JP2002145982A - 内装材用含浸剤組成物及び内装材の製造方法 - Google Patents

内装材用含浸剤組成物及び内装材の製造方法

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JP2002145982A
JP2002145982A JP2000340924A JP2000340924A JP2002145982A JP 2002145982 A JP2002145982 A JP 2002145982A JP 2000340924 A JP2000340924 A JP 2000340924A JP 2000340924 A JP2000340924 A JP 2000340924A JP 2002145982 A JP2002145982 A JP 2002145982A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高硬度で、生産性が良好な内装材が得られる
内装材用含浸剤組成物及び内装材の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 ポリイソシアネート(A)、整泡剤
(B)、消泡剤(C)からなり、(A)がジフェニルメ
タンジイソシアネートを含有するポリメチレンポリフェ
ニレンポリイソシアネート又はその誘導体を含有するこ
とを特徴とする内装材用含浸剤組成物、及び、多孔質基
材に前記内装材用含浸剤組成物を含浸させた後、触媒又
は触媒と水を噴霧し、85〜150℃で10〜150秒
間熱圧着することを特徴とする内装材の製造方法により
解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内装材用含浸剤組
成物及び内装材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】内装材としては、表皮材、裏面材、心
材、補強材、接着剤、含浸剤、その他合成樹脂等を用い
て製造している。例えば、特開平6−210786号公
報には、内装材料として、成形性を有する基材と、該基
材の両面又は片面に積層される繊維層と、該繊維層状に
貼付される表皮材とからなり、該繊維層は該基材の成形
温度よりも低い融点を有する熱可塑性繊維及び/又は熱
可塑性樹脂バインダーを含んでいることを特徴としてい
る。この公報では、基材としてポリウレタン発泡体にジ
イソシアネートを含浸させ、補強材としてガラス繊維を
用いている。また、特開平7−132573号公報では
内装材料として、起毛布等の基材にポリウレタンミクロ
ポーラス層、ポリウレタン接着層、ポリウレタン表皮層
等からなっている。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】しかし、従来のこの
ような方法で得られる内装材は、成形時間に長時間を要
するため生産性が低下したり、内装材の硬度が低い等の
問題点があるため、その改善が要望されいる。このよう
な性能を有する内装材用含浸剤組成物はこれまで得られ
ていなかった。
【0004】本発明者等は、従来の問題点を改善するた
め鋭意研究検討を重ねた結果、内装材用含浸剤組成物と
して、ポリイソシアネートと特定の添加剤からなる組成
物を使用することにより、上記問題点を改善できること
を見出し、本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ポリ
イソシアネート(A)、整泡剤(B)、消泡剤(C)か
らなり、(A)がポリメリックMDI又はその誘導体を
含有することを特徴とする、内装材用含浸剤組成物であ
る。
【0006】また、本発明は、多孔質基材に前記内装材
用含浸剤組成物を含浸させた後、触媒又は触媒と水を噴
霧し、85〜150℃で10〜150秒間熱圧着するこ
とを特徴とする内装材の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の内装材用含浸剤組成物に
用いられるポリイソシアネート(A)は、ポリメリック
MDI、ポリメリックMDIのイソシアヌレート変性ポ
リイソシアネート、前記ポリメリックMDI系ポリイソ
シアネートと活性水素基含有化合物と反応させて得られ
たイソシアネート基末端プレポリマーを含有するもので
ある。
【0008】本発明において「ポリメリックMDI」と
は、アニリンとホルマリンとの縮合反応によって得られ
る縮合混合物(ポリアミン)をホスゲン化等によりアミ
ノ基をイソシアネート基に転化することによって得られ
る、縮合度の異なる有機イソシアネート化合物の混合物
を意味し、縮合時の原料組成比や反応条件を変えること
によって、最終的に得られるポリメリックMDIの組成
を変えることができる。本発明に用いられるポリメリッ
クMDIは、イソシアネート基への転化後の反応液、又
は反応液から溶媒の除去、又は一部MDIを留出分離し
た缶出液、反応条件や分離条件等の異なった数種の混合
物であってもよい。また、イソシアネート基の一部をビ
ウレット、アロファネート、カルボジイミド、オキサゾ
リドン、アミド、イミド等に変性したものであってもよ
い。なお、ポリメリックMDIは、ベンゼン環及びイソ
シアネート基を各2個有するジフェニルメタンジイソシ
アネート(以下MDIと略称する)を含有することにな
る。
【0009】本発明に用いられるポリメリックMDI
は、MDI含有量が1〜80質量%であり、かつポリメ
リックMDI中のMDIにおいて、4,4′−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート(以後4,4′−MDIと略
称する)以外の異性体含有量は0.1〜70質量%であ
ることが好ましい。ポリメリックMDIのMDI含有量
が少なすぎる場合は含浸剤組成物の粘度が高くなり、取
り扱い性が低下しやすい。また、MDI含有量が多すぎ
る場合は、得られる内装材の強度が低下しやすい。MD
Iの4,4′−MDI以外の異性体含有量が少なすぎる
場合は、含浸剤組成物の冬期の貯蔵安定性が低下しやす
い。4,4′−MDI以外の異性体含有量が多すぎる場
合は、熱圧着時間が長くなり生産性が低下しやすい。な
お、ポリメリックMDIのMDI含有量やMDIの異性
体構成比はゲルパーミエーションクロマトグラフィーや
ガスクロマトグラフィーによって得られる各ピークの面
積百分率を基に検量線から求めることができる。
【0010】また、得られる内装材用含浸剤組成物の貯
蔵安定性と反応性の面から、用いるポリメリックMDI
の酸度は0.001〜0.2質量%が好ましく、更に好
ましくは0.003〜0.15質量%である。酸度が
0.001%未満の場合は、含浸剤組成物が貯蔵中に増
粘しやすく、0.2%を超えると熱圧着時間が長くなり
生産性が低下しやすい。
【0011】なお、「酸度」とは、室温でアルコールと
反応し遊離する酸成分を塩化水素に換算して示した値で
あり、JIS K1603(1985)によって測定さ
れる値である。
【0012】また、本発明に用いられるポリメリックM
DIの平均官能基数は2.3以上であり、好ましくは官
能基数が2.3〜3.1である。イソシアネート含量
は、28〜33質量%であり、好ましくは28.5〜3
2.5質量%である。
【0013】更に、前記ポリメリックMDIのイソシア
ヌレート変性ポリイソシアネートも用いることができ
る。
【0014】イソシアヌレート化は、ポリメリックMD
Iにイソシアヌレート化触媒及び助触媒を添加して、温
度を100℃以下、好ましくは20〜70℃で反応させ
ることで得られる。反応温度が100℃以上となると、
イソシアヌレート体の高分子体が生成しやすいため、相
溶性が低下したりゲル化したりすることがある。好適な
イソシアヌレート化触媒量及び反応温度を選択すること
により、イソシアヌレート化反応は逐次的に進行するた
め、従来の製造装置により容易に実施することができ
る。また、反応停止時のイソシアネート含量を調節する
ことによって、得られるイソシアヌレート環の含有量及
び粘度を自由に調節することができる。本発明に用いら
れるイソシアヌレート変性ポリイソシアネートは、イソ
シアヌレート化前の全イソシアネート基の20質量%以
下、好ましくは0.5〜10質量%をイソシアヌレート
基としたものが好ましい。
【0015】イソシアヌレート化反応の触媒としては、
2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノ
ール、N,N′,N″−トリス(ジメチルアミノプロピ
ル)ヘキサヒドロートリアジン、オクチル酸カリウムと
ジエチレングリコールの混合物、3級アミンとオクチル
酸カリウムとジエチレングリコールの混合物、カリウム
フェノラート、ナトリウムメトキシド等のフェノラー
ト、アルコラート、更に特に有効な2,4,6−トリス
(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4−ビス
(ジメミルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t
−ブチル−4−ジメチルアミノトリメチルシランフェノ
ール、トリエチルアミンジアザビシクロウンデセン、ナ
フテン酸鉛、オクテン酸鉛等が挙げられる。イソシアヌ
レート化触媒の使用量は、その触媒の活性度によって異
なるが、反応系の0.0001〜2質量%が好ましい。
【0016】イソシアヌレート化反応の助触媒として
は、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ
る。亜リン酸エステルとしては、亜リン酸ジエステルと
亜リン酸トリエステルを挙げることができる。亜リン酸
ジエステルの例としては、ジラウリルハイドロゲンホス
ファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等が挙
げられる。亜リン酸トリエステルの例としては、トリエ
チルホスファイト、トリプチルホスファイト、トリス
(β−クロロエチル)フォスフェート、トリス(β−ク
ロロプロピル)フォスフェート等が挙げられる。助触媒
の使用量は、反応系の0.0001〜10質量%が好ま
しい。
【0017】イソシアヌレート化反応を停止させるため
に、イソシアヌレート化停止剤を用いるのが好ましい。
この停止剤としては、酸性化合物を使用することができ
る。例えば、リン酸、リン酸ジメチル、リン酸トリメチ
ル、リン酸トリエチル、リン酸トリクレシル、リン酸ト
リフェニル、リン酸トリフチル、p−トルエンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸メチル、キシレンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、アルキル
ベンゼンスルホン酸、ジナフタレンモノスルホン酸、ジ
ナフタレンジスルホン酸、ジノニルナフタレンモノスル
ホン酸、ベンゾイルクロライド、アセチルクロライド等
及びこれらの類似化合物が挙げられる。イソシアヌレー
ト化の停止剤は、その触媒量に対して0.3〜5.0倍
当量を用いるのが好ましく、0.8〜3.0倍当量を用
いるのが更に好ましい。イソシアヌレート化の停止剤は
反応系に添加することにより、反応液が濁ることなく反
応生成物の安定化をはかるとができる。また、停止剤と
してリン酸を使用すると、内装材の難燃性を向上させる
ことができる。
【0018】本発明では、ポリメリックMDI及び/又
はイソシアヌレート変性ポリメリックMDIと活性水素
基含有化合物とを反応させて得られるイソシアネート基
末端プレポリマーを用いることができる。
【0019】イソシアネート基末端プレポリマーを得る
のに用いられる活性水素基含有化合物としては、低分子
モノオール類、低分子ポリオール類、低分子アミノアル
コール類、低分子モノアミン類、低分子ポリアミン類、
水酸基含有ポリエーテル類、水酸基含有ポリエステル
類、水酸基含有ポリカーボネート類等が挙げられる。活
性水素基含有化合物は、単独又は2種類以上併用するこ
とができる。
【0020】低分子モノオール類としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノ
ール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
【0021】低分子ポリオール類としては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジ
オール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオ
ール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,
4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノー
ル、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン
等が挙げられる。
【0022】低分子アミノアルコール類としては、モノ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノー
ルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジ
エタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−
n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノ
ールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミ
ン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン
等が挙げられる。
【0023】低分子モノアミン類としては、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、
ジブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン等が挙
げられる。
【0024】低分子ポリアミン類としては、テトラメチ
レンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジア
ミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′
−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタ
ン、ジエチルトリアミン、ジブチルトリアミン、ジプロ
ピレントリアミン等が挙げられる。
【0025】水酸基含有ポリエーテル類としては、低分
子モノオール類、低分子ポリオール類、低分子アミノア
ルコール類、低分子モノアミン類、低分子ポリアミン
類、フェノール、アルキル置換フェノール、ビスフェノ
ールA、チオールの単独又は混合物を開始剤として、エ
チレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオ
キサイド等のアルキレンオキサイド類、スチレンオキサ
イド等のエポキサイド類、テトラヒドロフラン等の環状
エーテル類等の単独又は併用し、公知の方法で付加重合
して得られるものが挙げられる。
【0026】水酸基含有ポリエステル類、水酸基含有ポ
リアミド−エステル類としては、前記低分子ポリオール
類、低分子アミノアルコール類、低分子ポリアミン類の
単独又は混合物と、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マ
レイン酸、フマル酸、o−フタル酸、i−フタル酸、t
−フタル酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸とを公
知の方法で重縮合して得られるものが挙げられる。
【0027】水酸基含有ポリカーボネート類としては、
前記低分子ポリオール類の単独又は混合物と、ジメチル
カーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカ
ーボネート、ジフェニルカーボネート等のジアリールカ
ーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボ
ネート等のアルキレンカーボネート、ホスゲン等とを公
知の方法で重縮合して得られるものが挙げられる。
【0028】これらの活性水素基含有化合物では、得ら
れるポリイソシアネートの粘度等を考慮するとポリオー
ルが好ましく、特に低分子ポリオールがもっとも好まし
い。
【0029】本発明では必要に応じて、前述のポリメリ
ックMDI系以外のポリイソシアネートを用いることが
でき、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4
−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネ
ート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、m−フ
ェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシア
ネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3
−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジン
ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ
ート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジ
フェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシア
ネート等が挙げられる。また、これらのポリメリック体
やこれらのイソシアネートと、前述の活性水素基含有化
合物とを反応させて得られるウレタン化物、ウレア化
物、アロファネート化物、ビウレット化物、カルボジイ
ミド化物、ウレトンイミン化物、ウレトジオン化物、イ
ソシアヌレート化物等が挙げられる。また、更にこれら
の2種以上の混合物が挙げられる。
【0030】本発明に用いられる整泡剤(B)は、耐熱
性のあるシリコーン系整泡剤が好ましく、例えば、日本
ユニカー製のL−5340、SZ−1642、ゴールド
シュミット製B−8451、東レダウコーニングシリコ
ーン製のSF−2964、同SF−2936F等を挙げ
られる。このような界面活性剤の使用量は、ポリイソシ
アネート組成物100質量部に対して0.0001〜5
質量%である。
【0031】本発明に用いられる消泡剤(C)は、耐熱
性のあるシリコーン系消泡剤が好ましく、例えば、信越
化学工業のKF−6001、KF−96、GE東芝シリ
コーンのTSF−451、TSF−4751等を挙げる
ことができる。このような消泡剤の使用量は、ポリイソ
シアネート組成物100質量部に対して0.0001〜
2質量%である。
【0032】本発明に用いられる整泡剤は、液の安定性
を向上させ−5℃以下の寒冷地においても結晶、沈殿物
等の発生がなく安定である。また系全体の相溶性を向上
させ、組成全体のバランスをとり、反応性を向上させ、
得られる内装材の寸法安定性、難燃性等の物性を向上さ
せることができる。また、消泡剤は、生産工程における
ポリイソシアネート組成物中の泡を消すことから、基材
へのより均一なポリイソシアネートの含浸が可能にな
り、得られる内装材の高強度化につながる。
【0033】また必要に応じて、本発明の内装材用含浸
剤組成物には、反応性調節のため触媒を添加しておくこ
とができる。この触媒としては、エステル交換触媒、ウ
レタン化触媒、ブロックイソシアネート解離触媒、イソ
シアヌレート化触媒等として一般的に知られているもの
を含み、具体的には、ジブチルチンジラウレート、スタ
ナスオクトエート等の錫系触媒、トリエチレンジアミ
ン、トリエチルアミン、N,N,N´,N´−テトラメ
チルプロピレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラ
キス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N
−メチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、
1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5、
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−
7(以下DBUと略称する)、これらアミン系触媒のボ
ラン塩、DBUフェノール塩、DBUオクチル酸塩、D
BU炭酸塩等の各種アミン塩系触媒、ナフテン酸マグネ
シウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、酢酸カリウム
等のカルボキシレート類、トリエチルホスフィン、トリ
ベンジルホスフィン等のトリアルキルホスフィン類、ナ
トリウムメトキシド等のアルコキシド類等が挙げられ
る。添加量は、内装材用含浸剤組成物に対して1質量%
以下が好ましい。
【0034】また、本発明の内装材用含浸剤組成物は、
必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、可
塑剤、顔料・染料、抗菌剤・抗カビ剤等の公知の各種添
加剤や助剤を添加することもできる。
【0035】本発明の内装材用含浸剤組成物は、含浸剤
として多孔質基材の強度を向上させる他、例えば表皮
材、裏面材、補強材等を用いる場合は、これらと多孔質
基材との間の界面における結合剤としての効果が追加さ
れる。また、フィラー等の充填剤を用いる場合は、これ
らの表面処理剤としての効果が追加される。すなわち、
内装材製造時において、表皮材、裏面材、補強材、充填
剤を併用する場合は、本発明の含浸剤を用いるだけでよ
く、更に結合剤や表面処理剤を使用する必要はない。
【0036】本発明の内装材の製造方法は、多孔質基材
に前述の内装材用含浸剤組成物を含浸させた後、必要に
応じて基材の上面及び/又は下面に表皮材、裏面材、補
強材から選択される基材を設置した後、触媒又は触媒と
水を噴霧し、85〜150℃で10〜150秒間熱圧着
するという方法である。
【0037】噴霧される触媒の使用量は、触媒単独の場
合は内装材用含浸剤組成物に対して1〜20質量%とな
る量が好ましい。水と触媒を併用する場合は内装材用含
浸剤組成物に対して2〜80質量%が好ましい。また、
水と触媒を併用する場合の水/触媒の質量比率は、1/
1〜15/1が好ましい。なお、触媒は前述のものが挙
げられる。
【0038】続いて、内装材用含浸剤組成物を含浸させ
た多孔質基材を熱圧着する。このときの条件は、温度:
85〜150℃、時間:10〜150秒が好ましく、特
に、温度:90〜140℃、時間:20〜120秒が好
ましい。なお、圧力は0.1〜10MPa、特に0.2
〜5MPaが好ましい。
【0039】なお、85℃未満の温度(例えば80℃)
で熱圧着した後は、更に30〜70℃で0.5〜48時
間熟成することによって、内装材を製造することができ
る。しかし、低温での熱圧着は、充分な熟成工程が必要
となり、生産性に劣るものであるため好ましくない。
【0040】本発明に用いられる多孔質基材は、含浸剤
組成物を含浸させ熱圧着することにより成形性を有する
ものであれば何でもよく、例えば、布、紙、フェルト、
ウール、綿、ガラス繊維、スチールウール、樹脂繊維、
硬質発泡プラスチック、軟質発泡プラスチック、軟質フ
ォームチップを用いたリボンデッドフォーム等が挙げら
れる。本発明において特に好ましい多孔質基材は、スラ
ブフォームのカット品やフォームチップを用いたリボン
デッドフォーム等の、密度が10〜200kg/m3
軟質系ポリウレタンフォームである。
【0041】本発明によって得られる内装材は、特に初
期硬度、全体の剛性に優れており、断熱性、軽量構造材
としての性能、吸音性等を有しているので、例えば自動
車用内装材、船舶用内装材等の分野に応用することがで
きる。
【0042】
【発明の効果】本発明の内装材用含浸剤組成物は、低粘
度であり、基材への浸透性が良く、低温や高温において
長期保存安定性に優れ、多孔性基材との親和性が良く、
内装材にした時、特に硬度、剛性に優れた内装材が得ら
れる。また、基材に軟質ポリウレタンフォームチップを
用いたリボンデッドフォームを採用することにより、環
境負荷の低減とコスト削減が可能となる。
【0043】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を説
明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるもので
はない。例における「%」は、断りのない限り「質量
%」である。
【0044】〔内装材用含浸剤組成物の製造〕 実施例1〜4、比較例2 攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応器
に、表1又は表2に示す原料を仕込んだ後、40℃で1
時間撹拌して、内装材用含浸剤組成物(NCO−1〜
4、11)を得た。
【0045】実施例5 実施例1と同様な反応器に、MDI(1)を300g仕
込み、45℃に加温した。次いで1,3−BDを6.3
g仕込み、60℃で2時間反応させた。反応後、P−M
DI(1)を400g、P−MDI(2)を200g、
MDI(2)を100g仕込み、40℃で1時間撹拌し
て、内装材用含浸剤組成物NCO−5を得た。
【0046】実施例6 攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応器
に、P−MDI(7)を200g仕込み、45℃に加温
した。次いでEDAを1.4g仕込み、60℃で2時間
反応させた。反応後、P−MDI(2)を450g、P
−MDI(6)を100g、MDI(1)を150g、
MDI(3)を100g仕込み、40℃で1時間撹拌し
て、内装材用含浸剤組成物NCO−6を得た。
【0047】実施例7 実施例1と同様な反応器に、P−MDI(8)を100
g仕込み、45℃に加温した。次いでK−54を0.2
g仕込んで60℃に加温し、イソシアヌレート化(三量
化)反応を開始した。イソシアネート含量が29.0%
になったところで、RA−600を0.13g仕込んで
反応を停止させて、イソシアヌレート変性ポリイソシア
ネートを得た。その後、P−MDI(4)を100g、
P−MDI(6)を550g、MDI(2)を250g
仕込み、40℃で1時間撹拌して、内装材用含浸剤組成
物NCO−7を得た。
【0048】実施例8 実施例1と同様な反応器に、P−MDI(8)を100
g仕込み、45℃に加温した。次いでK−54を0.2
g仕込んで60℃に加温し、イソシアヌレート化(三量
化)反応を開始した。イソシアネート含量が29.0%
になったところで、RA−600を0.13g仕込んで
反応を停止させて、イソシアヌレート変性ポリイソシア
ネートを得た。次いで、1,3−BDを2.1g仕込
み、60℃で2時間反応させた。その後、P−MDI
(4)を100g、P−MDI(6)を550g、MD
I(2)を250g仕込み、40℃で1時間撹拌して、
内装材用含浸剤組成物NCO−8を得た。
【0049】実施例9 実施例1と同様な反応器に、P−MDI(8)を100
g仕込み、45℃に加温した。次いでK−54を0.2
g仕込んで60℃に加温し、イソシアヌレート化(三量
化)反応を開始した。イソシアネート含量が29.0%
になったところで、RA−600を0.13g仕込んで
反応を停止させて、イソシアヌレート変性ポリイソシア
ネートを得た。次いで、EDAを0.7g仕込み、60
℃で2時間反応させた。その後、P−MDI(4)を1
00g、P−MDI(6)を550g、MDI(2)を
250g仕込み、40℃で1時間撹拌して、内装材用含
浸剤組成物NCO−9を得た。
【0050】比較例1 実施例1と同様な反応器に、MDI(1)を150g仕
込み、45℃に加温した。次いで1,3−BDを3.2
g仕込んで60℃で2時間反応させた。その後、P−M
DI(4)を500g、P−MDI(5)を250g、
MDI(2)を100g仕込み、40℃で1時間撹拌し
て、内装材用含浸剤組成物NCO−10を得た。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】実施例1〜9、比較例1、2、及び表1、
2において P−MDI(1) :ポリメリックMDI イソシアネート含量=31.0% MDI含有量=39% MDI中の4,4′−MDI含有量=98% 酸度=0.006% P−MDI(2) :ポリメリックMDI イソシアネート含量=31.5% MDI含有量=45% MDI中の4,4′−MDI含有量=87% 酸度=0.006% P−MDI(3) :ポリメリックMDI イソシアネート含量=31.0% MDI含有量=43% MDI中の4,4′−MDI含有量=96% 酸度=0.010% P−MDI(4) :ポリメリックMDI イソシアネート含量=29.5% MDI含有量=43% MDI中の4,4′−MDI含有量=95% 酸度=0.015% P−MDI(5) :ポリメリックMDI イソシアネート含量=31.0% MDI含有量=34% MDI中の4,4′−MDI含有量=75% 酸度=0.006% P−MDI(6) :ポリメリックMDI イソシアネート含量=30.1% MDI含有量=27% MDI中の4,4′−MDI含有量=99.5% 酸度=0.008% P−MDI(7) :ポリメリックMDI イソシアネート含量=30.2% MDI含有量=35% MDI中の4,4′−MDI含有量=86% 酸度=0.006% P−MDI(8) :ポリメリックMDI イソシアネート含量=31.0% MDI含有量=41% MDI中の4,4′−MDI含有量=98.5% 酸度=0.006% MDI(1) :ジフェニルメタンジイソシアネート MDI中の4,4′−MDI含有量=81% 酸度=0.006% MDI(2) :ジフェニルメタンジイソシアネート MDI中の4,4′−MDI含有量=70% 酸度=0.006% MDI(3) :ジフェニルメタンジイソシアネート MDI中の4,4′−MDI含有量=99% 酸度=0.006% 1,3−BD :1,3−ブタンジオール EDA :エチレンジアミン K−54 :イソシアヌレート化触媒 2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール エアプロダクツアンドケミカル製 RA−600 :イソシアヌレート化停止剤 酸性リン酸エステル、東邦化学工業製 SZ−1642 :シリコン系整泡剤、日本ユニカー製 B−8451 :シリコン系整泡剤、ゴールドシュミット製 L−5340 :シリコン系整泡剤、日本ユニカー製 TSF−451 :シリコン系消泡剤、GE東芝シリコーン製 KF−96 :シリコン系消泡剤、信越化学工業製 TSF−4751 :シリコン系消泡剤、GE東芝シリコーン製 KF−6001 :シリコン系消泡剤、信越化学工業製 DBTDL :ジブチルチンジラウレート U−CAT SA1:DBUのフェノ−ル塩、エアプロダクツアンドケミカル製
【0054】〔内装材用含浸剤組成物の貯蔵安定性〕得
られた内装材用含浸剤組成物を30℃、−5℃にて1ヶ
月保管したところ、実施例1〜9、比較例1、2で得ら
れた全ての内装材用含浸剤組成物の外観、粘度は変化が
見られず、良好な結果であった。
【0055】〔内装材の製造〕内装材製造時に噴霧する
触媒には、TEDA L−33(トリエチレンジアミン
のジエチレングリコール溶液、エアプロダクツアンドケ
ミカル製)を用いた。なお、プレス成形条件は以下の通
り。 温度:120℃ 時間:30秒 圧力:10MPa
【0056】実施例10 軟質ポリウレタンスラブフォーム(密度:30kg/m
3 、長さ200mm、幅100mm、厚さ7mm)に、
NCO−1を含浸させて(含浸量:2.6g)、触媒
1.6gを噴霧し、プレス成形機にて成形した。結果を
表3に示す。
【0057】実施例11、16、比較例3 NCO−1の代わりにNCO−2、7、10にする以外
は、実施例10と同様にして成形した。結果を表3、4
に示す。
【0058】実施例12 軟質ポリウレタンフォームのリボンデッドフォーム(密
度:80kg/m3 、長さ200mm、幅100mm、
厚さ7mm)に、NCO−3を含浸させて(含浸量:
2.6g)、水:触媒=9:1(質量比)の混合液1.
6gを噴霧し、プレス成形機にて成形した。結果を表3
に示す。
【0059】実施例13、17、比較例4 NCO−3の代わりにNCO−4、8、11にする以外
は、実施例12と同様にして成形した。結果を表3、4
に示す。
【0060】実施例14 軟質ポリウレタンフォームのリボンデッドフォーム(密
度:50kg/m3 、長さ200mm、幅100mm、
厚さ7mm)に、NCO−5を含浸させて(含浸量:
2.6g)、水:触媒=9:1(質量比)の混合液1.
6gを噴霧した後、フォームの上部及び下部に不織布を
当てて、プレス成形機にて成形した。結果を表3に示
す。
【0061】実施例15、18 NCO−5の代わりにNCO−6、9にする以外は、実
施例14と同様にして成形した。結果を表3、4に示
す。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】表3、4において ・反応性:成形直後成形物のたわみ具合を目視で評価。 1:成形物からイソシアネートがしみ出している。 2:成形物が柔らかく大きくたわむ。 3:成形物に硬さはあるがたわむ。 4:成形物は硬くたわみも少ない。 5:成形物は硬くたわまない。 ・成形性:成形後の成形物のらくがん性の有無で評価。 ○:無、△:僅かにある、×:有 ・外観:成形後成形物からのイソシアネートのしみ出し
の有無で評価。 ○:無、△:僅かにある、×:有 ・初期硬度:成形後成形物を指で押し、つぶれ具合で評
価。 5:つぶれない 4:ほとんどつぶれない 3:つぶれるが元に戻る 2:つぶれる 1:かたまっていない ・キュアー性:成形後、成形物にべたつきの有無で評
価。 ○:無、△:僅かにある、×:有
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:04 B29K 105:04 B29L 31:58 B29L 31:58 Fターム(参考) 4F204 AA42 AB02 AH26 EA01 EB01 EB13 EF02 EF27 EK24 EW06 4J034 CA02 CA03 CA04 CA05 CA13 CA15 CC03 CE01 DA01 DF02 DF15 DF16 DF20 DF22 DG03 DG04 DG05 DG14 HA01 HA02 HA07 HB06 HB07 HB08 HC12 HC34 HC35 HC64 HC67 HC71 JA42 NA01 NA03 NA05 QC01 QC03 RA12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイソシアネート(A)、整泡剤
    (B)、消泡剤(C)からなり、(A)がポリメリック
    MDIを含有することを特徴とする、内装材用含浸剤組
    成物。
  2. 【請求項2】 ポリイソシアネート(A)、整泡剤
    (B)、消泡剤(C)からなり、(A)がポリメリック
    MDIのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートを含
    有することを特徴とする、内装材用含浸剤組成物。
  3. 【請求項3】 ポリイソシアネート(A)、整泡剤
    (B)、消泡剤(C)からなり、(A)がポリメリック
    MDIと活性水素基含有化合物と反応させて得られたイ
    ソシアネート基末端プレポリマーを含有することを特徴
    とする、内装材用含浸剤組成物。
  4. 【請求項4】 ポリイソシアネート(A)、整泡剤
    (B)、消泡剤(C)からなり、(A)がポリメリック
    MDIのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートと活
    性水素基含有化合物と反応させて得られたイソシアネー
    ト基末端プレポリマーを含有することを特徴とする、内
    装材用含浸剤組成物。
  5. 【請求項5】 ポリメリックMDI中のジフェニルメタ
    ンジイソシアネート含有量が1〜80質量%であり、か
    つ、ジフェニルメタンジイソシアネート中の4,4′−
    ジフェニルメタンジイソシアネート以外の異性体含有量
    が0.1〜70質量%であることを特徴とする、請求項
    1から4のいずれかに記載の内装材用含浸剤組成物。
  6. 【請求項6】 多孔質基材に請求項1〜5いずれかに記
    載の内装材用含浸剤組成物を含浸させた後、触媒又は触
    媒と水を噴霧し、85〜150℃で10〜150秒間熱
    圧着することを特徴とする内装材の製造方法。
  7. 【請求項7】 多孔質基材に請求項1〜5いずれかに記
    載の内装材用含浸剤組成物を含浸させ、触媒又は触媒と
    水を噴霧した後、基材の上面及び/又は下面に表皮材、
    裏面材、補強材から選択される基材を設置し、85〜1
    50℃で10〜150秒間熱圧着することを特徴とする
    内装材の製造方法。
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