JP6889409B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本開示は非水電解質二次電池に関する。
特開2014−075335号公報は、正極集電体および正極活物質層の間に、該正極集電体よりも抵抗が高い層を配置することを開示している。
特開2014−075335号公報
正極集電体および正極活物質層の間に、該正極集電体よりも抵抗が高い層が配置されていることにより、釘刺し試験時の発熱が小さくなることが期待される。釘が電池を貫通する際に、低抵抗の正極集電体(例えばアルミニウム箔等)が負極(対極)と直接接触することが抑制されるためと考えられる。以下本明細書では当該層が中間層と記される。中間層は電池容量に寄与しない。したがって中間層は薄いことが望まれる。
一般に無機粒子群、バインダおよび有機溶媒を含むスラリーが正極集電体の表面に塗布され、乾燥されることにより、中間層が形成される。さらに正極活物質、バインダおよび有機溶媒を含むスラリーが中間層の表面に塗布され、乾燥されることにより、正極活物質層が形成される。
正極活物質層の形成時、正極活物質層となるべきスラリーに含まれる有機溶媒と、中間層に含まれるバインダとが接触することにより、中間層が膨潤すると考えられる。中間層に含まれるバインダが有機溶媒に可溶であるためと考えられる。中間層の膨潤により、中間層がスプリングバックするため、薄い中間層を形成することが困難になると考えられる。さらに中間層と正極活物質層との界面で両者が混ざり合うことにより、中間層の抵抗が低下する可能性もある。
中間層の膨潤により、中間層が正極集電体から剥離しやすくなる可能性もある。これにより釘が正極を貫通する際の衝撃により、中間層が正極集電体から剥離し、発熱抑制効果が小さくなる可能性がある。
中間層の膨潤により、無機粒子群が疎らとなり、例えばスジ、ピンホール等の欠陥が発生する可能性もある。欠陥の発生により、発熱抑制効果が小さくなる可能性もある。
本開示の目的は釘刺し試験時の発熱を抑制することである。
以下本開示の技術的構成および作用効果が説明される。ただし本開示の作用メカニズムは推定を含んでいる。作用メカニズムの正否により特許請求の範囲が限定されるべきではない。
本開示の非水電解質二次電池は正極、負極および非水電解質を少なくとも含む。正極は正極集電体、中間層および正極活物質層を少なくとも含む。中間層は正極集電体および正極活物質層の間に配置されている。中間層は0.8μm以上1.5μm以下の厚さを有する。中間層は無機粒子群および第1バインダを少なくとも含む。無機粒子群は0.85μm以下のD50を有する。無機粒子群は1.48μm以下のD90を有する。無機粒子群は6m2/g以下のBET比表面積を有する。正極活物質層は正極活物質および第2バインダを少なくとも含む。第1バインダは有機溶媒に不溶である。かつ第2バインダは有機溶媒に可溶である。
本開示の非水電解質二次電池では、中間層に含まれる第1バインダが有機溶媒に不溶であり、かつ正極活物質層に含まれる第2バインダが有機溶媒に可溶である。したがって中間層の形成後、有機溶媒を含むスラリー(正極活物質層となるべきスラリー)を中間層の表面に塗布しても、中間層の膨潤が抑制されると考えられる。これにより本開示の中間層は0.8μm以上1.5μm以下の薄層となり得る。
中間層の厚さが0.8μm未満であると、所望の抵抗が得られない可能性がある。中間層が厚い程、発熱抑制効果は大きくなる傾向がある。本開示ではエネルギー密度の観点から、中間層の厚さの上限が1.5μmとされる。
中間層に含まれる無機粒子群は6m2/g以下のBET比表面積を有する。これにより無機粒子群の表面積に対する、第1バインダの量が好適となり、中間層が正極集電体から剥離し難くなることが期待される。剥離の起こり難さは例えばタッキング強度(後述)により表され得る。
さらに中間層に含まれる無機粒子群は特定の粒度分布を有する。すなわち無機粒子群は0.85μm以下のD50を有し、かつ1.48μm以下のD90を有する。メカニズムの詳細は不明ながら、該粒度分布により無機粒子群の充填性が向上する傾向がある。無機粒子群の充填性が向上することにより、中間層が均一かつ緻密になり、欠陥(例えばスジ等)の発生が抑制されることが期待される。その結果、中間層は所望の抵抗を有し得ると考えられる。
以上の作用の相乗により、本開示の非水電解質二次電池では、釘刺し試験時の発熱が抑制されることが期待される。
図1は本実施形態の非水電解質二次電池の構成の一例を示す第1概略図である。 図2は本実施形態の非水電解質二次電池の構成の一例を示す第2概略図である。 図3は本実施形態の正極の構成を示す断面概念図である。
以下本開示の実施形態(本明細書では「本実施形態」とも記される)が説明される。ただし以下の説明は特許請求の範囲を限定するものではない。例えば以下、主にリチウムイオン二次電池が説明される。ただしリチウムイオン二次電池は本実施形態の非水電解質二次電池の一例に過ぎない。本実施形態の非水電解質二次電池は非水電解質を含む限り、リチウムイオン二次電池に限定されるべきではない。本実施形態の非水電解質二次電池は例えばナトリウムイオン二次電池等であってもよい。以下非水電解質二次電池が「電池」と略記され得る。
<非水電解質二次電池>
図1は本実施形態の非水電解質二次電池の構成の一例を示す第1概略図である。
電池100はリチウムイオン二次電池である。電池100はケース90を含む。ケース90はアルミラミネートフィルム製のパウチである。すなわち電池100はラミネート電池である。ただしケース90は金属製であってもよい。電池100は角形電池、円筒形電池等であってもよい。ケース90は密閉されている。正極タブ81および負極タブ82はケース90の内外を連通している。
図2は本実施形態の非水電解質二次電池の構成の一例を示す第2概略図である。
ケース90は電極群50および非水電解質(不図示)を収納している。電極群50は積層(スタック)型である。電極群50は正極10および負極20が交互にそれぞれ1枚以上積層されることにより形成されている。すなわち電池100は正極10、負極20および非水電解質を少なくとも含む。正極10および負極20の各間にはセパレータ30がそれぞれ配置されている。正極10の各々は正極タブ81と電気的に接続されている。負極20の各々は負極タブ82と電気的に接続されている。
電極群50は巻回型であってもよい。すなわち電極群50は正極10、セパレータ30および負極20がこの順序で積層され、さらにこれらが渦巻状に巻回されることにより形成されていてもよい。
<正極>
図3は本実施形態の正極の構成を示す断面概念図である。
正極10はシート状である。正極10は正極集電体11、中間層12および正極活物質層13を少なくとも含む。中間層12および正極活物質層13の各々は、正極集電体11の表裏両面に形成されていてもよい。正極集電体11は例えばアルミニウム(Al)箔等であってもよい。正極集電体11は例えば5μm以上50μm以下の厚さを有してもよい。
《中間層》
中間層12は正極集電体11および正極活物質層13の間に配置されている。中間層12は無機粒子群1およびバインダ(不図示)を少なくとも含む。中間層12は例えば導電材をさらに含んでもよい。例えば無機粒子群1、バインダおよび水を含むスラリーが正極集電体11の表面に塗布され、乾燥されることにより形成され得る。
(厚さ)
中間層12は0.8μm以上1.5μm以下の厚さを有する。中間層12の厚さは、中間層12の断面電子顕微鏡(SEM)画像において測定される。厚さ測定用の断面試料は、中間層12の厚さ方向(図3のy軸方向)と実質的に平行な断面とされる。実質的に平行とは厚さ方向とのなす角が0度以上5度以下であることを示す。厚さは少なくとも5個所で測定される。少なくとも5個所の算術平均が採用される。中間層12は例えば0.8μm以上1μm以下の厚さを有してもよい。
(無機粒子群)
無機粒子群1は無機粒子の集合体(粉体)である。無機粒子は電気絶縁性である。無機粒子は例えばチタニア(TiO2)、水酸化マグネシウム〔Mg(OH)2〕、ベーマイト(AlOOH)、アルミナ(Al23)、マグネシア(MgO)、ジルコニア(ZrO2)等であってもよい。無機粒子群1に1種の無機粒子が単独で含まれてもよい。無機粒子群1に2種以上の無機粒子が含まれてもよい。例えば無機粒子群1に、チタニア、水酸化マグネシウムおよびベーマイトからなる群より選択される少なくとも1種が含まれてもよい。
(粒度分布)
無機粒子群1は特定の粒度分布を有する。粒度分布は体積基準である。粒度分布はレーザ回折式粒度分布測定装置により測定される。無機粒子群1は0.85μm以下のD50を有する。「D50」は粒度分布において微粒側からの積算粒子体積が全粒子体積の50%になる粒径を示す。D50が0.85μm以下であることにより、スジ等の欠陥の発生が抑制され得る。無機粒子群1は例えば0.82以下のD50を有してもよい。無機粒子群1は例えば0.47以上のD50を有してもよい。
無機粒子群1は1.48μm以下のD90を有する。「D90」は粒度分布において微粒側からの積算粒子体積が全粒子体積の90%になる粒径を示す。D90が1.48μm以下であることにより、スジ等の欠陥の発生が抑制され得る。無機粒子群1は例えば1.39μm以下のD90を有してもよい。無機粒子群1は例えば1.3μm以上のD90を有してもよい。
無機粒子群1は例えば0.47μm以下のD10を有してもよい。「D10」は粒度分布において微粒側からの積算粒子体積が全粒子体積の10%になる粒径を示す。無機粒子群1は例えば0.46μm以下のD10を有してもよい。無機粒子群1は例えば0.37μm以下のD10を有してもよい。無機粒子群1は例えば0.11μm以上のD10を有してもよい。
(BET比表面積)
無機粒子群1は6m2/g以下のBET比表面積を有する。BET比表面積が6m2/g以下であることにより、中間層12が正極集電体11から剥離し難くなることが期待される。「BET比表面積」は、窒素ガスの吸脱着測定により得られる吸脱着等温線がBET(Brenauer−Emmet−Telle)多点法により解析されることにより算出される。吸脱着測定には一般的な比表面積測定装置が使用され得る。BET比表面積は少なくとも3回測定される。少なくとも3回の算術平均が採用される。無機粒子群1は例えば5.9m2/g以下のBET比表面積を有してもよい。無機粒子群1は例えば4.5m2/g以上のBET比表面積を有してもよい。
(タッキング強度)
中間層12は例えば4.1kgf/cm2以上のタッキング強度を有してもよい。タッキング強度が高い程、釘が正極10を貫通する際に中間層12の剥離が抑制される傾向がある。タッキング強度はプローブタック試験により測定される。測定には例えばレスカ社製のタッキング試験機、またはこれと同等の試験機が使用され得る。測定条件は次のとおりである。
測定環境:室温(20℃±5℃)
圧縮速度:30mm/分
引き離し速度:30mm/分
プリロード:400gf
圧縮時間:10秒
中間層12は例えば5.5kgf/cm2以上のタッキング強度を有してもよい。中間層12は例えば6.5kgf/cm2以下のタッキング強度を有してもよい。
(第1バインダ)
第1バインダは無機粒子同士を結着する。第1バインダは無機粒子群1および正極集電体11を結着する。第1バインダは有機溶媒に不溶である。有機溶媒は例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等であってもよい。第1バインダは例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)およびアクリルバインダからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。メカニズムの詳細は不明ながら、第1バインダがCMC単独であると、発熱抑制効果が大きくなる傾向がある。
アクリルバインダは例えばメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルまたはアクリロニトリルの単独重合体であってもよい。アクリルバインダは、例えばメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびアクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも1種と、その他の単量体(例えばビニル単量体等)との共重合体であってもよい。第1バインダの含量は100質量部の無機粒子群1に対して、例えば0.5質量部以上5質量部以下であってもよい。
(導電材)
中間層12は導電材をさらに含んでもよい。導電材は電子伝導性である。導電材は中間層12に適度な導電性を付与する。導電材は例えばカーボンブラック(例えばアセチレンブラック等)、黒鉛、グラフェンフレーク、炭素短繊維等であってもよい。中間層12に1種の導電材が単独で含まれてもよい。中間層12に2種以上の導電材が含まれてもよい。導電材の含量は100質量部の無機粒子群1に対して、例えば0.5質量部以上5質量部以下であってもよい。
《正極活物質層》
正極活物質層13は中間層12の表面に形成されている。正極活物質層13は例えば10μm以上200μm以下の厚さを有してもよい。正極活物質層13は正極活物質および第2バインダを少なくとも含む。正極活物質層13は例えば3g/cm3以上4g/cm3以下の密度を有してもよい。正極活物質層13は例えば3.5g/cm3以上4g/cm3以下の密度を有してもよい。
(正極活物質)
正極活物質は電荷担体を吸蔵し、放出する。本実施形態の電荷担体はリチウム(Li)イオンである。正極活物質は典型的には粒子群である。正極活物質は例えば1μm以上30μm以下のD50を有してもよい。正極活物質は特に限定されるべきではない。正極活物質は例えばコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(例えばLiMnO2、LiMn24等)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/32等)、ニッケルコバルトアルミン酸リチウム(例えばLiNi0.82Co0.15Al0.032等)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)等であってもよい。正極活物質層13に1種の正極活物質が単独で含まれてもよい。正極活物質層13に2種以上の正極活物質が含まれてもよい。
(第2バインダ)
第2バインダは正極活物質(粒子)同士を結着する。第2バインダは正極活物質層13および中間層12を結着する。第2バインダは有機溶媒に可溶である。第2バインダは例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロペン共重合体(PVdF−HFP)等であってもよい。正極活物質層13に1種の第2バインダが単独で含まれてもよい。正極活物質層13に2種以上の第2バインダが含まれてもよい。第2バインダの含量は100質量部の正極活物質に対して、例えば0.1質量部以上10質量部以下であってもよい。
(導電材)
正極活物質層13は導電材をさらに含んでもよい。導電材は、例えば中間層12に含まれ得る導電材として例示された材料であってもよい。導電材の含量は100質量部の正極活物質に対して、例えば0.1質量部以上10質量部以下であってもよい。
<負極>
負極20はシート状である。負極20は負極集電体および負極活物質層を少なくとも含む。負極活物質層は負極集電体の表裏両面に形成されていてもよい。負極集電体は例えば銅(Cu)箔等であってもよい。負極集電体は例えば5μm以上50μm以下の厚さを有してもよい。
負極活物質層は負極集電体の表面に形成されている。負極活物質層は例えば10μm以上200μm以下の厚さを有してもよい。負極活物質層は負極活物質を少なくとも含む。負極活物質層はバインダをさらに含んでもよい。
負極活物質は典型的には粒子群である。負極活物質は例えば1μm以上30μm以下のD50を有してもよい。負極活物質はLiイオンを吸蔵し、放出する。負極活物質は特に限定されるべきではない。負極活物質は例えば黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、珪素、酸化珪素、珪素基合金、錫、酸化錫、錫基合金、チタン酸リチウム等であってもよい。負極活物質層に1種の負極活物質が単独で含まれてもよい。負極活物質層に2種以上の負極活物質が含まれてもよい。
バインダは負極活物質(粒子)同士を結着する。バインダは負極活物質および負極集電体を結着する。バインダも特に限定されるべきではない。バインダは例えばCMCおよびスチレンブタジエンゴム(SBR)等であってもよい。バインダの含量は100質量部の負極活物質に対して、例えば0.1質量部以上10質量部以下であってもよい。
<セパレータ>
セパレータ30は電気絶縁性である。セパレータ30は正極10および負極20の間に配置されている。正極10および負極20はセパレータ30によって互いに隔離されている。セパレータ30は多孔質膜である。セパレータ30は例えば10μm以上30μm以下の厚さを有してもよい。セパレータ30は例えばポリオレフィン製の多孔質膜等であってもよい。
セパレータ30は単層構造を有してもよい。セパレータ30は例えばポリエチレン(PE)製の多孔質膜のみから形成されていてもよい。セパレータ30は多層構造(例えば3層構造等)を有してもよい。セパレータ30は例えばポリプロピレン(PP)製の多孔質膜、PE製の多孔質膜およびPP製の多孔質膜がこの順序で積層されることにより形成されていてもよい。セパレータ30はその表面に耐熱膜を含んでもよい。耐熱膜は耐熱材料を含む。耐熱材料は例えばベーマイト等であってもよい。
<非水電解質>
非水電解質は例えば電解液であってもよい。非水電解質は例えばゲル電解質であってもよい。非水電解質は例えば固体電解質であってもよい。本明細書では一例として電解液が説明される。
電解液は支持塩および溶媒を少なくとも含む。電解液は例えば0.5mоl/L以上2mоl/L以下(0.5M以上2M以下)の支持塩を含んでもよい。支持塩は溶媒に溶解している。支持塩は、例えばLiPF6、LiBF4、Li[N(FSO22]、Li[N(CF3SO22]等であってもよい。電解液に1種の支持塩が単独で含まれてもよい。電解液に2種以上の支持塩が含まれてもよい。
溶媒は非プロトン性である。溶媒は例えば環状カーボネートおよび鎖状カーボネートの混合物であってもよい。混合比は例えば「環状カーボネート:鎖状カーボネート=1:9〜5:5(体積比)」であってもよい。
環状カーボネートは、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等であってもよい。溶媒に1種の環状カーボネートが単独で含まれてもよい。溶媒に2種以上の環状カーボネートが含まれてもよい。
鎖状カーボネートは、例えばジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等であってもよい。溶媒に1種の鎖状カーボネートが単独で含まれてもよい。溶媒に2種以上の鎖状カーボネートが含まれてもよい。
溶媒は、例えばラクトン、環状エーテル、鎖状エーテル、カルボン酸エステル等を含んでもよい。ラクトンは、例えばγ−ブチロラクトン(GBL)、δ−バレロラクトン等であってもよい。環状エーテルは、例えばテトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等であってもよい。鎖状エーテルは、1,2−ジメトキシエタン(DME)等であってもよい。カルボン酸エステルは、例えばメチルホルメート(MF)、メチルアセテート(MA)、メチルプロピオネート(MP)等であってもよい。
電解液は支持塩および溶媒に加えて、各種の添加剤をさらに含んでもよい。電解液は例えば1質量%以上5質量%以下の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えばガス発生剤(過充電添加剤)、SEI(solid electrolyte interface)膜形成剤等が挙げられる。ガス発生剤は、例えばシクロヘキシルベンゼン(CHB)、ビフェニル(BP)等であってもよい。SEI膜形成剤は、例えばビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、Li[B(C242]、LiPO22、プロパンサルトン(PS)、エチレンサルファイト(ES)等であってもよい。
以下本開示の実施例が説明される。ただし以下の説明は特許請求の範囲を限定するものではない。
<非水電解質二次電池の製造>
《実施例1》
以下の材料が準備された。
無機粒子群1:チタニア(D10=0.11μm、D50=0.47μm、D90=1.39μm)
導電材:アセチレンブラック
第1バインダ:CMCおよびアクリルバインダ
正極集電体11:Al箔(厚さ 15μm)
メディアレス分散機により、無機粒子群1、導電材、第1バインダおよび水が混合されることにより第1スラリーが調製された。固形分の混合比は「無機粒子群:導電材:第1バインダ=95.5:3:1.5(質量比)」である。第1バインダの混合比は「CMC:アクリルバインダ=0.5:1(質量比)」である。第1スラリーの固形分比率は40質量%である。
グラビア塗布機により、第1スラリーが正極集電体11の表面に塗布され、乾燥されることにより中間層12が形成された。
以下の材料が準備された。
正極活物質:ニッケルコバルトマンガン酸リチウム
導電材:アセチレンブラック
第2バインダ:PVdF
有機溶媒:NMP
正極活物質、導電材、第2バインダおよび有機溶媒が混合されることにより、第2スラリーが調製された。固形分の混合比は「正極活物質:導電材:第2バインダ=98:1:1(質量比)」である。第2スラリーが中間層12の表面に塗布され、乾燥されることにより、正極活物質層13が形成された。圧延ローラにより正極活物質層13が圧縮された。圧縮後の正極活物質層13の密度は3.7g/cm3である。以上より正極10が製造された。
負極20が製造された。負極20の構成は次のとおりである。
負極活物質:黒鉛
バインダ:CMCおよびSBR
混合比:「黒鉛:CMC:SBR=98:1:1(質量比)」
セパレータ30が準備された。正極10および負極20が交互にそれぞれ1枚以上積層されることにより、電極群50が形成された。正極10および負極20の各間にはセパレータ30がそれぞれ配置されている。電極群50がケース90に収納された。ケース90はアルミラミネートフィルム製のパウチである。
非水電解質として電解液が準備された。電解液は以下の成分を含む。
支持塩:LiPF6(1mоl/L)
溶媒:「EC:DMC:EMC=3:4:3(体積比)」
電解液がケース90に注入された。ケース90が密閉された。以上より電池100(非水電解質二次電池)が製造された。電池100の設計容量は1Ahである。
《実施例2〜6および比較例1〜8》
下記表1に示されるように中間層12の構成が変更されることを除いては、実施例1と同様に電池100がそれぞれ製造された。
<評価>
1.無機粒子群の粒度分布
無機粒子群1の粒度分布(D10、D50およびD90)がマイクロトラック社製のレーザ回折式粒度分布測定装置により測定された。粒度分布は体積基準である。測定結果は下記表1に示される。
2.無機粒子群のBET比表面積
無機粒子群1のBET比表面積がマウンテック社製の比表面積測定装置(製品名「Macsorb」)により測定された。測定結果は下記表1に示される。
3.中間層の厚さ
正極10から断面試料が採取された。SEMによって断面試料が観察されることにより、中間層12の厚さが測定された。測定結果は下記表1に示される。
4.タッキング強度
レスカ社製のタッキング試験機により、中間層12のタッキング強度が測定された。測定条件は前述のとおりである。測定結果は下記表1に示される。
5.欠陥個数
中間層12の形成後(正極活物質層13の形成前)、中間層12の表面において150mm×150mmの矩形領域が選択された。該矩形領域内において、目視により1mm以上の幅を有するスジ(スジ状の塗布欠陥)の個数が測定された。測定結果は下記表1に示される。
6.釘刺し試験時の到達温度
25℃の温度環境において、1/3Cの一定電流により、電池100が4.2Vまで充電された。その後4.2Vの一定電圧において、電流が1/20Cに減衰するまで充電が行われた。なお「1C」の電流では電池100の設計容量が1時間で放電される。
充電後、65℃の温度環境において、電池100の中央部に釘が刺し込まれた。釘は3mmの胴部径を有する。釘の刺し込み速度は10mm/秒である。中央部から10mm離れた位置において電池100の表面温度が測定された。表面温度の最高温度が測定された。測定結果は下記表1に示される。最高温度が低い程、釘刺し試験時の発熱が抑制されていると考えられる。
Figure 0006889409
<結果>
上記表1に示されるように中間層12が下記条件(1)〜(5)を満たす実施例は、下記条件(1)〜(5)のうちいずれか1つ以上を満たさない比較例に比して、最高温度が低い傾向が認められる。
(1)D50が0.85μm以下である。
(2)D90が1.48μm以下である。
(3)BET比表面積が6m2/g以下である。
(4)中間層12の厚さが0.8μm以上1.5μm以下である。
(5)第1バインダが有機溶媒に不溶であり、かつ第2バインダが有機溶媒に可溶である。
比較例1および6は最高温度が高い。中間層12に欠陥(スジ)が多いためと考えられる。比較例1および6ではD90が1.48μmを超えている。そのため中間層12からはみ出す無機粒子が多くなり、欠陥が増加していると考えられる。
比較例2および6は最高温度が高い。中間層12に欠陥が多いためと考えられる。比較例2ではD50が0.85を超えている。そのため中間層12からはみ出す無機粒子が多くなり、欠陥が増加していると考えられる。
比較例3および4は最高温度が高い。中間層12が剥離しやすいためと考えられる。比較例3および4ではBET比表面積が6m2/gを超えている。そのため無機粒子群1の表面積に対して第1バインダが不足し、タッキング強度が低下していると考えられる。
比較例5は最高温度が高い。比較例5では中間層12の厚さが0.8μm未満である。そのため中間層12の抵抗が低下していると考えられる。
比較例7および8は最高温度が高い。比較例7および8では第1バインダが有機溶媒に可溶である。そのため正極活物質層13の形成時に中間層12が膨潤し、正極活物質層13と中間層12との界面で両者が混ざり合うことにより、中間層12の抵抗が低下していると考えられる。
実施例1、実施例4および実施例5の結果から、中間層12が厚くなる程、最高温度が低下する傾向が認められる。
実施例1〜3の結果からBET比表面積が小さくなる程、最高温度が低下する傾向が認められる。
実施例1および6の結果から、第1バインダがCMC単独であることにより、最高温度が低下する傾向が認められる。このメカニズムの詳細は現時点では不明である。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。特許請求の範囲の記載によって確定される技術的範囲は特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
1 無機粒子群、10 正極、11 正極集電体、12 中間層、13 正極活物質層、20 負極、30 セパレータ、50 電極群、81 正極タブ、82 負極タブ、90 ケース、100 電池(非水電解質二次電池)。

Claims (1)

  1. 正極、負極および非水電解質を少なくとも含み、
    前記正極は正極集電体、中間層および正極活物質層を少なくとも含み、
    前記中間層は前記正極集電体および前記正極活物質層の間に配置されており、
    前記中間層は0.8μm以上1.5μm以下の厚さを有し、
    前記中間層は、100質量部の無機粒子群と、0.5質量部以上5質量部以下の第1バインダを少なくとも含み、
    前記無機粒子群は電気絶縁性であり、
    前記無機粒子群は0.85μm以下のD50を有し、
    前記無機粒子群は1.48μm以下のD90を有し、
    前記無機粒子群は6m2/g以下のBET比表面積を有し、
    前記正極活物質層は正極活物質および第2バインダを少なくとも含み、
    前記第1バインダはカルボキシメチルセルロースおよびアクリルバインダからなる群より選択される少なくとも1種であり、かつ
    前記第2バインダはポリフッ化ビニリデンおよびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロペン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記無機粒子群は、チタニア、水酸化マグネシウム、ベーマイト、アルミナ、マグネシアおよびジルコニアからなる群より選択される少なくとも1種を含む、
    非水電解質二次電池。
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