以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
<第1実施形態>
最初に、本発明の実施形態の画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の部分垂直断面正面図の一例である。なお、図中の矢印付き二点鎖線はシートの搬送経路及び搬送方向を示す。
画像形成装置100は、図1に示すように所謂タンデム型のカラー複写機であり、原稿の画像を読み取る画像読取部102と、読み取った画像を用紙等のシートに印刷する印刷部103と、印刷条件の入力や稼働状況の表示を行うための操作部104と、主制御部105とを備える。
画像読取部102は不図示のプラテンガラスの上面に載置された原稿の画像を不図示のスキャナを移動して読み取る公知のものである。原稿の画像は赤(R)、緑(G)、青(B)の三色に色分解され、不図示のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーで電気信号に変換される。これにより、画像読取部102は赤(R)、緑(G)、青(B)の色別の画像データを得る。
画像読取部102が得た色別の画像データは主制御部105において各種処理が行われ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換されて主制御部105の不図示のメモリーに格納される。メモリーに格納された再現色別の画像データは位置ずれ補正のための処理を受けた後、像担持体である感光体ドラム121に対する光走査を行うためにシートの搬送と同期して走査ラインごとに読み出される。
印刷部103は電子写真方式によって画像を形成し、その画像をシートに転写する。印刷部103は中間転写体を無端状のベルトとして形成した中間転写ベルト111を備える。中間転写ベルト111は駆動ローラ112、テンションローラ113及び従動ローラ114に巻き掛けられる。中間転写ベルト111には、テンションローラ113が不図示のバネによって図1における上方に付勢されることにより張力が与えられる。中間転写ベルト111は駆動ローラ112によって図1における反時計回りに回転移動する。
駆動ローラ112は中間転写ベルト111を挟んで対向する二次転写ローラ115を圧して接触する。従動ローラ114の箇所では、中間転写ベルト111を挟んで従動ローラ114に対向するように設けられた中間転写クリーニング部116が中間転写ベルト111の外周面に接触する。中間転写クリーニング部116は中間転写ベルト111の外周面に形成されたトナー像がシートSに転写された後、中間転写ベルト111の外周面に残留したトナーなどの付着物を除去してクリーニングする。
中間転写ベルト111の下方にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色に対応する画像形成部120Y、120M、120C、120Kが設けられる。なおこの説明において、特に限定する必要がある場合を除き、「Y」、「M」、「C」、「K」の識別記号の記載を省略して、例えば「画像形成部120」と総称することがある。4台の画像形成部120は中間転写ベルト111の回転方向に沿って、回転方向の上流側から下流側に向けて一列にして配置される。4台の画像形成部120は構成がすべて同じであり、図1における時計回りに回転する感光体ドラム121を中心としてその周囲に帯電部、露光部、現像部、ドラムクリーニング部及び一次転写ローラを備える。
画像形成部120の下方には露光装置である走査光学装置123が配置される。走査光学装置123は4台の画像形成部120に対して1台で対応し、4個の感光体ドラム121各々に個別に対応した不図示の4つの半導体レーザ等の光源を有する。走査光学装置123は4つの半導体レーザを各再現色の画像階調データに応じて変調して、各再現色に対応するレーザ光を4個の感光体ドラム121に対して個別に出射する。
走査光学装置123の下方には、内部に用紙等のシートSを複数積載して収容するシート積載装置140が設けられる。シート積載装置140の内部に収容されたシートSはその最上層から順に1枚ずつシート搬送路Qに送り出される。シート積載装置140からシート搬送路Qに送り出されたシートSはレジストローラ対154の箇所に到達する。そして、レジストローラ対154がシートSの斜め送りを矯正(スキュー補正)しつつ中間転写ベルト111の回転と同期をとって、中間転写ベルト111と二次転写ローラ115との接触部(二次転写ニップ部)に向けてシートSを送り出す。
画像形成部120では走査光学装置123から照射されたレーザ光によって感光体ドラム121の表面に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像部によってトナー像として可視像化される。感光体ドラム121の表面に形成されたトナー像は感光体ドラム121が中間転写ベルト111を挟んで一次転写ローラと対向する箇所において中間転写ベルト111の外周面に一次転写される。そして、中間転写ベルト111の回転とともに所定のタイミングで各画像形成部120のトナー像が順次中間転写ベルト111に転写されることにより、中間転写ベルト111の外周面にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト111の外周面に一次転写されたカラートナー像はレジストローラ対154により同期をとって送られてきたシートSに、中間転写ベルト111と二次転写ローラ115とが接触して形成される二次転写ニップ部にて転写される。
二次転写ニップ部の上方には定着部155が備えられる。二次転写ニップ部にて未定着トナー像が転写されたシートSは定着部155へと送られて加熱ローラ及び加圧ローラに挟まれ、トナー像が加熱、加圧されてシートSに定着される。定着部155を通過したシートSは中間転写ベルト111の上方に設けられたシート排出部156に排出される。
操作部104は画像読取部102の正面側に設けられる。操作部104は、例えばユーザーによる印刷に使用するシートSの種類やサイズ、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件などの設定の入力や、ファクシミリ送信におけるファックス番号や送信者名などの設定の入力を受け付ける。また、操作部104は、例えば装置の状態や注意事項、エラーメッセージなどを表示部104wに表示することによって、それらをユーザーに対して報知するための報知部としての役割も果たす。
また、画像形成装置100にはその全体の動作制御のため、不図示のCPUや画像処理部、その他の図示しない電子部品で構成された主制御部105が設けられる。主制御部105は中央演算処理装置であるCPUと画像処理部とを利用し、メモリーに記憶、入力されたプログラム、データに基づき画像読取部102や印刷部103などといった構成要素を制御して一連の画像形成動作、印刷動作を実現する。
そして、画像形成装置100はシート積載装置1を備える。シート積載装置1は、図1において画像形成装置100を正面側から見て本体部101の左方に、本体部101に対して着脱可能に連結される。シート積載装置1には定着部155を通過したシートSがシート排出部156の下方の搬送経路を経て到達する。
シート積載装置1はトナー像の定着が完了したシートSに対して、例えば1回の印刷ジョブで同じ文書を複数部数印刷する場合に、部単位ごとに束ねて排出することができる。また、シート積載装置1は、例えばパンチ処理やステイプル処理、二つ折り処理などの後処理を施すことができる。なお、シート積載装置は機能を限定することで、シート排出部156の図1における破線の箇所に設置することも可能である。
続いて、画像形成装置100のシート積載装置1の概略構成について、図2を用いて説明する。図2はシート積載装置の概略構成図である。
シート積載装置1は、図2に示すようにシート搬入口2、第1シート排出路3、第2シート排出路4、中間トレイ(第1トレイ)5、排出トレイ(第2トレイ)6、サブトレイ7、後処理装置8及びグリップ部20を備える。
シート搬入口2は画像形成装置100の本体部101と対向する側面に設けられ、開口する。定着部155を通過したシートSはシート搬入口2を通ってシート積載装置1の内部に搬入される。
第1シート排出路3はシート搬入口2から中間トレイ5まで延びる。第2シート排出路4は第1シート排出路3の途中から分岐し、サブトレイ7まで延びる。中間トレイ5のシート搬送方向下流側に排出トレイ6が設けられる。サブトレイ7はシート積載装置1の上部に配置され、排出トレイ6はサブトレイ7よりも下方に配置される。
中間トレイ5、排出トレイ6及びサブトレイ7はシート載置面がシート搬送方向下流に向かうに従って上昇する傾斜を成す。ユーザーは排出トレイ6またはサブトレイ7に排出されたシートSを取り出すことができる。
後処理装置8は中間トレイ5のシート搬送方向上流側に配置される。後処理装置8は例えばステイプル装置で構成される。シート積載装置1は後処理装置8を用いて、中間トレイ5に搬送されたシートSの束に対してステイプル処理等の後処理を施すことができる。
グリップ部20は中間トレイ5に設けられる。シート積載装置1は中間トレイ5に載置されて後処理が施されたシートSに対して、グリップ部20を用いてシートSを把持し、中間トレイ5のシート搬送方向下流側に設けられた排出トレイ6にシートSを搬送する。
続いて、シート積載装置1の中間トレイ5、グリップ部20及びグリップ部20の駆動部の詳細な構成について、図3〜図10を用いて説明する。図3及び図4は中間トレイ5、グリップ部20及びグリップ部20の駆動部の全体を示す正面図及び斜視図である。図5及び図6はグリップ部20、スライド部及び動力伝達部の正面図及び斜視図である。図7及び図8はスライド部、昇降部及び動力伝達部の正面図及び斜視図である。図9及び図10はスライド部、昇降部及び動力伝達部の正面側から見た斜視図及び背面側から見た斜視図である。
中間トレイ5はその筐体部5aの上面にシート載置面5bを備える。シート載置面5bは前述のようにシート搬送方向下流に向かうに従って上昇する傾斜を成す。すなわち、中間トレイ5はシート載置面5bのシートSの把持位置G1がシートSの解放位置G2よりも下方に位置する傾斜を成して構成される。また、中間トレイ5はシート搬送方向と交差するシート幅方向の中央部にシート後端部材5cを備える。シート後端部材5cは第1シート排出路3から自由落下するシートSを受け、シートSを把持位置G1に移動させる。
そして、中間トレイ5はグリップ部20に加えて、図3及び図4に示すグリップ部20の駆動部であるスライド部30、昇降部40及び動力伝達部50を備える。
グリップ部20は同じ構成のものが対を成し、中間トレイ5を挟んでシート幅方向に並べて配置される。シートSを中間トレイ5から排出トレイ6に搬送するとき、グリップ部20は中間トレイ5のシート載置面5bよりも上方に現れる。グリップ部20は、図5及び図6に示す下グリップ21、上グリップ22及び把持付勢部材23を備える。
下グリップ21はグリップ部20の下部に形成されてシートSの下面に対向する把持面21aを備える。把持面21aがシートSに下方から接触する。また、下グリップ21は把持面21aに対して直角を成して上方に向かって延びる壁部21bを備える。壁部21bがシートSにシート搬送方向上流側から接触する。
また、下グリップ21は把持面21aの中間トレイ5側に係止片21cを備える。これに対して、中間トレイ5はシートSの把持位置G1のシート載置面5bよりも下方、且つ係止片21cよりも上方に係止板5dを備える。係止片21cはグリップ部20が中間トレイ5のシート搬送方向上流部においてシートSの把持位置G1に向かって上昇したときに係止板5dの下面に接触する。これにより、シートSの把持位置G1において、下グリップ21の把持面21aがシート載置面5bよりも上方に変位しないようになっている。
上グリップ22はグリップ部20の上部に配置される。上グリップ22は図5に示すようにシート幅方向から見て、シート搬送方向の上流端及び下流端が下方に向かって湾曲した略三日月形の形状を有する。上グリップ22のシート搬送方向下流端がシートSに上方から接触する。
下グリップ21はその壁部21bの、上グリップ22のシート搬送方向の略中央部に対応する箇所にシート幅方向に延びる連結軸21dを備える。上グリップ22は連結軸21dを介して回転可能に下グリップ21に連結される。
把持付勢部材23は連結軸21dの箇所に設けられる。把持付勢部材23は例えばねじりコイルばねで構成され、上グリップ22のシート搬送方向下流部が下グリップ21の把持面21aに接近する方向に上グリップ22を連結軸21d回りに回転付勢する。
なお、上グリップ22のシート搬送方向上流端には、中間トレイ5の筐体部5aに対する接触部22aが設けられる。接触部22aはグリップ部20が中間トレイ5のシート搬送方向の最も上流に移動したときに筐体部5aに接触する。これにより、上グリップ22のシート搬送方向下流部が把持付勢部材23の付勢力に抗して下グリップ21の把持面21aから離隔する方向に上グリップ22を連結軸21d回りに回転変位させる(図11参照)。その結果、シートSを把持するに際し、グリップ部20の下グリップ21及び上グリップ22が十分に拡げられる。
スライド部30は対を成すグリップ部20各々に対して個別に設けられる。スライド部30はグリップ部20の概ね下方に配置される。スライド部30は、図3〜図10に示すコロ31、レール部材32、クランク部33及びクランクアーム34を備える。
コロ31は中間トレイ5のシート幅方向の中央部に対してグリップ部20よりも外側に配置される。コロ31は下グリップ21のシート幅方向外側に取り付けられた支持部材35に設けられたシート幅方向に延びる支軸に回転可能に支持される。コロ31はシート搬送方向に沿って、下グリップ21の把持面21aと平行に2個が並べて配置される。
レール部材32は中間トレイ5のシート幅方向の中央部に対してグリップ部20よりも外側に配置される。レール部材32は中間トレイ5のシート載置面5bと平行に延びるガイド部32aを備える。
ガイド部32aはシート幅方向内側(中間トレイ5側)からシート幅方向外側に向かって窪んでシート載置面5bと平行に延びる樋状に形成される。ガイド部32aの内部にはグリップ部20に支持された2個のコロ31が挿入される。コロ31はシート搬送方向に沿って移動可能にガイド部32aに係合する係合部材である。ガイド部32aのシート搬送方向の中央部から下流部にかけての領域を含むその大半は、コロ31の外径に対してがたつきが無い程度の幅を有する。これにより、コロ31はガイド部32aの内部をスムーズに移動することができる。
ガイド部32aはシート搬送方向上流端に設けられた拡大部32bを備える(図8参照)。拡大部32bではシート搬送方向を上流側に向かうに従って中間トレイ5のシート載置面5bから離れる方向、すなわち下方向にガイド部32aが拡大する。拡大部32bにおいて、コロ31はガイド部32aが延びる方向であるシート搬送方向と交差する上下方向に関して移動が可能である。
また、レール部材32は回転ガイド部材321、回転ガイド付勢部材322及び回転阻止部323を備える。
回転ガイド部材321はレール部材32のシート搬送方向下流部に設けられ、ガイド部32aの一部を含む。すなわち、ガイド部32aのシート搬送方向下流部及び下流端は回転ガイド部材321に形成される。回転ガイド部材321はレール部材32のシート搬送方向下流端において、シート幅方向に延びる支軸32c回りに回転可能に支持される。回転ガイド部材321はレール部材32の本体部に対して相対的に回転変位する。
回転ガイド部材321は支軸32cに対する径方向外側に、中間トレイ5のシート幅方向中央部に対するシート幅方向外側に向かって突出する突起32dを備える。一方、レール部材32は突起32dに対応する箇所に、支軸32cの軸線を中心とする周方向に円弧状に湾曲し、シート幅方向に沿って貫通した規制溝32eを備える。規制溝32eには突起32dが挿入されて係合し、規制溝32eが突起32dの回転可能範囲、すなわち回転ガイド部材321の回転可能範囲を規制する。
回転ガイド付勢部材322は支軸32cの箇所に設けられる。回転ガイド付勢部材322は例えばねじりコイルばねで構成され、回転ガイド部材321のシート搬送方向上流部が中間トレイ5のシート載置面5bに接近する方向に回転ガイド部材321を支軸32c回りに回転付勢する。
回転阻止部323は回転ガイド部材321の上面、且つ回転ガイド付勢部材322によって付勢された回転ガイド部材321の回転方向の下流端の面に設けられる。回転阻止部323はレール部材32が中間トレイ5のシート載置面5bに最も接近した状態において中間トレイ5の筐体部5aに接触する。これにより、回転阻止部323は回転ガイド部材321がシート搬送方向と平行を成す姿勢から回転変位することを回転ガイド付勢部材322の付勢力に抗して阻止する。すなわち、レール部材32が中間トレイ5のシート載置面5bに最も接近した状態において、ガイド部32aはそのシート搬送方向の上流部から回転ガイド部材321に設けられたシート搬送方向の下流端まで直線状に延び、コロ31がガイド部32aのシート搬送方向の上流端から下流端まで直線的に移動できる。
なお、回転ガイド部材321はその下部に回転戻し部である係合片324を備える。係合片324には、レール部材32が下方に移動してシート載置面5bに対して所定距離離隔し、シートSの解放位置G2に接近した状態において昇降部40が接触する。これにより、レール部材32がシート載置面5bよりも下方にある状態において、回転ガイド部材321が回転ガイド付勢部材322の付勢力に抗して回転変位し、ガイド部32aがそのシート搬送方向の上流部から下流端まで直線状に延びる形態に戻される。
クランク部33は中間トレイ5のシート載置面5bよりも下方に設けられる。クランク部33はクランク軸33a及びクランクピン33bを備える。クランク軸33aはシート幅方向に延びて中間トレイ5の筐体部5aに回転可能に支持される。クランクピン33bはクランク軸33aに対して径方向外側に離隔してクランク軸33aと平行に延びる。
なお、クランク部33は動力伝達部50の回転体である円板部材51に形成される。円板部材51はその回転平面がシート搬送方向及び上下方向に延びるように配置される。クランク部33はシート搬送方向及び上下方向に延びる面内でクランク軸33a回りに回転可能である。
クランクアーム34は中間トレイ5のシート幅方向の中央部に対してクランク部33よりも外側に配置される。クランクアーム34は概ね上下方向に延びる長手状に形成され、第1アーム部材341及び第2アーム部材342で構成される。
第1アーム部材341はクランクアーム34の下部に設けられる。第1アーム部材341はその下端がクランク軸33aと平行を成す支軸341aを介して回転可能に筐体部5aに支持される。第1アーム部材341は断面形状が矩形を成す角型の筒状に構成される。第1アーム部材341の内部には支軸341aが設けられた下端に対して反対側である上端の開口から第2アーム部材342が挿入されて嵌合する。
第2アーム部材342はクランクアーム34の上部に設けられる。第2アーム部材342はその下部が第1アーム部材341の内部に挿入され、第1アーム部材341に対して相対変位することが可能である。第2アーム部材342の上端にはグリップ部20がシート幅方向に延びる軸線回りに回転可能に取り付けられる。
第2アーム部材342はその長手方向に延び、シート幅方向に窪んだ溝部342aを有する。溝部342aはクランクピン33bが挿入可能な幅を有し、クランクピン33bがクランクアーム34の長手方向に沿って移動可能に係合する。
昇降部40はスライド部30と同様に、対を成すグリップ部20各々に対して個別に設けられる。昇降部40はグリップ部20の概ね下方に配置される。昇降部40は、図3、図4及び図7〜図10に示すカム部41、フォロア部材42及びリンク機構43を備える。
カム部41は中間トレイ5のシート載置面5bよりも下方に設けられる。カム部41はカム軸41a及びカム溝41bを備える。カム軸41aはシート幅方向に延びて中間トレイ5の筐体部5aに回転可能に支持される。カム溝41bはカム軸41aの軸線に対して径方向外側に、その軸線を囲んだ環状に形成される。
なお、カム部41は動力伝達部50の円板部材51に形成される。カム溝41bは円板部材51の、クランクピン33bが形成された一方の平面とは反対側の他方の平面に形成される。カム部41はシート搬送方向及び上下方向に延びる面内でカム軸41a回りに回転可能である。
フォロア部材42はカム部41に対してシート幅方向に隣接して配置される。フォロア部材42は長手状を成し、一端がカム軸41aと平行を成す支軸42aを介して回転可能に筐体部5aに支持される。支軸42aは円板部材51の径方向外側に設けられる。フォロア部材42の他端にはフォロア部42bが設けられる。フォロア部42bはシート幅方向にカム溝41bに向かって突出し、カム溝41bの内部に挿入される。フォロア部材42はカム溝41bの形状に連動して支軸42aの軸線回りに揺動可能である。
リンク機構43はレール部材32の下方に配置され、レール部材32とフォロア部材42との間に連結される。リンク機構43は第1リンク部材431、第2リンク部材432、連結リンク433及び連動ギア434を備える。
第1リンク部材431及び第2リンク部材432は互いにほぼ同じ形状を有し、中間トレイ5のシート搬送方向に並べて配置される。第1リンク部材431及び第2リンク部材432は各々、下部のシート搬送方向と平行を成す位置に設けられたシート幅方向に延びる支軸431a、432aを介して回転可能に筐体部5aに支持される。
また、第1リンク部材431及び第2リンク部材432は各々、上端に係合ピン431b、432bを備える。一方、レール部材32はガイド部32aの下方に2個のスリット32g、32hを備える。2個のスリット32g、32hは各々、中間トレイ5のシート搬送方向と平行に延び、且つ互いがシート搬送方向と平行に並べて配置される。レール部材32のシート搬送方向上流部に配置されたスリット32gには第1リンク部材431の係合ピン431bが挿入されて係合する。。レール部材32のシート搬送方向下流部に配置されたスリット32hには第2リンク部材432の係合ピン421bが挿入されて係合する。
連結リンク433は第1リンク部材431及び第2リンク部材432の下部、且つこれらの間に配置される。連結リンク433は第1リンク部材431と第2リンク部材432とを連結する。
連動ギア434は第1リンク部材431の下方に配置される。連動ギア434は回転中心がフォロア部材42の支軸42aに接続される。すなわち、連動ギア434はフォロア部材42の揺動とともに、支軸42aの軸線回りに回転可能である。連動ギア434は第1リンク部材431の支軸431aの下方に設けられたギア部431cと噛み合う。
リンク機構43はフォロア部材42の揺動が連動ギア434を介して第1リンク部材431に伝達されて、連結リンク433を介して第2リンク部材432が第1リンク部材431と同じ動作を行う。その結果、リンク機構43はフォロア部材42の揺動に連動してレール部材32、すなわちスライド部30を上下方向に移動させる。
動力伝達部50はスライド部30及び昇降部40の下部に配置される。動力伝達部50は単一の回転体である円板部材51を有する。円板部材51は前述のようにその回転平面がシート搬送方向及び上下方向に延びるように配置される。円板部材51の一方の回転平面にはクランク部33が形成され、他方の回転平面にはカム部41が形成される。
クランク軸33aは円板部材51の中心軸線部に形成される。クランクピン33bは円板部材51の一方の回転平面に形成され、その回転平面からシート幅方向外側に向かって突出する。クランク部33はシート搬送方向及び上下方向に延びる面内でクランク軸33a回りに回転可能である。
カム軸41aは円板部材51の中心軸線部に形成される。カム溝41bは円板部材51の他方の回転平面に形成され、その回転平面からシート幅方向内側に向かって窪んだ樋状に構成される。カム部41はシート搬送方向及び上下方向に延びる面内でカム軸41a回りに回転可能である。
このように、円板部材51にはクランク部33とカム部41とが形成されて、円板部材51の回転軸線がクランク軸33aの軸線及びカム軸41aの軸線に一致する。動力伝達部50はスライド部30及び昇降部40の両方に対して共通して動力を伝達する。
次に、シート積載装置1による中間トレイ5から排出トレイ6へのシート搬送動作の概略について、図11〜図15を用いて説明する。図11はシート積載装置1の正面図にして、グリップ部20がシートSの把持位置G1にある状態を示す図である。図12はシート積載装置1の正面図にして、グリップ部20がシートSの解放位置G2に向かって移動中の状態を示す図である。図13はシート積載装置1の正面図にして、グリップ部20がシートSの解放位置G2にある状態を示す図である。図14はシート積載装置1の正面図にして、グリップ部20がシートSの把持位置G1に向かって移動中の状態を示す図である。図15はシート積載装置1の正面図にして、グリップ部20がシートSの把持位置G1の下方に到達した状態を示す図である。
なお、シート積載装置1の詳細な構成は先に図3〜図10を用いた説明に基づくものであり、図11〜図15では符号の記載を省略する場合がある。
グリップ部20はシートSの把持位置G1にある状態において、図11に示すように中間トレイ5のシート載置面5bよりも上方に現れる。このとき、下グリップ21はその係止片21cが中間トレイ5の係止板5dに下方から接触し、把持面21aがシート載置面5bよりも上方に変位しない。さらに、スライド部30の2個のコロ31がガイド部32aに沿ってシート載置面5bと平行に並ぶので、下グリップ21の把持面21aは中間トレイ5のシート載置面5bと平行を成し、且つ略面一となる。
一方、上グリップ22はその接触部22aが中間トレイ5の筐体部5aに接触し、上グリップ22のシート搬送方向下流部が把持付勢部材23の付勢力に抗して把持面21aから離隔する方向、すなわち上方向に変位する。これにより、グリップ部20の下グリップ21及び上グリップ22が十分に拡げられ、シートSを把持するための準備が整う。
なお、グリップ部20のシートSの把持位置G1への移動に先立って、中間トレイ5では、シート後端部材5cが第1シート排出路3から自由落下するシートSを受けるための退避位置(図12参照)から把持位置G1に、シート搬送方向に沿って移動する。
続いて、図11において、円板部材51が反時計回りに回転すると、クランクピン33bも反時計回りに回転する。これにより、クランクピン33bに係合するクランクアーム34が支軸341aの軸線回りに回転し、グリップ部20がシート搬送方向下流側に向かって移動する。このように、動力伝達部50から動力を得たスライド部30はグリップ部20をシートSの把持位置G1からシート搬送方向下流側に向けて移動させる。
グリップ部20のシート搬送方向下流側への移動の開始時、上グリップ22の接触部22aが中間トレイ5の筐体部5aから離隔する。これにより、上グリップ22に把持付勢部材23の付勢力が作用し、そのシート搬送方向下流部が下グリップ21の把持面21aに接近する。その結果、把持位置G1において、グリップ部20は下グリップ21及び上グリップ22でしっかりと中間トレイ5に載置されたシートSを把持することができる。
なお、グリップ部20がシート搬送方向下流側に向かって移動するとき、円板部材51の回転に伴ってカム溝41bも回転するが、カム溝41bの形状に基づいてフォロア部材42は揺動せず、リンク機構43も変位しない。すなわち、第1リンク部材431及び第2リンク部材432の係合ピン431b、432bが変位しない。レール部材32が上下方向に変位せず、スライド部30はシートSの把持位置G1と解放位置G2との間で、把持面21aが中間トレイ5のシート載置面5bに対して平行を維持した状態でグリップ部20をシート搬送方向下流側に移動させる。
さらに、円板部材51が反時計回りに回転すると、クランクピン33bの回転に伴ってクランクアーム34が変位し、図12に示すようにグリップ部20が中間トレイ5のシート載置面5bの上方においてシート搬送方向下流端に到達する。ここで、クランクアーム34は第2アーム部材342が十分に伸びた形態となる。
続いて、円板部材51が反時計回りに回転すると、カム溝41bの形状に基づいてフォロア部材42及びリンク機構43が変位し、図13に示すようにグリップ部20が下方に移動する。このとき、動力伝達部50から動力を得た昇降部40がスライド部30を介してグリップ部20を移動させ、中間トレイ5のシート載置面5bに対して隠れさせる。
詳細に言えば、昇降部40はグリップ部20を中間トレイ5のシート載置面5bよりも下方且つシート搬送方向上流側にシート載置面5bに対して傾斜を成す方向に移動させ、グリップ部20をシートSの解放位置G2に到達させる。ここで、クランクアーム34は第2アーム部材342が比較的縮んだ形態となる。
続いて、円板部材51が反時計回りに回転すると、クランクピン33bの回転に伴ってクランクアーム34が変位し、図14に示すようにグリップ部20が中間トレイ5のシート載置面5bの下方においてシート搬送方向上流部に到達する。
なお、グリップ部20がシート搬送方向上流側に向かって移動するとき、円板部材51の回転に伴ってカム溝41bも回転するが、カム溝41bの形状に基づいてフォロア部材42及びリンク機構43は変位しない。すなわち、レール部材32が上下方向に概ね変位せず、スライド部30は中間トレイ5のシート載置面5bよりも下方に隠れたグリップ部20をシート載置面5bに対して平行にシート搬送方向上流側に移動させる。
続いて、円板部材51が反時計回りに回転すると、クランクピン33bの回転に伴ってクランクアーム34が変位し、図15に示すようにグリップ部20が中間トレイ5のシート載置面5bの下方においてシート搬送方向上流端に到達する。このとき、グリップ部20では前述のように、上グリップ22の接触部22aが筐体部5aに接触することで上グリップ22のシート搬送方向下流部が上方に変位し、下グリップ21及び上グリップ22が十分に拡げられる。
この後、円板部材51が反時計回りに回転すると、カム溝41bの形状に基づいてフォロア部材42及びリンク機構43が変位し、図11に示すようにグリップ部20が上方に移動する。詳細に言えば、昇降部40がグリップ部20を中間トレイ5のシート載置面5bよりも上方のシートSの把持位置G1に、シート載置面5bに対して略直角を成す方向に移動させる。
シート積載装置1は中間トレイ5から排出トレイ6へのシート搬送動作において、上記のようにグリップ部20をシートSの把持位置G1から解放位置G2を経て再度把持位置G1まで移動させる1サイクルを実現する。
次に、シート積載装置1のシート搬送方向上流部における詳細な構成とその動作について、図16を用いて説明する。図16はグリップ部20がシートSの把持位置G1の下方に到達した状態を示す拡大正面図である。なお、図16では説明の便宜上、レール部材32の紙面奥行き方向奥側に形成、または配置されて本来手前側から見ることができないガイド部32a、コロ31を実線で示した。
レール部材32のガイド部32aは、図16に示すようにそのシート搬送方向上流端に拡大部32bを備える。拡大部32bでは樋状を成すガイド部32aの下側の一面が、シート搬送方向を上流側に向かうに従ってシート載置面5bから離れる下方向に向かう傾斜を有する。
中間トレイ5から排出トレイ6へのシート搬送動作において、グリップ部20がシート載置面5bの下方においてシート搬送方向の下流部から上流部に移動するとき、ガイド部32aでは2個のコロ31が拡大部32bに到達する。このとき、グリップ部20の重み、或いは把持付勢部材23の付勢力が、2個のコロ31を拡大部32bの下側の一面に追従させる方向に作用する。その結果、グリップ部20は下グリップ21及び上グリップ22によるシートSの把持領域が上方を向くようにシート搬送方向上流側に傾く。
次に、シート積載装置1のシート搬送方向下流部における詳細な構成とその動作について、図17〜図21を用いて説明する。図17はグリップ部20がシートSの解放位置G2の上方に到達した状態を示す拡大正面図である。図18はグリップ部20がシートSの解放位置G2の上方において姿勢変更する途中の状態を示す拡大正面図である。図19はグリップ部20がシートSの解放位置G2の上方において姿勢変更を完了した状態を示す拡大正面図である。図20はグリップ部20がシートSの解放位置G2に向かって下降する途中の状態を示す拡大正面図である。図21はグリップ部20がシートSの解放位置G2に到達した状態を示す拡大正面図である。
図17に示すように、グリップ部20が中間トレイ5のシート載置面5bの上方においてシート搬送方向下流端、すなわちシートSの解放位置G2の上方に到達したとき、グリップ部20の把持面21aはシート載置面5bと平行を成し、且つ略面一である。
このとき、グリップ部20に支持された2個のコロ31(図5参照)は回転ガイド部材321に形成されたガイド部32aのシート搬送方向下流部に収まる。そして、回転阻止部323は中間トレイ5の不図示の筐体部5aに接触し、回転ガイド部材321がシート搬送方向と平行を成す姿勢から回転変位することを回転ガイド付勢部材322(図7参照)の付勢力に抗して阻止する。
続いて、昇降部40がスライド部30を介してグリップ部20を下方に移動させると、回転ガイド付勢部材322の付勢力によって、回転ガイド部材321がそのシート搬送方向上流部がシート載置面5bに接近する方向、すなわち図18において支軸32cを中心として反時計回りに回転する。これにより、グリップ部20のシート搬送方向下流部、すなわち下グリップ21及び上グリップ22によるシートSの把持領域が下方を向くように傾くグリップ部20の姿勢変更が開始される。
さらに、グリップ部20が下方に移動すると、図19に示すように回転ガイド部材321の突起32dがレール部材32の規制溝32eによる規制を受け、回転ガイド部材321の回転に連動したグリップ部20の姿勢変更が停止する。図19に示したグリップ部20の姿勢はさらにグリップ部20が所定量下降するまで維持される。
ここで、昇降部40はグリップ部20を下方に移動させるときにリンク機構43を動作させる。このとき、リンク機構43では、図18、図19及び図20に示すように第1リンク部材431及び第2リンク部材432各々の係合ピン431b、432bがレール部材32のスリット32g、32hの内部をシート搬送方向の上流側から下流側に向かって移動する。
下方に移動するグリップ部20がシートSの解放位置G2に接近すると、図20に示すようにレール部材32のスリット32hの内部を移動する第2リンク部材432の係合ピン432bが回転ガイド部材321の係合片324に接触する。これにより、回転ガイド付勢部材322の付勢力に抗して、回転ガイド部材321が図20において支軸32cを中心として時計回りに回転する。そして、グリップ部20の把持面21aが排出トレイ6のシート載置面6aと平行な状態に近づくようにグリップ部20の姿勢が戻される。
グリップ部20がシートSの解放位置G2に到達すると、図21に示すように回転ガイド部材321の突起32dがレール部材32の規制溝32eによる規制を受け、回転ガイド部材321の回転に連動したグリップ部20の姿勢変更が停止する。ガイド部32aはそのシート搬送方向の上流部から下流端まで直線状に延びる形態に戻る。グリップ部20の把持面21aは排出トレイ6のシート載置面6aと略平行を成す。
引き続き、昇降部40が動作すると、図21に示すようにグリップ部20がレール部材32を介してシート搬送方向上流側に移動する。これにより、グリップ部20が把持していたシートSの束のシート搬送方向上流端が、筐体部5aのシート搬送方向下流端の壁部5eに接触して引っ掛かる。その結果、シートSはグリップ部20による把持状態から解放される
上記の実施形態のように、シート積載装置1はスライド部30及び昇降部40の両方に対して動力を伝達する共通の動力伝達部50を備え、中間トレイ5のシート搬送方向下流部において、昇降部40がグリップ部20を中間トレイ5のシート載置面5bよりも下方且つシート搬送方向上流側にシート載置面5bに対して傾斜を成す方向に移動させてシートSの解放位置G2に到達させる。
この構成によれば、中間トレイ5のシート載置面5bがシート搬送方向下流に向かうに従って上昇する傾斜を成す場合に、中間トレイ5のシート搬送方向下流部においてグリップ部20を中間トレイ5のシート載置面5bよりも下方に移動させたとき、グリップ部20が中間トレイ5のシート搬送方向下流端に対してさらに下流側に突出しない。また、スライド部30及び昇降部40の両方に対して共通の動力伝達部50を備えるので、単一の駆動源から動力を伝達することができる。これにより、コンパクト化、低コスト化が図られた構成で、シートを整然と搬送することが可能になる。
そして、中間トレイ5はシート載置面5bがシート搬送方向下流に向かうに従って上昇する傾斜を成して構成されるので、中間トレイ5に積載されたシートSが重力の作用で自動的にシート搬送方向上流側に移動する。これにより、中間トレイ5上でシートSを整然とシート搬送方向上流側に寄せて揃えることができる。
グリップ部20は、シートSの下面に対向する把持面21aが形成されてシートSに下方から接触する下グリップ21と、シート搬送方向と交差する方向に延びる連結軸21dを介して回転可能に下グリップ21に連結されてシートSに上方から接触する上グリップ22と、上グリップ22のシート搬送方向下流部が下グリップ21の把持面21aに接近する方向に上グリップ22を連結軸21d回りに回転付勢する把持付勢部材23とを備える。これにより、シートSを容易に、且つしっかりと把持することができる。
スライド部30は、グリップ部20に支持されてシート搬送方向に並べて配置された2個のコロ31と、中間トレイ5のシート載置面5bと平行に延びて2個のコロ31がシート搬送方向に沿って移動可能に係合するガイド部32aを有するレール部材32と、シート搬送方向と交差する方向に延びるクランク軸33a及びクランクピン33bが設けられてシート搬送方向及び上下方向に延びる面内でクランク軸33a回りに回転可能なクランク部33と、下端がクランク軸33aと平行を成す支軸341aを介して回転可能に支持された第1アーム部材341及び上端にグリップ部20が取り付けられて第1アーム部材341に対して相対変位する第2アーム部材342で構成されて第2アーム部材342にクランクピン33bが移動可能に係合する溝部342aを有するクランクアーム34とを備える。これにより、スライド部30はグリップ部20をシートSの把持位置G1からシート搬送方向下流側に向けて平行に移動させることができ、さらにグリップ部20をシートSの解放位置G2からシート搬送方向上流側に向けて平行に移動させることができる。
また、2個のコロ31が下グリップ21の把持面21aと平行に配置されるので、シート載置面5bと平行に延びるガイド部32aに沿って移動することで、把持面21aがシート載置面5bと平行を維持した状態でグリップ部20を移動させることができる。
また、ガイド部32aは、シート搬送方向上流端に設けられてシート搬送方向を上流側に向かうに従って中間トレイ5のシート載置面5bから離れる方向に拡大する拡大部32bを備える。この構成によれば、グリップ部20がシート搬送方向の下流部から上流部に移動するとき、グリップ部20の重み、或いは把持付勢部材23の付勢力が、2個のコロ31を拡大部32bの下側の一面に追従させる方向に作用する。そして、グリップ部20はシートSの把持領域が上方を向くように傾く。これにより、グリップ部20をシート載置面5bの下方からシートSの把持位置G1に移動させるときに、シートSの搬送方向上流端に接触させることなく、グリップ部20をシートSの搬送方向上流側に移動させることができる。
レール部材32は、シート搬送方向下流部に設けられてガイド部32aの一部を含み、下流端においてシート搬送方向と交差する方向に延びる支軸32c回りに回転可能に支持された回転ガイド部材321と、回転ガイド部材321のシート搬送方向上流部が中間トレイ5のシート載置面5bに接近する方向に回転ガイド部材321を支軸32c回りに回転付勢する回転ガイド付勢部材322と、レール部材32が中間トレイ5のシート載置面5bに最も接近した状態において回転ガイド部材321がシート搬送方向と平行を成す姿勢から回転変位することを回転ガイド付勢部材322の付勢力に抗して阻止する回転阻止部323と、レール部材32が中間トレイ5のシート載置面5bから離隔してシートSの解放位置G2に接近した状態において回転ガイド部材321がシート搬送方向と平行を成す姿勢に回転ガイド付勢部材322の付勢力に抗して回転変位させて戻すための回転戻し部である係合片324とを備える。この構成によれば、グリップ部20がレール部材32のシート搬送方向下流端まで移動し、レール部材32が下降する、すなわち中間トレイ5のシート載置面5bから離隔すると、回転ガイド付勢部材322の付勢力によってグリップ部20のシートSの把持領域が下方を向くように傾く。これにより、排出トレイ6にシートSを載置し、グリップ部20による把持を解放する際、シートSの束の座屈を抑制することができる。さらに、シートSの解放位置G2ではグリップ部20の姿勢が元に戻るので、整然とした状態のままでシートSを解放することができる。
昇降部40は、シート搬送方向及び上下方向に延びる面内でシート搬送方向と交差する方向に延びるカム軸41a回りに回転可能なカム部41と、カム部41のカム溝41bの形状に連動してカム軸41aと平行に延びる支軸42a回りに揺動可能なフォロア部材42と、スライド部30とフォロア部材42との間に連結されてフォロア部材42の揺動に連動してスライド部30を上下方向に移動させるリンク機構43とを備える。これにより、昇降部40はグリップ部20を中間トレイ5のシート載置面5bよりも下方且つシート搬送方向上流側にシート載置面5bに対して傾斜を成す方向に移動させることができ、さらにグリップ部20をシート載置面5bよりも上方のシートSの把持位置G1にシート載置面5bに対して略直角を成す方向に移動させることができる。
リンク機構43は、中間トレイ5のシート搬送方向に並べて配置されてシート搬送方向と平行を成す位置に設けられたシート搬送方向と交差する方向に延びる支軸431a、432aを介して回転可能に支持された第1リンク部材431及び第2リンク部材432と、第1リンク部材431と第2リンク部材432とを連結する連結リンク433とを備える。そして、フォロア部材42の揺動が第1リンク部材431に伝達されて、連結リンク433を介して第2リンク部材432が第1リンク部材431と同じ動作を行う。これにより、ガイド部32aが中間トレイ5のシート搬送方向と平行を成す状態を維持したままで、スライド部30のレール部材32を上下方向に移動させることが可能である。
動力伝達部50は、単一の回転体である円板部材51を有し、円板部材51にクランク部33とカム部41とが形成されて、円板部材51の回転軸線がクランク軸33aの軸線及びカム軸41aの軸線に一致する。この構成によれば、スライド部30及び昇降部40に対して単一の駆動源から動力を伝達する構成を容易に形成することができる。
また、シート積載装置1はシートSの把持位置G1よりもシート搬送方向上流側に配置されたシートSの後処理装置8を備える。この構成によれば、整然とシート搬送方向上流側に寄せて揃えられたシートSの束に対して後処理を実行することができる。したがって、後処理領域の位置ずれや処理不良の発生を抑制することが可能である。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、複数の実施形態を組み合わせて実施することができる。