場合は、これらの表面処理剤としての効果が追加される。すなわち、自動車用、船舶用内装材製造時において、表皮材、裏面材、補強材、充填剤を併用する場合は、本発明の含浸剤を用いるだけでよく、更に結合剤や表面処理剤を使用する必要はない。
【0036】
本発明の自動車用、船舶用内装材の製造方法は、多孔質基材に前述の自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物を含浸させた後、必要に応じて基材の上面及び/又は下面に表皮材、裏面材、補強材から選択される基材を設置した後、触媒又は触媒と水を噴霧し、85〜150℃で10〜150秒間熱圧着するという方法である。
【0037】
噴霧される触媒の使用量は、触媒単独の場合は自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物に対して1〜20質量%となる量が好ましい。水と触媒を併用する場合は自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物に対して2〜80質量%が好ましい。また、水と触媒を併用する場合の水/触媒の質量比率は、1/1〜15/1が好ましい。なお、触媒は前述のものが挙げられる。
【0038】
続いて、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物を含浸させた多孔質基材を熱圧着する。このときの条件は、温度:85〜150℃、時間:10〜150秒が好ましく、特に、温度:90〜140℃、時間:20〜120秒が好ましい。なお、圧力は0.1〜10MPa、特に0.2〜5MPaが好ましい。
【0039】
なお、85℃未満の温度(例えば80℃)で熱圧着した後は、更に30〜70℃で0.5〜48時間熟成することによって、自動車用、船舶用内装材を製造することができる。しかし、低温での熱圧着は、充分な熟成工程が必要となり、生産性に劣るものであるため好ましくない。
【0040】
本発明に用いられる多孔質基材は、含浸剤組成物を含浸させ熱圧着することにより成形性を有するものであれば何でもよく、例えば、布、紙、フェルト、ウール、綿、ガラス繊維、スチールウール、樹脂繊維、硬質発泡プラスチック、軟質発泡プラスチック、軟質フォームチップを用いたリボンデッドフォーム等が挙げられる。本発明において特に好ましい多孔質基材は、スラブフォームのカット品やフォームチップを用いたリボンデッドフォーム等の、密度が10〜200kg/m3 の軟質系ポリウレタンフォームである。
【0041】
本発明によって得られる自動車用、船舶用内装材は、特に初期硬度、全体の剛性に優れており、断熱性、軽量構造材としての性能、吸音性等を有している。
【0042】
【発明の効果】
本発明の自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物は、低粘度であり、基材への浸透性が良く、低温や高温において長期保存安定性に優れ、多孔性基材との親和性が良く、自動車用、船舶用内装材にした時、特に硬度、剛性に優れた内装材が得られる。また、基材に軟質ポリウレタンフォームチップを用いたリボンデッドフォームを採用することにより、環境負荷の低減とコスト削減が可能となる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。例における「%」は、断りのない限り「質量%」である。
【0044】
自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物の製造〕
実施例1〜4、比較例2
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応器に、表1又は表2に示す原料を仕込んだ後、40℃で1時間撹拌して、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物(NCO−1〜4、11)を得た。
【0045】
実施例5
実施例1と同様な反応器に、MDI(1)を300g仕込み、45℃に加温した。次いで1,3−BDを6.3g仕込み、60℃で2時間反応させた。反応後、P−MDI(1)を400g、P−MDI(2)を200g、MDI(2)を100g仕込み、40℃で1時間撹拌して、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物NCO−5を得た。
【0046】
実施例6
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応器に、P−MDI(7)を200g仕込み、45℃に加温した。次いでEDAを1.4g仕込み、60℃で2時間反応させた。反応後、P−MDI(2)を450g、P−MDI(6)を100g、MDI(1)を150g、MDI(3)を100g仕込み、40℃で1時間撹拌して、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物NCO−6を得た。
【0047】
実施例7
実施例1と同様な反応器に、P−MDI(8)を100g仕込み、45℃に加温した。次いでK−54を0.2g仕込んで60℃に加温し、イソシアヌレート化(三量化)反応を開始した。イソシアネート含量が29.0%になったところで、RA−600を0.13g仕込んで反応を停止させて、イソシアヌレート変性ポリイソシアネートを得た。その後、P−MDI(4)を100g、P−MDI(6)を550g、MDI(2)を250g仕込み、40℃で1時間撹拌して、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物NCO−7を得た。
【0048】
実施例8
実施例1と同様な反応器に、P−MDI(8)を100g仕込み、45℃に加温した。次いでK−54を0.2g仕込んで60℃に加温し、イソシアヌレート化(三量化)反応を開始した。イソシアネート含量が29.0%になったところで、RA−600を0.13g仕込んで反応を停止させて、イソシアヌレート変性ポリイソシアネートを得た。次いで、1,3−BDを2.1g仕込み、60℃で2時間反応させた。その後、P−MDI(4)を100g、P−MDI(6)を550g、MDI(2)を250g仕込み、40℃で1時間撹拌して、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物NCO−8を得た。
【0049】
実施例9
実施例1と同様な反応器に、P−MDI(8)を100g仕込み、45℃に加温した。次いでK−54を0.2g仕込んで60℃に加温し、イソシアヌレート化(三量化)反応を開始した。イソシアネート含量が29.0%になったところで、RA−600を0.13g仕込んで反応を停止させて、イソシアヌレート変性ポリイソシアネートを得た。次いで、EDAを0.7g仕込み、60℃で2時間反応させた。その後、P−MDI(4)を100g、P−MDI(6)を550g、MDI(2)を250g仕込み、40℃で1時間撹拌して、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物NCO−9を得た。
【0050】
比較例1
実施例1と同様な反応器に、MDI(1)を150g仕込み、45℃に加温した。次いで1,3−BDを3.2g仕込んで60℃で2時間反応させた。その後、P−MDI(4)を500g、P−MDI(5)を250g、MDI(2)を100g仕込み、40℃で1時間撹拌して、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物NCO−10を得た。
【0051】
【表1】
Figure 0003826395
【0052】
【表2】
Figure 0003826395
【0053】
実施例1〜9、比較例1、2、及び表1、2において
P−MDI(1) :ポリメリックMDI
イソシアネート含量=31.0%
MDI含有量=39%
MDI中の4,4′−MDI含有量=98%
酸度=0.006%
P−MDI(2) :ポリメリックMDI
イソシアネート含量=31.5%
MDI含有量=45%
MDI中の4,4′−MDI含有量=87%
酸度=0.006%
P−MDI(3) :ポリメリックMDI
イソシアネート含量=31.0%
MDI含有量=43%
MDI中の4,4′−MDI含有量=96%
酸度=0.010%
P−MDI(4) :ポリメリックMDI
イソシアネート含量=29.5%
MDI含有量=43%
MDI中の4,4′−MDI含有量=95%
酸度=0.015%
P−MDI(5) :ポリメリックMDI
イソシアネート含量=31.0%
MDI含有量=34%
MDI中の4,4′−MDI含有量=75%
酸度=0.006%
P−MDI(6) :ポリメリックMDI
イソシアネート含量=30.1%
MDI含有量=27%
MDI中の4,4′−MDI含有量=99.5%
酸度=0.008%
P−MDI(7) :ポリメリックMDI
イソシアネート含量=30.2%
MDI含有量=35%
MDI中の4,4′−MDI含有量=86%
酸度=0.006%
P−MDI(8) :ポリメリックMDI
イソシアネート含量=31.0%
MDI含有量=41%
MDI中の4,4′−MDI含有量=98.5%
酸度=0.006%
MDI(1) :ジフェニルメタンジイソシアネート
MDI中の4,4′−MDI含有量=81%
酸度=0.006%
MDI(2) :ジフェニルメタンジイソシアネート
MDI中の4,4′−MDI含有量=70%
酸度=0.006%
MDI(3) :ジフェニルメタンジイソシアネート
MDI中の4,4′−MDI含有量=99%
酸度=0.006%
1,3−BD :1,3−ブタンジオール
EDA :エチレンジアミン
K−54 :イソシアヌレート化触媒
2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール
エアプロダクツアンドケミカル製
RA−600 :イソシアヌレート化停止剤
酸性リン酸エステル、東邦化学工業製
SZ−1642 :シリコン系整泡剤、日本ユニカー製
B−8451 :シリコン系整泡剤、ゴールドシュミット製
L−5340 :シリコン系整泡剤、日本ユニカー製
TSF−451 :シリコン系消泡剤、GE東芝シリコーン製
KF−96 :シリコン系消泡剤、信越化学工業製
TSF−4751 :シリコン系消泡剤、GE東芝シリコーン製
KF−6001 :シリコン系消泡剤、信越化学工業製
DBTDL :ジブチルチンジラウレート
U−CAT SA1:DBUのフェノ−ル塩、エアプロダクツアンドケミカル製
【0054】
自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物の貯蔵安定性〕
得られた自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物を30℃、−5℃にて1ヶ月保管したところ、実施例1〜9、比較例1、2で得られた全ての自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物の外観、粘度は変化が見られず、良好な結果であった。
【0055】
自動車用、船舶用内装材の製造〕
自動車用、船舶用内装材製造時に噴霧する触媒には、TEDA L−33(トリエチレンジアミンのジエチレングリコール溶液、エアプロダクツアンドケミカル製)を用いた。なお、プレス成形条件は以下の通り。
温度:120℃
時間:30秒
圧力:10MPa
【0056】
実施例10
軟質ポリウレタンスラブフォーム(密度:30kg/m3 、長さ200mm、幅100mm、厚さ7mm)に、NCO−1を含浸させて(含浸量:2.6g)、触媒1.6gを噴霧し、プレス成形機にて成形した。結果を表3に示す。
【0057】
実施例11、16、比較例3
NCO−1の代わりにNCO−2、7、10にする以外は、実施例10と同様にして成形した。結果を表3、4に示す。
【0058】
実施例12
軟質ポリウレタンフォームのリボンデッドフォーム(密度:80kg/m3 、長さ200mm、幅100mm、厚さ7mm)に、NCO−3を含浸させて(含浸量:2.6g)、水:触媒=9:1(質量比)の混合液1.6gを噴霧し、プレス成形機にて成形した。結果を表3に示す。
【0059】
実施例13、17、比較例4
NCO−3の代わりにNCO−4、8、11にする以外は、実施例12と同様にして成形した。結果を表3、4に示す。
【0060】
実施例14
軟質ポリウレタンフォームのリボンデッドフォーム(密度:50kg/m3 、長さ200mm、幅100mm、厚さ7mm)に、NCO−5を含浸させて(含浸量:2.6g)、水:触媒=9:1(質量比)の混合液1.6gを噴霧した後、フォームの上部及び下部に不織布を当てて、プレス成形機にて成形した。結果を表3に示す。
【0061】
実施例15、18
NCO−5の代わりにNCO−6、9にする以外は、実施例14と同様にして成形した。結果を表3、4に示す。
【0062】
【表3】
Figure 0003826395
【0063】
【表4】
Figure 0003826395
【0064】
表3、4において
・反応性:成形直後成形物のたわみ具合を目視で評価。
1:成形物からイソシアネートがしみ出している。
2:成形物が柔らかく大きくたわむ。
3:成形物に硬さはあるがたわむ。
4:成形物は硬くたわみも少ない。
5:成形物は硬くたわまない。
・成形性:成形後の成形物のらくがん性の有無で評価。
○:無、△:僅かにある、×:有
・外観:成形後成形物からのイソシアネートのしみ出しの有無で評価。
○:無、△:僅かにある、×:有
・初期硬度:成形後成形物を指で押し、つぶれ具合で評価。
5:つぶれない
4:ほとんどつぶれない
3:つぶれるが元に戻る
2:つぶれる
1:かたまっていない
・キュアー性:成形後、成形物にべたつきの有無で評価。
○:無、△:僅かにある、×:有

Claims (7)

  1. ポリイソシアネート(A)、整泡剤(B)、消泡剤(C)からなり、(A)がポリメリックMDIを含有することを特徴とする、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物。
  2. ポリイソシアネート(A)、整泡剤(B)、消泡剤(C)からなり、(A)がポリメリックMDIのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートを含有することを特徴とする、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物。
  3. ポリイソシアネート(A)、整泡剤(B)、消泡剤(C)からなり、(A)がポリメリックMDIと活性水素基含有化合物と反応させて得られたイソシアネート基末端プレポリマーを含有することを特徴とする、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物。
  4. ポリイソシアネート(A)、整泡剤(B)、消泡剤(C)からなり、(A)がポリメリックMDIのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートと活性水素基含有化合物と反応させて得られたイソシアネート基末端プレポリマーを含有することを特徴とする、自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物。
  5. ポリメリックMDI中のジフェニルメタンジイソシアネート含有量が1〜80質量%であり、かつ、ジフェニルメタンジイソシアネート中の4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート以外の異性体含有量が0.1〜70質量%であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物。
  6. 多孔質基材に請求項1〜5いずれかに記載の自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物を含浸させた後、触媒又は触媒と水を噴霧し、85〜150℃で10〜150秒間熱圧着することを特徴とする自動車用、船舶用内装材の製造方法。
  7. 多孔質基材に請求項1〜5いずれかに記載の自動車用、船舶用内装材用含浸剤組成物を含浸させ、触媒又は触媒と水を噴霧した後、基材の上面及び/又は下面に表皮材、裏面材、補強材から選択される基材を設置し、85〜150℃で10〜150秒間熱圧着することを特徴とする自動車用、船舶用内装材の製造方法。
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