JP2015117341A - 熱伝導性感圧接着性積層シートの製造方法、熱伝導性感圧接着性積層シート、及び、電子機器 - Google Patents
熱伝導性感圧接着性積層シートの製造方法、熱伝導性感圧接着性積層シート、及び、電子機器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015117341A JP2015117341A JP2013262964A JP2013262964A JP2015117341A JP 2015117341 A JP2015117341 A JP 2015117341A JP 2013262964 A JP2013262964 A JP 2013262964A JP 2013262964 A JP2013262964 A JP 2013262964A JP 2015117341 A JP2015117341 A JP 2015117341A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sensitive adhesive
- meth
- heat conductive
- conductive pressure
- pressure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Adhesive Tapes (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
Abstract
【課題】補強層を備える熱伝導性及び使用性に優れた熱伝導性感圧接着性積層シートの製造方法、該製造方法によって得られる熱伝導性感圧接着性積層シート、及び、該積層シートを備えた電子機器を提供。
【解決手段】補強層42の片面にコロナ処理を施す工程と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、熱伝導性フィラー(B)を150質量部以上1500質量部以下とを含む混合組成物をシート状に成形した後、又はシート状に成形しながら、混合組成物を補強層のコロナ処理を施された面に接触させた状態で、少なくとも(α1)の重合反応を行うことによって熱伝導性感圧接着層41を積層する熱伝導性感圧接着層積層工程と、を含み、補強層の厚さが1μm以上40μm以下である、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】補強層42の片面にコロナ処理を施す工程と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、熱伝導性フィラー(B)を150質量部以上1500質量部以下とを含む混合組成物をシート状に成形した後、又はシート状に成形しながら、混合組成物を補強層のコロナ処理を施された面に接触させた状態で、少なくとも(α1)の重合反応を行うことによって熱伝導性感圧接着層41を積層する熱伝導性感圧接着層積層工程と、を含み、補強層の厚さが1μm以上40μm以下である、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱伝導性感圧接着性積層シートの製造方法、該製造方法により得られる熱伝導性感圧接着性積層シート、及び、該熱伝導性感圧接着性積層シートを備えた電子機器に関する。
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)、集積回路(IC)チップ等のような電子部品は、その高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、温度上昇による機能障害対策を講じる必要が生じている。一般的には、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を電子部品等に備えられる発熱体に取り付けることによって放熱させる方法が採られている。発熱体から放熱体への熱伝導を効率よく行うためには、熱伝導性が高いシート状の部材(熱伝導性シート)を発熱体と放熱体との間に挟むことが行われている。
上記のような熱伝導性シートは、発熱体から放熱体へと熱を伝えることが主な目的であるため、熱伝導性を向上させるために、例えば、アルミナや水酸化アルミニウム等の熱伝導性を有するフィラーをアクリル系熱伝導材料に添加し、シート状に成形することが行われる。しかしながら、アルミナや水酸化アルミニウム等のフィラーを多量に添加すると熱伝導性シートが脆くなり、使用時にちぎれてしまうことがあった。このような問題は、電子部品等の小型化に対応して、あるいは、厚み方向の熱抵抗を低くすることを目的として熱伝導性シートの厚みを薄くした場合により顕著なものとなる。
そこで、使用時のちぎれを防止することが可能な強度を付与することを目的として、熱伝導性シートの片面に補強層を積層して用いることが提案されている。例えば、下記特許文献1には、熱伝導性粘着性シートの被着体と接する面とは反対の面を補強材を用いて補強し、粘着性シートと補強材とが密着した状態で被着体から引き剥がすことを特徴とする、粘着性シートの剥離方法に関する技術が開示されている。そして、特許文献1には、補強材を構成する好ましい材料として、可撓性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることが開示されている。片面にPETからなる補強層を備えた熱伝導性シートは、通常、熱伝導性フィラーを含有する伝導材料を離型処理されたPETフィルムで挟み、加熱しながらロール等でシート状に成形後、片側のPETフィルムを取り除くことにより製造される。
以下、少なくとも片面に感圧接着性及び熱伝導性を有し、且つ積層体であるシートを、熱伝導性感圧接着性積層シートという。
以下、少なくとも片面に感圧接着性及び熱伝導性を有し、且つ積層体であるシートを、熱伝導性感圧接着性積層シートという。
上記特許文献1の補強材のような補強層は、熱伝導性感圧接着性積層シートの熱抵抗を低くする観点から出来るだけ薄い方が好ましい。しかしながら補強層の厚みを薄くした場合には、上記製造工程において加熱しながらシート状に成形する際に、PETフィルムが加熱により膨張又は収縮することで、しわが生じてしまうことがあった。一方、製造時に発生するしわを防止するために補強層に所定の厚みを持たせた場合には、熱抵抗が高くなることに加えて、使用時に熱伝導性感圧接着性積層シートを折り曲げた際に、折れしわが生じてしまうことがあった。
そこで本発明は、一方の面に薄く、しわの無い補強層を備え、かつ、熱伝導性及び使用性に優れた熱伝導性感圧接着性積層シートの製造方法、該製造方法によって得られる熱伝導性感圧接着性積層シート、及び、該熱伝導性感圧接着性積層シートを備えた電子機器を提供する。
本発明の第1の態様は、熱伝導性及び感圧接着性を有する熱伝導性感圧接着層と、補強層と、を備えた熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の製造方法であって、補強層の片面にコロナ処理を施すコロナ処理工程と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、熱伝導性フィラー(B)を150質量部以上1500質量部以下と、を含む混合組成物をシート状に成形した後、又はシート状に成形しながら、混合組成物を補強層のコロナ処理を施された面に接触させた状態で、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行うことによって補強層のコロナ処理を施された面に熱伝導性感圧接着層を積層する熱伝導性感圧接着層積層工程と、を含み、補強層の厚さが1μm以上40μm以下である、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の製造方法である。
本明細書中において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル、及び/又は、メタクリル」を意味する。また、「熱伝導性フィラー」とは、添加することによって熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の熱伝導性を向上させることができ、自身の熱伝導率が0.3W/m・K以上であるフィラーを意味する。さらに、「(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応」とは、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体を得る重合反応を意味する。
本発明の第2の態様は、上記本発明の第1の態様に係る熱伝導性積層シート(F)の製造方法により得られる熱伝導性積層シート(F)である。
本発明の第3の態様は、上記本発明の第2の態様に係る熱伝導性積層シート(F)を備えた電子機器である。
本発明によれば、一方の面に薄く、しわの無い補強層を備え、かつ、熱伝導性及び使用性に優れた熱伝導性感圧接着性積層シートの製造方法を提供することができる。また、該製造方法によって得られる熱伝導性感圧接着性積層シート、及び、該熱伝導性感圧接着性積層シートを備えた電子機器を提供することができる。
1.熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の製造方法
本製造方法により製造される熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は、熱伝導性及び感圧接着性を有する熱伝導性感圧接着層と、補強層と、を備える。図1は、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の層構成を概略的に示した図である。熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40は、熱伝導性及び感圧接着性を有する熱伝導性感圧接着層41と、補強層42と、を備えている。図1において、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の両側には、本発明の製造方法に用いる基材43、及び、本発明の製造方法において任意に用いることのできる基材44が表れている。
以下、本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の製造方法(本製造方法と称することがある。)について説明する。
本製造方法により製造される熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は、熱伝導性及び感圧接着性を有する熱伝導性感圧接着層と、補強層と、を備える。図1は、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の層構成を概略的に示した図である。熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40は、熱伝導性及び感圧接着性を有する熱伝導性感圧接着層41と、補強層42と、を備えている。図1において、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の両側には、本発明の製造方法に用いる基材43、及び、本発明の製造方法において任意に用いることのできる基材44が表れている。
以下、本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の製造方法(本製造方法と称することがある。)について説明する。
本製造方法は、補強層の片面にコロナ処理を施すコロナ処理工程と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、熱伝導性フィラー(B)を150質量部以上1500質量部以下と、を含む混合組成物をシート状に成形した後、又はシート状に成形しながら、混合組成物を補強層のコロナ処理を施された面に接触させた状態で、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行うことによって、補強層のコロナ処理を施された面に熱伝導性感圧接着層を積層する熱伝導性感圧接着層積層工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
1.1.コロナ処理工程
コロナ処理工程は、補強層42の片面にコロナ処理を施す工程である。
コロナ処理工程は、補強層42の片面にコロナ処理を施す工程である。
<補強層>
コロナ処理工程で用いる補強層42は、熱伝導性感圧接着層41に積層され、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の使用時のちぎれを防止することが可能な強度を付与する層である。補強層42と熱伝導性感圧接着層41との間には、本発明が意図する効果を妨げない範囲で他の層を介在させてもよい。
コロナ処理工程で用いる補強層42は、熱伝導性感圧接着層41に積層され、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の使用時のちぎれを防止することが可能な強度を付与する層である。補強層42と熱伝導性感圧接着層41との間には、本発明が意図する効果を妨げない範囲で他の層を介在させてもよい。
補強層42は、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の使用時に、熱伝導性感圧接着層41がちぎれないように補強する目的で備えられる。また、補強層42を備えることにより、熱伝導性感圧接着層41の積層時に、熱伝導性感圧接着層41の凝集力が多少不足した場合でも、シート形状を保つことができる。
補強層42は、熱伝導性感圧接着層41に追随して変形する必要があるため、可撓性を有することが好ましい。また、補強機能の観点から、引張強度が熱伝導性感圧接着層41よりも大きいことが好ましい。さらに、熱伝導性感圧接着層41から剥離しにくくする目的で、後述するコロナ処理を施す観点からは、コロナ処理により、表面改質が容易であることが好ましい。
補強層42は、熱伝導性感圧接着層41に追随して変形する必要があるため、可撓性を有することが好ましい。また、補強機能の観点から、引張強度が熱伝導性感圧接着層41よりも大きいことが好ましい。さらに、熱伝導性感圧接着層41から剥離しにくくする目的で、後述するコロナ処理を施す観点からは、コロナ処理により、表面改質が容易であることが好ましい。
上記条件を満たす補強層42を構成する材料としては、紙;布;金属製の箔;ポリイミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂;ポリエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリメチルペンテン;ポリエーテルイミド;ポリスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリアミドイミド;ポリエステルイミド;ポリアミド;などを挙げることができる。これらの中でも安価で入手できるなどの観点からは、ポリエステル及びポリイミドが好ましく、ポリエチレンテレフタレート及びポリイミドがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートが更に好ましい。なお、補強層42は一種の材料で構成されていてもよく複数種の材料を組み合わせて構成されていてもよい。
補強層42は、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の熱伝導性を高くする観点、及び、使用時の折れしわを防止する観点から、薄い方が好ましい。ただし、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40に使用時のちぎれを防止することが可能な強度を備えさせる観点からは、補強層42がある程度の厚さを有することが好ましい。よって、補強層42の厚さは、1μm以上40μm以下が好ましく、2μm以上30μm以下がより好ましく、3μm以上20μm以下が更に好ましい。
補強層42は、通常、感圧接着性を有さない材料によって構成されている。そのため、補強層42に接するように配置された発熱体または放熱体などを取り外す際、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の表面が放熱体または発熱体に固着することを防止できるため、放熱体または発熱体などを固定しなおす場合でも熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40をそのまま再利用することが可能となる。ただし、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40を放熱体や発熱体などに固定する際には、ネジなどの固定部材を用いることが好ましい。なお、補強層42は、感圧接着性を有する材料によって構成されていてもよい。
また、補強層42は電気的絶縁性を有する材料によって構成されている場合には、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40に絶縁性を備えさせることができる。
また、補強層42は電気的絶縁性を有する材料によって構成されている場合には、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40に絶縁性を備えさせることができる。
<コロナ処理>
コロナ処理工程において、補強層42の片面にコロナ処理が施される。補強層42の片面にコロナ処理が施されていることにより、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)において、補強層42のコロナ処理が施された面と接する熱伝導性感圧接着層41と、補強層42と、の密着性が向上し、使用時、及び、後述する基材除去工程において補強層42から基材43を取り除く際に、熱伝導性感圧接着層41と補強層42とが剥離することを防止することができる。
コロナ処理の条件は特定の範囲に限定されない。例えば、バッチコロナ処理機(例えば、春日電機(株)製CORONA GENERATOR CT−0212)を用いて、出力が0kWより大きく2.0kW以下、搬送速度が0m/分以上6.0m/分以下、放電隙間が0.5mm以上20mm以下の条件で行うことができる。出力は、好ましくは0.15kW以上2.0kW以下である。搬送速度は、好ましくは0.5m/分以上6.0m/分以下である。放電隙間は、好ましくは2mm以上20mm以下である。
コロナ処理工程において、補強層42の片面にコロナ処理が施される。補強層42の片面にコロナ処理が施されていることにより、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)において、補強層42のコロナ処理が施された面と接する熱伝導性感圧接着層41と、補強層42と、の密着性が向上し、使用時、及び、後述する基材除去工程において補強層42から基材43を取り除く際に、熱伝導性感圧接着層41と補強層42とが剥離することを防止することができる。
コロナ処理の条件は特定の範囲に限定されない。例えば、バッチコロナ処理機(例えば、春日電機(株)製CORONA GENERATOR CT−0212)を用いて、出力が0kWより大きく2.0kW以下、搬送速度が0m/分以上6.0m/分以下、放電隙間が0.5mm以上20mm以下の条件で行うことができる。出力は、好ましくは0.15kW以上2.0kW以下である。搬送速度は、好ましくは0.5m/分以上6.0m/分以下である。放電隙間は、好ましくは2mm以上20mm以下である。
1.2.基材積層工程
本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の製造方法においては、基材積層工程を、コロナ処理工程の後の工程として有していることが好ましい。
基材積層工程は、補強層42のコロナ処理を施された面と反対側の面に基材43を積層する工程である。補強層42のコロナ処理を施された面と反対側の面に基材43を積層することにより、後述する熱伝導性感圧接着層積層工程において、補強層42を薄くした場合であっても、補強層42にしわが発生することをより効果的に防止することができる。
本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の製造方法においては、基材積層工程を、コロナ処理工程の後の工程として有していることが好ましい。
基材積層工程は、補強層42のコロナ処理を施された面と反対側の面に基材43を積層する工程である。補強層42のコロナ処理を施された面と反対側の面に基材43を積層することにより、後述する熱伝導性感圧接着層積層工程において、補強層42を薄くした場合であっても、補強層42にしわが発生することをより効果的に防止することができる。
基材43は、熱伝導性感圧接着層積層工程において補強層42にしわが発生することを防止し、所望により設ける、後述する基材除去工程において補強層42から容易に取り除くことができるものであれば、特に限定されないが、ポリエステルフィルムなどの工程紙、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムなどを用いることができる。中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。補強層42と基材43と積層する方法は、特に限定されないが、接着剤を用いた易接着処理等の公知の方法を適用することができる。
上記コロナ処理工程におけるコロナ処理、及び、基材積層工程における補強層42と基材43の積層は、順序を前後することは好ましくない。すなわち、補強層42と基材43とを積層した後に、補強層42の基材43が積層されている面とは反対側の面にコロナ処理を施すと、補強層42から基材43が除去できなくなる虞がある。
1.3.熱伝導性感圧接着層積層工程
熱伝導性感圧接着層積層工程は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、熱伝導性フィラー(B)を150質量部以上1500質量部以下と、を含む混合組成物をシート状に成形した後、又はシート状に成形しながら、混合組成物を補強層のコロナ処理を施された面に接触させた状態で、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行うことによって、補強層42のコロナ処理を施された面に熱伝導性感圧接着層を積層する工程である。熱伝導性感圧接着層積層工程において用いる(メタ)アクリル樹脂組成物(A)及び熱伝導性フィラー(B)、ならびに、熱伝導性感圧接着層積層工程で積層される熱伝導性感圧接着層について以下に説明する。
1.3.熱伝導性感圧接着層積層工程
熱伝導性感圧接着層積層工程は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、熱伝導性フィラー(B)を150質量部以上1500質量部以下と、を含む混合組成物をシート状に成形した後、又はシート状に成形しながら、混合組成物を補強層のコロナ処理を施された面に接触させた状態で、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行うことによって、補強層42のコロナ処理を施された面に熱伝導性感圧接着層を積層する工程である。熱伝導性感圧接着層積層工程において用いる(メタ)アクリル樹脂組成物(A)及び熱伝導性フィラー(B)、ならびに、熱伝導性感圧接着層積層工程で積層される熱伝導性感圧接着層について以下に説明する。
<(メタ)アクリル樹脂組成物(A)>
熱伝導性感圧接着層積層工程に用いる(メタ)アクリル樹脂組成物(A)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含んでおり、さらに後述する多官能性単量体を含んでいてもよい。なお、熱伝導性感圧接着層41を得る際には、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応が行われる。当該重合反応を行うことによって(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体は(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の成分と混合及び/又は一部結合する。
熱伝導性感圧接着層積層工程に用いる(メタ)アクリル樹脂組成物(A)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含んでおり、さらに後述する多官能性単量体を含んでいてもよい。なお、熱伝導性感圧接着層41を得る際には、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応が行われる。当該重合反応を行うことによって(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体は(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の成分と混合及び/又は一部結合する。
本発明において、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の使用割合は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量%として、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が5質量%以上60質量%以下、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)が40質量%以上95質量%以下であることが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が10質量%以上50質量%以下、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)が50質量%以上89.7質量%以下であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の使用割合を上記範囲とすることによって、混合組成物を成形しやすくなる。
((メタ)アクリル酸エステル重合体(A1))
本発明に用いることができる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体の単位(a1)、及び、有機酸基を有する単量体単位(a2)を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体の単位(a1)、及び、有機酸基を有する単量体単位(a2)を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体の単位(a1)を与える(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は特に限定されないが、例えば、アクリル酸エチル(単独重合体のガラス転移温度は、−24℃)、アクリル酸n−プロピル(同−37℃)、アクリル酸n−ブチル(同−54℃)、アクリル酸sec−ブチル(同−22℃)、アクリル酸n−ヘプチル(同−60℃)、アクリル酸n−ヘキシル(同−61℃)、アクリル酸n−オクチル(同−65℃)、アクリル酸2−エチルヘキシル(同−50℃)、メタクリル酸n−オクチル(同−25℃)、メタクリル酸n−デシル(同−49℃)などの、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸2−メトキシエチル(同−50℃)、アクリル酸3−メトキシプロピル(同−75℃)、アクリル酸3−メトキシブチル(同−56℃)、アクリル酸エトキシメチル(同−50℃)などの、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;などを挙げることができる。中でも、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが好ましく、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましく、アクリル酸2−エチルヘキシルがさらに好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、それから導かれる単量体単位(a1)が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、好ましくは80質量%以上99.9質量%以下、より好ましくは85質量%以上99.5質量%以下となるような量で重合に供する。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)の使用量が上記範囲内であると、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことが容易になる。
次に、有機酸基を有する単量体単位(a2)について説明する。有機酸基を有する単量体単位(a2)を与える単量体(a2m)は特に限定されないが、その代表的なものとして、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基などの有機酸基を有する単量体を挙げることができる。また、これらのほか、スルフェン酸基、スルフィン酸基、燐酸基などを含有する単量体も使用することができる。
カルボキシル基を有する単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸や、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸の他、イタコン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノプロピルなどのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステルなどを挙げることができる。また、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの、加水分解などによりカルボキシル基に誘導することができる基を有するものも同様に使用することができる。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのα,β−不飽和スルホン酸、及び、これらの塩を挙げることができる。
単量体(a2m)としては、上に例示した有機酸基を有する単量体のうち、カルボキシル基を有する単量体がより好ましく、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸がさらに好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。これらの単量体は工業的に安価で容易に入手することができ、他の単量体成分との共重合性も良く、生産性の点でも好ましい。なお、単量体(a2m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
有機酸基を有する単量体(a2m)は、それから導かれる単量体単位(a2)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下となるような量で重合に供する。有機酸基を有する単量体(a2m)の使用量が上記範囲内であると、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことが容易になる。
なお、有機酸基を有する単量体単位(a2)は、前述のように、有機酸基を有する単量体(a2m)の重合によって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中に導入するのが簡便であり好ましいが、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)生成後に、公知の高分子反応により、有機酸基を導入してもよい。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)から誘導される単量体単位(a3)を含有していてもよい。上記有機酸基以外の官能基としては、水酸基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、メルカプト基などを挙げることができる。
水酸基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどを挙げることができる。
アミノ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アミノスチレンなどを挙げることができる。
アミド基を有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体などを挙げることができる。
エポキシ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
これらの有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)は、それから導かれる単量体単位(a3)が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、10質量%以下となるような量で重合に使用することが好ましい。10質量%以下の単量体(a3m)を使用することにより、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことが容易になる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、上述したガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a1)、有機酸基を有する単量体単位(a2)、及び、有機酸基以外の官能基を有する単量体単位(a3)以外に、上述した単量体と共重合可能な単量体(a4m)から誘導される単量体単位(a4)を含有していてもよい。
単量体(a4m)は、特に限定されないが、その具体例として、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステル、アルケニル芳香族単量体、シアン化ビニル単量体、カルボン酸不飽和アルコールエステル、オレフィン系単量体などを挙げることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、アクリル酸メチル(単独重合体のガラス転移温度は、10℃)、メタクリル酸メチル(同105℃)、メタクリル酸エチル(同63℃)、メタクリル酸n−プロピル(同25℃)、メタクリル酸n−ブチル(同20℃)などを挙げることができる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステルの具体例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジメチルなどを挙げることができる。
アルケニル芳香族単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、及びビニルトルエンなどを挙げることができる。
シアン化ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどを挙げることができる。
カルボン酸不飽和アルコールエステル単量体の具体例としては、酢酸ビニルなどを挙げることができる。
オレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテンなどを挙げることができる。
単量体(a4m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
単量体(a4m)は、それから導かれる単量体単位(a4)の量が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下となるような量で重合に供する。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、上述した、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)、有機酸基を有する単量体(a2m)、必要に応じて使用する、有機酸基以外の官能基を含有する単量体(a3m)、及び、必要に応じて使用するこれらの単量体と共重合可能な単量体(a4m)を共重合することによって特に好適に得ることができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)を得る際の重合方法は特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などのいずれであってもよく、これら以外の方法でもよい。ただしこれらの重合方法の中で溶液重合が好ましく、中でも重合溶媒として、酢酸エチル、乳酸エチルなどのカルボン酸エステルやベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒を用いた溶液重合がより好ましい。重合に際して、単量体は、重合反応容器に分割添加してもよいが、全量を一括添加するのが好ましい。重合開始の方法は、特に限定されないが、重合開始剤として熱重合開始剤を用いるのが好ましい。当該熱重合開始剤は特に限定されず、例えば過酸化物重合開始剤やアゾ化合物重合開始剤を用いることができる。
過酸化物重合開始剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシドや、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシドのようなペルオキシドの他、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩などを挙げることができる。これらの過酸化物は、還元剤と適宜組み合わせて、レドックス系触媒として使用することもできる。
アゾ化合物重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などを挙げることができる。
重合開始剤の使用量は特に限定されないが、単量体100質量部に対して0.01質量部以上50質量部以下の範囲であることが好ましい。
これらの単量体のその他の重合条件(重合温度、圧力、撹拌条件など)は、特に制限がない。
重合反応終了後、必要により、得られた重合体を重合媒体から分離する。分離の方法は特に限定されない。例えば、溶液重合の場合、重合溶液を減圧下に置き、重合溶媒を留去することによって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)を得ることができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)で測定して、標準ポリスチレン換算で1000以上100万以下の範囲にあることが好ましく、10万以上50万以下の範囲にあることが、より好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量は、重合の際に使用する重合開始剤の量や、連鎖移動剤の量を適宜調整することによって制御することができる。
((メタ)アクリル酸エステル単量体(α1))
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有するものであれば特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)を含有するものであることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有するものであれば特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)を含有するものであることが好ましい。
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)と同様の(メタ)アクリル酸エステル単量体を挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは75質量%以上100質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率を上記範囲とすることによって、感圧接着性や柔軟性に優れた熱伝導性感圧接着層41を得やすくなる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)、及び、これらと共重合可能な有機酸基を有する単量体(a6m)の混合物としてもよい。
上記単量体(a6m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる単量体(a2m)として例示したものと同様の有機酸基を有する単量体を挙げることができる。単量体(a6m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における単量体(a6m)の比率は、30質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における単量体(a6m)の比率を上記範囲とすることによって、感圧接着性や柔軟性に優れた熱伝導性感圧接着層41を得やすくなる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)及び所望により共重合させることができる有機酸基を有する単量体(a6m)の他に、これらと共重合可能な単量体(a7m)も含む混合物としてもよい。
上記単量体(a7m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる単量体(a3m)、及び単量体(a4m)として例示したものと同様の単量体を挙げることができる。単量体(a7m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における単量体(a7m)の比率は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
(多官能性単量体)
本発明において、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)には多官能性単量体も用いることができる。通常、ラジカル熱重合などの重合時には、多官能性単量体を用いずともある程度の架橋反応は進行する。しかしながら、より確実にしかも所望の量の架橋構造を形成させるためには多官能性単量体を用いてもよい。
本発明において、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)には多官能性単量体も用いることができる。通常、ラジカル熱重合などの重合時には、多官能性単量体を用いずともある程度の架橋反応は進行する。しかしながら、より確実にしかも所望の量の架橋構造を形成させるためには多官能性単量体を用いてもよい。
本発明に用いることができる多官能性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)に含まれる単量体と共重合可能なものを用いる。また、当該多官能性単量体は重合性不飽和結合を複数有しており、該不飽和結合を末端に有することが好ましい。このような多官能性単量体を用いることによって、共重合体に分子内及び/又は分子間架橋を導入して、感圧接着剤としての凝集力を高めることができる。
多官能性単量体としては、例えば1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートや、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチレン−5−トリアジンなどの置換トリアジンの他、4−アクリルオキシベンゾフェノンのようなモノエチレン系不飽和芳香族ケトンなどを用いることができる。多官能性(メタ)アクリレートが好ましく、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートがより好ましい。多官能性単量体は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
多官能性単量体の使用量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量%として、10質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。多官能性単量体の使用量を上記範囲とすることによって、熱伝導性感圧接着層41に適正な凝集力を付与し易くなる。
<重合開始剤>
熱伝導性感圧接着層積層工程において熱伝導性感圧接着層41を積層する際、上述したように(メタ)アクリル樹脂組成物(A)に含まれる成分が重合する。当該重合反応を促進するため、重合開始剤を用いることが好ましい。当該重合開始剤としては、光重合開始剤、アゾ系熱重合開始剤、有機過酸化物熱重合開始剤などが挙げられる。ただし、得られる熱伝導性感圧接着層41に強い接着力を付与する等の観点からは、有機過酸化物熱重合開始剤を用いることが好ましい。
熱伝導性感圧接着層積層工程において熱伝導性感圧接着層41を積層する際、上述したように(メタ)アクリル樹脂組成物(A)に含まれる成分が重合する。当該重合反応を促進するため、重合開始剤を用いることが好ましい。当該重合開始剤としては、光重合開始剤、アゾ系熱重合開始剤、有機過酸化物熱重合開始剤などが挙げられる。ただし、得られる熱伝導性感圧接着層41に強い接着力を付与する等の観点からは、有機過酸化物熱重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、公知の各種光重合開始剤を用いることができる。その中でも、アシルホスフィンオキサイド系化合物が好ましい。好ましい光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
アゾ系熱重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などが挙げられる。
有機過酸化物熱重合開始剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシドや、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンのようなペルオキシドなどを挙げることができる。ただし、熱分解時に臭気の原因となる揮発性物質を放出しないものが好ましい。また、有機過酸化物熱重合開始剤の中でも、1分間半減期温度が100℃以上かつ170℃以下のものが好ましい。
上記重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上2質量部以下であることがさらに好ましい。
重合開始剤の使用量を上記範囲とすることによって、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率を適正な範囲にし易くなり、熱伝導性感圧接着層41に単量体臭が残ることを防止し易くなる。
なお、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率は、95質量%以上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率が95質量%以上であれば、熱伝導性感圧接着層41に単量体臭が残ることを防止し易くなる。
また、重合開始剤の使用量を上記範囲とすることによって、重合反応が過度に進行して熱伝導性感圧接着層41が平滑なシート状にならずに表面に凹凸やピンホールが発生するという事態を防止し易くなる。
重合開始剤の使用量を上記範囲とすることによって、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率を適正な範囲にし易くなり、熱伝導性感圧接着層41に単量体臭が残ることを防止し易くなる。
なお、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率は、95質量%以上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率が95質量%以上であれば、熱伝導性感圧接着層41に単量体臭が残ることを防止し易くなる。
また、重合開始剤の使用量を上記範囲とすることによって、重合反応が過度に進行して熱伝導性感圧接着層41が平滑なシート状にならずに表面に凹凸やピンホールが発生するという事態を防止し易くなる。
<熱伝導性フィラー(B)>
次に熱伝導性フィラー(B)について説明する。本発明に用いる熱伝導性フィラー(B)は、添加することによって熱伝導性感圧接着層41の熱伝導性を向上させることができ、熱伝導率が0.3W/m・K以上である無機化合物である。
次に熱伝導性フィラー(B)について説明する。本発明に用いる熱伝導性フィラー(B)は、添加することによって熱伝導性感圧接着層41の熱伝導性を向上させることができ、熱伝導率が0.3W/m・K以上である無機化合物である。
熱伝導性フィラー(B)の具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化ガリウム、水酸化インジウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどの金属水酸化物;酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸アルミニウムなどの金属炭酸塩;窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物;ホウ酸亜鉛水和物;カオリンクレー;アルミン酸カルシウム水和物;ドーソナイト;シリカ;膨張化黒鉛粉、人造黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維などの、炭素含有導電性フィラー;等を挙げることができる。中でも金属水酸化物及び金属酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましく、水酸化アルミニウム及び酸化アルミニウム(アルミナ)がより好ましく、水酸化アルミニウムがさらに好ましい。熱伝導性フィラー(B)は一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
熱伝導性感圧接着層41に用いる熱伝導性フィラー(B)の量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)100質量部に対して、150質量部以上1500質量部以下であり、200質量部以上1300質量部以下であることが好ましく、350質量部以上1000質量部以下であることがより好ましい。熱伝導性フィラー(B)の含有量を上記下限以上とすることによって、熱伝導性感圧接着層41の熱伝導性を向上させる効果を発揮しやすくなる。一方、熱伝導性フィラー(B)の含有量を上記上限以下とすることによって、熱伝導性感圧接着層41の前駆体である混合組成物の粘度が過度に高くなることを抑制しやすくなる。そのため、熱伝導性感圧接着層41を積層し難くなったり、積層できたとしても熱伝導性感圧接着層41の硬度が増大して形状追随性(被着体への密着性)が低下したりするという事態を防ぐことができる。
なお、本発明において「BET比表面積」とは、以下の方法で計測したものを意味する。まず、窒素及びヘリウムの混合ガスをBET比表面積測定装置内に導入し、試料(BET比表面積の測定対象物)を入れた試料セルを液体窒素に浸して、窒素ガスを試料表面に吸着させる。吸着平衡に達した後、試料セルを水浴に入れ常温まで温め、試料に付着していた窒素を脱着させる。窒素ガスの吸着、脱着時に試料セルを通過する前後のガスの混合比は変化するので、この変化を窒素及びヘリウムの混合比が一定のガスを対照として熱伝導度検出器(TCD)で検知し、窒素ガスの吸着量及び脱着量を求める。測定前に単位量の窒素ガスを装置内に導入してキャリブレーションを行い、TCDで検出した値に対応する表面績の値を求めておくことにより、その試料の表面積を求める。そして、求めた表面積をその試料の質量で除すことにより、BET比表面積を求めることができる。
<リン酸エステル>
熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の難燃性を向上させる等の観点から、熱伝導性感圧接着層41は、リン酸エステルを含有していてもよい。リン酸エステルを含有することによって、熱伝導性感圧接着層41に優れた難燃性を付与し易くなる。
熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の難燃性を向上させる等の観点から、熱伝導性感圧接着層41は、リン酸エステルを含有していてもよい。リン酸エステルを含有することによって、熱伝導性感圧接着層41に優れた難燃性を付与し易くなる。
本発明に用いるリン酸エステルは、25℃における粘度が3000mPa・s以上であることが好ましい。リン酸エステルの粘度を上記範囲とすることで、熱伝導性感圧接着層41の成形性の悪化を抑制できる。なお、本発明においてリン酸エステルの「粘度」とは、以下に説明する方法によって測定した粘度を意味する。
(リン酸エステルの粘度測定方法)
リン酸エステルの粘度測定には、B型粘度計(東京計器株式会社製)を用いて、以下に示す手順で行う。
(1)常温の環境でリン酸エステルを300ml計量し、500mlの容器に入れる。
(2)攪拌用ロータNo.1、2、3、4、5、6、7から、いずれかを選択し、粘度計に取り付ける。
(3)リン酸エステルが入った容器を粘度計の上に置き、ロータを該容器内の縮合リン酸エステルに沈める。このとき、ロータの目印となる凹みが丁度、リン酸エステルの液状界面にくるように沈める。
(4)回転数を20、10、4、2の中から選択する。
(5)攪拌スイッチを入れ、1分後の数値を読み取る。
(6)読み取った数値に、係数Aを掛け算した値が粘度[mPa・s]となる。
なお、係数Aは、下記表1に示すように、選択したロータNo.と回転数とから決まる。
リン酸エステルの粘度測定には、B型粘度計(東京計器株式会社製)を用いて、以下に示す手順で行う。
(1)常温の環境でリン酸エステルを300ml計量し、500mlの容器に入れる。
(2)攪拌用ロータNo.1、2、3、4、5、6、7から、いずれかを選択し、粘度計に取り付ける。
(3)リン酸エステルが入った容器を粘度計の上に置き、ロータを該容器内の縮合リン酸エステルに沈める。このとき、ロータの目印となる凹みが丁度、リン酸エステルの液状界面にくるように沈める。
(4)回転数を20、10、4、2の中から選択する。
(5)攪拌スイッチを入れ、1分後の数値を読み取る。
(6)読み取った数値に、係数Aを掛け算した値が粘度[mPa・s]となる。
なお、係数Aは、下記表1に示すように、選択したロータNo.と回転数とから決まる。
また、本発明に用いるリン酸エステルは、大気圧下での15℃以上100℃以下の温度領域において常に液体であることが好ましい。リン酸エステルが混合する際に液体であれば、作業性が良く、熱伝導性感圧接着層41を積層することが容易になる。リン酸エステルを含んだ熱伝導性感圧接着層41を積層する際、15℃以上100℃以下の環境で、熱伝導性感圧接着層41の前駆体である混合組成物を構成する各物質を混合することが好ましい。混合時の温度を上記範囲とすることによって、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)のガラス転移温度以上とし、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)に含まれる単量体等の揮発あるいは重合反応が始まってしまうことを防止し易くなるため、環境性及び作業性を良くすることができる。
本発明には、リン酸エステルとして、縮合リン酸エステルも非縮合リン酸エステルも用いることができる。ここでいう「縮合リン酸エステル」とは、1分子内にリン酸エステル部位が複数存在するものを意味し、「非縮合リン酸エステル」とは、1分子内にリン酸エステル部位が1つだけ存在するものを意味する。これまでに説明した条件を満たすリン酸エステルの具体例を以下に列記する。
縮合リン酸エステルの具体例としては、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)などの芳香族縮合リン酸エステル;ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルホスフェートなどの含ハロゲン系縮合リン酸エステル;非芳香族非ハロゲン系縮合リン酸エステル;などが挙げられる。これらの中でも、比重が比較的小さく、有害物質(ハロゲンなど)の放出の危険がなく、入手も容易であることなどから、芳香族縮合リン酸エステルが好ましく、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)がより好ましい。
非縮合リン酸エステルの具体例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−キシレニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートなどの芳香族リン酸エステル;トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステル;などが挙げられる。この中でも、有害物質(ハロゲンなど)が発生しないことなどから、芳香族リン酸エステルが好ましい。
リン酸エステルは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
熱伝導性感圧接着層41に含有させるリン酸エステルの量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部として、120質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることがより好ましい。リン酸エステルの含有量を上記範囲とすることによって、熱伝導性感圧接着層41の感圧接着性を維持しやすくなる。
<その他の添加剤>
熱伝導性感圧接着層41には、感圧接着性や熱伝導性等の求められる性能を満足できる範囲で、これまでに説明した物質以外にも公知の各種添加剤を添加することができる。
公知の添加剤としては、発泡剤(発泡助剤を含む。);上述した熱伝導性フィラー(B)を除いた金属の水酸化物や金属塩水和物などの熱伝導性フィラー;ガラス繊維;PITCH系炭素繊維などの、上述した熱伝導性フィラー(B)を除いた熱伝導性無機化合物;外部架橋剤;二酸化チタンなど顔料;クレーなどのその他の充填材;フラーレン、カーボンナノチューブなどのナノ粒子;ポリフェノール系、ハイドロキノン系、ヒンダードアミン系などの酸化防止剤;アクリル系ポリマー粒子などの増粘剤;などを挙げることができる。
熱伝導性感圧接着層41には、感圧接着性や熱伝導性等の求められる性能を満足できる範囲で、これまでに説明した物質以外にも公知の各種添加剤を添加することができる。
公知の添加剤としては、発泡剤(発泡助剤を含む。);上述した熱伝導性フィラー(B)を除いた金属の水酸化物や金属塩水和物などの熱伝導性フィラー;ガラス繊維;PITCH系炭素繊維などの、上述した熱伝導性フィラー(B)を除いた熱伝導性無機化合物;外部架橋剤;二酸化チタンなど顔料;クレーなどのその他の充填材;フラーレン、カーボンナノチューブなどのナノ粒子;ポリフェノール系、ハイドロキノン系、ヒンダードアミン系などの酸化防止剤;アクリル系ポリマー粒子などの増粘剤;などを挙げることができる。
<熱伝導性感圧接着層41>
熱伝導性感圧接着層41は、熱伝導性感圧接着層の前駆体である混合組成物を構成する上述した物質を混合して混合組成物を作製した後、混合組成物をシート状に成形した後、又はシート状に成形しながら、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応が行われて形成される層である。
熱伝導性感圧接着層41は、熱伝導性感圧接着層の前駆体である混合組成物を構成する上述した物質を混合して混合組成物を作製した後、混合組成物をシート状に成形した後、又はシート状に成形しながら、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応が行われて形成される層である。
熱伝導性感圧接着層41の厚さは特に限定されないが、熱伝導性感圧接着層41を薄く形成することによって、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の厚み方向の熱抵抗を低くすることができる。一方、熱伝導性感圧接着層41にある程度の厚さをもたせることによって、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)40の取り扱いが容易になる。これらの観点から、熱伝導性感圧接着層41の厚さは0.05mm以上5mm以下にすることが好ましく、0.1mm以上4.5mm以下であることがより好ましく、0.1mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
熱伝導性感圧接着層積層工程において、補強層42のコロナ処理を施された面に熱伝導性感圧接着層41を積層する際は、混合組成物と補強層42のコロナ処理を施された面とを接触させた状態で該混合組成物をシート状に成形し、その状態で、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行うことによって、補強層42のコロナ処理を施された面に該熱伝導性感圧接着層41を積層することが好ましい。
熱伝導性感圧接着層積層工程において、上記重合反応を行う際には加熱することが好ましい。当該加熱には、例えば、熱風、電気ヒーター、赤外線などを用いることができる。このときの加熱温度は、重合開始剤が効率良く分解し、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合が進行する温度が好ましい。温度範囲は、用いる重合開始剤の種類等により異なるが、100℃以上200℃以下が好ましく、120℃以上180℃以下がより好ましい。
また、熱伝導性感圧接着層積層工程において、熱伝導性感圧接着層41の前駆体である混合組成物をシート状に成形する方法は特に限定されない。好適な方法としては、例えば、図1に表れているように、任意の基材44と補強層42との間に上記混合組成物を挟んでシート状に成形する方法、このようにして挟んだ混合組成物を2つのロールの間に通して押圧することでシート状に成形する方法、及び、押出機を用いて上記混合組成物を押出し、その際にダイスを通して厚さを制御することでシート状に成形する方法などが挙げられる。
任意の基材44としては、使用時に熱伝導性感圧接着層41から容易に取り除くことができるものであれば特に限定されないが、基材43と同様のものを用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムを好ましく用いることができる。熱伝導性感圧接着層積層工程において任意の基材44を用いる場合には、製造後の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)において、熱伝導性感圧接着層41が基材44に覆われるため、基材44は保護層として機能する。使用に際しては、基材44を取り除き、接着面となる熱伝導性感圧接着層41を露出させて使用することができる。
任意の基材44としては、使用時に熱伝導性感圧接着層41から容易に取り除くことができるものであれば特に限定されないが、基材43と同様のものを用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムを好ましく用いることができる。熱伝導性感圧接着層積層工程において任意の基材44を用いる場合には、製造後の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)において、熱伝導性感圧接着層41が基材44に覆われるため、基材44は保護層として機能する。使用に際しては、基材44を取り除き、接着面となる熱伝導性感圧接着層41を露出させて使用することができる。
1.4.基材除去工程
本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の製造方法において上述した基材積層工程を設けた場合、熱伝導性感圧接着層積層工程の後に、基材除去工程を有することが好ましい。
基材除去工程は、基材43を取り除く工程であり、詳細には、補強層42に積層されている基材43を、補強層42から取り除く工程である。上述のように、基材43は、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の、補強層42から容易に取り除くことができるものであるため、剥離等により容易に取り除くことが可能である。本製造方法においては、コロナ処理工程において補強層42の片面(熱伝導性感圧接着層41と接する面)にコロナ処理が施されており、熱伝導性感圧接着層41と補強層42との密着性が向上しているため、補強層42から基材43を取り除く際に、熱伝導性感圧接着層41と補強層42とが剥離することを防止することができる。
本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の製造方法において上述した基材積層工程を設けた場合、熱伝導性感圧接着層積層工程の後に、基材除去工程を有することが好ましい。
基材除去工程は、基材43を取り除く工程であり、詳細には、補強層42に積層されている基材43を、補強層42から取り除く工程である。上述のように、基材43は、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の、補強層42から容易に取り除くことができるものであるため、剥離等により容易に取り除くことが可能である。本製造方法においては、コロナ処理工程において補強層42の片面(熱伝導性感圧接着層41と接する面)にコロナ処理が施されており、熱伝導性感圧接着層41と補強層42との密着性が向上しているため、補強層42から基材43を取り除く際に、熱伝導性感圧接着層41と補強層42とが剥離することを防止することができる。
2.使用例
本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は、熱伝導層の熱伝導性が高く、且つ熱伝導性感圧接着層が感圧接着性を有しているため、発熱体と放熱体との間に介在させて、発熱体から放熱体への熱伝導を効率よく行うなどの用途に使用できる。また、本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は、電子機器に備えられる発熱体である電子部品に取り付け、該電子部品の一部として用いることができる。本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の使用例について、図2を参照しつつ説明する。図2は、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の使用例を説明する図である。
本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は、熱伝導層の熱伝導性が高く、且つ熱伝導性感圧接着層が感圧接着性を有しているため、発熱体と放熱体との間に介在させて、発熱体から放熱体への熱伝導を効率よく行うなどの用途に使用できる。また、本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は、電子機器に備えられる発熱体である電子部品に取り付け、該電子部品の一部として用いることができる。本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の使用例について、図2を参照しつつ説明する。図2は、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の使用例を説明する図である。
図2(A)は、パーソナルコンピュータ等の電子機器の一部を概略的に示す斜視図である。図2(A)には、基板1、基板1上に設置した発熱体である電子部品2、放熱体であるヒートシンク3、及び電子部品2とヒートシンク3との間に配置した熱伝導性感圧接着性積層シート(F)4と、を示している。
図2(A)に示したように、電子部品2とヒートシンク3とで熱伝導性感圧接着性積層シート(F)4を挟んでビスなどの任意の固定手段により固定することによって、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)4(熱伝導性感圧接着層)は高い熱伝導性を有しているので、電子部品2で発した熱は熱伝導性感圧接着性積層シート(F)4を介してヒートシンク3へと効率よく伝えられ、ヒートシンク3から放熱される。
図2(A)に示したように、電子部品2とヒートシンク3とで熱伝導性感圧接着性積層シート(F)4を挟んでビスなどの任意の固定手段により固定することによって、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)4(熱伝導性感圧接着層)は高い熱伝導性を有しているので、電子部品2で発した熱は熱伝導性感圧接着性積層シート(F)4を介してヒートシンク3へと効率よく伝えられ、ヒートシンク3から放熱される。
図2(B)は、放熱体であるヒートシンク13に熱伝導性感圧接着性積層シート(F)14、14を介して発熱体であるNPNトランジスタ12a及びPNPトランジスタ12bを取り付けた様子を概略的に示す斜視図である。
図2(B)に示したように、1つのヒートシンク13に熱伝導性感圧接着性積層シート(F)14、14を介してNPNトランジスタ12a及びPNPトランジスタ12bを任意の固定手段により取り付けることによって、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)14(熱伝導性感圧接着層)は高い熱伝導性を有しているので、NPNトランジスタ12a及びPNPトランジスタ12bで発した熱は熱伝導性感圧接着性積層シート(F)14、14を介してヒートシンク13へと効率よく伝えられ、ヒートシンク13から放熱される。このとき、NPNトランジスタ12a及びPNPトランジスタ12bが、共に、高い熱伝導性を有する熱伝導性感圧接着性積層シート(F)14、14を介して一つのヒートシンク13に取り付けられていることによって、NPNトランジスタ12aとPNPトランジスタ12bとで温度差が生じることを抑制できる。
図2(B)に示したように、1つのヒートシンク13に熱伝導性感圧接着性積層シート(F)14、14を介してNPNトランジスタ12a及びPNPトランジスタ12bを任意の固定手段により取り付けることによって、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)14(熱伝導性感圧接着層)は高い熱伝導性を有しているので、NPNトランジスタ12a及びPNPトランジスタ12bで発した熱は熱伝導性感圧接着性積層シート(F)14、14を介してヒートシンク13へと効率よく伝えられ、ヒートシンク13から放熱される。このとき、NPNトランジスタ12a及びPNPトランジスタ12bが、共に、高い熱伝導性を有する熱伝導性感圧接着性積層シート(F)14、14を介して一つのヒートシンク13に取り付けられていることによって、NPNトランジスタ12aとPNPトランジスタ12bとで温度差が生じることを抑制できる。
図2(C)は、発熱体である2つのトランジスタ22、22が熱伝導性感圧接着性積層シート(F)24を介して任意の固定手段により固定された様子を概略的に示す断面図である。
図2(C)に示したように、2つの発熱体22、22が熱伝導性感圧接着性積層シート(F)24を介して固定されることによって、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)24(熱伝導性感圧接着層)は高い熱伝導性を有しているので、2つの発熱体22、22の一方の温度が他方に比べて高くなれば、一方から他方へと速やかに熱を伝えられるので、2つの発熱体22、22の間で温度差が生じることを抑制できる。
図2(C)に示したように、2つの発熱体22、22が熱伝導性感圧接着性積層シート(F)24を介して固定されることによって、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)24(熱伝導性感圧接着層)は高い熱伝導性を有しているので、2つの発熱体22、22の一方の温度が他方に比べて高くなれば、一方から他方へと速やかに熱を伝えられるので、2つの発熱体22、22の間で温度差が生じることを抑制できる。
なお、上記例では放熱体としてヒートシンクを用いたが、電子部品の筐体などを放熱体とすることもできる。以下、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の他の使用例について説明する。
本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は、電子機器に備えられる電子部品の一部として用いることができる。当該電子機器及び電子部品の具体例としては、エレクトロルミネッセンス(EL)、発光ダイオード(LED)光源を有する機器における発熱部周囲の部品、自動車等のパワーデバイス周囲の部品、燃料電池、太陽電池、バッテリー、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートパソコン、液晶パネル、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、又は集積回路(IC)などの発熱部を有する機器や部品を挙げることができる。
なお、本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の電子機器への使用方法の一例としては、LED光源を例にすると下記に記述するような使用方法を挙げることができる。すなわちLED光源に直接貼り付ける;LED光源と放熱材料(ヒートシンク、ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、グラファイトシート等)との間に挟みこむ;LED光源に接続された放熱材料(ヒートシンク、ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、グラファイトシート等)に貼り付ける;LED光源を取り囲む筐体として使用する;LED光源を取り囲む筐体に貼り付ける;LED光源と筐体との隙間を埋める;等の方法である。LED光源の用途例としては、透過型の液晶パネルを有する表示装置のバックライト装置(テレビ、携帯、PC、ノートPC、PDA等);車両用灯具;工業用照明;商業用照明;一般住宅用照明;等が挙げられる。
また、LED光源以外の具体例としては、以下のものが挙げられる。すなわち、PDPパネル;IC発熱部;冷陰極管(CCFL);有機EL光源;無機EL光源;高輝度発光LED光源;高輝度発光有機EL光源;高輝度発光無機EL光源;CPU;MPU;半導体素子;等である。
更に本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の使用方法としては、装置の筐体に貼り付けること等を挙げることができる。例えば、自動車等に備えられる装置に使用する場合、自動車に備えられる筐体の内部に貼り付ける;自動車に備えられる筐体の外側に貼り付ける;自動車に備えられる筐体の内部にある発熱部(カーナビ/燃料電池/熱交換器)と該筐体とを接続する;自動車に備えられる筐体の内部にある発熱部(カーナビ/燃料電池/熱交換器)に接続した放熱板に貼り付ける;こと等が挙げられる。
なお、自動車以外にも、同様の方法で本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)を使用することができる。その対象としては、例えばパソコン;住宅;テレビ;携帯電話機;自動販売機;冷蔵庫;太陽電池;表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED);有機ELディスプレイ;無機ELディスプレイ;有機EL照明;無機EL照明;有機ELディスプレイ;ノートパソコン;PDA;燃料電池;半導体装置;炊飯器;洗濯機;洗濯乾燥機;光半導体素子と蛍光体とを組み合わせた光半導体装置;各種パワーデバイス;ゲーム機;キャパシタ;等が挙げられる。
更に、本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は上記の使用方法に留まらず、用途に応じて他の方法で使用することも可能である。例えば、カーペットや温暖マット等の熱の均一化のために使用する;LED光源/熱源の封止剤として使用する;太陽電池セルの封止剤として使用する;太陽電池のバックシ−トとして使用する;太陽電池のバックシ−トと屋根との間に使用する;自動販売機内部の断熱層の内側に使用する;有機EL照明の筐体内部に、乾燥剤や吸湿剤と共に使用する;有機EL照明の筐体内部の熱伝導層及びその上に、乾燥剤や吸湿剤と共に使用する;有機EL照明の筐体内部の熱伝導層、放熱層、及びその上に、乾燥剤や吸湿剤と共に使用する;有機EL照明の筐体内部の熱伝導層、エポキシ系の放熱層、及びその上に、乾燥剤や吸湿剤と共に使用する;人や動物を冷やすための装置、衣類、タオル、シート等の冷却部材に対し、身体と反対の面に使用する;電子写真複写機、電子写真プリンタ等の画像成形装置に搭載する定着装置の加圧部材に使用する;電子写真複写機、電子写真プリンタ等の画像成形装置に搭載する定着装置の加圧部材そのものとして使用する;制膜装置の処理対象体を載せる熱流制御用伝熱部として使用する;制膜装置の処理対象体を載せる熱流制御用伝熱部に使用する;放射性物質格納容器の外層と内装の間に使用する;太陽光線を吸収するソーラパネルを設置したボックス体の中に使用する;CCFLバックライトの反射シートとアルミシャーシの間に使用する;こと等を挙げることができる。
以下に、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、ここで用いる「部」や「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
<基材剥離性>
後に説明するようにして外側にある離型PETフィルム(離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム:基材44に相当。以下同じ。)及び未処理のPETフィルム(未処理のポリエチレンテレフタレートフィルム:基材43に相当。以下同じ。)により、熱伝導性感圧接着層及びコロナ処理されたPETフィルム(コロナ処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム;補強層に相当。以下同じ。)が挟持された熱伝導性感圧接着性積層シートを作製し、その後、補強層に積層された未処理のPETフィルム面にセロテープ(登録商標)を貼り、500gの錘を30秒間載置した。その後、セロハンテープと一緒に補強層に積層された未処理のPETフィルムを剥がした。このとき、熱伝導性感圧接着層と補強層とが適正な密着性を有していれば、熱伝導性感圧接着層と補強層とが剥離することなく未処理のPETフィルムを剥がすことができる。熱伝導性感圧接着層と補強層とが剥離することなく補強層から未処理のPETフィルムを剥がせた場合を「○」、補強層から未処理のPETフィルムを剥がす前に熱伝導性感圧接着層と補強層とが剥離した場合を「×」として、その結果を表2に示した。
後に説明するようにして外側にある離型PETフィルム(離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム:基材44に相当。以下同じ。)及び未処理のPETフィルム(未処理のポリエチレンテレフタレートフィルム:基材43に相当。以下同じ。)により、熱伝導性感圧接着層及びコロナ処理されたPETフィルム(コロナ処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム;補強層に相当。以下同じ。)が挟持された熱伝導性感圧接着性積層シートを作製し、その後、補強層に積層された未処理のPETフィルム面にセロテープ(登録商標)を貼り、500gの錘を30秒間載置した。その後、セロハンテープと一緒に補強層に積層された未処理のPETフィルムを剥がした。このとき、熱伝導性感圧接着層と補強層とが適正な密着性を有していれば、熱伝導性感圧接着層と補強層とが剥離することなく未処理のPETフィルムを剥がすことができる。熱伝導性感圧接着層と補強層とが剥離することなく補強層から未処理のPETフィルムを剥がせた場合を「○」、補強層から未処理のPETフィルムを剥がす前に熱伝導性感圧接着層と補強層とが剥離した場合を「×」として、その結果を表2に示した。
<折れしわ防止性>
後に説明するようにして熱伝導性感圧接着性積層シートを作製後、外側にある離型PETフィルム及び未処理のPETフィルムを剥がし、熱伝導性感圧接着層と補強層とを備えた熱伝導性感圧接着性積層シートだけの状態とした。これを120°折り曲げ、元に戻したときに、熱伝導性感圧接着性積層シートに折れしわが残らない場合を「○」、折れしわが残る場合を「×」として、その結果を表2に示した。この評価が「○」であれば、使用性に優れていると言える。
後に説明するようにして熱伝導性感圧接着性積層シートを作製後、外側にある離型PETフィルム及び未処理のPETフィルムを剥がし、熱伝導性感圧接着層と補強層とを備えた熱伝導性感圧接着性積層シートだけの状態とした。これを120°折り曲げ、元に戻したときに、熱伝導性感圧接着性積層シートに折れしわが残らない場合を「○」、折れしわが残る場合を「×」として、その結果を表2に示した。この評価が「○」であれば、使用性に優れていると言える。
<熱伝導性感圧接着性積層シートの作製>
(実施例1)
厚さ10μmのPETフィルムの片面にコロナ処理を施した。コロナ処理の条件は、コロナ処理装置(高周波電源;春日電機(株)製 CT−0212、発信機本体;春日電機(株)製 CT−0212、高圧トランス;春日電機(株)製 CT−T022)を用い、PETフィルム表面とコロナ処理装置の電極との距離が2mmとなるように調整し、出力0.15kW、ラインスピード0.5m/min、周囲温度23℃、周囲相対湿度55%RHの条件で、PETフィルム表面を1回コロナ処理することにより行った。
その後、PETフィルムのコロナ処理が施された面と反対側の面に厚さ50μmの未処理のPETフィルムをのせ、コロナ処理が施されたPETフィルムと未処理のPETフィルムとを易接着処理により積層させて、コロナ処理が施されたPETフィルムと未処理のPETフィルムとからなる積層体を得た。
(実施例1)
厚さ10μmのPETフィルムの片面にコロナ処理を施した。コロナ処理の条件は、コロナ処理装置(高周波電源;春日電機(株)製 CT−0212、発信機本体;春日電機(株)製 CT−0212、高圧トランス;春日電機(株)製 CT−T022)を用い、PETフィルム表面とコロナ処理装置の電極との距離が2mmとなるように調整し、出力0.15kW、ラインスピード0.5m/min、周囲温度23℃、周囲相対湿度55%RHの条件で、PETフィルム表面を1回コロナ処理することにより行った。
その後、PETフィルムのコロナ処理が施された面と反対側の面に厚さ50μmの未処理のPETフィルムをのせ、コロナ処理が施されたPETフィルムと未処理のPETフィルムとを易接着処理により積層させて、コロナ処理が施されたPETフィルムと未処理のPETフィルムとからなる積層体を得た。
反応器に、アクリル酸2−エチルヘキシル94%とアクリル酸6%とからなる単量体混合物100部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.03部及び酢酸エチル700部を入れて均一に溶解し、窒素置換後、80℃で6時間重合反応を行った。重合転化率は97%であった。得られた重合体を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、粘性のある固体状の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)を得た。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)の重量平均分子量(Mw)は270,000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は3.1であった。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算で求めた。
次に、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)69部と、有機過酸化物熱重合開始剤(1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン(1分間半減期温度は150℃である。))1部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びペンタエリスリトールジアクリレートを60:35:5の割合で混合した、架橋剤である多官能性単量体(ライトアクリレートPE−3A、共栄社化学株式会社製)1部と、熱伝導性フィラー(B)としての水酸化アルミニウム(日本軽金属株式会社製、商品名「BF−083」、平均粒径:8μm、BET比表面積:0.8m2/g)500部と、を電子天秤で計量し、これらを上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)30部と混合した。混合には、恒温槽(東機産業株式会社製、商品名「ビスコメイト 150III」)及びホバートミキサー(株式会社小平製作所製、商品名「ACM−5LVT型」、容量:5L)を用いた。ホバート容器の温調は50℃に設定し、真空(−0.1MPaG)にして、回転数目盛を3にして30分間攪拌した。
次に、上記混合組成物を、厚さ75μmの離型PETフィルム上の離型処理が施された面に垂らし、当該混合組成物上にさらに、上記積層体を、PETフィルムのコロナ処理を施した面と混合組成物とが接するように被せた。混合組成物が下側の離型PETフィルムと積層体とに挟持されてなるものを、混合組成物(熱伝導性感圧接着層)の厚さが490μmとなるように間隔を調整した2つのロールの間に通し、混合組成物をシート状に成形した。その後、当該積層体をオーブンに投入し、120℃で15分間加熱し、引き続き、150℃で25分間加熱した。この加熱工程によって、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び多官能性単量体を重合させ、またほぼ同時に、架橋剤である多官能性単量体により、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構造単位を含む重合体を架橋させることにより、上下をそれぞれ未処理のPETフィルムと離型PETフィルムとで挟持され、補強層がコロナ処理されたPETフィルムである熱伝導性感圧接着性積層シート(以下、単に「シート」と表記する。)を得た。なお、シート中の残存単量体量から、全単量体の重合転化率を計算したところ、99.9%であった。
(実施例2乃至4、及び比較例1乃至4)
熱伝導性感圧接着層に用いる各物質の配合、並びに、補強層への処理方法及び厚みを表2に示したように変更した以外は実施例1と同様にして実施例2乃至4に係るシート、及び比較例1乃至4に係るシートを作製した。なお、実施例4では、熱伝導性フィラー(B)として実施例1で用いた水酸化アルミニウムとともにアルミナ(昭和電工株式会社製、商品名「AL−47−H」、平均粒径:3μm、BET比表面積:1.1 m2/g)を併用し、さらにリン酸エステル(味の素ファインテクノ株式会社製、商品名「レオフォス65」、化合物名「リン酸トリアリールイソプロピル化物」)を用いた。比較例1では、補強層へのコロナ処理に代えてシリコン処理(離型処理)を施した。比較例2では補強層へ処理を施さなかった。また、比較例4では、(メタ)アクリル樹脂組成物に代えて水酸基末端液状ポリオレフィン(出光産業株式会社製、商品名「エポール」)、及び、その硬化剤であるポリウレタン(坂井化学工業社製、商品名「PU330」)を用いた。
熱伝導性感圧接着層に用いる各物質の配合、並びに、補強層への処理方法及び厚みを表2に示したように変更した以外は実施例1と同様にして実施例2乃至4に係るシート、及び比較例1乃至4に係るシートを作製した。なお、実施例4では、熱伝導性フィラー(B)として実施例1で用いた水酸化アルミニウムとともにアルミナ(昭和電工株式会社製、商品名「AL−47−H」、平均粒径:3μm、BET比表面積:1.1 m2/g)を併用し、さらにリン酸エステル(味の素ファインテクノ株式会社製、商品名「レオフォス65」、化合物名「リン酸トリアリールイソプロピル化物」)を用いた。比較例1では、補強層へのコロナ処理に代えてシリコン処理(離型処理)を施した。比較例2では補強層へ処理を施さなかった。また、比較例4では、(メタ)アクリル樹脂組成物に代えて水酸基末端液状ポリオレフィン(出光産業株式会社製、商品名「エポール」)、及び、その硬化剤であるポリウレタン(坂井化学工業社製、商品名「PU330」)を用いた。
表2に示したように、実施例に係るシートはいずれも優れた基材剥離性及び折れしわ防止性を有していた。
一方、補強層へのコロナ処理に代えてシリコン処理を施した比較例1に係るシート、補強層へ処理を施さなかった比較例2に係るシート、及び、補強層へのコロナ処理を施したが、(メタ)アクリル酸エステル重合体に代えて水酸基末端液状ポリオレフィンを用いた比較例4に係るシートは、基材剥離性の評価試験において熱伝導性感圧接着層から補強層を剥がす前に熱伝導性感圧接着層と補強層とが剥離してしまった。また、補強層の厚みが厚かった比較例3に係るシートは、折れしわ防止性の評価試験において熱伝導性感圧接着性積層シートに折れしわが生じ、使用性に劣っていた。
一方、補強層へのコロナ処理に代えてシリコン処理を施した比較例1に係るシート、補強層へ処理を施さなかった比較例2に係るシート、及び、補強層へのコロナ処理を施したが、(メタ)アクリル酸エステル重合体に代えて水酸基末端液状ポリオレフィンを用いた比較例4に係るシートは、基材剥離性の評価試験において熱伝導性感圧接着層から補強層を剥がす前に熱伝導性感圧接着層と補強層とが剥離してしまった。また、補強層の厚みが厚かった比較例3に係るシートは、折れしわ防止性の評価試験において熱伝導性感圧接着性積層シートに折れしわが生じ、使用性に劣っていた。
1 基板
2、12a、12b、22 発熱体
3、13 放熱体
4、14、24 熱伝導性感圧接着性積層シート
40 熱伝導性感圧接着性積層シート
41 熱伝導性感圧接着層
42 補強層
43、44 基材
2、12a、12b、22 発熱体
3、13 放熱体
4、14、24 熱伝導性感圧接着性積層シート
40 熱伝導性感圧接着性積層シート
41 熱伝導性感圧接着層
42 補強層
43、44 基材
Claims (3)
- 熱伝導性及び感圧接着性を有する熱伝導性感圧接着層と、補強層と、を備えた熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の製造方法であって、
前記補強層の片面にコロナ処理を施すコロナ処理工程と、
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、
熱伝導性フィラー(B)を150質量部以上1500質量部以下と、
を含む混合組成物をシート状に成形した後、又はシート状に成形しながら、前記混合組成物を前記補強層のコロナ処理を施された面に接触させた状態で、少なくとも前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行うことによって、前記補強層のコロナ処理を施された面に前記熱伝導性感圧接着層を積層する熱伝導性感圧接着層積層工程と、
を含み、
前記補強層の厚さが1μm以上40μm以下である、
熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の製造方法。 - 請求項1に記載の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)の製造方法により得られる熱伝導性感圧接着性積層シート(F)。
- 請求項2に記載の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)を備えた電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013262964A JP2015117341A (ja) | 2013-12-19 | 2013-12-19 | 熱伝導性感圧接着性積層シートの製造方法、熱伝導性感圧接着性積層シート、及び、電子機器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013262964A JP2015117341A (ja) | 2013-12-19 | 2013-12-19 | 熱伝導性感圧接着性積層シートの製造方法、熱伝導性感圧接着性積層シート、及び、電子機器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015117341A true JP2015117341A (ja) | 2015-06-25 |
Family
ID=53530381
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013262964A Pending JP2015117341A (ja) | 2013-12-19 | 2013-12-19 | 熱伝導性感圧接着性積層シートの製造方法、熱伝導性感圧接着性積層シート、及び、電子機器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015117341A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019145306A (ja) * | 2018-02-20 | 2019-08-29 | トヨタ自動車株式会社 | 非水電解質二次電池 |
JP2020157554A (ja) * | 2019-03-26 | 2020-10-01 | 三菱電線工業株式会社 | 熱伝導性積層構造及びそれを用いた放熱構造体 |
-
2013
- 2013-12-19 JP JP2013262964A patent/JP2015117341A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019145306A (ja) * | 2018-02-20 | 2019-08-29 | トヨタ自動車株式会社 | 非水電解質二次電池 |
JP2020157554A (ja) * | 2019-03-26 | 2020-10-01 | 三菱電線工業株式会社 | 熱伝導性積層構造及びそれを用いた放熱構造体 |
JP7282558B2 (ja) | 2019-03-26 | 2023-05-29 | 三菱電線工業株式会社 | 熱伝導性積層構造及びそれを用いた放熱構造体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5975028B2 (ja) | 熱伝導性感圧接着性シート状成形体、その製造方法、及び電子機器 | |
JPWO2012132656A1 (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子部品 | |
JP2016188297A (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び、電子機器 | |
WO2013047145A1 (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子部品 | |
WO2013084750A1 (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 | |
JP2014028903A (ja) | 熱伝導性積層シート、熱伝導性積層シートの製造方法、及び電子機器 | |
JP2013129814A (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 | |
JP2013124289A (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 | |
JPWO2013175950A1 (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 | |
JP2015067638A (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 | |
JP2015067640A (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 | |
JP2015117341A (ja) | 熱伝導性感圧接着性積層シートの製造方法、熱伝導性感圧接着性積層シート、及び、電子機器 | |
JPWO2013183389A1 (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 | |
JP2014009287A (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 | |
JP2014005336A (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 | |
WO2015056577A1 (ja) | 熱伝導性感圧接着性積層シート、熱伝導性感圧接着性積層シートの製造方法、及び電子機器 | |
WO2015060092A1 (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 | |
JP2016210936A (ja) | 熱伝導性感圧接着性積層シート(f)、熱伝導性感圧接着性積層シート(f)の製造方法、及び、電子機器 | |
JP2016175950A (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び、電子機器 | |
WO2013061830A1 (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子部品 | |
JP2012116885A (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、並びに電子部品 | |
JP2015067637A (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 | |
WO2015156257A1 (ja) | 熱伝導性感圧接着性積層シートの製造方法、熱伝導性感圧接着性積層シート、及び、電子機器 | |
JP2013006951A (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び電子機器 | |
JP2012116886A (ja) | 熱伝導性感圧接着剤組成物及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、並びに電子部品 |