JP6886328B2 - カルボキシメチルエチルセルロース又はその塩の製造方法 - Google Patents
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かかる用途において、CMECは、白色度が高いものが、医薬品添加物規格の観点から好まれる。
前記の漂白剤としては、取扱いが容易である過酸化水素を用いることができるが、過酸化水素によるセルロースの解重合も併発してしまうため(例えば、特許文献1参照)、漂白工程によりCMECの粘度が変化してしまい、医薬品添加物規格等の特定の規格に適合させることが困難になるという問題がある。
即ち本発明は、漂白されたカルボキシメチルエチルセルロース又はその塩の製造方法であって、カルボキシメチルエチルセルロース(A)の塩と有機溶剤(B)と水とを含有するpHが9.00〜9.10である混合液(C)と、過酸化水素とを混合する工程を有する製造方法であり、前記有機溶剤(B)がアルコール系溶剤である製造方法である。
なお、本発明における漂白されたカルボキシメチルエチルセルロースとは、ハーゼン単位色数が300以下であるカルボキシメチルエチルセルロースであることが好ましく、250以下であることが更に好ましく、200以下であることが特に好ましい。
本発明において、ハーゼン単位色数は、乾燥させたカルボキシメチルエチルセルロース又はその塩10部と、メタノール及びジクロロメタンの混合溶液[重量比1:1]90部とを混合した溶液を試料として、JIS K4101に準拠して測定することができる。
一般式(1)において、Mは、アルカリ金属塩であり、好ましいものとしてはナトリウムが挙げられる。
m個あるaの平均値は、製造の結果得られるCMECの白色度及び粘度の観点から、2.0〜2.4であることが好ましい。
m個あるbの平均値は、製造の結果得られるCMECの白色度及び粘度の観点から、0.45〜0.55であることが好ましい。
一般式(1)において、mは、150≦m≦350を満たす正数であることが好ましい。
CMCの塩は、セロゲンPL−15[CMCのナトリウム塩、第一工業製薬(株)製]等として市場から入手することができる。
上記のエチルエーテル化反応は、公知の方法(特開平05−017501号公報及び特開平06−009701号公報等に記載の方法)を用いることができる。
上記の解重合反応は、例えば、CMCの塩の水溶液に水酸化ナトリウムを添加し、100〜120℃で加熱することで実施することができる。
有機溶剤(B)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの有機溶剤の内、製造の結果得られるCMECの白色度及び粘度の観点から好ましいのは、アルコール系溶剤であり、更に好ましいのはtert−ブチルアルコールである。
混合液(C)が含有する前記の有機溶剤(B)の重量割合は、製造の結果得られるCMECの白色度及び粘度の観点から、前記の混合液(C)の重量を基準として、1〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは5〜30重量%であり、特に好ましいのは10〜20重量%である。
また、製造の結果得られるCMECの白色度及び粘度の観点から、前記の混合液(C)のpHは、9.02〜9.08であることが好ましい。
混合液(C)のpHは、公知の酸(酢酸及び硫酸等)及び/又は塩基(水酸化ナトリウム等)を用いることで調整することができる。
なお、本願において、前記の混合時間は、混合液(C)に過酸化水素を投入した時を、開始時間とする。
また、前記の混合工程は、混合液(C)を撹拌しながら、過酸化水素を投入することが好ましく、過酸化水素の投入開始から投入終了までの時間が、前記の好ましい混合時間の範囲内であることが更に好ましい。
また、前記の混合工程は、後述の過酸化水素分解工程を開始することで、終了[混合液(C)と過酸化水素との混合の終了]することが好ましい。
温度が40℃以上であると過酸化水素の酸化効果が高まる観点から好ましく、温度が80℃以下であると、過酸化水素の自己分解を抑制できる観点から好ましい。
本発明の製造方法において、漂白されたCMECを製造する場合は、CMECの塩を酸型であるCMEC(以下単にCMECと表記することがある)にする酸性化工程を実施する必要がある。
亜硫酸ナトリウムの投入重量の割合は、製造の結果得られるCMECの白色度及び粘度の観点から、投入した過酸化水素の重量を基準として、10〜50重量%であることが好ましい。
前記の過酸化水素分解工程は、混合工程実施直後、他の工程実施前に、実施することが好ましい。
水洗工程は、例えば、前記の混合工程で得た、漂白されたCMECの塩を含有する混合液のpHを2.5〜3.0とすることで、CMECの塩を、酸型のCMECとし、更に、目的物である酸型のCMECを含有する有機溶剤相と、不純物である塩類等を含有する水相に分離させ、その後、水相を除去することで実施できる。
pHは、公知の酸(酢酸及び硫酸等)及び/又は塩基(水酸化ナトリウム等)を用いることで調整することができる。
また、必要に応じて、再度水を投入し、撹拌した後に、再度水相を除去する操作を繰り返してもよい。
上記の水洗工程後に得られるのは、酸型のCMECを含有する有機溶剤相であり、水洗工程後の酸型のCMECを含有する有機溶剤相に、公知の塩基(水酸化ナトリウム等)及び水を投入し、CMECの塩に戻すことができる。
酸性化工程後に水洗工程を実施する場合には、前記の酸性化工程で酸型のCMECを含有する混合液とした後に、水を投入、撹拌し、水相を除去することで実施できる。
溶剤を除去する手段としては、減圧乾燥等公知の手段が挙げられる。
脱溶剤工程において、溶剤を完全に除去した場合は、漂白されたCMEC又はその塩の粉末を得ることができる。
脱溶剤工程において、全ての溶剤を完全に除去する場合は、他の工程をあらかじめ実施した後に、最後に実施することが好ましい。
尚、以下において部は重量部を表す。
反応容器に、CMCのナトリウム塩[セロゲンPL−15、第一工業製薬(株)製]423.5部、tert−ブチルアルコール750.0部、水30.0部、水酸化ナトリウム183.0部及びトリエチルアミン17.0部を投入し、110℃で13時間撹拌して解重合反応を行った。
その後、エチルクロライド295.0部を投入し、110℃で13時間反応させた。
その後、48重量%水酸化ナトリウム水溶液を760.0部投入し、更にエチルクロライド621.0部を投入し、110℃で9時間反応させた。
次に、水2300.0部と62重量%硫酸水溶液20.0部とを投入し、中和することで、CMECのナトリウム塩(A−1)を含有する混合液(C−1)を得た。
(A−1)は、一般式(1)において、Mがナトリウムであり、aの平均値が2.2であり、bの平均値が0.45であるCMECのナトリウム塩であった。
製造例1で得た混合液(C−1)に、62重量%硫酸水溶液及び/又は30重量%水酸化ナトリウム水溶液を投入することで(投入する62重量%硫酸水溶液及び30重量%水酸化ナトリウム水溶液の合計重量を500部以下とする)、pHが表1記載の値となるように調整した。なお、前記のpH調整は混合液の温度を60±3℃に保って実施した。
その後、混合液の温度を60±3℃に保ったまま撹拌しつつ、35重量%過酸化水素水120.0部を表1記載の時間をかけて投入した。
その後、水1510.0部と無水亜硫酸ナトリウム14.0部とを投入し、60℃で30分撹拌することで、過酸化水素を分解させた。
次に、水2712.0部と62重量%硫酸水溶液265.3部とを投入することで、CMECのナトリウム塩を酸型のCMECに変換した。
続いて、水1000.0部を投入し、30分撹拌後に、分液した水相を除去する操作を3回繰り返した。
その後、減圧乾燥することで、tert−ブチルアルコールを除去し、CMECの粉末を得た。
CMECの粉末10部と、メタノール及びジクロロメタンの混合溶液[重量比1:1]90部とを混合した溶液を試料として、JIS K4101に準拠して、ハーゼン単位色数を測定した。
ハーゼン単位色数の値が小さい程、白色度が高く、CMECとして品質が高いことを示す。
CMECの粉末10部と、メタノール及びジクロロメタンの混合溶液[重量比1:1]90部とを混合した溶液を試料として、ウベローデ型粘度計を用いて、20±0.1℃の条件での粘度を測定した。
Claims (2)
- 漂白されたカルボキシメチルエチルセルロース又はその塩の製造方法であって、カルボキシメチルエチルセルロース(A)の塩と有機溶剤(B)と水とを含有するpHが9.00〜9.10である混合液(C)と、過酸化水素とを混合する工程を有する製造方法であり、前記有機溶剤(B)がアルコール系溶剤である製造方法。
- 前記混合液(C)と過酸化水素との混合時間が、300〜1500分である請求項1に記載の製造方法。
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